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【発明の名称】 板状体用樹脂枠のブロー装置
【発明者】 【氏名】日下部 智之

【氏名】永野 誠

【要約】 【課題】板状体の縁へ樹脂を射出し、この樹脂をブロー法により中空状に成形したときに、従来はブロー用ガスのガス抜きに時間が掛り、生産効率が悪かった。

【解決手段】図(a)のST02で樹脂を射出し、ST03でブロー用ガスを注入した後、ST05でガス注入管を引抜いてブロー用ガスを排出する。図(b)は比較例であり、従来はST106でのガス排出は小径で且つ長い流路を通じてガス排出を行わざるを得ないためガス排出時間が掛ったが、(a)の実施例ではST06の型開き前にST05でガスを抜くため、ΔTimeだけ時間を短縮することに成功した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 板状体の縁を金型で挟み、この金型に設けてあるキャビティへ樹脂を射出し、この樹脂をブロー成形することで中空枠にするときに使用するブロー装置において、このブロー装置は、ブロー用ガスを樹脂へ注入するガス注入管と、このガス注入管を挿入するために前記金型に開けた管挿入孔と、この管挿入孔の途中から分岐し先端が大気に通じる排気通路と、前記ガス注入管をガス注入位置から前記排気通路を過ぎる位置まで引抜く管引抜き手段と、からなることを特徴とする板状体用樹脂枠のブロー装置。
【請求項2】 前記ガス注入管は弁機構を備え、この弁機構は、ガス注入管の先端の内周面に形成した弁座と、この弁座に摺接する弁体と、この弁体より小径で且つ弁体から延ばすと共にガス注入管に収納した弁棒と、この弁棒を介して前記弁体をガス注入管からキャビティへ進入せることで弁を開く作用をなす弁アクチュエータと、からなることを特徴とする請求項1記載の板状体用樹脂枠のブロー装置。
【請求項3】 前記弁アクチュエータは、ブロー用ガスの流れで浮上させるべく前記弁棒の端に設けたフローティング板と、このフローティング板を収納するとともにブロー用ガスの流路を兼ねるガス室とからなることを特徴とする請求項2記載の板状体用樹脂枠のブロー装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は板状体の縁を金型で挟み、この金型に設けてあるキャビティへ樹脂を射出し、この樹脂をブロー成形することで中空枠にするときに使用するブロー装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、特開平7−323727号公報「合成樹脂製枠を有するウインドウ」には、外周縁に中空構造の合成樹脂製枠を有するウインドウに係る発明が示されており、同公報段落番号[0027]第4行以降の説明{ただし( )は便宜上加入した。}「(図3,4の)コア型11に設けたゲート13a,13b,13cと同一で共通の位置から枠部2の連結部2b相当箇所の液状の合成樹脂の内部に(圧縮ガス)を注入する。その圧縮ガスは・・・略・・・空洞3を作りながら進入する。」及び段落番号[0029]第5行以降の説明「この圧縮ガスの圧力を加えたままの状態で合成樹脂を冷却硬化させ、その硬化後の圧縮ガスの供給を停止させて内部空洞3の圧力を大気圧に戻した後に型開きを行う」から、この発明では、ゲート13aなどで樹脂を射出し、次にゲート13aから圧縮ガスを吹込むことで空洞を形成し、同じゲート13aを用いてガス抜きを行うというものである。
【0003】また、上記公報段落番号[0035]の説明「そのゲート13a,13b,13cとは独立させて、図5で示すようにゲートとは別の位置からキャビティ空間12の内部に出没可能なガス注入パイプ14をコア型11に設けることができる。」から、この別発明では、ゲート13aなどで樹脂を射出し、次にピン14から圧縮ガスを吹込むことで空洞を形成し、同じピン14を用いてガス抜きを行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記公報記載の技術は、ゲート13a又はピン14から圧縮ガスを吹込み、同じゲート13a又はピン14でガス抜きを行う。小さな吹込み孔であっても数十kg/cm2の圧縮ガスであれば短時間で吹込みを完了させることができる。しかし、圧縮ガスを小さな孔を介して大気へ放出する場合は、時間の経過と共に内部空洞3の圧力の低下速度は小さくなる。型開きは空洞内の圧縮ガスが抜けて大気圧に安定したのちに行うことが望ましい。その前に型開きすると圧縮ガスの圧力のため枠部が膨らむ虞れがあり、又は圧縮ガスの抜けに伴なって枠部が歪む虞れがあるからである。
【0005】そこで、上記公報記載の技術では圧縮ガスが抜けるまで型開きを待たなければならないが、貫通孔が小径であるため、ガス抜きに要する時間が延び、生産時間が長くなり、そのために生産性が低下する。そこで、本発明の目的はガス抜きを促進することで生産性を高めることのできる技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1は、板状体の縁を金型で挟み、この金型に設けてあるキャビティへ樹脂を射出し、この樹脂をブロー成形することで中空枠にするときに使用するブロー装置において、このブロー装置は、ブロー用ガスを樹脂へ注入するガス注入管と、このガス注入管を挿入するために金型に開けた管挿入孔と、この管挿入孔の途中から分岐し先端が大気に通じる排気通路と、ガス注入管をガス注入位置から排気通路を過ぎる位置まで引抜く管引抜き手段と、からなることを特徴とする。
【0007】ガス注入位置に保持したガス注入管で樹脂へブロー用ガスを注入して、樹脂枠を中空状に成形する。次に、管引抜き手段にてガス注入管を一定距離引抜き、樹脂枠内を管挿入孔並びに排気通路を介して大気へ連通する。これで、ブロー用ガスを管挿入孔並びに排気通路を介して速かに排出することができる。この排気は金型の型開き前に実施することができる。このために、請求項1によれば、生産時間を短くすることができ、生産性の向上を図ることができる。
【0008】請求項2では、ガス注入管は弁機構を備え、この弁機構は、ガス注入管の先端の内周面に形成した弁座と、この弁座に摺接する弁体と、この弁体より小径で且つ弁体から延ばすと共にガス注入管に収納した弁棒と、この弁棒を介して弁体をガス注入管からキャビティへ進入せることで弁を開く作用をなす弁アクチュエータと、からなることを特徴とする。
【0009】ガス注入管に弁機構を備えることで、ガス注入管へ樹脂が侵入する不都合を回避する。これにより、ガス注入管が樹脂で閉塞する虞れが無くなり、安定した生産を継続させることができる。
【0010】請求項3では、弁アクチュエータは、ブロー用ガスの流れで浮上させるべく弁棒の端に設けたフローティング板と、このフローティング板を収納するとともにブロー用ガスの流路を兼ねるガス室とからなることを特徴とする。
【0011】ブロー用ガスを利用して弁を開けるので、エアシリンダなどを省略することができると共に、排気のための制御機構を省くことができ、ブロー装置のコストダウンを図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。図1は本発明に係る板状体用樹脂枠のブロー装置の原理図であり、板状体用樹脂枠のブロー装置10(以下「ブロー装置10」と略記する。)は、板状体11の縁12を下型13及び上型14からなる金型15で挟み、この金型15に設けてあるキャビティ16へ樹脂を射出し、この樹脂をブロー成形することで中空枠にするときに使用する装置であって、ブロー用ガス容器21と、この容器21からブロー用ガスを導くガス供給管22と、このガス供給管22に介設した開閉弁23と、ガス供給管22を繋ぐ流路24及び一定の大きさのガス室25を備えるシリンダ26と、このシリンダ26を塞ぐ蓋27から延ばしたガス注入管28と、このガス注入管28に内蔵した弁機構40と、この様なガス注入管28を案内兼挿入させるために下型13に圧入したスリーブ29と、このスリーブ29の途中から分岐し先端が大気に通じる排気通路31と、ガス注入管28をガス注入位置から排気通路を過ぎる位置まで引抜く管引抜き手段45と、からなることを特徴とする。
【0013】本発明では開閉弁23を開くことでブロー用ガス容器21内のブロー用ガスをシリンダ26側へ供給し、開閉弁23を閉じることでブロー用ガスの供給を停止する。
【0014】板状体11は、ガラス板、金属板、樹脂板などである。管引抜き手段45は、エアシリンダ、油圧シリンダ、電動シリンダ又は同等の駆動手段であればよい。また、図中、33はシリンダガイド、34はブラケット、35はOリングである。
【0015】図2は本発明のガス注入管に備えた弁機構の原理図であり、この弁機構40は、ガス注入管28の先端の内周面に形成した弁座41と、この弁座41に摺接する弁体42と、この弁体42より小径で且つ弁体42から延ばすと共にガス注入管に収納した弁棒43と、この弁棒を介して弁体42をガス注入管28からキャビティへ進入せることで弁を開く作用をなす弁アクチュエータと、からなる。
【0016】図3は図1の作用図兼弁アクチュエータの原理図であり、管引抜き手段45にてシリンダ26及びガス注入管28を後退(下降)させると、図1ではガス注入管28で塞がれていた排気通路31がオープンになる。すなわち、ガス注入管28の先端が排気通路31を過ぎて移動したことにより、キャビティ16とスリーブ29内と排気通路31とが連通し、キャビティ16が外へ繋がったことを示す。すなわち、図3はガス注入管28が排気通路31を過ぎる位置まで引抜いた状態を示す図であり、図1はガス注入管28がガス注入位置にあることを示す図である。
【0017】また、弁アクチュエータ50は、ブロー用ガスの流れで浮上させるべく弁棒43の端に設けたフローティング板51と、このフローティング板51を収納するとともにブロー用ガスの流路を兼ねるガス室25と、フローティング板51をガス室25の底へ付勢する押圧部材52とからなる。押圧部材52はコイルスプリングが好適である。
【0018】この実施例ではスリーブ29の内周面を管挿入孔36にした。しかし、スリーブ29を省略して下型13に開けた貫通孔を管挿入孔にしてもよい。ただし、管挿入孔は摩耗を考慮しなければならないので、交換可能なスリーブ29を使用することが望ましい。
【0019】以上の構成からなるブロー装置の作用を図4〜図6で説明する。図4は本発明に係るブロー装置の第1作用説明図であり、板状体11を金型15で挟み、板状体11の先端部分をキャビティ16に突出させ、且つキャビティ16へ弁閉状態にしたガス注入管28の先端を臨ませる。具体的には、管引抜き手段45にてシリンダ26及びガス注入管28を上限位置まで移動させればよい。この上限位置がガス注入位置になる。このときには、排気通路31はガス注入管28で塞がれている。次に、図示せぬ射出ノズル及び樹脂射出通路にてキャビティ16へ所定量の樹脂56を射出する。
【0020】図5は本発明に係るブロー装置の第2作用説明図であり、シリンダ26に矢印(1)のごとくブロー用ガスを供給する。すると、ブロー用ガスはフローティング板51を押上げてガス室25に充満する。フローティング板51が浮上したことにより、弁体42がガス注入管28から突出して軟らかい樹脂56に進入する。この結果、ガス室25のガスはガス注入管28の内周面と弁棒43との間の隙間を通って弁体42の脇から噴出し、樹脂56を中空状にする。
【0021】図6は本発明に係るブロー装置の第3作用説明図であり、樹脂56が一定の硬さに固まったら、管引抜き手段45にてシリンダ26及びガス注入管28を迅速に引抜く。すると、樹脂56内のブロー用ガスは矢印(2)の通りに、外へ逃げる。このガス排出は、下型13に上型14を型組みしたままで行うことができる。
【0022】次に、本発明の実施例と従来の比較例とを比較対照する。図7は本発明の工程図兼従来技術との比較図であり、(a)は実施例、(b)は従来の技術の項で述べた特開平7−323727号公報の工程を比較例として記載したものである。ST××及びST×××はステップ番号を示す。
【0023】(a)にて実施例を説明する。
ST01:型組みする。このときにはガス注入管はガス注入位置にある(図4参照)。
ST02:樹脂を射出する。
ST03:ブロー用ガスを注入する。
ST04:樹脂が一定の硬さになるまで保持する。
ST05:ガス注入管を引抜くことで、ガス排出を開始する。このガス排出は短時間で終了する。図6に示す通り、排出路は断面積が大きく且つ短いからである。
ST06:型を開く。
ST07:板状体を型から外す。
【0024】(b)にて比較例を説明する。
ST101:型組みする。
ST102:樹脂を射出する。
ST103:ガス注入管を樹脂に差込む。
ST104:ブロー用ガスを注入する。
ST105:樹脂が一定の硬さになるまで保持する。
ST106:ガス注入管を通じてガスを排出する。従って比較例では、小径で且つ長い流路を通じてガス排出を行わざるを得ず、ガス排出時間は長くなる。
ST107:型を開く。
ST108:板状体を外す。
【0025】(a),(b)間で顕著な差は、ST06の開始時とST107の開始時との間における時間差ΔTimeであり、このΔTimeは5〜10秒程度になる。1サイクルタイムが50秒であれば、(a)は(b)よりも10〜20%の生産量アップを見込むことができる。1サイクルタイムが短くなれば生産量の差はより顕著になる。
【0026】尚、請求項1では、ガス注入管は弁機構を必ずしも備えなくてもよい。弁機構の有無に関係なく、ブロー用ガスの排気時間の短縮を図ることができるからである。ただし、ブロー前にガス注入管へ樹脂が侵入することを防止できることから、弁機構をガス注入管に備えることは好ましいことである。
【0027】また、請求項2では、弁体を開閉する弁アクチュエータの形式は任意であり、ブロー用ガスとは独立したエアシリンダや電動シリンダなど周知の駆動手段を採用することができる。
【0028】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮する。請求項1は、金型に排気通路を設けるとともにガス注入管をガス注入位置から排気通路を過ぎる位置まで引抜く管引抜き手段を備えたので、管引抜き手段にてガス注入管を一定距離引抜き、樹脂枠内を管挿入孔並びに排気通路を介して大気へ連通することができ、ブロー用ガスを管挿入孔並びに排気通路を介して速かに排気することができる。この排気は金型の型開き前に実施することができる。このために、請求項1によれば、生産時間を短くすることができ、生産性の向上を図ることができる。
【0029】請求項2では、ガス注入管に弁機構を備えることで、ガス注入管へ樹脂が侵入する不都合を回避する。これにより、ガス注入管が樹脂で閉塞する虞れが無くなり、安定した生産を継続させることができる。
【0030】請求項3では、ブロー用ガスを利用して弁体を開閉させる構造の弁アクチュエータを採用した。この結果、エアシリンダなどを省略することができると共に、排気のための制御機構を省くことができ、ブロー装置のコストダウンを図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000004008
【氏名又は名称】日本板硝子株式会社
【出願日】 平成13年3月23日(2001.3.23)
【代理人】 【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎 (外1名)
【公開番号】 特開2002−283383(P2002−283383A)
【公開日】 平成14年10月3日(2002.10.3)
【出願番号】 特願2001−86332(P2001−86332)