| 【発明の名称】 |
積層ポリエステルフィルム |
| 【発明者】 |
【氏名】渡辺俊治
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| 【要約】 |
【課題】フィルム表面に霜降り欠陥がなく、しかも高い透明性を確保しながら良好な滑り性を有する透明積層ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】実質的に粒子状滑剤を含有しないポリエステル層(B)の少なくとも片面に、ボイド径比が2.0以下、変形度が1.25〜3.0、平均粒径が1.0〜5.0μm、Dw/Dnが1.6以下の架橋高分子粒子を0.001〜0.45重量%含有するポリエステル層(A)を有することを特徴とする積層ポリエステルフィルム。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 実質的に粒子状滑剤を含有しないポリエステル層(B)の少なくとも片面に、ボイド径比が2.0以下、変形度が1.25〜3.0、平均粒径が1.0〜5.0μm、Dw/Dnが1.6以下の架橋高分子粒子を0.001〜0.45重量%含有するポリエステル層(A)を有することを特徴とする積層ポリエステルフィルム。 【請求項2】 内部散乱光透過率が2%以下でフィルム同士の摩擦係数が0.8以下であることを特徴とする請求項1記載の積層ポリエステルフィルム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、透明性、滑り性、取扱い性等に優れた二軸配向積層ポリエステルフィルムに関する。詳しくは、本発明は、製版印刷用、エックス線写真用、マイクロフィルム用、電子写真用、金属蒸着用等の用途に適したポリエステルフィルムに関する。 【0002】 【従来の技術】ポリエステルフィルムの主要な用途の一つにいわゆる透明フィルムがあるが、当該フィルムには、透明性のみならず、取扱い作業性を容易にするために易滑性が求められる。かかる特性を達成する手段として、コーティング法によって表層に易滑性を設けたり、潤滑剤を配合したりする方法も知られているが、コストや信頼性等の点で難点が多い。 【0003】また、フィルムに配合する粒子種類および性状の限定や積層フィルムの提案もなされている。例えば、特開平3−206645号公報には、酸化アルミニウムで被覆した有機高分子微粒子を用いることが、特開平4−325532号公報には、粒径分布の狭い架橋高分子粒子を使用することが記載されており、特開平7−314626号公報には、積層フィルムにすることで粒子添加量を減らし、高透明性と易滑性を両立することが記載されている。 【0004】しかしながら、近年のベースフィルムの透明性に関しては、ベースフィルム表面にコーティングなどの2次加工の工夫が施されたことにより、ベースフィルム表面での光散乱による透明性の低下よりもベースフィルム内部での光の散乱、吸収による透明性の低下が問題になってきた。さらに、コストダウンのためフィルム製造工程および各種用途での加工工程のラインスピードは増加しており、フィルムをきれいに巻取ることが難しくなっている。また、高い品質レベルも要求されてきており、透明性とフィルム表面のムラ状のいわゆる霜降り欠陥がなく、鮮明な画質が得られることが強く望まれている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、フィルム表面に霜降り欠陥がなく、しかも高い透明性を確保しながら良好な滑り性を有する透明積層ポリエステルフィルムを提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課題を達成すべく、鋭意検討の結果、透明性の優れたポリエステルフィルムの少なくとも片方の表面に特定の特性を示す架橋高分子粒子を含有させた粒子含有層を積層することによって、フィルム特性が顕著に改良されることを見いだし、本発明を完成するに至った。 【0007】すなわち、本発明の要旨は、実質的に粒子状滑剤を含有しないポリエステル層(B)の少なくとも片面に、ボイド径比が2.0以下、変形度が1.25〜3.0、平均粒径が1.0〜5.0μm、Dw/Dnが1.6以下の架橋高分子粒子を0.001〜0.45重量%含有するポリエステル層(A)を有することを特徴とする積層ポリエステルフィルムに存する。 【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明におけるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等のような芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のようなグリコールとのエステルを主たる成分とするポリエステルである。当該ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接重合させて得られるほか、芳香族ジカルボン酸ジアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後、重縮合させる方法、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させる等の方法によっても得られる。当該ポリエステルの代表的なものとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。かかるポリエステルは、共重合されないホモポリマーであってもよく、またジカルボン酸成分の20モル%以下が主成分以外のジカルボン酸成分であり、および/またはジオール成分の20モル%以下が主成分以外のジオール成分であるような共重合ポリエステルであってもよい。 【0009】本発明においてポリエステル層(B)に用いる実質的に粒子状滑剤を含まないポリエステルとは、平均粒径が0.1μm以上の不活性粒子を実質的に含まないポリエステルである。このようなポリエステルは製造中に触媒が析出して生成する粒子を極力形成しないようにする方法(例えば、特開平8−198960号公報に記載の方法)を利用するか、または重合触媒の目的以外で用いる平均粒径0.1μm以上の粒子を添加せずに合成されたものを用いる。以上の条件を満たすポリエステル原料であれば、2種類以上のポリエステル原料の混合物でもよく、また再生原料が混合されたポリエステル混合物であってもかまわない。このようなポリエステルは、光を吸収したり散乱させる不活性粒子を含有しないか少ないため、高い透明性を有するフィルムとすることができる。 【0010】本発明においては、実質的に粒子状滑剤を含有しないポリエステル層(B)の少なくとも片面に、特定のポリエステル層(A)を積層することを必須とする。すなわち、ポリエステル層(A)中には、フィルムの易滑性を向上させ、かつ高い透明性を実現するため、屈折率がポリエステルに近い架橋高分子粒子を用いる。また、用いる架橋高分子はフィルム製造時の延伸過程で粒子の周りに生じるボイドが小さい、すなわちボイド径比が2.0以下で、好ましくは1.5以下である架橋高分子粒子である。ボイド径比が2.0を超えるとフィルム内部での光散乱性が増加し透明性が損なわれたり、粒子が脱落しやすくなりフィルム表面の状態が悪化したりする。 【0011】さらに、用いる架橋高分子粒子はその粒度分布がシャープであること必要であり、具体的には、そのシャープさを表すパラメータDw/Dn(定義は後述)が1.6以下であり、好ましくは1.4以下である。Dw/Dnが1.6を超えた架橋高分子粒子は、フィルム表面に粗大突起が発生しやすくなり、フィルムの霜降り欠陥が顕著となってしまう。 【0012】また、これら架橋高分子粒子の平均粒径は1.0〜5.0μmであり、好ましくは1.2〜4.0μm、特に好ましくは1.4〜3.0μmである。平均粒径が1.0μm未満の粒子では、フィルムの易滑性を付与するため摩擦係数を下げるために多量の添加を必要とし、その結果フィルム内部散乱光透過率が高くなってしまい不適当である。一方、平均粒径が5.0μmを超えるものでは、粗大突起形成による表面状態の悪化、いわゆる霜降り欠陥の発生が問題となる。これら架橋高分子粒子の添加量は、0.001〜0.45重量%であり、好ましくは0.005〜0.3重量%、特に好ましくは0.01〜0.1重量%である。粒子の添加量が0.001重量%未満では、滑り性改良効果が不十分であるし、また0.45重量%を超えて含有させてもフィルムの滑り性は変わらず、透明性が悪化するだけで好ましくない。 【0013】また、これら架橋高分子粒子のフィルム中での変形度(定義は後述)は1.25〜3.0であり、好ましくは1.3〜2.0である。変形度が1.25以下であると粒子が球形に近く発生するボイドが大きくなり、その結果、フィルム内部散乱光透過率が高くなってしまい好ましくない。一方、変形度が3.0を超えると形成される突起が低くなり滑り性が悪化する。これら滑り性を付与する架橋高分子粒子は、単独もしくは、二種以上含有させることができる。典型的な例としては、適度な架橋構造を有する高分子粒子を挙げることができ、分子中に唯一個の脂肪族の不飽和結合を有するモノビニル化合物(A)と、架橋剤として分子中に2個以上の脂肪族の不飽和結合を有する化合物(B)との共重合体を例示することができる。この場合、かかる共重合体はポリエステルと反応し得る基を粒子表面に持っていることが好ましく、このような官能基の例としては水酸基、カルボン酸基などである。 【0014】共重合体の一成分である化合物(A)としては、アクリル酸、メタクリル酸、およびこれらのメチルまたはグリシジルエステル、無水マレイン酸およびそのアルキル誘導体、ビニルグリシジルエーテル、酢酸ビニル、スチレン、アルキル置換スチレン等を挙げることができる。また、化合物(B)としては、ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、エチレングリコールジメタクリレート等を挙げることができる。化合物(A)および(B)は各一種類以上用いるが、エチレンや窒素原子を有する化合物を共重合させてもよい。 【0015】重合に際しては乳化重合法を応用すると良い。特に平均粒径1μm以上の単分散架橋高分子粒子の重合には、公知のシード重合を用いると良い。例えば、上記化合物(A)および化合物(B)の単独または2種以上の化合物を分散させた液を、1μm未満のシード粒子を分散させた液に混合し、ゆっくり撹拌してシード粒子に吸収させ、さらに重合開始剤を分散させた液を加え重合する。なお、重合開始剤は、あらかじめシード粒子に吸収させておいてもよい。重合開始剤としては、5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルペルオキシドなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ化合物等を挙げることができる。さらに本発明で用いる架橋高分子粒子は、ポリエステルと反応し得る基を粒子表面に持っていることが好ましい。ポリエステルと反応する基を導入していない架橋高分子粒子は、製膜時におけるフィルム延伸工程で粒子まわりに大きなボイドが発生し透明性が悪化することがある。 【0016】ポリエステルと反応し得る基を粒子表面に導入するには、例えば粒子重合反応の最後の段階で分子中に水酸基またはカルボン酸基を有する化合物(A)と化合物(B)を混合し重合させる。また、特に限定しないが、架橋高分子粒子の平均粒径dとポリエステル層(A)の厚みtとの比(d/t)は、0.5以上〜5以下の範囲にあることが好ましい。架橋高分子粒子の平均粒径dとポリエステル層(A)の厚みtとの比(d/t)が0.5未満であると、表面に形成される突起が小さく、易滑の効果を得るためには粒子添加量を上げねばならず、内部散乱光透過率が増加することになる。また、比(d/t)が5を超えるとフィルム表面からの粒子の脱落が起こりやすくなり、表面状態の悪化やフィルム表面に傷を生じる原因となることがある。 【0017】また、ポリエステル層(A)には、必要に応じて他の不活性粒子や帯電防止剤、着色剤、酸化防止剤、消泡剤、蛍光増白剤、遮光剤等の添加剤を含有するものであってもよい。本発明の積層ポリエステルフィルムの厚みは特に限定しないが、通常10〜300μmであり、得られたフィルム内部散乱光透過率値が2%以下、好ましくは1%以下である。本発明のフィルムのフィルム同士の摩擦係数は、通常0.8以下であり、好ましくは0.6以下である。摩擦係数が0.8を超えるフィルムでは、フィルム製造時のフィルム巻き上げ時やスリット時に、いわゆるツブ跡やシワが発生し、歩留まりが低下してコストアップの要因となったり、各種用途での加工時に傷や蛇行を発生したりする場合がある。また、必要に応じ本発明のポリエステルフィルムの片面または両面に易滑性、離型性、帯電防止剤、易接着性等を付与する目的のコーティング処理を行うこともできる。 【0018】次に本発明のフィルムの製造方法を具体的に説明するが、本発明の構成要件を満足する限り、以下の例示に特に限定されるものではない。実質的に粒子状滑剤を含有しないポリエステルと、所定量の粒子を含有するポリエステルとを、別々の押出機から溶融押出した後、溶融ポリマー流路管内または押出口金内において層流状で接合積層させて押出口金から吐出し、未延伸積層フィルムを作成する。かくして得られた未延伸フィルムは、次の延伸工程に供される。延伸工程において、未延伸フィルムは、Tg−10℃からTc−10℃の温度範囲で面積倍率にして1.1倍から50倍、好ましくは6倍から30倍の範囲で長手方向(縦方向)および/または幅方向(横方向)に延伸される。延伸方法としては用途に応じて一軸延伸でもよいし、二軸延伸でもよい。二軸延伸を行う場合には、逐次二軸配向延伸、同時二軸配向延伸、それらを組み合わせた延伸、いずれであってもよい。なお、逐次二軸延伸の場合は、一般には縦方向に延伸したのち、横方向に延伸する方法が好ましく採用される。 【0019】縦および横方向に延伸する際、各々一段延伸でもよいが、多段で延伸したり多段延伸の間で配向緩和のための熱処理工程を設けてもよい。上記延伸工程中または延伸後にフィルムに接着性、帯電防止能、離型性を付与するために、フィルムの片面または両面に、塗布層を形成したり、コロナ処理等の放電処理等を施したりすることもできる。 【0020】 【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるは「重量部」を示す。また、本発明で用いた測定法および用語の定義は次のとおりである。 【0021】(1)粒子の平均粒径および粒度分布(Dw/Dn) 電子顕微鏡にて粒径を測定した。平均粒径は等価球換算値の重量分率50%の点の粒径(直径)として算出した。なお、この値は重量平均粒径(Dw)であるが、同時に数平均粒径(Dn)も求め、両者の比(Dw/Dn)を粒度分布の指標とした。 【0022】(2)フィルム内部散乱光透過率日本電色工業社製分球式濁度計NDH−300Aによりフィルムの内部散乱光透過率を測定した。なお、エタノールを粗面補償溶媒とし、石英セルにて測定した。 【0023】(3)変形度フィルムサンプルの小片を延伸方向に切断した切断面を、走査型電子顕微鏡にて観察した。観察された架橋高分子粒子断面のうち長径が平均粒径±10%以内の粒子について、粒子毎に長径と短径を求め、その比を算出した。少くとも100個の粒子についてこの値を求め、その相加平均を変形度とした。 【0024】(4)ボイド径比低温灰化プラズマ装置にて、フィルム表面から厚さ方向に向かって、平均粒径の半分の深さに灰化した後、走査型電子顕微鏡にて平均粒径の±10%に入る少なくとも100個の粒子について粒子径とその周りにできたボイドを観察し、粒子の最大径と最小径の平均値とボイドの最大径と最小径の平均値を求め、それぞれの平均値を粒子径とボイド径とし下記式よりボイド径比を求めた。 ボイド径/粒子径=ボイド径比(5)粒子含有量粒子含有層のみ残す条件でプラズマ灰化処理した試料フィルムを熱可塑性樹脂は溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択し、試料フィルムを溶解する。粒子を溶液から遠心分離し、粒子のフィルム重量に対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。場合によってはフィルムのSEMによる粒子観察も有効である。 【0025】(6)表層厚み透過型電子顕微鏡(TEM)によるフィルム断面の観察にて行った。すなわち、フィルムサンプルの小片を、エポキシ樹脂に硬化剤、加速剤を配合した樹脂に包埋処理し、ウルトラミクロトームにて厚み約200nmの切片を作成し、観察用サンプルとした。得られたサンプルを日立(株)製透過型電子顕微鏡H−9000を用いて断面の顕微鏡写真を撮影し、表層の厚みを測定した。ただし、加速電圧は300kV、倍率は最表層厚みに応じ、1万倍〜10万倍の範囲で設定した。厚み測定は50点行い、測定値の厚い方から10点、薄い方から10点を削除して30点を平均して測定値とした。 【0026】(7)滑り性 摩擦係数平滑なガラス板上に、幅15mm、長さ150mmに切り出したフィルム同士を2枚重ね、その上にゴム板を載せ、さらにその上に重りを載せ、2枚のフィルムの接圧を2g/cm2として10mm/分でフィルム同士を滑らせて摩擦力を測定した。なお、測定は、温度23℃±1℃、湿度50%±5%の雰囲気下で行い、2mm滑らせた点での値を摩擦係数とした。 【0027】(8)巻き作業性ポリエステルフィルムを製造するに際し、いったんマスターロールに巻き取り次いで所定の幅にスリットし巻き上げる際の状態を観察し、次の3ランクに分けた。 A:巻き上げロールにシワ発生が認められず、端面も揃っているB:巻き上げロールにシワが若干認められるが、端面は揃っているD:巻き上げロールにシワが多く認められ、端面も不揃いである上記ランクAおよびBは、ポリエステルフィルムを製造する際の巻き作業性に問題の無いレベルである。 【0028】(9)フィルム表面状態(霜降り) フィルムに厚み200オングストロームのアルミニウム蒸着を施し、目視で霜降りの状態を三ランクに分けた。 〇:霜降りが全く認められず、極めて均一微細な表面構造を有している△:大粒子に基づくと考えられる班点模様が認められ、多少ザラツキ感がある×:明確に班点模様が認められザラツキ感がある【0029】実施例1〔粒子含有原料樹脂の調整〕シード重合により生成された平均粒径2.5μmの架橋高分子粒子の水スラリーにエチレングリコールを加え、加熱、減圧下で水を留去し架橋高分子粒子のエチレングリコールスラリーを得た。次にテレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部を出発原料として、触媒の酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去と共に徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応の終了したこの反応混合物に上記架橋高分子粒子を3重量部含有するエチレングリコールスラリー10重量部を添加し、安定剤および重合触媒としてエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ架橋高分子粒子含有の原料チップを得た。これら添加粒子含有のポリエチレンテレフタレートは、下記表1に示されたポリエステル層(A)中の添加量になるように上記と同様な方法で得られた添加粒子を含まないポリエチレンテレフタレートの原料チップとブレンドされた。また、上記と同様な方法で得られた添加粒子を含まないポリエチレンテレフタレートはポリエステル層(B)として用いた。 〔フィルムの製造]これらポリエチレンテレフタレートの原料チップを170℃で3時間乾燥後、ポリエステル層(A)の原料チップはサブ押出機に、ポリエステル層(B)の原料チップはメイン押出機に供給し、溶融温度280〜300℃で溶融し、サブ押出機の溶融ポリマーをフィルムの表裏2層に分岐した後、ギヤポンプフィルターを介して、メイン押出機からの溶融ポリマーとフィードブロックで分流させ、ダイを通してキャスティングドラムに引き取り、未延伸フィルムとした。キャスティングの際、静電密着法を採用した。かくして得られた2種3層の積層未延伸フィルムを縦延伸ロールに送り込み、まずフィルム温度83℃(IRヒーター付与)で2.9倍延伸した後、さらに87℃(IRヒーター付与)で1.2倍延伸し、縦延伸後の複屈折率を0.62とした後、テンターに導き、130℃で横方向に3.9倍延伸して二軸配向フィルムを得た。次いで、得られた二軸配向フィルムを熱固定ゾーンに導き、235℃で5秒間幅方向に3%弛緩させながら熱固定した。なお、ポリエステル層(A)の厚みは、サブ押出機のギヤポンプの吐出量を調整することでコントロールした。得られた積層フィルムの全層厚みは50μmでポリエステル層(A)の厚みは5.0μmであった。また、架橋高分子粒子の変形度は1.5であった。 【0030】実施例2〔粒子含有原料樹脂の調整〕シード重合により生成された平均粒径2.0μmの架橋高分子粒子の水スラリーにエチレングリコールを加え、加熱、減圧下で水を留去し架橋高分子粒子のエチレングリコールスラリーを得た。次にテレフタル酸ジメチル85重量部、イソフタル酸ジメチル15重量部、エチレングリコール60重量部、架橋高分子粒子を3重量部含むエチレングリコールを10重量部を反応器にとり、安定剤および重合触媒としてエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.04部を加えて重縮合反応を行った、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留出とともに反応温度を徐々に上昇させ240℃とした、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、5時間を得た時点で反応を停止、窒素加圧下ポリマーを吐出させ架橋高分子粒子含有の原料チップを得た。これら添加粒子含有の共重合ポリエステルは、表1に示されたポリエステル層(A)中の添加量になるように上記と同様な方法で得られた添加粒子を含まない共重合ポリエステル原料チップとブレンドされた。また、上記と同様な方法で得られた添加粒子を含まない共重合ポリエステルはポリエステル層(B)として用いた。 〔フィルムの製造]横方向に100℃で3.0倍に延伸したこと、また熱固定ゾーンの温度を190℃としたほかは実施例1と同じ条件でフィルムを製膜した。得られた積層フィルムの全層厚みは50μmでポリエステル層(A)の厚みは2.5μmであった。また架橋高分子粒子の変形度は1.3であった。 【0031】実施例3ポリエステル層(A)の含有量を0.2重量%としたほかは実施例1と同じ条件でフィルムを製膜した。 実施例4ポリエステル層(A)の含有量を0.01重量%としたほかは実施例2と同じ条件でフィルムを製膜した。。 【0032】比較例1平均粒径1.5μmの球状シリカを用いたほかは実施例1と同じ条件でフィルムを得た。 【0033】比較例2変形度4.0の架橋高分子粒子を用い、ポリエステル層(A)の厚みを2.5μmとした以外は実施例1と同じ条件でフィルムを得た。 【0034】比較例3平均粒径0.3μmの架橋高分子粒子を用い、ポリエステル層(A)の厚みを1.0μmとしたほかは実施例1と同じ条件でフィルムを得た。 【0035】比較例4Dw/Dnが2.2の無定形シリカを用いたほかは実施例1と同じ条件でフィルムを得た。 【0036】比較例5ポリエステル層(A)の粒子含有量を0.0005重量%とした以外は実施例1と同じ条件でフィルムを得た。 【0037】比較例6ポリエステル層(A)の粒子含有量を0.8重量%とした以外は実施例1と同じ条件でフィルムを得た。 【0038】比較例7ポリエステル層(B)に用いたポリエステルを下記のように合成したほかは実施例1と同じ条件でフィルムを得た。 〔ポリエステルの製造〕ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール70部、酢酸カルシウム−水塩0.10部および酢酸リチウム二水塩0.17部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去させエステル交換反応を行い、反応開始後約4時間を要して230℃に達せしめ、実質的にエステル交換を終了した。次にこの反応生成物を230℃に昇温した後、トリエチルホスフエート0.35部を添加し、さらに重縮合触媒として三酸化アンチモン0.05部を添加した後、常法に従って重合しポリエステルを得た。得られたポリエステル中には、粒径およそ0.5〜1μm程度の、均一で微細な析出粒子が多数認められ、その量はポリエステルに対し0.38重量%であった。また、析出粒子中には、カルシウム、リチウムおよびリン元素が各々析出粒子に対し3.6重量%、2.0重量%および7.0重量%含まれていた。かくして得られた実施例フィルムの物性、性能を表1に、比較例フィルムの物性、性能をそれぞれ下記表2、表3、表4に示す。 【0039】 【表1】
【0040】 【表2】
【0041】 【表3】
【0042】上記表から明らかなように、本発明の要件を満足する実施例1および2は、フィルム表面状態が良好で内部散乱光透過率が小さく、さらに滑り性、巻き作業性が良好である。一方、本発明の要件を満たさない比較例1〜7は、フィルム表面状態、内部散乱光透過率、滑り性、巻き特性のすべてを一度に満足することはできない。 【0043】 【発明の効果】本発明のポリエステルフィルムは、特定の架橋高分子粒子を含む層を積層することで、霜降り欠陥等のない優れた表面状態を有し、フィルムの透明性と滑り性や巻き作業性を従来にないレベルで両立した。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000108856 【氏名又は名称】三菱化学ポリエステルフィルム株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月2日(2001.3.2) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−254583(P2002−254583A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月11日(2002.9.11) |
| 【出願番号】 |
特願2001−58231(P2001−58231) |
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