| 【発明の名称】 |
多層カード及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊藤 義一
【氏名】水野 耕治
【氏名】柳澤 和彦
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| 【要約】 |
【課題】インクジェット記録方式により印字された画像情報を有する多層カードであって、印字画像の耐擦過性、耐水性、耐候性、耐汚染性などに優れた多層カード及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】コアシートの少なくとも片面にオーバーシートが一体的に積層された多層カードにおいて、(a)コアシートの片面もしくは両面とオーバーシートとの間に、オーバーシートに隣接して、さらに、インクジェット記録方式により印字されたインク受容層が一体的に積層されており、かつ、(b)該インク受容層は、多孔質樹脂層から形成されており、インクジェット記録方式により印字された後、熱圧処理を受けて、多孔質構造が閉孔させられていることを特徴とする多層カード、及びその製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コアシートの少なくとも片面にオーバーシートが一体的に積層された多層カードにおいて、(a)コアシートの片面もしくは両面とオーバーシートとの間に、オーバーシートに隣接して、さらに、インクジェット記録方式により印字されたインク受容層が一体的に積層されており、かつ、(b)該インク受容層は、多孔質樹脂層から形成されており、インクジェット記録方式により印字された後、熱圧処理を受けて、多孔質構造が閉孔させられていることを特徴とする多層カード。 【請求項2】 該インク受容層が、支持体上に設けられたインク受容層であり、かつ、該支持体も一体的に積層されている請求項1記載の多層カード。 【請求項3】 該インク受容層が、コアシートの表面に設けられているものである請求項1記載の多層カード。 【請求項4】 該インク受容層が、多孔質熱可塑性樹脂層から形成されたものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の多層カード。 【請求項5】 該インク受容層が、熱可塑性微粒子を含有する多孔質熱可塑性樹脂層から形成されたものである請求項4記載の多層カード。 【請求項6】 該インク受容層が、無機微粒子を含有する多孔質熱可塑性樹脂層から形成されたものである請求項4記載の多層カード。 【請求項7】 該インク受容層が、熱可塑性微粒子と無機微粒子を含有する多孔質熱可塑性樹脂層から形成されたものである請求項4記載の多層カード。 【請求項8】 該インク受容層が、インクジェット記録方式により、顔料インクが印字されている請求項1記載の多層カード。 【請求項9】 少なくともいずれか一方の外層の外面または内面に、さらに磁気層が形成されている請求項1ないし8のいずれか1項に記載の多層カード。 【請求項10】 少なくともいずれか1つの層に、さらにICチップが配置されている請求項1ないし8のいずれか1項に記載の多層カード。 【請求項11】 少なくともいずれか1つの層に、さらに電気回路パターンが配置されている請求項1ないし8のいずれか1項に記載の多層カード。 【請求項12】 コアシートの少なくとも片面にオーバーシートを配置して一体的に積層する工程を含む多層カードの製造方法において、(1)コアシートの片面もしくは両面とオーバーシートとの間に、オーバーシートに隣接して、さらに、インクジェット記録方式により印字された多孔質樹脂層からなるインク受容層を配置し、次いで、(2)配置した全層を熱圧して、各層を一体的に積層するとともに、インク受容層の多孔質構造を閉孔させる一連の工程を含むことを特徴とする多層カードの製造方法。 【請求項13】 該インク受容層が、支持体上に設けられたインク受容層であり、かつ、該支持体をインク受容層とともに配置する請求項12記載の製造方法。 【請求項14】 該インク受容層が、コアシートの表面に設けられているものである請求項12記載の製造方法。 【請求項15】 コアシートの少なくとも片面にオーバーシートを配置して一体的に積層する工程を含む多層カードの製造方法において、(A)コアシートの片面もしくは両面とオーバーシートとの間に、オーバーシートに隣接して、さらに、インクジェット記録方式により印字された多孔質樹脂層からなるインク受容層であって、熱圧処理を受けて多孔質構造が閉孔させられているインク受容層を配置し、次いで、(B)配置した全層を熱圧して、各層を一体的に積層する一連の工程を含むことを特徴とする多層カードの製造方法。 【請求項16】 該インク受容層が、支持体上に設けられたインク受容層であり、かつ、該支持体をインク受容層とともに配置する請求項15記載の製造方法。 【請求項17】 該インク受容層が、コアシートの表面に設けられているものである請求項15記載の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、多層カードとその製造方法に関し、さらに詳しくは、学生証、診察証、免許証、メンバー証等の証明書カード;ATMカード、クレジットカード、キャッシュカード、IDカード、ヘルスカード(Health Card)、デビットカード(Debit Card)等の磁気カード;ICチップ等が内蔵されたスマートカード;などに好適に使用することができる多層構成のカードとその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、磁気カードなどのカード類が生活の中に深く浸透している。これらのカードは、データの入力、画像情報の表示、耐久性などの観点から、プラスチックシートや紙などを複数枚積層した多層構成を有している。例えば、磁気カードを例にとると、その多くは、図6に示すように、白色に着色した2枚のコアシート81,82の両面を透明なオーバーシート71,72で被覆した多層構成を有している。コアシートの片面もしくは両面には、文字や絵柄、写真などの画像情報が印刷されている。 【0003】上記の印刷面は、透明なオーバーシートにより保護されるとともに、オーバーシートを通して見ることができるようになっている。オーバーシートの一方もしくは両方の外面には、磁気ストライプ92などの磁気層が形成されている。これらの各層は、接着剤や熱圧により一体的に積層されている。磁気ストライプなどの磁気層は、一般に、他の層を一体的に積層した後、その外面に塗布もしくは熱転写により形成される。一般的に、積層体は、連続的なシート材料として形成され、そして、最終的に、カードの形状に裁断されて、多層構成のカード100とされる。 【0004】磁気カードを含む多くの多層カードは、コアシートとオーバーシートを含む上記の如き基本的な層構成を有しており、これに加えて、着色層や保護層などの付加的な層を有していることがある。また、スマートカードなどでは、ICチップや電気回路が少なくともいずれか1つの層に配置されている。 【0005】このような多層カードにおいては、コアシートなどに文字や絵柄、写真などの画像情報が印刷(印字・記録)されている。画像の形成方法としては、スクリーン印刷による方法が一般的である。しかし、スクリーン印刷は、大量生産の場合に、画一的な画像情報を印刷するのに適しているものの、コストや設備などの点で、小量生産には必ずしも適していない。特に、少量生産で多種類の画像情報を印刷するのには、スクリーン印刷は適していない。 【0006】多層カードに画像情報を形成する方法として、小量生産の場合、サーマルヘッドによる熱転写方式が有利である。熱転写方式としては、感熱昇華転写記録法が諧調再現性に優れ、精細な画像を形成することができるため、一般に採用されている。この感熱昇華転写方式による画像情報の印字は、一般に、インクリボンを介してサーマルヘッドをコアシートやオーバーシートなどの記録媒体に接触させて、インクリボンから染料を移行せることにより行われている。しかし、感熱昇華転写方式は、コストが比較的高いという問題に加えて、コアシートやオーバーシートなどの記録媒体表面の凹凸による印字むらが頻繁に発生する。特に、ICチップや電気回路などを埋め込んだコアシートや多層カード表面に印字すると、凹凸による印字むらがひどくなる。また、この方式では、染料インクを用いる必要があるため、画像の耐光性を向上させることが困難である。 【0007】一方、インクジェット記録方式は、インクをノズルから噴出して微小な液滴をつくり、この液滴を電気入力信号に応じた画素として紙などの基材に付着させ、文字や絵柄などの画像を形成する記録方式であり、低雑音、高解像度、高速記録などの特徴を有している。インクジェット記録方式では、プリンターヘッドやインクカートリッジなどの印字に必要な部品を備えた簡単で安価なインクジェットプリンターを使用することができる。それに加えて、インクジェットプリンターは、ヘッドの増設だけでカラー印字も簡単に打ち出すことが可能である。 【0008】このように、インクジェット記録方式によれば、鮮明な画像を形成することができ、カラー印字も容易で、入力に応じて所望の形状の画像を形成することも簡単である。したがって、インクジェット記録方式は、一般に、小量生産の場合であっても、さらには、小量生産で多種類の画像情報を印字する必要がある場合であっても、十分に対応することが可能である。 【0009】しかしながら、インクジェット記録方式により多層カードに画像情報を形成するには、以下の如き問題点があった。インクジェット記録方式では、インクジェットプリンターのジェットノズル部において、インクの乾燥によりインクの粘度が上昇して噴出不良となるのを防ぐために、比較的乾燥し難いインクが用いられている。すなわち、インクジェット記録方式では、一般に、水溶性の染料、バインダー、添加剤等を水に溶解した水性インクが汎用されている。このような水性インクは、例えば、白色塩化ビニル樹脂シートなどのコアシートに印字すると、インクの乾燥や定着が不良となってしまい、満足な画像を形成することができない。 【0010】従来より、合成樹脂シートをインクジェット記録媒体として使用するために、合成樹脂シート上に、急速な吸水性を示すインク受容層を形成する方法が知られている。そこで、このようなインク受容層をコアシート上に設けて、インクジェット記録方式により印字する方法が考えられる。あるいは、合成樹脂シート上にインク受容層を形成した記録媒体を用いて、インクジェット記録方式により印字し、これを多層カードの多層構成の中に組み込む方法が考えられる。 【0011】しかし、従来のインク受容層は、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンなどの水溶性または親水性の樹脂を基剤とするものであるため、吸水性に優れている反面、印字面が水や汗、コーヒーなどの液体と接触して汚染するという問題がある。この問題は、印字面をオーバーシートで被覆した場合であっても、側面からの液体の侵入があるため、克服することが難しい。さらに、このようなインク受容層は、コアシートに比べて非常に柔らかいために、オーバーシートを被覆したり、その他の保護層を設けたりしても、傷つきやすいという問題がある。別の問題としては、従来のインク受容層は、染料インクを用いて印字する必要があったが、染料インクを用いると、印字面の耐光性が不十分になる点も挙げられる。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、インクジェット記録方式により印字された画像情報を有する多層カードであって、印字画像の耐擦過性、耐水性、耐候性、耐汚染性などに優れた多層カード及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、インクジェット記録方式による耐光性に優れた印字画像を有する多層カード及びその製造方法を提供することにある。 【0013】本発明の他の目的は、インクジェット記録方式により印字された画像情報を有するとともに、キャッシュカード、クレジットカードなどの磁気カード、非接触ICカードなどに求められる各種機能を付加することができる多層カード及びその製造方法を提供することにある。 【0014】本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、インクジェット記録方式によるインク受容層として多孔質樹脂層を使用し、この多孔質樹脂層にインクジェット記録方式により印字した後、熱圧処理して、多孔質構造を閉孔する方法に想到した。より具体的には、支持体上に多孔質樹脂層からなるインク受容層を設けたインクジェット記録媒体を用いるか、あるいはコアシートの上に多孔質樹脂層からなるインク受容層を設けたものをインクジェット記録媒体として使用し、インクジェット記録方式により所望の画像を印字する。 【0015】印字したインク受容層上(印字面)にオーバーシートを重ね、インクジェット記録媒体を用いた場合には、下層にコアシートを配置し、さらに必要に応じて、もう一方のコアシート面にもオーバーシートを重ねて、両側から熱圧すると、各層が熱融着により一体的に積層されるとともに、インク受容層の多孔質構造が閉孔する。インク受容層として多孔質樹脂層の使用と、印字後の多孔質構造の閉孔と、オーバーシートの一体的な被覆とによって、耐擦過性、耐水性、耐候性、耐汚染性などに優れ、適度の表面硬度を有する多層カードを得ることができる。インクジェット記録方式により印字したインク受容層を熱圧処理した後、他の層を重ねて熱圧することもできる。また、必要に応じて、各層間に接着剤層を配置することもできる。 【0016】本発明の方法によれば、顔料インクを用いて印字することが可能であり、それにより、画像の耐光性を向上させることができる。また、このような多層構成を採用することにより、各層を利用して、磁気層の形成などにより種々の機能を付加することができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。 【0017】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、コアシートの少なくとも片面にオーバーシートが一体的に積層された多層カードにおいて、(a)コアシートの片面もしくは両面とオーバーシートとの間に、オーバーシートに隣接して、さらに、インクジェット記録方式により印字されたインク受容層が一体的に積層されており、かつ、(b)該インク受容層は、多孔質樹脂層から形成されており、インクジェット記録方式により印字された後、熱圧処理を受けて、多孔質構造が閉孔させられていることを特徴とする多層カードが提供される。 【0018】また、本発明によれば、コアシートの少なくとも片面にオーバーシートを配置して一体的に積層する工程を含む多層カードの製造方法において、(1)コアシートの片面もしくは両面とオーバーシートとの間に、オーバーシートに隣接して、さらに、インクジェット記録方式により印字された多孔質樹脂層からなるインク受容層を配置し、次いで、(2)配置した全層を熱圧して、各層を一体的に積層するとともに、インク受容層の多孔質構造を閉孔させる一連の工程を含むことを特徴とする多層カードの製造方法が提供される。 【0019】さらに、本発明によれば、コアシートの少なくとも片面にオーバーシートを配置して一体的に積層する工程を含む多層カードの製造方法において、(A)コアシートの片面もしくは両面とオーバーシートとの間に、オーバーシートに隣接して、さらに、インクジェット記録方式により印字された多孔質樹脂層からなるインク受容層であって、熱圧処理を受けて多孔質構造が閉孔させられているインク受容層を配置し、次いで、(B)配置した全層を熱圧して、各層を一体的に積層する一連の工程を含むことを特徴とする多層カードの製造方法が提供される。 【0020】 【発明の実施の形態】本発明の多層カードは、コアシートの片面もしくは両面にオーバーシートが一体的に積層された多層構成を有しており、いずれか一方もしくは両方のオーバーシートに隣接して、その下層にインク受容層が配置されている。 【0021】1.コアシートコアシートは、図6に示されているように、一般に、2枚のコアシートを用いることにより、多層カードが湾曲するのを防ぎ、また、適度の厚みと強度を付与している。コアシートは、通常、体質顔料などを充填して白色もしくは乳白色に着色した塩化ビニル樹脂シートなどの熱可塑性樹脂シートが用いられている。コアシートを白色もしくは乳白色に着色することにより、隠蔽性を付与し、かつ、その上に印刷による文字や絵柄、写真などの画像を形成させることができるようにしている。 【0022】本発明では、このような着色した熱可塑性樹脂シートをコアシートとして用いることができるが、インク受容層が隠蔽性のある場合、それらに限定されない。所望により、紙をコアシートとして用いることも可能であるが、耐水性や耐久性の観点からは、熱可塑性樹脂シートの方が好ましい。また、コアシートとして、熱可塑性樹脂シートを用いると、接着剤を用いなくても、熱圧により、他の層と容易に一体的に積層することができるので好ましい。コアシートは、2枚に限定されず、その厚みや強度、コア層に要求される機能などに応じて、1枚または3枚以上であってもよい。コアシートの総厚は、多層カードの使用目的に応じて適宜定めることができるが、磁気カードなどの場合には、合計厚みで、通常100〜2000μm、好ましくは100〜1000μm程度である。 【0023】2.オーバーシートオーバーシートとしては、下層の印字面が見えるように、一般に、透明な塩化ビニル樹脂シートなどの熱可塑性樹脂シートが用いられる。ここで、「透明」であるとは、目視により下層に印字面が見える程度に透明であることを意味しており、場合によっては、半透明の状態や着色された状態でもよい。オーバーシートは、印字面などの下層を保護し、表面に適度の硬度を付与し、さらには、その上に磁気層を形成するなどの役割を持っている。オーバーシートは、一般に、多層カードの両面に配置されるが、必要に応じて、片面に配置するだけでもよい。オーバーシートの厚みは、特に制限されないが、通常4〜500μm、好ましくは10〜200μm程度である。 【0024】3.インク受容層本発明の多層カードでは、コアシートとオーバーシートとの間であって、オーバーシートに隣接して、インクジェット記録方式により印字されたインク受容層が一体的に積層されている。オーバーシートが両面にある場合には、両方のオーバーシートの下層にインク受容層を配置してもよい。あるいは、一方のオーバーシートの下層にインク受容層を配置し、他方のオーバーシートの下層には、スクリーン印刷などの他の方式により印字されたコアシートを配置してもよい。 【0025】インク受容層は、多孔質樹脂層から形成されており、インクジェット記録方式により印字された後、熱圧処理を受けて、多孔質構造が閉孔させられている。このような多孔質樹脂層としては、好ましくは非水溶性樹脂、例えば、多孔質ポリエチレンフィルム、多孔質ポリプロピレンフィルム、多孔質ポリビニルブチラール樹脂層、多孔質ポリビニルアセタール樹脂層などの多孔質熱可塑性樹脂層を挙げることができる。 【0026】多孔質ポリエチレンフィルムなどの疎水性の多孔質プラスチックフィルム(シートを含む)の場合には、インクジェット記録方式に用いられる水性インクの吸収性、定着性などの印字性を向上させるために、界面活性剤で表面処理することが望ましい。 【0027】多孔質ポリビニルブチラール樹脂層、多孔質ポリビニルアセタール樹脂層などの高分子多孔質層からなるインク受容層を形成する方法としては、例えば、高分子材料をアミド系溶媒に溶解させた溶液をフィルム上に塗布し、次いで、塗布層表面に貧溶媒の水を噴霧水として接触させる方法が知られている(特開平8−90944号公報、特開平9−290577号公報)。接触した噴霧水は、塗布層内の溶媒中に拡散し、高分子材料を凝固させ、それによって、多孔質構造を形成している。 【0028】多孔質樹脂層の孔径などの多孔質構造を精密に制御することができる方法としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、その良溶媒、及びその貧溶媒を含有する塗工液を支持体上に塗布し、乾燥する方法がある。より具体的には、良溶媒としてメタノールなどの低沸点有機溶媒を使用し、貧溶媒としてイオン交換水などを使用する。塗工液を支持体上に塗布し、乾燥温度を制御して、良溶媒から先に乾燥させると、ポリビニルブチラール樹脂の凝集が起こり、その結果、連続孔からなる多孔質構造が形成される。この方法によれば、溶媒の種類の選択、乾燥温度の制御などにより、孔径などの多孔質構造を精密に制御することができ、顔料インクを用いた場合でも優れた印字性を示すインク受容層を形成することができる。 【0029】多孔質樹脂層からなるインク受容層は、インクジェット記録方式により印字された後、熱圧処理を受けて、多孔質構造が閉孔させられるが、閉孔を効率よく行うには、多孔質樹脂層のなかに、熱可塑性微粒子を均一に分散させる方法が効果的である。熱可塑性微粒子としては、ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体などのスチレン系(共)重合体;ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル;ポリアミドなどの熱可塑性(共)重合体の微粒子を挙げることができる。 【0030】例えば、前述の如き方法により、塗工液を用いてポリビニルブチラール樹脂層を形成する際に、熱可塑性微粒子を熱可塑性(共)重合体のエマルジョンもしくはディスパージョンとして、塗工液中に供給することが好ましい。熱可塑性微粒子の平均粒子径は、好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.03〜15μmである。平均粒子径は、コールター・カウンター法により測定した値である。熱可塑性微粒子は、乾燥工程で造膜しないように、最低造膜温度、融点、もしくは軟化点が乾燥温度より高いものを用いることが望ましい。熱可塑性微粒子は、多孔質樹脂層を形成するポリマー100重量部に対して、10〜250重量部の割合で用いられる。 【0031】多孔質樹脂層には、無機微粒子を含有させることが、インク吸収性を高める上で好ましい。無機微粒子としては、アルミナ、シリカ、チタニア、炭酸カルシウムなどが挙げられる。アルミナとしては、γ型結晶形態の酸化アルミニウム微粉末(例えば、一次粒子の平均径が約13nmの微粉末)が好ましい。シリカとしては、コロイダルシリカ及びヒュームドシリカが好ましい。無機微粒子は、多孔質樹脂層を形成するポリマー100重量部に対して、通常200重量部以下、より好ましくは150重量部以下の割合で用いられる。無機微粒子の使用割合が小さすぎると、インク吸収性の改善効果が小さく、大きすぎると、多孔質樹脂層が脆くなる恐れが生じる。 【0032】多孔質樹脂層をポリビニルブチラール樹脂などから形成する場合には、造膜性に優れ、強度や耐水性、耐候性などの特性を向上させるために、疎水性熱可塑性樹脂を含有させることができる。このような疎水性熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、スチレンアクリロニトリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、これらの樹脂のアニオンまたはカチオン変性物等を挙げることができる。疎水性熱可塑性樹脂を用いる場合には、多孔質樹脂層を形成するポリマー100重量部に対して、通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下、より好ましくは10重量部以下の割合で用いられる。また、多孔質樹脂層の耐候性向上のために、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色剤、顔料、その他の充填剤などを含有させることができる。 【0033】多孔質樹脂層の平均孔径は、使用するインクの種類に応じて適宜選択することができるが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜8μm程度である。多孔質樹脂層の厚みは、特に限定されないが、通常、5〜100μm、好ましくは10〜80μm程度である。 【0034】4.インクジェット記録媒体インク受容層を構成する多孔質樹脂層は、インクジェット記録方式により印字するために、通常、支持体上に設けられる。多孔質樹脂層が多孔質ポリエチレンフィルムなどの独立したフィルムである場合には、支持体とラミネーションさせることにより、支持体上に該多孔質ポリエチレンフィルムからなるインク受容層を設けることができる。多孔質ポリビニルブチラール樹脂層のように、塗工液を用いて多孔質樹脂層を形成する場合には、支持体上に塗工液を塗布し、乾燥させることにより、支持体と一体となったインクジェット記録媒体を設けることができる。 【0035】支持体としては、特に限定されず、種々の材質の種々の形態のものを使用することができるが、通常、シート状基材が好適に用いられる。シート状基材としては、耐熱性、寸法安定性、剛性などを備えた合成樹脂シートが好ましい。このような合成樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリイミドなどの合成樹脂から形成されたシート(フィルムを含む)を挙げることができる。シート状基材の厚さは、用途に応じて適宜定めることができるが、通常10〜100μm程度である。これらの中でも、厚さ25〜100μmの延伸PETフィルムが特に好ましい。 【0036】支持体として、透明性に優れた合成樹脂シートを用いることができるが、写真調の画像が望ましい場合には、酸化チタン等の体質顔料を練り込んで、白色隠蔽性を付与した合成樹脂シートを用いる。また、合成紙、コート紙等の合成樹脂シート以外のシート状基材を支持体として使用することができる。支持体の表面には、必要に応じて、接着性を向上させるために、プライマー層を設けたり、コロナ放電処理を行ったりした後、その上に多孔質樹脂層を形成してもよい。 【0037】本発明では、支持体上に多孔質樹脂層を形成したものをインクジェット記録媒体として使用し、インクジェットプリンターを用いて印字させる。また、支持体に代えて、コアシートを使用し、その上に多孔質樹脂層をインク受容層として形成してもよい。あるいは、前述の如き白色隠蔽性を付与した合成樹脂シートを支持体として用いる場合には、この合成樹脂シートをコアシートとすることもできる。 【0038】かくして、本発明では、図1に示すように、支持体2上に多孔質樹脂層1を設けたインクジェット記録媒体10(図1a)またはコアシート3上に多孔質樹脂層1を設けたインクジェット記録媒体11(図1b)を用いて、インクジェット記録方式により、多孔質樹脂層の表面に印字する。コアシートの両面にインク受容層を形成してもよい。 【0039】多孔質樹脂層の表面にインクジェット記録方式により印字した後、熱圧処理を行って、多孔質構造を閉孔させる。多孔質構造の閉孔は、前述のインクジェット記録媒体の状態で熱圧処理することにより行ってもよいし、あるいは、印字後のインクジェット記録媒体をオーバーシートなどの他の層と重ねて、全層を熱圧して一体的に積層する際に、同時に閉孔させる方法を採用してもよい。 【0040】5.多層カード本発明の多層カードの層構成の具体例を図2及び図3に示す。図2(2a)には、支持体2上にインク受容層(多孔質樹脂層)1を設けたインクジェット記録媒体10をオーバーシート41の下層に隣接して配置し、その下に、2枚のコアシート31,32、及びオーバーシート42が配置された層構成を有する多層カード51が示されている。図2(2b)には、支持体21上にインク受容層(多孔質樹脂層)1を設けたインクジェット記録媒体10Aと、支持体22上にインク受容層1を設けたインクジェット記録媒体10Bとが両方に配置された層構成を有する多層カード52が示されている。 【0041】図3(3a)には、コアシート31の上にインク受容層(多孔質樹脂層)1を設けたインクジェット記録媒体11をオーバーシート41の下層に隣接して配置し、その下に、コアシート32、及びオーバーシート42が配置された層構成を有する多層カード61が示されている。図2(2b)には、コアシート31の上にインク受容層1を設けたインクジェット記録媒体11Aと、コアシート32の上にインク受容層1を設けたインクジェット記録媒体11Bとが両方に配置された層構成の多層カード62が示されている。 【0042】これらの多層カードの層構成は例示であって、本発明は、これらに限定されるものではない。前述した通り、コアシートを1層にしたり、あるいは3層以上にすることが可能である。コアシートを一層にし、その両面にインク受容層を形成することもできる。また、インク受容層が形成されていない側のオーバーシートを省略することもできる。さらに、本発明の多層カードは、他の付加的な層が配置されていてもよい。 【0043】本発明の多層カードは、画像情報をインクジェット記録方式により印字することができるため、小量生産の場合であっても、さらには、小量生産で多種類の画像情報を印字する必要がある場合であっても、対応することが可能である。その画像は、鮮明で、カラー化も容易であり、入力に応じて所望の形状とすることも簡単である。 【0044】本発明の多層カードは、染料インクだけではなく、耐候性や耐光性に優れた顔料インクを用いて印字することもできる。インクジェットプリンターを用いて印字した後には、多孔質構造を閉孔し、かつ、インク受容層の上にオーバーシートを一体的に積層するため、耐擦過性、耐水性、耐候性、耐汚染性などに優れた多層カードを得ることができる。特に、インク受容層が印字後、熱圧処理により多孔質構造が閉孔させられているため、インク受容層の横からの水の染み込みが防止され、そして、耐水性や色濃度の改善、受容層の高凝集力化などが図られている。 【0045】本発明の多層カードは、磁気カードやICカードなどとして用いる場合には、例えば、磁気層を設けたり、ICチップや電気回路パターンを埋め込んだりすることができる。磁気層は、通常、オーバーシートの上に塗布もしくは熱圧転写などにより形成される。磁気層をオーバーシートの内面側に設けてもよい。あるいは、オーバーシートの外面に磁気層を形成し、その上に、さらに保護層として別のオーバーシートを設けてもよい。磁気層は、多層カードの片面または両面に形成することができる。ICチップや電気回路パターンは、オーバーシートやコアシートに設けることができる。ICチップや電気回路パターンをコアシートに埋め込んだり、コアシート間に挟み込んだりする場合には、予めそのような処理をしたコアシートを使用して、積層することができる。このようにして、各種機能部品を搭載させることにより、機能性が付与された多層カードとすることができる。 【0046】6.多層カードの製造方法図4及び図5に、本発明の多層カードの製造方法の具体例を示す。ただし、図4及び図5に示す製造方法において、各層構成は例示であって、これに限定されない。前述した通り、多層カードの層構成には多くの種類がある。 【0047】図4に示す方法では、(1) 支持体2上にインク受容層1(多孔質樹脂層)を設けたインクジェット記録媒体10のインク受容層の表面に、インクジェットプリンターを用いてインクジェット記録方式で印字する工程、(2) 印字したインクジェット記録媒体のインク受容層の上にオーバーシート41を配置し、インクジェット記録媒体の支持体の下にはコアシート31,32を配置し、さらに、コアシート32の下にオーバーシート42を配置する工程、(3) これら配置された全層を加熱加圧(熱圧)して、各層間を一体的に積層し、同時に、インク受容層の多孔質構造を閉孔させる工程の一連の工程を経て、多層カード51Aが製造される。 【0048】図5に示す方法では、(1) 支持体2上にインク受容層1(多孔質樹脂層)を設けたインクジェット記録媒体10のインク受容層の表面に、インクジェットプリンターを用いてインクジェット記録方式で印字する工程、(2) 印字したインクジェット記録媒体を熱圧処理して、インク受容層の多孔質構造を閉孔させる工程、(3) インク受容層の上にオーバーシート41を配置し、インクジェット記録媒体の支持体の下にはコアシート31,32を配置し、さらに、コアシート32の下にオーバーシート42を配置する工程、(4) これら配置された全層を加熱加圧(熱圧)して、各層間を一体的に積層する工程の一連の工程を経て、多層カード51Bが製造される。 【0049】これらの製造方法によれば、インク受容層の表面に印字した後、各層を積層するため、例えば、ICチップや電気回路を埋め込んだり、挟み込んだりした層を介在させた場合であっても、それによって生じた凹凸により印字品質が損なわれることがない。 【0050】全層に熱圧を加えたり、インク受容層を熱圧処理するには、プレス機を用いたり、熱ロール間に通したりする方法を採用することができる。熱圧処理の条件は、各層が一体的に積層可能な条件であれば特に制限されない。熱処理温度は、通常、60〜180℃程度である。加圧の圧力は、通常、1〜40kg/cm2 程度である。 【0051】積層体をカードの形状に打ち抜くのは、通常は、熱圧により一体化した積層体を製造した後、あるいは、積層体に磁性層を形成するなどの付加的な処理工程を経た後である。ただし、場合によっては、予め各層をカードの形状に裁断したものを用いて、熱圧により一体的に積層することにより多層カードの形状で得ることも可能である。あるいは、オーバーシート以外の各層をカードの形状に打ち抜き加工しておき、その上にオーバーシートを被覆してもよい。 【0052】 【実施例】[実施例1]メタノール130gにポリビニルブチラール樹脂10gを溶解させ、次いで、得られた溶液にアエロジルAl2 O3 ・C(平均一次粒子径13nmのγ型酸化アルミニウム微粒子、日本アエロジル社製)6gを混合し、溶液Aを作製した。AP−6730〔スチレン・アクリル型熱可塑性微粒子、固形分濃度45%、昭和高分子(株)〕28gにイオン交換水13.5gを添加した後、ショックが起きないように注意深くメタノールを17g添加して溶液Bを作製した。その後、溶液Aと溶液Bを混合して、インク受容層用の塗工液を得た。 【0053】厚さ36μmのポリエステルフィルム〔メリネックス339、易接着処理フィルム、帝人デュポンフィルム(株)製〕の片面に、該塗工液を乾燥後の塗布厚さが50μmになるようにバーコーターにて塗布し、次いで、65℃で1分間、さらに75℃にて1分間の条件で乾燥して、多孔質ポリビニルブチラール樹脂層からなるインク受容層が形成されたインクジェット記録媒体を得た。 【0054】このインクジェット記録媒体のインク受容層の表面に、インクジェットプリンターを用いて目的の印字を記録した後、インク受容層の上に厚さ100μmの透明塩化ビニルシート、支持体(ポリエステルフィルム)の下に厚さ280μmの白色塩化ビニルシート2枚と、さらに下層に厚さ100μmの透明塩化ビニルシートを配置した。これら全層の両面に、鏡面を有するプレス板をあてがい、プレス機にて圧力15kg/cm2 、温度120℃の条件で1時間かけて熱圧処理を行った。その後、打抜き機にてカードサイズに打抜き、平滑な表面をもつカードを得た。 【0055】[実施例2]厚さ36μmのポリエステルフィルム〔メリネックス339、易接着処理フィルム、帝人デュポンフィルム(株)製〕に、接着剤〔セイカボンドE−263(固形分濃度63%)/架橋剤C−26(固形分濃度40%)=15/3の混合液、固形分濃度10wt%、大日精化製〕をグラビアコーター(120斜、版深55μm)にて塗布し、乾燥後、多孔質ポリエチレンフィルムであるKH2055M(三菱化学製)とドライラミネーションを行った。接着した多孔質なフィルム面にグラビアコーター(120斜、版深55μm)にて界面活性剤エマルゲン408〔花王(株)製〕固形分濃度10wt%で処理し、インクジェット記録媒体を得た。 【0056】このインクジェット記録媒体のインク受容層(多孔質ポリエチレンフィルム)表面にインクジェットプリンターで目的の印字を記録した後、インクジェット記録媒体のインク受容層上に厚さ100μmの透明塩化ビニルシート、下に厚さ280μmの白色塩化ビニルシート2枚と、さらに下層に厚さ100μmの透明塩化ビニルシートを配置した。全層の両面に、鏡面を有するプレス板をあてがい、プレス機にて圧力15kg/cm2 、温度120℃の条件で1時間かけて熱圧処理を行った。その後、打抜き機にてカードサイズに打抜き、平滑な表面をもつカードを得た。 【0057】[実施例3]メタノール130gにポリビニルブチラール樹脂10gを溶解させ、次いで、得られた溶液にアエロジルAl2 O3 ・C(平均一次粒子径13nmのγ型酸化アルミニウム微粒子、日本アエロジル社製)6gを混合し、溶液Aを作製した。AP−6730〔スチレン・アクリル型熱可塑性微粒子、固形分濃度45%、昭和高分子(株)〕28gにイオン交換水13.5gを添加した後、ショックが起きないように注意深くメタノールを17gを添加して、溶液Bを作製した。その後、溶液Aと溶液Bを混合して、インク受容層用の塗工液を得た。 【0058】厚さ36μmのポリエステルフィルム〔メリネックス339、易接着処理フィルム、帝人デュポンフィルム(株)製〕の片面に、該塗工液を乾燥後の塗布厚さが50μmになるようにバーコーターにて塗布し、次いで、65℃で1分間、さらに75℃にて1分間の条件で乾燥して、インク受容層が形成されたインクジェット記録媒体を得た。 【0059】このインクジェット記録媒体のインク受容層(多孔質ポリビニルブチラール樹脂層)上に、インクジェットプリンターを用いて目的の印字を記録した後、インクジェット記録媒体を130℃に設定された加熱ロールと加圧ロールの間を通して熱圧処理し、インク受容層の多孔質構造を閉孔させた。次に、インクジェット記録媒体のインク受容層上に厚さ100μmの透明塩化ビニルシート、下に厚さ280μmの白色塩化ビニルシート2枚と、さらに下層に厚さ100μmの透明塩化ビニルシートを配置した。これら全層の両面に、鏡面を有するプレス板をあてがい、プレス機にて圧力15kg/cm2 、温度120℃の条件で1時間かけて熱圧処理を行った。その後、打抜き機にてカードサイズに打抜き、平滑な表面をもつカードを得た。 【0060】[実施例4]厚さ36μmのポリエステルフィルム〔メリネックス339、易接着処理フィルム、帝人デュポンフィルム(株)製〕に、接着剤〔セイカボンドE−263(固形分濃度63%)/架橋剤C−26(固形分濃度40%)=15/3の混合液、固形分濃度10wt%、大日精化製〕をグラビアコーター(120斜、版深55μm)にて塗布し、乾燥後、多孔質ポリエチレンフィルムであるKH2055M(三菱化学製)とドライラミネーションを行った。接着した多孔質フィルム面にグラビアコーター(120斜、版深55μm)にて界面活性剤エマルゲン408〔花王(株)製〕固形分濃度10wt%を処理し、インクジェット記録媒体を得た。 【0061】このインクジェット記録媒体のインク受容層(多孔質ポリエチレンフィルム)の表面に、インクジェットプリンターを用いて目的の印字を記録した後、インクジェット記録媒体に熱圧処理を行い、インク受容層の多孔質構造を閉孔させた。その後、インクジェット記録媒体のインク受容層上に厚さ100μmの透明塩化ビニルシート、下に厚さ280μmの白色塩化ビニルシート2枚と、さらに下層に厚さ100μmの透明塩化ビニルシートを配置した。これら全層の両面に、鏡面を有するプレス板をあてがい、プレス機にて圧力15kg/cm2 、温度120℃の条件で1時間かけて熱圧処理を行った。その後、打抜き機にてカードサイズに打抜き、平滑な表面をもつカードを得た。 【0062】[比較例1]固形分30重量%のアエロジルAl2 O3 ・C(平均一次粒子径13nmのγ型酸化アルミニウム微粒子、日本アエロジル社製)水分散液150gとポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA235)固形分10%の120gとを混合し塗工液を調製した。この塗工液を、厚さ36μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に乾燥後の塗工量が30g/m2 になるようにバーコーターを用いて塗工した。乾燥後、インクジェット記録媒体を得た。 【0063】このインクジェット記録媒体のインク受容層(PVA層)の表面に、インクジェットプリンターを用いて目的の印字を記録した後、インクジェット記録媒体のインク受容層上に厚さ100μmの透明塩化ビニルシート、下に厚さ280μmの白色塩化ビニルシート2枚と、さらに下層に厚さ100μmの透明塩化ビニルシートを配置した。これら全層の両面に、鏡面を有するプレス板をあてがい、プレス機にて圧力15kg/cm2 、温度120℃の条件で1時間かけて熱圧処理を行った。その後、打抜き機にてカードサイズに打抜き、平滑な表面をもつカードを得た。 【0064】[比較例2]メタノール130gにポリビニルブチラール樹脂10gを溶解させ、次いで、得られた溶液にアエロジルAl2 O3 ・C(平均一次粒子径13nmのγ型酸化アルミニウム微粒子、日本アエロジル社製)6gを混合し、溶液Aを作製した。AP−6730〔スチレン・アクリル型熱可塑性微粒子、固形分濃度45%、昭和高分子(株)〕28gにイオン交換水13.5gを添加した後、ショックが起きないように注意深くメタノールを17g添加して溶液Bを作製した。その後、溶液Aと溶液Bを混合して、インク受容層用の塗工液を得た。 【0065】厚さ36μmのポリエステルフィルム〔メリネックス339、易接着処理フィルム、帝人デュポンフィルム(株)製〕の片面に、該塗工液を乾燥後の塗布厚さが50μmになるようにバーコーターにて塗布し、次いで、65℃で1分間、さらに75℃にて1分間の条件で乾燥して、多孔質ポリビニルブチラール樹脂層からなるインク受容層が形成されたインクジェット記録媒体を得た。 【0066】このインクジェット記録媒体のインク受容層(多孔質ポリビニルブチラール樹脂層)の表面に、インクジェットプリンターを用いて目的の印字を記録した後、インクジェット記録媒体に熱圧処理を行い、インク受容層の多孔質構造を閉孔させた。このインクジェット記録媒体のインク受容層の上には、オーバーシートを配置せず、下には、厚さ280μmの白色塩化ビニルシート2枚と、さらに下層に厚さ100μmの透明塩化ビニルシートを配置した。全層の両面に、鏡面を有するプレス板をあてがい、プレス機にて圧力15kg/cm2 、温度120℃の条件で1時間かけて熱圧処理を行った。その後、打抜き機にてカードサイズに打抜き、平滑な表面をもつカードを得た。 【0067】[比較例3]メタノール130gにポリビニルブチラール樹脂10gを溶解させ、次いで、得られた溶液にアエロジルAl2 O3 ・C(平均一次粒子径13nmのγ型酸化アルミニウム微粒子、日本アエロジル社製)6gを混合し、溶液Aを作製した。AP−6730〔スチレン・アクリル型熱可塑性微粒子、固形分濃度45%、昭和高分子(株)〕28gにイオン交換水13.5gを添加した後、ショックが起きないように注意深くメタノールを17g添加して溶液Bを作製した。その後、溶液Aと溶液Bを混合して、インク受容層用の塗工液を得た。 【0068】厚さ36μmのポリエステルフィルム〔メリネックス339、易接着処理フィルム、帝人デュポンフィルム(株)製〕の片面に、該塗工液を乾燥後の塗布厚さが50μmになるようにバーコーターにて塗布し、次いで、65℃で1分間、さらに75℃にて1分間の条件で乾燥して、多孔質ポリビニルブチラール樹脂層からなるインク受容層が形成されたインクジェット記録媒体を得た。 【0069】インクジェット記録媒体の下に、厚さ280μmの白色塩化ビニルシート2枚と、さらに下層に厚さ100μmの透明塩化ビニルシートを配置した。全層の両面に鏡面を有するプレス板をあてがい、プレス機にて圧力15kg/cm2 、温度120℃の条件で1時間かけて熱圧処理を行った。その後、インク受容層の表面にインクジェットプリンターで印字した。 【0070】[比較例4]厚さ36μmのポリエステルフィルム〔メリネックス339、易接着処理フィルム、帝人デュポンフィルム(株)製〕に、接着剤〔SK、固形分濃度10wt%、大日精化製〕をグラビアコーター(120斜、版深55μm)にて塗布し、乾燥後、多孔質ポリエチレンフィルムであるKH2055M(三菱化学製)とドライラミネーションを行った。接着した多孔質フィルム面にグラビアコーター(120斜、版深55μm)にて界面活性剤エマルゲン408〔花王(株)製〕固形分濃度10wt%を処理し、インクジェット記録媒体を得た。 【0071】このインクジェット記録媒体の下に厚さ280μmの白色塩化ビニルシート2枚と、さらに下層に厚さ100μmの透明塩化ビニルシートを配置した。全層の両面に鏡面を有するプレス板をあてがい、プレス機にて圧力15kg/cm2 、温度120℃の条件で1時間かけて熱圧処理を行った。その後、インク受容層の表面にインクジェットプリンターで印字した。 【0072】<物性等の評価>(1)印字評価印字に関する評価は、顔料系インクジェットプリンタ〔キングジム(株)製のインクジェットラベルライター「テブラ」JET JPC770〕にて、顔料インクを印字して行った。 ・インク吸収性ベタ印刷部分を指で触わり、指にインクが付着するか否かを観察した。印字の30秒後にインクが付着しない場合を良好(○)、付着する場合を不良(×)と評価した。 【0073】(2)レタリング試験レタリングスティック(No.3)を、インク受容層の表面の垂直方向から、0.3Kg重の荷重で20秒間押し当て、まったく跡が残らない場合を(◎)、若干残る場合を(○)、跡が残る(×)とした。 (3)耐水性作成した多層カードを24時間水に浸漬し、インク受容層への水の浸入がない場合を良好(○)、インク受容層への水の浸入がある場合を不良(×)とした。 【0074】 【表1】
【0075】 【発明の効果】本発明によれば、インクジェット記録方式により印字された画像情報を有する多層カードであって、印字画像の耐擦過性、耐水性、耐候性、耐汚染性などに優れた多層カード及びその製造方法が提供される。また、本発明によれば、インクジェット記録方式による耐光性に優れた印字画像を有する多層カード及びその製造方法が提供される。さらに、本発明によれば、インクジェット記録方式により印字された画像情報を有するとともに、キャッシュカード、クレジットカードなどの磁気カード、非接触ICカードなどに求められる各種機能を付加することができる多層カード及びその製造方法が提供される。 【0076】本発明の多層カードは、感熱昇華転写方式と比較して、熱圧処理を行うことによって、耐光性、耐擦過性に優れており、小量生産の印刷物にも対応できる。また、本発明によれば、多層カードに凹凸があっても、再現性の高い画像を記録することができる。本発明の多層カードの製造方法では、予め印字記録したインク受容層を熱圧融着して多層カードを形成するため、カードの平滑性が向上する。そのため、磁気情報を読み取る際のカードの振動が減少し、磁気読み取り不良を少なくすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004020 【氏名又は名称】ニチバン株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年7月3日(2000.7.3) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093528 【弁理士】 【氏名又は名称】西川 繁明
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| 【公開番号】 |
特開2002−19343(P2002−19343A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月23日(2002.1.23) |
| 【出願番号】 |
特願2000−201378(P2000−201378) |
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