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【発明の名称】 記録装置の紙送り装置及び該装置を備える記録装置
【発明者】 【氏名】熊井 英司

【要約】 【課題】用紙の終端が紙送りローラから外れて自由状態になった後も、用紙の終端が確実にプラテンの頂面で浮き上がることなく進行するようにし、これにより用紙の始端から終端にかけてペーパーギャップが常に一定になるような記録装置の紙送り装置を提供すること。

【解決手段】紙送りローラ19の下流側であって、記録ヘッド21の下方に、紙送りローラ19から送られてくる用紙Pを下側から支持するリブ25を備えるプラテン24が設けられ、該リブ25の頂面26の上流端付近に、紙送りローラ19を通過した用紙Pを頂面26上に導くとともに頂面26に押し付ける用紙押さえ片49の押圧作用部51が臨んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 記録ヘッドの上流側近傍に配置された紙送りローラと、記録ヘッドの下流側近傍に配置された排紙ローラとを備え、用紙の終端が前記紙送りローラから外れた後も用紙に印刷可能な構成を備える記録装置の紙送り装置であって、前記紙送りローラの下流側であって、記録ヘッドの下方には、紙送りローラから送られてくる用紙を下側から支持するリブを備えるプラテンが設けられ、該リブの頂面の上流端付近には、前記紙送りローラを通過した用紙を前記頂面上に導くとともに前記頂面に押し付ける用紙押さえ片の押圧作用部が臨んでいることを特徴とする記録装置の紙送り装置。
【請求項2】 請求項1において、前記用紙押さえ片は、前記紙送りローラの一部をなす紙送り従動ローラを支持する支持アームに対して、用紙の搬送路上方に位置するように設けられていることを特徴とする記録装置の紙送り装置。
【請求項3】 請求項2において、前記紙送り従動ローラは、該紙送り従動ローラの軸体の長手方向に対して間隔をあけて串刺し状に配列されており、前記用紙押さえ片は前記紙送り従動ローラの間に複数設けられていることを特徴とする記録装置の紙送り装置。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記用紙押さえ片は、それ自体あるいは他の部材との組み合わせにより所定の弾性力を有し、該弾性力により用紙の厚さの変化に対応して前記押圧作用部の位置を可変し得るように構成されていることを特徴とする記録装置の紙送り装置。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の紙送り装置を備えていることを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録ヘッドの上流側近傍に配置された紙送りローラと、記録ヘッドの下流側近傍に配置された排紙ローラとを備える記録装置の紙送り装置及び該装置を備えるプリンタ等の記録装置に関し、特に用紙の終端が紙送りローラから外れたときに用紙の終端がプラテンの頂面から浮き上がることを防止するための構造に係る。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の記録装置は、紙送りローラにより用紙を定速で送りながら印刷を行い、用紙の終端が紙送りローラを外れた後は印刷を行うことなく、排紙ローラにより排紙するように構成されていた。しかし最近では用紙の終端近くまで印刷を行うというユーザニーズがあり、これを実現するためには、用紙の終端が紙送りローラから外れた後も印刷を継続しなければならない。
【0003】そこで紙送りローラでの用紙の搬送安定性の向上を図るため、本出願人は既に特開平10−264465号「プリンタの紙押さえ装置」なる特許出願に及んでいる。この特許出願は紙押さえ板と紙押さえローラの併用により紙送りローラ部での用紙の浮き上がりを抑えつつ、印字ヘッドの下へ用紙を円滑に導くというものである。
【0004】しかし、この出願では図5に示す如く、印字ヘッド101に対して確実に用紙Pの先端を案内するために紙押さえ板102を設けたにとどまり、印字ヘッド101とプラテンにおけるダイヤモンドリブ103の頂面105との距離、即ちペーパーギャップPGを正確に維持するという思想は開示されていない。従って、同出願における発明の下では、用紙Pの終端が、図5に示す如く、ダイヤモンドリブ103の頂面105から若干浮き上がってしまうことがあり、ペーパーギャップPGが変化してしまう。そして、ペーパーギャップPGが変化すると記録ヘッド101のドット着弾位置がずれてしまい、印刷画質が低下するという問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような背景に鑑みなされたものであり、記録ヘッド近傍への用紙の案内作用だけでなく、用紙の終端が紙送りローラから外れて自由状態になった後も、用紙の終端が確実にプラテンの頂面で浮き上がることなく進行するようにし、これにより用紙の始端から終端にかけてペーパーギャップが常に一定になるような記録装置の紙送り装置及び該装置を備える記録装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、記録ヘッドの上流側近傍に配置された紙送りローラと、記録ヘッドの下流側近傍に配置された排紙ローラとを備え、用紙の終端が紙送りローラから外れた後も用紙に印刷可能な構成を備える記録装置の紙送り装置であって、前記紙送りローラの下流側であって、記録ヘッドの下方には、紙送りローラから送られてくる用紙を下側から支持するリブを備えるプラテンが設けられ、該リブの頂面の上流端付近には、前記紙送りローラを通過した用紙を前記頂面上に導くとともに前記頂面に押し付ける用紙押さえ片の押圧作用部が臨んでいることを特徴とするものである。
【0007】本発明によれば、用紙押さえ片の押圧作用部がリブの頂面の上流端付近まで接近して設けられているから、紙送りローラの直ぐ下流だけでなく、記録ヘッド直下の印刷位置に至るまでの用紙の搬送安定性も維持される。また用紙の終端が浮き上がろうとしても、用紙押さえ片とダイヤモンドリブの頂面との挟持作用により用紙終端の浮き上がりは完全に防止されるから、ペーパーギャップが常に一定に維持され、従って記録ヘッドのドット着弾位置のずれが生じない。
【0008】また、本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載された記録装置の紙送り装置において、前記用紙押さえ片は、前記紙送りローラの一部をなす紙送り従動ローラを支持する支持アームに対して、用紙の搬送路上方に位置するように設けられていることを特徴とするものである。本発明によれば、用紙押さえ片の支持部材を別途設ける必要もなく、既存の部品を有効利用できるため、製品コストを抑えることができる。
【0009】また、本願請求項3に記載の発明は、請求項2に記載された記録装置の紙送り装置において、前記紙送り従動ローラは、該紙送り従動ローラの軸体の長手方向に対して間隔をあけて串刺し状に配列されており、前記用紙押さえ片は前記紙送り従動ローラの間に複数設けられていることを特徴とするものである。本発明によれば、紙送りローラでの押圧力に何ら影響を与えることなく、用紙の幅方向において平均的に用紙を押さえることができるとともに、押圧作用部の増加により全体としても押圧作用が向上する。
【0010】また、本願請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載された記録装置の紙送り装置において、前記用紙押さえ片は、それ自体あるいは他の部材との組み合わせにより所定の弾性力を有し、該弾性力により用紙の厚さの変化に対応して前記押圧作用部の位置を可変し得るように構成されていることを特徴とするものである。本発明によれば、用紙の厚さが変化したときに、押圧作用部の位置が自動的に上下するから、用紙の厚さが変わる度に押圧作用部の位置を作業者が調整する必要がない。
【0011】また、本願請求項5に記載の発明に係る記録装置は、請求項1〜4のいずれか1項に記載された紙送り装置を備えていることを特徴とするものである。本発明によれば、押圧作用部とダイヤモンドリブにおける頂面とによって用紙の終端を挟持することができるから、用紙の浮き上がりが生じず、ペーパーギャップの変動に起因して生じる印刷画質の低下が起こらない。従ってボトムマージンを極めて小さくしても、高品質な印刷を行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る記録装置の紙送り装置を備えるインクジェットプリンタの側断面図であり、図2は同記録装置の紙送り装置部分の平面図(A)及び駆動系の側面図(B)である。また図3は同記録装置の紙送り装置の拡大平面図(a)並びに側断面図(b)であり、図4は本発明の紙送り装置を採用したときの紙送りローラ通過後の用紙の搬送状態を示す説明図である。
【0013】図1において、符号1は本発明に係る記録装置の紙送り装置を適用した記録装置の一例であるインクジェットプリンタを示す。インクジェットプリンタ1は、プリンタ本体3と、該プリンタ本体3の後方上部に設けられる給紙部5と、プリンタ本体3の前方に形成される排紙部7とを備えて成る。
【0014】給紙部5には給紙トレイ11が形成されており、給紙トレイ11には複数枚の用紙Pが積載できるようになっている。給紙トレイ11の直ぐ下流側には給紙ローラ13が設けられている。給紙ローラ13は、対向する分離パッドとの間で給紙トレイ11の最上部に位置する用紙Pを挟圧して、前方へ送り出す作用をする。
【0015】送り出された用紙Pは、下側の紙送り駆動ローラ15及び上側の紙送り従動ローラ17から構成される紙送りローラ19に至り、そこで後述する駆動系により印刷工程における精密な紙送り動作を受けながら、紙送りローラ19の下流側に位置する記録ヘッドである印字ヘッド21へ給紙されるようになっている。
【0016】印字ヘッド21はキャリッジ23に支持されており、キャリッジ23は給紙方向と直交する方向へ往復運動できるようになっている。印字ヘッド21と対向する位置にはプラテン24が設けられており、該プラテン24はキャリッジ23の移動方向に沿って間隔をあけて配置される複数のダイヤモンドリブ25によって構成されている。ダイヤモンドリブ25は、印字ヘッド21によって用紙Pに印刷を行う際に、用紙Pを下側から支持する作用をし、具体的には、ダイヤモンドリブ25の頂面26がその作用を担う。
【0017】印字ヘッド21とダイヤモンドリブ25との距離は、用紙Pの厚さによって適宜調節できるようになっており、これにより用紙Pはダイヤモンドリブ25の頂面26上を滑らかに通過しながら、高品質の印刷が行えるようになっている。印字ヘッド21で印刷された用紙Pは、排紙部7に設けられる排紙ローラ27によって順次排出される。
【0018】排紙ローラ27は、下側の排紙駆動ローラ29及び上側の排紙ギザローラ31から構成されており、用紙Pが排紙駆動ローラ29の回転駆動により引き出されて排出される装置となっている。
【0019】ここで紙送りローラ19及び排紙ローラ27における各駆動ローラ15,29の駆動系及び両駆動ローラ15,29の駆動速度の関係について説明する。図2(B)に示す如く、プリンタ本体3には紙送りモータ32が設けられ、その駆動軸に設けられたピニオン33には紙送り駆動ギア35が歯合している。紙送り駆動ギア35の回転軸は、紙送り駆動ローラ15の軸体37となっている。
【0020】また、紙送り駆動ギア35と同軸的に設けられるインナギア39には中間ギア41が歯合しており、該中間ギア41には排紙駆動ギア43が歯合している。排紙駆動ギア43の回転軸は、排紙駆動ローラ29の軸体45となっている。このようにして紙送りローラ19及び排紙ローラ27における各駆動ローラ15、29は同一の駆動源からの駆動力を受けて駆動することができる。
【0021】ギア比を調整することで、排紙駆動ローラ29の回転速度は紙送り駆動ローラ15の回転速度よりも速くなるように設定されており、従って排紙ローラ27の排紙速度は、紙送りローラ19の紙送り速度よりも増速率sだけ速い速度となっている。また紙送りローラ19による用紙押さえ力は、排紙ローラ27による押さえ力よりも大きく設定されているため、紙送りローラ19と排紙ローラ27の両方が用紙を挟持している状態にあるときの用紙搬送速度は、排紙ローラ27の排紙速度とは関係なく紙送りローラ19の紙送り速度で規定されるようになっている。
【0022】以下本発明の特徴的構成について説明する。本発明では用紙Pの終端が紙送りローラ19から外れたときに、用紙Pの終端が浮き上がり、ペーパーギャップPGが変動することを防止するために以下に説明するような構造を提供する。
【0023】即ち図3に示す如く、紙送り従動ローラ17を支持する支持アーム47に対して、用紙Pの搬送路の上方に位置するように用紙押さえ片49が設けられている。なお、図3(a)には図の複雑化を避ける観点から支持アーム47は省略されている。用紙押さえ片49は、一例としてステンレス等の金属製材料あるいは硬質プラスチック製材料等により構成されており、その形状は一例として図示のような肉薄板状の部材が用紙Pの搬送路に沿うように幾分湾曲して形成されている。
【0024】図4に示す如く、用紙押さえ片49の先端には、実質的にダイヤモンドリブ25の頂面26との間に用紙Pを案内し挟持して用紙終端の押さえ作用を担う押圧作用部51が形成されており、この押圧作用部51は、紙送りローラ19の下流側に位置するダイヤモンドリブ25の頂面26の上流端付近に臨むように配置されている。ここで、頂面26の上流端付近とは、頂面26の紙送りローラ19側に位置する端部からドットの着弾位置に相当する位置までの間、及び該端部から上流側に僅かな距離離れた位置であって、押圧作用部51が用紙の終端に作用したときに用紙の終端が頂面26から浮き上がることを防止できるような位置を含む。
【0025】更に、図3に示す実施の形態では、紙送り従動ローラ17の軸体53の長手方向に対して紙送り従動ローラ17が間隔をあけて串刺し状に配列されており、用紙押さえ片49は、各紙送り従動ローラ17の間に1個ずつ計11個配置されている。しかし、充分な押さえ力が得られる場合には、用紙押さえ片49の数を減少させたり、特に大きな押さえ力がかかる箇所には用紙押さえ片49を多く設けるなど、その数及び配置態様は自由である。
【0026】更にまた、図3に示す実施の形態では、支持アーム47に対して、一例としてねじりコイルバネからなる付勢手段55を作用させている。この付勢手段55は本来、支持アーム47の先端に支持されている紙送り従動ローラ17に所定の押圧力を付与する目的で設けられるものであるが、これと同時に支持アーム47に対して設けられている用紙押さえ片49にも適当な弾性力を付与して、用紙Pの厚さの変化等に対応して押圧力を自動的に調整できるようにする作用も併せ持つ。なお、図3(a)には図の複雑化を避ける観点からねじりコイルバネからなる付勢手段55は省略されている。
【0027】勿論、用紙押さえ片49自体を板バネ等により構成し、それ自体で所定の弾性力を発揮できるものであれば、上記付勢手段55を用紙押さえ片49に弾性力を付与するように作用させる必要はない。また微妙な紙厚の変化等に対応したければ、別途用紙押さえ片49だけに下向きの付勢力を付与する専用の付勢手段を追加するようにすることも可能である。なお押圧作用部51が、用紙Pの終端を実質的に頂面26に接触させるような位置にある場合には、押圧作用部51は必ずしも頂面26上に付勢されている必要はない。本明細書において、押し付けるという用語は、このように用紙の下面が実質的に頂面26に接触することができる作用を意味する。
【0028】この他、用紙押さえ片49を設ける箇所としては、支持アーム47に限らず、図示は省略するが適宜のブラケットを独立して設け、そのブラケットに対して取り付けるようにすることも可能であるし、印字ヘッド21の印刷位置(ドットの着弾位置)よりも上流側に押圧作用部51が位置するように、印字ヘッド21あるいはこれを駆動するキャリッジ23に対して取り付けるようにすることも可能である。更に支持アーム47の一部に用紙押さえ片49の機能を持たせるようにすることも可能である。
【0029】次に、上記実施の形態に係る本発明の作用について説明する。給紙ローラ13によって給紙された用紙Pは、紙送りローラ19の上流側近傍に至ると、その搬送路上方に位置する用紙押さえ片49によって、その上面を案内されて、紙送り駆動ローラ15と紙送り従動ローラ17との間に導かれ、両ローラの駆動により下流側に位置する印字ヘッド21の下方に向けて定速で搬送される。このとき用紙Pの始端は用紙押さえ片49によってダイヤモンドリブ25の頂面26の上に案内される。
【0030】用紙Pの印刷開始端が、印字ヘッド21の直下の所定の印刷位置に差し掛かると印刷が開始される。その後用紙Pの始端が、排紙ローラ27に至ると、排紙動作が開始される一方、排紙ローラ27の搬送速度は紙送りローラ19の搬送速度より速く設定されているため、用紙Pにバックテンションが掛かった状態で搬送される。
【0031】そして、用紙Pの終端が紙送りローラ19を外れると、今まで用紙Pに掛かっていたテンションが急になくなり、用紙Pの終端は自由状態となるため上方へ浮くように屈曲しがちな状態となる。しかし、本発明ではこのような状態に至っても、用紙Pの終端は、図4に示す如く、用紙押さえ片49における押圧作用部51とダイヤモンドリブ25における頂面26との挟持作用によって保持された状態にあるから、用紙Pの終端の浮き上がりは生じず、用紙Pは、用紙の下面がダイヤモンドリブ25の頂面26に接触した状態を維持しながら搬送される。
【0032】従って、用紙Pの終端が紙送りローラ19から外れた後も、それ以前と同様に高品質な印刷を引き続き行うことができる。このようにして例えばボトムマージン3mm程度までの印刷も可能となる。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、用紙の終端が紙送りローラを外れた後も、用紙の終端は用紙押さえ片における押圧作用部とダイヤモンドリブにおける頂面とによって挟持されているから、用紙の浮き上がりは生じず、ペーパーギャップの変動に起因して生じる印刷画質の低下が起こらない。従ってボトムマージンを極めて小さくしても、高品質な印刷を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【出願日】 平成12年7月4日(2000.7.4)
【代理人】 【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
【公開番号】 特開2002−19205(P2002−19205A)
【公開日】 平成14年1月23日(2002.1.23)
【出願番号】 特願2000−201805(P2000−201805)