トップ :: B 処理操作 運輸 :: B29 プラスチツクの加工;可塑状態の物質の加工一般




【発明の名称】 樹脂部材の溶着方法
【発明者】 【氏名】秋澤 大樹

【氏名】中川 義明

【氏名】内山 裕一

【要約】 【課題】レーザ照射による樹脂部材同士あるいは樹脂部材と非樹脂部材との溶着状況を溶着時にリアルタイムに把握し管理することができ、後検査を不要とした溶着方法を提供する。

【解決手段】レーザ光透過性部材と、レーザ光吸収性樹脂部材とを重ね合わせ、レーザ光透過性部材を通して接合部にレーザ光を照射し、該接合部を溶融せしめて両部材を相互に溶着する際に、少なくとも両部材間の前記接合部となる部分のいずれか一方にリブを設け、このリブが潰れない程度の力で両部材を加圧してリブが挿入された両部材の高さを測定しておき、次にレーザ光をレーザ光透過性部材側からリブを透過してレーザ光吸収性樹脂部材に入射させ、前記接合部を溶融させてリブをレーザ光吸収性樹脂部材に溶け込ませ、このときのリブの高さの減少量から溶着状態を管理する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 レーザ光透過性部材と、レーザ光吸収性樹脂部材とを重ね合わせ、レーザ光透過性部材を通して接合部にレーザ光を照射し、該接合部を溶融せしめて両部材を相互に溶着する方法であって、少なくとも両部材間の前記接合部のいずれか一方にリブを設け、このリブが潰れない程度の力で両部材を加圧してリブが挿入された両部材の高さを測定しておき、次にレーザ光を、前記レーザ光透過性部材側からリブを透過してレーザ光吸収性樹脂部材に入射させ、前記接合部を溶融させてリブをレーザ光吸収性樹脂部材に溶け込ませ、このときの前記リブの高さの減少量から溶着状態を管理することを特徴とする樹脂部材の溶着方法。
【請求項2】 請求項1に記載の樹脂部材の溶着方法において、前記リブの幅は、レーザ光の集光パターンにほぼ合わせ、前記レーザ光吸収性樹脂部材に近づくほど狭くなるよう、角度を設けて形成されていることを特徴とする樹脂部材の溶着方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーザ光を利用して樹脂部材同士、或いは樹脂部材以外の部材を接合する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂のレーザ光照射による溶融を利用して樹脂部材同士の接着を行う方法が、特公平5−42336号公報、特開昭62−74630号公報、特開昭62−74631号公報等に提案されている。これらの方法はいずれも、レーザ光の透過率が高い樹脂部材とレーザ光の吸収率が高い樹脂部材とを重ね合わせ、この重ね合わせ(接合)部分にレーザ光を透過する樹脂部材の側から照射し、レーザ光を吸収する樹脂部材の一部を溶融せしめることで樹脂部材同士を接合するものである。また、特公平5−42336号公報では、樹脂部材を加熱する代わりに樹脂部材間に介在せしめた接着剤をレーザ光で加熱することで樹脂部材同士を接合する方法も提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の各先行技術には樹脂部材同士の接合状態を把握する手段についての開示がない。即ち、溶着による樹脂部材同士の接合状況が良好であるかどうかを検査する直接的な手段がないため、実際には一定の加圧力による接合保証をしている。したがって、例えばレーザ出力の低下や、焦点位置、加工位置のずれが生じた場合には接合不良を検出することができないため、後検査によって不良品を見つける必要があった。しかし後検査は、引っ張り試験や水槽内への浸漬による確認試験等、手間の掛かるものであり、これらの検査工程が製品のコストアップに繋がっている。
【0004】本発明の目的は、レーザ照射による樹脂部材同士あるいは樹脂部材と非樹脂部材との溶着状況を、溶着時にリアルタイムに把握し、管理することができるため、後検査を必要としない樹脂部材の溶着方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明の樹脂部材の溶着方法は、レーザ光透過性部材と、レーザ光吸収性樹脂部材とを重ね合わせ、レーザ光透過性部材を通して接合部にレーザ光を照射し、該接合部を溶融せしめて両部材を相互に溶着する方法であって、少なくとも両部材間の前記接合部となる部分のいずれか一方にリブを設け、このリブが潰れない程度の力で両部材を加圧してリブを挟む両部材の高さを測定しておき、次にレーザ光をレーザ光透過性部材側からリブを透過してレーザ光吸収性樹脂部材に照射し、前記接合部を溶融させてリブをレーザ光吸収性樹脂部材に溶け込ませ、このときの前記リブの高さの減少量から溶着状態を管理する。
【0006】尚、前記リブの幅は、レーザ光の集光パターンにほぼ合わせ、レーザ光吸収性樹脂部材に近づくほど狭くなるよう、角度を設けて形成されていることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明のリブ付き樹脂部材を使用して樹脂部材同士を溶着する方法の一例を示す断面図である。
【0008】レーザ光透過性樹脂部材1にはリブ2が設けられていて、レーザ光吸収性樹脂部材3がレーザ光透過性樹脂部材1とリブ2を介して重ね合わされている。レーザ光4は凸レンズ5によって集光され、レーザ光透過性樹脂部材1およびリブ2を順次透過してリブ2とレーザ光吸収性樹脂部材3とが接触する接合部6に照射されている。
【0009】レーザ光4の光源としては特に限定はないが、半導体レーザ、YAGレーザを光源とした遠近赤外領域、可視光領域等各種波長のものを使用することができる。また、レーザ光透過性樹脂部材1を構成する樹脂としては、使用するレーザ光4の波長領域におけるレーザ光吸収率が低いものほど好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂等から適宜選択することができる。さらに、上記各種樹脂中に、レーザ光を吸収しないか、または吸収しにくい、例えばガラス繊維、ナイロン繊維等の強化材を添加した繊維強化樹脂も好ましく使用することができる。
【0010】一方、レーザ光吸収性樹脂部材3としては、使用するレーザ光4の波長領域におけるレーザ光吸収率が高い官能基を有する樹脂を使用することもできるが、溶着時におけるレーザ光透過性樹脂部材1との接着性を考慮すると、できるだけ使用するレーザ光透過性樹脂部材1と同じ組成の樹脂あるいは組成が異なっていても相溶性の高い樹脂を採用することが好ましい。この観点から、レーザ光吸収性樹脂部材3としては、上述の各樹脂に、レーザ光4の波長領域におけるレーザ光吸収率が高い添加物、たとえばカーボンブラック他の各種着色顔料を配合したものを使用することが好ましい。
【0011】本発明の方法の特徴的構成であるリブ2は、奥行き方向(紙面垂直方向)に同じ高さで延長されている。図示例ではリブ2はレーザ光透過性樹脂部材1とともに一体成型されているため、レーザ光透過性樹脂部材1と同じ材料でできている。リブ2はレーザ光吸収性樹脂部材3と一体成形することもできる。
【0012】次に、図1に基づいて本発明の溶着方法を説明する。先ずレーザ光透過性樹脂部材1のリブ2を内側に向けて、レーザ光吸収性樹脂部材3と対峙させる。次に、レーザ光透過性樹脂部材1のリブ2部分と、レーザ光吸収性樹脂部材3の溶着させたい部位とを位置合わせし(ここが接合部となる)、両部材を固定する。
【0013】両部材の固定方法としては、ガラス板等のレーザ光透過性材料で両部材を挟む方法、レーザ光透過性の袋状樹脂シートに両部材を入れ、袋内を抜気して固定する方法等がある。
【0014】次に、上記固定方法によって固定した両部材をプレスにセットし、リブ2が潰れない程度に加圧してそのときの高さを測定しておく。即ち、このときの高さは両部材の高さとリブ2の高さとを合計したものである。
【0015】レーザ光4は凸レンズ5によって集光され、レーザ光透過性樹脂部材およびリブ2を順次透過してレーザ光吸収性樹脂部材3に入射される。レーザ光照射設備としては、例えばレーザヘッド(図示せず)を配置し、NC制御により3次元空間で自由に移動させることができることが好ましい。レーザ光4は、レーザヘッドの移動により、本図の手前側から奥行き方向に向かって順次レーザ光吸収性樹脂部材3の接合部6を溶融してゆく。
【0016】上記接合部6の溶融に伴い、リブ2は溶融したレーザ光吸収性樹脂部材3に溶け込むため、リブの高さは図2に示すように、当初測定しておいた高さよりも減少してゆく。リブ2の溶け込みに伴う高さの減少量と、溶着強度との相関係数を前もって求めておき、高さが所定の値になったときを溶着終了時とする。
【0017】また、一定時間経過後にリブの高さが減少しない場合には、位置ずれなどの不具合が考えられるので、接合不良のアラームを出す。この結果、後検査が不要になる。
【0018】本発明の方法によれば、リブ2に応力が集中するため、従来の平板同士の溶着に比較して、少ないレーザ出力で溶着を行うことができる利点もある。
【0019】図3は本発明のリブ付き樹脂部材を使用して樹脂部材同士を溶着する方法の他の例を示す断面図である。図3において、リブ2の幅は、レーザ光の集光パターンにほぼ合わせ、レーザ光吸収性樹脂部材3に近づくほど狭くなるよう角度(テーパー)を設けて形成されている。
【0020】リブ2をこのように形成すると、接合部6に到達するレーザ光4は、すべてリブ2を通過してくるため、レーザ光強度の減衰率が一定となる。この結果、接合部6を照射するレーザ光4の強度が均一となり、溶着強度がばらつくことがない。また、接合部6に到達するまでに吸収されるレーザエネルギーの計算が容易となるため、出力予想をたてることができるようになる。
【0021】本発明の方法は、レーザ光を透過する部材であれば樹脂部材同士でなくとも接合することができる。例えばレーザ光透過性部材としてガラス板を使用し、熱可塑性樹脂と溶着させることも可能である。
【0022】
【発明の効果】以上に説明したように本発明によれば、レーザ光を利用して2つの部材を接合する際に、両部材の間に熱可塑性樹脂からなるリブを挿入するため、このリブのレーザ光吸収性樹脂部材への溶け込み度合いによる両部材の高さの減少量から、容易に溶着状況を把握し、管理することができる。また、リブに応力が集中するため、従来の平板同士の溶着に比較して、少ないレーザ出力で溶着を行うことができる利点もある。
【0023】更に、リブの幅をレーザ光の集光パターンにほぼ合わせ、レーザ光吸収性樹脂部材に近づくほど狭くなるよう角度(テーパー)を設けて形成すれば、レーザ光強度の減衰率が一定となる。この結果、接合部を照射するレーザ光の強度が均一となり溶着強度がばらつくことがない。また、接合部に到達するまでに吸収されるレーザエネルギーの計算が容易となるため、出力予想をたてることも可能である。
【0024】本発明の方法によれば、樹脂部材同士、あるいは樹脂部材と非樹脂部材とをレーザ光で確実に溶着させることができるため、例えばインストルメントパネル等の自動車部品、電池ケース等の電気・電子部品の製造に有用である。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成13年5月14日(2001.5.14)
【代理人】 【識別番号】100085257
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 有 (外1名)
【公開番号】 特開2002−337236(P2002−337236A)
【公開日】 平成14年11月27日(2002.11.27)
【出願番号】 特願2001−142891(P2001−142891)