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【発明の名称】 液滴噴射装置
【発明者】 【氏名】樋口 馨

【氏名】的場 宏次

【氏名】坂本 泰宏

【要約】 【課題】製作容易で、生産性に優れ、小型化が可能な液滴噴射装置を提供する。

【解決手段】圧電部材27に形成された溝の一方の端部に導電性部材26を設け、前記溝をカバープレート3で覆うことにより、前記溝内に形成されたインク流路12─の容積を変化させることにより、そのインク流路12─内に供給されたインクを噴射するようにした液滴噴射装置において、前記導電性部材26が設けられた端部側に、インクを供給するインク供給口68を設けている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧電部材に形成され、インク流路を構成する溝と、前記溝の両側壁の側面に形成され、前記インク流路の容積を変化させるために電圧が印加される駆動電極と、前記駆動電極に電圧を印加するための配線パターンと、前記駆動電極と前記配線パターンを電気的に接続するために前記溝の一方の端部に設けられた導電性部材と、前記溝の底面に対向し前記側壁と接着されるカバープレートを有し、前記インク流路の容積を変化させることにより、そのインク流路内のインクを噴射する液滴噴射装置において、前記導電性部材が設けられた装置の端部側に、インクを供給するためのインク供給口を設けたことを特徴とする液滴噴射装置。
【請求項2】 前記インク供給口が少なくとも前記カバープレート側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液滴噴射装置。
【請求項3】 少なくとも前記導電性部材を介して前記駆動電極と前記配線パターンを電気的に接続した接続部に保護膜が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の液滴噴射装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電部材に形成されたインク流路の容積を変化させることにより、インクを噴射する液滴噴射装置の改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の液滴噴射装置としては、例えば特開昭63−252750号公報あるいは特開平2−150355号公報に記載されているように、インクを加圧することのできる流路が並列に多数並んだ構造のインクジェットプリンタヘッドが提案されている。
【0003】上記に示す従来技術は、比較的簡単な構造で高密度のノズルを持つインクジェットプリンタヘッドを実現できる点で優れた技術であるが、多数の溝からなる流路を高密度に形成し、それぞれの溝から電気的配線を行う必要から実用的には特に製造上の問題点を有していた。
【0004】これらを解決する方法として、特開平4−307254号公報あるいは特開平6−218918号公報又は特開平6−218934号公報に記載されているように、溝からなる流路の一方の端部をハンダ材、メッキもしくは導電性部材により封止し、該封止部材を用いて電気的配線を行う方法を提案している。
【0005】従来技術について、図12乃至15を用いて説明する。図12に示すように、インクジェットプリンタヘツド1は、圧電プレート27とカバープレート3とノズルプレート31と基板41とから構成されている。圧電プレート27は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料によって形成されている。そして、その圧電プレート27は分極方向5の方向に分極処理されている。
【0006】また、圧電プレート27には、ダイヤモンドカッティング円盤の回転による切削加工等によって、溝8が複数形成されている。それらの溝8は同じ深さであり、かつ平行である。また、その溝8の側面となる側壁11は前記分極処理により矢印5の方向に分極されている。
【0007】また、溝8の側面の内面には、蒸着法により、金属電極13が形成されている。その金属電極13の形成時には、図13に示すように、圧電プレート27は、図示しないターゲットまたは蒸着源からの矢印で示す蒸気放出方向に対して傾斜して配置される。そして、蒸気が放出されると側壁11のシャドー効果により、溝8の側面の上半分及び側壁11の上面に金属電極13,10が形成される。
【0008】次に、圧電プレート2が180度回転されて、同様にして、金属電極13,10が形成される。こうして、溝8の両側面の上半分及び側壁11の上面に金属電極13,10が形成されている。その金属電極13,10には、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。
【0009】次に、導電性部材26がディスペンサー25により溝8に埋め込まれる(図3参照)。その後、導電性部材26には、図示しない装置により熱が加えられ、その熱により固化する。その導電性部材26は圧電プレート27の端部15付近に形成される。また、導電性部材26は溝8の深さ全部を満たしている。その後、導電性部材26の余剰部分及び側壁11の上面の金属電極10がラッピング等によって取り除かれる。
【0010】次に、図12に示すカバープレート3は、セラミックス材料または樹脂材料等から形成されている。そして、カバープレート3には、研削または切削加工等によって、インク導入口21及びマニホールド22が形成されている。
【0011】そして、図14の溝11部での断面形状に示すように圧電プレート27の溝8加工側の面とカバープレート3のマニホールド22加工側の面とがエポキシ系等の接着剤4によって接着される。従って、インクジェットプリンタヘッド1には、溝8の上面が覆われて、横方向に互いに間隔を有する複数のインク流路12が構成される。そして、全てのインク流路内12には、インクが充填される。
【0012】圧電プレート27及びカバープレート3の端面に、各インク流路12の位置に対応した位置にノズル32が設けられたノズルプレート31が接着されている。このノズルプレート31は、ポリアルキレン(例えばエチレン)、テレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネイト、酢酸セルロース等のプラスチックによって形成されている。
【0013】そして、圧電プレート27の溝8の加工側に対して反対側の面には、基板41が、エポキシ系接着剤等によって接着されている。その基板41には各インク流路12に対応した位置に導電層のパターン42が形成されている。その導電層のパターン42と導電性部材26とは、ワイヤボンディング等によって電気的に接続される。
【0014】従って、溝8の一側面の金属電極13と他側面の金属電極13とが導電性部材26によって電気的に接続される。このため、導電性部材26に電圧が印加されると、導電性部材26を通して溝8の両側面の金属電極13に電圧が同時に印加され、同時に溝8の両側面である側壁11が溝8の内部方向に変形してインク滴が噴出される。
【0015】図14,図15によって、インクジェットプリンタヘッド1の動作を説明すると、図示しない駆動制御回路が、所要のデータに従って、インクジェットプリンタへツド1のインク流路12bからインクの噴出を行なうと判断する。すると、そのインク流路12bに対応する導電層パターン42及び導電性部材26を介して金属電極13eと13fとに正の駆動電圧Vが印加され、金属電極13dと13gとが接地される。
【0016】図15に示すように、側壁11bには矢印14bの方向の駆動電界が発生し、側壁11cには矢印14cの方向の駆動電界が発生する。すると、駆動電界方向14b及び14cは、分極方向5と直交しているため、側壁11b及びl1cは、圧電厚みすべり効果により、この場合、インク流路12bの内部方向に急速に変形する。この変形によって、インク流路12bの容積が減少してインク圧力が急速に増大し、圧力波が発生して、インク流路12bに連通するノズル32からインク滴が噴射される。
【0017】また、駆動電圧Vの印加が停止されると、側壁11b及び11c が変形前の位置に徐々に戻るためインク流路12b内のインク圧力が徐々に低下する。すると、インク供給口21からマニホールド22を通してインク流路12b内にインクが供給される。
【0018】このように、インク滴を噴出するために、溝8の両側面となる2つの側壁11の中央部分を溝8の内部方向に同時に変形させるようにしている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したインクジェットプリンタヘッド1では、導電性部材26によって塞がれている圧電プレート27の端部15は、インク流路12にインクが充填されても端部15からインクが排出されることがないように完全に封止する必要がある。
【0020】しかし、上記導電性部材26を溝端部に形成する場合に液相状態から個相状態への相変化が必要であり、該相変化による体積変化等により導電性部材26内にボイドが発生してしまいインクの漏れが発生していた。また、完全に封止しない場合には、溝8の端部15を塞ぐ部材が別途必要であり製造方法が複雑になるといった問題もあった。
【0021】また、マニホールド22をカバープレート3の溝接着面に設けているため、マニホールド22によるインク供給口をインク流路途中に設けるため、インク流路が長くなると共に、インク供給口からインク流路においてほぼ直角に流れが変わるためインクの流路抵抗が高くなるといった問題があった。
【0022】同様に、上記インク流路が長くなるために側壁の電極部の電気抵抗が高くなり駆動回路上の負荷が大きくなる、インクジェットプリンタヘッド自体大きくなるといった問題があった。
【0023】本発明は、このような実情に鑑みてなされ、製作容易で、生産性に優れ、小型化が可能な液滴噴射装置を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。
【0025】(1)圧電部材に形成され、インク流路を構成する溝と、前記溝の両側壁の側面に形成され、前記インク流路の容積を変化させるために電圧が印加される駆動電極と、前記駆動電極に電圧を印加するための配線パターンと、前記駆動電極と前記配線パターンを電気的に接続するために前記溝の一方の端部に設けられた導電性部材と、前記溝の底面に対向し前記側壁と接着されるカバープレートを有し、前記インク流路の容積を変化させることにより、そのインク流路内のインクを噴射する液滴噴射装置において、前記導電性部材が設けられた装置の端部側に、インクを供給するためのインク供給口を設けたことを特徴とする。
【0026】この構成によれば、圧電部材に形成された溝の端部に前記溝の両側面に形成された駆動電極と配線パターンと電気的に接続するのに導電性部材が設けられ、前記導電性部材が設けられた端部側の面からインクを供給するインク供給口を設けるので、圧電プレートの端部を導電性部材で完全に封止する必要がなく、信頼性及び生産性が高くなる。
【0027】また、インク流路途中にインクの供給口を設けないためインク流路長を短くすることができ、インクジェットプリンタヘッドの小型化が実現できると共に、駆動電極部の電気抵抗を低減し駆動回路の負荷を低減できる。
【0028】そして、インクの流れが供給口からインク流路までほぼ一直線となり抵抗のない流れを形成することができ、安定したインク吐出ができる。
【0029】(2)前記インク供給口が少なくとも前記カバープレート側に設けられていることを特徴とする。
【0030】この構成によれば、カバープレート側にインク供給口を開設することにより、そのカバープレートに沿って、各インク流路内にインクをストレートに導入することができる。
【0031】(3)少なくとも前記導電性部材を介して前記駆動電極と前記配線パターンを電気的に接続した接続部に保護膜が設けられていることを特徴とする。
【0032】この構成によれば、接続部を保護膜で絶縁保護することにより、導電性インクを用いた場合に、その接続部を保護することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態に係る液滴噴射装置を、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の各実施形態にて、従来例と同一部材(又は均等部材)には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0034】(第1の実施形態)図1ないし図6および図11は第1の実施形態を示し、図1に示すように、インクジェットプリンタヘッド(液滴噴射装置)1は、圧電プレート(圧電部材)27とカバープレート3とノズルプレート31と基板41とから構成されている。図2に示す圧電プレート27は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料で製造されている。
【0035】その圧電プレート27は、矢印5の方向に分極処理が施された厚さ約1mm程度の板である。また、圧電プレート27には、ダイヤモンドカッティング円盤の回転による切削加工によって、複数の溝8が形成されている。それらの溝8は平行、且つ同じ深さである。その溝8の深さは約300μmであり、幅は約70μm、ピッチは140μmである。
【0036】そして、溝8の両側面の上半分及び側壁11の上面に金属電極(駆動電極)13,10が形成される。その金属電極13,10には、アルミニウム、ニッケル、銅、金等が用いられる。
【0037】そして、図3に示すように、導電性部材26がディスベンサー25により溝8に幅500乃至600μmで高さ160乃至200μmの位置まで埋め込まれる。このように、溝8の一部を残して導電性部材26を充填することにより、溝8の空隙部分がインク供給路の役割を果たすようにしている。
【0038】図4に導電性部材26での断面形状を示しているように、導電性部材26と金属電極13の接触面積は、導電性部材26は側壁11との濡れ性により上面が凹型に形成されているため、凸型に形成される場合に比べて増大し、側壁11の電極13と導電性部材26との接続が確実となり、駆動に問題はない。
【0039】実際の製造上では、ディスペンサー25は複数設けられており、それらディスペンサー25は各溝8の上方に配置されている。その後、導電性部材26には、図示しない装置により熱が加えられ、その熱により固化する。尚、導電性部材26としては、エポキシ系の樹脂成分を含有した金ペースト,銀ペースト,銅ペーストもしくはメッキ液をベースとした金メッキ、ニッケルメッキなどが用いられる。
【0040】図5に示すように、その導電性部材26は圧電プレート27の端部15付近に形成される。その後、導電性部材26の余剰部分及び側壁11の上面の金属電極10がラッピング等によって取り除かれる。そして、圧電プレート27の溝8加工側の面とカバープレート3とがエポキシ系等の接着剤によって接着される。
【0041】図6に示しているインクジェットプリンタヘッド1のインク流路12に沿った断面図のように、インクジェットプリンタヘッド1には、溝8の上面が覆われて横方向に互いに間隔を有する複数のインク流路12が構成され、インク充填時には、全てのインク流路12内に、導電性部材26とカバープレート3との間(図4では導電性部材26の上部に形成される空間)を通りインクが充填される。
【0042】すなわち、矢印67で示すように、圧電プレート27およびカバープレート3の導電性部材26が設けられている端部側に、インク供給口28が形成される。そのインク供給口28は、カバープレート3側に形成されるため、インクをストレートにインク流路12内に導入することができる。従って、インク流路12内でインクの流れが安定化し、吐出状態が安定化する。
【0043】次に、各インク流路12の位置に対応した位置に導電層のパターン(配線パターン)42が形成されている基板41を圧電プレート27の端部15に形成された導電性部材26に接続する。その導電層のパターン42と導電性部材26とは、異方導電性接着剤もしくはパターン42上にバンプ(図示せず)を形成し該バンプを導電性部材26に挿入することによって接続される。
【0044】この後、導電性インクを用いる場合には、ポリパラキシリレン(商標名:パリレン)等の有機保護膜により上記接合部を絶縁保護する。但し、使用するインク及び異方導電性接着剤を含む該インクジェットプリンタヘッドを作成するために使用した接着剤の特性によっては保護膜は必要ない。
【0045】次に、導電性部材26が設けられていない側の圧電プレート27とカバープレート3の端面に、各インク流路12に対応するノズル32を形成したノズルプレート31が接着される。
【0046】最後に、導電性部材26が設けられている側の圧電プレート27とカバープレート3の端面に、基板41を挟んだ状態でマニホールド22を接合する。このとき、接合部分からインクの漏れのないよう樹脂で封止すると信頼性が向上する。
【0047】上記構成により、溝8の一側面の金属電極13と他側面の金属電極13とが導電性部材26によって電気的に接続される。このため、導電性部材26に電圧が印加されると、導電性部材26を通して溝8の両側面の金属電極13に電圧が同時に印加され、同時に溝8の両側面である側壁11が溝8の内部方向に変形してインク滴が噴出される。
【0048】以上説明したように、圧電プレート27の端部15を導電性部材26で完全に封止する必要がないため、信頼性及び生産性が高い。同時に、カバープレート3にインク供給用の穴等を加工する必要がないため簡単な構造となり、かつカバープレート3と圧電プレート27の貼合わせが容易となり、生産性が向上する。
【0049】また、インク流路12途中にインクの供給口を設けないためインク流路長を短くすることができ、かつ図6の矢印67に示すインクの流れ経路のように、流れがほぼ一直線になるためインクの流路抵抗を低く押さえることができた。
【0050】(第2の実施形態)図7ないし図11は第2の実施形態を示し、前実施形態では、カバープレート3が平板状であったのに対し、本実施形態では、マニホールド22が形成される端部に、インク供給を行うための段差が形成されている点である。また、図8に示すように、溝8をほぼ埋めるように導電性部材26が充填されている。この場合、従来例のように、溝8を完全に封止することは要求されない。
【0051】図7に示すように、インクジェットプリンタヘッド1は、圧電プレート27とカバープレート3とノズルプレート31と基板41とから構成されている。圧電プレート27は、矢印5の方向に分極処理が施された厚さ約1mm程度の板である。また、圧電プレート27には、溝8が複数形成されている。それらの溝8は平行、且つ同じ深さである。その溝8の深さは約300μmであり、幅は約70μm、ピッチは140μmである。
【0052】そして、上述したように、溝8の両側面の上半分及び側壁11の上面に金属電極13,10が形成される。そして、導電性部材26がディスペンサー25により溝8に幅500乃至600μmで高さほぼ溝8の深さ全部を満たしている。その後、導電性部材26は、図示しない装置により加熱され、その熱により固化する。
【0053】図8に示すように、その導電性部材26は圧電プレート27の端部15付近に形成される。その後、導電性部材26の余剰部分及び側壁11の上面の金属電極10(図2参照)がラッピング等によって取り除かれる。次に、カバープレート3は、図9に示すように、厚さ1mmのセラミックス材料または樹脂材料等から形成されている。
【0054】そして、カバープレート3には、研削または切削加工等によって、導電性部材26に対向する面が深さ500μmの凹部66が形成されている。前実施形態においては、インク供給に寄与する導電性部材26とカバープレート3との間隙は、100μm乃至140μm程度であったのに対し、カバープレート3に加工を施す結果、上記距離を500μmに設定することが可能となる。
【0055】これにより、図10に示すように、導電性部材26とカバープレート3の凹部66の底面との間に形成されるインク供給口69の開口面積をより大きく形成することができる。
【0056】従って、溝8がカバープレート3によって覆われることにより、横方向に互いに間隔を有して形成された複数のインク流路12内へのインクの供給量をより増加させることができ、高速印字および多ノズル化に伴いインクの消費が多量になっても、インクを確実に供給することができる。
【0057】なお、該凹部66は少なくとも全溝をカバーできる幅とインクの供給として流路抵抗を軽減するため端部より1000μm乃至1500μmの長さで形成されていることが好ましい。
【0058】そして、各インク流路12の位置に対応した位置に導電層のパターン42が形成されている基板41を圧電プレート27の端部15に形成された導電性部材26に接続する。その導電層のパターン42と導電性部材26とは、異方導電性接着剤もしくはパターン上にバンプを形成し該バンプを導電性部材26に挿入することによって接続される。
【0059】この後、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機保護膜により上記接合部を保護する。但し、使用するインク及び異方導電性接着剤を含む該インクジェットプリンタヘッド1を作成するために使用した接着剤の特性によっては保護膜は必要ない。
【0060】次に、導電性部材26が設けられていない側の圧電プレート27とカバープレート3の端面に、各インク流路12に対応したノズル32が形成されたノズルプレート31が接着される。
【0061】最後に、導電性部材26が設けられている側の圧電プレート27とカバープレート3の端面に基板41をはさんだ状態でマニホールド22を接合する。このとき、接合部分からインクの漏れのないよう周りを樹脂等で封止すると信頼性が向上する。
【0062】上記構成により、溝8の一側面の金属電極13と他側面の金属電極13とが導電性部材26によって電気的に接続される。このため、導電性部材26に電圧が印加されると、導電性部材26を通して溝8の両側面の金属電極13に電圧が同時に印加され、同時に溝8の両側面である側壁11が、上述したように、溝8の内部方向に変形してインク滴が噴出される。
【0063】以上説明したように、インクの供給側の流路抵抗が低いため、インク吐出における高速駆動時の安定性が高い。また、導電性部材26と金属電極13,10の接触面積が大きいため電気抵抗を低減することができ、駆動回路の負荷を軽減することができた。
【0064】また、上記第1及び第2の実施形態においては、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、圧電プレート27に形成される溝8のピッチ、幅、深さは特に特定するものではなく、使用条件等に応じて適切な値に設定されてよい。
【0065】さらに、本実施形態では、側壁に形成する金属電極を側面の上半分に行ったが、流路全面に金属メッキ等で形成した後、レーザー光を上半分に照射することにより該金属メッキを除去し、下半分及び底面に金属電極を形成した構成でも構わない。
【0066】この場合、金属電極の形成は複雑となるが、導電性部材と金属電極の密着面積が大きいため、該接続部の電気抵抗を押さえることができると共に、接続部の信頼性が向上する。また、導電性部材の充填量を溝深さの半分以下に押さえることができるため、インク供給口での流路抵抗を軽減することができ、インク供給及び吐出駆動が安定する。
【0067】そして、上述の第1及び第2の実施形態では、圧電プレート27を一体構成としたが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、図11に示すように、圧電プレート27を上部圧電部材61と下部圧電部材62の2枚構成として、各々の圧電プレート27の分極方向が各々矢印63,64に示すように厚さ方向に反対向きに接着し、溝11を高さの約半分の位置で分極方向が反対となるように形成した後、溝11の全面に電極65を形成してもよい。この場合にも、前記各実施形態と同様の効果が得られる。
【0068】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、以下の効果を奏する。
【0069】請求項1によれば、圧電部材に形成された溝の端部に前記溝の両側面に形成された駆動電極と配線パターンと電気的に接続するのに導電性部材が設けられ、前記導電性部材が設けられた端部側の面からインクを供給するインク供給口を設けるので、圧電プレートの端部を導電性部材で完全に封止する必要がなく、信頼性及び生産性が向上する。
【0070】また、インク流路途中にインクの供給口を設けないため、インク流路長を短くすることができ、インクジェットプリンタヘッドの小型化が実現できると共に、駆動電極部の電気抵抗を低減し駆動回路の負荷を低減することができる。
【0071】また、インクの流れが供給口からインク流路までほぼ一直線となり抵抗のない流れを形成することができ、安定したインク吐出ができる。
【0072】請求項2によれば、カバープレート側にインク供給口を開設することにより、そのカバープレートに沿って、各インク流路内にインクをストレートに導入することができ、インクの流れが安定し、インクの吐出状態が安定化する。
【0073】請求項3によれば、接続部を保護膜で絶縁保護することにより、導電性インクを用いた場合に、その接続部を保護することができる。
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成13年1月12日(2001.1.12)
【代理人】 【識別番号】100084548
【弁理士】
【氏名又は名称】小森 久夫
【公開番号】 特開2002−210954(P2002−210954A)
【公開日】 平成14年7月31日(2002.7.31)
【出願番号】 特願2001−5179(P2001−5179)