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【発明の名称】 乗用田植機のサスペンション機構
【発明者】 【氏名】竹内 修

【要約】 【課題】前車輪駆動軸の地上高を可及的に低く設定して、機体の低重心化を図ること。

【解決手段】フロントアクスルケース内にてキングピンの上部外周面にサスペンションバネを巻回すると共に、同サスペンションバネは前車輪駆動軸よりも上方位置に配置した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 フロントアクスルケース内に左右方向に軸線を向けた前車輪駆動軸を配置すると共に、同フロントアクスルケース内に上下方向に軸線を向けたキングピンの上部を軸線方向に摺動自在に配置して、同キングピンを上記前車輪駆動軸に連動連結し、同キングピンの下部にはギヤケースを介して前車軸を連動連結した乗用田植機において、フロントアクスルケース内にてキングピンの上部外周面にサスペンションバネを巻回すると共に、同サスペンションバネは前車輪駆動軸よりも上方位置に配置し、ギヤケースと上下方向に対向するフロントアクスルケースの下端部位置には嵌入用凹部を形成して、同嵌入用凹部内に上昇時のギヤケースの上端部が嵌入するようにしたことを特徴とする乗用田植機のサスペンション機構。
【請求項2】 ギヤケースと上下方向に対向するフロントアクスルケースの下端部の径は、ギヤケースの上端部の径よりも大径に形成したことを特徴とする請求項1記載の乗用田植機のサスペンション機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用田植機のサスペンション機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、乗用田植機のサスペンション機構の一形態として、フロントアクスルケース内に左右方向に軸線を向けた前車輪駆動軸を配置すると共に、同フロントアクスルケース内に上下方向に軸線を向けたキングピンの上部を軸線方向に摺動自在に配置して、同キングピンを上記前車輪駆動軸に連動連結し、同キングピンの下部にはギヤケースを介して前車軸を連動連結し、同前車軸に前車輪を取り付けて、同前車輪をキングピンの外周面に巻回したサスペンションバネにより懸架したものがある。
【0003】そして、サスペンションバネは、前車輪駆動軸と前車軸との間に位置するキングピンの中途部の外周面に巻回している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記した乗用田植機のサスペンション機構では、サスペンションバネを前車輪駆動軸と前車軸との間に位置するキングピンの中途部の外周面に巻回しているため、同サスペンションバネに適度の伸縮幅を保持させた場合には、必然的に前車輪駆動軸の地上高が高くなり、その結果、車体の重心位置が高くなって、機体の安定性を良好に確保できないという不具合がある。
【0005】また、前車輪駆動軸の地上高を敢えて低く設定すると、キングピンの下部を支持しているギヤケースの筒状支持体の長さを可及的に短く設定しなければ、キングピンの上下摺動時に筒状支持体がフロントアクスルケースと干渉するという不具合が生じるが、そのように筒状支持体を短く設定すると、今度はキングピンの下部を支持すべく筒状支持体内に配置している上・下部ベアリングの軸線方向の間隔が小さくなるために、ギヤケースの倒れ現象が生じ、同ギヤケースによるキングピンの安定支持が図れないという不具合がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、フロントアクスルケース内に左右方向に軸線を向けた前車輪駆動軸を配置すると共に、同フロントアクスルケース内に上下方向に軸線を向けたキングピンの上部を軸線方向に摺動自在に配置して、同キングピンを上記前車輪駆動軸に連動連結し、同キングピンの下部にはギヤケースを介して前車軸を連動連結した乗用田植機において、フロントアクスルケース内にてキングピンの上部外周面にサスペンションバネを巻回すると共に、同サスペンションバネは前車輪駆動軸よりも上方位置に配置し、ギヤケースと上下方向に対向するフロントアクスルケースの下端部位置には嵌入用凹部を形成して、同嵌入用凹部内に上昇時のギヤケースの上端部が嵌入するようにしたことを特徴とする乗用田植機のサスペンション機構を提供するものである。
【0007】また、本発明では、ギヤケースと上下方向に対向するフロントアクスルケースの下端部の径は、ギヤケースの上端部の径よりも大径に形成したことにも特徴を有する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0009】すなわち、本発明に係るサスペンション機構を具備する乗用田植機は、基本的構造として、フロントアクスルケース内に左右方向に軸線を向けた前車輪駆動軸を配置すると共に、同フロントアクスルケース内に上下方向に軸線を向けたキングピンの上部を軸線方向に摺動自在に配置して、同キングピンを上記前車輪駆動軸に連動連結し、同キングピンの下部にはギヤケースを介して前車軸を連動連結している。
【0010】そして、特徴的構造として、フロントアクスルケース内にてキングピンの上部外周面にサスペンションバネを巻回すると共に、同サスペンションバネは前車輪駆動軸よりも上方位置に配置し、ギヤケースと上下方向に対向するフロントアクスルケースの下端部位置には嵌入用凹部を形成して、同嵌入用凹部内に上昇時のギヤケースの上端部が嵌入するようにしている。
【0011】しかも、ギヤケースと上下方向に対向するフロントアクスルケースの下端部の径は、ギヤケースの上端部の径よりも大径に形成している。
【0012】
【実施例】以下に、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【0013】図1に示すAは、本発明に係るサスペンション機構を具備する乗用田植機であり、同乗用田植機Aは、自走可能な走行車1の後方に昇降・連結機構2を介して植付装置3を連結している。
【0014】走行車1は、図2及び図3にも示すように、機体フレーム10の前部に原動機部11を配置し、同原動機部11の後方位置に運転部12を配置し、同運転部12の下方位置にミッションケース13を配置し、同ミッションケース13の前部の左右側部に左右一対のフロントアクスルケース14,14を介して前車輪15,15を連動連結してフロントアクスル部18を形成すると共に、同ミッションケース13の後部の左右側部に左右一対のリヤアクスルケース16,16を介して後車輪17,17を連動連結してリヤアクスル部19を形成している。15aは前車軸、17aは後車軸である。
【0015】機体フレーム10は、図2及び図3にも示すように、前記した左右一対のフロントアクスルケース14,14と、左右一対のリヤアクスルケース16,16上に跨架した門型の後部フレーム形成片23の上部との間に、前後方向に伸延する左右一対の機体フレーム形成片20,20を架設し、両機体フレーム形成片20,20には、前部間に前部支持機枠21を左右方向に張り出し状に架設し、かつ、中途部間に左右方向に伸延する棒状の中途部横フレーム形成片22を架設し、後部フレーム形成片23の左右側上部に、左右外側方に伸延すると共に、左右側端部が前方へ向けて屈曲する平面視鉤状の後部張り出しフレーム形成片24,24を架設して形成している。
【0016】原動機部11は、図1〜図3に示すように、前記した機体フレーム10の前部支持機枠21とミッションケース13の前端部との間に架設した架台33上にエンジン25等を搭載し、同エンジン25等をボンネット26により被覆している。
【0017】運転部12は、図1に示すように、前記したボンネット26の後部にハンドルコラム27を設け、同ハンドルコラム27の上方にハンドル支軸28を介してハンドル29を取り付け、同ハンドル29の後方位置に運転席30を配置している。31はクラッチペダルである。
【0018】ここで、前記した機体フレーム10上には、図1に示すように、カバー体32を張設しており、同カバー体32は、ボンネット26の左右側方に前部ステップ部32a,32aを形成し、運転部12の下部に床部32bを形成し、同床部32bの左右側縁部に乗降用足掛かり部32cを形成し、後車輪17,17の上方に後車輪フェンダー32d,32dを形成し、運転席30の後方に後部ステップ部32eを形成している。
【0019】ミッションケース13は、図2〜図5に示すように、ケース本体35を前後方向に伸延させて形成し、同ケース本体35内の前部にフロントデフ機構36を設ける一方、同ケース本体35内の後部にリヤ駆動機構(図示せず)を設けている。
【0020】そして、ケース本体35内の前部に設けた変速切替機構(図示せず)の一部を構成する入力軸37を左側壁の前側上部より外側方へ突出させる一方、ケース本体35の右側壁の前側上部にクラッチ部38を設け、同クラッチ部38を上記変速切替機構に連動連結して、同クラッチ部38により変速切替機構の動力接続・切断操作が行えるようにしている。
【0021】また、前記した入力軸37とエンジン25より左側外方へ突出させた駆動軸25aとの間には、図2及び図3に示すように、ベルト式無段階変速の変速機構39を介設しており、同変速機構39は、上記入力軸37に取り付けた入力側プーリー39aと、上記駆動軸25aに取り付けた出力側プーリー39bと、両プーリー39a,39b間に巻回した伝動ベルト39cとを具備し、入・出力プーリー39a, 39bの有効径をそれぞれ任意に変更可能として、入力軸37の回転速度を適宜無段階に変速可能としている。なお、変速機構39に代えて伝動機構(図示せず)を採用することもできる。
【0022】左右一対のフロントアクスルケース14,14は、ミッションケース13の前部の左右側部に基端部を連動連設しており、各フロントアクスルケース14,14は、ミッションケース13のケース本体35の左右側下部より外側方へ向けて延出する外側方延出体40,40と、各外側方延出体40,40の先端部より上方へ向けて延出する上方延出体41,41とを具備して、これら外側方延出体40,40と上方延出体41,41とケース本体35の左右側壁とにより、正面視にて凹状の空間S1,S1を形成している。
【0023】そして、左側の空間S1内には、ケース本体35の左側壁より突出させた入力軸37に連動連結した変速機構39(若しくは伝動機構)を配置し、右側の空間S1内には、ケース本体35の右側壁に設けたクラッチ部38を配置し、両空間S1,S1内に、左右一対の機体フレーム形成片20,20を配置している。
【0024】しかも、変速機構39(若しくは伝動機構)やクラッチ部38を低位置に配置する際に、これら変速機構39(若しくは伝動機構)及びクラッチ部38と外側方延出体40,40とを前後方向に位置ズレさせて配置する必要性が生じないため、機体の前後長を短くすることができて、機体のコンパクト化を図ることができ、その結果、機体の前後バランスを良好に確保することができる。
【0025】また、左右側の外側方延出体40,40内には、それぞれケース本体35内に設けたフロントデフ機構36に基端部を連動連結し、かつ、左右方向に軸線を向けた前車輪駆動軸42,42をその軸線廻りに回動自在に挿通し、各前車輪駆動軸42,42の外側端部に駆動ベベルギヤ43,43を取り付ける一方、左右側の上方延出体41,41内には、上下方向に軸線を向けたキングピン44,44の上半部をサスペンション機構45,45を介してその軸線方向に摺動自在、かつ、その軸線廻りに回動自在に挿通し、各キングピン44,44の中途部に従動ベベルギヤ46,46を取り付けて、各従動ベベルギヤ46,46を上記駆動ベベルギヤ43,43に上方から噛合させている。
【0026】しかも、図6〜図8にも示すように、従動ベベルギヤ46,46は前車輪駆動軸42,42よりも上方位置に配置して、各従動ベベルギヤ46,46の下方位置に空間S2,S2を確保することができるため、各空間S2,S2内にオイルシール53,53やダストシール54,54等の部材を配置するこにより、フロントアクスルケース14,14のコンパクト化を図っている。
【0027】そして、前記前車輪駆動軸42,42の中途部外周面と、ケース本体35と左右側の外側方延出体40,40とを接合している接合部47,47との間にシール材48,48を介設し、同シール材48,48により接合部47,47を密閉して、ケース本体35と左右側の外側方延出体40,40、すなわち、ミッションケース13とフロントアクスルケース14,14とを非連通状態となしている。
【0028】このようにして、ケース本体35と外側方延出体40,40との接合部47,47をシール材48,48により密閉して、ケース本体35と外側方延出体40,40とを非連通状態となしているため、サスペンション機構45,45を通して外側方延出体40,40内に水が浸入した場合にも、その浸入水がケース本体35内に達するという不具合の発生を確実に防止することができる。
【0029】従って、ケース本体35を作動油及び潤滑油供給用のタンクとしても機能させて、同ケース本体35内に湿式ブレーキ部を配設したり、同ケース本体35より油圧式シリンダ部等の油圧機器に作動油を供給する場合にも、例えば、湿式ブレーキ部に浸入水が供給されるという不具合の発生を確実に防止することができるため、湿式ブレーキ部が異音(いわゆるブレーキ鳴き)を発生するということがなく、また、油圧式シリンダ部に作動油とともに浸入水が供給されるという不具合の発生を確実に防止することができるため、温度上昇により浸入水が気化するということがなく、その結果、同油圧式シリンダ部がいわゆるエアかみ(ベーパーロック現象)を起こすということもない。
【0030】また、フロントアクスルケース14,14の一部を形成する上方延出体41,41の後壁上部には、外部と連通する外部連通孔50,50を設けており、各外部連通孔50,50は、前車輪駆動軸42,42に設けた駆動ベベルギヤ43,43に噛合させるべくキングピン44,44に設けた従動ベベルギヤ46,46よりも上方位置に配置している。
【0031】しかも、各外部連通孔50,50には連通パイプ51,51の基端開口部51a,51aを接続し、同連通パイプ51,51の中途部を逆U字状に屈曲させると共に、先端開口部51b,51bを前車輪15,15の上端よりも上方位置に配置している。
【0032】このようにして、キングピン44,44がサスペンション機構45,45を介して上方延出体41,41内で上下摺動動作した際には、各上方延出体41,41内で加圧された空気は外部連通孔50, 50→連通パイプ51,51を通して外部に排出されるようにしている。
【0033】従って、シール材48,48により密閉されたケース本体35と外側方延出体40,40との接合部47,47に加圧空気による負荷が作用するのを防止することができて、同接合部47,47において油漏れや水の浸入という不具合が発生するのを防止することができる。
【0034】この際、外部連通孔50,50をキングピン44,44に設けた従動ベベルギヤ46,46よりも上方位置に配置することにより、フロントアクスルケース14,14内に注入したグリスが、外部連通孔50,50→連通パイプ51,51を通して外部に漏出するのを防止することができる。
【0035】しかも、連通パイプ51,51の先端開口部51b,51bを前車輪15,15の上端よりも上方位置に配置しているため、前車輪15,15に連れ回って飛散される泥水が、連通パイプ51,51の先端開口部51b,51bから外部連通孔50,50を通してフロントアクスルケース14,14内に浸入するという不具合の発生を確実に防止することができる。
【0036】サスペンション機構45は、図5及び図6に示すように、フロントアクスルケース14の上方延出体41内において、キングピン44の上部外周面にサスペンションバネ55を巻回すると共に、同サスペンションバネ55を前車輪駆動軸42よりも上方位置に配置している。56は上部バネ受け体、57は下部バネ受け体である。
【0037】このようにして、前車輪駆動軸42と前車輪15を支持する前車軸15aとの間隔を可及的に短幅化することができて、同前車輪駆動軸42の地上高を可及的に低く設定することができ、その結果、機体の低重心化が図れて、同機体の安定性を良好に確保することができる。
【0038】また、サスペンションバネ55を巻回したキングピン44の上部に、上方へ摺動するキングピン44の上端部と上方延出体41の天井部41aとが干渉するのを防止するためのストッパー部材59を設けている。
【0039】このようにして、キングピン44が上昇摺動した際には、ストッパー部材59が上部バネ受け体56に当接して、同キングピン44の上昇摺動が規制されるようにしている。
【0040】その結果、キングピン44の上端部と上方延出体41の天井部41aとの干渉を防止することができて、キングピン44と上方延出体41の干渉による損傷等の不具合発生を回避することができると共に、サスペンションバネ55の密着を防止することができて、同サスペンションバネ55のサスペンション機能を良好に確保することができる。
【0041】キングピン44の下端部には、図5及び図6に示すように、ギヤケース60を介して前車軸15aを連動連結しており、同ギヤケース60と上下方向に対向する上方延出体41の下端部位置には嵌入用凹部61を形成して、同嵌入用凹部61内に上昇時のギヤケース60の上端部60aが嵌入して、同上端部60aが外側方延出体40の下部と内外側に重合状態となるようにしている。
【0042】このようにして、上方延出体41の下端部位置に形成した嵌入用凹部61内に、上昇時のギヤケース60の上端部60aが嵌入するようにしているため、キングピン44の上下摺動ストロークは最適な長さに確保したまま、フロントアクスルケース14の外側方延出体40の地上高を可及的に低く設定することができる。
【0043】そして、外側方延出体40,40の地上高を可及的に低く設定することができるため、同外側方延出体40,40の上方に配置する変速機構39(若しくは伝動機構)とクラッチ部38と左右一対の機体フレーム形成片20,20とを低位置に配置することができて、機体の低重心化を図ることができ、その結果、機体の走行安定性を高めることができる。
【0044】また、ギヤケース60は、キングピン44の下部を支持すべく上下方向に伸延させて形成した筒状支持体60bと、同筒状支持体60bの下端部に連通連設して前車軸15aを支持する箱状支持体60cとから形成して、同ギヤケース60内にてキングピン44の下端部に取り付けた出力ベベルギヤ62と、前車軸15aに取り付けた入力ベベルギヤ63とを噛合させている。
【0045】そして、キングピン44の下部は、筒状支持体60b内にて上・下部ベアリング68,69によりその軸線廻りに回動自在に支持しており、同筒状支持体6 0bの上端部内周面にはシール部としてのOリング64又はオイルシール(図示せず)を設けている。
【0046】このようにして、ギヤケース60の筒状支持体60bは、その軸線方向の長さを可及的に長く設定して、同筒状支持体60b内にてキングピン44を支持する上・下部ベアリング68,69の上下方向の相互間隔を大きくすることができるため、両上・下部ベアリング68,69によるキングピン44の支持幅を大きくすることができて、ギヤケース60の倒れ現象を確実に防止することができ、その結果、同ギヤケース60によるキングピン44の安定支持を図ることができる。
【0047】また、ギヤケース60と上下方向に対向する上方延出体41の下端部41bの外径D1は、ギヤケース60の上端部60aの外径D2よりも大径に形成している。
【0048】このようにして、上方延出体41の下端部41bがギヤケース60の上端部60aを上方から覆う状態となすことにより、前車輪15に連れ回って飛散される泥土や泥水が、キングピン44の中途部外周面を被覆している後述のスライドカラー65に付着し難いようにしている。
【0049】従って、スライドカラー65の外周面に泥土等が付着して、この付着土等が、上方延出体41の下端部41bの内周面に設けたスライド部としてのオイルシール53及びダストシール54や、ギヤケース60の上端部60aの内周面に設けたやシール部としてのOリング64に繰り返し押し付けられることがない。
【0050】その結果、オイルシール53及びダストシール54のスライド性やOリング64が破損されるのを防止することができて、これらのシール性を良好に確保することができると共に、これらの耐久性及び信頼性を向上させることができ、フロントアクスルケース14内からの油漏れや、フロントアクスルケース14内への泥土等の浸入を確実に防止することができる。
【0051】また、ギヤケース60の上端部60aは、下方へ向けて漸次拡径のテーパー面に形成している。
【0052】このようにして、前車輪15に連れ回って飛散された泥土等がギヤケース60の上端部60aに付着した場合にも、同ギヤケース60の上端部60aは下方へ向けて漸次拡径のテーパー面に形成しているため、付着泥土等はテーパー面上を滑り落ち、同付着泥土等がギヤケース60の上端部60a上に滞積するのを防止することができる。
【0053】従って、ギヤケース60の上端部60a上に泥土等が付着して、この付着土等が、上方延出体41の下端部41bの内周面に設けたスライド部としてのオイルシール53及びダストシール54や、ギヤケース60の上端部60aの内周面に設けたやシール部としてのOリング64に繰り返し押し付けられることがない。
【0054】その結果、この点からも、オイルシール53及びダストシール54やOリング64が破損されるのを防止することができて、これらのスライド性とシール性とを良好に確保することができると共に、これらの耐久性及び信頼性を向上させることができ、フロントアクスルケース14内からの油漏れや、フロントアクスルケース14内への泥土等の浸入を確実に防止することができる。
【0055】キングピン44の中途部外周面には、図7及び図8に示すように、筒状のスライドカラー65を嵌合して、同スライドカラー65によりキングピン44の中途部外周面を被覆し、同スライドカラー65の中途部外周面には下方へ向けて漸次拡径のテーパー部65aを形成している。
【0056】このようにして、スライドカラー65の外周面に泥土等が付着した場合に、キングピン44が上昇摺動すると、同キングピン44と一体的にスライドカラー65も上昇摺動して、スライドカラー65の周面に付着した付着泥土等は、上方延出体41の下端開口部41cによりテーパー部65a上に押し寄せられ、同テーパー部65a上に押し寄せられた付着泥土等は、下方へ向けて漸次拡径に形成されたテーパー部65aの周面に沿って下側外方へ摺動・案内されて、最終的にテーパー部65aから脱落するようにしている。
【0057】従って、付着泥土等が上方延出体41の下端開口部41cに設けたシール材としてのダストシール54に繰り返し押し付けられることはなく、同ダストシール54の破損を防止することができて、上方延出体41内からの油漏れや、上方延出体41内への泥土等の浸入を確実に防止することができる。その結果、ダストシール54の耐久性及び信頼性を向上させることができる。
【0058】そして、スライドカラー65の上部内周面は、ドライブッシュ66を介してキングピン44の外周面に摺動自在かつ回動自在となす一方、スライドカラー65の下端部周面には係合用凹部67,67を対向状態に形成して、両係合用凹部67,67にギヤケース60の上端開口縁部に対向状態に形成した係合片60d,60dを係合させて、スライドカラー65をギヤケース60に固定している。
【0059】このように、スライドカラー65の上部内周面をドライブッシュ66を介してキングピン44の外周面に摺動自在かつ回動自在となすことにより、スライドカラー65とキングピン44との軸芯を高い精度で合わせることができ、オイルシール53とダストシール54の追従性を向上させることができて、油漏れや泥水等の浸入を防止することができる。
【0060】しかも、スライドカラー65の下端部はギヤケース60に固定しているため、シール構造の簡素化を図ることができると共に、シール構造を構成するOリング64のシール性を高めることができる。
【0061】さらには、スライドカラー65は、オイルシール53やダストシール54に対して回動することなく、摺動のみとなるため、シール性と追従性とを高めることができると共に、耐久性を向上させることができる。
【0062】また、図7に示すように、キングピン44が上昇摺動した際には、スライドカラー65の上端部65bは、従動ベベルギヤ46の下部内周面46aに嵌入して内外側に間隔t1だけ重合状態となるようにしている。
【0063】このようにして、スライドカラー65のストロークを大きく確保すると共に、上方延出体41の下端面と従動ベベルギヤ46の下端との間隔t2を小さくすることができて、同上方延出体41のコンパクト化が図れる。
【0064】昇降・連結機構2は、図1に示すように、機体フレーム10の後部フレーム形成片23に前端部を枢支・連結し、同昇降・連結機構2に設けた昇降アーム70とミッションケース13の中途部との間に油圧式シリンダ部としての昇降用シリンダ71を介設して、同昇降用シリンダ71により昇降・連結機構2を昇降可能としている。72はシリンダ連結ブラケットである。
【0065】植付装置3は、図1に示すように、昇降・連結機構2の後端部に連結する連結ステー73と、同連結ステー73に取り付けた植付ミッションケース74と、同植付ミッションケース74上に配置した苗載台75と、同苗載台75の下端部後方に配置して上記植付ミッションケース74に連動連結した植付爪76と、植付ミッションケース74を支持するセンターフロート77及びサイドフロート78とを具備している。79は、ミッションケース13と植付ミッションケース74との間に介設した伝動シャフトである。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0067】■請求項1記載の本発明では、フロントアクスルケース内にてキングピンの上部外周面にサスペンションバネを巻回すると共に、同サスペンションバネは前車輪駆動軸よりも上方位置に配置している。
【0068】このようにして、前車輪駆動軸と前車軸との間隔を可及的に短幅化することができて、同前車輪駆動軸の地上高を可及的に低く設定することができ、その結果、機体の低重心化が図れて、同機体の安定性を良好に確保することができる。
【0069】そして、ギヤケースと上下方向に対向するフロントアクスルケースの下端部位置には嵌入用凹部を形成して、同嵌入用凹部内に上昇時のギヤケースの上端部が嵌入するようにしている。
【0070】このようにして、フロントアクスルケースの下端部位置に形成した嵌入用凹部内に、上昇時のギヤケースの上端部が嵌入するようにしているため、キングピンの上下摺動ストロークは最適な長さに確保したまま、フロントアクスルケースの地上高を可及的に低く設定することができる。
【0071】しかも、キングピンの下部を支持するギヤケースの筒状支持体は、その軸線方向の長さを可及的に長く設定して、同筒状支持体内にてキングピンを支持する上・下部ベアリングの上下方向の相互間隔を大きくすることができるため、両上・下部ベアリングによるキングピンの支持幅を大きくすることができて、ギヤケースの倒れ現象を確実に防止することができ、その結果、同ギヤケースによるキングピンの安定支持を図ることができる。
【0072】■請求項2記載の本発明では、ギヤケースと上下方向に対向するフロントアクスルケースの下端部の径は、ギヤケースの上端部の径よりも大径に形成している。
【0073】このようにして、フロントアクスルケースの下端部がギヤケースの上端部を上方から覆う状態となすことにより、前車輪に連れ回って飛散される泥土や泥水が、フロントアクスルケースの下端部内周面やギヤケースの上端部内周面に設けたスライド部やシール部に付着するのを防止することができる。
【0074】その結果、スライド部のスライド性やシール部のシール性を良好に確保することができて、サスペンション機構のサスペンション機能を正常に発揮させることができる。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【代理人】 【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
【公開番号】 特開2002−274136(P2002−274136A)
【公開日】 平成14年9月25日(2002.9.25)
【出願番号】 特願2001−81560(P2001−81560)