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【発明の名称】 入れ子を有するゴム加硫成形型
【発明者】 【氏名】栗原 昌道

【氏名】木幡 貞広

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 入れ子挿入穴部を有する金型本体と、この金型本体の入れ子挿入穴部に嵌合固定される入れ子金型とを有し、この入れ子金型とその挿入穴部の嵌合境界面が、ゴム材料の加硫成形空間に連通するゴム加硫成形型において、上記入れ子挿入穴部と入れ子金型との嵌合面に、該挿入穴部と入れ子金型の嵌合隙間を介して加硫成形面に連通する環状溝を形成したことを特徴とする入れ子を有するゴム加硫成形型。
【請求項2】 請求項1記載のゴム加硫成形型において、挿入穴部と入れ子金型との嵌合隙間は、0.005〜0.01mmであるゴム加硫成形型。
【請求項3】 請求項1または2記載のゴム加硫成形型において、挿入穴部と入れ子金型との嵌合面の環状溝の内外径の差は、0.8〜1.0mmであるゴム加硫成形型。
【発明の詳細な説明】【0001】
【技術分野】本発明は、入れ子を有するゴム加硫成形型に関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】ゴム加硫成形型では、アンダーカットを有する部分や、多数の同一形状の型の形成や修理交換を可能(容易)にするため、入れ子金型を用いる場合がある。入れ子金型は、金型本体に形成した入れ子挿入穴部に挿入固定される。この入れ子を有するゴム加硫成形型には、成形材料がゴム組成物である故に、ばりの問題がある。すなわちゴム組成物は、加硫成形の過程でミクロンオーダの隙間にも入り込むため、製品にばりが発生してしまう。このため従来、入れ子金型を挿入穴に焼きばめしたり、入れ子金型と挿入穴部との隙間を塞ぐための機械加工(後加工)を必要としていた。
【0003】
【発明の目的】本発明は、入れ子を有するゴム加硫成形型についての以上の問題意識に基づき、焼きばめや後加工を要することなく、ばりの発生の問題を回避できるゴム加硫成形型を得ることを目的とする。
【0004】
【発明の概要】本発明は、入れ子金型と入れ子挿入穴部の嵌合面の隙間を発生させないという従来の発想から離れ、進入したゴム組成物によって安定状態で隙間を閉塞してしまうという発想に基づいてなされたものである。
【0005】すなわち本発明は、入れ子挿入穴部を有する金型本体と、この金型本体の入れ子挿入穴部に嵌合固定される入れ子金型とを有し、この入れ子金型とその挿入穴部の嵌合境界面が、ゴム材料の加硫成形空間に連通するゴム加硫成形型において、入れ子挿入穴部と入れ子金型との嵌合面に、該挿入穴部と入れ子金型の嵌合隙間を介して加硫成形面に連通する環状溝を形成したことを特徴としている。
【0006】この構成によると、最初の1回または数回の加硫成形行程において、加硫成形面の一部を構成する入れ子金型とその挿入穴部の嵌合境界面から、嵌合隙間及び環状溝にゴム組成物が進入して加硫成形されてしまう。この嵌合隙間内の残存ゴム材料は、より体積の大きい環状溝内の残存ゴム材料と結合されているから、安定した状態で同嵌合隙間及び環状溝内に安定した状態で残存することとなる。従って以後の加硫成形の際に製品にばりが付着することがない。
【0007】挿入穴部と入れ子金型との嵌合隙間は、ゴム材料が加硫成形中に進入するように0.005〜0.01mmとするのが実際的である。また、挿入穴部と入れ子金型との嵌合面の環状溝の内外径の差は、嵌合隙間中のゴム材料を環状溝内のゴム材料と確実に結合するため、0.8〜1.0mmとするのがよい。
【0008】入れ子金型とその挿入穴部の嵌合境界面は、型構成によって、ゴム加硫成形空間のうちの製品部分に連通する場合と、非製品部分に連通する場合とがある。製品部分に連通する場合はこのゴム加硫成形空間から環状溝までの距離を大きくし、非製品部分に連通する場合はこの距離を小さくするのがよい。製品部に連通する場合、溝までの距離が小さいと、ゴム反力によって、金型製品部に変形が生じるおそれがある。
【0009】
【発明の実施形態】本実施形態の入れ子を有するゴム加硫成形型は、アンブレラ(逆止弁)用であり、図3にハッチングを付した部分が製品(アンブレラ)形状を示している。この加硫成形型は、図1に閉じた状態を示す上型10と下型20とからなっており、上型10は、金型本体11と、この金型本体11に形成した円筒状の入れ子挿入穴部12に嵌合固定する円柱状の入れ子金型13と、上型当て板14とからなっている。金型本体11と上型当て板14は図示しない固定部材によって固定され、上型当て板14と入れ子金型13は、固定ねじ15によって固定されている。上型10が、本発明の対象とする入れ子を有するゴム加硫成形型である。
【0010】入れ子金型13(及び入れ子挿入穴部12)は、軸線を中心とする回転対称形状をなしていて、図3の拡大断面図に示すように、その中心部にアンブレラ成形面13aが形成され、このアンブレラ成形面13aの周縁部に橋絡薄膜成形面13bと非製品環状部成形面13cとが順に形成されている。また、この入れ子金型13の周縁の金型本体11には、下型20と対向する面に、非製品環状部成形面13cと対をなす非製品環状部成形面11aが形成されている。これらのアンブレラ成形面13a、橋絡薄膜成形面13b、非製品環状部成形面13c及び非製品環状部成形面11aが上型の加硫成形面10xを構成する。一方、下型20の上型10側の面には、これら上型の加硫成形面10xに対応する加硫成形面20xが形成されていて、この加硫成形面10x、20xとの間に加硫成形空間Vが構成される。
【0011】金型本体11の入れ子挿入穴部12と入れ子金型13との下型20側の嵌合境界面は、加硫成形空間Vに連通しており、入れ子挿入穴部12と入れ子金型13の間には、機械加工上避けられない僅かな嵌合隙間s(図3では誇張して描いている)が存在する。入れ子挿入穴部12と入れ子金型13の嵌合面にはそれぞれ、加硫成形空間V側の端部から距離Aのところに、半円形断面の環状溝12xと13xが形成されている。この環状溝12xと13xは、全体として断面円形をなしている。なお、金型本体11と下型20との間には、複数の同時に成形される製品(アンブレラ)を成形終了状態で接続するための薄膜形成空間が存在している。
【0012】上記構成の上型10のと下型20を開いた状態で、常法に従い加硫成形空間Vにゴム組成物を挿入し加硫成形を行うと、入れ子挿入穴部12と入れ子金型13の間の環状隙間s及び環状溝12xと13x内にゴム組成物が進入し、そのまま硬化する。所定の加硫成形が終了した後、上型10と下型20を開くと、入れ子挿入穴部12と入れ子金型13の間の環状隙間s内の薄い加硫成形ゴムは、環状溝12xと13x内の大きい体積のゴム材料と結合されているため、そのまま残存する。つまり、入れ子挿入穴部12と入れ子金型13の間の環状隙間s内の薄い加硫成形ゴムは、非製品環状部成形面13cと11aによって成形される非製品部分とは切断される。仮に、加硫成形空間V内のゴム側に付着したとしても、数回の加硫成形を繰り返すと、やがて入れ子挿入穴部12と入れ子金型13の間の環状空間s内の薄いゴム材料は確実に環状溝12xと13x内のゴム材料と結合され、そのまま残存するようになる。従って、以後加硫成形される製品に、入れ子挿入穴部12と入れ子金型13の間の環状空間によって形成されるばりが付着することがない。
【0013】以上の作用を得るためには、入れ子挿入穴部12と入れ子金型13の間の環状隙間sを0.005〜0.01mm程度とし、環状溝12xと13xの内外径の差を0.8〜1.0mm程度とするのがよい。
【0014】環状溝12xと13xの形状は任意である。またこの環状溝12xと13xの下型20側の端部(加硫成形空間V)から距離Aは、図示実施形態のように、入れ子挿入穴部12と入れ子金型13の嵌合境界面が、成形される製品(アンブレラ)に関与しない場合(非製品部分に連通する場合)は小さく(例えば直径10mm程度のアンブレラ成形の場合で0.2mm)、製品に関与する場合(製品部分に連通する場合)は大きく(例えば2.0mm)設定するのがよい。
【0015】本発明は、入れ子金型13の具体的形状を問わずに適用できる。同様に、ゴムの種類、ゴムの種類に応じて添加する加硫系配合薬品の種類を問わず適用できる。また、以上の実施形態では、上型10を入れ子有するゴム加硫成形型としたが、下型20も同様の入れ子を有する加硫成形型とすることもできる。
【0016】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、焼きばめや後加工を要することなく、ばりの発生を防止できる入れ子を有するゴム加硫成形型が得られる。
【出願人】 【識別番号】000005175
【氏名又は名称】藤倉ゴム工業株式会社
【出願日】 平成13年3月9日(2001.3.9)
【代理人】 【識別番号】100083286
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦夫
【公開番号】 特開2002−264132(P2002−264132A)
【公開日】 平成14年9月18日(2002.9.18)
【出願番号】 特願2001−67212(P2001−67212)