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【発明の名称】 空気入りタイヤの装着方法及び前輪用の空気入りタイヤ
【発明者】 【氏名】冨田 新

【要約】 【課題】制動性能を向上させることのできる空気入りタイヤの装着方法を提供すること。

【解決手段】一般的な車両では、制動時、前輪では、バンプによりトーアウト+ネガティブキャンバー側に変化するため、相対的に装着内側の接地圧が高く、装着外側の接地圧が低くなる。本発明では、タイヤ赤道面に対して前輪トレッドの装着内側にトレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性が大きい領域を配置することにより、制動時に装着内側領域の接地性を向上させることができ、制動力を効率良く発生することができる。車両70の制動時には前輪の荷重が増大するので、このような空気入りタイヤの装着方法を用いると、従来の空気入りタイヤの装着方法に対して車両70の制動性能を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも車両の前輪には、トレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性が、タイヤ赤道面を挟んで一方の領域よりも他方の領域で大きく設定された空気入りタイヤを、周方向剛性の大きい領域を車両内側に向くように用いることを特徴とする空気入りタイヤの装着方法。
【請求項2】 車両の後輪には、トレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性が、タイヤ赤道面を挟んで一方の領域よりも他方の領域で大きく設定された空気入りタイヤを、周方向剛性の大きい領域を車両外側に向くように用いることを特徴とする空気入りタイヤの装着方法。
【請求項3】 車両の後輪には、トレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性が、タイヤ赤道面を挟んで一方の領域と他方の領域とで同一に設定された空気入りタイヤを用いることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤの装着方法。
【請求項4】 車両の前輪には、トレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性が、タイヤ赤道面を挟んで一方の領域と他方の領域とで同一に設定された空気入りタイヤを用い、車両の後輪には、トレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性が、タイヤ赤道面を挟んで一方の領域よりも他方の領域で大きく設定された空気入りタイヤを、周方向剛性の大きい領域を車両外側に向くように用いることを特徴とする空気入りタイヤの装着方法。
【請求項5】 トレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性がタイヤ赤道面を挟んで左右の領域で異なる前輪用の空気入りタイヤであって、車両装着時内側の領域のトレッドパターンの剛性が、車両装着時外側の領域のトレッドパターンの剛性よりも大きいことを特徴とする前輪用の空気入りタイヤ。
【請求項6】 車両の前輪、後輪ともに、トレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性がタイヤ赤道を挟んで一方の領域よりも他方の領域で大きく設定された空気入りタイヤを、剛性が大きい領域が車両内側に向くように用いることを特徴とする空気入りタイヤの装着方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制動性能を向上することのできる空気入りタイヤの装着方法及び前輪用の空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、特にウエット路面での制動性能を向上させようとして、トレッドゴムを変更したり、トレッドに設けたブロックの剛性を大きくするといった手法が用いられてきた。
【0003】また、操縦安定性向上のために、非対称パターンを用いて車両に装着する場合には、一般に装着外側では旋回時にサイドフォース入力側となるために、ブロック剛性が大きくなる様に設定し、必然的にネガティブ率が小さくなり、逆に装着内側では排水性を良くするために、ネガティブ率が大きくなる様に設定されてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ウエット路面での制動性能を向上しようとして、トレッドゴムを変更したり、ブロック剛性を大きくするために横溝を浅くしたりすることは、転がり抵抗の増大や、ハイドロプレーニング性の悪化等を招くという欠点を有することが多かった。
【0005】また、操縦安定性を考慮した従来の非対称パターンの設計法や車両での装着法では、制動性能に関しては殆どメリットが無かった。
【0006】本発明は上記事実を考慮し、上記のような従来技術が有するこのような問題点を解決し、制動性能を向上させることのできる空気入りタイヤの装着方法及前輪用の空気入りタイヤを提供することが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】制動中の車両は、タイヤが発生する制動力が車両の重心まわりにモーメントを発生させるため、フロントの荷重が増大し、リアの荷重が減少することが知られている。
【0008】その際に、フロント、リアの荷重変動に対応してサスペンションの伸び縮みが発生し、フロントは縮み(バンプ)側に、リアは伸び(リバウンド)側に相当する。
【0009】一方、旋回時の操縦安定性を確保する目的で、一般の車両のアライメント(車輪の車両に対する取り付け角度)は、バンプ時にフロントは、トーアウト(ToeOut)+ネガティブキャンバー(Negative-Camber)に(図11(A)参照)、リアは、トーイン(Toe In)+ネガティブキャンバー(Negative-Camber)に変化するように設定されている(図11(B)参照)。
【0010】逆に、リバウンド時には、フロントはトーイン+ポジティブキャンバーに、リアは、トーアウト+ポジティブキャンバーに変化するように設定されている。
【0011】したがって、制動時には、本来の目的とは違った意味で車両のアライメントが変化してしまい、それによって車両、路面に対してタイヤが斜めを向いてしまうので、接地面内の接地圧分布のバランスが崩れ、その分車両トータルで見た場合に発生している制動力が減少してしまうのである。
【0012】即ち、制動時、フロント輪では、バンプによりトーアウト+ネガティブキャンバー側に変化するため、相対的に装着内側の接地圧が高く、装着外側の接地圧が低くなる。
【0013】一方のリア輪では、リバウンドにより、トーアウト+ポジティブキャンバー側に変化し、キャンバーの変化の影響が大きいため、フロント輪とは逆に、相対的に装着外側の接地圧が高く、装着内側の接地圧が低くなる。
【0014】ここで、一般にゴムが発生する摩擦力Fは、それに作用する荷重が大きいほど大きくなる。
【0015】したがって、寄与の大きい領域で効率良く制動力を稼ぐには、フロント軸では装着内側で、リア軸では装着外側で制動力を稼ぐようなパターン配列にすることが望ましい。中でも、荷重が集中するフロント軸の装着内側は、最も重要である。
【0016】一方、制動力を稼ぐための手法の一つにブロックの周方向剛性を高める、というものがある。これは、制動力発生時の剪断変形状態でも、ブロック内の接地圧分布が夫均一になり難く、所謂、接地性が良いためである。
【0017】しかし、だからと言って踏面全体で剛性を上げすぎると、概して振動、騒音性能が悪化したり、ネガティブが減少してウエット時の操縦安定性が悪化する等の問題が発生するので、必要最小限の領域に留めたいのである。
【0018】請求項1に記載の空気入りタイヤの装着方法は上記時事実に鑑みてなされたものであって、少なくとも車両の前輪には、トレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性が、タイヤ赤道面を挟んで一方の領域よりも他方の領域で大きく設定された空気入りタイヤを、周方向剛性の大きい領域を車両内側に向くように用いることを特徴としている。
【0019】次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの装着方法の作用を説明する。
【0020】本発明のように、タイヤ赤道面に対して前輪トレッドの装着内側に周方向剛性の大きい領域を配置することにより、制動時に装着内側領域の接地性を向上させることができ、制動力を効率良く発生することができる。
【0021】車両の制動時には前輪の荷重が増大するので、このような空気入りタイヤの装着方法を用いると、従来の空気入りタイヤの装着方法に対して車両の制動性能を向上させることができる。
【0022】請求項2に記載の空気入りタイヤの装着方法は、車両の後輪には、トレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性が、タイヤ赤道面を挟んで一方の領域よりも他方の領域で大きく設定された空気入りタイヤを、周方向剛性の大きい領域を車両外側に向くように用いることを特徴としている。
【0023】次に、請求項2に記載の空気入りタイヤの装着方法の作用を説明する。
【0024】後輪では、前述したように前輪輪とは逆に、相対的に装着外側の接地圧が高く、装着内側の接地圧が低くなるので、本発明のように、後輪において、周方向剛性の大きい領域が車両外側に向くように空気入りタイヤを装着することにより、制動力を効率良く発生することができる。
【0025】このため、車両の制動性能をより向上することができる。
【0026】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤの装着方法において、車両の後輪には、トレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性が、タイヤ赤道面を挟んで一方の領域と他方の領域とで同一に設定された空気入りタイヤを用いることを特徴としている。
【0027】次に、請求項3に記載の空気入りタイヤの装着方法の作用を説明する。
【0028】前述したように、後輪では、前輪輪とは逆に、相対的に装着外側の接地圧が高く、装着内側の接地圧が低くなるので、後輪において、車両内側が周方向剛性の大きい領域、車両外側が周方向剛性の小さい領域とされた空気入りタイヤを装着することは、制動力を効率良く発生するためには好ましくなく、これに対し、本発明のように、タイヤ赤道面を挟んで一方の領域と他方の領域とで同一に設定された空気入りタイヤを装着する方が制動力を効率良く発生することができる。
【0029】請求項4に記載の空気入りタイヤの装着方法は、車両の前輪には、トレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性が、タイヤ赤道面を挟んで一方の領域と他方の領域とで同一に設定された空気入りタイヤを用い、車両の後輪には、トレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性が、タイヤ赤道面を挟んで一方の領域よりも他方の領域で大きく設定された空気入りタイヤを、周方向剛性の大きい領域を車両外側に向くように用いることを特徴としている。
【0030】次に、請求項4に記載の空気入りタイヤの装着方法を説明する。
【0031】先ず、前輪では、空気入りタイヤのトレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性がタイヤ赤道面を挟んで一方の領域と他方の領域とで同一に設定されているので、タイヤ赤道面を挟んで車両装着内側の領域の周方向剛性が車両装着外側の領域の周方向剛性よりも小さく設定された空気入りタイヤを装着した場合に対して、制動時に制動時に装着内側領域の接地性を向上させることができ、制動力を効率良く発生することができる。
【0032】次に、後輪においては、前述したように、周方向剛性の大きい領域が車両外側に向くように空気入りタイヤを装着することにより、制動力を効率良く発生することができる。
【0033】このため、車両の制動性能をより向上することができる。
【0034】請求項5に記載の発明は、トレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性がタイヤ赤道面を挟んで左右の領域で異なる前輪用の空気入りタイヤであって、車両装着時内側の領域のトレッドパターンの剛性が、車両装着時外側の領域のトレッドパターンの剛性よりも大きいことを特徴としている。
【0035】次に、請求項5に記載の前輪用の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0036】この前輪用の空気入りタイヤを車両の前輪に用いると、タイヤ赤道面に対して前輪トレッドの装着内側領域のトレッドパターンの剛性が、車両装着時外側の領域のトレッドパターンの剛性よりも大きくなる。
【0037】したがって、制動時に装着内側領域の接地性を向上させることができ、制動力を効率良く発生することができる。
【0038】車両の制動時には前輪の荷重が増大するので、この空気入りタイヤを前輪に用いると、従来よりも車両の制動性能を向上させることができる。
【0039】請求項6に記載の空気入りタイヤの装着方法は、車両の前輪、後輪ともに、トレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性がタイヤ赤道を挟んで一方の領域よりも他方の領域で大きく設定された空気入りタイヤを、剛性が大きい領域が車両内側に向くように用いることを特徴としている。
【0040】次に、請求項6に記載の空気入りタイヤの装着方法を説明する。
【0041】トレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性がタイヤ赤道を挟んで一方の領域よりも他方の領域で大きく設定された空気入りタイヤを、剛性が大きい領域が車両内側に向くように前輪に用いると、制動時に装着内側領域の接地性を向上させることができ、制動力を効率良く発生することができる。
【0042】車両の制動時には前輪の荷重が増大し、制動に関しては前輪の役割分担が増大するので、本発明のようにトレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性がタイヤ赤道を挟んで一方の領域よりも他方の領域で大きく設定された空気入りタイヤを、剛性が大きい領域が車両内側に向くように後輪に用いても、車両の制動性能を向上させることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】[第1の実施形態]以下、図面を参照して本発明の空気入りタイヤの装着方法の第1の実施形態を詳細に説明する。
【0044】本実施形態では、図1に示すパターンを有する空気入りタイヤ10と、図2に示すパターンを有する空気入りタイヤ40が用いられる。
【0045】図1に示すように、空気入りタイヤ10のトレッド12には、タイヤ赤道面CLの矢印L方向側に、タイヤ周方向(矢印A方向及び矢印B方向)に沿って延びる周方向溝14、周方向溝16が形成されており、タイヤ赤道面CLの矢印R方向側に、周方向溝18、周方向溝20が形成されている。
【0046】さらに、トレッド12には、幅方向に横断する横溝22がタイヤ周方向に間隔を開けて複数形成されている。
【0047】このため、この空気入りタイヤ10のトレッド12には、周方向溝14、周方向溝16、周方向溝18、周方向溝20及び横溝22にて矩形のブロック24、26、28、30、32が区画されている。
【0048】ここで、ブロック26及びブロック28にはタイヤ軸方向に延びるサイプ34が一本、ブロック30及びブロック32にはサイプ34が二本形成されており、図1に示すトレッドパターンにおいては、単位面積当りの周方向剛性が、タイヤ赤道面CLを挟んで矢印R方向側の領域よりも矢印L方向側の領域で大きく設定されている。
【0049】次に、図2に示すように、空気入りタイヤ40のトレッド42には、タイヤ赤道面CLの矢印L方向側に、タイヤ周方向(矢印A方向及び矢印B方向)に沿って延びる周方向溝44、周方向溝46が形成されており、タイヤ赤道面CLの矢印R方向側に、周方向溝48、周向溝50が形成されている。
【0050】さらに、トレッド42には、周方向溝46から矢印L方向側へ延びる横溝52が、周方向溝48から矢印R方向側へ延びる横溝54が、各々タイヤ周方向に間隔を開けて複数形成されている。
【0051】このため、この空気入りタイヤ40のトレッド42には、タイヤ赤道面CL上に、周方向に延びるリブ56、リブ56の矢印L方向側に矩形のブロック58、60、リブ56の矢印R方向側に矩形のブロック62、64が区画されている。
【0052】ここで、ブロック58及びブロック60にはタイヤ軸方向に延びるサイプ66が一本、ブロック62及びブロック64にはサイプ66が二本形成されている。また、リブ56には、両側の周方向溝46,48より幅狭の周方向溝68が幅方向中央部分に形成されている。
【0053】このため、図2に示すトレッドパターンにおいては、単位面積当りの周方向剛性が、タイヤ赤道面CLを挟んで矢印R方向側の領域よりも矢印L方向側の領域で大きく設定されている。
【0054】次に、図3に示すように(図中、「フロント」は車両前側、「大」はトレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性が大、「小」は周方向剛性が小であることを示している。)、車両70の左右の前輪には空気入りタイヤ10が車両装着内側に周方向剛性が大の領域が配置されるように用いられ、車両70の左右の後輪には空気入りタイヤ40が車両装着外側に周方向剛性が大の領域が配置されるように用いられる。
【0055】なお、この車両70は、一般的な乗用車であり、フロント、リア共にキャンバー角がバンプ時にネガティブキャンバー側に、リバウンド時にポジティブキャンバー側に変化する車両である。
【0056】また、本実施形態では、空気入りタイヤ10及び空気入りタイヤ40の何れにおいても、トレッドのブロック、リブの高さは全て8mmである。なお、空気入りタイヤ10のサイズは195/65R14、空気入りタイヤ40のサイズは195/65R14である。
(作用)次に、本実施形態の作用を説明する。
【0057】本実施形態の空気入りタイヤの装着方法では、前輪の空気入りタイヤ10のトレッド12の装着内側領域のトレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性を、外側領域よりも大きく設定したので、制動時において、前輪の空気入りタイヤ10の装着内側領域の接地性を向上させることができ、制動力を効率良く発生することができる。
【0058】車両70の制動時には前輪の荷重が増大するので、このような空気入りタイヤの装着方法を用いると、従来の空気入りタイヤの装着方法に対して車両の制動性能を向上させることができる。
【0059】また、後輪では、前輪輪とは逆に、相対的に装着外側の接地圧が高く、装着内側の接地圧が低くなるので、後輪において、周方向剛性の大きい領域が車両外側に向くように空気入りタイヤ40を装着することにより、制動力を効率良く発生することができる。
【0060】このように、本実施形態では、前輪の空気入りタイヤ10及び後輪の空気入りタイヤ40の各々において、制動力を効率良く発生させることができるので、車両70の制動性能を向上することができる。
【0061】なお、ここでは、車両70の前輪に空気入りタイヤ10を用い、後輪に空気入りタイヤ40を用いたが、周方向剛性の大きい方を車両内側として前輪に空気入りタイヤ40を用い、周方向剛性の大きい方を車両外側として後輪に空気入りタイヤ10を用いても良い。
[第2の実施形態]次に、本発明の空気入りタイヤの装着方法の第2の実施形態を図4及び図5にしたがって説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0062】前述した第1の実施形態では、トレッド12の装着内側領域の周方向剛性を外側領域よりも大きくするように前輪に空気入りタイヤ10を用い、装着外側領域の周方向剛性を内側領域よりも大きくするように後輪に空気入りタイヤ40を用いたが、本実施形態では、図4に示すように、装着内側領域の周方向剛性を外側領域よりも大きくするように前輪に空気入りタイヤ10を用い、後輪には、図5に示すような空気入りタイヤ80を用いた例である。
【0063】図5に示すように、空気入りタイヤ80は、図1に示した空気入りタイヤ10と異なり、ブロック24、26、30、32にサイプ34を一本、ブロック28にサイプ34を二本形成し、周方向剛性をタイヤ赤道面CLの左右で同じに設定したタイヤである。
【0064】なお、空気入りタイヤ80において、ブロックの高さは全て8mmである。なお、空気入りタイヤ80のサイズは195/65R14である。
【0065】次に、本実施形態の作用を説明する。
【0066】本実施形態の空気入りタイヤの装着方法では、前輪については第1の実施形態と同様であるので、制動時において、前輪の空気入りタイヤ10の装着内側領域の接地性を向上させることができ、制動力を効率良く発生することができる。
【0067】一方、後輪では、第1の実施形態で説明したように、前輪輪とは逆に、相対的に装着外側の接地圧が高く、装着内側の接地圧が低くなるので、後輪において、車両内側が周方向剛性大、車両外側が周方向剛性小となるように空気入りタイヤを装着することは、制動力を効率良く発生するためには好ましくなく、本実施形態のように、タイヤ赤道面CLを挟んで一方の領域と他方の領域とで同一に設定された空気入りタイヤ80を装着する方が制動力を効率良く発生することができる。
【0068】第1の実施形態で説明したように、車両70の制動時には前輪の荷重が増大するので、このような空気入りタイヤの装着方法を用いても、従来の空気入りタイヤの装着方法に対して車両の制動性能を向上させることができる。
[第3の実施形態]以下、図面を参照して本発明の空気入りタイヤの装着方法の第3の実施形態を詳細に説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0069】本実施形態では、前後輪共に空気入りタイヤ10を用いており、図6に示すように、車両70には、前輪に空気入りタイヤ10が車両装着内側に周方向剛性が大の領域が配置されるように装着され、後輪には空気入りタイヤ10が車両装着外側にネガティブ率が大の領域が配置されるように装着される。
【0070】本実施形態も第1の実施形態と同様に、装着内側領域の周方向剛性を外側領域よりも大きくなるように空気入りタイヤ10を前輪に用い、後輪では、装着外側領域の周方向剛性が内側領域よりも大きくなるように空気入りタイヤ10を用いたので、前輪の空気入りタイヤ10及び後輪の空気入りタイヤ10の各々において、制動力を効率良く発生させることができ、車両70の制動性能を向上することができる。
[第4の実施形態]以下、図面を参照して本発明の空気入りタイヤの装着方法の第4の実施形態を詳細に説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0071】本実施形態も第3の実施形態と同様に前後輪共に空気入りタイヤ10を用いているが、図7に示すように、車両70には、前輪後輪共に空気入りタイヤ10が車両装着内側に周方向剛性が大の領域が配置されるように装着されている。
【0072】次に、本実施形態の作用を説明する。
【0073】前述した実施形態と同様に、空気入りタイヤ10を、剛性が大きい領域が車両内側に向くように前輪に用いたので、制動時に装着内側領域の接地性を向上させることができ、制動力を効率良く発生することができる。
【0074】前述したように、車両70の制動時には前輪の荷重が増大し、制動に関しては前輪の役割分担が増大するので、空気入りタイヤ10を、本実施形態のように剛性が大きい領域が車両内側に向くように後輪に用いても、車両70の制動性能を向上させることができる。
[第5の実施形態]以下、図面を参照して本発明の空気入りタイヤの装着方法の第5の実施形態を詳細に説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0075】本実施形態では、図8に示すように、車両70には、タイヤ赤道面CLを挟んで左右の周方向剛性が同一に設定された空気入りタイヤ80(図5参照)が前輪に装着され、空気入りタイヤ10が車両装着外側に周方向剛性が大の領域が配置されるように後輪に装着されている。
【0076】次に、本実施形態の作用を説明する。
【0077】先ず、前輪では、空気入りタイヤ80のトレッドパターンの単位面積当りの周方向剛性がタイヤ赤道面CLを挟んで一方の領域と他方の領域とで同一に設定されているので、タイヤ赤道面CLを挟んで車両装着内側の領域の周方向剛性が車両装着外側の領域の周方向剛性よりも小さく設定された空気入りタイヤを装着した場合に対して、制動時に制動時に装着内側領域の接地性を向上させることができ、制動力を効率良く発生することができる。
【0078】次に、後輪においては、周方向剛性の大きい領域が車両外側に向くように空気入りタイヤ10を装着することにより、制動力を効率良く発生することができる。
【0079】このため、本実施形態においても車両70の制動性能をより向上することができる。
[その他の実施形態]上記実施形態の空気入りタイヤでは、トレッドに周方向溝と横溝とにより矩形のブロックが形成されていたが、溝方向は、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向に対して傾斜していても良く、ブロックの形状も矩形以外の他の形状(ひし形、台形、多角形等)であっても良く、図2に示すパターンのようにリブが形成されていても良い。
【0080】空気入りタイヤのパターンは、リブパターン、ラグパターン、回転方向及びまたは車両の左右装着方向が指定されたパターン等、パターンの種類は問わない。
【0081】前輪、後輪は第1の実施形態のように必ずしも異なるパターンのタイヤである必要は無く、第3の実施形態のように同じパターンのタイヤの裏表を逆にしてホイールに組み付け、車両に装着しても良い。
【0082】また、上記実施形態の空気入りタイヤでは、タイヤ赤道面を挟んで一方の領域と他方の領域の周方向剛性を変えるために、ブロックにサイプを形成したが、本発明はこれに限らず、サイプ以外の構成、例えば、陸部(ブロック、リブ)及び溝の形状、大きさ、個数等をタイヤ赤道面の左右で変えても良く、トレッドゴムの弾性率をタイヤ赤道面の左右で異ならせても良く、トレッドの構成は特に問わない。
(試験例)本発明の効果を確かめるために、従来例の装着方法を適用した車両1種、比較例の装着方法を適用した車両2種、本発明の装着方法を適用した車両5種について、各々制動距離の測定を行った。
・実施例1:第1の実施形態の装着方法を適用。
・実施例2:第2の実施形態の装着方法を適用。
・実施例3:第3の実施形態の装着方法を適用。
・実施例4:第4の実施形態の装着方法を適用。
・実施例5:第5の実施形態の装着方法を適用。
・比較例1:前輪及び後輪に空気入りタイヤ10を用い、装着方向は、図9に示すように、前輪では周方向剛性が大の領域を車両外側、後輪では周方向剛性が大の領域を車両内側とした。
・比較例2:前輪及び後輪に空気入りタイヤ10を用い、装着方向は、図10に示すように、前輪及び後輪共に、周方向剛性が大の領域を車両外側とした。
・従来例1:前輪、後輪共に周方向剛性が左右で同じ空気入りタイヤ80(図5参照)を用いた。
【0083】なお、実施例1の後輪の空気入りタイヤ40を除き、他のタイヤは踏面内のエッジ成分が全て等しくなるように設定してある。
【0084】試験は、試験タイヤを5.5Jのリムに内圧220KPaで組み付け、実車に装着して行った。
【0085】試験条件は以下の通りである。
・車両:FF乗用車 ・装着位置:4輪・前輪荷重:4.11KN ・後輪荷重:3.34KN・2名乗車相当 ・速度:初速80km/h・路面:乾燥したアスファルト路面 ・ABS作動評価は、上記条件下で実施した制動距離(制動開始から停止までに走った距離)で、従来例の装着方法を適用した車両の制動距離を100として指数表示した。
【0086】なお、数値は便宜上小さいほど制動距離が短く、制動性能に優れていることを示している。
【0087】
【表1】

【0088】試験の結果、本発明の空気入りタイヤの装着方法が適用された実施例1乃至実施例5の車両は、比較例1,2及び従来例の車両よりも制動距離が短く、制動性能に優れていることが分る。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の空気入りタイヤの装着方法によれば、車両の制動性能を向上させることができる、という優れた効果を有する。
【0090】また、本発明の前輪用の空気入りタイヤによれば、車両の制動性能を向上させることができる、という優れた効果を有する。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成13年3月15日(2001.3.15)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
【公開番号】 特開2002−274120(P2002−274120A)
【公開日】 平成14年9月25日(2002.9.25)
【出願番号】 特願2001−74852(P2001−74852)