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【発明の名称】 光造形方法
【発明者】 【氏名】植杉 浩

【要約】 【課題】粉体造形方式による光造形方法として、造形後の光造形物の凹所に入り込んでいる未硬化粉体を能率よく確実に除去でき、除去時に硬化部分が削り取られたり傷を受けるのを回避し得る手段を提供する。

【解決手段】三次元モデルを多数層に平行スライスした際の各層を、粉体層へのレーザービームの照射による結着硬化層として順次に積層形成し、得られた光造形物1の凹所2に残る未硬化粉体3をエアー噴射4又は/及びエアー吸引5によって除去する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 三次元モデルを多数層に平行スライスした際の各層を、粉体層へのレーザービームの照射による結着硬化層として順次に積層形成し、得られた光造形物の凹所に残る未硬化粉体をエアー噴射又は/及びエアー吸引によって除去することを特徴とする光造形方法。
【請求項2】 前記凹所のコーナー部に残る未硬化粉体をエアー吸引によって除去すると共に、該凹所の他の部位に残る未硬化粉体をエアー噴射によって除去する請求項1記載の光造形方法。
【請求項3】 光造形物が成形型枠である請求項1又は2に記載の光造形方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉末を用いた光造形方法、つまり三次元モデルを多数層に平行スライスした際の各層を、粉体層へのレーザービームの照射による結着硬化層として順次に積層形成し、該三次元モデルを粉体の結着硬化物として具象化した光造形物を得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、航空機、建造物、家電、玩具、日用雑貨等の各種工業分野における製品や部品の設計・デザイン構成をCAD、CAM、CAE等のコンピュター上で行う手法が広く普及している。そして、このようなコンピュター上で設計された三次元モデルを具象化した実体モデルを製作する最新の手段として、光造形法が登場している。
【0003】この光造形法は、コンピュター上で設計モデルを厚さ数十〜数百μm単位の多数層に平行スライスした時の各断面パターンのデータを作成し、このデータを光造形装置のコントローラーに入力し、造形材料に各層の断面パターンに沿ってレーザービームを照射することにより、前記スライスした多数層を最下層から順次一層ずつ積層形成してゆき、最終的に設計モデルに対応した実体モデルを形成するものであるが、使用する造形材料によって溶液造形方式と粉体造形方式とに大別される。
【0004】前記の溶液造形方式は、紫外線硬化型樹脂等の光硬化性樹脂の溶液を造形材料とし、レーザー光にて該樹脂成分を反応硬化させて樹脂造形物とするものである。一方、粉体造形方式は、造形材料として金属粉や型砂等の固形粉末を用い、レーザービームの熱により、粉体粒子自体を焼結させるか、混入されたバインダー成分を介して融着させ、もって粉体粒子が結着硬化した造形物とするものであり、形態確認用の実体モデルのみならず、鋳造用の鋳型や樹脂成形用の金型等として実際の製品製造に用いる成形型枠の製作に利用されている。
【0005】しかして、粉体造形方式にて得られた光造形物は、凹所に未硬化の粉体が充填した状態にあるため、造形後に未硬化粉体を除去した上で、表面部の硬度を高めるためにバーナーで全体を炙ったり、加熱によるポストキュアを行い、更に要すれば研磨や孔開け、不要部の切除等の後加工を施し、所期の用途に供される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来においては、前記造形後の光造形物に付随している未硬化粉体を刷毛によって除去しているため、作業能率が悪い上、凹所のコーナー部や入り組んだ内奥部等に未硬化粉体が残留したり、刷毛で擦られて硬化部分まで削り取られることが多々あり、また凹所の表面に傷を受け易いという問題があった。特に、成形型枠として用いる光造形物では、凹所が成形材料の入るキャビティになることから、前記の未硬化粉体の残留や削り取りによる凹所の形状変化は成形不良に繋がり、表面の傷もそのまま成形品側に転写されて品質低下を生じる。
【0007】本発明は、上述の事情に鑑みて、粉体造形方式による光造形方法として、造形後の光造形物の凹所に入り込んでいる未硬化粉体を能率よく確実に除去できると共に、その除去時に硬化部分が削り取られたり傷を受けるのを回避し得る手段を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る光造形方法は、図面の参照符号を付して示せば、三次元モデルを多数層に平行スライスした際の各層を、粉体層30へのレーザービームLの照射による結着硬化層31として順次に積層形成し、得られた光造形物1の凹所2に残る未硬化粉体3をエアー噴射4又は/及びエアー吸引5によって除去することを特徴としている。
【0009】上記構成によれば、光造形物1の凹所2に残る未硬化粉体3をエアー圧にて吹き飛ばすか、もしくは真空吸引力によって吸い込むことにより、極めて能率よく除去できる上、光造形物の表面に対して非接触で除去を行えるから、硬化部分が削られたり傷を受ける懸念もない。
【0010】請求項2の発明は、上記請求項1の光造形方法において、前記凹所2のコーナー部2bに残る未硬化粉体3をエアー吸引5によって除去すると共に、該凹所2の他の部位2aに残る未硬化粉体3をエアー噴射4によって除去する構成としている。この場合、凹所2のコーナー部2b以外の未硬化粉体3はエアー圧によって効率よく吹き払われる。しかして、コーナー部2bでは、圧力の抜けが悪いため、強いエアー噴射4を行った場合は硬化部分が風圧で欠ける懸念があるが、エアー吸引5によれば硬化部分の欠けを回避できることになる。
【0011】請求項3の発明は、上記請求項1又は2の光造形方法において、光造形物1が成形型枠である構成としている。この場合、光造形物1が成形型枠であるために、特にキャビティとなる凹所2に高い形態精度が要求されるが、該凹所2に残る未硬化粉体3をエアー噴射4又は/及びエアー吸引5によって除去することによって、当該凹所の高い形態精度を確保できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る光造形方法の実施例について、図面を参照して具体的に説明する。
【0013】図1に示す光造形物1は、4気筒自動車エンジン用インテークマニホールドの鋳造用鋳型の下型として使用するものであり、型本体10に、中子11として、横長箱型のサージタンク内空間構成部11aと、4本の曲管状の分配管内空間構成部11b…とが一体形成されており、この中子11の周囲部に鋳物肉部用のキャビティとなる凹所2を備えると共に、上段部10a及び下段部10bの上面に注湯口用凹所21,22を有し、またサージタンク内空間構成部11aの一端側に吸気口フランジ部形成用凹所23を有している。
【0014】この光造形物1を製作するには、コンピュター上で設計モデルを厚さ数十〜数百μm単位の多数層に平行スライスした時の各断面パターンのデータを作成し、このデータを光造形装置のコントローラーに入力し、型砂を造形材料とする粉体造形方式によって自動的に光造形する。
【0015】光造形は、図2(イ)に示すように、箱型の造形枠6内に配置した昇降台7上にべースプレート8を載置し、図示を省略した粉体散布装置及び均しブレードの駆動により、樹脂バインダーにてコーティングされた極めて細かい型砂からなる粉体3を前記平行スライスした一層分の厚みでべースプレート8上に載せ、この粉体層30の表面にレーザービームLを最下層P1 の断面パターンに沿って照射して結着硬化層31を形成し、次いで昇降台7を前記一層分の厚みだけ下降させ、新たに粉体3を該一層分に相当する厚みで載せ、同様にレーザービームLを照射して第二層P2 に対応する結着硬化層31を形成し、以降同様にして順次一層分ずつ昇降台7を下降させて粉体3の供給とレーザービームLの照射を繰り返すことにより、最終的に図2(ロ)に示すように前記平行スライスした全ての層を積層一体化する。
【0016】かくして光造形が終了すれば、造形枠6の内側に突設したストッパー6aでペースプレート8を係止し、造形枠6ごと昇降台7から取り外し、所定の場所で形成した光造形物1を取り出すことになるが、該光造形物1の凹所2,21〜23には未硬化の粉体3が充填された状態になっている。そこで、これら凹所2,21〜23に残った未硬化の粉体3を除去するが、この除去に際して本発明ではエアー噴射又はエアー吸引を採用する。
【0017】図3(イ)はエアー噴射4によって光造形物1の凹所2に残る未硬化の粉体3を除去している様子を示す。40はエアーガンであり、そのノズル41から出る高圧エアーを凹所2に向けて噴射することにより、凹所2に入っていた未硬化の粉体3が吹き払われている。
【0018】図3(ロ)はエアー吸引5によって光造形物1の凹所2のコーナー部2aに残る未硬化の粉体3を除去している様子を示す。50は真空吸引筒であり、その吸引口51を凹所2のコーナー部2aに接近させることにより、該コーナー部2aに残っていた未硬化の粉体3を吸い込んで除去している。
【0019】このようなエアー噴射4及びエアー吸引5によれば、光造形物1の凹所2に残る未硬化粉体3を極めて能率よく除去できる上、得られた光造形物1の形状精度及び表面性が損なわれない。すなわち、造形を終えた段階の光造形物1は、粉体3が結着硬化していても脆く、擦るだけで粒子が剥がれ落ちる程度の硬化状態であるため、刷毛等で凹所2に残る未硬化の粉体3を掻き落とした場合には硬化部分が削り取られたり傷を受けるとが多々あるが、エアー噴射4及びエアー吸引5では光造形物1の表面に対して非接触で除去を行えるから、前記の削り取りや傷付きを生じる懸念はない。
【0020】また、凹所2のコーナー部2bでは圧力の抜けが悪いため、強いエアー噴射4を行った場合は硬化部分が風圧で欠ける恐れがあるが、前記のように該コーナー部2bにおける未硬化の粉体3の除去をエアー吸引5にて行うことにより、風圧による欠けも回避できる。
【0021】このようにして凹所2の未硬化の粉体3を除去した光造形物1は、通常、ガスバーナーで炙る等の方法で表面の硬度を高め、次に加熱炉内で所要時間の加熱処理を行って内部まで焼結させることにより、鋳型として必要な強度を付与し、更に要すれば研磨や孔開け、不要部の切除等の後加工を施してインテークマニホールドの鋳造用下型として使用する。しかして、この光造形物1からなる鋳型は、設計モデルに対する高い形態精度を有して且つキャビティ表面の傷付きもないから、高品質のインテークマニホールドを鋳造できるものとなる。
【0022】上記実施例では造形材料の粉体3として型砂を用いているが、本発明は金属粉等の他の粉体を造形材料とした光造形方法にも適用可能である。また、本発明を適用する光造形物1の形態ならびにその凹所2の形状については全く制約はないが、本発明は鋳造用の鋳型や樹脂成形用の金型等の成形型枠とする光造形物の製作手段として特に有用である。なお、エアー噴射4及びエアー吸引5を行う機器については、前記実施例のエアーガン40や真空吸引筒50に限らず、様々な形態及び構造のものを使用できる。
【0023】
【発明の効果】請求項1の発明に係る光造形方法によれば、粉体造形方式による光造形において、造形後の光造形物の凹所に入り込んでいる未硬化粉体の除去にエアー噴射又は/及びエアー吸引を利用することから、該未硬化粉体を能率よく確実に除去できると共に、その除去時に硬化部分が削り取られたり傷を受けるのを回避でき、設計モデルに対する高い形態精度を有して表面性のよい光造形品が得られる。
【0024】請求項2の発明によれば、上記の光造形方法において、凹所の部位によってエアー噴射とエアー吸引を使い分けて未硬化粉体の除去を行うため、高い除去能率を確保して、且つ凹所のコーナー部における硬化部分の欠けを防止できるという利点がある。
【0025】請求項3の発明によれば、上記の光造形方法における光造形物が成形型枠であり、そのキャビティとなる凹所の高い形態精度と表面性を確保できるため、高品質の成形品を製造できる該成形型枠が提供される。
【出願人】 【識別番号】390016551
【氏名又は名称】株式会社ナカキン
【出願日】 平成13年5月24日(2001.5.24)
【代理人】 【識別番号】100069578
【弁理士】
【氏名又は名称】藤川 忠司
【公開番号】 特開2002−347126(P2002−347126A)
【公開日】 平成14年12月4日(2002.12.4)
【出願番号】 特願2001−155103(P2001−155103)