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【発明の名称】 発泡成形方法及び発泡成形機
【発明者】 【氏名】小林 義弘

【氏名】阿部 誠

【要約】 【課題】建物の壁パネルなどの大型の発泡成形品の離型を簡単な構成もとに問題なく行なえるようにする。

【解決手段】型閉め状態で内部に成形用のキャビティが形成される固定型1及び移動型2を用い、その金型のキャビティ内に発泡性の合成樹脂粒子を供給し充填した状態で、各型の蒸気室10,20からキャビティ内にスリットを通じて蒸気を供給して発泡樹脂粒子を発泡融着させ、冷却後に成形品を取り出す発泡成形において、移動型2の蒸気室20を真空状態に維持して成形品S1を移動型2に吸着した状態で型開きを行って成形品S1を固定型1から離型する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 型閉め状態で内部に成形用のキャビティが形成される固定型及び移動型を用い、その金型のキャビティ内に発泡性の合成樹脂粒子を供給し充填した状態で、各型の蒸気室からキャビティ内にスリットを通じて蒸気を供給して発泡樹脂粒子を発泡融着させ、冷却後に型開きを行って成形品を取り出す発泡成形方法において、移動型の蒸気室を真空状態に維持して成形品を移動型に吸着した状態で型開きを行って、成形品を固定型から離型することを特徴とする発泡成形方法。
【請求項2】 請求項1記載の発泡性成形方法において、固定型の一部を交換することにより、全体形状が略同一で開口部がある成形品と、開口部が無い成形品のいずれか一方の成形品を選択的に生産することが可能であり、開口部のある成形品を成形する場合には、移動型の成形面のうち、成形品の開口部に対応する部分に接着性・耐熱性を有するシートを貼着して、この部分に存在するスリットを塞ぐことを特徴する発泡成形方法。
【請求項3】 型閉め状態で内部に成形用のキャビティが形成される固定型及び移動型を備え、その金型のキャビティ内に発泡性の合成樹脂粒子を供給し充填した状態で、各型の蒸気室からキャビティ内にスリットを通じて蒸気を供給して発泡樹脂粒子を発泡融着させ、冷却後に型開きを行って成形品を取り出す構造の発泡成形機において、移動型の蒸気室を真空状態に維持して成形品を移動型に吸着した状態で型開きを行って成形品を固定型から離型するように構成されているとともに、型閉め状態のときに移動型の蒸気室を真空排気系に接続する接続手段を備え、その接続手段は、型開き工程において、型開き開始時からの移動型の移動量が固定型に対して所定距離に達するまでの間は、移動型の蒸気室との接続を保持して蒸気室の真空状態を維持するように構成されていることを特徴とする発泡成形機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば建物の壁パネルなどの大型の発泡成形品の生産に適した発泡成形方法及び発泡成形機に関する。
【0002】
【従来の技術】発泡性成形品の成形は、一般に、型閉め状態で内部に成形用のキャビティが形成される金型を用い、その金型のキャビティ内に、ポリスチレンビーズ等の予備発泡樹脂粒子(発泡ビーズ)を充填し、この状態で充填ビーズを蒸気加熱により発泡(膨張)融着させることによって行われる。
【0003】発泡成形機に用いられる金型としては、横型及び竪型の2つのタイプがある。そのうち横型の金型は、固定型と、固定型に対して型閉め・型開き自在に設けられた可動型とを備え、型閉め状態で固定型と可動型との間に成形用のキャビティが形成される構造のものが使用されている。また、発泡成形品にアンダーカット部がある場合や、発泡成形品が大型で金型から抜けにくい場合には、金型を更に分割したもの、例えば、金型を固定型と移動型及び上型の3つのパーツに分割した分割金型が使用されている。
【0004】発泡成形機においては、一般に、発泡樹脂の成形後に型開きを行った際に、成形品が固定型(凹型)側に残るようになっており、その固定型側に残った成形品を、固定型側に設けたエジェクタピンの突き出しによって固定型から離型するように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えば建物の壁パネルなどの大型の発泡成形品の生産する場合、固定型側に設置するエジェクタピンの本数がどうしても多くなってしまう。また、成形品の重量が大きいこと、及び固定型の成形面と成形品との接触面積が大きい(離型抵抗大)ことから、成形品の離型時に大きな力が必要となる。このため、エジェクタピンの駆動機構(エアシリンダや油圧シリンダ)の駆動力を大きく必要があり、装置が大掛かりになる。しかも、成形品を大きな突き出し力で離型すると、エジェクタピンの接触部分が破損(例えば陥没)するおそれがある。
【0006】本発明はそのような実情に鑑みてなされたもので、建物の壁パネルなどの大型の発泡成形品の離型を、成形品に損傷を与えることなく簡単に行うことが可能な発泡成形方法と、そのような方法を実現した発泡成形機の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の発泡成形方法は、型閉め状態で内部に成形用のキャビティが形成される固定型及び移動型を用い、その金型のキャビティ内に発泡性の合成樹脂粒子を供給し充填した状態で、各型の蒸気室からキャビティ内にスリットを通じて蒸気を供給して発泡樹脂粒子を発泡融着させ、冷却後に型開きを行って成形品を取り出す発泡成形方法において、移動型の蒸気室を真空状態(例えば5333〜6666Pa(400〜500mmHg)程度)に維持して成形品を移動型に吸着した状態で型開きを行って、成形品を固定型から離型することによって特徴づけられる。
【0008】本発明の発泡成形方法によれば、移動型に成形品を吸着して成形品を固定型から離型するので、成形品離型用のエジェクタピンを設ける必要がない。しかも、移動型を移動する力を利用して成形品を固定型から離型するので、成形品が大型で離型抵抗が大きくても、成形品を容易に離型することができる。また、離型用のアクチュエータを別途設ける必要もない。
【0009】本発明の発泡成形方法において、固定型の一部を交換することにより、全体形状が略同一で開口部がある成形品と、開口部が無い成形品のいずれか一方の成形品を選択的に生産するという方式を採用することもできる。
【0010】このような生産方式において、開口部のある成形品を成形する場合、移動型の成形面のうち、成形品の開口部に対応する部分は、発泡成形・冷却後の成形品には接触しなくなる部分となるので(図13参照)、その部分に存在するスリット群によって、移動型の蒸気室とキャビティ側とが相互に連通してしまい、前記したような成形品の真空吸着による離型が不可能となる。
【0011】具体的に説明すると、図13(A)に示すように、発泡成形・冷却後の型閉め状態では、成形品の開口部に対応する部分つまり成形品の非接触部Fは、閉鎖空間内に存在しているので、移動型2の蒸気室20の真空排気を行うことで、蒸気室20内を真空状態に維持することができるが、図13(B)に示すように型開きを行うと、外気(エア)が非接触部Fに存在するスリット2aを通じて蒸気室20内にリークするので、真空排気を行っても蒸気室20内を真空状態に維持することができなくなる。
【0012】このような点を解消する方法として、例えば、成形品の非接触部Fに合わせた形状の封止プレート(金属製)を用い、この封止プレートを非接触部Fにパッキンを挟み込んだ状態で固定するという方法が考えられる。しかし、この方法では、封止プレートを非接触部Fに合わせた状態で、封止プレートを移動型にボルト等にて固定する必要があり、スリットを閉鎖するのに多くの作業時間を要する。また、金属製の封止プレートの取り扱いも煩雑である。
【0013】そこで、本発明では、移動型の成形面のうち、成形品の開口部に対応する部分(非接触部)に接着性・耐熱性を有するシートを貼着して、この部分に存在するスリットを塞ぐという方法を採用することで、作業の簡単化及び作業時間の短縮をはかっている。
【0014】スリットの封止に用いる、接着性・耐熱性を有するシートとしては、例えば、一般に用いられている、粘着剤付きアルミニウムテープ、あるいはテフロンテープ(商品名「ニトフロン粘着テープ」、日東電工株式会社製)を挙げることができる。
【0015】なお、テフロン(登録商標)テープを用いてスリットを封止した状態で、実際に発泡性成形を行った結果、真空維持の確実性及びテープの耐久性等に問題なく成形を行うことができ、実用可能であることが確認できた。
【0016】本発明の発泡成形機は、型閉め状態で内部に成形用のキャビティが形成される固定型及び移動型を備え、その金型のキャビティ内に発泡性の合成樹脂粒子を供給し充填した状態で、各型の蒸気室からキャビティ内にスリットを通じて蒸気を供給して発泡樹脂粒子を発泡融着させ、冷却後に型開きを行って成形品を取り出す構造の発泡成形機において、移動型の蒸気室を真空状態に維持して成形品を移動型に吸着した状態で型開きを行って成形品を固定型から離型するように構成されているとともに、型閉め状態のときに移動型の蒸気室を真空排気系に接続する接続手段(例えばドッキングフランジ)を備え、その接続手段が、型開き工程において、型開き開始時からの移動型の移動量が固定型に対して所定距離に達するまでの間は、移動型の蒸気室との接続を保持して蒸気室の真空状態を維持するように構成されていることによって特徴づけられる。
【0017】この発明の発泡成形機の作用を述べる。
【0018】まず、建物の壁パネルなどの大型の発泡成形品を成形する場合、移動型の蒸気室の容量が非常に大きくなるので、真空排気系の配管を大口径(例えばφ100mm)とする必要がある。ここで、発泡成形機において、移動型への配管系は可撓性ホースを介して接続するという方式が一般に採られているが、この接続方式の場合、接続配管径が大口径になると、可撓性ホースの引回しが困難となる。また、可撓性ホースの設置に広いスペースが必要となり、装置全体が大掛かりとなる。
【0019】これに対し、本発明の発泡成形機では、型閉め状態のときに移動型の蒸気室を真空排気系に接続する接続手段を設けいるので、移動型に真空配管を常時接続する必要がなくなり、真空配管が大口径となっても問題なく移動型に接続することができる。
【0020】ここで、型閉め状態のときに移動型を真空排気系に単に接続するだけの構造では、型開き時に移動型が固定型から離れた時点で移動型と真空排気系との接続状態が解除されると、蒸気室の真空状態が維持されず成形品を移動型に吸着することができなくなる。これを回避するため、本発明では、接続手段の構造を、移動型が固定型に対して所定距離に達するまでの間は、蒸気室との接続を保持することが可能な構造として、型開き直後においても移動型の蒸気室の真空状態を維持できるようにしている。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】図1は本発明を実施した発泡成形機の概略構成を示す側面図である。図2及び図3はその発泡成形機の型閉め状態を模式的に示す図である。図3は配管系統図である。
【0023】図1の発泡成形機は、大型の壁パネルを成形する成形機であって、固定型1、固定型1の側方に対向配置された移動型2、及びこれら固定型1及び移動型2の上方に配置された上型3を備えている。
【0024】固定型1は保持フレーム4に固定されている。
【0025】移動型2は台車5上に搭載されている。台車5は車輪5aを備えており、固定型1に対して垂直方向(型閉め・型開き方向)に延びるレール6に沿って移動可能となっている。台車5には、車輪5aに回転力を与えるモータ(図示せず)が設けられており、そのモータの正転・逆転により台車5が固定型1に対して接近・離反する向きに移動し、この台車5の移動により、移動型2が型閉めの位置(図2、図3に示す位置)と退避位置(図1に示す位置)との間を移動する。
【0026】上型3は、昇降機構7によって支持されており、その昇降機構7の駆動により鉛直方向に上下動し、型閉めの位置(図2、図3に示す位置)と退避位置(図1に示す位置)との間を移動する。
【0027】以上の移動型2及び上型3の型閉めを行うことにより、これら移動型2、上型3と固定型1との間に成形用のキャビティCが形成される(図2、図3)。
【0028】固定型1の上部には凹部1cが設けられており、この凹部1cに、図2に示す形状の開口形成用コア1aを装着して成形を行うことにより、図5に示す形状つまり開口部S1aを有する成形品(壁パネル)S1を生産することができる。また、そのような開口形成用コア1aに替えて、図3に示す形状の面形成用コア1bを凹部1cに装着して成形を行うことにより、図6に示す形状つまり開口部の無い成形品(壁パネル)S2を生産することができる。
【0029】図2、図3に示すように、固定型1、移動型2及び上型3にはそれぞれ蒸気室10,20,30が設けられている。また、固定型1、移動型2及び上型3にはキャビティCに面する壁体にスリット(コアベント)10a,20a,30aが設けられている。固定型1にはキャビティC内に原料(ビーズ)を充填するためのフィーダ(図示せず)設けられている。
【0030】図4に示すように、固定型1の蒸気室10には、蒸気配管11、冷却水配管12及びドレン配管13が接続されている。これらの各配管11、12、13にはそれぞれ蒸気弁V11、冷却水弁V12、ドレン弁V13が接続されている。
【0031】移動型2の蒸気室20には、蒸気配管21、冷却水配管22及びドレン配管23が接続されている。蒸気配管21及び冷却水配管22にはそれぞれ蒸気弁V21及び冷却水弁V22が接続されている。
【0032】上型3の蒸気室30には、蒸気配管31、冷却水配管32及びドレン配管33が接続されている。これらの各配管31、32、33にはそれぞれ蒸気弁V31、冷却水弁V32、ドレン弁V33が接続されている。
【0033】固定型1、移動型2及び上型3の各蒸気配管11,21,31は蒸気供給ライン101に接続されており、各冷却水配管12,22,32は冷却水供給ライン102に接続されている。
【0034】固定型1及び上型3のドレン配管13,33は、排水ライン103に接続されており、また真空弁V14,V34を介して真空排気ライン104に接続されている。
【0035】移動型2のドレン配管23は、図1に示すように移動型2の下部に配置されており、その先端に当てフランジ24が設けられている。当てフランジ24は移動型2を型閉めしたときに、固定型1側に配置されたドッキングフランジ8に連結される。
【0036】ドッキングフランジ8は固定型1の下部に配置されている(図1参照)。ドッキングフランジ8は、連結管105及びドレン弁V23(移動型用)を介して排水ライン103に接続されており、また、連結管105及び真空弁V24(移動型用)を介して真空排気ライン104に接続されている。
【0037】なお、図4には図示していないが、各型の蒸気室10,20,30にはそれぞれエア配管及びエア弁が接続されており、後述する水抜き工程などにおいて各蒸気室10,20,30にエアを供給することができる。また、各型の蒸気室10,20,30を大気圧に戻す工程においてエアを蒸気室10,20,30に供給することができる。
【0038】ドッキングフランジ8は、図7及び図8に示すように、一端に接続フランジ82が固着された接続短管81と、この接続短管81に嵌め込まれ、管軸方向にスライド自在な可動フランジ83を備えている。可動フランジ83にはボス部84が一体形成されており、このボス部84の先端面84aが、移動型2側の当てフランジ24の受け面となっている。
【0039】可動フランジ83は、ストッパピン85にて接続短管81からの抜けが防止されており、そのストッパピン85の頭部85aに可動フランジ83が当たった状態で、ボス部84の先端面84aが接続短管81の端面81aよりも所定距離(押し代:例えば7mm)だけ突出するようになっている。なお、ストッパピン85は、可動フランジ83のガイドとしても機能し、これらストッパピン85の存在により可動フランジ83が接続短管81の軸方向にスムーズにスライド移動する。
【0040】各ストッパピン85には圧縮コイルばね86が設けられている。圧縮コイルばね86は、接続フランジ82と可動フランジ83との間に圧縮された状態で装着されており、その圧縮コイルばね86の弾性力により、可動フランジ83がストッパピン85の頭部85aに押圧されている。
【0041】ボス部84の先端面84aには、当てフランジ24を連結したときの気密性を確保するためのOリング87が装着されている。また、接続短管81と可動フランジ83(ボス部84)との間にも気密性を確保するためのOリング88が配置されている。
【0042】以上のドッキングフランジ8と移動型2側の当てフランジ24との位置関係は、固定型1に移動型2を型閉めした状態で、当てフランジ24が可動フランジ84のボス部84を、圧縮コイルばね86の弾性力に抗して、前記した押し代(7mm)に相当する距離だけ移動(接続フランジ82側への移動)させるような位置関係となっており、その押圧状態つまり図8に示す状態から、移動型2側の当てフランジ24が後退すると、圧縮コイルばね86の弾性力によって可動フランジ83が接続フランジ82とは離反する向きに移動する。そして、当てフランジ24が更に後退すると、可動フランジ83がストッパピン85の頭部85aに当たって移動が規制され、次いで当てフランジ24がボス部84の先端面84aから離れた時点で、ドッキングフランジ8と当てフランジ24との連結が解除される。
【0043】次に、図5に示す成形品S1(開口部有り)の成形手順を説明する。
【0044】まず、成形の前工程として、図2に示すように固定型1の凹部1cに開口形成用コア1aを装着する。また、移動型2の成形面のうち、成形品S1の開口部S1aに対応する部分(非接触部F)に耐熱テープ(例えばテフロンテープ)9を貼り付けて、その部分に存在するスリット20aを塞いでおく(図9参照)。
【0045】以上のセッティングが完了した後、成形品S1の成形を以下の手順で行なう。
【0046】(1)図2に示すように移動型2及び上型3の型閉めを行なう。この型閉め状態で移動型2側の当てフランジ24がドッキングフランジ8に連結される。型閉めが完了した後、各型の蒸気弁V11,V21,V31を開き、各型の蒸気室10,20,30に蒸気を供給して予熱を行なう。
【0047】(2)フィーダ(図示せず)によりポリスチレンビーズ等の原料(予備発泡ビーズ)をキャビティC内に充填する。
【0048】(3)各型の蒸気弁V11,V21,V31を開閉を制御して、一方加熱→逆一方加熱→両面加熱等の加熱を行なって、キャビティC内の原料を発泡融着させることにより成形品S1を成形する。なお、一方加熱、逆一方加熱、両面加熱は発泡成形において一般に採用されている加熱方法である。
【0049】(4)各型の蒸気弁V11,V21,V31を閉じた状態で、各型の冷却水弁V12,V22,V32及びドレン弁V13,V23,V33を開いて各蒸気室10,20,30に冷却水を供給し、キャビティC内の成形品S1を冷却する。冷却完了後、各蒸気室10,20,30の水抜きを行う。
【0050】(5)各型の真空弁V14,V24,V34を開いて各蒸気室10,20,30を真空排気することにより、成形品S1に含まれる水分を除去するとともに、キャビティC内の成形品S1を真空冷却した後、成形品S1の離型を行なう。
【0051】成形品S1の離型工程を図9及び図10を参照しながら説明する。
【0052】図9(A)は前記した真空冷却が完了した状態を示しており、この状態で、固定型1及び上型3の真空弁V14,V34(図4)を閉じる。移動型2の真空弁V24は開いたままの状態を保持し、移動型2の蒸気室20を真空状態に維持する。次に、型開きを開始する直前もしくは同時に、固定型1及び上型3の各蒸気室10,30にエアを導入して、各蒸気室10,30を大気圧に戻す。この処理により、図9(B)に示すように、成形品S1が真空状態に維持されている移動型2に吸着される。
【0053】図10(A)に示すように上型3の型開きを行ない、次いで移動型2の型開きを開始する。
【0054】この移動型2の型開き過程において、図10(B)に示すように、移動型2の固定型1に対する移動量が、ドッキングフランジ8の押し代(7mm)に達するまでは移動型2の蒸気室20の真空排気が継続される。また、成形品S1の開口部S1aに対応する部分に存在するスリット20a(図2参照)は耐熱テープ9にて塞がれているので、移動型2の蒸気室20に外部からエアが流入することはない。従って、移動型2側の当てフランジ24がドッキングフランジ8から完全に離れるまでは、蒸気室20の真空状態が維持されるので、成形品S1が移動型2に吸着されたままの状態が維持され、移動型2の移動に伴って成形品S1が固定型1から離型する。なお、この図9(B)の離型工程において、固定型1に対する成形品S1の移動量は7mm(ドッキングフランジ8の押し代)程度であるが、これだけの移動でも、離型抵抗を大幅に低減することができる。
【0055】そして、移動型2が更に移動して移動型2側の当てフランジ24がドッキングフランジ8から完全に離れた時点で、移動型2の蒸気室20が大気圧となるが、この時点では、固定型1による離型抵抗が小さくなっているので、図10(C)に示すように、成形品S1は移動型2に引っついたままの状態で移動する。なお、移動型2側の当てフランジ24がドッキングフランジ8から離れた時点で、移動型2の蒸気弁を閉じる。
【0056】移動型2の型開きが完了した後、成形品S1をバキュームパッド(図示せず)にて吸着するとともに、移動型2の蒸気室20にエアを供給し、スリット20aからエアをキャビティC内に吹き出して成形品S1を移動型2から離型する。
【0057】次に、図6に示す成形品S2(開口部無し)を生産する場合、開口形成用コア1aに替えて、図3に示す形状の面形成用コア1bを凹部1cに装着した後、前記した工程(1)〜(5)と同じ手順にて成形品S2を成形する。なお、この成形品S2の生産を行なう前に、図5に示す成形品S1の成形が実施されている場合には、移動型2の成形面に貼り付けてある耐熱テープ9を、コア交換時に取り外しておく。
【0058】また、図6の成形品S2の成形において、前記した工程(5)の真空冷却が完了した後に行なう離型工程は、図11(A),(B)及び図12(A)〜(C)に示すように、図5の成形品S1の離型工程と同じであるので、その詳細な説明は省略する。
【0059】なお、以上の実施形態では、固定型、移動型及び上型からなる3分割の成形金型を用いた発泡成形機を例にとって説明したが、本発明はこれに限られず、固定型及び移動型からなる2分割の成形金型、あるいは4分割以上の成形金型を用いた発泡成形機にも適用できる。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、移動型の蒸気室を真空状態に維持して成形品を移動型に吸着した状態で型開きを行って成形品を固定型から離型するので、建物の壁パネルなどの大型の成形品を簡単に離型することができる。また、エジェクタピンを使用しない離型方式であるので、成形品が大型であっても成形品が損傷することがない。
【出願人】 【識別番号】000147888
【氏名又は名称】株式会社積水工機製作所
【出願日】 平成13年3月27日(2001.3.27)
【代理人】 【識別番号】100103975
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 拓也
【公開番号】 特開2002−283379(P2002−283379A)
【公開日】 平成14年10月3日(2002.10.3)
【出願番号】 特願2001−90717(P2001−90717)