| 【発明の名称】 |
成形品およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】加茂 弘
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| 【要約】 |
【課題】十分な補強効果、すなわち優れた引張り強度と弾性率及び外観に優れる樹脂製射出成形品および、それを得る方法を提供すること。
【解決手段】(A)液晶ポリエステル樹脂1〜99重量部および(B)スチレン系樹脂あるいはポリフェニレンエーテル系樹脂99〜1重量部とからなる樹脂組成物を、以下の式(1)を満たすTp(℃)の温度で射出成形することを特徴とする成形品の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)液晶ポリエステル樹脂1〜99重量部および(B)スチレン系樹脂あるいはポリフェニレンエーテル系樹脂99〜1重量部とからなる樹脂組成物を、以下の式(1)を満たすTp(℃)の温度で射出成形することを特徴とする成形品の製造方法。 Ta>Tp>Tb+80…式(1) Ta(℃):(A)成分の融点。 Tb(℃):(B)成分のガラス転移温度。 【請求項2】 樹脂組成物が、押出機中で溶融混練された直後に急冷することにより直径D1のストランドを得、その後、Ta(℃)未満の温度雰囲気で延伸することにより、1.2≦D1/D2≦10を満たすように、直径D2のストランドにした後、ペレット化されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。 【請求項3】 請求項1または2に記載の方法により成形され、(A)成分が分散相で、(B)成分が連続相で、かつ分散相のアスペクト比が4以上であることを特徴とする樹脂製成形品。 【請求項4】 流動方向断面において表層から深さ30μmにおける液晶ポリエステル粒子のアスペクト比(r1)と中心部30μmにおける液晶ポリエステル粒子のアスペクト比(r2)の比(R)が0.5以上2.0以下であることを特徴とする請求項3に記載の成形品(ただしR=r1/r2)。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車材料、家電・OA材料などに用いられる樹脂製射出成形品を得るに際し、十分な補強効果、すなわち優れた引張り強度と弾性率及び外観に優れる射出成形品を得る方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、熱可塑性樹脂の剛性を高める手法として、ガラス繊維などの無機充填剤を添加して補強する方法が広く知られている。しかしながら、これらの無機充填剤は、リサイクルに用いる場合は十分な補強効果が得られない。すなわち、成形体の粉砕品や成形品くずを再び押出機などの装置で溶融混練すると樹脂中の無機充填剤が破砕されてしまい、充填剤そのもののL/Dが低下してしまい、リサイクル前と比較して十分な剛性などの物性が発現できなかった。そこで、前述したようにリサイクル可能であるという観点によると、分散相として有機ポリマー充填剤が適しており、例えば、液晶ポリマーを熱可塑性樹脂に添加することが、USP5275877号公報、EP566149号公報、WO99/02607号公報に提案されている。しかしながら、有機ポリマーのフィブリル化による分散相のL/Dは十分とは言えず、剛性向上の補強効果は十分ではなかった。また、特開平5−192951号公報には、剪断速度を規定することにより、フィブリル化させる成形方法が提示されているが、補強強化および外観においても十分ではなかった。産業界においては、有機充填剤による、より補強効果の高い、しかも外観特性に優れる成形体を得る方法が望まれていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】十分な補強効果、すなわち優れた引張り強度と弾性率及び外観に優れる樹脂製射出成形品およびそれを得る方法を提供することである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を達成する技術を鋭意検討した結果、(A)液晶ポリエステル樹脂と(B)スチレン系樹脂あるいはポリフェニレンエーテル系樹脂からなる樹脂組成物を射出成形するに際し、(A)の融点が、(B)のガラス転移温度+80℃より高くなる組み合わせを選択し、さらにその間の温度にて成形することにより、十分な補強効果、すなわち優れた引張り強度と弾性率及び外観に優れる射出成形品が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。 【0005】すなわち本発明は、1.(A)液晶ポリエステル樹脂1〜99重量部および(B)スチレン系樹脂あるいはポリフェニレンエーテル系樹脂99〜1重量部とからなる樹脂組成物を、以下の式(1)を満たすTp(℃)の温度で射出成形することを特徴とする成形品の製造方法、Ta>Tp>Tb+80…式(1) Ta(℃):(A)成分の融点。 Tb(℃):(B)成分のガラス転移温度。 2.樹脂組成物が、押出機中で溶融混練された直後に急冷することにより直径D1のストランドを得、その後、Ta(℃)未満の温度雰囲気で延伸することにより、1.2≦D1/D2≦10を満たすように、直径D2のストランドにした後、ペレット化されることを特徴とする上記1に記載の製造方法、3.上記1または2に記載の方法により成形され、(A)成分が分散相で、(B)成分が連続相で、かつ分散相のアスペクト比が4以上であることを特徴とする樹脂製成形品、4.流動方向断面において表層から深さ30μmにおける液晶ポリエステル粒子のアスペクト比(r1)と中心部30μmにおける液晶ポリエステル粒子のアスペクト比(r2)の比(R)が0.5以上2.0以下であることを特徴とする上記3に記載の成形品、(ただしR=r1/r2)を提供するものである。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、本願発明について具体的に説明する。本発明の(A)液晶ポリエステル樹脂は、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルで、公知のものを使用できる。例えば、p−ヒドロキシ安息香酸およびポリエチレンテレフタレートを主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸および2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニルならびにテレフタル酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステルなどが挙げられ、特に制限はない。本発明で使用される液晶ポリエステルとしては、下記構造単位(イ)および/または(ロ)を含み、必要に応じて(ハ)および/または(ニ)を含むものが好ましく用いられる。 【0007】 【化1】
【0008】 【化2】
【0009】 【化3】
【0010】 【化4】
【0011】ここで、構造単位(イ)、(ロ)はそれぞれ、p−ヒドロキシ安息香酸から生成したポリエステルの構造単位と、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸から生成した構造単位である。構造単位(イ)および/または(ロ)を使用することで、優れた耐熱性、流動性や剛性などの機械的特性のバランスに優れた本発明の熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。上記構造単位(ハ)、(ニ)中のXは、下記(式2)よりそれぞれ任意に1種あるいは2種以上選択することができる。 【0012】 【化5】
【0013】構造式(ハ)において好ましいのは、エチレングリコール、ハイドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールAそれぞれから生成した構造単位であり、さらに好ましいのは、エチレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンであり、特に好ましいのは、エチレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニルである。構造式(ニ)において好ましいのは、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ジカルボキシナフタレンそれぞれから生成した構造単位であり、さらに好ましいのは、テレフタル酸、イソフタル酸である。 【0014】構造式(ハ)および構造式(ニ)は、上記に挙げた構造単位を少なくとも1種あるいは2種以上を併用することができる。具体的には、2種以上併用する場合、構造式(ハ)においては、1)エチレングリコールから生成した構造単位/ハイドロキノンから生成した構造単位、2)エチレングリコールから生成した構造単位/4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、3)ハイドロキノンから生成した構造単位/4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、などを挙げることができる。 【0015】また、構造式(ニ)においては、好ましいものとして、1)テレフタル酸から生成した構造単位/イソフタル酸から生成した構造単位、2)テレフタル酸から生成した構造単位/2,6−ジカルボキシナフタレンから生成した構造単位、などを挙げることができる。ここでテレフタル酸量は前記2成分中、好ましくは40wt%以上、さらに好ましくは60wt%以上、特に好ましくは80wt%以上である。液晶ポリエステル(A)成分中の構造単位(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)の使用割合は特に限定されないが、好ましくは(イ)10〜90モル%、(ロ)90〜0モル%、(ハ)(ニ)0〜50モル%、さらに好ましくは(イ)50〜80モル%、(ロ)50〜0モル%、(ハ)(ニ)2〜30モル%である。なお、構造単位(ハ)と(ニ)は基本的にほぼ等モル量となる。また、構造単位(ロ)を用いる場合は1〜90モル%が好ましく、さらに好ましくは5〜70モル%である。 【0016】次に、本発明の(B)成分は、スチレン系樹脂あるいはポリフェニレンエーテル系樹脂である。スチレン系樹脂とは、ビニル芳香族化合物系重合体のことであり、具体的にはアタクティックポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、などがあげられる。そして、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、ポリフェニレンエーテル単独でもよいし、変性ポリフェニレンエーテルでもよい。ここで、変性ポリフェニレンエーテルとは、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂および/またはエラストマーとの混合物である。ここで、エラストマーとしては、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/ メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、ABSなどのオレフィン系共重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物、などが挙げられる。特にポリフェニレンエーテルとの親和性の観点から、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物が好ましい。 【0017】ポリフェニレンエーテルとは、(式3)の繰り返し単位構造【化6】
【0018】(R1、R4は、それぞれ独立して、水素、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェニル、アミノアルキル、炭化水素オキシを表す。R2、R3は、それぞれ独立して、水素、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェニルを表す。)からなり、還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)が、0.15〜1.0dl/gの範囲にあるホモ重合体及び/または共重合体である。さらに好ましい還元粘度は、0.20〜0.70dl/gの範囲、最も好ましくは0.40〜0.60の範囲である。 【0019】ポリフェニレンエーテルの具体的な例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のようなポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらにポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。 【0020】本発明で使用するポリフェニレンエーテルの製造方法の例として、米国特許第3306874号明細書記載の第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、2,6−キシレノールを酸化重合する方法がある。米国特許第3306875号、同第3257357号および同第3257358号の明細書、特公昭52−17880号および特開昭50−51197号および同63−152628号の各公報等に記載された方法もポリフェニレンエーテルの製造方法として好ましい。 【0021】本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂は、重合行程後のパウダーのまま用いてもよいし、押出機などを用いて、窒素ガス雰囲気下あるいは非窒素ガス雰囲気下、脱揮下あるいは非脱揮下にて溶融混練することでペレット化して用いてもよい。 【0022】本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂は、種々のジエノフィル化合物により官能化されたポリフェニレンエーテルも含まれる。ジエノフィル化合物には、例えば無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、フェニルマレイミド、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンなどの化合物が挙げられる。さらにこれらジエノフィル化合物により官能化する方法としては、ラジカル発生剤存在下あるいは非存在下で押出機などを用い、脱揮下あるいは非脱揮下にて溶融状態で官能化してもよい。あるいはラジカル発生剤存在下あるいは非存在下で、非溶融状態、すなわち室温以上、かつ融点以下の温度範囲で、パウダーが固相状態で、官能化してもよい。この際、ポリフェニレンエーテルの融点は、示差熱走査型熱量計(DSC)の測定において、20℃/分で昇温するときに得られる温度−熱流量グラフで観測されるピークのピークトップ温度で定義され、ピークトップ温度が複数ある場合にはその内の最高の温度で定義される。あるいは、室温以上、ガラス転移温度以下の温度範囲で、パウダーが固相状態で、官能化してもよい。 【0023】本発明における(A)液晶ポリエステル樹脂の配合量は、1〜99重量部で、好ましくは10〜90重量部で、さらに好ましくは30〜70重量部である。この配合量が99重量部より多いと、外観が大きく低下してしまう。この配合量が1重量部より少ないと、剛性向上という補強効果が低下してしまう。 【0024】本発明における(B)成分の配合量は、1〜99重量部で、好ましくは10〜90重量部で、さらに好ましくは30〜70重量部である。この配合量が99重量部より多いと、剛性向上という補強効果が十分得られない。また、この配合量が1重量部より少ないと、外観が大きく低下してしまう。 【0025】本発明では、上記の成分の他に、本発明の特徴および効果を損なわない範囲で必要に応じて他の附加的成分、例えば、酸化防止剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、シリコン化合物、フォスファゼン化合物、籠状シルセスキオキサン化合物等)、エラストマー、可塑剤(オイル、低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、難燃助剤、耐候(光)性改良剤、ポリオレフィン用造核剤、スリップ剤、各種着色剤、離型剤等を添加してもかまわない。 【0026】本発明の樹脂組成物は種々の方法で製造することができる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練方法が挙げられるが、中でも二軸押出機を用いた溶融混練方法が最も好ましい。この際の溶融混練温度は、(A)成分と(B)成分の混合物を溶融混練できる温度であればよいが、好ましくはTb+80(℃)以上がよく、さらに好ましくはTa以上がよい。ここで、Tb(℃)とは(B)成分のガラス転移温度である。(B)成分のガラス転移温度は、示差熱走査型熱量計(DSC)の測定において、20℃/分で昇温するときに得られる温度−熱流量グラフで観測されるガラス転移温度に起因される一次転移温度のオンセット温度値として定義される。また、Taとは、(A)成分の融点である。(A)成分の融点は、示差熱走査型熱量計(DSC)の測定において、20℃/分で昇温するときに得られる温度−熱流量グラフで観測されるピークのピークトップ温度で定義される。 【0027】また、押出機中で溶融混練された直後に急冷して直径D1のストランドを得、その後、Ta(℃)未満の温度雰囲気で延伸することが好ましい。さらにTb以上、Ta未満の温度雰囲気で延伸することがより好ましい。そして延伸することによって、1.2≦D1/D2≦10を満たすように、直径(D2)のストランドにした後、裁断することにより、約2〜4mmの長さのペレットにすることが好ましい。さらには、1.5≦D1/D2≦8が好ましく、1.8≦D1/D2≦5がより好ましい。ここでストランドとは、溶融した樹脂が冷却により固化し、直径0.1〜15mmの円筒形ひも状樹脂である。ここでD1/D2の比が1.2より小さいと、延伸比が小さくなり、(A)成分の配向が小さくなり、十分な補強効果が得られない。一方、この比が10より大きいと、ペレットの径が小さくなりすぎ、取り扱い性が低下する。 【0028】このようにして得られる本発明の樹脂組成物は、以下の方法により優れた物性を有する成形体を得ることができる。すなわち、本発明の成形方法は、射出成形する際、シリンダー設定温度を次に示す温度、Tp(℃)に設定することにより成形する。 【0029】Ta>Tp>Tb+80…式(1) Ta(℃):(A)成分の融点。 Tb(℃):(B)成分のガラス転移温度。 【0030】さらにTpとして好ましい温度範囲として、以下の式(4)を満たす温度範囲がより好ましい。 (Ta由来ピークの低温側オンセット温度)>Tp>(Tb+90)…式(4) 【0031】こうすることにより、先に十分に延伸された(A)成分である分散相は十分延伸された状態を保ち、連続相は、十分配向が緩和され、比較的等方的になる。優れた物性と外観が得られる。 【0032】本発明の方法により得られる成形品は、(A)成分が分散相で、(B)成分が連続相で、かつ分散相のアスペクト比が4以上である。本発明におけるアスペクト比は以下のように定義される。すなわち、流動方向と平行に薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡により観察し、任意に30個の分散相を選択し、各々分散相粒子の長径と、短径の比を求め、30個の平均値をとる。このアスペクト比は4以上が好ましく、より好ましくは5以上、さらに好ましくは7以上である。この値が4未満だと補強効果が十分でなく、また引張り強度が十分でない。 【0033】またこれらの成形品に対し、流動方向断面において表層から深さ30μmにおける液晶ポリエステル粒子のアスペクト比(r1)と中心部30μmにおける液晶ポリエステル粒子のアスペクト比(r2)を、上記の透過型電子顕微鏡観察から求め、比(R=r1/r2)を算出する。外観、補強効果の観点から、この比が0.5以上2.0以下であることが好ましく、0.8以上1.5以下がより好ましい。アスペクト比が高く、比Rが1.0の値に近いことは、分散相は、表層部、中心部、いずれの層も十分に配向していることを意味する。本発明の成形品は、アスペクト比が高く、成形品の厚み方向において、比較的アスペクト比のそろったモルフォロジーをしており、物性の均一性、安定性に優れる。 【0034】これら成形品は、自動車用部品、家電・OA用途部品に好ましく用いることができる。 【0035】本発明を以下、実施例に基づいて説明する。但し本発明はその主旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。以下の原料を用いた。 【0036】液晶ポリエステル(LCP1):窒素雰囲気下において、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、無水酢酸を仕込み、加熱溶融し、重縮合することにより、以下の理論構造式を有する液晶ポリエステル(以下「LCP1」と略すことがある。)を得た。なお、組成の成分比はモル比を表す。DSCにより求められた融点(Ta)は280℃であった。 【0037】 【化7】
【0038】液晶ポリエステル(LCP2):窒素雰囲気下において、p−ヒドロキシ安息香酸、ハイドロキノン、2,6−ナフタレンジカルボン酸、無水酢酸を仕込み、加熱溶融し、重縮合することにより、以下の理論構造式を有する液晶ポリエステル(以下「LCP2」と略すことがある。)を得た。なお、組成の成分比はモル比を表す。DSCにより求められた融点(Ta)は325℃であった。 【0039】 【化8】
【0040】変性ポリフェニレンエーテル:ザイロン200H、旭化成(株)製(以下「PPE/PS」と略すことがある。)DSCにより求められたガラス転移温度は、111℃であった。 【0041】ポリフェニレンエーテル:ポリフェニレンエーテルパウダー(2,6−ジメチルフェノールを酸化重合して得た還元粘度0.43のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)(以下「PPE」と略すことがある。)DSCにより求められたガラス転移温度は、210℃であった。 【0042】各樹脂組成物の成形と物性評価を、以下の方法に従って実施した。 (1)引張り強度および引張り弾性率オートグラフ(AG−5000、島津製作所(株)社製)、厚み3.2mmのASTMダンベル試験片を用い、チャック間距離115mm、試験速度10mm/minで引っ張り試験を実施し、引張強度及び引張り弾性率を測定した。 【0043】(2)外観上記(1)で用いた試験片の外観を目視により観察し、以下の判断基準に基づいて判断した。 ○:表面平滑性に優れ、光沢があるもの。 ×:表面がざらざらで、光沢がないもの。 【0044】(3)アスペクト比及びR(r1/r2) アスペクト比:上記(1)で用いたものと同様の試験片の中央部あたりを流動方向に、ウルトラミクロトームを用い、切片厚み100nmに切り出し、観察した。測定機器は日本電子(株)製、透過型電子顕微鏡JEM−2010を用い、加速電圧100Vで実施した。得られた像において、任意に30個の分散相を選択し、各々分散相粒子の長径と、短径の比を求め、30個の平均値をとった。 【0045】R:流動方向断面において表層から深さ30μmにおける液晶ポリエステル粒子のアスペクト比をr1とし、中心部30μmにおける液晶ポリエステル粒子のアスペクト比をr2とした。R=r1/r2とした。 【0046】 【実施例1】(A)成分としてLCP1、(B)成分としてPPE/PSを用い、表1に示す割合(重量部)で、290℃に設定したベントポート付き二軸押出機(ZSK−25;WERNER&PFLEIDERER社製)を用いて溶融混練し、急冷し、約径3mmのストランドを得た。これを約60℃近い温度雰囲気下で延伸した後、ペレタイザーでペレットとして得た。この際の径は約1mmであった。このペレットを用い、得られたペレットを、シリンダー温度260/260/260/240℃(ノズル側/ホッパー側)、射速70%、金型温度80℃に設定した射出成形機[IS−80EPN:東芝機械(株)社製]を用いて成形を行った。上に示した方法により、物性評価を実施した。その結果を表1に示した。 【0047】 【比較例1】射出成形機の設定温度を290/290/290/250℃にしたこと以外は、実施例1と同様に実施し、物性評価を実施した。その結果を表1に示した。 【0048】 【実施例2】径が約3mmのストランドを延伸により、約1.5mmにしたことと(A)成分と(B)成分の配合量を変えたこと以外は、実施例1と同様に実施し、物性評価を実施した。その結果を表1に示した。 【0049】 【比較例2】射出成形機の設定温度を290/290/290/250℃にしたこと以外は、実施例2と同様に実施し、物性評価を実施した。その結果を表1に示した。 【0050】 【比較例3】LCP1を用いなかったこと以外は、実施例1と同様に実施し、物性評価を実施した。その結果を表1に示した。 【0051】 【実施例3】(A)成分としてLCP2、(B)成分としてPPEを用い、表1に示す割合(重量部)にしたことと、射出成形機の設定温度を300/300/300/260℃(ノズル側/ホッパー側)、射速90%、金型温度130℃としたこと以外は、実施例1と同様に実施し、物性評価を実施した。その結果を表1に示した。 【0052】 【比較例4】射出成形機の設定温度を340/340/340/250℃にしたこと以外は、実施例3と同様に実施し、物性評価を実施した。その結果を表1に示した。 【0053】 【比較例5】LCP2を用いなかったこと以外は、実施例3と同様に実施し、物性評価を実施した。その結果を表1に示した。 【0054】 【表1】
【0055】 【発明の効果】本発明により、十分な補強効果、すなわち優れた引張り強度と弾性率及び外観に優れる樹脂製射出成形品を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000033 【氏名又は名称】旭化成株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年5月23日(2001.5.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100094709 【弁理士】 【氏名又は名称】加々美 紀雄 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−347096(P2002−347096A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月4日(2002.12.4) |
| 【出願番号】 |
特願2001−153943(P2001−153943) |
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