| 【発明の名称】 |
材料供給ユニット及びこれを用いる射出成形方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】山本 太朗
【氏名】鈴木 収
|
| 【要約】 |
【課題】紛体、特に微粉末紙樹脂を連続して安定して成形機スクリューに供給させる材料供給ユニット及びこれを用いる射出成形方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも内壁面の下部が漏斗状に形成され、底部に円筒状の排出路に連通する粉体排出口の設けられたホッパーに紛体が収容され、該紛体を該排出口から下方に排出する材料供給ユニットにおいて、該排出口を、該排出口と該紛体との動摩擦係数が0.15以下であり、かつ該紛体が該排出口を通過する際に発生する帯電圧が1.5kv以下である材質で構成した材料供給ユニット。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも内壁面の下部が漏斗状に形成され、底部に円筒状の排出路に連通する粉体排出口の設けられたホッパーに紛体が収容され、該紛体を該排出口から下方に排出する材料供給ユニットにおいて、該排出口をガラスで構成したことを特徴とする材料供給ユニット。 【請求項2】 該排出口を硬質ガラスで構成した請求項1に記載の材料供給ユニット。 【請求項3】 請求項1又は2に記載された材料供給ユニットを使用して成形材料を射出成形機に供給する工程を含む射出成形方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形機の材料供給ユニット及びこれを用いる射出成形方法に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に射出成形機の射出ユニットは、フロントプレート、ムービングプレート及びリアプレトを有し、フロントプレートとリアプレートがタイロッドで結合されると共に、これらのタイロッドにムービングプレートが前後に移動可能に装着されている。図1のようにフロントプレート1の前面にはシリンダ取り付け部2が設けられ、これにシリンダ3の基部が前後方向に貫通して取り付けられ、ボルトなどによってフロントプレート1とシリンダ3が固定されている。シリンダ取り付け部2には紛体排出口4が上下方向に設けられ、その上部にホッパー5が連通して取り付けられている。シリンダ3は前端部にノズル6が装着されており、また、内部に前後方向に貫通したスクリュー孔7を有し、この孔7にスクリュー8が回転と共に前後方向へ移動可能に装着されている。そして、前記の紛体排出口4は下端がスクリュー孔7に開口している。すなわち、紛体排出口4はホッパー5からシリンダ3内部のスクリュー孔7に連通している。ホッパー5に供給された成形原料(樹脂)は、射出ユニットの計量過程時に紛体排出口4を通過してスクリュー孔7に達し、計量のために駆動回転されているスクリュー8によりシリンダ3の前方に送り込まれ、同時に混練と溶融作用を受ける。溶融にはシリンダ3の外周面に装着されたバンドヒーターからの外部熱が利用される。そして、溶融された樹脂はシリンダ前部に貯留され、射出過程において前方に突き出されるスクリュー8によってノズル6の先端から金型のキャビティ内に射出される。このような従来技術で、微粉状の樹脂を用いて射出成形した場合、紛体排出口4から樹脂がスクリュー孔7に食い込まれず計量されず、正常な成形ができないと言う問題があった。 【0003】近時環境保全の観点から、古紙等を原料とする重量比で古紙51%以上、樹脂例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等、49%以下で構成された射出成形用樹脂(以下、紙樹脂と言う)による成形品が一般樹脂に代わり使用されるようになってきた。該組成の樹脂で成形された製品は容器リサイクル法で紙の分類で廃却可能なため、環境にやさしい樹脂として脚光を浴びてきた。該紙樹脂は、古紙を解繊、叩解してしかる後微粉末化して一般樹脂を重量比で49%以下で混合し、成形用紙樹脂とする。エネルギー節約の観点及び加熱によるセルローズの分解防止から該紙樹脂をルダーに通しペレット化すること無く直接成形する方法が好ましい。 【0004】紙樹脂を成形する場合、セルロースの熱分解を押さえる為に、加熱筒での滞在時間を短くする必要があり、高速成形が要求される。これに伴い樹脂計量時間も可能な限り短縮したい。この要求を実現するために、可塑化能力の大きい射出ユニットを用いる。ペレット化されていない粉体材料を該成形機で成形するとき、通常の成形機では、ホッパー下部の紛体排出口の内壁に粉体樹脂が固着し、中心部の樹脂が壁面に付着した粉体樹脂とともずり状態となり摩擦係数が大きくなり、且つ高速移送により発生する帯電で雪だるま状に粉体樹脂が円筒壁面に堆積するため樹脂は移送しなくなる。この結果、必要量の樹脂が供給できなくなりショートショット現象が発生する。 【0005】従来技術による図3の紛体排出口4の方式では、紛体排出口4の下縁とスクリューフライト9の外周面との間隔が一定であるために、成形原料の形状が微粉末の紙樹脂の時、ホッパー下の樹脂供給孔の滑り性、帯電性によっては、スムーズに紙樹脂が搬送されず過度に供給されり、逆にいったんスクリュー8のフライト9間に嵌まり込んだものがスクリュー8の回転にともなって再び紛体排出口4の位置に戻ってきたりし、計量や溶融・混練の効率が低下することがある。この問題を解決する一つの提案が、特開平7−133029に開示されている。本技術は、下部内壁面が漏斗状に形成され、底部に円筒状の排出路に連通する粉体排出口の設けられたホッパーに、その排出路に挿入する下部の周面にネジ溝が形成された粉体排出軸を設け、該軸をモーターで回転させ、ホッパーに装填した粉状樹脂を排出させる方式である。効果は認められるが、回転軸を有する排出手段をホッパー内に設けなければならず、ホッパーが大型化すること、材料替えが容易で無いこと、供給にプラスのエネルギーを必要とする等の問題がある。又、特開平7−76395は金属粉体を供給する為のホッパー部の滑り性を改善する技術であって粉体排出部、ダンパー部をテフロン(登録商標)やシリコン樹脂で処理する技術に関するものである。しかし、微粉紙樹脂の場合テフロンやシリコンでは、摺動摩擦で帯電が発生し、むしろ紙樹脂が側面にへばりつき、スクリューに噛み込まない現象が発生するという問題がある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、紛体、特に微粉末紙樹脂を連続して安定して成形機スクリューに供給させる材料供給ユニット及びこれを用いる射出成形方法を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】(1)少なくとも内壁面の下部が漏斗状に形成され、底部に円筒状の排出路に連通する粉体排出口の設けられたホッパーに紛体が収容され、該紛体を該排出口から下方に排出する材料供給ユニットにおいて、該排出口を、該排出口と該紛体との動摩擦係数が0.15以下であり、かつ該紛体が該排出口を通過する際に発生する帯電圧が1.5kv以下である材質で構成したことを特徴とする材料供給ユニット。 (2)該排出口をガラスで構成した(1)に記載の材料供給ユニット。 (3)該排出口を硬質ガラスで構成した(1)に記載の材料供給ユニット。 (4)(1)ないし(3)いずれか1つに記載された材料供給ユニットを使用して成形材料を射出成形機に供給する工程を含む射出成形方法。 【0008】 【発明の実施の形態】 【0009】本発明者等は、紛状紙樹脂供給用ホッパーの樹脂排出部の材質、表面性等を種々検討し、紙樹脂供給に能動的な特別な手段を用いずに供給可能な最適な構成を見いだすに到った。本発明は、樹脂粉体供給用ホッパー下端の紛体排出口の構成材質と紙樹脂との摺動時摩擦係数が0.15以下で、且つ紙樹脂が排出孔を通過するときに発生する静電気帯電圧が1.5kv以下になる材質で構成することを特徴とする。これにより、円筒面への樹脂固着現象がみられず、樹脂搬送の停滞が発生せず、必要量の樹脂を成形機に送り込むことができる。 【0010】本発明における紛体供給口の構成材質としては、表面粗さ0.5S以下のガラスが好ましく、特に表面粗さ0.5S以下の硬質ガラスが好ましい。ガラスの具体例として、石英ガラス、96%石英ガラス、ホウケイ酸ガラス等を挙げることができる。紛体供給口の表面粗さとは、紛体供給口内壁の凹凸の平均間隔を示し、その測定方法の詳細は、JIS規格B0601に規定されている。また、紛体供給口の構成材質として、ステンレス等の従来材質にセラミックコーティングし、表面粗さ0.5以下に研磨したものを用いることもできる。コーティング材としては、TiO2、Al2O3、B2O3等を挙げることができ、具体的には、鏡面仕上げ(0.5S以下)を施したSUS316にTiO2を爆発溶射し、その後表面粗さ0.5S以下に研磨したもの等を用いることができる。さらに、摩擦係数の低いシリコーン樹脂、テフロン樹脂等を用いることもできる。ただし、この場合には、帯電防止のためカーボンブラック等を混練し体積抵抗を108オーム/cm3以下に保つ必要がある。 【0011】 【実施例】以下、本発明の具体的な実施例として、材料供給ユニットを用いた写真感光材料収納ケースの射出成形方法を説明するが、本発明はここに挙げた実施例にのみ限定されるものではない。 【0012】原料として好ましく使用される写真印画紙用に製造された原紙であるWP(water-proof)紙を、成形品とする好ましい工程を一例として工程順に説明する。 (1)紙マスターバッチの作成紙マスターバッチの作成工程は、(1)粗粉砕、(2)解繊、(3)解繊紙の造粒よりなる。印画紙端材(構成:紙の表裏にPEラミネートされた印画紙原紙70%、PE30%)100kgを(1)、(2)及び(3)の各工程の粉砕機で粉砕し顆粒状の紙マスターバッチにした。 【0013】(2)紙樹脂作成紙マスターバッチ50kgにメルトフローインデックス40g/mim、密度0.96の日本ポリオレフィン社製高密度ポリエチレン(HDPE)KMA90K樹脂20kgを追加、さらに酸化防止剤旭電化アデカブスタA30 0.1重量%、中和剤5,5ジメチルヒダントイン0.1重量%を添加し、コーンミルで粉砕し紙樹脂とした。 【0014】(3)容器の射出成形該紙樹脂を用いて図3に示す写真フイルム用収納ケースを射出成形法で成形した。成形機は、住友重機SG180M、金型温度70℃、射出速度40mm/sec、保圧120kg/cm2で0.5秒、冷却時間2秒で所望の形状に成形する。 【0015】成形機への材料供給は、下記の材料供給ユニットを用いて行った。 (サンプルA) 材質:ホッパー SUS 316紛体排出口 SUS 316紛体排出口と紙樹脂ペレットの動摩擦係数:μ=0.342該紛体が該排出口を通過する際に発生する帯電圧:S=5kv(サンプルB) 材質:ホッパー SUS 316紛体排出口 硬質ガラス紛体排出口と紙樹脂ペレットの動摩擦係数:μ=0.12該紛体が該排出口を通過する際に発生する帯電圧:S=0.5kv(サンプルC) 材質:ホッパー SUS 316紛体排出口 SUS 316にTiO2を溶射し、表面を円筒研磨したもの紛体排出口と紙樹脂ペレットの動摩擦係数:μ=0.14該紛体が該排出口を通過する際に発生する帯電圧:S=1.3kv【0016】(4)評価方法と結果評価方法:図3に示した135フイルムケースを10ショット射出成形する時の、紙樹脂を計量に要する時間(秒)を計測し、そのバラツキで評価した。 結果:表1に示すように、本発明の材料供給ユニットにおいては、紙樹脂計量時間(秒)は安定し、バラツキも少ない。 【表1】
【0017】 【発明の効果】(1)古紙を活用し且つ紙粒子の分散性の良い紙樹脂成形品が容易に得られる。 (2)紙マスターバッチをルーダー等による再造粒を施さず直接成形できるため、熱履歴を最小限に押さえることが可能で、セルローズの熱分解も無く、焦げ、異臭の発生も無い。 (3)紙樹脂以外にも紛状材料の射出成形の材料供給にも有効である。 (4)材料作成に要するエネルギーの節減ができる。 (5)木片を微粉末にしフィラーとして各種樹脂に混合した成形材料、不要になった成形品をクラッシャー処理して粉砕した材料をルーダー処理なしで再成形する際の材料、微粉末化した生分解樹脂と一般樹脂(PE、PP等)と混合した材料等の微粉末成形材料の材料供給方法として広く利用できる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005201 【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
|
| 【出願日】 |
平成13年5月24日(2001.5.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100101719 【弁理士】 【氏名又は名称】野口 恭弘
|
| 【公開番号】 |
特開2002−347031(P2002−347031A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月4日(2002.12.4) |
| 【出願番号】 |
特願2001−155678(P2001−155678) |
|