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【発明の名称】 硬化性樹脂シートの製造方法
【発明者】 【氏名】坂井 昭彦

【氏名】久保田 哲哉

【氏名】武田 邦夫

【要約】 【課題】厚み精度および平面性に優れた硬化性樹脂シートを提供する。

【解決手段】2枚の板状体を対向させることによりキャビティを形成してなる成形型内に、硬化性樹脂組成物を導入し、該硬化性樹脂組成物を硬化させた後、脱型し、硬化性樹脂シートを製造する方法において、成形型を構成する2枚の板状体の硬化性樹脂組成物と接する面の下式で算出される反り量が、一方が、0〜0.1(mm/100mm)、他方が、0.01〜0.1(mm/100mm)であることを特徴とする硬化性樹脂シートの製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】2枚の板状体を対向させることによりキャビティを形成してなる成形型内に、硬化性樹脂組成物を導入し、該硬化性樹脂組成物を硬化させた後、脱型し、硬化性樹脂シートを製造する方法において、成形型を構成する2枚の板状体の硬化性樹脂組成物と接する面の下式で算出される反り量が、一方が、0〜0.1(mm/100mm)、他方が、0.01〜0.1(mm/100mm)であることを特徴とする硬化性樹脂シートの製造方法。
T/C×100=反り量 (mm/100mm)
T:三次元寸法測定装置を用い、板状体の硬化性樹脂組成物と接する面の四隅の高さの平均を標準面として測定された、板状体中心部の高さ(mm)
C:板状体の長辺の長さ(mm)
なお、反り量の数値は、板状体の当該面が凸形状の場合は正の値で示し、凹形状の場合は負の値で示す。
【請求項2】成形型を構成する2枚の板状体の硬化性樹脂組成物と接する面の反り量が、いずれも、0.01〜0.1(mm/100mm)であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂シートの製造方法。
【請求項3】硬化性樹脂が光硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性樹脂シートの製造方法。
【請求項4】成形型を構成する板状体の少なくとも一方がガラスからなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の硬化性樹脂シートの製造方法。
【請求項5】成形型を構成する板状体の少なくとも一辺が30cm以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の硬化性樹脂シートの製造方法。
【請求項6】成形型を構成する板状体の少なくとも一方の厚さが2〜10mmであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の硬化性樹脂シートの製造方法。
【請求項7】2枚の板状体を対向させ、その間隙にスペーサーを配置することによりキャビティを形成してなる成形型において、成形型を構成する2枚の板状体の硬化性樹脂組成物と接する面の下式で算出される反り量が、一方が、0〜0.1(mm/100mm)、他方が、0.01〜0.1(mm/100mm)であることを特徴とする成形型。
T/C×100=反り量 (mm/100mm)
T:三次元寸法測定装置を用い、板状体の硬化性樹脂組成物と接する面の四隅の高さの平均を標準面として測定された、板状体中心部の高さ(mm)
C:板状体の長辺の長さ(mm)
なお、反り量の数値は、板状体の当該面が凸形状の場合は正の値で示し、凹形状の場合は負の値で示す。
【請求項8】成形型を構成する2枚の板状体の硬化性樹脂組成物と接する面の反り量が、いずれも、0.01〜0.1(mm/100mm)であることを特徴とする請求項7に記載の成形型。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化性樹脂シートの製造方法に関する。詳しくは、液晶表示基板、カラーフィルター、タッチパネル、バックライト、有機EL素子、フレネルレンズなどの光学用途、太陽電池基板、情報記録用基板等の各種基板用途に用いられる硬化性樹脂シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】硬化性樹脂の成形方法として、たとえば特開平2−214622号では、キャストロールを使用して、連続的にシートを製造する方法が提案されているが、硬化性樹脂を反応時固定できないため硬化収縮等により、光学用途に使用できるような平滑なシートを得ることができなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特開平11−135454号公報、特開平10−168233号公報では、2枚のガラス板を対向させてなる成形型内に硬化性樹脂を注入し、加熱または活性エネルギー線の照射により硬化させ、脱型させる方法が提案されている。しかし、これらの公報で提案されている方法を用いて硬化樹脂からなる薄いシートを成形する場合、2枚のガラス板の間の狭い隙間に硬化樹脂を注入する必要があるが、この工程に非常に時間がかかるため、特に、大きなサイズのシートを生産性良く製造することが難しく、また、この方法では厚みを精度よく制御することが難しいという問題もある。
【0004】本発明は、厚み精度に優れた大判の硬化性樹脂シートを生産性良く製造する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定形状の成形型を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は、2枚の板状体を対向させることによりキャビティを形成してなる成形型内に、硬化性樹脂組成物を導入し、該硬化性樹脂組成物を硬化させた後、脱型し、硬化性樹脂シートを製造する方法において、成形型を構成する2枚の板状体の硬化性樹脂組成物と接する面の下式で算出される反り量が、一方が、0〜0.1(mm/100mm)、他方が、0.01〜0.1(mm/100mm)であることを特徴とする硬化性樹脂シートの製造方法に存する。
【0006】
T/C×100=反り量 (mm/100mm)
T:三次元寸法測定装置を用い、板状体の硬化性樹脂組成物と接する面の四隅の高さの平均を標準面として測定された、板状体中心部の高さ(mm)
C:板状体の長辺の長さ(mm)
なお、反り量の数値は、板状体の当該面が凸形状の場合は正の値で示し、凹形状の場合は負の値で示す。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる成形型は、通常、図1および図2に示すように、2枚の板状体(1)を対向させ、その間隙にスペーサー(2)を配置することによりキャビティを形成してなるものである。本発明の特徴は、成形型を構成する板状体の硬化性樹脂組成物と接する面の少なくとも一方が、下式で算出される反り量が0〜0.1(mm/100mm)、他方が0.01〜0.1(mm/100mm)である。好ましくは、成形型を構成する板状体の硬化性樹脂組成物と接する面の両面が、下式で算出される反り量がいずれも、0.01〜0.1(mm/100mm)、好ましくは0.03〜0.08(mm/100mm)であることにある。
【0008】
T/C×100=反り量 (mm/100mm)
T:三次元寸法測定装置を用い、板状体の硬化性樹脂組成物と接する面の四隅の高さの平均を標準面として測定された、板状体中心部の高さ(mm)
C:板状体の長辺の長さ(mm)
なお、反り量の数値は、板状体の当該面が凸形状の場合は正の値で示し、凹形状の場合は負の値で示す。
【0009】成形型を構成する板状体の反り量が、小さすぎると成形型内に導入された硬化性樹脂組成物が型内に広がるのに時間がかかり、また、反り量が大きすぎると型組立時に内面の型同士が接触し傷が生じそれがシートに転写されることになる。特定の反り量をもつ板状体からなる成形型を用いることにより、成形型内に導入された硬化性樹脂組成物が短時間で型内にまんべんなく広がることができる。
【0010】本発明で用いる硬化性樹脂組成物が光硬化性樹脂である場合、成形型を構成する板状体は、少なくとも一方が光を透過する材料からなることが好ましい。成形型が光を透過する材料からなると、硬化性樹脂組成物に光を均一に照射することができるので、短時間で硬化性樹脂組成物を硬化させることができ、成形型の応力により、成形体の中央部の厚さが薄くなって、凹レンズのような形状になる前に硬化を完了させることができる。好ましくは、成形型を構成する板状体の一方がガラスからなる。光を透過しない材料からなる板状体としては、ステンレス、銅、シリコンウエハーなどの金属、光を透過しない樹脂などの熱変形が大きくない材質からからなる板状体が挙げられる。
【0011】成形型の硬化性樹脂組成物と接する面は、この面の性状がそのまま硬化性樹脂シートの表面に転写されることになるので、硬化性樹脂シートが表面平滑性が求められる用途に用いられる場合は、平滑に研磨されていることが好ましい。この面の表面粗さ(Ra)は、通常0.1〜0.002μm、好ましくは0.05〜0.005μmである。また、成形型の硬化性樹脂組成物と接する面に微細加工を施しておき、微小レンズが形成できるようにしておいてもよい。
【0012】成形型を構成する板状体の大きさは、特に限定されないが、本発明は大判の硬化樹脂シートを短時間で成形することができることから、成形型を構成する板状体の少なくとも一辺が、好ましくは30cm以上、より好ましくは40cm以上の場合に効果的である。成形型を構成する板状体の厚さは、特に限定されないが、成形型がガラスの場合、通常2〜10mm、好ましくは4〜6mmである。板状体が薄すぎると、ガラスの弾性力が弱く、成形型内に導入した硬化性樹脂組成物が型内に広がるのに時間がかかる。また、厚すぎると、逆に弾性力が強くなりすぎ、得られる成形体の形状が、中央部が厚い形状となる傾向がある。
【0013】成形型を構成するスペーサーの材質は、通常、シリコン樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂などの樹脂、金属、ガラスなどであり、硬化収縮時の応力緩和の点から樹脂が好ましく用いられる。スペーサーで形成される2枚の板状体の間の間隙の大きさ、すなわち、キャビティの厚みは、通常0.1〜5mm、好ましくは0.3〜2mmである。
【0014】成形型は、図1、図2のように2枚の板状体を対向させて形成されて形成された四辺にスペーサーを配置する形状が好ましい。四辺の一部にスペーサーのない部分を作っておき、そこを硬化性樹脂組成物の導入口とすることができる。本発明においては、このような成形体を用いて、成形型を構成する板状体の面積の通常9割以上の平面積を有する硬化性樹脂シートが成形される。
【0015】本発明に用いられる硬化性樹脂組成物としては、好ましくは紫外線などの活性エネルギー線の照射により硬化する光硬化性樹脂からなる組成物が用いられる。具体的には、アクリレート基、メタクリレート基またはエポキシ基などを有する化合物からなる組成物である。例えば、下記一般式で示されるアクリレート基またはメタクリレート基を有する化合物を含有する組成物が用いられる。
【0016】
【化1】

(式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示し、R3 及びR4 は、それぞれ独立して、アルキレン基を示し、aは1又は2を示し、bは0又は1を示す)
【0017】硬化性樹脂組成物は、アクリレート基、メタクリレート基またはエポキシ基などを有する化合物の他に、光重合開始剤、熱重合開始剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、充填剤などを含有していてもよい。硬化性樹脂組成物は、その粘度が通常1〜1000cps、好ましくは10〜100cpsである。粘度が高すぎると成形型内に硬化性樹脂組成物が広がるのに時間がかかり、また、気泡を巻き込み易く好ましくない。粘度が小さすぎると厚みをそろえるため静置する時に硬化性樹脂組成物が漏れやすく好ましくない。
【0018】硬化性樹脂組成物は、硬化前は液状であるので、硬化性樹脂組成物を型内に流し込んだり、注入したりして、成形型内に導入される。成形型内に導入される硬化性樹脂組成物の量は、キャビティの厚さ×所望の硬化性樹脂シートの面積から求められる。本発明においては、成形型を構成する板状体の硬化性樹脂組成物に接する面が凸形状をしているために、成形型内に導入された硬化性樹脂組成物の成形型内への広がりが短時間で行うことができる。
【0019】所定量の硬化性樹脂組成物が導入された後、成形型は、板状体が水平方向になるように静置し、成形型内に硬化性樹脂組成物が広がった直後、硬化性樹脂組成物を硬化させる。成形型内に硬化性樹脂組成物が広がった後、2分以上時間をおいてから硬化性樹脂組成物を硬化させると、得られる硬化性樹脂シートが凹レンズのような形状となり中央が薄くなるる恐れがあるので、好ましくない。
【0020】硬化性樹脂組成物の硬化は、均一な厚みになった時点で素早く硬化させて厚みの変動を防止する点から、紫外線などの活性エネルギー線の照射により硬化させることが好ましい。活性エネルギー線の照射による硬化と加熱による硬化を併用してもよい。硬化完了後、成形型を外し、硬化性樹脂シートを得る。
【0021】このようにして得られた硬化性樹脂シートは、硬化性樹脂シートの端から5cm内側の部分の厚さをレーザー厚み計で5cm間隔で測定し、次式により算出した厚み精度が、通常30%以下であり、厚み精度に優れる。
厚み精度(%)=(最大厚み−最小厚み)/平均厚み×100また、得られた硬化性樹脂シートの反りも、通常0〜0.1(mm/100mm)であり、平面性に優れる。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、厚み精度および平面性に優れた硬化性樹脂シートが得られ、このような硬化性樹脂シートは、液晶表示基板、カラーフィルター、タッチパネル、バックライト、有機EL素子、フレネルレンズなどの光学用途、太陽電池基板、情報記録用基板等の各種基板用途に用いることができる。
【0023】
【実施例】<硬化性樹脂組成物の調整><組成物1>フェノキシヒドロキシプロピルアクリレート(共栄油脂社製:M−600A)100重量部、光重合開始剤としてチバガイギー社製ダロキュア1173を0.5重量部を混合した液組成物を調製した。
<組成物2>ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタクリレート90重量部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)10量部、光重合開始剤としてチバガイギー社製イルガキュア1173を0.5重量部を混合した液組成物を調製した。
<実施例1〜>表−1に記載の板状体1と板状体2とを対向させ、キャビティが所定の厚みになるようにシリコン製スペーサーを三方に配置し、キャビティを有する成形型を準備した。
【0024】成形型のシリコン製スペーサーのない面を上部にし、表−1に記載の硬化性樹脂組成物を、所定の大きさに相当する成形型の内容積と同量を計り取り注入した。 注入終了後、スペーサーのない面にスペーサーを配置して四方を塞いだ後、板状体が水平方向となるように静置し、硬化性樹脂組成物が成形型全体に広がる時間を測定した。結果は表−2に示す。なお、硬化性樹脂組成物が成形型全体に広がる時間が300秒以上のものはその時点で成形を中止した。
【0025】硬化性樹脂組成物が成形型内に広がった時点で、それぞれの板状体面から20cm上方にそれぞれ1基ずつ設置した、出力160W/cmのメタルハライドランプで、3分間紫外線を照射し、硬化性樹脂組成物を硬化させた。硬化後、成形型を外すことにより硬化性樹脂シートを得た。得られた硬化性樹脂シートの厚み精度を測定した。結果を表−2に示す。
【0026】厚み精度は、硬化性樹脂シートの端から5cm内側の部分の厚さをレーザー厚み計で5cm間隔で測定し、次式により算出した。
厚み精度(%)=(最大厚み−最小厚み)/平均厚み×100【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【出願人】 【識別番号】000005968
【氏名又は名称】三菱化学株式会社
【出願日】 平成13年3月7日(2001.3.7)
【代理人】 【識別番号】100103997
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 曉司
【公開番号】 特開2002−264147(P2002−264147A)
【公開日】 平成14年9月18日(2002.9.18)
【出願番号】 特願2001−62905(P2001−62905)