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【発明の名称】 管状成形品の成形方法、成形品及び金型
【発明者】 【氏名】熊谷 幸久

【氏名】勝地 広和

【要約】 【課題】ダイスライドインジェクション法、またはダイロータリーインジェクション法等により得られた中空成形品管状部分の半円状端部接合部分の接合強度を高めること。

【解決手段】各1次成形品の半円状端部接合壁面部分に、接合斜面壁形状を設けて、両者の接合斜面壁形状を嵌合して、両者の接合斜面壁形状の間に2次樹脂を充填して、各1次成形品どうしを接合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 半割管状部分(A8)の一端に管状部分(A11)を一体的に有する1次成形品分割部分(1)と、半割管状部分(A8)に嵌合可能な半割管状部分(A6)を有する1次成形品分割部分(1’)とを突き合わせて嵌合させ、中空管状製品前駆体(10)を得、該前駆体(10)の接合用空間部に2次樹脂を充填して、該前駆体(10)を接合させて成形品(30)を得るための1次成形品用の1次成形金型において、管状部分(A11)の半円状端部接合壁面部分(C1)の管内面側[又は管外面側]に管内面[又は管外面]と同一面で接続し、半円状端部接合壁面部分(C1)と接合斜面(B7)で接続する接合斜面壁形状部分(B9)、および半割管状部分(A6)の半円状端部接合壁面部分(C1’)の管外面側[又は管内面側]に管外面[又は管内面]と同一面で接続し、半円状端部接合壁面部分(C1’)と接合斜面(B7’)で接続する接合斜面壁形状部分(B9’)をそれぞれ1次成形により一体的に設け、接合斜面壁形状部分(B9)の接合斜面(B7)と接合斜面壁形状部分(B9’)の接合斜面(B7’)とは間隙(40)を形成するように嵌合させ、間隙(40)に2次樹脂を充填して接合樹脂部(A10)を形成させる構造を与えるための1次成形品用1次成形金型。
【請求項2】 管状部分(A11)の肉厚をt、接合斜面壁形状部分(B9)の半円状端部接合壁面部分(C1)と接続する位置の肉厚をt、間隙(40)の間隔をt、半円状端部接合壁面部分(C1)と接合斜面(B7)のなす角をθ、及び接合斜面壁形状部分(B9)の管内面[又は管外面]に平行な長さをLとすると、半円状端部接合樹脂部(A10)の範囲においてt、t、θ及びLが、下記式(1)〜(4)を満たすように形成される請求項1記載の1次成形金型。
0.5mm≦t<t (1)
10°≦θ≦90° (2)
0.5t≦L≦3t (3)
1.0mm ≦t<t (4)
【請求項3】 接合斜面壁形状部分(B9)の接合斜面(B7)が半円状端部接合壁面部分(C1)と接続するコーナー部(B5)、及び/又は接合斜面壁形状部分(B9’)の接合斜面(B7’)が半円状端部接合壁面部分(C1’)と接続するコーナー部(B5’)に、半円状端部接合樹脂部(A10)側に中心を持つ下記式(5)を満たすRづけを行う請求項1または2に記載の1次成形金型。
0.3mm≦R≦t (5)
【請求項4】 接合斜面(B7)及び/又は接合斜面(B7’)に、下記式(6)及び(7)を満たす高さhの溶着山が設けられる請求項1〜3のいずれかに記載の1次成形金型。
1.0mm≦t−2h (6)
0.3mm ≦h≦3mm (7)
【請求項5】 接合斜面(B7)及び/又は接合斜面(B7’)にシボ加工を施し、シボの10点平均粗さRz=10μm以上である請求項1〜4のいずれかに記載の1次成形金型。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の1次成形金型で成形された1次成形品分割部分(1)と1次成形品分割部分(1’)を、半円状端部接合壁面部分(C1)と半円状端部接合壁面部分(C1’)を突き合わせ、接合斜面壁形状部分(B9)の接合斜面(B7)と接合斜面壁形状部分(B9’)の接合斜面(B7’)とを間隙(40)をもって嵌合させて、中空管状製品前駆体(10)を得、該前駆体(10)の間隙(40)に2次樹脂を充填して成形品(30)を成形する2次成形用金型。
【請求項7】 1次成形金型をスライド又は回転させて得られる請求項6に記載の2次成形用金型。
【請求項8】 半割管状部分(A8)の一端に管状部分(A11)を一体的に有する1次成形品分割部分(1)と、半割管状部分(A8)に嵌合可能な半割管状部分(A6)を有する1次成形品分割部分(1’)とを突き合わせにより嵌合させて、中空管状製品前駆体(10)を得、該前駆体(10)の突き合わせ接合溝部に2次樹脂を充填して、該前駆体(10)を接合させて成形品(30)を得る管状成形品の成形方法において、管状部分(A11)の半円状端部接合壁面部分(C1)の管内面側[又は管外面側]に管内面[又は管外面]と同一面で接続し、半円状端部接合壁面部分(C1)と接合斜面(B7)で接続する接合斜面壁形状部分(B9)、および半割管状部分(A6)の半円状端部接合壁面部分(C1’)の管外面側[又は管内面側]に管外面[又は管内面]と同一面で接続し、半円状端部接合壁面部分(C1’)と接合斜面(B7’)で接続する接合斜面壁形状部分(B9’)をそれぞれ1次成形により一体的に設け、接合斜面壁形状部分(B9)の接合斜面(B7)と接合斜面壁形状部分(B9’)の接合斜面(B7’)とは間隙(40)を形成するように嵌合させ、間隙(40)に2次樹脂を充填して接合樹脂部(A10)を形成する管状成形品の成形方法。
【請求項9】 管状部分(A11)の肉厚をt、接合斜面壁形状部分(B9)の半円状端部接合壁面部分(C1)と接続する位置の肉厚をt、間隙(40)の間隔をt、半円状端部接合壁面部分(C1)と接合斜面(B7)のなす角をθ、及び接合斜面壁形状部分(B9)の長さをLとすると、半円状端部接合樹脂部(A10)の範囲においてt、t、θ及びLが、下記式(1)〜(4)を満たすように成形する請求項8に記載の成形方法。
0.5mm≦t<t (1)
10°≦θ≦90° (2)
0.5t≦L≦3t (3)
1.0mm ≦t<t (4)
【請求項10】 接合斜面壁形状部分(B9)の接合斜面(B7)が半円状端部接合壁面部分(C1)と接続するコーナー部(B5)、及び/又は接合斜面壁形状部分(B9’)の接合斜面(B7’)が半円状端部接合壁面部分(C1’)と接続するコーナー部(B5’)に、半円状端部接合樹脂部(A10)側に中心を持つ下記式(5)を満たすRづけを行う請求項8又は9に記載の成形方法。
0.3mm≦R≦t (5)
【請求項11】 接合斜面(B7)及び/又は接合斜面(B7’)に、下記式(6)及び(7)を満たす高さhの溶着山が設けられる請求項8〜10のいずれかに記載の成形方法。
1.0mm≦t−2h (6)
0.3mm ≦h≦3mm (7)
【請求項12】 接合斜面(B7)及び/又は接合斜面(B7’)にシボ加工を施し、シボの10点平均粗さRz=10μm以上である請求項8〜11のいずれかに記載の成形方法。
【請求項13】 1次成形金型内に充填する1次樹脂と、2次成形用金型内に充填する2次樹脂が異なることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の成形方法。
【請求項14】 ダイスライドインジェクション法、またはダイロータリーインジェクション法により行われる請求項8〜13のいずれかに記載の成形方法。
【請求項15】 請求項8〜14のいずれかに記載の成形方法により得られた管状成形品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一端に管状部分を有する半割1次成形品と、それに嵌合する構造を有する他の半割1次成形品を突き合わせて嵌合させ、両者の突き合わせ部分の間に形成される接合用溝部分に2次樹脂を充填して一体となる中空管状製品の成形方法、成形品、それに使用する金型に関するものであり、得られた成形品の管状部分の接合強度が向上する。
【0002】
【従来の技術】中空体等を成形する成形技術として、半割の1次成形品どうしを所定の形状に突き合わせて、突き合わせ面と接合溝とを形成し、該接合溝に樹脂を充填して一体となった成形品を得る成形方法として、特開昭62−87315号公報に記載されたダイスライドインジェクション法(以下DSI法)、特開平4−91914号公報に記載されたダイロータリーインジェクション法(以下DRI法)、その他インサート成形法で得られた半割の1次成形品を使用する方法等が知られている。特にDSI法,DRI法は溶着強度に優れ、生産性にも優れた成形方法として知られている。
【0003】これら成形品には、図1に示すように、中空体チャンバー本体にパイプ等が一体化されていることが多い。図1では、パーティングラインA15で2分割された中空体A16とA17に、円筒パイプA18〜A21が一体化されている。A18とA19は型開き方向に設置されているためパイプ形状部は分割されないが、円筒パイプA20とA21はパイプ形状が屈曲しているため、通常の成形法による成形は不可能である。従って、円筒パイプA20とA21自体も、2分割された中空体A16、A17に接続して、パーティングラインA15で上下に分割された1次成形品として成形した後、2次成形によって融着一体化されている。
【0004】分割して成形されるパイプの端部は、図9に示すネジ部A13、図10に示すフランジ部A14等で構成されていることが多い。端末開口部まで1次成形時に分割した場合、図3の斜視図及び図2の側面図に示すように、2次成形で両者を接合しても、パイプの開口部の真円度や平面度等の寸法精度が低下すると共に、開口部近傍の強度も低くなる。そのため、一般的にパイプ端部は図5及び図4に示すような形態で構成される。この場合には、1次成形品は、両側が開口する管状部分A11および該管状部分A11の一端に管状構造部分が連続するように一体的に設けられた半割管状部分A8を有する1次成形品分割部分1と、半割管状部分A8に嵌合可能な半割管状部分A6を有する1次成形品分割部分1’とに分割される。2次成形金型内でこれらの分割部分が突き合わされてパイプ状になり、接合部に2次樹脂が充填されて融着一体化される。
【0005】図4のA−A断面、B−B断面、C−C断面を、それぞれ図6、図7、図8に示す。図6においては、末端の管状部分A11は1次樹脂で一体的に成形される。図8においては、パイプの途中部分はパーティングライン22により円筒の長手方向に半割管状部分A6とA8に半割され、各半割管状部分A6とA8に各接合フランジ8と8’が1次樹脂で一体的に成形される。図7の断面B−Bにおいては、パーティングライン22の少し下の位置で分割され、1次成形により成形された半割り管状部分A8と、2次成形で1次成形品半割体どうしを接合させるために射出充填させて成形される接合樹脂部A10,A10’,A10”からなり、接合されている。このような分割接合方法とした場合、円筒管端末開口部の寸法精度と強度は良好な製品が得られる。
【0006】しかし、図4,図5に示すような上記従来技術の成形品のパイプ部分を切り出し、耐圧信頼性試験を行なったところ、最も弱い半円状端部接合樹脂部A10の1次成形品接合表面と2次樹脂との接合界面部で破壊した。半円状端部接合樹脂部A10の接合構造を含まない図8に示す一般パイプ接合部のみで同様の耐圧試験を行うと、A10構造を含む場合と比較して、数倍の耐圧性能を示す。従って、図4のA10構造では、接合強度が非常に低いという大きな課題がある。
【0007】水道関連商品、給湯器関連商品には、管状体、中空構造体部品が多く、真鋳鋳物等で量産されている。これらは、後加工が必要なため生産性が悪く、重く、緑錆が生ずる等の問題を抱えていた。DSIまたはDRI法による樹脂化により、上記短所のない中空成形品を効率的に生産できる可能性があるが、高い気密性、耐圧性能、長期耐圧信頼性が要求されるものが多く、半円状端部接合樹脂部A10の接合強度が低い従来技術では要求性能を満たすことが困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ダイスライドインジェクション法、またはダイロータリーインジェクション法等により得られた中空成形品管状部分の半円状端部接合部分の接合強度を高めることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、各1次成形品の半円状端部接合壁面部分に、接合斜面壁形状を設けて、両者の接合斜面壁形状を嵌合して、両者の接合斜面壁形状の間に2次樹脂を充填して、各1次成形品どうしを接合することにより、1次成形品の接合融着断面積が増加し、接合強度が向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち本発明の第1は、半割管状部分(A8)の一端に管状部分(A11)を一体的に有する1次成形品分割部分(1)と、半割管状部分(A8)に嵌合可能な半割管状部分(A6)を有する1次成形品分割部分(1’)とを突き合わせて嵌合させ、中空管状製品前駆体(10)を得、該前駆体(10)の接合用空間部に2次樹脂を充填して、該前駆体(10)を接合させて成形品(30)を得るための1次成形品用の1次成形金型において、管状部分(A11)の半円状端部接合壁面部分(C1)の管内面側[又は管外面側]に管内面[又は管外面]と同一面で接続し、半円状端部接合壁面部分(C1)と接合斜面(B7)で接続する接合斜面壁形状部分(B9)、および半割管状部分(A6)の半円状端部接合壁面部分(C1’)の管外面側[又は管内面側]に管外面[又は管内面]と同一面で接続し、半円状端部接合壁面部分(C1’)と接合斜面(B7’)で接続する接合斜面壁形状部分(B9’)をそれぞれ1次成形により一体的に設け、接合斜面壁形状部分(B9)の接合斜面(B7)と接合斜面壁形状部分(B9’)の接合斜面(B7’)とは間隙(40)を形成するように嵌合させ、間隙(40)に2次樹脂を充填して接合樹脂部(A10)を形成させる構造を与えるための1次成形品用1次成形金型を提供する。本発明の第2は、管状部分(A11)の肉厚をt、接合斜面壁形状部分(B9)の半円状端部接合壁面部分(C1)と接続する位置の肉厚をt、間隙(40)の間隔をt、半円状端部接合壁面部分(C1)と接合斜面(B7)のなす角をθ、及び接合斜面壁形状部分(B9)の管内面[又は管外面]に平行な長さをLとすると、半円状端部接合樹脂部(A10)の範囲においてt、t、θ及びLが、下記式(1)〜(4)を満たすように形成される本発明の第1記載の1次成形金型を提供する。
0.5mm≦t<t (1)
10°≦θ≦90° (2)
0.5t≦L≦3t (3)
1.0mm ≦t<t (4)
本発明の第3は、接合斜面壁形状部分(B9)の接合斜面(B7)が半円状端部接合壁面部分(C1)と接続するコーナー部(B5)、及び/又は接合斜面壁形状部分(B9’)の接合斜面(B7’)が半円状端部接合壁面部分(C1’)と接続するコーナー部(B5’)に、半円状端部接合樹脂部(A10)側に中心を持つ下記式(5)を満たすRづけを行う本発明の第1または2に記載の1次成形金型を提供する。
0.3mm≦R≦t (5)
本発明の第4は、接合斜面(B7)及び/又は接合斜面(B7’)に、下記式(6)及び(7)を満たす高さhの溶着山が設けられる本発明の第1〜3のいずれかに記載の1次成形金型を提供する。
1.0mm≦t−2h (6)
0.3mm ≦h≦3mm (7)
本発明の第5は、接合斜面(B7)及び/又は接合斜面(B7’)にシボ加工を施し、シボの10点平均粗さRz=10μm以上である本発明の第1〜4のいずれかに記載の1次成形金型を提供する。本発明の第6は、本発明の第1〜5のいずれかに記載の1次成形金型で成形された1次成形品分割部分(1)と1次成形品分割部分(1’)を、半円状端部接合壁面部分(C1)と半円状端部接合壁面部分(C1’)を突き合わせ、接合斜面壁形状部分(B9)の接合斜面(B7)と接合斜面壁形状部分(B9’)の接合斜面(B7’)とを間隙(40)をもって嵌合させて、中空管状製品前駆体(10)を得、該前駆体(10)の間隙(40)に2次樹脂を充填して成形品(30)を成形する2次成形用金型を提供する。本発明の第7は、1次成形金型をスライド又は回転させて得られる本発明の第6に記載の2次成形用金型を提供する。本発明の第8は、半割管状部分(A8)の一端に管状部分(A11)を一体的に有する1次成形品分割部分(1)と、半割管状部分(A8)に嵌合可能な半割管状部分(A6)を有する1次成形品分割部分(1’)とを突き合わせにより嵌合させて、中空管状製品前駆体(10)を得、該前駆体(10)の突き合わせ接合溝部に2次樹脂を充填して、該前駆体(10)を接合させて成形品(30)を得る管状成形品の成形方法において、管状部分(A11)の半円状端部接合壁面部分(C1)の管内面側[又は管外面側]に管内面[又は管外面]と同一面で接続し、半円状端部接合壁面部分(C1)と接合斜面(B7)で接続する接合斜面壁形状部分(B9)、および半割管状部分(A6)の半円状端部接合壁面部分(C1’)の管外面側[又は管内面側]に管外面[又は管内面]と同一面で接続し、半円状端部接合壁面部分(C1’)と接合斜面(B7’)で接続する接合斜面壁形状部分(B9’)をそれぞれ1次成形により一体的に設け、接合斜面壁形状部分(B9)の接合斜面(B7)と接合斜面壁形状部分(B9’)の接合斜面(B7’)とは間隙(40)を形成するように嵌合させ、間隙(40)に2次樹脂を充填して接合樹脂部(A10)を形成する管状成形品の成形方法を提供する。本発明の第9は、管状部分(A11)の肉厚をt、接合斜面壁形状部分(B9)の半円状端部接合壁面部分(C1)と接続する位置の肉厚をt、間隙(40)の間隔をt、半円状端部接合壁面部分(C1)と接合斜面(B7)のなす角をθ、及び接合斜面壁形状部分(B9)の長さをLとすると、半円状端部接合樹脂部(A10)の範囲においてt、t、θ及びLが、下記式(1)〜(4)を満たすように成形する本発明の第8に記載の成形方法を提供する。
0.5mm≦t<t (1)
10°≦θ≦90° (2)
0.5t≦L≦3t (3)
1.0mm ≦t<t (4)
本発明の第10は、接合斜面壁形状部分(B9)の接合斜面(B7)が半円状端部接合壁面部分(C1)と接続するコーナー部(B5)、及び/又は接合斜面壁形状部分(B9’)の接合斜面(B7’)が半円状端部接合壁面部分(C1’)と接続するコーナー部(B5’)に、半円状端部接合樹脂部(A10)側に中心を持つ下記式(5)を満たすRづけを行う本発明の第8又は9に記載の成形方法を提供する。
0.3mm≦R≦t (5)
本発明の第11は、接合斜面(B7)及び/又は接合斜面(B7’)に、下記式(6)及び(7)を満たす高さhの溶着山が設けられる本発明の第8〜10のいずれかに記載の成形方法を提供する。
1.0mm≦t−2h (6)
0.3mm ≦h≦3mm (7)
本発明の第12は、接合斜面(B7)及び/又は接合斜面(B7’)にシボ加工を施し、シボの10点平均粗さRz=10μm以上である本発明の第8〜11のいずれかに記載の成形方法を提供する。本発明の第13は、1次成形金型内に充填する1次樹脂と、2次成形用金型内に充填する2次樹脂が異なることを特徴とする本発明の第8〜12のいずれかに記載の成形方法を提供する。本発明の第14は、ダイスライドインジェクション法、またはダイロータリーインジェクション法により行われる本発明の第8〜13のいずれかに記載の成形方法を提供する。本発明の第15は、本発明の第8〜14のいずれかに記載の成形方法により得られた管状成形品を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】DSI成形を例にして、円筒管端末部の、従来の一般的な成形プロセスを図12〜図17により説明する。これらの説明図では、モールドベース、スプルー、ランナー、ゲート、突き出し構造部、冷却回路、スライド構造、製品本体部等は省略してある。それぞれ別に構成された1次成形金型キャビティに溶融樹脂を射出充填し、半割管状部分A6と、一端に管状部分を一体的に有する半割管状部分A8をそれぞれ1次成形し、冷却後型開きする。この時スプルー、ランナーは突き出され、排出されるが、A6は固定金型キャビティM2に保持され、A8は移動金型キャビティM3に保持され、図12および図15に示す状態となっている。M1は油圧スライドコアで、2次成形時の型開き完了後までは前進した状態に保持されている。この後、図示されていない油圧シリンダーによりM3がダイスライドし、A6とA8が対向する位置に移動する。ダイスライド後、型閉すると図13および図16に示した状態となり、2次成形用の長手側接合溝6が形成される。この溝に、2次成形用のスプルー、ランナー、ゲートを経由し、樹脂を射出充填し、長手側接合樹脂部20を形成させてA6とA8を接合一体化させると、図17に示す断面の状態となる。2次成形の保圧、冷却工程終了後に型開きし、図14に示すようにM1を油圧シリンダーにより後退させ、後退完了後一体化された成形品と、2次成形用スプルー、ランナー、ゲートが突き出され、排出される。その後、固定金型M2が油圧シリンダーにより元の位置にダイスライドし、次の成形サイクルに入る。なお、図14では、A10の部分は断面図より奥側の部分も破線で示してある。
【0012】従来の成形プロセスでは、管状部分A11の末端には、図10のA14に示す円盤状フランジ付のものや、図9のA13に示す雄ネジが一体化されたものや、図11に示すような矩形状管状体のもの、その他の形状などもあり、これらも本発明の実施態様の一部であり、本発明はこれらに限定されない。従来、DSI工法により管状部分A11を有するパイプの成形を行う場合、図5及び図4のように接合される。図4の各断面図を図6〜図8に示す。図5および図8において、長手側接合溝6を樹脂部20から20’の方向に流動してきた2次樹脂は、図5および図7においてA10’の位置に達し、その後半円側接合樹脂部A10を形成した後、A10”の位置に達し、その後、再度反対側の長手側接合溝6を流動する。図10の円盤状フランジ付のパイプ端部付近を金型パーティング面22と直角にパイプの中心で切断した縦断面図を図14に示す。図14は、型開き後の図で、固定金型M2とスライドコアM1が引き抜かれている。図14における1次成形品と2次樹脂の接合面付近Dの拡大図を図18に示す。但し、図18では固定金型M2とスライドコアM1が引き抜かれておらず、成形品に接している状態を示す。上記のように、従来技術による接合面は、図18に示すB1からB3、及びB2からB4の間であり、パイプの肉厚t×半円の範囲が接合断面であるが、肉厚方向について詳細に検討すると、固定金型M2とスライドコアM1に接触する近傍では界面に剥離が生じており、実質的な融着範囲はパイプの肉厚の一部tであり有効接合面積が減少し、耐圧強度が低くなっている。
【0013】上記従来技術に対して、鋭意検討した結果、図29及び図19に示すように、半円状端部接合壁面部分C1およびC1’に接合斜面壁形状部分B9およびB9’を設けて、それらの接合斜面壁形状部分を嵌合して、両1次成形品の突き合わせ部の間隙に樹脂を充填して接合する形状とすることにより、金型の抜きの問題を発生することなく、有効接合面積を著しく増加させて接合強度を向上できることを見出だした。即ち、本発明では、半円状端部接合壁面部分C1の管内面側[又は管外面側]に管内面[又は管外面]と同一面で接続し、半円状端部接合壁面部分C1と接合斜面B7で接続する接合斜面壁形状部分B9、および、半円状端部接合壁面部分C1’の管外面側[又は管内面側]に管外面[又は管内面]と同一面で接続し、半円状端部接合壁面部分C1’と接合斜面B7’で接続する接合斜面壁形状部分B9’を1次成形により一体的に設け、接合斜面壁形状部分B9の接合斜面B7と接合斜面壁形状部分B9’の接合斜面B7’とは間隙40を形成するように嵌合し、間隙40に2次樹脂を充填して半円状端部接合樹脂部A10を形成する構造として、管状部分A11の肉厚をt、接合斜面壁形状部分(B9)の半円状端部接合壁面部分(C1)と接続する位置の肉厚をt、間隙(40)の間隔をt、半円状端部接合壁面部分(C1)と接合斜面(B7)のなす角をθ、及び接合斜面壁形状部分(B9)の管内面[又は管外面]に平行な長さをLとすると、半円状端部接合樹脂部(A10)の範囲においてt、t、θ及びLが、下記式(1)〜(4)を満たすように成形することにより、接合強度を著しく向上させることができる。
0.5mm≦t<t (1)
10°≦θ≦90° (2)
0.5t≦L≦3t (3)
1.0mm ≦t<t (4)
なお、「半円状端部接合壁面部分C1の管内面側[又は管外面側]に管内面[又は管外面]と同一面で接続し、半円状端部接合壁面部分C1と斜面B7で接続する接合斜面壁形状部分B9、および、半円状端部接合壁面部分C1’の管外面側[又は管内面側]に管外面[又は管内面]と同一面で接続し」において、全ての[ ]の直前の文言は[ ]内の文言に替えて読むことができる。
【0014】tは0.5mm以上でt未満に設定することが好ましく、0.5mm≦t<0.5tであることがより好ましい。また斜面B7の角度θは10°以上で90°以下に設定することが好ましい。接合斜面B7が管外面[又は管内面]と平行(即ちθが90°)でない場合には、θは45°≦θ≦70°とすることが好ましい。更に、t×tanθは0.5t以上で3t未満に設定するが、より好ましくは0.7t≦t×tanθ≦2tである。間隙(40)の間隔(2次樹脂流路厚ともいう。)tは1mm以上でt未満に設定することが好ましいが、1.5mm以上で5mm未満とすることがより好ましい。以上の条件を満たす接合断面とすることにより、効率的に接合強度を向上させることが可能となる。
【0015】なお、接合斜面壁形状部分B9の接合斜面B7と接合斜面壁形状部分B9’の接合斜面B7’とは平行でもよいが、図25に本発明を一般化して示すように非平行でもよい。非平行の場合、tは互いに斜面へ垂線を下ろして得られる間隔の平均値である。図25に示すように接合斜面壁形状部分B9と接合斜面壁形状部分B9’は対称形でなく、θとθ’が異なっていてもよい。また、接合斜面壁形状部分B9及び/又は接合斜面壁形状部分B9’の接合斜面壁形状先端は厚みt又はtを持つ構造であってもよい。また、本発明では、接合斜面壁形状部分B9の接合斜面B7と接合斜面壁形状部分B9’の接合斜面B7’は図26〜28に示すように管内面[又は管外面]に平行(この場合、B7とB7’とは斜面ではなくなるが、便宜上斜面という。)で、接合斜面壁形状先端に厚みt(=t又はt)を持つ構造であってもよいし、図30に示すように接合斜面B7と接合斜面B7’のいずれか一方のみが管内面[又は管外面]に平行であってもよいし、図31に示すように管内面[又は管外面]に平行な斜面が段差を持っていてもよい。
【0016】なお、半割管状部分A8の末端にも管状部分A11’を有していてもよい。また、管状部分A11および管状部分A11の一端に管状構造部分が連続するように一体として設けられた半割管状部分A8を有する1次成形品分割部分1どうしを反対向きに向かい合わせて組み合わせるようにすることもできるが、接合斜面壁形状の構造は一方が他方に嵌合する構造である必要がある。
【0017】接合斜面壁形状部分B9の接合斜面B7が半円状端部接合壁面部分C1と接続するコーナー部B5及び/又は接合斜面壁形状部分B9’の接合斜面B7’が半円状端部接合壁面部分C1’と接続するコーナー部B5’には、接合樹脂部A10側に中心を持つ下記式(5)を満たすRづけを行うことが好ましい。
0.3mm≦R≦t (5)
これによりコーナー部B5での1次成形品と2次樹脂の融着不良が解消される。
【0018】図19においては、Lが存在するが、図20に示すようにLを無くすことも可能である。また、図22、図23に示すように、パイプ外表面側への飛び出しhを設けることも可能である。
【0019】前述したように接合斜面B7や接合斜面壁形状の先端に厚みを設けることにより接合面を効果的に増加させることが可能であるが、更にその接合斜面B7上等に図21に示すような溶着山を設けることにより、接合面積を増加させることが可能となる。その溶着山の高さhは、1.0mm≦t−2h (6)
0.3mm ≦h≦3mm (7)
を満たす範囲で設定するが、0.3mm≦h≦1mmとすることがより好ましい。
【0020】接合斜面B7に溶着山を設ける方法を説明したが、溶着山の代わりにシボ加工を施し有効接合表面積を増加させてもよい。この時のシボは、10点平均粗さがRz=10μm以上とすることが好ましい。
【0021】本発明に使用する1次成形品は、1次成形金型内で、2つ以上に分割して1次成形される。1次成形品の分割数には制限はなく、3分割、4分割などの多分割が可能であるが、通常2分割であり、特に管状部分(パイプ状部ともいう。)は半割体が好ましい。半割の比率は完全に50%でなくてもよく、突き合わせにより嵌合可能な程度に半割であればよい。管状体の断面形状は円筒管状体の事例で説明を行っているが、断面形状は円筒形状に限定されるものではなく、図11に示すような矩形断面、その他の非円筒断面でも適用できる。1次成形品を成形する方法としてはDSI法、DRI法、インサート成形法等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、各分割部分を別々の金型で成形して、それらを組み合わせて使用することもできる。
【0022】中空成形体の、突き合わせ面、接合溝、および接合樹脂部には特に制限はない。例えば、半割管状部分A8の半割面の長手側突き合わせ部分2と2’とで、突き合わせて長手側突き合わせ面5を形成させ、接合フランジ8と8’とで長手側接合溝6を形成させ、半円状端部接合壁面部分C1とC1’とで突き合わせて半円状端部接合溝C5を形成させて前駆体10を得ることができる。例えば、図16に示すように接合フランジ8を設け、接合溝6をフランジ8の内部に設けて、接合溝6を経て2次樹脂を充填することも可能であり、管の肉厚を一定にすることができる。フランジを設けず、接合溝が管の肉厚の内部に収まるように設けることも可能である。また、本発明では、突き合わせ面5は、印籠形状にして、互いにはまり合うようにしてもよい。
【0023】接合溝の樹脂流路断面のコーナー、特に突き合わせ面側の面のコーナーB5等、に、接合樹脂部A10側に中心を持ち、半径Rが0.3mm以上のRづけ(角に丸みを与えること。)を行うことにより、更に長手方向の接合強度を高めることができる。また、Rづけ以外にも、C面づけ、多角C面づけであっても構わない。
【0024】本発明で使用できる成形用樹脂材料としては、中空射出成形が可能な樹脂であれば、制限はない。樹脂材料としては、合成樹脂でも天然に由来する樹脂でも、結晶性でも、非晶性でもよい。具体的には、合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1等のポリオレフィン;塩化ビニル系樹脂;ポリスチレン、ABS等のスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等の芳香族ポリエステル;シュウ酸、吉草酸等の脂肪族ジカルボン酸類、エチレングリコール、プロパンジオール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール等のジオール類、及び/又は乳酸、カプロラクトン等からなる脂肪族ポリエステル;液晶性ポリエステル;ポリカーボネート;ポリアリレート;6−ナイロン、6,6−ナイロン、4,6−ナイロン、6,12−ナイロンなどのポリアミド;ポリアセタール;ポリウレタン;フッ素樹脂;ポリフェニレンオキシド;ポリアリーレンサルファイド;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリケトン;ポリエーテルケトン;ポリイミド;ポリエーテルイミド;ポリベンゾイミダゾール;シリコーン系樹脂;これらのアロイ等が挙げられる。天然に由来する樹脂としては、微生物の産生するポリヒドロキシ酪酸のような脂肪族ポリエステル等が挙げられる。樹脂には、各種の添加剤、離型剤、滑剤、充填材、強化剤等を必要により配合することができる。強化剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウイスカ、酸化亜鉛ウイスカ、ボロン繊維などが挙げられる。また、各種安定剤、離型剤、滑剤等を添加することもできる。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】本発明による実施例及び従来形状の比較例の成形は、日本製鋼所製の2射出シリンダーを有するDSI用射出成形機J350E−P−MFを使用した。従来形状である端末フランジ付のパイプ状DSI成形品は、図−10及び断面図−14に示す基本形状で、パイプ部分の基本肉厚は3mmで、2次樹脂流路幅tは5mmのものを用いた。
【0027】従来の技術による図10の構造を有する成形品を使用して、図24に示すような状態で耐圧信頼性試験を行なったところ、以下のような問題点が顕在化した。D1、D2は1次樹脂(=2次樹脂)と同一の材料で別途成形されたt=4mmの平板で、基本肉厚3mmのパイプ部両端面D3、D4平面に熱板溶着で溶着一体化されている。更にD1の平板中央部にはPT1/4”のねじ穴D6が加工してある。耐圧性能試験として中空体内部を水で置換し、D5のニップルを接続固定する。このニップルにD7加圧ポンプを接続し、加圧ポンプの加圧力を徐々に昇圧させると、最も弱いA10部分で破壊した。
【0028】[比較例1]1次成形上半割体A6と同下半割体A8の接合部表面が、2次成形時にA10に充填される溶融樹脂の熱と圧力により再溶融され融着一体化される。A10範囲の破断面を、図14のD部詳細である図18のように詳細な確認を行うと、t範囲は凝集破壊の形態を示し1次成形品と2次樹脂が融着していることが確認できたが、2次成形時に金型表面と接したB1〜B4部(t−tの範囲)は、1次成形品と2次樹脂の界面が剥離破壊し融着していないことが確認された。基本肉厚tに対し実質的に接合している断面がtまで減少し、かつ連続面にノッチに相当する非接合部分が連続的に設けられた形状となっているため、耐圧強度が低くなっている。
【0029】[実施例1]実施例1では、その接合断面を図21に示すように変更し、パイプ部分の基本肉厚は3mmで従来形状と同一とし、tは2.5mmとした。それを構成する各部詳細仕様は、図19に示すθの角度を60°とし、B5コーナーにはR=0.5mmのR付けを行い、溶着斜面B7には高さ0.7mmの溶着山を設けたものを用いた。
【0030】この実験に用いた成形用材料は、ポリプラスチックス株式会社製PPS樹脂であるフォートロン1130T6を1次成形及び2次成形に用いた。また、表1に示す成形条件により成形を行った。得られた成形品で、同様に耐圧信頼性試験を行った。平均約1MPa/secでテストポンプから成形品内部に加える水圧を昇圧し、破壊した時の圧力を測定した。比較例及び本実施例共にn=3で試験を行い、その結果を表2に示す。
【0031】比較例1の平均破壊圧力は1.1MPaであったが、実施例1では、平均5.1MPaと大幅な向上が認められた。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
【発明の効果】本発明により、開口部形状精度にも悪影響を与えず、開口部を有する管状体の端末半円周接合部の接合強度が向上し、耐圧性能、信頼性の高い成形品を得ることが出来るようになった。
【出願人】 【識別番号】390006323
【氏名又は名称】ポリプラスチックス株式会社
【出願日】 平成13年6月12日(2001.6.12)
【代理人】 【識別番号】100090491
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 良和
【公開番号】 特開2002−361679(P2002−361679A)
【公開日】 平成14年12月18日(2002.12.18)
【出願番号】 特願2001−177671(P2001−177671)