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【発明の名称】 シボ模様付きプラスチック成形体の製造方法及び当該製造方法に用いられる金型
【発明者】 【氏名】加藤 智久

【要約】 【課題】表面のシボ模様形成と全体の成形とを同時に行なわせるようにする。

【解決手段】表面側に熱可塑性プラスチック層を有するシート状の表皮材1を所定の温度に加熱する予熱工程と、予熱工程にて所定の温度に加熱された表皮材1を所定の形態に型成形するものであって所定のシボ模様型91及び真空引き手段92を有する雌型9等からなる金型内に、上記予熱された表皮材1をその表面側が雌型9側に来るように設置する表皮材セット工程と、表皮材1がセットされた状態において金型9、8を型締めする型締め工程と、雌型9側から真空引きを行ないながら上記表皮材1の裏面側に所定のプラスチック材を注入するインジェクション工程と、真空引き工程及びインジェクション工程の行なわれた後、上記両型8、9を型開きして所定の形態に形成されたシボ模様付き成形体を取出す型開き工程(E)と、からなるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部に発泡プラスチック材を有するものであってその表面側には熱可塑性プラスチック層を有するシート状の表皮材を所定の温度に加熱する予熱工程と、当該予熱工程にて所定の温度に加熱された表皮材を、所定の形態に成形するものであって雌型側には所定のシボ模様パターン及び真空引き手段を有する金型内に、上記予熱された表皮材のその表面側が上記雌型側に来るように設置するとともに、このような状態において上記金型を型締めする型締め工程と、このように型締めされた状態において、上記雌型側から真空引きを行ないながら上記表皮材の裏面側に所定のプラスチック材を注入するインジェクション工程と、からなるようにしたことを特徴とするシボ模様付きプラスチック成形体の製造方法。
【請求項2】 請求項1記載のシボ模様付きプラスチック成形体の製造方法において、当該製造方法に用いられる表皮材を、表面側にはオレフィン系エラストマーからなるシート材を有するようにするとともに、中間にはポリプロピレンフォーム材からなる発泡体を有するようにし、更に、裏面側にはポリプロピレン樹脂からなるシート材を有するようにしたことを特徴とするシボ模様付きプラスチック成形体の製造方法。
【請求項3】 請求項1記載のシボ模様付きプラスチック成形体の製造方法において、当該製造方法に用いられる表皮材を、表面側にはオレフィン系エラストマーからなるシート材を有するようにするとともに、中間にはポリウレタンフォーム材からなる発泡体を有するようにし、更に、裏面側には不織布を有するようにしたことを特徴とするシボ模様付きプラスチック成形体の製造方法。
【請求項4】 請求項1ないし請求項3記載のシボ模様付きプラスチック成形体の製造方法において、当該製造方法に用いられる金型のうちの雌型を、所定の鋳鋼にて形成するとともに、当該鋳鋼にて形成された雌型内面側に設けられるシボ模様パターンを所定のエッチング手段にて形成するようにしたことを特徴とするシボ模様付きプラスチック成形体の製造方法に用いられる金型。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シボ模様付きプラスチック成形体の製造方法及び当該製造方法に用いられる金型に関するものであり、特に、上記金型の一部にシボ模様を予め設けておき、このような金型を用いることによって上記シボ模様を本プラスチック成形体の成形と同時に形成させるようにした、表面にシボ模様を有するプラスチック成形体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の、表面にシボ模様を有するプラスチック成形体の製造方法は、表皮材の表面層に予めシボ模様を有するシート状部材を用意し、このような表皮材の裏面側に、例えばインジェクション成形手段等、所定の成形手段を用いて熱可塑性プラスチック材を設置し、これによって所定の形態からなるプラスチック成形体を形成させるようにしているものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の方法においては、表面にシボ模様を有する表皮材を予め用意しておき、このような表皮材を金型内に設置するとともに、その裏面側に所定のプラスチック材を注入すること等によってシボ模様付きのプラスチック成形体を形成(製造)するようにしているものであり、製造工程が大きく2工程に分かれる等、その全体の効率(生産性)が良くないと言う問題点を有する。このような問題点を解決するために、成形工程に用いられる金型に、その内側表面に予めシボ模様パターンの設けられたものを用意し、このような金型を用いることによって、表皮材の表面層へのシボ模様の形成とプラスチック成形体の成形とを、同時に、かつ、一緒に行なわせるようにしたシボ模様付きプラスチック成形体の製造方法を提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明においては、表面にシボ模様を有するプラスチック成形体の製造方法に関して、内部に発泡プラスチック材を有するものであってその表面側には熱可塑性プラスチック層を有するシート状の表皮材を所定の温度に加熱する予熱工程と、当該予熱工程にて所定の温度に加熱された表皮材を、所定の形態に型成形するものであって雌型側には所定のシボ模様パターン及び真空引き手段を有する金型内に、上記予熱された表皮材のその表面側が上記雌型側に来るように設置するとともに、このような状態において上記金型を型締めする型締め工程と、このように型締めされた状態において、上記雌型側から真空引きを行ないながら上記表皮材の裏面側に所定のプラスチック材を注入するインジェクション工程と、からなるようにした。
【0005】このような工程を採ることにより、本発明のものにおいては、表面に存在するシボ模様をプラスチック成形体の成形と同時に形成させることができるようになり、このようなプラスチック成形体の製造工程の効率化を図ることができるようになる。すなわち、プラスチック成形体の基礎を成すプラスチック材のインジェクション時(注入時)等に、雌型内面側に設けられたシボ模様パターンが、上記表皮材の表面側を形成する熱可塑性プラスチック材のところに転写されることとなり、シボ模様の形成工程が短縮化されることとなる。その結果、本シボ模様付きプラスチック成形体の製造工程全体が短縮化され、生産性の向上が図られることとなる。
【0006】次に、請求項2記載の発明について説明する。このものも、その基本的な点は上記請求項1記載のものと同じである。すなわち、本発明においては、請求項1記載のシボ模様付きプラスチック成形体の製造方法に関して、当該製造方法に用いられる表皮材を、表面側にはオレフィン系エラストマーからなるシート材を有するようにするとともに、中間にはポリプロピレンフォーム材からなる発泡体を有するようにし、更に、裏面側にはポリプロピレン樹脂からなるシート材を有するようにした。このような表皮材を用いることによって、本発明のものにおいては、表皮材の表面には、シボ模様が、上記インジェクション工程と同時に行なわれる真空引き工程において、効率良く形成されることとなる。従って、このような表面にシボ模様を有するプラスチック成形体が効率良く形成(製造)されることとなり、全体の生産性の向上が図られることとなる。
【0007】次に、請求項3記載の発明について説明する。このものも、その基本的な点は上記請求項1記載のものと同じである。すなわち、本発明においては、請求項1記載のシボ模様付きプラスチック成形体の製造方法に関して、当該製造方法に用いられる表皮材を、表面側にはオレフィン系エラストマーからなるシート材を有するようにするとともに、中間にはポリウレタンフォーム材からなる発泡体を有するようにし、更に、裏面側には不織布を有するようにした。このような表皮材を用いることによって、本発明のものにおいては、上記請求項1あるいは請求項2記載のものと同様、表皮材表面へのシボ模様の形成が効率良く行なわれるようになるとともに、本プラスチック成形体の基盤を成す注入プラスチック材と表皮材との結合(一体化)が、上記不織布を介することによって円滑に行なわれることとなる。その結果、本プラスチック成形体全体の製造効率の向上が図られることとなる。
【0008】次に、請求項4記載の発明について説明する。本発明の特徴とするところは、シボ模様付きプラスチック成形体の製造方法に用いられる金型に関する点である。すなわち、本発明においては、請求項1ないし請求項3記載のシボ模様付きプラスチック成形体の製造方法に関して、当該製造方法に用いられる金型のうちの雌型を、所定の鋳鋼にて形成するとともに、当該鋳鋼にて形成された雌型内面側に設けられるシボ模様パターンを所定のエッチング手段にて形成するようにした。このような金型を用いることによって、上記請求項1記載のものと同様、シボ模様の形成とプラスチック成形体の成形とを同時に行なわせることができるようになり、生産性の向上を図ることができるようになる。これに加えて、更に、本発明のものにおいては、シボ模様の形成に寄与する上記シボ模様型(パターン)が鋳鋼を基礎にエッチング手段にて形成されるようになっているので、プラスチック成形体の形態に一部変更点が生じたような場合、雌型の一部を削り取って、その部分に新たにエッチング手段を施すこと等によって、簡単に、設計変更等に対応することができるようになる。従って、設計変更、仕様変更等に機敏に対応することができるようになり、生産性の向上を図ることができるようになる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、図1ないし図4を基に説明する。本実施の形態に関するものは、シボ模様付きプラスチック成形体の製造方法に関するものであり、基本的には、図1に示す如く、次のような工程からなるものである。すなわち、内部に発泡プラスチック材を有するものであってその表面側には熱可塑性プラスチック層を有するシート状の表皮材1を所定の温度に加熱する予熱工程(A)と、当該予熱工程(A)にて所定の温度に加熱された表皮材1を所定の形態に型成形するものであって所定のシボ模様型(パターン)91及び真空引き手段92を有する雌型9並びにインジェクション用注入ポート81を有する雄型8からなる金型内(図4参照)に、上記予熱された表皮材1をその表面側が上記雌型9側に来るように設置する表皮材セット工程(B)と、このように表皮材1がセットされた状態において上記金型9、8を型締めする型締め工程(C)と、このように型締めされた状態において、上記雌型9側から真空引きを行ないながら上記表皮材1の裏面側に雄型8に設けられた注入ポート81を介して所定のプラスチック材を注入するインジェクション工程(D)と、上記真空引き工程及びインジェクション工程の行なわれた後、上記両型8、9を型開きして所定の形態に形成されたシボ模様付き成形体を取出す型開き工程(E)と、からなるものである。
【0010】このような工程を採るものにおいて、上記表皮材1は、本実施の形態においては、例えば、図2に示す如く、表面層11を形成する素材として、シボ模様の転写が比較的容易に行なわれるオレフィン系エラストマー(TPO)が用いられるようになっている。そして、中間層12には、発泡体を形成するものとしてポリプロピレンフォーム材(PPフォーム)が用いられ、更に、裏面層(裏面側)13には、インジェクション成形により注入される素材(プラスチック材)との接合性を考慮してポリプロピレン(PP)シート材が用いられるようになっている。当該表皮材1についての他の例としては、図3に示す如く、表面層11に、上記と同様、オレフィン系エラストマー(TPO)を用いるとともに、中間層12にはポリウレタンフォーム材を用い、更に、裏面層13には不織布を用いるようにしたもの等が挙げられる。いずれにしても、プラスチック成形体の基盤2を形成する素材として、原材料費の安いポリプロピレン(PP)が用いられることより、裏面側には上記基盤2との接合性(溶着性)を考慮したもの、例えばポリプロピレン(PP)あるいは不織布等が用いられることとなる。
【0011】次に、このような構成からなる表皮材1を用いたシボ模様付きプラスチック成形体の製造工程について、その具体例を以下に説明する。まず、上記表皮材1を、図1の予熱工程(A)にて、その表面温度が約170℃〜140℃の範囲内になるように加熱する。そして、このような表面温度を有するように加熱された表皮材1を、次の表皮材セット工程(B)において、雌型9と雄型8との間に、表皮材1の表面層11が雌型9側に来るように設置(セット)する。なお、このとき、上記各金型8、9は、その表面温度が約25℃〜50℃の値を有するように温められている。また、上記各金型のうち、雌型9の内側表面には、図4に示す如く、所定の形態からなるシボ模様パターン91がエッチング手段にて形成されるようになっている。また、雄型8側には、インジェクション成形加工時に所定の熱可塑性プラスチック材の注入が行なわれる注入口81が設けられるようになっている。
【0012】なお、本実施の形態において用いられる金型8、9のうち、特に雌型9は、その素材が鋳鋼を基礎に形成されるものであって、その内側表面に設けられるシボ模様パターン91は、所定のエッチング手段にて形成されるようになっているものである。これによって、本プラスチック成形体の形状等に一部変更が生じたような場合、金型8、9の所定の部分を削り取るか、あるいは、その部分に溶接肉盛を施すとともに、このようにして形成された表面部に新たにエッチング手段を施すことによって、上記一部変更に機敏に対応することができるようになる。一般に、このような金型における模様パターンは、電鋳手段にて形成されるようになっているものである。従って、一部の形状変更等に対しても金型全体を作成し直さなければならないと言う問題点がある。このような問題点に対して、本実施の形態のものにおいては、上記のような工法を採用することによって金型の部分改修にて対処することができるようになる。
【0013】このような状態の金型8、9を、次の型締め工程(C)において、型締めするとともに、これと同時に、上記雌型9側に設けられるものであって複数の真空引き用の開口穴からなる真空引き手段92を介して、上記表皮材1を雌型9側へ吸引する。また、これと同時に、上記雄型8の注入口81からは上記シボ模様を有する表皮材1の基盤2を形成する素材(熱可塑性プラスチック材)が上記表皮材1の裏面側のところに注入される。これによって、表皮材1と基盤2とが一体化される。また、これと同時に、真空引きによる吸引力と雄型8側から注入されるプラスチック材のインジェクション圧力とによって、上記表皮材1の表面に設けられた表面層11のところには雌型9の内側表面に設けられたシボ模様パターン92が転写されることとなる。このようにしてシボ模様を表面に有するプラスチック成形体が上記一連の工程にて形成されることとなる。また、このようにして形成されたプラスチック成形体は、次の型開き工程(E)において、両金型8、9から取出される。これによって、シボ模様付きプラスチック成形体の製造工程が完了することとなる。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、表面にシボ模様を有するプラスチック成形体の製造方法に関して、内部に発泡プラスチック材を有するものであってその表面側には熱可塑性プラスチック層を有するシート状の表皮材を所定の温度に加熱する予熱工程と、当該予熱工程にて所定の温度に加熱された表皮材を、所定の形態に型成形するものであって雌型側には所定のシボ模様パターン及び真空引き手段を有する金型内に、上記予熱された表皮材のその表面側が上記雌型側に来るように設置するとともに、このような状態において上記金型を型締めする型締め工程と、このように型締めされた状態において、上記雌型側から真空引きを行ないながら上記表皮材の裏面側に所定のプラスチック材を注入するインジェクション工程と、からなるようにしたので、表面層に設けられるシボ模様を、プラスチック成形体の成形と同時に形成させることができるようになり、このようなプラスチック成形体の製造工程の効率化を図ることができるようになった。すなわち、プラスチック成形体の基盤を成すプラスチック材のインジェクション時(注入時)等に、雌型内面側に設けられたシボ模様パターンが、上記表皮材の表面側を形成する熱可塑性プラスチック材のところに転写されることとなり、シボ模様の形成工程が短縮化されるようになった。その結果、本シボ模様付きプラスチック成形体の製造工程全体が短縮化され、生産性の向上が図られるようになった。
【0015】また、本発明においては、シボ模様付きプラスチック成形体の製造方法に関して、当該製造方法に用いられる金型のうちの雌型を、所定の鋳鋼にて形成するとともに、当該鋳鋼にて形成された雌型内面側に設けられるシボ模様パターンを所定のエッチング手段にて形成するようにしたので、プラスチック成形体の形態に一部変更点が生じたような場合、雌型の一部を削り取って、その部分に新たにエッチング手段を施すこと等によって、簡単に、設計変更等に対応することができるようになった。従って、設計変更、仕様変更等に機敏に対応することができるようになり、生産性の向上を図ることができるようになった。
【出願人】 【識別番号】000105925
【氏名又は名称】サカエ理研工業株式会社
【出願日】 平成13年4月16日(2001.4.16)
【代理人】 【識別番号】100097607
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 覚
【公開番号】 特開2002−307479(P2002−307479A)
【公開日】 平成14年10月23日(2002.10.23)
【出願番号】 特願2001−116404(P2001−116404)