| 【発明の名称】 |
セルロースエステルフィルムの製造方法および製造装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】清水 和之
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| 【要約】 |
【課題】故障原因となっているフリーロールを迅速に見出すことを可能にする。
【解決手段】セルロースエステルのドープを支持体1上に流延することにより形成されたウェブWを支持体1から剥離する剥離プロセス、剥離されたウェブWを乾燥させる乾燥プロセスおよびウェブWを乾燥させることにより得られたフィルムFを巻き取る巻取プロセスを含む。各プロセスにおいてウェブWを複数のフリーロール32、41、51に順次掛けて搬送する。各プロセスに用いられるフリーロール32、41、51のロール径を、各プロセス毎に異なったものとしておく。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 セルロースエステルのドープを支持体上に流延することにより形成されたウェブを支持体から剥離する剥離プロセス、剥離されたウェブを乾燥させる乾燥プロセスおよびウェブを乾燥させることにより得られたフィルムを巻き取る巻取プロセスの少なくとも3つのプロセスを含んでおり、かつ前記各プロセスにおいてウェブを複数のフリーロールに順次掛けて搬送するようになされた溶液流延製膜法によりセルロースエステルフィルムを製造する方法であって、前記各プロセスに用いられるフリーロールのロール径を、前記各プロセス毎に異なったものとしておくことを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。 【請求項2】 フリーロールのロール径を、上流側プロセスから下流側プロセスに向かって各プロセス毎に徐々に増加させておく請求項1記載のセルロールエステルフィルムの製造方法。 【請求項3】 各プロセス内のフリーロールのロール径を、上流側から下流側に向かって徐々に増加させておく請求項1または2記載のセルロールエステルフィルムの製造方法。 【請求項4】 フリーロールのロール径を、上流側プロセスから下流側プロセスに向かって各プロセス毎に徐々に減少させておく請求項1記載のセルロールエステルフィルムの製造方法。 【請求項5】 各プロセス内のフリーロールのロール径を、上流側から下流側に向かって徐々に減少させておく請求項1または4記載のセルロールエステルフィルムの製造方法。 【請求項6】 セルロースエステルのドープを支持体上に流延することにより形成されたウェブを支持体から剥離するウェブ剥離装置、剥離されたウェブを乾燥させるウェブ乾燥装置およびウェブを乾燥させることにより得られたフィルムを巻き取るフィルム巻取装置の少なくとも3つの装置を含むとともに、前記各装置がウェブを順次掛けて搬送する複数のフリーロールを備えており、かつ溶液流延製膜法によりセルロースエステルフィルムを製造する装置であって、前記各装置に備えられているフリーロールのロール径が、前記各装置毎に異なっていることを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造装置。 【請求項7】 フリーロールのロール径が、上流側装置から下流側装置に向かって各装置毎に徐々に増加している請求項6記載のセルロールエステルフィルムの製造装置。 【請求項8】 各装置内のフリーロールのロール径が、上流側から下流側に向かって徐々に増加している請求項6または7記載のセルロールエステルフィルムの製造装置。 【請求項9】 フリーロールのロール径が、上流側装置から下流側装置に向かって各装置毎に徐々に減少している請求項6記載のセルロールエステルフィルムの製造装置。 【請求項10】 各装置内のフリーロールのロール径が、上流側から下流側に向かって徐々に減少している請求項6または9記載のセルロールエステルフィルムの製造装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、たとえばセルローストリアセテートやセルロースアセテートプロピオネートなどからなる膜厚20〜200μmのセルロースエステルフィルムを製造する方法および装置に関する。 【0002】この明細書において、流延されたドープが支持体上で乾燥され、支持体から剥がしうるドープ膜の状態なって以後、最終的に乾燥されてフィルムになるまでの間のものを「ウェブ」と称するものとする。 【0003】 【従来の技術】昨今、カーナビゲーションシステム、液晶テレビ、携帯電話、パーソナルコンピュータなどの普及から液晶表示装置の需要が増大している。 【0004】液晶表示装置の基本構成は液晶セルの両側に偏光板が設けられたものであり、偏光板は偏光子と、偏光子の両面に積層された保護フィルムとよりなる。そして、このような偏光板の保護フィルムとして、膜厚20〜200μmのセルロースエステルフィルムが広く用いられている。 【0005】このようなセルロースエステルフィルムは、一般に溶液流延製膜法により製造されている。溶液流延製膜法は、セルロースエステルのドープ(溶液)を支持体上に流延することにより形成されたウェブを支持体から剥離する剥離プロセス、剥離されたウェブを乾燥させる乾燥プロセスおよびウェブを乾燥させることにより得られたフィルムを巻き取る巻取プロセスの少なくとも3つのプロセスを含んでおり、前記各プロセスにおいてウェブを複数のフリーロールに順次掛けて搬送するようになっている。従来、上述した溶液流延製膜法を実施するのに用いられる全てのフリーロールのロール径は等しくなっている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところで、溶液流延製膜法においては、数多くのフリーロールが用いられているため、製造されたフィルムに、フリーロールに起因する故障が発生することがある。たとえば、フリーロールの外周面に異物が付着していた場合には押されが、またフリーロールが回転不良を起こした場合には比較的短い、たとえば5mm以下の擦り傷が、それぞれフリーロールの1回転毎に周期的に発生する。発生した故障のフィルム長さ方向の間隔(周期)は、フリーロールの外周長、すなわちロール径に対応している。 【0007】しかしながら、従来の場合、全てのフリーロールのロール径が等しいので、発生した故障のフィルム長さ方向の間隔も等しくなり、どのプロセスにおいて故障が発生しているかを判断することは不可能である。したがって、故障原因となっているフリーロールを探索することは至難の業である。 【0008】この発明の目的は、上記問題を解決し、故障原因となっているフリーロールを迅速に見出すことができるセルロールエステルフィルムの製造方法および製造装置を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための装置】請求項1の発明によるセルロールエステルフィルムの製造方法は、セルロースエステルのドープを支持体上に流延することにより形成されたウェブを支持体から剥離する剥離プロセス、剥離されたウェブを乾燥させる乾燥プロセスおよびウェブを乾燥させることにより得られたフィルムを巻き取る巻取プロセスの少なくとも3つのプロセスを含んでおり、かつ前記各プロセスにおいてウェブを複数のフリーロールに順次掛けて搬送するようになされた溶液流延製膜法によりセルロースエステルフィルムを製造する方法であって、前記各プロセスに用いられるフリーロールのロール径を、前記各プロセス毎に異なったものとしておくことを特徴とするものである。 【0010】上記において、支持体としては、金属製エンドレスベルトや、金属製回転ドラムが用いられる。また、全てのフリーロールのロール径は60〜400mm、好ましくは70〜350mmの範囲内とし、ウェブに作用する張力は60〜250N/m、好ましくは80〜200N/mの範囲内とするのがよい。この方法により製造されるのは、たとえばセルローストリアセテートやセルロースアセテートプロピオネートなどからなり、かつたとえば偏光板の保護フィルムなどの光学フィルムとして用いられる膜厚20〜200μmのセルロースエステルフィルムである。 【0011】請求項1の発明によれば、剥離プロセスで用いるフリーロールのロール径と、乾燥プロセスで用いるフリーロールのロール径と、巻取プロセスで用いるフリーロールのロール径とが異なっているので、フリーロールに起因して製造されたフィルムに発生する故障の周期が、各プロセス毎に異なったものになる。 【0012】請求項2の発明によるセルロールエステルフィルムの製造方法は、請求項1の発明において、フリーロールのロール径を、上流側プロセスから下流側プロセスに向かって各プロセス毎に徐々に増加させておくものである。ここでは、各プロセス内のフリーロールのロール径が等しい場合と、異なっている場合とが含まれる。 【0013】請求項2の発明によれば、搬送方向の上流側から下流側にかけてウェブが搬送方向に伸びる場合に、フィルムに発生する故障の周期も小から大に徐々に変化して、各プロセスで発生した故障の周期が明確になる。 【0014】請求項3の発明によるセルロールエステルフィルムの製造方法は、請求項1または2の発明において、各プロセス内のフリーロールのロール径を、上流側から下流側に向かって徐々に増加させておくものである。ここでは、フリーロールのロール径について、各プロセス毎には規則性を持たせず、各プロセス内のフリーロールのロール径を、上流側から下流側に向かって徐々に増加させておく場合と、フリーロールのロール径を、上流側プロセスから下流側プロセスに向かって各プロセス毎に徐々に増加させた上で、さらに各プロセス内のフリーロールのロール径を、上流側から下流側に向かって徐々に増加させておく場合とがある。 【0015】プロセス長が長い場合には、フリーロールのメカニカルロスにより、プロセスの初期においてウェブに作用する張力が、プロセスの終期においてウェブに作用する張力よりも小さくなるので、プロセス初期のフリーロールに対してウェブが滑り易くなる。これは、乾燥プロセスのように、高温で張力が元々小さい場合に顕著になる。フリーロールに対するウェブの滑りが発生すると、得られたフィルムに擦り傷が発生する。請求項3の発明のように、各プロセス内のフリーロールのロール径を、上流側から下流側に向かって徐々に増加させておくと、各プロセスにおいてウェブからフリーロールに作用する面圧が、終期から初期にかけて徐々に大きくなり、その結果上述した滑りが発生しにくくなり、滑りに起因する擦り傷の発生を防止することができる。 【0016】また、請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同様に、搬送方向の上流側から下流側にかけてウェブが搬送方向に伸びる場合に、フィルムに発生する故障の周期も小から大に徐々に変化して、各プロセスで発生した故障の周期が明確になる。 【0017】請求項4の発明によるセルロールエステルフィルムの製造方法は、請求項1の発明において、フリーロールのロール径を、上流側プロセスから下流側プロセスに向かって各プロセス毎に徐々に減少させておくものである。ここでは、各プロセス内のフリーロールのロール径が等しい場合と、異なっている場合とが含まれる。 【0018】請求項4の発明によれば、搬送方向の上流側から下流側にかけてウェブが搬送方向に縮む場合に、フィルムに発生する故障の周期も大から小に徐々に変化して、各プロセスで発生した故障の周期が明確になる。 【0019】請求項5の発明によるセルロールエステルフィルムの製造方法は、請求項1または4の発明において、各プロセス内のフリーロールのロール径を、上流側から下流側に向かって徐々に減少させておくものである。ここでは、フリーロールのロール径について、各プロセス毎には規則性を持たせず、各プロセス内のフリーロールのロール径を、上流側から下流側に向かって徐々に減少させておく場合と、フリーロールのロール径を、上流側プロセスから下流側プロセスに向かって各プロセス毎に徐々に減少させた上で、さらに各プロセス内のフリーロールのロール径を、上流側から下流側に向かって徐々に減少させておく場合とがある。 【0020】請求項5の発明によれば、請求項4の発明と同様に、搬送方向の上流側から下流側にかけてウェブが搬送方向に縮む場合に、フィルムに発生する故障の周期も大から小に徐々に変化して、各プロセスで発生した故障の周期が明確になる。 【0021】請求項6の発明によるセルロールエステルフィルムの製造装置は、セルロースエステルのドープを支持体上に流延することにより形成されたウェブを支持体から剥離するウェブ剥離装置、剥離されたウェブを乾燥させるウェブ乾燥装置およびウェブを乾燥させることにより得られたフィルムを巻き取るフィルム巻取装置の少なくとも3つの装置を含むとともに、前記各装置がウェブを順次掛けて搬送する複数のフリーロールを備えており、かつ溶液流延製膜法によりセルロースエステルフィルムを製造する装置であって、前記各装置に備えられているフリーロールのロール径が、前記各装置毎に異なっていることを特徴とするものである。 【0022】請求項6の発明によれば、ウェブ剥離装置に備えられたフリーロールのロール径と、ウェブ乾燥装置に備えられたフリーロールのロール径と、フィルム巻取装置に備えられたフリーロールのロール径とが異なっているので、フリーロールに起因して製造されたフィルムに発生する故障の周期が、各装置で実施されるプロセス毎に異なったものになる。 【0023】請求項7の発明によるセルロールエステルフィルムの製造装置は、請求項6の発明において、フリーロールのロール径が、上流側装置から下流側装置に向かって各装置毎に徐々に増加しているものである。 【0024】請求項7の発明によれば、上述した請求項2の発明と同様な作用効果を奏する。 【0025】請求項8の発明によるセルロールエステルフィルムの製造装置は、請求項6または7の発明において、各装置内のフリーロールのロール径が、上流側から下流側に向かって徐々に増加しているものである。 【0026】請求項8の発明によれば、上述した請求項3の発明と同様な作用効果を奏する。 【0027】請求項9の発明によるセルロールエステルフィルムの製造装置は、請求項6の発明において、フリーロールのロール径が、上流側装置から下流側装置に向かって各装置毎に徐々に減少しているものである。ここでは、各装置内のフリーロールのロール径が等しい場合と、異なっている場合とが含まれる。 【0028】請求項9の発明によれば、上述した請求項4の発明と同様な作用効果を奏する。 【0029】請求項10の発明によるセルロールエステルフィルムの製造装置は、請求項6または9の発明において、各装置内のフリーロールのロール径が、上流側から下流側に向かって徐々に減少しているものである。ここでは、フリーロールのロール径について、各装置毎には規則性を持たせず、各装置内のフリーロールのロール径が、上流側から下流側に向かって徐々に減少している場合と、フリーロールのロール径を、上流側装置から下流側装置に向かって各装置毎に徐々に減少させた上で、さらに各装置内のフリーロールのロール径が、上流側から下流側に向かって徐々に減少している場合とがある。 【0030】請求項10の発明によれば、上述した請求項5の発明と同様な作用効果を奏する。 【0031】 【発明の実施形態】以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、全図面を通じて同一物および同一部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。 【0032】図1はこの発明の方法を実施する装置の第1実施形態を示す。 【0033】図1において、セルロールエステルフィルムの製造装置は、金属製エンドレスベルトからなる支持体(1)と、セルロースエステルのドープを支持体(1)上に流延するドープ流延ダイ(2)と、支持体(1)上に形成されたウェブ(W)を支持体(1)から剥離するウェブ剥離装置(3)と、支持体(1)から剥がされたウェブ(W)を乾燥させるウェブ乾燥装置(4)と、ウェブ(W)を乾燥させることにより得られたフィルムを巻き取るフィルム巻取装置(5)とよりなる。 【0034】ウェブ剥離装置(3)は、ハウジング(30)内に設けられた1つの剥離ロール(31)および複数の搬送用フリーロール(32)を備えている。ハウジング(30)には乾燥風吹き込み口(33)および同排出口(34)が設けられている。複数のフリーロール(32)は千鳥配置状に設けられており、全てのフリーロール(32)のロール径は互いに等しくなっている。そして、支持体(1)の剥離側端部から剥離ロール(31)により剥離されたウェブ(W)は、ハウジング(30)内を全てのフリーロール(32)に掛けられて搬送され、その搬送中に乾燥風吹き込み口(33)から吹き込まれる乾燥風により乾燥させられた後、ウェブ乾燥装置(4)に送られる。 【0035】ウェブ乾燥装置(4)は、ハウジング(40)内に千鳥配置状に設けられた複数の搬送用フリーロール(41)を備えている。ハウジング(40)には乾燥風吹き込み口(42)および同排出口(43)が設けられている。全てのフリーロール(41)のロール径は互いに等しくなっているとともに、ウェブ剥離装置(3)のフリーロール(32)のロール径よりも大径となっている。そして、ウェブ剥離装置(3)から送られてきたウェブ(W)は、ハウジング(40)内を全てのフリーロール(41)に掛けられて搬送され、その搬送中に、乾燥風吹き込み口(42)から吹き込まれる乾燥風により乾燥させられてフィルム(F)とされた後、フィルム巻取装置(5)に送られる。 【0036】フィルム巻取装置(5)は、ハウジング(50)内に設けられた複数の搬送用フリーロール(51)および1つの巻取ロール(52)を備えている。全てのフリーロール(51)のロール径は互いに等しくなっているとともに、ウェブ乾燥装置(4)のフリーロール(41)のロール径よりも大径となっている。巻取ロール(52)は、フリーロール(51)群よりも下流側に配されている。そして、ウェブ乾燥装置(4)から送られてきたフィルム(F)は、ハウジング(50)内を全てのフリーロール(51)に掛けられて搬送され、巻取ロール(52)に巻き取られる。 【0037】上述した3つの装置(3)(4)(5)のフリーロール(32)(41)(51)のロール径は60〜400mm、好ましくは70〜350mmの範囲内とするのがよい。また、ウェブ(W)に作用する張力は60〜250N/m、好ましくは80〜200N/mの範囲内とするのがよい。 【0038】なお、図1においては、ウェブ(W)およびフィルム(F)を搬送するドライブロールの図示は省略されている。 【0039】上記構成の製造装置を用いてのセルロールエステルフィルムの製造方法は次の通りである。 【0040】まず、セルロースエステルのドープを流延ダイ(2)から支持体(1)上に流延し、これにより支持体(1)上にウェブ(W)を形成する。ついで、支持体(1)上に形成されたウェブ(W)を、ウェブ剥離装置(3)の剥離ロール(31)により支持体(1)から剥離し、剥離したウェブ(W)を複数のフリーロール(32)に掛けてハウジング(30)内を搬送し(剥離プロセス)、この搬送中に、乾燥風吹き込み口(33)から吹き込まれる乾燥風により乾燥させた後、ウェブ乾燥装置(4)のハウジング(40)内に送る。ついで、ウェブ(W)を複数のフリーロール(41)に掛けてハウジング(40)内を搬送し、この搬送中に、乾燥風吹き込み口(42)から吹き込まれる乾燥風により乾燥させてセルロースエステルフィルム(F)を得た後(乾燥プロセス)、このフィルム(F)をフィルム巻取装置(5)のハウジング(50)内に送る。最後に、フィルム巻取装置(5)のハウジング(50)内において、複数のフリーロール(51)に掛けて搬送した後、巻取ロール(52)の巻き取る(巻取プロセス)。こうして、セルロースエステルフィルム(F)が製造される。 【0041】ウェブ剥離装置(3)、ウェブ乾燥装置(4)およびフィルム巻取装置(5)のいずれかのフリーロール(32)(41)(51)に起因して、製造されたフィルム(F)に押されや5mm以下の長さの擦り傷などの故障が発生した場合、発生した故障の周期は、フリーロール(32)(41)(51)の外周長、すなわちロール径に対応しているので、この故障の周期を計測することにより、どの装置のフリーロールが故障の原因になっているかを迅速に知ることができる。したがって、故障の原因となったフリーロールの補修や交換を迅速に行うことができ、生産性の低下を防止することが可能になる。 【0042】図2はこの発明の方法を実施する装置の第2実施形態を示す。 【0043】この実施形態の場合、ウェブ剥離装置(3)とフィルム巻取装置(5)との間に、3つのウェブ乾燥装置(6)(7)(4)が設けられている。最下流側の第3のウェブ乾燥装置(4)は、第1実施形態のウェブ乾燥装置(4)と実質的に同一の構成である。上流側の第1および第2の2つのウェブ乾燥装置(6)(7)は、1つのハウジング(8)内を仕切り壁(9)により仕切ることにより形成された2つの区画(60)(70)内に、それぞれ複数の搬送用フリーロール(61)(71)が設けられたものである。ハウジング(8)における両区画(60)(70)と対応する部分には、それぞれ乾燥風吹き込み口(62)(72)および同排出口(63)(73)が設けられている。 【0044】第1のウェブ乾燥装置(6)の全てのフリーロール(61)のロール径は互いに等しくなっているとともに、ウェブ剥離装置(3)のフリーロール(32)のロール径よりも大径となっている。第2のウェブ乾燥装置(7)の全てのフリーロール(71)のロール径は互いに等しくなっているとともに、第1のウェブ乾燥装置(6)のフリーロール(61)のロール径よりも大径となっている。第3のウェブ乾燥装置(4)の全てのフリーロール(41)のロール径は互いに等しくなっているとともに、第2のウェブ乾燥装置(7)のフリーロール(71)のロール径よりも大径でかつフィルム巻取装置(5)のフリーロール(51)のロール径よりも小径となっている。 【0045】なお、図2においても、ウェブ(W)を搬送するドライブロールの図示は省略されている。 【0046】上記構成の製造装置を用いてのセルロールエステルフィルムの製造方法は、第1実施形態の製造装置の場合と同様であり、ウェブ(W)の乾燥を3つのウェブ乾燥装置(6)(7)(4)を用いて行う点だけが異なっている。そして、第1実施形態の場合と同様にして、全ての装置のうちどの装置のフリーロールが故障の原因になっているかを迅速に知ることができる。 【0047】なお、上記第1および第2実施形態において、ウェブ剥離装置(3)、ウェブ乾燥装置(4)(6)(7)およびフィルム巻取装置(5)において、各装置(3)(4)(6)(7)(5)のフリーロール(32)(41)(61)(71)(51)のロール径を、上流側から下流側に向かって徐々に増加させておいてもよい。この場合も隣接する2つの装置のうち下流側の装置の全てのフリーロールのロール径は、上流側の装置の全てのフリーロールのロール径よりも大径となる。 【0048】図3はこの発明の方法を実施する装置の第3実施形態を示す。 【0049】図3において、支持体(1)の下流側に、ウェブ剥離装置(3A)、支持体(1)から剥離されたウェブ(W)の寸法規制を行うテンターからなる寸法規制装置(10)、寸法規制の行われたウェブ(W)を乾燥させるウェブ乾燥装置(4A)およびウェブ(W)を乾燥させることにより得られたフィルム(F)を巻き取るフィルム巻取装置(5)が設けられている。 【0050】支持体(1)であるエンドレスベルトの上下の搬送経路の搬送面側およびこれとは反対側には、それぞれウェブ(W)を上下から加熱乾燥するための加熱装置(11)(12)が配置されている。 【0051】ウェブ剥離装置(3A)は、剥離ロール(31)および複数のフリーロール(32A)(32B)を備えている点においては、上記第1実施形態のウェブ剥離装置(3)と同様であるが、これらのフリーロール(32A)(32B)のうち上流側の複数のフリーロール(32A)のロール径と、下流側の残りのフリーロール(32B)のロール径とが異なっている。下流側の複数個のフリーロール(32B)のロール径は、上流側の複数個のフリーロール(32A)のロール径よりも小径となっている。なお、上流側の複数個のフリーロール(32A)のロール径は互いに等しく、下流側の複数個のフリーロール(32B)のロール径も互いに等しくなっている。 【0052】ウェブ乾燥装置(4A)は、複数のフリーロール(41A)(41B)を備えている点においては、上記第1実施形態のウェブ乾燥装置(4)と同様であるが、これらのフリーロール(41A)(41B)のうち上流側の複数のフリーロール(41A)のロール径と、下流側の残りのフリーロール(41B)のロール径とが異なっている。下流側の複数個のフリーロール(41B)のロール径は、上流側の複数個のフリーロール(41A)のロール径よりも小径となっている。また、上流側の複数個のフリーロール(41A)のロール径は、ウェブ剥離装置(3A)の下流側の複数個のフリーロール(32B)のロール径よりも小さくなっている。なお、上流側の複数個のフリーロール(41A)のロール径は互いに等しく、下流側の複数個のフリーロール(41B)のロール径も互いに等しくなっている。 【0053】フィルム巻取装置(5)のフリーロール(51)のロール径は、ウェブ乾燥装置(4A)の下流側の複数個のフリーロール(41B)のロール径よりも小さくなっている。なお、全てのフリーロール(51)のロール径は互いに等しくなっている。 【0054】なお、図3においても、ウェブ(W)を搬送するドライブロールの図示は省略されている。 【0055】上記構成の製造装置を用いてのセルロールエステルフィルムの製造方法は、第1実施形態の製造装置の場合と同様であり、ウェブ(W)を支持体(1)から剥離した後、乾燥する前に寸法規制装置(10)により、ウェブ(W)の長さ方向および幅方向の寸法規制を行う点だけが異なっている。そして、第1実施形態の場合と同様にして、ウェブ剥離装置(3A)、ウェブ乾燥装置(4A)およびフィルム巻取装置(5)のうちどの装置のフリーロールが故障の原因になっているかを迅速に知ることができる。 【0056】なお、上記第3実施形態において、ウェブ剥離装置(3A)およびウェブ乾燥装置(4A)において、フリーロールのロール径を、上流側から下流側に向かって徐々に減少させておいてもよい。この場合、ウェブ乾燥装置(4A)の全てのフリーロールのロール径は、ウェブ剥離装置(3A)の全てのフリーロールのロール径よりも小径となる。 【0057】図4はこの発明の方法を実施する装置の第4実施形態を示す。 【0058】図4において、支持体(1)の下流側に、ウェブ剥離装置(3)、寸法規制装置(10)、3つのウェブ乾燥装置(4C)(80)(4D)およびフィルム巻取装置(5)が設けられている。 【0059】ウェブ剥離装置(3)、中間部のウェブ乾燥装置(80)を除いた2つのウェブ乾燥装置(4C)(AD)およびフィルム巻取装置(5)と、上記第1実施形態のウェブ剥離装置(3)、ウェブ乾燥装置(4)およびフィルム巻取装置(5)とは実質的に同一の構成である。 【0060】中間部のウェブ乾燥装置(80)は、ハウジング(81)内に複数の搬送用フリーロール(82)と、複数の熱矯正用ドライブロール(83)とが設けられたものである。そして、ウェブ乾燥装置(4C)から送られてきたウェブ(W)は、ハウジング(81)内を搬送されつつ、熱矯正用ドライブロール(83)によりウェブ(W)の搬送方向および幅方向の微小な凹凸が除去されて平面性が矯正されるとともに乾燥させられ、ウェブ乾燥装置(4D)に送られる。全ての熱矯正用ドライブロール(83)は、それぞれがモータおよび減速機構により直接駆動されるようになっていてもよいし、あるいは少なくとも1つの熱矯正用ドライブロール(83)がモータおよび減速機構により直接駆動されるようになっているとともに、残りの熱矯正用ドライブロール(83)が、たとえばベルト伝動装置のような適当な伝動装置を介して上記モータおよび減速機構により駆動されるようになっていてもよい。 【0061】最上流側のウェブ乾燥装置(4C)の全てのフリーロール(41C)のロール径は互いに等しくなっているとともに、ウェブ剥離装置(3)のフリーロール(32)のロール径よりも大径となっている。中間部のウェブ乾燥装置(80)のフリーロール(82)のロール径は互いに等しくなっているとともに、最上流側のウェブ乾燥装置(4C)のフリーロール(41C)のロール径よりも大径となっている。最下流側のウェブ乾燥装置(4D)の全てのフリーロール(41D)のロール径は互いに等しくなっているとともに、中間のウェブ乾燥装置(80)のフリーロール(82)のロール径よりも大径でかつフィルム巻取装置(5)のフリーロール(51)のロール径よりも小径となっている。 【0062】なお、図4においても、ウェブ(W)を搬送するドライブロールの図示は省略されている。 【0063】上記構成の製造装置を用いてのセルロースエステルフィルムの製造方法は、第3実施形態の場合とほぼ同様であり、寸法規制装置(10)により支持体(1)から剥離したウェブ(W)の長さ方向および幅方向の寸法規制を行った後、ウェブ(W)の乾燥を3つのウェブ乾燥装置(4)(80)(4)を用いて行う点、および中間部のウェブ乾燥装置(80)において、ウェブ(W)の平面性の矯正を行う点が異なっている。 【0064】そして、第1実施形態の場合と同様にして、ウェブ剥離装置(3)、ウェブ乾燥装置(4C)(80)(4D)およびフィルム巻取装置(5)のうちどの装置のフリーロールが故障の原因になっているかを迅速に知ることができる。 【0065】なお、上記第4実施形態において、ウェブ剥離装置(3)およびウェブ乾燥装置(4C)(80)(4D)において、フリーロール(32)(41C)(82)(41D)のロール径を、上流側から下流側に向かって徐々に増加させておいてもよい。この場合、最上流側のウェブ乾燥装置(4C)の全てのフリーロール(41C)のロール径は、ウェブ剥離装置(3)の全てのフリーロール(32)のロール径よりも大径となり、中間部のウェブ乾燥装置(80)のフリーロール(82)のロール径は最上流側のウェブ乾燥装置(4C)のフリーロール(41C)のロール径よりも大径となり、最下流側のウェブ乾燥装置(4D)の全てのフリーロール(41D)のロール径は上流側のウェブ乾燥装置(4C)のフリーロール(41C)のロール径よりも大径でかつフィルム巻取装置(5)のフリーロール(51)のロール径よりも小径となる。 【0066】上述した第2〜第4実施形態の装置において、ウェブ剥離装置、ウェブ乾燥装置およびフィルム巻取装置のフリーロールのロール径は60〜400mm、好ましくは70〜350mmの範囲内とするのがよい。また、ウェブ(W)に作用する張力は60〜250N/m、好ましくは80〜200N/mの範囲内とするのがよい。 【0067】以下、第1〜第3実施形態の装置を用いて行った具体的実施例を比較例とともに説明する。 【0068】実施例1この実施例は図1に示す装置を用いて行ったものである。 【0069】ウェブ剥離装置(3)、ウェブ乾燥装置(4)およびフィルム巻取装置(5)のフリーロール(32)(41)(51)のロール径を、それぞれ75mm、85mmおよび95mmとしておいた。また、ウェブ剥離装置(3)、ウェブ乾燥装置(4)およびフィルム巻取装置(5)においてウェブ(W)に作用する張力を、それぞれ90N/m、100N/mおよび120N/mとしておいた。 【0070】そして、セルローストリアセテート100重量部、メチレンクロライド350重量部、エタノール12重量部およびトリフェニルホスフェート12重量部よりなる組成物からドープを調整し、このドープを使用して、ウェブ剥離プロセス、ウェブ乾燥プロセスおよびフィルム巻取プロセスよりなる溶液流延製膜法により、膜厚80μmのフィルム(F)を20m/分の速度で連続して製造した。ついで、製造されたフィルム(F)を約1mの長さに切り取り、これを机上に置いてハロゲンランプにより光を照射し、その反射状況を見ることにより故障発生状況を調べた。 【0071】各フリーロール(32)(41)(51)の条件を表1に示す。 【0072】 【表1】
【0073】その結果、製造されたフィルム(F)には233〜234mmの周期で押されが発生していた。このことからウェブ剥離装置(3)において押されが発生していることが判明した。また、押され発覚後約2分で、ウェブ剥離装置(3)において付着物が発生しているフリーロールを発見することができた。 【0074】実施例2この実施例は図2に示す装置を用いて行ったものである。 【0075】ウェブ剥離装置(3)、第1のウェブ乾燥装置(6)、第2のウェブ乾燥装置(7)、第3のウェブ乾燥装置(4)およびフィルム巻取装置(5)のフリーロール(32)(61)(71)のロール径を、それぞれ75mm、80mm、85mm、90mmおよび95mmとしておいた。また、ウェブ剥離装置(3)、第1のウェブ乾燥装置(6)、第2のウェブ乾燥装置(7)、第3のウェブ乾燥装置(4)およびフィルム巻取装置(5)においてウェブ(W)に作用する張力を、それぞれ90N/m、90N/m、100N/m、100N/mおよび120N/mとしておいた。 【0076】そして、上記実施例1と同じドープを使用して、ウェブ剥離プロセス、第1ウェブ乾燥プロセス、第2ウェブ乾燥プロセス。第3ウェブ乾燥プロセスおよびフィルム巻取プロセスよりなる溶液流延製膜法により、膜厚80μmのフィルム(F)を20m/分の速度で連続して製造した。ついで、上記実施例1と同じ方法により、製造されたフィルム(F)の故障発生状況を調べた。 【0077】各フリーロール(32)(61)(71)(41)(51)の条件を表2に示す。 【0078】 【表2】
【0079】その結果、製造されたフィルム(F)には249mmの周期で長さ5mm以下の擦り傷が発生していた。このことから第1のウェブ乾燥装置(6)において擦り傷れが発生していることが判明した。また、押され発覚後約2分で、第1のウェブ乾燥装置(6)において回転不良のフリーロールを発見することができた。 【0080】実施例3この実施例は図3に示す装置を用いて行ったものである。 【0081】ウェブ剥離装置(3A)の上流側のフリーロール(32A)および下流側のフリーロール(32B)、ウェブ乾燥装置(4A)の上流側のフリーロール(41A)および下流側のフリーロール(41B)、ならびにフィルム巻取装置(5)のフリーロール(51)のロール径を、それぞれ100mm、95mm、90mm、85mmおおび80mmとしておいた。また、ウェブ剥離装置(3A)、ウェブ乾燥装置(4A)およびフィルム巻取装置(5)においてウェブ(W)に作用する張力を、それぞれ90N/m、100N/mおよび120N/mとしておいた。 【0082】そして、上記実施例1と同じドープを使用して、ウェブ剥離プロセス、ウェブ乾燥プロセスおよびフィルム巻取プロセスよりなる溶液流延製膜法により、膜厚80μmのフィルム(F)を20m/分の速度で連続して製造した。ついで、上記実施例1と同じ方法により、製造されたフィルム(F)の故障発生状況を調べた。 【0083】各フリーロール(32A)(41A)(51)の条件を表3に示す。 【0084】 【表3】
【0085】その結果、製造されたフィルム(F)には281mmの周期で押されが発生していた。このことからウェブ乾燥装置(4A)の上流側部分において押されが発生していることが判明した。また、押され発覚後約1分で、ウェブ乾燥装置(4A)の上流側部分において付着物が発生しているフリーロールを発見することができた。 【0086】比較例この比較例は、ウェブ剥離装置、ウェブ乾燥装置およびフィルム巻取装置の全てのフリーロールのロール径が90mmであることを除いては、図1に示す装置と同様な装置を使用し、上記実施例1と同様な方法行ったものである。 【0087】各フリーロールの条件を表4に示す。 【0088】 【表4】
【0089】その結果、製造されたフィルムには281〜282mmの周期で押されが発生していた。全てのフリーロールの調査に約2時間かかり、最終的にウェブ乾燥装置において付着物が発生しているフリーロールを発見することができた。なお、表1〜表4において、伸縮率とは、各プロセスの開始時点と終了時点での長さの比率を表し、各プロセスのおいて伸びた場合には+となり、縮んだ場合には−となる。また、該当周期とは、ロール径をDmm、伸縮率をE%とした場合、次式で表される。 【0090】 該当周期=D×π×(100+E)/100【0091】 【発明の効果】請求項1の発明によれば、剥離プロセスで用いるフリーロールのロール径と、乾燥プロセスで用いるフリーロールのロール径と、巻取プロセスで用いるフリーロールのロール径とが異なっているので、フリーロールに起因して製造されたフィルムに発生する故障の周期が、各プロセス毎に異なったものになる。したがって、どのプロセスのフリーロールが故障原因となっているかということを、迅速に知ることができる。したがって、故障の原因となったフリーロールの補修や交換を迅速に行うことができ、生産性の低下を防止することが可能になる。請求項6の発明によっても同様な効果を奏する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001270 【氏名又は名称】コニカ株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月28日(2001.3.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100060874 【弁理士】 【氏名又は名称】岸本 瑛之助 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−283371(P2002−283371A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月3日(2002.10.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−91972(P2001−91972) |
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