| 【発明の名称】 |
繊維状物成形体の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】野口 和裕
【氏名】村中 健
【氏名】本居 孝治
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| 【要約】 |
【課題】ボイドが少なく、曲げ強度などの機械的強度に優れ、かつ幅広物や長物を容易にかつ安価に成形することができる繊維状物成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】発泡性熱硬化性樹脂原液が付着された複数本の繊維状物を、金型1の第1,第2の開口4a,4b間の成形空間4に貫通させ、第1の開口4a付近において発泡性熱硬化性樹脂原液を硬化し、第1の開口4a付近を非通気状態とした後、第2開口4b近い領域ほど硬化開始が遅くなるように、繊維状物5に付着された発泡性熱硬化性樹脂原液を第1の開口4a側を起点として順次硬化させる、繊維強化樹脂発泡体の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 発泡性熱硬化性樹脂原液が付着された繊維状物を、第1,第2の開口を有する金型に貫通させる工程と、前記第1の開口付近において、前記発泡性熱硬化性樹脂原液を硬化させ、第1の開口付近を非通気状態とする工程と、次に、第2の開口に近い領域ほど硬化開始が遅くなるように、前記繊維状物に付着された発泡性熱硬化性樹脂原液を第1の開口側を起点として順次硬化させる工程とを備えることを特徴とする、繊維状物成形体の製造方法。 【請求項2】 発泡性熱硬化性樹脂原液が付着された繊維状物を、第1,第2の開口を有する金型に貫通させる工程と、前記第1,第2の開口間の中間部において、前記発泡性熱硬化性樹脂原液を硬化させ、該中間部付近を非通気状態とする工程と、次に、第1,第2の開口に近い領域ほど硬化開始が遅くなるように、前記繊維状物に付着された発泡性熱硬化性樹脂原液を前記中間部を起点として順次硬化させる工程とを備えることを特徴とする、繊維状物成形体の製造方法。 【請求項3】 発泡性熱硬化性樹脂原液が付着された繊維状物を用意する工程と、型締めにより構成される第1,第2の開口を有し、第1の開口側が前記繊維状物を挿入した際に該繊維状物により非通気状態とされるように構成されている金型を用意する工程と、前記金型に前記発泡性熱硬化性樹脂原液を付着された繊維状物を挿入し、第1の開口側を繊維状物の充填により非通気状態とする工程と、前記第2の開口側の領域ほど前記発泡性熱硬化性樹脂原液の硬化開始が遅くなるように、前記第1の開口側を起点として発泡性熱硬化性樹脂原液を順次硬化させる工程とを備えることを特徴とする、繊維状物成形体の製造方法。 【請求項4】 前記繊維状物として、金型の第1,第2の開口を結ぶ長さよりも長い長尺状繊維束が用いられ、前記発泡性熱硬化性樹脂としてウレタン系樹脂組成物が用いられる、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維状物成形体の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、合成木材、鉄道用枕木、土木建築用材料などに用いられる繊維状物成形体の製造方法に関し、より詳細には、発泡性熱硬化性樹脂原液が付着された繊維状物を成形することにより得られる繊維状物成形体の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】ガラスロービングなどの繊維状物が一方向に引き揃えられ、かつ一体化されている繊維状物成形体は腐食し難いため、様々な分野に用いられている。例えば、コンクリート、レジンコンクリート、鉄または木材等が用いられてきた産業分野において、上記繊維状物成形体がこれらの代わりに用いられている。 【0003】もっとも、繊維状物成形体は、安価な材料と競合するものであり、コストを低減するために、効率的な製造方法が要求されており、例えば一つの製造装置で多様な製品を製造し得ることなどが求められている。 【0004】従来、この種の繊維状物成形体の製造方法として、■発泡性熱硬化性樹脂を付着させた繊維束を成形通路に導き、連続的に発泡硬化させる方法(例えば、特公昭48−30137号公報)、あるいは■バッチ方式の製造方法として金型内に繊維状物を敷き、その上から発泡性熱硬化性樹脂原液を撒き、繊維状物に付着させた後、圧締した後上記樹脂原液を発泡硬化させる方法(特開平11−216736号公報)などが提案されている。 【0005】特公昭48−30137号公報に記載の方法では、4つのベルト機構が用いられており、該4つのベルト機構で構成された4つの壁面により成形通路が構成されている。4つの壁面で囲まれた成形通路において発泡硬化が行われ、しかる後発泡硬化により得られた繊維状物成形体が連続的に取り出される。しかしながら、このような成形通路を用いた製造方法では、任意の製品形状に対応するには、4つの壁面により囲まれる成形通路を自在に拡縮する必要があり、装置が複雑化かつ大型化するという問題があった。 【0006】他方、上記のような連続的な製造方法に対し、バッチ方式の製造方法では、個々の成形体がデイスクリートに成形される。したがって、成形型を交換することにより、任意の形状の製品を1台の成型締装置を用いて製造することができる。この場合の成形型の交換及び型締めは、周知の方法に従って容易に行われ得る。 【0007】しかしながら、バッチ方式では、1回の成形あたりのタクト時間が長くなる。したがって、生産性を高めるには、最終製品が複数個取りされ得る長物あるいは幅広のマスターを成形しなければならない。すなわち、繊維状物成形体の量産に際しバッチ方式の製造方法を採用する場合には、長物成形あるいは幅広物成形に適した装置を用いなければならない。 【0008】特開平11−216736号公報に開示されている方法は、長物成形に適したバッチ方式の製造方法である。もっとも、成形型内に繊維状物を敷いた後、該繊維状物の上に発泡性熱硬化性樹脂原液を一様に撒かねばならない。したがって、樹脂原液を撒布した後、圧締により繊維状物間の隙間を押し縮め、繊維間の空気を排除しなければならない。空気の排除が不十分であれば、成形体に所望でないボイドが発生する。 【0009】ところが、この先行技術では、空気の排除については何ら特別の対等が施されていない。したがって、成形体内にボイドが生じがちであった。特に、長物成形した場合には、空気の排除がより起こり難く、したがって、ボイドがより一層発生しがちになるという問題があった。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述した先行技術の欠点を解消し、生産性に優れているだけでなく、得られた成形体におけるボイドが生じ難い、特に、長物成形や幅広物成形に適した繊維状物成形体の製造方法を提供することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】本願の第1の発明に係る繊維状物成形体の製造方法は、発泡性熱硬化性樹脂原液が付着された繊維状物を、第1,第2の開口を有する金型に貫通させる工程と、前記第1の開口付近において、前記発泡性熱硬化性樹脂原液を硬化させ、第1の開口付近を非通気状態とする工程と、次に、第2の開口に近い領域ほど硬化開始が遅くなるように、前記繊維状物に付着された発泡性熱硬化性樹脂原液を第1の開口側を起点として順次硬化させる工程とを備えることを特徴とする。 【0012】第2の発明に係る繊維状物成形体の製造方法は、発泡性熱硬化性樹脂原液が付着された繊維状物を、第1,第2の開口を有する金型に貫通させる工程と、前記第1,第2の開口間の中間部において、前記発泡性熱硬化性樹脂原液を硬化させ、該中間部付近を非通気状態とする工程と、次に、第1,第2の開口に近い領域ほど硬化開始が遅くなるように、前記繊維状物に付着された発泡性熱硬化性樹脂原液を前記中間部を起点として順次硬化させる工程とを備えることを特徴とする。 【0013】第3の発明に係る繊維状物成形体の製造方法は、発泡性熱硬化性樹脂原液が付着された繊維状物を用意する工程と、型締めにより構成される第1,第2の開口を有し、第1の開口側が前記繊維状物を挿入した際に該繊維状物により非通気状態とされるように構成されている金型を用意する工程と、前記金型に前記発泡性熱硬化性樹脂原液を付着された繊維状物を挿入し、第1の開口側を繊維状物の充填により非通気状態とする工程と、前記第2の開口側の領域ほど前記発泡性熱硬化性樹脂原液の硬化開始が遅くなるように、前記第1の開口側を起点として発泡性熱硬化性樹脂原液を順次硬化させる工程とを備えることを特徴とする。 【0014】本発明(第1〜第3の発明)では、好ましくは、上記繊維状物として、金型の第1,第2の開口を結ぶ長さよりも長い長尺状繊維束が用いられ、上記発泡性熱硬化性樹脂としてウレタン系樹脂組成物が用いられる。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明することにより、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。 【0016】〔第1の実施形態〕図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態で用いられる金型を説明するための斜視図及び縦断面図である。 【0017】金型1は、上型2と下型3とを備える。下型3は、横断面がコの字状の形状を有し、上型2は、下型3の上方の開口を閉成するように構成されている。上型2は、平板状の新材からなり、かつ下型3の開口部3aにはまり込む突出部2aを下面に有する。 【0018】上記上型2の突出部2aを下型3の上方開口部にはめ込むことにより図1(a)、(b)に示す成形空間4が構成される。本実施形態では、成形空間4は横断面が矩形の形状とされている。成形空間4は金型1を貫通しており、成形空間4の一方端が第1の開口4aを、他方端が第2の開口4bを構成している。 【0019】図2〜図4を参照して、上記金型1を用いた本実施形態の製造方法を説明する。まず、長尺状の複数本の繊維状物5が用意される。繊維状物5としては、本実施形態ではガラスロービングが用いられる。また、本実施形態では、繊維状物5には、予め発泡性熱硬化性樹脂原液が均一にその周囲に付着されている。 【0020】上記繊維状物としては、ガラスロービングの他、様々なガラス繊維、炭素繊維、合成繊維、天然繊維などからなる連続繊維束、または、マット、シートもしくはクロスなどの任意の形態のものを用いることができる。好ましくは、連続繊維束が用いられ、特に、本実施形態で用いられているガラスロービングが好適である。 【0021】他方、上記発泡性熱硬化性樹脂原液は、短時間で発砲硬化され得る合成樹脂液により構成され、例えば、ウレタン系樹脂、不飽和ボリエステル、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂または、これらの熱硬化性樹脂を得るための組成物を主成分として含む原液が用いられる。もっとも、本発明で用いられる発泡性熱硬化性樹脂原液における熱硬化性樹脂はこれらの樹脂に限定されず、初期状態で液状であり、硬化する段階において発泡され得るものであれば適宜の熱硬化性樹脂含有原液を用いることができる。また、発泡性熱硬化性樹脂原液を構成する場合、上記熱硬化性樹脂に加えて、熱分解型発泡剤などの適宜の発泡剤が含有されていてもよい。上記熱硬化性樹脂としては、好ましくは、二液型ポリウレタン樹脂原液が好適に用いられる。 【0022】本実施形態では、図2に示すように、上記発泡性熱硬化性樹脂原液が付着された繊維状物5が金型1の第1,第2の開口4a,4bを通って金型1を貫通するように配置され、かつ型締めが行われる。この場合、下型3から上型2を分離した状態で繊維状物5を配置し、しかる後、上型2を下型3に当接させ、すなわち型締めを行い、成形空間4に繊維状物5を配置してもよい。もっとも、下型3に上型2を組合わせた状態で、すなわち成形空間4を構成した状態で繊維状物5を成形空間4に挿入してもよい。 【0023】次に、図3に示すように、第1の開口4a付近において繊維状物5に付着している発泡性熱硬化性樹脂原液を優先的に発泡硬化させ、第1の開口4a付近を非通気状態とする。このように、第1の開口4a付近を優先的に硬化させる方法は特に限定されないが、例えば、開口4a付近の金型温度を他の領域に比べて高くするように開口4a近傍の温度を相対的に高くなるように調整する方法、あるいは開口4a付近において、繊維状物5に付着している発泡性熱硬化性樹脂原液を、他の領域で繊維状物5に付着されている発泡性熱硬化性樹脂原液よりも硬化開始が早くなるようにする方法などが挙げられている。 【0024】なお、後者の方法、すなわち発泡性熱硬化性樹脂原液の硬化時間の調整方法の具体的な手法は特に限定されず、例えば、二液硬化型ポリウレタンを主成分とする樹脂原液を用いる場合には、触媒量を第1の開口4a付近において多くする方法、二液を混合してから繊維状物に付着させるまでのセットタイムを第1の開口4a近傍において長くする方法などが挙げられる。 【0025】上記のようにして、図3に示すように、第1の開口4a付近において、発泡性熱硬化性樹脂原液の発泡・硬化がいち早く進行し、成形体部分6aが形成され、開口4aが非通気状態とされる。 【0026】本実施形態では、次に、開口4aが非通気状態とされた後、該成形体部分6aを起点として第2の開口4b側に向かって発泡・硬化が進行する。すなわち、第2の開口4bに近い領域ほど硬化開始が遅くなるように、発泡性熱硬化性樹脂原液が第1の第2の開口4bを起点として順次硬化される。 【0027】このような硬化の進行形態を実現するには、上述した各種方法を応用することができる。すなわち、金型1内の加熱温度を領域ごとに調整し、第1の開口4a側の金型温度が最も高く、第2の開口4bに近づくにつれて、徐々に金型温度が低くなるように金型1の温度を調整する方法を用いることができる。また、他の方法として、例えば二液混合型ポリウレタンを主成分とする発泡性熱硬化性樹脂原液を用いる場合には、混合された発泡性熱硬化性樹脂原液を繊維状物5に付着させるまでのセットタイムを、第1の開口4a付近において長くし、第2の開口4bに至るにつれて短くするように設定する方法などが挙げられる。 【0028】上記のようにして、図4に示すように、開口4a側から開口4b側に向かって発泡性熱硬化性樹脂原液の発泡・硬化が順次進行し、繊維状物の成形が行われる。このようにして、図5に斜視図で示す繊維状物成形体6が得られる。 【0029】ところで、上記のように、開口4a側が非通気状態とされて、開口4a側を起点として開口4b側に向かって発泡・硬化が進行するため、上記発泡・硬化の進行に伴って、空気は、開口4b側に向かって押し出され、型外に排出される。 【0030】発泡が全ての型内の全ての領域で同時に起こった場合には、樹脂の膨張する方向がランダムとなり、膨張する樹脂同士の衝突により空気の逃げ場がなくなりボイドとなり、成形体に残存する。 【0031】これに対して、本実施形態では、樹脂の膨張する方向は、開口4a側から開口4b側に向かう方向はすなわち一つの方向となり、空気が開口4b側に円滑に逃がされる。したがって、ボイドが少ない繊維状物成形体6を得ることができる。 【0032】次に、第1の実施形体の具体的な実施例及び比較例を説明する。 【0033】(実施例1)繊維状物としてガラス繊維:旭ファイバーグラス社製、品名:ガラスロービング2200番、2.2g/m)637本を用いた。また、発泡性熱硬化性樹脂原液として、住友バイエルウレタン社製、商品名:スミフェン1703及びスミジュール44V20からなる二液混合型ポリウレタン樹脂原液を用いた。 【0034】なお、金型1の成形空間4の寸法は、幅200×高さ70×長さ1000mmとした。上記実施形態の金型1を用い、上記実施形態に従って、ガラスロービング含有率40体積%、成形体の比重0.74である成形体6を目標として、成形体6の製造を行った。 【0035】なお、金型温度を調整することにより第1の開口4a側を最初に非通気状態とし、第1の開口4a側を起点として第2の開口4b側に発泡を硬化させた。 【0036】(比較例)従来のバッチ方式の製造方法を用いて、実施例1と同じ材料を用い、かつ実施例1と同様にガラス含有率40体積%及び成形体比重0.6の成形体を得るべく成形を試みた。なお、比較例では、金型1内に発泡性熱硬化性樹脂原液が付着した繊維状物5を挿入した後、開口4a側を優先的に発泡・硬化させず、すなわち金型全体を均一に加熱し、発泡・硬化させた。 【0037】しかしながら、比較列では、金型の長さが5000mmと長い場合、ボイドの発生が顕著となり、成形が困難となった。すなわち、実施例1と同じ成形体比重の成形体を得ようとした場合、金型長が2000mmを超えるとボイドの発生が著しくなり、成形が困難となることがわかった。そこで、ガラス含有率40体積%及び成形体比重0.6の成形体を得るように仕様を変更し、全体を均一に加熱し、成形した。このようにして、比較例の成形体を得た。 【0038】(曲げ強度の評価)上記実施例1及び比較例で得た成形体についてJIS Z2113に従って曲げ強度を測定したところ、実施例1の成形体では140MPaであり、比較例の成形体では105MPaであった。 【0039】〔第2の実施形態〕図6は、本発明の第2の実施形態に用いられる金型11を示す縦断面図である。金型11は、上型12と下型13とを有する。下型13は、第1の実施形態で用いた金型1の下型3と同様に構成されている。他方、上型12は、第1の開口4a側において、下方に伸びる圧締部12bを有することを除いては、上型2と同様に構成されている。したがって、上型12の下面には、下型13の上方開口にはまり合う突出部12aが設けられている。 【0040】なお、上型12及び下型13は上記のように構成されているので、第1の開口4b側から見た斜視図は、図1(a)に示す金型1と同様となる。上記上型12に設けられた圧締部12bの下端12b1と下型13の上面13aとの間の距離は、上述の発泡性熱硬化性樹脂原液が付着された繊維状物5を挿通させ、型締めを行った場合に、繊維状物5が圧締され、繊維状物5に付着していた発泡性熱硬化性樹脂原液同士が密着し、開口4a側が非通気状態となるように選ばれている。 【0041】すなわち、上記圧締部12bを設けることにより、開口4aの断面積は、複数本の繊維状物5が細密充填された場合の断面積とほぼ同等とされている。図7及び図8を参照して、本実施形態の製造方法を説明する。 【0042】まず、金型11の成形空間に、第1の実施形態と同様に、発泡性熱硬化性樹脂原液が均一に付着された繊維状物5を複数本挿通させる。繊維状物及び発泡性熱硬化性樹脂原液としては第1の実施形態と同じものを用いることができるため、第1の実施形態における説明を援用することとする。 【0043】本実施形態では、図7に示すように、型締めにより、第1の開口4a付近において、圧締部12bにより繊維状物5が圧締される。その結果、繊維状物5に付着していた発泡性熱硬化性樹脂原液同士が合着し、開口4a側が非通気状態とされる。圧締部12bによるこの圧締を行うために、開口4a付近に圧締用ロールなどの圧締手段を配置し、金型12を金型13側に圧着させればよい。 【0044】上記のようにして、開口4a付近を非通気状態とした後、第1の開口4a付近を起点として、繊維状物に付着されている発泡性熱硬化性樹脂原液を第2の開口4b側が発泡・硬化が遅くなるように発泡・硬化を行う。この方法としては、第1の実施形態の説明において示した各種方法を適宜用いることができる。 【0045】すなわち、金型11の温度を、第1の開口4a側から第2の開口4b側に向かって順に低くなるように金型温度を調整する方法、あるいは例えば二液混合型ポリウレタンを用いる場合、発泡性熱硬化性樹脂原液を繊維状物5に付着するまでのセットタイムを、開口4a側が長く、開口4b側に向かって短くなるように設定する方法などが挙げられる。 【0046】図8に示すように、繊維状物5に付着した発泡性熱硬化性樹脂原液の発泡硬化が開口4a側から開口4b側に向かって進行する。したがって、第1の実施形態と同様に、樹脂の膨張方向が第1,第2の開口4a,4bを結ぶ一つの方向となるため、空気が速やかに逃がされ、ボイドの少ない成形体が得られる。 【0047】次に、第2の実施形態の具体的な実施例を説明する。 【0048】(実施例2)実施例1と同じ繊維状物及び発泡性熱硬化性樹脂原液を用い、かつ金型12として、成形空間の大きさが幅200×高さ70×長さ5000mmの金型を用いた。この場合、金型12の第1の開口4aの断面積は8000mm2とし、第2の開口4bの開口面積は14000mm2とした。 【0049】また、実施例1と同様に、ガラス含有率40体積%及び成形体比重0.74の成形体を得るべく第2の実施形態に従って成形を得た。得られた成形体と、前述した比較例で得たガラス含有率40体積%及び成形体比重0.6を目標として得られた成形体の曲げ強度を測定したところ、実施例2で得た成形体では曲げ強度145MPaであり、比較例1で得た成形体の曲げ強度100MPaに比べて高かった。 【0050】〔第3の実施形態〕第1の実施形態では、金型1の第1の開口4a付近を非通気状態とし、第1の開口4a側から第2の開口4b側に向かって発泡・硬化を順次進行させた。 【0051】これに対して、第3の実施形態では、第1の実施形態と同じ金型1が用いられるが、最初に金型1の、第1の開口4aと第2の開口4bとの間の中間の中間部1aにおいて発泡・硬化が行われ、該中間部1aが非通気状態とされる。すなわち、図8に示すように、金型1内に、発泡性熱硬化性樹脂原液が付着された複数本の繊維状物5を挿入した後、まず、開口4aと開口4bとの間の中間部1aでいち早く発泡性熱硬化性樹脂原液を発泡・硬化させる。金型1の中間部1aにおいていち早く発泡性熱硬化性樹脂原液を硬化させる方法については、第1の実施形態において示した各種方法を応用することができる。すなわち、金型1の上記中間部1aの金型温度を相対的に高くし、第1の開口4a及び第2の開口4b側に向かって金型温度を順次低くすればよい。あるいは、中間部1aにおいて、繊維状物5に付着している発泡性熱硬化性樹脂原液が他の領域の発泡性熱硬化性樹脂原液よりも硬化開始が早くなるように調整する方法などが挙げられる。 【0052】すなわち、樹脂の硬化時間を調整するために、例えば二液硬化型ポリウレタンを主成分とする発泡性熱硬化性樹脂原液を用いる場合、含まれている触媒量を、中間部において相対的に高濃度にする方法、あるいは二液を混合してから繊維状物に付着させるまでのセットタイムを中間部において長くする方法などが挙げられる。 【0053】第3の実施形態では、上記のように、中間部においてまず発泡性熱硬化性樹脂原液の発泡・硬化が起こり、中間部1aが非通気状態とされる。しかる後、上記中間部1aを起点として、図9に示すように、第1の開口4a及び第2の開口4b側に向かって発泡・硬化が進行する。このように発泡・硬化を進行させる方法については、上記のように、金型温度を、第1,第2の開口4a,4b側に向かって中間部から順に低くする方法、あるいは二液硬化型のポリウレタンを含む発泡性熱硬化性樹脂原液などを用いる場合には、上記セットタイムを、中間部ほど長く、開口4a,4b側に行くにつれて短くなるように調整する方法などが挙げられる。 【0054】上記のようにして、発泡性熱硬化性樹脂原液の発泡が、中間部1aから第1,第2の開口4a,4b側に向かって進行するため、すなわち樹脂の膨張は、中間部1aから第1の開口4a側、あるいは中間部1aから第2の開口4b側に向かって進行するため、空気は第1の開口4aあるいは第2の開口4b側に向かって速やかに逃がされ、第1の実施形態及び第2の実施形態の場合と同様に、ボイドの少ない成形体が得られる。 【0055】なお、第3の実施形態において用いられる繊維状物5及び発泡性熱硬化性樹脂原液については、第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態における説明を援用することにより省略する。 【0056】次に、第3の実施形態の具体的な実施例として実施例3を説明する。 【0057】(実施例3)実施例3では、実施例1と同じ繊維状物及び発泡性熱硬化性樹脂原液を用いた。金型についても、実施例1と同じものを用いた。実施例3においては、実施例1と同様に、ガラス含有率40体積%及び成形体比重0.74の成形体を得るべく、上記第3の実施形態にしたがって成形を行った。すなわち、金型の中間部1aにおいて温度を他の領域よりも高くし、第1,第2の開口4a,4bに向かうにつれて金型温度が低くなるようにして成形を行い、成形体を得た。 【0058】このようにして得られた成形体の曲げ強度は145MPaであった。したがって、前述した比較例で得たガラス含有率40体積%及び成形体比重0.6となるべく成形された成形体に比べて曲げ強度が高いことがわかる。 【0059】なお、第1〜第3の実施形態の製造方法を実現するための製造装置、すなわち繊維状物に発泡性熱硬化性樹脂原液を付着させる装置、繊維状物を金型に貫通させる装置、型締め装置などについては既存の装置をそのまま採用することができる。したがって、これらの装置については、説明を省略することとする。 【0060】もっとも、第1〜第3の実施形態の製造方法は、いずれも、金型の一部を非通気状態とした上で、非通気状態とした部分を起点として発泡性熱硬化性樹脂原液を順次発泡・硬化させるものであるため、バッチ式の製造装置において効果的である。 【0061】 【発明の効果】第1の発明に係る製造方法では、発泡性熱硬化性樹脂原液が付着された繊維状物が、金型に貫通された後、第1の開口付近において発泡性熱硬化性樹脂原液がまず硬化され、第一の開口付近が非通気状態とされる。しかる後、第2の開口に近いほど硬化開始が遅くなるように繊維状物に付着された発泡性熱硬化性樹脂原液が第1の開口側を起点として順次硬化されるので、空気が第2の開口側に速やかに逃がされ、ボイドの少ない繊維状物成形体を得ることができる。 【0062】同様に、第2の発明では、第1,第2の開口の中間部において発泡性熱硬化性樹脂原液が硬化され、該中間部付近が非通気状態とされ、該中間部を起点として第1,第2の開口側に行くほど硬化開始が遅くなるように発泡・硬化が進行する。したがって、空気が第1,第2の開口側に速やかに逃がされるため、ボイドの少ない繊維状物成形体を得ることができる。 【0063】第3の発明に係る製造方法では、発泡性熱硬化性樹脂原液が付着された繊維状物を金型に挿入し、型締めを行い圧締することにより、第1の開口側が非通気状態とされ、しかる後第1の発明と同様に第1の開口側を起点として第2の開口側の領域ほど硬化開始が遅くなるように発泡性熱硬化性樹脂原液が第1の開口側を起点として順次硬化される。したがって、空気が第2の開口側に速やかに逃がされ、ボイドの少ない繊維状物成形体を得ることができる。 【0064】本発明(第1〜第3の発明)の製造方法では、ボイドの少ない繊維状物成形体を確実に得ることができる。しかも、第1,第2の開口を有する金型を用いて上記繊維状物成形体が得られるため、長物や幅広物の繊維状物成形体であって、ボイドの少ない成形体を容易に提供することができ、繊維状物成形体の生産性を大幅に高めることが可能となる。 【0065】また、ボイドが少ないため、曲げ強度などの機械的強度に優れ、各種土木建築用材料や枕木等に適した繊維状物成形体を提供することができる。しかも、特別な設備を必要とせず、かつ繊維状物成形体の寸法や形状の変更に容易に対応することができるため、繊維状物成形体のコストを低減することが可能となると共に、製品の多様化にも容易に対応し得る。 【0066】上記繊維状物として、第1,第2の開口を結ぶ長さよりも長い長尺状繊維束が用いられ、発泡性熱硬化性樹脂としてウレタン系樹脂組成物を用いた場合には、バッチ方式により、長物や幅広物の成形を容易に行うことができると共に、ウレタン系樹脂組成物のセットタイムの調整により、第1〜第3の発明を容易に実施することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002174 【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年5月17日(2001.5.17) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−337243(P2002−337243A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月27日(2002.11.27) |
| 【出願番号】 |
特願2001−147931(P2001−147931) |
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