| 【発明の名称】 |
フォトクロミック膜付き基体とその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】松本 太輝
【氏名】森本 剛
【氏名】朝長 浩之
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| 【要約】 |
【課題】有機フォトクロミック色素を含み良好な着褪色特性を有し、かつ充分な耐擦傷性を有するフォトクロミック膜が基体上に形成されたフォトクロミック膜付き基体と、該フォトクロミック膜付き基体を簡便に製造できる製造方法の提供。
【解決手段】酸化ケイ素マトリックス中に特定のスピロ化合物からなるフォトクロミック色素とポリエーテル化合物とを有するフォトクロミック膜が基体上に形成されたフォトクロミック膜付き基体とその製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】酸化ケイ素マトリックス中に、式(1)で示されるスピロ化合物(式中XはNまたはCHを示し、YはOまたはSを示す。環αは、スピロ炭素原子に隣接する位置がNである環であり、環に結合する水素原子は他の基で置換されてもよく、Rは有機基である。環βは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、または前記環を構成する1つまたは2つのCHがNに置換された環であり、環に結合する水素原子は他の基で置換されていてもよい。)からなるフォトクロミック色素と、該マトリックスに結合していてもよいポリエーテル化合物と、を有するフォトクロミック膜が基体上に形成されたフォトクロミック膜付き基体。 【化1】
【請求項2】前記スピロ化合物が、式(2)で示されるスピロオキサジン類(式中環αは、スピロ炭素原子に隣接する位置がNである環であり、環に結合する水素原子は他の基で置換されてもよく、Rは有機基である。環βは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、または前記環を構成する1つまたは2つのCHがNに置換された環であり、環に結合する水素原子は他の基で置換されていてもよい。)である請求項1に記載のフォトクロミック膜付き基体。 【化2】
【請求項3】ポリエーテル鎖を有しない加水分解性ケイ素化合物の加水分解物中に、式(1)で示されるスピロ化合物(式中XはNまたはCHを示し、YはOまたはSを示す。環αは、スピロ炭素原子に隣接する位置がNである環であり、環に結合する水素原子は他の基で置換されてもよく、Rは有機基である。環βは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、または前記環を構成する1つまたは2つのCHがNに置換された環であり、環に結合する水素原子は他の基で置換されていてもよい。)からなるフォトクロミック色素と、ポリエーテル化合物とを含む塗布液を、基体上に塗布、加熱して形成するフォトクロミック膜付き基体の製造方法。 【化3】
【請求項4】加水分解性ケイ素化合物としてR2aSiZ4-aで表されるシラン化合物(aは0、1または2であり、R2は置換されていてもよい有機基であり、aが2のとき2つのR2は互いに同一でも異なっていてもよく、Zは加水分解性基であって、複数のZは互いに同一でも異なっていてもよい。)を用いる請求項3に記載のフォトクロミック膜被覆物の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はフォトクロミック膜被覆物とその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】紫外線によって着色するフォトクロミック材料は、窓材への応用の他、ホログラム素子や光記録素子等への応用も期待されている。フォトクロミック材料としては、ハロゲン化銀や金属酸化物(例えば酸化チタン)等の無機系材料と、ジアリールエテン、スピロピラン、スピロオキサジン等の有機系材料がある。有機系材料は耐久性の面での問題はあるものの、多色性や着色退色の応答速度という観点では優れている。 【0003】現在、有機系材料が実用化されている例としては、調光によってファッション性や視覚快適性が付与された、眼鏡レンズやサングラスなどが挙げられる。トランジションズ・オプティカル(TRANSITIONS OPTICAL)社のフォトクロミックレンズはサーマル・トランスファ・プロセスと呼ばれる方法で製造されている。この方法は、フォトクロミック色素を含む紙をプラスチックレンズ基体上に接触させ、加熱により色素を基体中に拡散させることにより、フォトクロミックレンズを得るものである。 【0004】しかし、前記方法は、プラスチックのように色素が分散しないガラス基体に対しては適用できない。また、大面積化に際しては生産効率といった面からも問題がある。また有機色素は熱により容易に分解するため、溶融ガラス中に分散させることもできない。このため、ガラス基体上に薄いフォトクロミック性を有する被膜(以下、フォトクロミック膜という)を簡便に形成できる製造方法が望まれている。 【0005】従来、有機色素系のフォトクロミック膜を形成する方法としては、1)高分子ポリマー前駆体のモノマーにフォトクロミック色素を溶解させ重合キャストする方法、2)シリコン系ハードコート液にフォトクロミック色素を溶解させコーティングする方法、等が提案されている。 【0006】しかし、1)の方法では、得られる膜が高分子ポリマーであるため、強度、硬度の低いコーティングしか得られないうえに、重合開始剤によってフォトクロミック色素が分解される問題がある。また、2)の方法では、緻密なシロキサンネットワーク中にフォトクロミック色素が束縛され、着褪色反応が阻害されるために、充分な着褪色特性が得られない問題がある。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、有機フォトクロミック色素を含み良好な着褪色特性を有し、かつ充分な耐擦傷性を有するフォトクロミック膜が基体上に形成されたフォトクロミック膜付き基体と、該フォトクロミック膜付き基体を簡便に製造できる製造方法の提供を目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、酸化ケイ素マトリックス中に、式(1)で示されるスピロ化合物(式中XはNまたはCHを示し、YはOまたはSを示す。環αは、スピロ炭素原子に隣接する位置がNである環であり、環に結合する水素原子は他の基で置換されてもよく、Rは有機基である。環βは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、または前記環を構成する1つまたは2つのCHがNに置換された環であり、環に結合する水素原子は他の基で置換されていてもよい。)からなるフォトクロミック色素と、該マトリックスに結合していてもよいポリエーテル化合物と、を有するフォトクロミック膜が基体上に形成されたフォトクロミック膜付き基体を提供する。 【0009】 【化4】
【0010】式(1)中の環αにおいて、スピロ炭素原子に隣接する位置は2ヵ所あるがそのいずれかがNであればよい。環αとしては、環を構成する元素が炭素と1つのNとからなるものが挙げられ、具体的には、インドリン環などが挙げられ、環に結合する水素は置換されていてもよい。式(1)中のRは、アルキル基(例えば炭素数が1〜6のアルキル基)、アルコキシ基(例えば炭素数が1〜6のアルコキシ基)、または−(CH)nCOOZ’(nは1〜4の整数であり、Z’は水素または炭素数1〜6のアルキル基)であることが好ましい。 【0011】また、式(1)中の環βの具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピリジン環、キノリン環、アントラセン環を構成する1つのCHがNに置換された環、フェナントレン環を構成する1つのCHがNに置換された環などが挙げられ、前記の環に結合する水素は置換されていてもよい。 【0012】フォトクロミック膜中の酸化ケイ素はマトリックス(母材)であり、シロキサンネットワークを形成している。式(1)で示されるスピロ化合物からなるフォトクロミック色素(以下、単にスピロ系色素という)は該シロキサンネットワーク中に分散している。ポリエーテル化合物は、1)該シロキサンネットワーク中に分散しているか、または、2)該シロキサンネットワークの一部と結合している。 【0013】スピロ系色素は、分子構造中に2つのヘテロ環状部を有し、2つのヘテロ環状部は共通の炭素原子で結合した構造となっている。スピロ系色素としては、式(1)中のXがC(炭素)で、YがO(酸素)であるスピロピラン類(例えば、式(3)で示される化合物)や式(1)中のXがN(窒素)で、YがO(酸素)であるスピロオキサジン類等が挙げられる。着色強度および耐久性の観点からは式(2)で示されるスピロオキサジン類が好ましい。スピロオキサジン類の具体例としては、式(4)、式(5)、式(6)等が挙げられる。 【0014】 【化5】
【0015】 【化6】
【0016】 【化7】
【0017】ポリエーテル化合物は、フォトクロミック色素の着褪色反応を円滑に進行させる着色増感剤として働く。ポリエーテル化合物としては、A−O−(R1−O)n−B(R1は2価の有機基であり、A、Bはそれぞれ、水素、有機基または有機金属基であって両者は同一でも異なっていてもよく、nは2〜500である。)で示される化合物が好ましい。特に、R1は炭素数2〜4のアルキレン基が好ましい。また、A、Bは、有機基である場合は、アルコール類の水酸基を除いた1価の有機基が好ましく、アルキル基、グリシジル基などであることが好ましい。有機金属基としては、例えば、Si、B、Al、P、ZrまたはTiを有する有機金属基が挙げられ、特に、加水分解性基がケイ素原子に結合した加水分解性シリル基を有するアルキル基が好ましい。 【0018】ポリエーテル化合物としては、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、またはポリオキシエチレン鎖とポリオキシプロピレン鎖の共重合鎖であることが好ましい。前記アルキレン基における水素原子はアルコキシ基や水酸基などの置換基で置換されていてもよい。また、フォトクロミック膜中には複数種のポリエーテル化合物が存在していてもよい。 【0019】ポリエーテル化合物のnは(R1−O)の重合度を表している。重合度は分布をもっていてもよく、nを平均重合度とした場合、必ずしも整数である必要はない。重合度nが小さすぎては増感作用が充分でなく、また大きすぎては得られるフォトクロミック膜の強度、耐水性が充分でないことから、重合度nは2〜500であり、特に3〜50であることが好ましい。 【0020】ポリエーテル化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエーテル類(例えば、ポリエチレングリコールモノセチルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル)、ポリグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、モノラウリン酸ポリグリセリル)、ポリオキシエチレンステロール類(例えば、ポリオキシエチレンフィトステロール)。 【0021】ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類(例えばモノステアリン酸ポリエチレングリコール)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類(例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルエーテル)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)、ポリエチレングリコールメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)エーテル、ポリプロピレングリコールメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)エーテル等が挙げられる。 【0022】得られるフォトクロミック膜の強度や耐水性の観点からは、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)エーテルが好ましい。 【0023】シロキサンネットワークを有するマトリックスは、厳密にSiO2の組成になっている必要はなく、網目状Si−O−Si結合を有する非晶質であればよい。また、マトリックス成分として、網目形成原子であるB、Al、P、Zr、Tiなどが含まれていてもよく、修飾イオンであるアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンなどが含まれていてもよい。 【0024】本発明において用いられる基体は特に限定されず、1)ソーダライムガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等のガラス基体、2)ポリカーボネート、アクリル等の樹脂基体、3)セラミックス基体、4)金属基体等が挙げられる。 【0025】本発明のフォトクロミック膜付き基体は例えば以下のようにして製造できる。ポリエーテル鎖を有しない加水分解性ケイ素化合物の加水分解物中に、スピロ系色素と、ポリエーテル化合物とを含む塗布液を、基体上に塗布、加熱して形成する。スピロ系色素は単独でも、2種以上混合しても用い得る。スピロ系色素の好ましい例は前述したとおりである。 【0026】塗布液中のスピロ系色素の含有割合は、過少では着色強度が充分でないおそれがあり、過剰ではマトリックス成分との相溶性に問題があることから、全塗布液に対して0.01〜10質量%、特に0.5〜5質量%であることが好ましい。 【0027】ポリエーテル化合物としては前述したものが好ましく用いられ、単独でも、2種以上混合しても用い得る。ポリエーテル化合物の含有割合は、過少では着色増感剤としての効果が充分でないおそれがあり、過剰ではフォトクロミック膜の耐久性および耐水性が低下するおそれがあることから、ポリエーテル化合物/スピロ系色素の重量比は5/1〜200/1、特に10/1〜100/1であることが好ましい。 【0028】加水分解性ケイ素化合物は、シロキサンネットワークを形成するための成分であり、ポリエーテル鎖を有していない化合物である。加水分解性ケイ素化合物としては、R2aSiZ4-aで表されるシラン化合物(aは0、1または2であり、R2は置換されていてもよい有機基であり、aが2のとき2つのR2は互いに同一でも異なっていてもよく、Zは加水分解性基であって、複数のZは互いに同一でも異なっていてもよい。)であることが好ましく、特に、前記Zがアルコキシ基であるアルコキシシラン化合物であることが好ましい。 【0029】アルコキシシラン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランの縮合体(例えばメチルシリケート51)、テトラエトキシシランの縮合体(例えばエチルシリケート40)、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等が挙げられる。 【0030】加水分解性ケイ素化合物は単独でも、2種以上混合しても用い得る。加水分解性ケイ素化合物は、水と酸を添加して加水分解させた形で塗布液中に存在していることが好ましい。アルコキシシラン化合物はアルコキシ基が加水分解されることでバインダ性が発現し、加水分解条件を制御することで塗布液中で適度なネットワーク構造を形成する。 【0031】塗布液には、塗布性を高めるための親水性有機溶媒(例えばアルコール)や界面活性剤、またはコロイドの分散性を向上させる分散剤等を添加できる。また、網目構造の形成成分となり得る、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、ホウ素、リン等の化合物を塗布液に添加できる。また、アルカリ金属の化合物やアルカリ土類金属の化合物も塗布液に添加できる。また、より厚い膜厚を得るため、平均粒径50nm以下のシリカやアルミナの超微粒子を塗布液中に分散させてもよい。 【0032】塗布方法としては公知の方法を用いることができ、例えば、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、転写印刷法、スクリーン印刷法等が挙げられる。 【0033】加熱温度は、低すぎると膜の硬化が充分でないおそれがあり、高すぎると酸化、熱分解によるスピロ系色素の破壊や揮散を招くことから、80〜250℃、特に100〜170℃であることが好ましい。加熱雰囲気は特に限定されず、大気雰囲気でよい。加熱時間は短すぎると膜の硬化が充分でなく、長すぎると酸化、熱分解によるスピロ系色素の破壊や揮散を招くことから、10〜300分、特に30〜180分であることが好ましい。 【0034】加熱後の膜厚は、薄すぎると膜中の色素の寿命が短く、透過率変化量も充分でない傾向にあり、厚すぎるとクラックや剥離が生じやすいことから、5〜100μm、特に10〜50μmであることが好ましい。 【0035】 【実施例】以下に例を挙げて説明するが、本発明は以下の例に限定されない。 (例1)シロキサンネットワークを形成するための加水分解性ケイ素化合物である3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン6.35g、メチルトリメトキシシラン3.66gにpH1の硝酸水溶液1.15gを加え、さらにポリエーテル化合物である式(7)の化合物(ポリエチレングリコールメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)エーテル)2gを混合し、室温で2時間反応させた。この液にスピロ系色素である前記式(4)の化合物の10%酢酸ブチル溶液1.3gを添加し塗布液とした。このとき、全溶液中のスピロ系色素の濃度は約1質量%である。また、ポリエーテル化合物/スピロ色素の重量比は約15/1である。 【0036】この塗布液をスピンコート法によってガラス基板上に塗布し、大気雰囲気で、100℃で120分間加熱し、フォトクロミック膜が形成されたフォトクロミック膜付きガラス基板を得た。膜厚は約20μm、フォトクロミック膜付きガラス基板の波長620nmでの透過率は90%であった。得られた膜中のスピロ系色素はシロキサンネットワーク中に分散しており、ポリエーテル化合物はシロキサンネットワークの一部と結合している。 【0037】得られたフォトクロミック膜付きガラス基板の膜形成面に、150Wのキセノンランプを使用し、シャープカットフィルタ(シグマ光機社製UTF−50S−32U)を介して紫外線を30秒間照射するとフォトクロミック膜付きガラス基板は青色に着色し、波長620nmでの透過率は38%になった。またこのフォトクロミック膜付きガラス基板を暗所に放置すると、1分後にはもとの透過率まで回復した。 【0038】得られたフォトクロミック膜付きガラス基板のフォトクロミック膜に対して、1kg加重下、消しゴム(ライオン社製50−50)で30回往復し、耐擦傷性試験を行ったところ、大きな傷、剥離ともに見られなかった。また、得られたフォトクロミック膜付きガラス基板を、30℃、湿度80%の恒温恒湿室中に一週間保管し、耐湿性試験を行ったが、特性、外観ともに変化は見られなかった。 【0039】(例2)ポリエーテル化合物の添加量を0.67gとした(ポリエーテル化合物/スピロ色素の重量比は約5/1)以外は例1と同様にしてフォトクロミック膜付きガラス基板を得た。膜厚は約20μmであった。得られた膜中のスピロ系色素はシロキサンネットワーク中に分散しており、ポリエーテル化合物はシロキサンネットワークの一部と結合している。 【0040】得られたフォトクロミック膜付きガラス基板に例1と同様にして紫外線を照射し、照射前後の波長620nmでの透過率および暗所に1分間放置後の透過率を測定した(以下、単に紫外線照射試験という)。また、例1と同様にして耐擦傷性試験および耐湿性試験も行った。結果を表1に示す。 【0041】なお、表中の透過率変化量とは紫外線照射前後の透過率の差であり、耐擦傷性試験結果の「◎」は大きな傷、剥離ともになしの意であり、「〇」は膜の磨滅およびわずかな剥離があるが実用上は使用できるという意であり、また、耐湿性試験結果の「◎」は特性、外観ともに変化なしの意であり、「△」は膜の白濁があり用途が制限されるという意である。 【0042】(例3)ポリエーテル化合物を式(8)の化合物(ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)とした以外は例1と同様にしてフォトクロミック膜付きガラス基板を得た。膜厚は約20μmであった。得られた膜中のスピロ系色素はシロキサンネットワーク中に分散しており、ポリエーテル化合物はシロキサンネットワークの一部と結合している。得られたフォトクロミック膜付きガラス基板に例1と同様にして紫外線照射試験、耐擦傷性試験および耐湿性試験を行った。結果を表1に示す。 【0043】(例4)ポリエーテル化合物を式(9)の化合物(ポリエチレングリコールモノセチルエーテル)とした以外は例1と同様にしてフォトクロミック膜付きガラス基板を得た。膜厚は約20μmであった。得られた膜中のスピロ系色素とポリエーテル化合物とはシロキサンネットワーク中に分散している。得られたフォトクロミック膜付きガラス基板に例1と同様にして紫外線照射試験、耐擦傷性試験および耐湿性試験を行った。結果を表1に示す。 【0044】(例5)スピロ系色素を前記式(6)の化合物とし、その酢酸ブチル溶液の濃度を3%、添加量を3.9g(スピロ系色素の質量および濃度は例1と同じ)とした以外は例1と同様にしてフォトクロミック膜付きガラス基板を得た。膜厚は約20μmであった。得られた膜中のスピロ系色素はシロキサンネットワーク中に分散しており、ポリエーテル化合物はシロキサンネットワークの一部と結合している。得られたフォトクロミック膜付きガラス基板に例1と同様にして紫外線照射試験、耐擦傷性試験および耐湿性試験を行った。結果を表1に示す。 【0045】(例6)スピロ系色素を前記式(3)の化合物とし、その酢酸ブチル溶液の濃度を10%、添加量を1.3g(スピロ系色素の質量および濃度は例1と同じ)とした以外は例1と同様にしてフォトクロミック膜付きガラス基板を得た。膜厚は約20μmであった。得られた膜中のスピロ系色素はシロキサンネットワーク中に分散しており、ポリエーテル化合物はシロキサンネットワークの一部と結合している。得られたフォトクロミック膜付きガラス基板に例1と同様にして紫外線照射試験、耐擦傷性試験および耐湿性試験を行った。結果を表1に示す。 【0046】(例7(比較例))ポリエーテル化合物を添加しない以外は例1と同様にしてフォトクロミック膜付きガラス基板を得た。膜厚は約20μmであった。得られたフォトクロミック膜付きガラス基板に例1と同様にして紫外線照射試験、耐擦傷性試験および耐湿性試験を行った。結果を表1に示す。 【0047】 【化8】
【0048】 【表1】
【0049】 【発明の効果】本発明のフォトクロミック膜付き基体は着褪色特性に優れ、フォトクロミック膜は充分な強度と硬度を有している。また本発明の製造方法によれば、該フォトクロミック膜付き基体を簡便に製造できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000044 【氏名又は名称】旭硝子株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月8日(2001.3.8) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−264244(P2002−264244A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月18日(2002.9.18) |
| 【出願番号】 |
特願2001−65175(P2001−65175) |
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