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【発明の名称】 光記録媒体および該光記録媒体を用いた光記録再生方法
【発明者】 【氏名】佐藤 勉

【氏名】植野 泰伸

【氏名】新村 勲

【氏名】安西 光利

【要約】 【課題】従来システムに比べて、短波長に発振波長を有する半導体レーザーを用いる高密度光ディスクシステムに適用可能な耐光性、保存安定性に優れた光記録媒体用の記録材料を提供するとともに、現状システムで記録、再生が可能でかつ次世代の高密度光ディスクシステムにおいても再生可能なCD−R媒体用の記録材料の提供。

【解決手段】基板上に直接又は下引き層を介して少なくとも記録層を設けてなる光記録媒体において、記録層が下記構造式(I)および/または(II)で示される化合物と金属化合物の配位化合物の少なくとも1種を含有してなる層であることを特徴とする光記録媒体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板上に直接又は下引き層を介して少なくとも記録層を設けてなる光記録媒体において、記録層が下記構造式(I)および/または(II)で示される化合物と金属化合物との配位化合物(色素)の少なくとも1種を含有してなる層であることを特徴とする光記録媒体。
【化1】

(式中、X、X、X、Xは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホンアミド基、炭素数1〜5のアルキル基またはアルコキシ基を表わし、X、X、X、Xはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。R、Rはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基を表わす。)
【化2】

〔式中、X、X、X、Xは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホンアミド基、炭素数1〜5のアルキル基またはアルコキシ基を表わし、X、X、X、Xはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。Y、Y、Y、Y、Y、Yは水素原子、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、アミノ基、置換基を有していても良いアルキルアミノ基、アセチル基、アセチルアミノ基、ヒドロキシ基またはカルボキシル基を表わし、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。A、Bはそれぞれ独立して、−OH、−OCH、−NH、−SH、−NHR(Rは、炭素数1〜3の低級アルキル基)または−COOHを表わす。〕
【請求項2】 前記記録層が前記配位化合物の少なくとも1種と680〜750nmに最大吸収波長を有する色素との混合層からなるものである請求項1記載の光記録媒体。
【請求項3】 前記金属化合物がCr、Fe、NiおよびZnよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の化合物である請求項1または2記載の光記録媒体。
【請求項4】 前記680〜750nmに最大吸収波長を有する色素がトリメチンのシアニン色素、ポルフィラジン色素およびアゾ金属キレート化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の色素である請求項2または3記載の光記録媒体。
【請求項5】 さらに、Al、AgまたはAuからなる反射層を有する請求項1〜4のいずれかに記載の光記録媒体。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の光記録媒体に対し、630〜690nmの再生波長で再生することを特徴とする記録再生方法。
【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の光記録媒体に対し、770〜810nmの記録波長で記録し、770〜810nmおよび630〜685nmの再生波長で再生することを特徴とする記録再生方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、700nm以下の波長で記録再生が可能な記録材料を用いた高密度光記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来技術】基板上に反射層を有する光記録媒体としてコンパクトディスク(CD)規格に対応した記録可能なCD(CD−R)が商品化されている。記録層に波長770〜830nmのレーザ光を照射し、記録層に物理的あるいは化学的な変化を起こさせ、その反射光を検出することにより情報を記録再生する。最近、より短波長の半導体レーザの開発が進み、波長630〜685nmの赤色半導体レーザが実用化され、記録再生用レーザの短波長化によりビーム径をより小さくすることが可能となり、より高密度の光記録媒体が作製されている。現在の追記型光ディスクシステム(WORM、CD−R)は、使用レーザの発振波長が770〜790nmにあり、光記録媒体は上記波長で記録、再生が可能なように設定されている。今後、情報量の増大に伴ない、記録媒体の大容量化への流れは必須である。従って記録、再生に用いるレーザ波長が短波長化することも必然的に起こってくることが容易に予想される。しかしながら、耐光性、保存安定性に優れ700nm以下のレーザを用いた光ピックアップで記録、再生が可能な記録材料は、未だ開発されていないのが現状である。現在のCD−Rディスクシステムは、使用レーザの発振波長が770〜790nmで、記録、再生が行なえるように構成されている。このシステムも同様に、大容量化、記録、再生波長の短波長化は必須である。現在のCD及びCD−ROMは、基板自体の凹凸上にAlがコーティングしてあり、Alの反射率の波長依存性が小さいため、将来、レーザ波長が短波長化されても再生は可能である。しかしながら、CD−Rは記録層に680〜750nmに最大吸収波長を有する色素を用い、その光学定数及び膜厚構成から770〜790nmに高い反射率が得られる様に設定してあるため、700nm以下の波長域では反射率が極めて低く、レーザ波長の短波長化には対応できず、現在のCD−Rシステムで記録、再生している情報が、将来のシステムでは再生出来ないという事態を招く。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来システムに比べて、短波長に発振波長を有する半導体レーザを用いる高密度光ディスクシステムに適用可能な耐光性、保存安定性に優れた光記録媒体用の記録材料を提供するとともに、現状のシステムで記録、再生が可能でかつ次世代の高密度光ディスクシステムにおいても再生可能なCD−R媒体用の記録材料を提供することを目的とする。また、本発明は上記DVDシステムに比べて、短波長に発振波長を有する青色半導体レーザを用いる高密度光ディスクシステムに適用可能な有機溶剤に対する溶解性が高く、耐光性、保存安定性に優れた光記録媒体用の記録材料、及び現状のDVDシステムで記録、再生が可能で、かつ次世代の高密度光ディスクシステムにおいても再生のみは可能なDVD−R記録媒体の記録材料、および該記録材料を用いた記録再生方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記課題を解決するための手段について鋭意検討した結果、特定のアゾ金属キレート色素を主成分とする記録層とすることにより、発振波長700nm以下の半導体レーザを用いる高密度光ディスクシステムに適用可能なことを見出し、さらに本発明の化合物を現在のCD−R用記録材料として用いられている有機色素と混合することにより現状のシステムで記録再生が出来、上記高密度レーザー光でも再生可能であることを見出し本発明に至った。
【0005】本発明の光記録媒体の記録層に用いる有機色素化合物としては、下記構造式(I)および/または(II)で示される化合物と金属化合物との配位化合物が挙げられる。
【化3】

(式中、X、X、X、Xは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホンアミド基、炭素数1〜5のアルキル基またはアルコキシ基を表わし、X、X、X、Xはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。R、Rはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基を表わす。)
【化4】

〔式中、X、X、X、Xは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホンアミド基、炭素数1〜5のアルキル基またはアルコキシ基を表わし、X、X、X、Xはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。Y、Y、Y、Y、Y、Yは水素原子、置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、アミノ基、置換基を有していても良いアルキルアミノ基、アセチル基、アセチルアミノ基、ヒドロキシ基またはカルボキシル基を表わし、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。A、Bはそれぞれ独立して、−OH、−OCH、−NH、−SH、−NHR(Rは、炭素数1〜3の低級アルキル基)または−COOHを表わす。〕
【0006】これらの化合物の一般的な合成法としては、アニリン誘導体を酸の存在下で亜硝酸ナトリウムを加えてジアゾ化し、これにN,N′−ジアルキルアニリン誘導体を加えてカップリングすればよい。次いで得られたモノアゾ染料を、水やエチレングリコール等の溶媒中で金属化合物を加えて加熱撹拌することにより金属配位化合物を得ることが出来る。前記配位可能な金属化合物としては、銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、亜鉛、クロム、マソガン、鉄、コバルト、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、白金、モリブデン、タングステンなどの有機無機塩化合物であり、好適にはクロム、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、銅化合物である。本発明の光記録媒体の構成としては図1に示す追記型光ディスクの構造(図1のものを2枚貼り合わせたいわゆるエアーサンドイッチ構造としても良く、密着貼り合わせ構造としても良い)、図2に示す高反射率構造(CD−R構造としても良く、密着貼り合わせ構造としても良い)、あるいは図3に示す2枚の基板間に記録層を設ける構造(DVD−R構造)としても良い。
【0007】以下、本発明の光記録媒体の構成とその構成部材について詳細に説明する。
<記録層>記録層は、レーザ光の照射により何らかの光学的変化を生じさせ、その変化により情報を記録するものであって、この記録層中には本発明の前記構造式(I)または(II)で示される化合物と金属化合物との配位化合物(色素)の少なくとも1種を含有していることが必要であり、記録層の形成に当たって2種以上の組み合わせで用いても良い。さらに、本発明の上記配位化合物(色素)は、光学特性、記録感度、信号特性などの向上の目的で他の有機色素及び金属、金属化合物と混合又は積層化して用いても良い。他の有機色素の例としては、ポリメチン色素、ナフタロシアニン系、フタロシアニン系、スクアリリウム系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントラキノン系(インダンスレン系)、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系各染料及び、金属錯体化合物などが挙げられる。金属、金属化合物の例としてはIn、Te、Bi、Se、Sb、Ge、Sn、Al、Be、TeO、SnO、As、Cd、などが挙げられ、それぞれを分散混合あるいは積層の形態で用いることができる。
【0008】特に前記本発明の配位化合物(色素)と680nm〜750nmに最大吸収波長を有する色素とを混合することにより、現在のDVDシステムで記録、再生が可能で、かつ青色レーザで再生可能なDVD−R媒体を構成することができる。前記680nm〜750nmに最大吸収波長を有する色素としては、DVD−Rに使用可能な色素をそのまま使用できる。また、上記染料中に高分子材料、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド、ビニル系樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の材料もしくはシランカップリング剤などを分散混合しても良いし、特性改良の目的で安定剤(例えば遷移金属錯体)、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤などを一緒に用いてもよい。
【0009】記録層の形成は、蒸着、スパッタリング、CVDまたは溶剤塗布などの通常の手段によって行うことができる。塗布法を用いる場合には上記染料などを有機溶剤に溶解して、スプレー、ローラーコーティング、ディピング、スピンコーティングなどの慣用のコーティング法によって行うことが出来る。用いられる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、などの芳香族類、メトキシエタノール、エトキシエタノールなどのセロソルブ類、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素類などが挙げられる。記録層の膜厚は、100Å〜10μm、好ましくは200〜2000Åが適当である。
【0010】次に、本発明で使用される前記一般式(I)および(II)に相当する具体的化合物として、下記化合物No.1〜32および41〜68を示す。ただし、本発明で使用する化合物はこれらに限定されるものではない。
【化5】

【0011】
【表1】

【0012】
【表2】

【0013】
【表3】

【0014】
【表4】

【0015】
【表5】

【0016】
【表6】

【0017】
【表7】

【0018】
【表8】

【0019】
【化6】

【0020】
【表9】

【0021】
【表10】

【0022】
【表11】

【0023】
【表12】

【0024】
【表13】

【0025】
【表14】

【0026】上記配位化合物(色素)の少なくとも1種と混合される680〜750nmに最大吸収波長を有する好ましい色素としては、次のi〜iiiのものが挙げられる。
i.下式(1)で示されるシアニン色素【化7】

(式中、R、R:炭素数1〜3のアルキル基。
、R:置換基を有していても良い炭素数1〜6のアルキル基。
X:酸アニオン。
さらに、ベンゼン環は他の芳香族環と縮合されていても良く、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、アシル基で置換されていても良い。)
【0027】ii.下式(2)または(3)で示されるフタロシアニン色素【化8】

(式中、M:Ni、Pd、Cu、Zn、Co、Mn、Fe、TiO、VO。X〜X:α位の−OR、−SR、又は水素原子であって、全てが水素原子となることはない。
R:置換基を有していても良い炭素数3〜12の直鎖アルキル基、置換基を有していても良い分岐アルキル基、置換基を有していても良いシクロアルキル基、又は置換基を有していても良いアリール基。ベンゼン環は、前記〜X以外に置換基を有していても良く、その場合のベンゼン環の置換基は水素又はハロゲンである。)
【0028】
【化9】

(式中、M:Si、Ge、In、Snを表す。
〜X12:α位の−OR、−SR、又は水素原子であって、全てが水素原子となることはない。Rは前記(2)に同じ。
、Y:−OSiRaRbRc、−OCORa、−OPORaRb。
Ra、Rb、Rc:炭素数1〜10のアルキル基、アリール基。
ベンゼン環は前記X〜X12以外に置換基を有していても良く、その場合のベンゼン環の置換基は水素又はハロゲンである。)
【0029】iii.アゾ金属キレート化合物下式(4)で示されるアゾ系化合物と金属とのアゾ金属キレート化合物の1種又は2種以上であり、金属の好ましい例としてはNi、Pt、Pd、Co、Cu、Znなどが挙げられる。
【化10】

(式中、Aはそれが結合している炭素原子及び窒素原子と一緒になって複素環を形成する残基を表わし、Bはそれが結合している2つの炭素原子と一緒になって芳香族環又は、複素環を形成する残基を表わす。Xは活性水素を有する基を表わす。)
【0030】本発明の配位化合物(色素)と680nm〜750nmに最大吸収波長を有する色素との混合比(重量比)は、前者:後者=10:100〜90:100、好ましくは40:100〜20:100とし、記録層の厚みは、500Å〜5μm、好ましくは1000〜5000Åとする。
【0031】<基板>基板は、基板側より記録再生を行なう場合のみ使用レーザに対して透明とし、記録層側から記録再生を行なう場合は透明である必要はない。基板材料としては、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミドなどのプラスチック、ガラス、セラミック、金属などを用いることができる。なお、基板の表面にトラッキング用の案内溝や案内ピット、さらにアドレス信号などのプリフォーマットなどが形成されていても良い。
【0032】<下引き層>下引き層は、(a)接着性の向上、(b)水又はガスなどのバリアー、(c)記録層の保存安定性の向上、(d)反射率の向上、(e)溶剤からの基板の保護、(f)案内溝、案内ピット、プレフォーマットの形成などを目的として使用される。(a)の目的に対しては、アイオノマー樹脂、ポリアミド、ビニル系樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴム等の種々の高分子物質、及びシランカップリング剤等を用いることができ、(b)及び(c)の目的に対しては、前記高分子材料以外に、SiO、MgF、SiO、TiO、ZnO、TiN、SiN等の無機化合物、Zn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、Ag、Al等の金属又は半金属を用いることができる。また(d)の目的に対しては、Al、Ag等の金属や、メチン染料、キサンテン系染料等の金属光沢を有する有機薄膜を用いることができ、(e)及び(f)の目的に対しては、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。下引き層の膜厚は、0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmとする。
【0033】<金属反射層>反射層材料としては、単体で高反射率の得られる腐食され難い金属や半金属等が挙げられ、具体例としては、Au、Ag、Cr、Ni、Al、Fe、Sn等が挙げられるが、反射率や生産性の点からAu、Ag、Alが最も好ましい。また、これらの金属や半金属は単独でも2種の合金として用いてもよい。反射層の形成法としては、蒸着、スッパタリング等が挙げられ、膜厚は50〜5000Å、好ましくは100〜3000Åとする。
【0034】<保護層、基板表面ハードコート層>保護層又は基板面ハードコート層は、(a)記録層(反射吸収層)の傷、ホコリ、汚れ等からの保護、(b)記録層(反射吸収層)の保存安定性の向上、(c)反射率の向上、等を目的として使用される。材料としては、前記中間層に示したものを用いることができる。また、無機材料としてSiO、SiO等も用いることができ、有機材料としてポリメチルアクリレート、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ビニル樹脂、セルロース、脂肪族炭化水素樹脂、芳香属炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化性、熱溶融性樹脂も用いることができる。前記材料のうち保護層又は基板表面ハードコート層に最も好ましいのは生産性に優れた紫外線硬化樹脂である。保護層又は基板面ハードコート層の膜厚は、0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmとする。本発明において、前記中間層、保護層及び基板面ハードコート層には、記録層の場合と同様に、安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含有させることができる。
【0035】<接着層>透明な高分子化合物が使用できる。本発明で特に好ましいのは、紫外線硬化型接着剤、ホットメルト型(熱溶融型)接着剤、または粘着材である。紫外線硬化型接着剤は、紫外線照射によってラジカル重合を開始して硬化する接着剤である。その組成は、一般的に(1)アクリル系オリゴマー、(2)アクリル系モノマー、(3)光重合開始剤、(4)重合禁止剤からなるもので、オリゴマーはポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系アクリル酸エステル等で、光重合開始剤はベンゾフェノン、ベンゾインエーテル等が使用できる。ホットメルト型接着剤は、液状接着剤が溶剤揮散や反応によって硬化し接着力が発現するのに対し、常温固体の熱可塑性樹脂の熱溶融、冷却固化の物理変化により接着力が発現するものである。ホットメルト接着剤としては、EVA、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系等を用いることができる。粘着材は、常温で粘弾性を持ち、被着材と基材の両方に強く接着し、接着後も長期間凝集力を持つものである。粘着材としては、ポリビニルエーテル、ポリイソブチレン、SBR、ブチルゴム、クロロプレンゴム、塩ビ−酢ビ共重合体、塩化ゴム、ポリビニルブチラール等を用いることができる。
【0036】
【実施例】以下、本発明の参考例、実施例および比較例を示す。但し、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0037】参考例 〔化合物(1)のニッケル配位化合物合成方法〕
水150mlに15.4gの4−ニトロ−2−アミノフェノールを仕込み、撹拌しなから35%塩酸23.6gを注加した。10℃以下に冷却しながら、水20ml、亜硝酸ナトリウム7.2gの水溶液を加え、同温度でさらに2時間撹拌した後、過剰の亜硝酸をスルフアミン酸により分解させ、ジアゾニウム液を調整した。次に、水150mlに、3−ヒドロキシ−N,N′−ジエチルアニリン17.1gを仕込み、撹拌しながら24%カセイソーダ20g、酢酸ソーダ13.6gを加えて溶解した。この中に砕氷を加え、10℃以下に保ちながら前記ジアゾニウム液を注加しカップリング反応を行い、反応終了後、濾別してウットモノアゾ染料を得た。続いてこのウットモノアゾ染料をエチレングリコール150mlに分散させ、これに塩化ニッケル7gを水50mlに溶解した溶液を加えた。カセイソーダでpHを8〜10に調整し、90〜100℃で約10時間反応させてクロム錯塩染料を得た。得られたニッケル配位化合物は、過剰の無機塩やアミン等の不純物を含むので、各種溶媒による洗浄、再結晶、またはカラムクロマトグラム等により精製して使用することが好ましい。
【0038】実施例1深さ1400Å、半値幅0.38μm、トラックピッチ1.0μmの案内溝を有する、厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、化合物No.2のメチルセロソルブ溶液をスピンナー塗布して厚さ530Åの記録層を形成し、光記録媒体を得た。
【0039】実施例2〜5実施例1で用いた化合物No.2に代えて、化合物No.26、43、51、59を用いた点以外は実施例1と全く同様にして光記録媒体を得た。
【0040】比較例1実施例1で用いた化合物No.2に代えて、次に示す化合物(T)を用いた点以外は実施例1と全く同様にして光記録媒体を得た。化合物(T)はCD−Rに使用されている色素である。
【化11】

【0041】上記実施例1〜5および比較例1の光記録媒体について、下記の条件で評価試験を行なった。結果を表15に示す。
〈記録条件〉・レーザ発振波長:635nm・記録周波数:3.75MHz・記録線速:3.0m/sec〈再生条件〉・レーザ発振波長:635nm・再パワー:0.5〜0.7mWの連続光・スキャニングバンド幅:30KHz〈耐光テスト条件〉・耐光テスト:4万Lux、Xe光、20時間連続照射・保存テスト:85℃ 85% 720時間放置【0042】
【表15】

【0043】実施例6深さ1600Å、半値幅0.38μm、トラックピッチ0.8μmの案内溝を有する厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、化合物例No.1を、メチルシクロヘキサン、2−メトキシエタノール、メチルエチルケトン及びテトラヒドロフランの混合溶媒に溶解した液をスピンナー塗布し、厚さ680Åの有機色素層を形成し、次いで、スパッタ法により厚さ2000Åの銀の反射層を設け、さらにその上にアクリル系フォトポリマーからなる厚さ5μmの保護層を設けて光記録媒体を得た。
【0044】実施例7〜11実施例6で用いた化合物No.1に代えて、化合物No.18、21、32、58、62を用いた点以外は実施例6と全く同様にして光記録媒体を得た。
【0045】比較例2実施例6で用いた化合物No.1に代えて、比較例1の化合物(T)を用いた点以外は実施例6と全く同様にして光記録媒体を得た。
【0046】比較例3実施例6で用いた化合物No.1に代えて、下式(U)の化合物を用いた点以外は実施例6と全く同様にして光記録媒体を得た。下式(U)の化合物はCD−Rに使用されている色素である。
【化12】

{式中、RはOCH〔CH(CHの基を表わす。}
【0047】上記実施例6〜11および比較例2〜3の光記録媒体について、下記の条件で評価試験を行なった。結果を表16に示す。
〈記録条件〉・レーザ発振波長:635nm・記録周波数:3.75MHz・記録線速:3.0m/sec〈再生条件〉・レーザ発振波長:635nm・再生パワー:0.5〜0.7mWの連続光・スキャニングバンド幅:30KHz【0048】
【表16】

【0049】実施例12深さ1000Å、半値幅0.40μm、トラックピッチ0.1μmの案内溝を有する厚さ1.2mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、化合物No.1と比較例1の化合物(T)との重量比1:0.7の混合物をメチルシクロヘキサン、2−メトキシエタノール、メチルエチルケトンおよびテトラヒドロフランの混合溶媒に溶解した液をスピンナー塗布し、厚さ1600Åの有機色素層を形成し、次いで、スパッタ法により厚さ2000Åの金の反射層を設け、さらにその上にアクリル系フォトポリマーからなる厚さ5μmの保護層を設けて光記録媒体を得た。
【0050】実施例13〜14実施例12で用いた化合物No.1に代えて、化合物No.18、59を用いた点以外は実施例12と全く同様にして光記録媒体を得た。
【0051】実施例15〜16実施例12で用いた化合物No.1に代えて、化合物No.2、62と前記比較例3の化合物(U)の混合物を用いた点以外は実施例12と全く同様にして光記録媒体を得た。
【0052】比較例4〜5実施例12で用いた化合物No.1に代えて、前記比較例1の化合物(T)のみ、および比較例3の化合物(U)のみを用いた点以外は実施例12と同様にして光記録媒体を得た。
【0053】上記実施例12〜16および比較例4〜5の光記録媒体について、レーザ発振波長780nm、記録周波数3.75MHz、記録線速1.4m/secで記録し、また、レーザ発振波長635nmおよび780nm、再生パワー:0.5〜0.7mWの連続光、スキャニングバンド幅:30KHzの半導体レーザの連続光で再生した。その結果を表17に示す。
【0054】
【表17】

【0055】
【効果】本発明で使用する配位化合物(色素)は、塗布によるコーティングが可能で、耐光性、保存安定性に優れており、該化合物を用いることにより工業的に生産可能な青色レーザ対応高密度光ディスクを提供できる。請求項1の発明により、700nm以下の波長域のレーザ光で記録、再生が可能な耐光性、保存安定性に優れた光記録媒体を提供できる。請求項2の発明により、現状システムでのCD−Rとして使用でき、かつ次世代の高密度光ディスクシステムとなっても、記録された情報を再生可能な光記録媒体を提供できる。請求項3および請求項4の発明は、請求項2の光記録媒体の最適構成であって、高品位の信号特性を持つ記録が可能となる。請求項5の発明により、生産性の高い、高反射率、高密度記録が可能な光記録媒体を提供できる。請求項6の発明により、高密度の記録、再生が可能となる。請求項7の発明により、現状システムでのCD−Rとして使用でき、かつ次世代の高密度光ディスクシステムとなっても、記録された情報の再生が可能な記録、再生方法を提供できる。
【出願人】 【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【識別番号】000005315
【氏名又は名称】保土谷化学工業株式会社
【出願日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【代理人】 【識別番号】100094466
【弁理士】
【氏名又は名称】友松 英爾
【公開番号】 特開2002−293031(P2002−293031A)
【公開日】 平成14年10月9日(2002.10.9)
【出願番号】 特願2001−101992(P2001−101992)