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【発明の名称】 自動車のサスペンション装置
【発明者】 【氏名】山本 忠信

【氏名】佐野 晋

【氏名】吉村 匡史

【要約】 【課題】スイングアームに亀裂が入る等の問題を生じることなく、ばね下重量を軽量化できるようにする。

【解決手段】サスペンションダンパー14の支持部が設けられたスイングアーム本体6と、このスイングアーム本体6の後部に固定されるとともに、サスペンションアーム3〜5の支持部18等が設けられたサポート部材7と、このサポート部材7の少なくとも上記サスペンションアーム4,5の支持部を補強するサポート補強部材8とを、それぞれ一枚の鋼板をプレス成形することにより形成し、上記スイングアーム本体6、サポート部材7およびサポート補強部材8を接合することによりスイングアーム2を構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体の前後方向に延びるように設置されるとともに、後輪支持部材の固定部が設けられたスイングアームを有する自動車のサスペンション装置において、車体の前後方向に延びるように設置されて前端部が車体に支持されるとともに、サスペンションダンパーの支持部が設けられたスイングアーム本体と、このスイングアーム本体の後部に固定されるとともに、サスペンションアームの支持部が設けられたサポート部材と、このサポート部材の少なくとも上記サスペンションアームの支持部を補強するサポート補強部材とを、それぞれ一枚の鋼板をプレス成形することにより形成し、上記スイングアーム本体、サポート部材およびサポート補強部材を接合することにより上記スイングアームを構成したことを特徴とする自動車のサスペンション装置。
【請求項2】 後輪支持部材を固定する固定ボルトの設置部をスイングアーム本体の後部に設けるとともに、上記後輪支持部材の固定部をサポート部材に設けたことを特徴とする請求項1記載の自動車のサスペンション装置。
【請求項3】 スイングアーム本体に設けられた固定ボルトの設置部と、サポート部材に設けられた後輪支持部材の固定部との間に隙間形成用のカラーを設置することにより、上記固定ボルトの固定部と、後輪支持部材の固定部との間に、上記カラーの長さに対応した隙間が形成されるように構成したことを特徴とする請求項2記載の自動車のサスペンション装置。
【請求項4】 サポート部材に設けられた支持部と、サポート補強部材に設けられた支持部とにより、サスペンションアームの端部を両側から支持するように構成するとともに、このサスペンションアームの端部を上記支持部に導入するための切欠き部をスイングアーム本体に形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずかに記載の自動車のサスペンション装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、後輪を懸架する自動車のサスペンション装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特開平60−53408号公報に示されるように、車体の前後方向に延び一端が上下方向揺動可能に車体に取り付けられ他端で車輪支持部材を支持するとともに、この車輪支持部材に対し前後方向の力および車輪回転方向の回転力を伝達可能に構成されたスイングアームと、互いに独立して車体横方向に延びる3本のサスペンションアーム(ラテラルリンク)を備え、各サスペンションアームの一端は上記車輪支持部材に他端は車体にそれぞれ回動可能に取り付けられるとともに上記車輪支持部材に対する3本のサスペンションアームの取付点が車体の前後方向垂直面内で一直線上に並ばないように位置関係を設定することにより、車輪から入力された前後方向の荷重および回転力を上記スイングアームにより支持するように構成された自動車のリヤサスペンションが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように車体の前後方向に延びるように設置されたスイングアームには、車輪から入力された前後方向の荷重および回転力と、上記車輪支持部材に取り付けられたサスペンションアームから入力された車幅方向の荷重と、サスペンションダンパーから入力された上下方向の荷重とがそれぞれ入力されるので、これらの荷重に耐え得るように、上記スイングアームを鋳物により所定の厚みに形成していた。このため、上記スイングアームが大型化してばね下重量が大きくなることが避けられず、自動車の乗り心地を向上させることが困難であるという問題があった。
【0004】本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、スイングアームに亀裂が入る等の問題を生じることなく、ばね下重量を効果的に軽量化することができるサスペンション装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、車体の前後方向に延びるように設置されるとともに、後輪支持部材の固定部が設けられたスイングアームを有する自動車のサスペンション装置において、車体の前後方向に延びるように設置されて前端部が車体に支持されるとともに、サスペンションダンパーの支持部が設けられたスイングアーム本体と、このスイングアーム本体の後部に固定されるとともに、サスペンションアームの支持部が設けられたサポート部材と、このサポート部材の少なくとも上記サスペンションアームの支持部を補強するサポート補強部材とを、それぞれ一枚の鋼板をプレス成形することにより形成し、上記スイングアーム本体、サポート部材およびサポート補強部材を接合することにより上記スイングアームを構成したものである。
【0006】上記構成によれば、一枚のプレス成形鋼板からなるスイングアーム本体とサポート部材とサポート補強部材とを接合することにより、軽量かつ高強度のスイングアームが構成され、上記サスペンションダンパーから入力された上下方向の荷重がスイングアーム本体により安定して支持されるとともに、上記サスペンションアームから入力された車幅方向の荷重が上記サポート部材およびサポート補強部材により安定して支持されることになる。
【0007】請求項2に係る発明は、上記請求項1記載の自動車のサスペンション装置において、後輪支持部材を固定する固定ボルトの設置部をスイングアーム本体の後部に設けるとともに、上記後輪支持部材の固定部をサポート部材に設けたものである。
【0008】上記構成によれば、後輪から入力された前後方向の荷重および回転力が、スイングアーム本体に設けられた固定ボルトの設置部と、サポート部材に設けられた後輪支持部材の固定部とにより構成された二重構造部分で安定して支持されることになる。
【0009】請求項3に係る発明は、上記請求項2記載の自動車のサスペンション装置において、スイングアーム本体に設けられた固定ボルトの設置部と、サポート部材に設けられた後輪支持部材の固定部との間に隙間形成用のカラーを設置することにより、上記固定ボルトの固定部と、後輪支持部材の固定部との間に、上記カラーの長さに対応した隙間が形成されるように構成したものである。
【0010】上記構成によれば、スイングアーム本体およびサポート部材の寸法精度が正確に設定されていないために、上記スイングアーム本体に設けられた固定ボルトの設置部と、サポート部材に設けられた後輪支持部材の固定部との間隔にばらつきがある場合でも、上記固定ボルトによって後輪支持部材を固定部に固定することにより、上記カラーの長さに対応した隙間が上記固定ボルトの設置部と後輪支持部材の固定部との間に形成された状態で、この固定部に上記後輪支持部材が安定して固定されることになる。
【0011】請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3のいずかに記載の自動車のサスペンション装置において、サポート部材に設けられた支持部と、サポート補強部材に設けられた支持部とにより、サスペンションアームの端部を両側から支持するように構成するとともに、このサスペンションアームの端部を上記支持部に導入するための切欠き部をスイングアーム本体に形成したものである。
【0012】上記構成によれば、スイングアームの切欠き部から上記支持部に導入されたサスペンションアームの端部が、上記サポート部材とサポート補強部材との両部材により安定して支持されることになる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る自動車のサスペンション装置の実施形態を示している。このサスペンション装置は、車体の前後方向に延びるように設置されるとともに、後輪支持部材1の固定部21が設けられたスイングアーム2と、車幅方向に延びるように設置されて上記スイングアーム2を支持する3本の第1〜第3サスペンションアーム3〜5と、下端部が上記スイングアーム2に支持されたサスペンションダンパー14とを備えている。
【0014】上記スイングアーム2は、図2に示すように、車体の前後方向に延びるように設置される所定長さのスイングアーム本体6と、このスイングアーム本体6の後部外面側に固定されるサポート部材7と、少なくともこのサポート部材7に設けられた第2,第3サスペンションアーム4,5の支持部を補強するサポート補強部材8とからなっている。
【0015】上記スイングアーム本体6は、上下方向に所定幅を有するとともに、車体の前後方向に延びる所定長さのプレス成形鋼板からなり、その前端部には、車体に連結されるブッシュ9が設けられるとともに、上記スイングアーム本体6の壁面には、車体の内方側に凹入したビード10が形成されている。また、上記スイングアーム本体6の後端部には、固定ボルト11の設置部12が設けられ、この固定ボルト設置部12の外面側に、隙間形成用のカラー13を介して上記サポート部材7が配設され、このサポート部材7と上記後輪支持部材1とが一体の状態で上記固定ボルト11により固定されるようになっている。
【0016】さらに、上記スイングアーム本体6には、図3に示すように、上記サスペンションダンパー14の下端部を支持する断面コ字状のダンパー支持部15が、上記固定ボルト設置部12の下方部に設けられるとともに、上記第2,第3サスペンションアーム4,5の導入部となる切欠き16,17が、上記固定ボルト設置部12の下方部の前後に形成されている。
【0017】上記サポート部材7は、図2に示すように、スイングアーム本体6の後部外面側部分を覆う大きさおよび形状に形成されたプレス成形鋼板からなっている。上記サポート部材1には、上記第1サスペンションアーム3の端部を支持する断面コ字状の第1支持部18が、上端部に設けられるとともに、上記第2,第3サスペンションアーム4,5の端部を支持する第2,第3支持部19,20が、下方部の前後に設けられている。また、上記サポート部材7の中央部には、後輪支持部材1の固定部21が設けられている。
【0018】上記サポート補強部材8は、サポート部材7の下方部に設けられた上記第2,第3支持部19,20の間において、上記スイングアーム本体6の下部外面側部分を覆うように形成されたプレス成形鋼板からなり、その前後両端部には、上記サポート部材7の第2,第3支持部19,20とともに上記第2,第3サスペンションアーム4,5の端部を支持する第2,第3支持部22,23が設けられている。
【0019】上記構成において、スイングアーム本体6の下部外面側にサポート補強部材8を配設するとともに、その上方部に上記隙間形成用のカラー13を介してサポート部材7を配設し(図5参照)、上記スイングアーム本体6、サポート部材7およびサポート補強部材8を一体にスポット溶接する等により、図4に示すように、上記スイングアーム本体6とサポート部材7とサポート補強部材8とからなるスイングアーム2が形成されることになる。
【0020】そして、図6に示すように、上記固定ボルト11にナット24が螺着されることによって上記後輪支持部材1がサポート部材7の固定部21に固定されるとともに、上記スイングアーム本体16の前端部に設けられたブッシュ9が車体フレームに設けられ支持ブラケット(図示せず)に支持され、かつ上記スイングアーム本体6のダンパー支持部15にサスペンションダンパー14の下端部が取り付けられる。
【0021】また、上記サポート部材7の上部に設けられた第1支持部18に、上記第1サスペンションアーム3の端部が支持され、かつ図6に示すように、上記スイングアーム本体6の切欠き16を介して導入された上記第2サスペンションアーム4の端部が、上記サポート部材7およびサポート補強部材8の下部に設けられた第2支持部19,22に支持されるとともに、上記スイングアーム本体6の切欠き18を介して導入された上記第3サスペンションアーム5の端部が上記サポート部材7およびサポート補強部材8の下部に設けられた第3支持部20,23に支持されることにより、上記ブッシュ9、サスペンションダンパー14および第1〜第3サスペンションアーム3〜5を介して上記スイングアーム2が車体に支持されることになる。
【0022】上記のように車体の前後方向に延びるように設置されるとともに、後輪支持部材1の固定部21が設けられたスイングアーム2を有する自動車のサスペンション装置において、車体の前後方向に延びるように設置されて前端部が車体に支持されるとともに、サスペンションダンパー14の支持部15が設けられたスイングアーム本体6と、このスイングアーム本体6の後部に固定されるとともに、第1〜第3サスペンションアーム3〜5の支持部18,19,20が設けられたサポート部材7と、このサポート部材7の少なくとも第2,第3サスペンションアーム4,5の支持部19,20を補強するサポート補強部材8とを、それぞれ一枚の鋼板をプレス成形することにより形成し、上記スイングアーム本体6、サポート部材7およびサポート補強部材8を接合することにより上記スイングアーム2を構成したため、このスイングアーム2に亀裂が入る等の問題を生じることなく、その重量を小さくすることができるという利点がある。
【0023】すなわち、上記サスペンションダンパー14から入力された上下方向の荷重と、上記第1〜第3サスペンションアーム3〜5から入力された車幅方向の荷重とを、従来例のように鋳物製のスイングアームによってそれぞれ支持するように構成した場合には、このスイングアームに応力集中が発生して亀裂が入りやすいという問題がある。このため、上記スイングアームの板厚を大きくする必要があり、スイングアームの重量が増大するとともに、製造コストが高くなることが避けられなかった。
【0024】これに対して上記のようにサスペンションダンパー14の支持部15をスイングアーム本体6に設けるとともに、第1〜第3サスペンションアーム3〜5の支持部18,19,20をサポート部材7に設け、このサポート部材7をサポート補強部材8によって補強するように構成した場合には、上記スイングアーム本体6に車幅方向の荷重が作用することがないともに、上記サポート部材7に上下方向の荷重が作用することがないので、上記スイングアーム本体6およびサポート部材7等の板厚を小さくしても、応力集中に起因した亀裂が発生する等の問題を生じることなく、上記各荷重を安定して支持することができる。したがって、上記プレス成形鋼板からなるスイングアーム本体6、サポート部材7およびサポート補強部材8により構成されたスイングアーム2を軽量化してばね下重量を小さくすることにより、自動車の乗り心地を効果的に向上させることができるという利点がある。
【0025】また、上記実施形態では、後輪支持部材1を固定する固定ボルト11の設置部12をスイングアーム本体6の後部に設けるとともに、上記固定ボルト11により後輪支持部材1が固定される固定部21をサポート部材7に設けたため、上記スイングアーム本体6の固定ボルト設置部12と、サポート部材7の固定部21とにより構成された二重構造部分において、後輪から入力された前後方向の荷重および回転力を安定して支持することができるという利点がある。
【0026】特に上記実施形態では、図5に示すように、スイングアーム本体6に設けられた固定ボルト11の設置部12と、サポート部材7に設けられた後輪支持部材1の固定部21との間に隙間形成用のカラー13を設置することにより、上記固定ボルト11の設置部12と、上記後輪支持部材1の固定部21との間に、上記カラー13の長さに対応した隙間が形成されるように構成したため、上記スイングアーム本体6およびサポート部材7の寸法精度をそれ程正確に設定することなく、上記後輪支持部材1を安定して固定することができる。
【0027】すなわち、上記スイングアーム本体6およびサポート部材7の寸法精度が正確に設定されていないために、上記固定ボルト11の設置部12と後輪支持部材1の固定部21との間隔が、上記カラー13の長さに正確に対応していない場合においても、上記固定ボルト11に対してナット24を締め付けることにより、上記カラー13の長さに対応した隙間が上記固定ボルト11の設置部12と後輪支持部材1の固定部21との間に形成された状態で、この固定部21に上記後輪支持部材1が強固に固定されることになる。したがって、スイングアーム本体6およびサポート部材7の寸法精度が不正確であることに起因して上記ナット24を強固に締め付けることができなかったり、上記固定ボルト11の設置部12または後輪支持部材1の固定部21が変形してナット24が緩んだりする等の問題を生じることなく、上記後輪支持部材1を固定部21に安定して固定することができるという利点がある。
【0028】また、図6に示すように、上記サポート部材7に設けられた第2,第3支持部19,20と、サポート補強部材8に設けられた第2,第3支持部22,23とにより、第2,第3サスペンションアーム4,5の端部を前後両側から支持するとともに、この第2,第3サスペンションアーム4,5の端部を上記第2支持部19,22および第3支持部20,23に導入するための切欠き部16,17を上記スイングアーム本体6に形成した場合には、上記第2,第3サスペンションアーム4,5の端部を、上記サポート部材7とサポート補強部材8との両部材により安定して支持することができる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、サスペンションダンパーの支持部が設けられたスイングアーム本体と、このスイングアーム本体の後部に固定されるとともに、サスペンションアームの支持部が設けられたサポート部材と、このサポート部材の少なくとも上記サスペンションアームの支持部を補強するサポート補強部材とを、それぞれ一枚の鋼板をプレス成形することにより形成し、上記スイングアーム本体、サポート部材およびサポート補強部材を接合することにより上記スイングアームを構成したため、このスイングアームを構成する各部材の板厚を小さくした場合においても、これらに亀裂が入る等の問題を生じることなく、上記サスペンションダンパーから入力された上下方向の荷重と、サスペンションアームから入力された車幅方向の荷重とを安定して支持することができる。
【0030】したがって、上記スイングアームを、プレス成形鋼板からなるスイングアーム本体、サポート部材およびサポート補強部材により比較的安価に製造することができるるとともに、スイングアームを軽量化することにより、ばね下重量を小さくして自動車の乗り心地を効果的に向上させることができるという利点がある。
【出願人】 【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【出願日】 平成12年12月19日(2000.12.19)
【代理人】 【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司 (外2名)
【公開番号】 特開2002−187416(P2002−187416A)
【公開日】 平成14年7月2日(2002.7.2)
【出願番号】 特願2000−385215(P2000−385215)