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【発明の名称】 平版印刷版用支持体の製造方法、平版印刷版用支持体、および平版印刷原版
【発明者】 【氏名】西野 温夫

【氏名】増田 義孝

【氏名】澤田 宏和

【氏名】上杉 彰男

【要約】 【課題】洗浄廃水の発生量を大幅に削減でき、再製アルミニウム地金から印刷性能の高い平版印刷版用支持体を製造できる平版印刷版用支持体の製造方法の提供。

【解決手段】アルミニウム板の少なくとも一方の面に少なくとも1種の粗面化処理を施す粗面化工程を有してなり、前記粗面化処理後に、前記アルミニウム板の表面にドライアイス粒子を噴射して前記アルミニウム板を洗浄することを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アルミニウム板の少なくとも一方の面に少なくとも1種の粗面化処理を施す粗面化工程を有してなり、前記粗面化処理後に、前記アルミニウム板の表面にドライアイス粒子を噴射して前記アルミニウム板を洗浄することを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。
【請求項2】 アルミニウム板の少なくとも一方の面に少なくとも1種の粗面化処理を施す粗面化工程と、前記粗面化工程において粗面化処理を施したアルミニウム板を陽極酸化処理し、前記アルミニウム板の表面に陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化工程とを有してなり、前記粗面化処理後および前記陽極酸化処理後の何れかまたは両方において、前記アルミニウム板の表面にドライアイス粒子を噴射して前記アルミニウム板を洗浄することを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。
【請求項3】 前記粗面化処理は、前記アルミニウム板を機械的に粗面化する機械的粗面化処理、前記アルミニウム板を化学的に粗面化するエッチング処理、および前記アルミニウム板に交流または直流を印加して電気化学的に粗面化する電解粗面化処理のうちの少なくとも1種である請求項1または2に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
【請求項4】 前記粗面化工程において、前記アルミニウム板に機械的粗面化処理を施し、次いでエッチング処理および電解粗面化処理の少なくとも一方を施す請求項3に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
【請求項5】 前記陽極酸化工程において、前記陽極酸化処理を施したアルミニウム板の表面を親水化する親水化処理を行なう請求項2〜4の何れか1項に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
【請求項6】 前記陽極酸化工程においては、前記陽極酸化処理により形成された陽極酸化皮膜における細孔を封ずる封孔処理を行なう請求項2〜5の何れか1項に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
【請求項7】 前記アルミニウム板は、アルミニウム含有量が99.4〜95重量%であり、しかも、Fe、Si、Cu、Mg、Mn、Zn、Cr、およびTiからなる群より選択された1以上の元素を含有するアルミニウム地金から製造されてなる請求項1〜6の何れか1項に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
【請求項8】 請求項1〜7の何れか1項に記載の平版印刷版用支持体の製造方法により製造されたことを特徴とする平版印刷版用支持体。
【請求項9】 請求項8に記載の平版印刷版用支持体における粗面化処理された側の面に、感光性または感熱性の製版層を形成してなることを特徴とする平版印刷原版。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用支持体の製造方法、平版印刷版用支持体、および平版印刷原版に係り、特に、廃水の排出量が少ない平版印刷版用支持体の製造方法、前記方法で製造された平版印刷版用支持体、および前記平版印刷版用支持体の表面に感熱性または感光性の製版層を形成した平版印刷原版に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版の原版である平版印刷原版は、一般的に、純アルミニウムまたはアルミニウム合金(以下、「アルミニウム等」ということがある。)の板の表面を粗面化し、次いで前記表面を陽極酸化処理することにより、陽極酸化皮膜を形成して平版印刷版用支持体を得、前記平版印刷版用支持体における陽極酸化皮膜が形成された表面に感光性樹脂または感熱性樹脂を塗布して感光性または感熱性の製版層を形成するという手順に従って作製される。
【0003】前記平版印刷原版の製版層に文字および絵などの印刷画像を焼き付け、現像することにより、平版印刷版が作製される。
【0004】前記アルミニウム等の板(以下、「アルミニウム板」という。)の粗面化においては、ナイロンなどの毛を有するブラシローラまたは表面が研磨布からなる研磨ローラ等による機械的粗面化処理、アルカリ溶液中で前記アルミニウム板の表面を化学的に粗面化するエッチング処理、および前記アルミニウム板を電極の一方として、酸性電解液中で交流を印加して電気分解を行う交流電解粗面化などの電解粗面化処理などが行なわれている。
【0005】特に、印刷時の水バランスを付与する目的で、機械的粗面化処理を行い、次いでエッチング処理および電解粗面化処理を施すことが一般的である。
【0006】更に、前記電解粗面化処理および前記化学的粗面化処理の後に、前記アルミニウム板を酸性溶液に浸漬するデスマット処理を施し、前記電解粗面化および化学的粗面化処理によって表面に析出した酸化鉄や水酸化鉄などの不純物を除去することもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来は、前記粗面化処理および陽極酸化処理の後にアルミニウム板を水洗していたので、大量の洗浄水が必要であり、また、前記アルミニウム板の水洗で排出される廃水の処理にも大型の設備と膨大な労力とが必要であった。
【0008】また、スクラップ材およびリサイクル材などの再生アルミニウム地金が新地金よりも安価であり、製造時のエネルギー消費が少なく、資源の節約にもなることから、前記再生アルミニウム地金から製造されたアルミニウム板から平版印刷版用原版を製造することが検討されてきた。
【0009】しかし、前記再生アルミニウム地金は、新地金とは異なり、合金成分の制御は殆どされてなく、各種の不純物を含んでいる。
【0010】したがって、前記再生アルミニウム地金から製造されたアルミニウム板の表面には、前記不純物に由来する種々の金属間化合物や析出物が露出するので、前記アルミニウム板を用いた平版印刷原版においては、陽極酸化皮膜に欠陥が生じ易く、印刷紙面の全面に点状にインキが付着する過酷インキ汚れが発生しやすかった。
【0011】また、前記平版印刷原版の表面に露出した金属間化合物や析出物に起因し、印刷紙面における印刷画像以外の部分に点状にインキが付着する所謂ポツ汚れや、オフセットローラのゴム胴すなわちブランケットにインキが付着し、このインキが印刷紙面に付着する所謂ブラン汚れが生じ易いという問題もあった。
【0012】本発明は、従来の方法に比較して洗浄廃水の発生量を大幅に削減でき、しかも前記再製アルミニウム地金から製造されたアルミニウム板を用いた場合にも、耐過酷インキ汚れ性に優れ、ポツ汚れやブラン汚れが生じることがなく、耐刷性に優れた平版印刷原版が得られる平版印刷版用支持体を製造できる平版印刷版用支持体の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、アルミニウム板の少なくとも一方の面に少なくとも1種の粗面化処理を施す粗面化工程を有してなり、前記粗面化処理後に、前記アルミニウム板の表面にドライアイス粒子を噴射して前記アルミニウム板を洗浄することを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法に関する。
【0014】前記平版印刷版用支持体の製造方法によれば、洗浄廃水の発生量が大幅に削減できる。
【0015】また、ドライアイス粒子を噴射して洗浄することにより発生した廃液からドライアイスを蒸発させれば、前記廃液を濃縮できるから、前記廃液の再利用が容易である。したがって、再製地金から作製したアルミニウム板を用いた場合にも、更なるコストダウンが可能である。
【0016】請求項2に記載の発明は、アルミニウム板の少なくとも一方の面に少なくとも1種の粗面化処理を施す粗面化工程と、前記粗面化工程において粗面化処理を施したアルミニウム板を陽極酸化処理し、前記アルミニウム板の表面に陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化工程とを有してなり、前記粗面化処理後および前記陽極酸化処理後の何れかまたは両方において、前記アルミニウム板の表面にドライアイス粒子を噴射して前記アルミニウム板を洗浄することを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法に関する。
【0017】前記平版印刷版用支持体の製造方法においては、前記粗面化工程の後に前記アルミニウム板に、耐磨耗性の高い陽極酸化皮膜を形成しているから、前記製造方法で得られる平版印刷版用支持体からは、耐久性に優れた平版印刷原版が作製できる。
【0018】請求項3に記載の発明は、前記粗面化処理は、前記アルミニウム板を機械的に粗面化する機械的粗面化処理、前記アルミニウム板を化学的に粗面化するエッチング処理、および前記アルミニウム板に交流または直流を印加して電気化学的に粗面化する電解粗面化処理のうちの少なくとも1種である平版印刷版用支持体の製造方法である。
【0019】機械的粗面化処理においては、パミスストーンや珪砂などの研磨材を用いるから、機械的粗面化処理でアルミニウム板の表面に付着した研磨材を水洗によって除去しようとすると大量の洗浄水が必要になり、また、大量の廃水が発生する。また、エッチング処理および電解粗面化処理の後に水洗を行っても大量の廃水が発生する。
【0020】しかし、前記平版印刷版用支持体の製造方法においては、ドライアイス粒子を噴射して前記研磨材を除去するから、前記水洗に使用する洗浄水が不要になり、、廃水の発生量も大幅に削減できる。
【0021】請求項4に記載の発明は、前記粗面化工程において、前記アルミニウム板に機械的粗面化処理を施し、次いでエッチング処理および電解粗面化処理の少なくとも一方を施す平版印刷版用支持体の製造方法に関する。
【0022】前記製造方法によれば、粗面化された側の面に製版層を形成することにより、印刷時の水バランスに優れた平版印刷原版が得られる平版印刷版用支持体を製造できる。
【0023】前記製造方法において、機械的粗面化処理の後に、エッチング処理または電解粗面化処理の少なくとも一方を施すときは、機械的粗面化処理の後と、前記エッチング処理または前記電解粗面化処理の後とにドライアイス粒子を噴射してもよく、前記エッチング処理または前記電解粗面化処理の後にのみ、ドライアイス粒子を噴射してもよい。
【0024】また、機械的粗面化処理の後に、エッチング処理と電解粗面化処理との両方を施すときは、各粗面化処理の後にドライアイス粒子を噴射してもよく、機械的粗面化後のドライアイス粒子の噴射を省略してもよく、エッチング処理と電解粗面化処理との間、またはエッチング処理と電解粗面化処理との後におけるドライアイス粒子の噴射を省略してもよい。
【0025】請求項5に記載の発明は、前記陽極酸化工程において、前記陽極酸化処理を施したアルミニウム板の表面を親水化する親水化処理を行なう平版印刷版用支持体の製造方法に関する。
【0026】前記製造方法で得られた平版印刷版用支持体に製版層を形成した平版印刷原版は、陽極酸化皮膜と製版層との間の接着性が高いから、耐刷性に特に優れている。
【0027】請求項6に記載の発明は、前記陽極酸化工程において、前記陽極酸化処理により形成された陽極酸化皮膜における細孔を封ずる封孔処理を行なう平版印刷版用支持体の製造方法に関する。
【0028】前記製造方法で得られた平版印刷版用支持体においては、陽極酸化皮膜の欠陥が特に少ないから、前記平版印刷版用支持体から得られた平版印刷原版は、耐久性に特に優れる。
【0029】請求項7に記載の発明は、前記アルミニウム板が、アルミニウム含有量が99.4〜95重量%であり、しかも、Fe、Si、Cu、Mg、Mn、Zn、Cr、およびTiからなる群より選択された1以上の元素を含有するアルミニウム地金から製造されてなる平版印刷版用支持体の製造方法に関する。
【0030】前記アルミニウム地金としては、前記再生アルミニウム地金が挙げられる。前記スクラップ材および再生アルミニウム地金は、前述のように、新地金に比較して安価であるから、前記製造方法によれば、平板印刷版用支持体をより安価に製造できる。
【0031】請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか1項に記載の平版印刷版用支持体の製造方法により製造されたことを特徴とする平版印刷版用支持体に関する。
【0032】前記平板印刷版用支持体における粗面化処理が施された側の面に、感光性または感熱性の製版層を形成することにより、過酷インキ汚れ、ブラン汚れ、ポツ汚れなどが発生することがなく、耐刷性に優れた平板印刷原版が得られる。
【0033】請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の平版印刷版用支持体における粗面化処理された側の面に、感光性または感熱性の製版層を形成してなることを特徴とする平版印刷原版に関する。
【0034】前記平板印刷原版は、過酷インキ汚れ、ブラン汚れ、ポツ汚れなどが発生することがなく、耐刷性に優れている。
【0035】
【発明の実施の形態】1.アルミニウム板本発明において使用されるアルミニウム板としては、前記アルミニウム等から形成されたシートまたは板材のほか、スクラップ材および再生アルミニウム地金などから形成されたシートまたは板材が挙げられる。
【0036】前記アルミニウム等としては、たとえばJIS A−1050材、JIS A−1100材などの純アルミニウム材、およびJIS A−3003材、JISA−3103材、JIS A−5005材などのアルミニウム合金材などが挙げられる。
【0037】前記再生アルミニウム地金は、前述のように、Fe、Si、Cu、Mg、Mn、Zn、Cr、およびTiなどの各種の元素を含んでいてもよいが、アルミニウムの含有量が99.4〜95重量%の範囲であることが好ましい。
【0038】Feの含有率は0.3〜1.0重量%であるのが好ましい。Feは新地金においても0.1〜0.2重量%前後含有される元素で、アルミニウム中に固溶する量は少なく、殆どが金属間化合物として残存する。Feの含有率が前記範囲であるアルミニウム板は、圧延途中に割れが発生し難く、しかも安価であるから好ましい。より好ましいFeの含有率は0.5〜1.0重量%である。
【0039】Siの含有率は0.15〜1.0重量%であるのが好ましい。SiはJIS2000系、4000系、6000系材料のスクラップに多く含まれる元素である。また、新地金においても0.03〜0.1重量%前後含有される元素であり、アルミニウム中に固溶した状態、または、金属間化合物として存在する。Siが過剰に含まれているアルミニウム地金を加熱すると、固溶していたSiが単体Siとして析出することがある。FeSi系の金属間化合物と単体Siとは耐過酷インキ汚れ性に悪影響を与えることが知られている。しかし、Siの含有率が前記範囲内であれば、たとえ前記金属間化合物および単体Siが表面に析出しても、後述する硫酸による処理(デスマット処理工程)で充分に除去できるから、耐過酷インキ汚れ性などの点で問題が生じることはなく、また、コスト的にも有利である。より好ましいSiの含有率は0.3〜1.0重量%である。
【0040】Cuの含有率は0.1〜1.0重量%であるのが好ましい。CuはJIS2000系、4000系材料のスクラップに多く含まれる元素であり、比較的アルミニウムに中に固溶しやすい。Cuの含有率が前記範囲内であれば、前記デスマット処理により充分に除去でき、また、コスト面でも有利である。より好ましいCuの含有率は0.3〜1.0重量%である。
【0041】Mgの含有率は0.1〜1.5重量%であるのが好ましい。MgはJIS2000系、3000系、5000系、7000系材料のスクラップに多く含まれる元素である。特にcan end材に多く含まれるため、スクラップ材に含まれる主要な不純物金属の1つである。Mgも比較的アルミニウム中に固溶しやすく、Siと金属間化合物を形成する。しかし、Mgの含有率が前記範囲内であれば、前記金属間化合物は、前記デスマット処理で容易に除去できるから、たとえスクラップ材や再生アルミニウム地金を圧延したアルミニウム板を用いた場合においても、所謂バージン材から作製した平版印刷原版とほぼ同様の性能を有する平版印刷原版が得られる。より好ましいMgの含有率は0.5〜1.5重量%で、さらに好ましくは1.0〜1.5重量%である。
【0042】Mnの含有率は0.1〜1.5重量%であるのが好ましい。MnはJIS3000系材料のスクラップに多く含まれる元素である。特にcan body材に多く含まれるため、スクラップ材に含まれる主要な不純物金属の1つである。Mnも比較的アルミニウム中に固溶しやすく、AlFeSiと金属間化合物を形成する。しかし、Mnの含有率が前記範囲内であれば、SiおよびMgのところで述べたのと同様の理由から好ましい。より好ましいMnの含有率は0.5〜1.5重量%、さらに好ましくは1.0〜1.5重量%である。
【0043】Znの含有率は0.1〜0.5重量%であるのが好ましい。Znは、特にJIS7000系のスクラップに多く含まれる元素であり、比較的アルミニウム中に固溶しやすい。しかし、Znの含有率が前記範囲内であれば、前記デスマット処理により、容易に除去できるから、所謂バージン材から作製した平版印刷原版とほぼ同様の性能を有するものが安価に得られる点で好ましい。より好ましいZnの含有率は0.3〜0.5重量%である。
【0044】Crの含有率は0.01〜0.1重量%であるのが好ましい。CrはJIS5000系、6000系、7000系のスクラップに少量含まれる不純物金属である。Crの含有率が前記範囲内であれば、前記デスマット処理により充分除去できるから、耐過酷インキ汚れ性などの点で問題になることはない。また、コスト的にも有利である。より好ましいCrの含有率は0.05〜0.1重量%である。
【0045】Tiの含有率は0.03〜0.5重量%であるのが好ましい。Tiは通常結晶微細化材として0.01〜0.04重量%添加される元素である。JIS5000系、6000系、7000系のスクラップには不純物金属として比較的多めに含まれる。Tiの含有率が前記範囲内であれば、CrおよびZnのところで述べたのと同様の理由から好ましい。より好ましいTiの含有率は0.05〜0.5重量%である。
【0046】本発明で用いるアルミニウム板は、例えば、前記アルミニウム等、スクラップ材、または再生アルミニウム地金を常法で鋳造した鋳塊に、適宜圧延処理や熱処理を施し、厚さ0.1〜0.7mmまで圧延し、必要に応じて平面性矯正処理を施して製造される。
【0047】なお、前記アルミニウム等、スクラップ材、再生アルミニウム地金の鋳造方法としては、DC鋳造法、DC鋳造法において均熱処理および焼鈍処理の少なくとも一方を省略した方法、および連続鋳造法を用いることができる。
【0048】前記アルミニウム板は、帯状の薄板の連続体であるアルミニウムウェブであってもよいし、最終製品である平版印刷原版のサイズに予め切断された枚葉状のシートであってもよい。
【0049】2.粗面化工程および陽極酸化工程本発明の平板印刷版用支持体の製造方法は、前記アルミニウム板の表面を粗面化する粗面化工程のみを有してもよく、前記粗面化工程に加えて、前記粗面化工程において粗面化されたアルミニウム板の表面を陽極酸化処理する陽極酸化工程を有していてもよい。
【0050】前記粗面化工程に加えて陽極酸化工程を有する場合には、粗面化工程と陽極酸化工程とにおいてドライアイス粒子の噴射を行うことが好ましい。
【0051】前述のように、粗面化工程においては、通常、アルミニウム板に、機械的粗面化処理、エッチング処理、および電解粗面化処理の少なくとも1種の粗面化処理を施す。
【0052】前記アルミニウム板に、機械的粗面化処理を施し、次いで、エッチング処理、電解粗面化処理の順に粗面化処理を施すことが好ましいが、前記機械的粗面化処理を省略してもよい。また、エッチング処理の後にデスマット処理を行なってもよい。
【0053】更に、前記電解粗面化処理を施したアルミニウム板に2回目のエッチング処理を施してもよい。2回目のエッチング処理を施す場合には、1回目および2回目のエッチング処理の後にデスマット処理を行なっても良い。
【0054】更に、前記アルミニウム板に、1回目のエッチング処理およびデスマット処理を施し、次いで、予備の電解粗面化処理を施し、その後、2回目のエッチング処理およびデスマット処理を施し、電解粗面化処理を施し、最後に3回目のエッチング処理およびデスマット処理を施してもよい。
【0055】前記粗面化工程において粗面化処理を1回だけ行なう場合には、前記粗面化処理の後にドライアイス粒子を噴射することが好ましい。
【0056】一方、前記粗面化工程において2回以上の粗面化処理を行なう場合には、最後の粗面化処理の後にドライアイス粒子を噴射してもよいが、各粗面化処理の後にドライアイス粒子を噴射することが好ましい。また、エッチング処理の後にデスマット処理を行なう場合には、エッチング処理の後とデスマット処理の後とにドライアイス粒子を噴射することが好ましい。
【0057】前記陽極酸化工程においては、前記粗面化工程で粗面化したアルミニウム板を陽極酸化処理した後、陽極酸化皮膜を親水化する親水化処理を施したり、前記陽極酸化皮膜の細孔を塞ぐ封孔処理を施したりしてもよい。
【0058】前記陽極酸化工程において親水化処理または封孔処理などの後処理を行なう場合には、前記親水化処理または封孔処理の後にドライアイス粒子を噴射することが好ましい。
【0059】(1)ドライアイス粒子噴射ドライアイス粒子としては、ドライアイス粉末およびドライアイスペレットの何れも使用できる。ドライアイス粒子の平均粒子径は、1〜1000μmの範囲が好ましく、特に10〜100μmの範囲が好ましい。
【0060】ドライアイス粒子噴射は、たとえば図1に示すドライアイス粉末噴射装置100を用いて行なうことができる。
【0061】図1に示すように、ドライアイス粉末噴射装置100は、液化炭酸を急激に膨張させてドライアイス粉末に変化させる膨張室Aと、膨張室Aに液化炭酸を供給する炭酸ガスボンベBと、膨張室Aで生成したドライアイス粉末を噴射するドライアイス噴射ノズルCと、前記ドライアイス噴射ノズルCに窒素ガスを供給する窒素ガスボンベDとを備える。
【0062】炭酸ガスボンベBと膨張室Aとは液化炭酸供給管路B2で接続され、膨張室Aとドライアイス噴射ノズルCとは、ドライアイス粉末吸出し管路A2で接続されている。一方、窒素ガスボンベDとドライアイス噴射ノズルCとの間には、窒素ガス供給管路D2が設けられている。
【0063】液化炭酸供給管路B2および窒素ガス供給管路D2には、それぞれ減圧弁B4およびD4が設けられている。
【0064】ドライアイス噴射ノズルCの構成の詳細を図2に示す。図2に示すように、ノズルCは、前記ドライアイス粉末を噴射する略円筒状のドライアイス噴射管C2と、ドライアイス噴射管C2の一端に連続して形成され、S字状に屈曲し、ドライアイス噴射管C2の内径よりも大きな内径を有する拡大部が内部に形成されたエジェクタC4と、エジェクタC4内部に先端部が貫入したドライアイス供給管C6とを備える。
【0065】エジェクタC4におけるドライアイス噴射管C2に連続する側の端部においては、拡大部は、内径が円錐状に縮小し、ドライアイス噴射管C2の内壁に連続する縮径部C8を形成している。
【0066】ドライアイス供給管C6は、全体として略円筒状であり、先端には、ドライアイス噴射管C2の内径よりも僅かに小さな外径を有する円筒状の小径部C10が形成されている。小径部C10は、噴射管2の内壁面における縮径部C8近傍の部分に、ドライアイス噴射管C2に対して同心に延在している。したがって、小径部C10と、エジェクタC4における縮径部C8およびドライアイス噴射管C2の内壁面との間には、円筒状の狭小な隙間が形成される。
【0067】エジェクタC4におけるドライアイス噴射管C2に連続する側とは反対側の端部には、窒素ガス供給管路D2が接続され、ドライアイス供給管C6におけるドライアイス粉末を噴射する側とは反対側の端部には、ドライアイス粉末吸出し管路A2が接続されている。ドライアイス供給管C6とドライアイス粉末吸出し管路A2との間、およびエジェクタC4と窒素ガス供給管路D2との間との間には、それぞれロータリージョイントC12およびC14が介装されている。ロータリージョイントC12およびC14により、ドライアイス供給管C6とドライアイス粉末吸出し管路A2、およびエジェクタC4と窒素ガス供給管路D2とは、互いに回転可能に結合されている。
【0068】ドライアイス粉末噴射装置100の作用について以下に説明する。
【0069】炭酸ガスボンベBから膨張室Aに液化炭酸を供給すると、前記液化炭酸は、膨張室A内で急激に膨張して半分が雪状のドライアイス粉末になり、残りが気化する。そして、前記ドライアイス粉末は、膨張室A内に蓄積する。炭酸ガスボンベBからの膨張室Aへの液化炭酸の供給量は、ドライアイス噴射ノズルC1個当たり0.1〜1kg/分の範囲が好ましく、供給圧力は、1〜20MPaが好ましい。
【0070】一方、窒素ガスボンベDからドライアイス噴射ノズルCに窒素ガスを供給すると、前記窒素ガスは、ドライアイス供給管C6における小径部C10と、エジェクタC4における縮径部C8およびドライアイス噴射管C2の内壁面との間の狭小な隙間を高速で流通し、ドライアイス噴射管C2の先端から外部に噴射される。これにより、ドライアイス噴射管C2の内部における小径部C10の先端近傍に減圧部が形成されるから、膨張室A内部のドライアイス粉末は、ドライアイス粉末吸出し管路A2およびドライアイス供給管C6を通ってドライアイス噴射管C2の内部に吸い出される。そして、前記窒素ガスの流れに乗ってドライアイス噴射管C2の先端から外部に噴射される。
【0071】前記ドライアイス粉末噴射装置100において平均粒径1000μm程度のドライアイスペレットを噴射するときは、ドライアイス粉末をペレット化してドライアイスペレットにするペレタイザを膨張室Aに設け、前記ペレタイザで得られたドライアイスペレットをドライアイス噴射ノズルCから噴射することが好ましい。
【0072】ドライアイス噴射ノズルCからアルミニウム板に前記ドライアイス粉末を噴射する圧力は、1〜20MPaが好ましい。また、ドライアイス噴射ノズルCの先端から洗浄しようとするアルミニウム板までの間隔は、1〜100mmが好ましく、特に10〜50mmの範囲が好ましい。
【0073】(2)粗面化処理(2−1)機械的粗面化処理機械的粗面化処理においては、前記アルミニウム板の一方または両方の面を、円柱状の胴の表面に、ナイロン(商標名)、プロピレン、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂からなる合成樹脂毛などのブラシ毛を多数植設したローラ状ブラシを用いて擦って粗面化することが一般的である。但し、表面に研磨層を設けたローラである研磨ローラを使用してもよい。
【0074】前記ローラ状ブラシにおけるブラシ毛の長さは、前記ローラ状ブラシの外径および胴の直径に応じて適宜定めることができるが、一般的には、10〜100mmの範囲である。
【0075】研磨材としては、珪砂およびパミスストーンが使用されるが、珪砂は、パミスストーンに比較して硬く、壊れ難いので、アルミニウム板の表面を非常に効率良く目立てできるから好ましい。
【0076】前記研磨材の平均粒径は、粗面化効率が高く、しかも砂目立てピッチが狭くできる点から、3〜40μmの範囲が好ましく、特に、10〜30μmの範囲が好ましい。
【0077】前記研磨材は、例えば水中に懸濁させた研磨スラリー液として使用できる。前記研磨スラリー液には、他に、増粘剤、界面活性剤等の分散剤、および防腐剤等を配合してもよい。
【0078】前記ローラ状ブラシを用いた機械的粗面化装置の一例を図3に示す。
【0079】図3に示す機械的粗面化装置110は、本発明におけるアルミニウム板の一例であるアルミニウムウェブWが搬送される経路である搬送面Tの上方に配設され、前記アルミニウムウェブWの上面を粗面化する3本のローラ状ブラシ2A、2B、および2Cと、ローラ状ブラシ2A、2B、および2Cのそれぞれに対し、前記搬送面Tを挟んで反対側に2個づつ設けられ、アルミニウムウェブWを下方から支持する支持ローラ4A、4A’、4B、4B’、4C、および4C’と、上面が開口した箱状であり、ローラ状ブラシ2A、2B、2C、および支持ローラ4A、4A’、4B、4B’、4C、4C’を収容する筐体8とを備えている。
【0080】ローラ状ブラシ2A、2B、および2CのそれぞれにおけるアルミニウムウェブWの搬送方向tに対して上流側(以下、単に「上流側」という。)には、アルミニウムウェブWの上面に前記珪砂のスラリーである研磨材スラリーを供給するスラリー供給管6A、6B、および6Cが設けられている。
【0081】ローラ状ブラシ2A,2B、2Cの回転速度は、100〜1000回転/分程度が好ましく、又、回転方向は、アルミニウムウェブWにおける研磨面において、アルミニウムウェブWの搬送方向tと同方向であっても反対方向であってもよい。
【0082】また、ローラ状ブラシ2A、2B、および2Cのそれぞれには、ローラ状ブラシ2A、2B、および2Cを上下方向に移動させるブラシ移動機構(図示せず。)を設けてもよい。前記ブラシ移動機構を設けることにより、前記ローラ状ブラシ2A、2B、および2CのアルミニウムウェブWへの押圧力が調節できる。
【0083】筐体8の上方における上流側には、機械的粗面化装置110に向かって搬送されたアルミニウムウェブWを筐体8の内部に導く1対の入口側ニップローラ10が設けられ、下流側には、ローラ状ブラシ2A、2B、および2Cで粗面化されたアルミニウムウェブWを筐体8の外部に導く1対の出口側ニップローラ12が設けられている。また、ローラ状ブラシ2Aの上流側には、入口側ニップローラ10により筐体8の内部に導かれたアルミニウムウェブWをローラ状ブラシ2Aと支持ローラ4Aとの間に導く上流側ガイドローラ14が設けられ、ローラ状ブラシ2Cの下流側には、ローラ状ブラシ2A、2B、および2Cで粗面化されたアルミニウムウェブWを出口側ニップローラ12に導く下流側ガイドローラ16が設けられている。なお、出口側ニップローラ12は、アルミニウムウェブWに付着した研磨材スラリーを切り、後述するドライアイス洗浄装置120に前記研磨材スラリーが大量に持ち込まれるのを防止する機能も有する。
【0084】筐体8の下方には、スラリー供給管6A、6B、および6Cから供給された研磨材スラリーを回収するスラリー回収槽18が設けられている。筐体8の底面には、前記研磨材スラリーをスラリー回収槽18に落下させるスラリー回収管路20が接続されている。
【0085】スラリー回収槽18の底面近傍には、スラリー回収槽18中の研磨材スラリーをスラリー供給管6A、6B、6Cに供給するスラリー供給管路22が接続されている。スラリー供給管路22にはポンプP1が介装されている。
【0086】機械的粗面化装置110には、更に、スラリー回収槽18中の研磨材スラリーに含まれる研磨材の平均粒径が一定になるように調整する粒子径調整部24が設けられている。
【0087】粒子径調整部24は、前記研磨材スラリーから粒径の小さな粒子を分離して除去するサイクロンなどの分級器26と、スラリー回収槽18中の研磨材スラリーを分級器26に導入する管路28と、分級器26で分級された研磨材のうち粒径の大きな方をスラリー回収槽18に戻すスラリー戻し管路30と、前記研磨材のうち粒径の小さな方を排出するスラリー排出管路32とを備える。なお、管路28にはポンプP2が介装されている。
【0088】スラリー回収槽18には、更に、内部の研磨材スラリーを攪拌して研磨材が沈殿しないようにする攪拌機34が設けられている。
【0089】機械的粗面化装置110の搬送方向tに対して下流側(以下、単に「下流側」という。)には、機械的粗面化装置110で機械的粗面化処理されたアルミニウムウェブWの表面をドライアイス粒子で洗浄するドライアイス洗浄装置120が配設されている。
【0090】ドライアイス洗浄装置120は、内部をアルミニウムウェブWが通過する筐体36と、筐体36の内部に配設され、アルミニウムウェブWの両面にドライアイス粒子を噴射するドライアイス噴射ノズルCとを有する。
【0091】ドライアイス噴射ノズルCは、図1に示すように、ドライアイス粉末噴射装置100に接続されている。詳細な構成は、図2に示す通りである。
【0092】ドライアイス噴射ノズルCは、ドライアイス噴射管C2の先端がアルミニウムウェブWに向くように配設されている。ドライアイス噴射ノズルCは、図4に示すように、搬送方向tに対する角度θがある一定の角度、例えば45℃である仮想線に沿って1列または2列以上に配列することができる。なお、図4において、前記仮想線を1点鎖線で示す。図4に示すようにドライアイス噴射ノズルCを配列すれば、図5に示すように、ドライアイス噴射管C2からアルミニウムウェブWに噴射されたドライアイス粒子の噴射パターンBpが互いに重なるから、前記アルミニウムウェブWの表面に、幅方向の洗浄むらが生じ難い故に好ましい。
【0093】筐体36の上面には、アルミニウムウェブWに噴射されたドライアイス粒子が昇華して生じた炭酸ガスを外部に排出する排気ダクト36Aが設けられ、筐体36の底面には、アルミニウムウェブWの表面から除去された研磨材スラリーを外部に排出する排液管36Bが設けられている。
【0094】(2−2)エッチング処理前記エッチング処理は、通常、前記アルミニウム板をアルカリ剤に接触させることにより行なわれる。
【0095】アルミニウム板をアルカリ剤に接触させる方法としては、例えば前記アルカリ剤を収容する槽中に前記アルミニウム板を連続的に通過させる方法、前記アルカリ剤を収容する槽中に前記アルミニウム板を浸漬する方法、および前記アルカリ剤を前記アルミニウム板の表面に噴霧する方法などがある。
【0096】前記アルカリ剤としては、苛性アルカリおよびアルカリ金属塩の溶液等が挙げられる。前記溶液における苛性アルカリおよびアルカリ金属塩の濃度は0.01〜30重量%が好ましく、温度は20〜90℃の範囲が好ましい。
【0097】苛性アルカリとしては、苛性ソーダおよび苛性カリ等が挙げられる。
【0098】前記アルカリ金属塩としては、メタ珪酸ソーダ、珪酸ソーダ、メタ珪酸カリ、および珪酸カリ等のアルカリ金属珪酸塩、炭酸ソーダおよび炭酸カリ等のアルカリ金属炭酸塩、アルミン酸ソーダおよびアルミン酸カリ等のアルカリ金属アルミン酸塩、グルコン酸ソーダおよびグルコン酸カリ等のアルカリ金属アルドン酸塩、並びに第二燐酸ソーダ、第二燐酸カリ、第三燐酸ソーダ、および第三燐酸カリ等のアルカリ金属燐酸水素塩等が挙げられる。前記アルカリ剤としては、エッチング速度が速い点および安価である点から、苛性アルカリの溶液、および前記苛性アルカリとアルカリ金属アルミン酸塩との溶液が特に好ましい。
【0099】エッチング量は、0.1〜20g/m2の範囲が好ましく、1〜15g/m2の範囲が特に好ましく、2〜10g/m2の範囲が最も好ましい。エッチング時間は、1〜180秒の範囲が好ましい。エッチング量およびエッチング時間が前記範囲内であれば、機械的粗面化処理で平版印刷版用支持体の表面に形成された凹凸が適度に残存するから、非画像部における保水性が高く、非画像部にインキが付着して所謂ブラン汚れなどの外観不良を生じさせることのない平版印刷原版が作製できる平版印刷版用支持体が得られる。
【0100】前記エッチング処理は、アルミニウム板のエッチング処理に通常に使用されるエッチング槽を用いて行うことができる。前記エッチング槽としては、バッチ式および連続式の何れも使用できる。また、前記エッチング槽の代わりに、前記アルカリ剤をアルミニウム板に噴霧する噴霧装置を用いてもよい。なお、前記エッチング槽または噴霧装置の下流側に、「(2−1)機械的粗面化」のところで述べたドライアイス洗浄装置120と同様のドライアイス洗浄装置を設け、前記エッチング処理においてアルミニウム板の表面に付着したアルカリ剤を、ドライアイス粒子を噴射することにより、除去することが好ましい。
【0101】(2−3)電解粗面化処理電解粗面化処理としては、酸性溶液中において前記アルミニウム板に直流または交流を印加して前記アルミニウム板を電解する処理が挙げられるが、前記アルミニウム板に交流を印加する交流電解粗面化が一般的である。
【0102】上記交流電解粗面化においては、酸性水溶液中で、アルミニウム板を電極として交流電流を通じて電解し、前記アルミニウム板の表面を粗面化する。
【0103】前記交流電解粗面化に用いる交流電流の波形は、サイン波、矩形波、三角波、台形波等が挙げられ、この中でも矩形波および台形波が好ましい。
【0104】前記交流電流の周波数は、電源装置を製作するコストの観点から30〜200Hzが好ましく、40〜120Hzがより好ましい。
【0105】前記交流電流におけるアノード反応時間ta、カソード反応時間tc、電流値が0から正または負のピークに達するまでの時間tpは、前記交流電流が台形波である場合において、0.1〜2msecが好ましく、0.3〜1.5msecがより好ましい。上記時間tpが0.1msec以上であれば、電源回路のインピーダンスの影響が少なく、電流波形の立ち上がり時に大きな電源電圧が不要であるから、電源の設備コストが安価である。また、上記時間tpが2msec以下であれば、酸性水溶液中の微量成分の影響は無視できる程度であり、均一な粗面化処理が行なわれる。
【0106】一方、前記交流電流におけるアノードサイクル側のピーク時の電流Iap、および、カソードサイクル側のピーク時の電流Icpは、ともに10〜200A/dm2が好ましい。また、Icp/Iapは、0.9〜1.5の範囲内にあることが好ましい。
【0107】上記粗面化処理工程において、電気化学的な粗面化が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和は、1〜500クーロン/dm2が好ましい。
【0108】前記交流電解粗面化においては、アルミニウム板が陽極となる時における電気量、即ち陽極時電気量QAと、陰極となる時における電気量、即ち陰極時電気量QCとの比QC/QAが0.9〜1の範囲内であれば、該アルミニウム板表面にハニカム状の細孔であるハニカムピットを均一に形成することができるから好ましい。特に、上記QC/QAが0.95〜0.99の範囲内であれば好ましい。
【0109】前記交流電解粗面化において用いられる交流電流のdutyは、アルミニウム板表面を均一に粗面化する点から0.25〜0.5の範囲内が好ましく、電源装置の製作上の都合からは0.5が最も好ましい。本発明でいうdutyとは、交流電流の周期Tにおいて、アルミニウム板が陽極反応する時間(アノード反応時間)をtaとしたときのta/Tをいう。特に、カソード反応時のアルミニウム板表面には、水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分が生成し、更に、酸化被膜の溶解や破壊が発生することがある。そして、前記酸化皮膜の溶解や破壊が生じると、前記溶解や破壊が生じた部分は、次のアルミニウム板のアノード反応時におけるピッティング反応の開始点となる。したがって、交流電流のdutyの選択は均一な交流電解粗面化を行なう点から特に重要である。
【0110】なお、前記交流電解粗面化において、交流電流の流れない時間を1回以上設け、前記時間を0.001秒以上0.6秒未満とすれば、前記ハニカムピットがアルミニウム板の表面全体に均一に形成されるから好ましい。
【0111】本発明に用いる酸性水溶液としては、通常の直流電流または交流電流を用いた電機化学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、その中でも硝酸を主体とする酸性水溶液を用いることが好ましい。ここで、本発明でいう「主体とする」とは、水溶液中に主体となる成分が、成分全体に対して、30質量%以上、好ましくは50質量%以上含まれていることをいう。以下、他の成分においても同様である。
【0112】上記硝酸を主体とする酸性水溶液としては、上述の通り、通常の直流電流または交流電流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、例えば、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸化合物のうち1つ以上を、0.01g/リットルから飽和に達するまで、硝酸濃度5〜15g/リットルの硝酸水溶液に添加して使用することができる。上記硝酸を主体とする酸性水溶液中には、Fe、Si、Cu、Mg、Mn、Zn、Cr、およびTi等のアルミニウム板中に含まれる金属等が溶解されていてもよい。
【0113】上記硝酸を主体とする酸性水溶液としては、硝酸と、アルミニウム塩と、硝酸塩とを含有し、かつ、アルミニウムイオンが1〜15g/リットル、好ましくは1〜10g/リットル、およびアンモニウムイオンが10〜300ppmとなるように、硝酸濃度5〜15g/リットルの硝酸水溶液中に硝酸アルミニウムおよび硝酸アンモニウムを添加して得られたものを用いることが好ましい。なお、上記アルミニウムイオンとアンモニウムイオンとは電気化学的な粗面化処理をおこなっている間に自然発生的に増加していくものである。また、この際の液温は10〜95℃が好ましく、40〜80℃がより好ましい。
【0114】前記電解粗面化処理においては、縦型、フラット型、およびラジアル型など、各種の電解槽が使用できる。なお、前記電解槽の下流側に、「(2−1)機械的粗面化」のところで述べたドライアイス洗浄装置120と同様のドライアイス洗浄装置を設け、前記電解粗面化処理においてアルミニウム板の表面に付着した酸性水溶液を、ドライアイス粒子を噴射することにより除去することが好ましい。
【0115】(2−4)デスマット処理デスマット処理は、前記エッチング処理に前記アルミニウム板の表面に生じたFeなどの酸化物および水酸化物などを主体とする黒色の粉末であるスマットを除去する処理である。
【0116】前記デスマット処理は、通常、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸、およびクロム酸のうち、一種以上を含む酸性水溶液に前記アルミニウム板を浸漬するか、または前記アルミニウム板の表面に前記酸性水溶液を噴霧することにより、行うことができる。
【0117】前記酸性水溶液中の酸濃度は、1〜500g/リットルが好ましい。
【0118】前記酸性水溶液中には、アルミニウムイオンおよび前記アルミニウム板中のFeなどの不純物に由来する金属イオンが溶解していてもよいが、前記アルミニウムイオンおよび金属イオンの溶解量は、0.1〜15g/リットルが好ましい。
【0119】前記酸性溶液の液温は、20〜95℃が好ましく、とくに30〜80℃が好ましい。
【0120】前記デスマット処理の時間は、1〜180秒が好ましい。
【0121】前記酸性水溶液としては、前記電解粗面化処理で使用された酸性水溶液を使用すれば、廃液量を削減できるから好ましい。
【0122】なお、前記酸性水溶液としては、酸として主に硫酸を含有する硫酸水溶液、酸として主に硝酸を含有する硝酸水溶液、および酸として主に塩酸を含有する塩酸水溶液が特に好ましい。特に、デスマット処理されたアルミニウム板を陽極酸化処理する場合には、前記デスマット処理においては硫酸水溶液を使用することが好ましい。
【0123】(a)硫酸水溶液前記硫酸水溶液中の硫酸の濃度は、100〜500g/リットルが好ましく、特に250〜300g/リットルが好ましい。液温は、60〜90℃が好ましい。また、前記酸性水溶液のところで述べたアルミニウムイオンおよび金属イオンを含有していてもよいが、アルミニウムイオン濃度は、前記液温において、固形の硫酸アルミニウムが析出しない程度であることが好ましく、具体的には、0.1〜15g/リットルの範囲が好ましく、特に、0.1〜10g/リットルの範囲が好ましい。
【0124】前記硫酸水溶液中におけるデスマット処理時間は、1〜180秒が好ましい。前記電解粗面化処理前にデスマット処理を行なう場合には、特に60〜120秒の範囲が好ましく、後述する陽極粗面化処理前にデスマット処理を行なう場合には、特に1〜10秒の範囲が好ましい。
【0125】(b)硝酸水溶液前記硝酸水溶液中の硝酸の濃度は、1〜20g/リットルの範囲が好ましい。また、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、および硝酸アンモニウムから選択される硝酸塩を1種以上含有していてもよい。前記硝酸塩の含有量は、1g〜飽和量/リットルが好ましい。更に、前記硝酸水溶液中には、Fe、Si、Cu、Mg、Mn、Zn、Cr、およびTiのイオンが含まれていてもよい。
【0126】前記硝酸水溶液としては、硝酸5〜15g/リットル、アルミニウムイオン5〜15g/リットル、アンモニウムイオン10〜300ppmになるように、希硝酸に硝酸アルミニウムおよび硝酸アンモニウムを添加した溶液が最も好ましい。
【0127】液温は、40〜80℃が好ましく、50〜70℃が最も好ましい。
【0128】(c)塩酸水溶液前記塩酸水溶液中の塩酸の濃度は、1〜20g/リットルの範囲が好ましい。また、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、および塩化アンモニウムから選択される塩化物を1種以上含有していてもよい。前記塩化物の含有量は、1g〜飽和量/リットルが好ましい。更に、前記塩酸水溶液中には、Fe、Si、Cu、Mg、Mn、Zn、Cr、およびTiのイオンが含まれていてもよい。
【0129】前記塩酸水溶液としては、塩酸5〜15g/リットル、アルミニウムイオン5〜15g/リットル、アンモニウムイオン10〜300ppmになるように、希塩酸に塩化アルミニウムおよび塩化アンモニウムを添加した溶液が最も好ましい。
【0130】液温は、10〜95℃が好ましく、30〜50℃が最も好ましい。
【0131】(3)陽極酸化処理陽極酸化処理においては、前記粗面化処理が施されたアルミニウム板を、常法に従って陽極酸化処理する。
【0132】陽極酸化処理においては、たとえば硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、およびアミドスルホン酸の少なくとも1種を含有する電解液中で、前記アルミニウム板に直流または脈流を印加する。
【0133】陽極酸化処理に使用される電解液としては、前記電解液のほかに、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、およびアミドスルホン酸の少なくとも1種とアルミニウムイオンとを含有するものも挙げられる。
【0134】電解液における電解質の濃度は、1〜80重量%の範囲が好ましく、温度は、5〜70℃の範囲が好ましい。
【0135】陽極酸化処理は、陽極酸化皮膜の量が0.1〜10g/m2になるように行なうことが、平版印刷版用支持体の耐磨耗性、ひいては前記平版印刷版用支持体を支持体とする平版印刷原版の耐久性の点から好ましく、電流密度は、0.5〜60A/dm2の範囲が好ましく、電圧は、1〜100Vの範囲が好ましい。電解時間は1秒〜5分の範囲が好ましい。
【0136】3.平版印刷原版本発明の平版印刷原版は、前記平版印刷版用支持体における機械的粗面化処理等を施した側の表面に感光性樹脂を含有する感光性樹脂溶液を塗布し、暗所で乾燥することにより形成できる。
【0137】感光性樹脂溶液の塗布方法としては、回転塗布法、ワイヤーバー法、ディップ塗布法、エアーナイフ塗布法、ロール塗布法、およびブレード塗布法等、従来公知の方法が挙げられる。
【0138】前記平版印刷版用支持体の機械的粗面化処理等を施した側の表面に感光性の製版層を形成するには、予め、必要に応じて、珪酸ソーダおよび珪酸カリ等のアルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬して親水化処理するか、または、親水性ビニルポリマーまたは親水性化合物を塗布して親水性の下塗り層を形成することが好ましい。
【0139】珪酸ソーダおよび珪酸カリ等のアルカリ金属珪酸塩の水溶液による親水化処理は、米国特許第2,714,066号明細書および米国特許第3,181,461号明細書に記載の方法および手順に従って行なうことができ、前記親水性の下塗り層の形成は、特開昭59−101651号公報および特開昭60−149491号公報に記載された条件および手順にしたがって行なうことができる。前記親水性ビニルポリマーとしては、ポリビニルスルホン酸、およびスルホン酸基を有するp−スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の通常のビニルモノマーとの共重合体が挙げられ、親水性化合物としては、NH2基、−COOH基、およびスルホン基の少なくとも1つを有する化合物が挙げられる。
【0140】前記製版層の形成に使用される感光性樹脂としては、光が当たると現像液に溶けるようになるポジ型感光性樹脂、および光が当たると現像液に溶解しなくなるネガ型感光性樹脂が挙げられる。
【0141】ポジ型感光性樹脂としては、キノンジアジド化合物およびナフトキノンジアジド化合物等のジアジド化合物と、フェノールノボラック樹脂およびクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂との組み合わせ等が挙げられる。
【0142】一方、ネガ型感光性樹脂としては、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等のアルデヒド類との縮合物等のジアゾ樹脂、前記ジアゾ樹脂の無機酸塩、および前記ジアゾ樹脂の有機酸塩等のジアゾ化合物と、(メタ)アクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリウレタン等の結合剤との組み合わせ、並びに(メタ)アクリレート樹脂およびポリスチレン樹脂等のビニルポリマーと、(メタ)アクリル酸エステルおよびスチレン等のビニルモノマーと、ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、およびチオキサントン誘導体等の光重合開始剤との組み合わせ等が挙げられる。
【0143】前記感光性樹脂溶液における溶剤としては、前記感光性樹脂を溶解し、しかも、室温である程度の揮発性を有する溶剤が挙げられ、具体的には、たとえばアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、アミド系溶剤、および炭酸エステル系溶剤等が挙げられる。
【0144】アルコール系溶剤としては、エタノール、プロパノール、およびブタノール等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、およびジエチルケトン等が挙げられる。エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、蟻酸メチル、蟻酸エチル等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、テトラヒドロフランおよびジオキサン等が挙げられ、グリコールエーテル系溶剤としては、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、およびブチルセロソルブ等が挙げられる。アミド系溶剤としては、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミド等が挙げられる。炭酸エステル系溶剤としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、および炭酸ジブチル等が挙げられる。
【0145】感光性樹脂の溶液には、更に、各種着色剤等を配合することができる。前記着色剤としては、通常の色素のほか、露光により発色する露光発色色素、および露光により殆どまたは完全に無色になる露光消色色素等が使用できる。前記露光発色色素としては、たとえばロイコ色素等が挙げられる。一方、前記露光消色色素としては、トリフェニルメタン系色素、ジフェニルメタン系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、アゾメチン系色素、およびアントラキノン系色素等が挙げられる。
【0146】また、前記平版印刷版支持体に、感熱性樹脂を主成分とする溶液を塗布して乾燥し、感熱性の製版層を形成してもよい。
【0147】前記平版印刷原版を、必要に応じて適宜の大きさに裁断した後、露光および現像を行うか、レーザ光線を照射して印刷画像を直接書き込むかして製版する。
【0148】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施例の範囲には限定されることはない。
【0149】(実施例1)
《平版印刷版用支持体の作製》表1に示す組成を有するアルミニウム合金の溶湯を、脱ガスし、濾過した後、DC鋳造法で鋳塊を製造した。
【0150】前記鋳塊の表面を10mm削り取り、前記鋳塊を過熱し、均熱処理を行なうことなく、400℃で熱間圧延し、板圧が4mmのアルミニウム合金板を得た。
【0151】次いで、前記アルミニウム合金板を、厚みが1.5mmになるまで冷間圧延し、焼鈍処理を行なった後、再度冷間圧延を行なって厚みを0.24mmまで減少させ、平面性を矯正してアルミニウムウェブを得た。
【0152】
【表1】

【0153】前記アルミニウムウェブに、(1)機械的粗面化処理、(2)第1回目のエッチング処理(3)第1回目のデスマット処理(4)予備的な電解粗面化処理(5)第2回目のエッチング処理(6)第2回目のデスマット処理(7)電解粗面化処理(8)第3回目のエッチング処理(9)第3回目のデスマット処理(10) 陽極酸化処理を順次施した。前記処理(1)〜処理(10)のそれぞれが終了する毎に、ニップローラで処理液を切り、図3に示すドライアイス洗浄装置120を用いて前記アルミニウムウェブの両面にドライアイス粉末を噴射してドライアイス洗浄した。
【0154】前記ドライアイス洗浄により生じた廃液は、ドライアイスが気化した後に、前記ドライアイス洗浄の直前の工程に戻して再利用した。
【0155】前記ドライアイス洗浄においては、平均粒径が30μmのドライアイス粉末を用いた。
【0156】ドライアイス洗浄装置120においては、ドライアイス噴射管C2の先端からアルミニウムウェブの表面までの距離が20mmになるように、50mmの取り付けピッチで、図4に示すように、前記アルミニウムウェブの表面に対して平行であり、アルミニウムウェブの搬送方向tに対して45°の角度を成す仮想線に沿ってドライアイス噴射ノズルCを筐体36の内部に2列に固定した。
【0157】前記処理(1)〜処理(10)は、以下の条件に従って行なった。
【0158】(1)機械的粗面化処理研磨材スラリーとして、比重1.12の珪砂(平均粒径25μm)を水に懸濁させた懸濁液を用い、図3に示す機械的粗面化装置110を用いて機械的粗面化を行なった。
【0159】ローラ状ブラシ2A、2B、および2Cとしては、長さ50mm、直径0.48mmの6・10ナイロンの毛を、直径300mmのステンレス鋼製ローラの表面に孔を開けて密になるように植設したものを用いた。
【0160】一方、支持ローラ4A、4A’、4B、4B’、4C、4C’としては、直径200mmのステンレス鋼製ローラを用いた。そして、支持ローラ4Aと支持ローラ4A’、支持ローラ4Bと支持ローラ4B’、および支持ローラ4Cと支持ローラ4C’との中心間の距離が何れも300mmになるように、支持ローラ4A、4A’、4B、4B’、4C、4C’を配設した。
【0161】ローラ状ブラシ2A、2B、および2Cは、機械的粗面化後のアルミニウムウェブの平均表面粗さが0.45μmになるような圧力で前記アルミニウムウェブに押し付け、粗面化面における回転方向が前記アルミニウムウェブWの搬送方向tと同方向になるように回転させた。ローラ状ブラシ2A、2B、および2Cを押し付ける圧力は、ローラ状ブラシ2A、2B、および2Cを回転させる駆動モータの負荷に基づいて制御した。
【0162】なお、前記研磨材スラリーの温度と比重とから前記研磨材スラリー中の珪砂の濃度を連続的に求め、前記濃度が一定になるように、水および珪砂をスラリー回収槽18に補充しつつ、機械的粗面化を行なった。また、機械的粗面化において粉砕され、細粒化した珪砂は、粒子径調整部24における分級器26で除去し、前記研磨材スラリー中の珪砂の粒度分布がほぼ一定になるようにした。なお、分級希26としては、サイクロンを用いた。
【0163】(2)第1回目のエッチング処理苛性ソーダおよびアルミニウムイオンをそれぞれ27重量%および6.5重量%含有し、液温が70℃のアルカリ性水溶液をアルカリ剤として用い、前記アルミニウムウェブにおける前記機械的粗面化を施した側の面の溶解量が8g/m2であり、前記面とは反対側の面の溶解量が2g/m2になるように、前記アルミニウムウェブの両面に前記アルカリ性水溶液を吹付けた。
【0164】前記アルカリ性水溶液の温度、比重、および導電率と、苛性ソーダおよびアルミニウムイオンの濃度との関係を予め求めておき、前記アルカリ性水溶液の温度、比重、および導電率を測定して前記測定結果に基づいて苛性ソーダおよびアルミニウムイオンの濃度を求め、前記濃度が一定になるように、水と48重量%苛性ソーダ溶液とを補充しつつ、前記エッチング処理を行なった。
【0165】(3)第1回目のデスマット処理前記エッチング処理を施したアルミニウムウェブに、液温が70℃であり、硫酸を300g/リットル含有し、アルミニウムイオンを2g/リットル含有する硫酸水溶液をスプレーで2秒間吹き付けた。
【0166】(4)予備的な電解粗面化処理塩酸の濃度が7.5g/リットルになり、アルミニウムイオンの濃度が5g/リットルになるように、希塩酸に塩化アルミニウムを配合した塩酸水溶液中で、前記アルミニウムウェブに交流を印加して交流電解粗面化を行った。前記塩酸水溶液の液温は35℃であった。
【0167】前記交流電解粗面化においては、内部に、前記アルミニウムウェブを巻き掛けるドラムを有し、前記ドラムを取り囲むように形成され、絶縁体によって円筒状に結合された一対の半円筒状の電極を有し、底部に給液ノズルを設けたラジアル型の交流電解槽を用いた。
【0168】前記交流電解粗面化は、前記アルミニウムウェブが前記交流電解槽を通過するまでに、アノード反応に与る電気量が200クーロン/dm2になるように行った。
【0169】前記交流電解槽に印加した交流は、周波数が60Hzであり、電流値が0から正または負のピークに達するまでの時間tpが0.8msecである台形波であり、アノードサイクル側のピーク時の電流Iap、および、カソードサイクル側のピーク時の電流Icpは、ともに50A/dm2であり、Icp/Iapは、1.0であった。dutyは0.5であった。
【0170】前記交流電解槽における電解休止時間は、給液ノズル部分においては0.5秒であり、絶縁体においては0.017秒であった。
【0171】前記交流電解槽においては、塩酸水溶液中の塩酸およびアルミニウムイオンの濃度と、前記塩酸水溶液の温度、導電率、および超音波伝播速度との関係を予め求め、前記交流電解槽中の塩酸水溶液の温度、導電率、および超音波伝播速度を測定して塩酸およびアルミニウムイオンの濃度を求め、前記濃度が一定になるように、濃塩酸および水の添加量を制御した。
【0172】(5)第2回目のエッチング処理第1回目のエッチング処理に使用したのと同様の組成を有し、液温が45℃のアルカリ性水溶液を、前記アルミニウムウェブにおける前記予備的な電解粗面化を施した側の面の溶解量が0.3g/m2であり、前記面とは反対側の面の溶解量が0.1g/m2になるように、前記アルミニウムウェブの両面に吹付けた。
【0173】前記アルカリ性水溶液中の苛性ソーダおよびアルミニウムイオンの濃度は、第1回目のエッチング処理のときと同様な方法で制御した。
【0174】(6)第2回目のデスマット処理前記アルミニウム板の両面に、第1回目のデスマット処理(3)で使用されたものと同様の硫酸水溶液を60秒間噴霧した。
【0175】(7)電解粗面化処理予備的な電解粗面化処理(4)で使用したのと同様なラジアル型の交流電解槽を用い、硝酸の濃度が10g/リットルになり、アルミニウムイオンの濃度が10g/リットルになり、アンモニウムイオンの濃度が70ppmになるように、濃度10g/リットルの希塩酸に硝酸アルミニウムと硝酸アンモニウムとを配合した硝酸水溶液中で、アルミニウムウェブに交流を印加して交流電解粗面化を行った。前記硝酸水溶液の液温は50℃であった。前記交流は、アルミニウムウェブが前記交流電解槽を通過する間にアノード反応に与る電気量が、前記第2回目のデスマット処理(6)のときと同様になるように印加した。
【0176】前記交流電解槽に印加した交流は、周波数が60Hzであり、電流値が0から正または負のピークに達するまでの時間tpが0.8msecである台形波であり、アノードサイクル側のピーク時の電流Iap、カソードサイクル側のピーク時の電流Icp、およびdutyは、何れも、予備的な電解粗面化処理(4)で印加した交流と同様であった。
【0177】前記交流電解槽における電解休止時間も、予備的な電解粗面化処理(4)のときと同様であった。
【0178】前記交流電解槽においては、予備的な電解粗面化処理(4)のときと同様に、前記交流電解槽中の硝酸水溶液の温度、導電率、および超音波伝播速度から、硝酸、アルミニウムイオン、およびアンモニウムイオンの濃度を求め、前記濃度が一定になるように、硝酸の濃度が67重量%の濃硝酸と水とを、前記給液ノズルから、通電量に応じて添加し、余剰の硝酸水溶液をオーバーフローさせることにより、前記交流電解槽中の硝酸、アルミニウムイオン、およびアンモニウムイオンの濃度を一定に保持した。
【0179】(8)第3回目のエッチング処理苛性ソーダおよびアルミニウムイオンを、それぞれ26重量%および6.5%含有し、液温が45℃のアルカリ性水溶液を用い、前記アルミニウムウェブの一方の面における溶解量が1g/m2になり、前記面とは反対側の面の溶解量が0.3g/m2になるように、前記アルミニウムウェブの両面に吹付けた。
【0180】前記アルカリ性水溶液中の苛性ソーダおよびアルミニウムイオンの濃度は、第1回目のエッチング処理のときと同様な方法で制御した。
【0181】(9)第3回目のデスマット処理第3回目のエッチング処理を施したアルミニウムウェブに、第1回目のデスマット処理(3)で使用したのと同様の組成を有する硫酸水溶液をスプレーで10秒間吹き付けた。
【0182】前記硫酸水溶液中の硫酸およびアルミニウムイオンの濃度と、前記硫酸水溶液の温度、比重、および導電度との関係を予め求めておき、前記温度、比重、および導電度を測定して、前記測定結果に基づき、水と硫酸濃度が50重量%の濃硫酸とを前記硫酸水溶液に添加して硫酸およびアルミニウムイオンの濃度を一定に保持した。
【0183】(10)陽極酸化処理硫酸およびアルミニウムイオンを、それぞれ10g/リットルおよび5g/リットル含有し、液温が50℃の硫酸水溶液を用い、陽極酸化皮膜の量が2.4g/m2になるように、前記第3回目のデスマット処理(9)を施したアルミニウム板に直流を印加した。
【0184】前記硫酸水溶液中の硫酸およびアルミニウムイオンの濃度の制御は、前記第3回目のデスマット処理(9)と同様に行った。
【0185】《平版印刷原版の作製》前記手順に従って得られた平版印刷版用支持体における粗面化処理を施した側の面に下塗層、および感光性樹脂溶液を塗布して乾燥させて感光性の製版層を形成することにより、乾燥膜厚が2.0g/m2のポジ型平版印刷原版を作製した。
【0186】前記ポジ型平版印刷原版に画像を焼き付けて現像し、平版印刷版を作製した。
【0187】前記平版印刷版の非画像部を走査型電子顕微鏡で観察したところ、均一なハニカム状ビットが形成されているのが認められた。
【0188】(比較例1)実施例1において、前記処理(1)〜処理(10)のそれぞれが終了する毎に、前記アルミニウムウェブにドライアイス粉末を噴射する代りに水を噴射して洗浄した以外は、実施例1と同様の手順に従って平版印刷版用支持体、平版印刷原版、および平版印刷版を作製した。
【0189】大量の廃液が生成したので、前記廃液を処理する排液処理装置には大型のものが必要であった。また、前記廃液を再利用するには、大掛かりな濃縮装置が必要であり、前記廃液のリサイクルは、コスト的に不可能であった。
【0190】(実施例2)実施例1と同様の手順に従って作製した平版印刷版用支持体を、沸騰した純水中に通して陽極酸化皮膜に存在する細孔を封じる封孔処理を行なった。
【0191】前記封孔処理を行なった平版印刷版用支持体を、液温が70℃であり、珪酸ソーダの濃度が2.5重量%の珪酸ソーダ水溶液に14秒間浸漬して親水化処理した。
【0192】なお、前記珪酸ソーダ水溶液については、珪酸ソーダの濃度と、液温および導電率との関係を求め、前記珪酸ソーダ水溶液の液温と導電率とを測定して珪酸ソーダの濃度を求め、前記珪酸ソーダの濃度が一定になるように水と珪酸ソーダ原液とを添加した。
【0193】親水化処理した平版印刷版用支持体をニップローラに通して液切りをし、ドライアイス粉末を吹き付けてドライアイス洗浄を行った。
【0194】ドライアイス洗浄後の平版印刷版用支持体の表面に、実施例1と同様にして製版層を形成し、平版印刷原版を作製した。そして、前記平版印刷原版の製版層に画像を形成して平版印刷版を形成した。
【0195】前記平版印刷版の非画像部を走査型電子顕微鏡で観察したところ、均一なハニカム状ビットが形成されているのが認められた。
【0196】(実施例3)実施例1と同様の手順に従って作製した平版印刷版用支持体を、液温が70℃であり、珪酸ソーダの濃度が2.5重量%の珪酸ソーダ水溶液に5秒間浸漬して親水化処理した。
【0197】親水化処理した平版印刷版用支持体をニップローラに通して液切りをし、ドライアイス洗浄を行った。
【0198】ドライアイス洗浄後の平版印刷版用支持体の表面に、実施例1と同様にして製版層を形成し、平版印刷原版を作製した。そして、前記平版印刷原版の製版層に画像を形成して平版印刷版を形成した。 前記平版印刷版の非画像部を走査型電子顕微鏡で観察したところ、均一なハニカム状ビットが形成されているのが認められた。
【0199】(実施例4)実施例1と同様の手順に従って作製した平版印刷版用支持体を、液温が70℃であるポリビニルスルホン酸の1.5重量%水溶液に5秒間浸漬して親水化処理した。
【0200】前記水溶液中のポリビニルスルホン酸の濃度と、前記水溶液の温度および導電率との関係を予め求めておき、前記水溶液の液温と導電率とを測定してポリビニルスルホン酸の濃度を求め、前記濃度が一定になるように水とポリビニルスルホン酸原液とを添加した。
【0201】前記親水化処理後の平版印刷版用支持体をニップローラに通して液切りをし、ドライアイス洗浄を行った。
【0202】ドライアイス洗浄後の平版印刷版用支持体の表面に、実施例1と同様にして製版層を形成し、平版印刷原版を作製した。そして、前記平版印刷原版の製版層に画像を形成して平版印刷版を形成した。
【0203】前記平版印刷版の非画像部を走査型電子顕微鏡で観察したところ、均一なハニカム状ビットが形成されているのが認められた。
【0204】(実施例5)実施例1〜4においてニップローラを使用しなかった以外は、実施例1〜4と同様の手順に従って平版印刷版支持体を作製し、前記平版印刷版用支持体の表面に、実施例1と同様にして製版層を形成し、平版印刷原版を作製した。そして、前記平版印刷原版の製版層に画像を形成して平版印刷版を形成した。
【0205】前記平版印刷版用支持体においては、ニップローラの表面に付着した塵が転写することが無かったので、実施例1〜4に係る平版印刷版よりも、印刷特性が更に良好であった。
【0206】(実施例6)アルミニウム板として、下記の表2に示す組成を有するものを用い、実施例1における処理(1)〜処理(10)のうち、機械的粗面化処理(1)を行わなかった以外は、実施例1と同様の手順に従って平版印刷版用支持体を作製した。
【0207】
【表2】

【0208】前記平版印刷版用支持体の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、均一なハニカムピットの生成が認められた。
【0209】前記平版印刷版用支持体の粗面化面に、実施例1と同様の手順で製版層を形成して平版印刷原版を得、前期平版印刷原版に画層を焼き付けて現像して平版印刷原版を得た。
【0210】前記平版印刷原版の印刷特性を実施例1と同様の手順で評価したところ、印刷性能が良好で、非画像部が、インキで酷く汚れることがなかった。
【0211】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、従来の方法に比較して洗浄廃水の発生量を大幅に削減でき、しかも、洗浄廃液を容易に再利用できる故に、スクラップ材や再製アルミニウム地金から製造されたアルミニウム板を用いた場合にも、平版印刷版用支持体を安価に製造できる平版印刷版用支持体の製造方法が提供される。
【出願人】 【識別番号】000005201
【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
【出願日】 平成13年1月18日(2001.1.18)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
【公開番号】 特開2002−211159(P2002−211159A)
【公開日】 平成14年7月31日(2002.7.31)
【出願番号】 特願2001−10326(P2001−10326)