| 【発明の名称】 |
プレス成形用型及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】加藤 秀樹
【氏名】森尾 泰則
【氏名】大平 朗宏
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| 【要約】 |
【課題】離型性を向上させることができるプレス成形用型を提供する。
【解決手段】プレス成形用型21は、黒鉛材料によって形成された型本体22を有している。黒鉛材料は気孔23を有する多孔質体である。気孔23には金属材料が含浸されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】黒鉛材料によって形成された型本体を有するプレス成形用型において、前記黒鉛材料は気孔を有する多孔質体であり、その気孔には金属材料が含浸されていることを特徴とするプレス成形用型。 【請求項2】固体高分子型燃料電池のセパレータを作るための黒鉛材料によって形成された型本体を有するプレス成形用型において、前記黒鉛材料は気孔を有する多孔質体であり、その気孔には金属材料が含浸されていることを特徴とするプレス成形用型。 【請求項3】前記金属材料を前記型本体の全体に含浸させたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプレス成形用型。 【請求項4】金属材料を黒鉛材料からなる多孔質体と反応しない程度の温度に加熱して液状にした状態で、前記金属材料を前記多孔質体の気孔に含浸させた後、切削加工を行うことによって形成することを特徴とするプレス成形用型の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、固体高分子型燃料電池のセパレータをプレス成形するのに好適なプレス成形用型に関する物である。 【0002】 【従来の技術】近年、クリーンで発電効率の高い次世代の発電装置が望まれており、酸素及び水素の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する燃料電池(FuelCell)に対する期待が次第に高まってきている。現状における燃料電池の種類としては、リン酸型、アルカリ型、溶融炭酸塩型、固体電解質型、固体高分子型(イオン交換膜型ともいう。)等が知られている。なかでも固体高分子型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)は、小規模かつポータブルな電源としての用途(例えば電気自動車用電源等)に適すると考えられている。ゆえに、その実用化に向けて、現在精力的に開発が進められている。 【0003】このタイプの燃料電池は、例えば電解質層としてプロトン導電性を有するイオン交換膜の1つである固体高分子膜(以後プロトン交換膜)の両側に電極を配置してなる膜・電極積層体(単電池)を備えている。このような固体高分子膜は、分子中に水素イオンの交換基を持つため、飽和含水状態とすることによりイオン導電性電解質として機能することができる。これらの電極には白金等の金属触媒が担持されている。一対の電極のうちの一方は水素極(陰極)と呼ばれ、他方は酸素極(陽極)と呼ばれる。膜・電極積層体の両側には一対のセパレータが配置されており、それらセパレータによって両電極及びイオン交換膜の外周部が挟持されている。 【0004】水素極側のセパレータを介して供給されてきた水素ガス(H2)は、水素極における触媒反応により水素イオン(H+)と電子(e-)とに解離する。水素イオンはプロトン交換膜を通過しながら酸素極に向かって移動し、電子は外部回路を通って酸素極側へ移動する。酸素極側には酸素ガス(O2)が供給されている。 【0005】従って、酸素極における触媒反応により、水素イオン及び外部回路を経由した電子が酸素ガスと反応し、水(H2O)が生じる。このとき、外部回路を経由した電子は電流となり、負荷に対して電力を供給することができる。別の言い方をすると、酸素ガス及び水素ガスを燃料として、電気分解反応の逆反応により、起電力が得られるようになっている。 【0006】ところで、従来より、セパレータ等の樹脂成形品を形成するために、型本体がS50C鋼、SCM4鋼、SUS鋼等の金属材料によって形成されたプレス成形用型が用いられている。プレス成形用型は、一軸プレス機に取り付けられて使用されるようになっている。しかし、型本体は金属製であったため、プレス成形用型を切削加工するためのコストが上昇してしまうという問題があった。この問題を解決するために、型本体が黒鉛材料によって形成されたプレス成形用型を用いることが提案されている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところが、型本体は黒鉛材料を緻密に凝集させることによって形成されたものであるが、どうしても若干の気孔を生じてしまう傾向にあった。そのため、プレス成形を行うと、樹脂成形品の一部が気孔に入り込んでしまうことがあった。その結果、樹脂成形品がプレス成形用型に物理的に固着してしまい、プレス成形用型から樹脂成形品を離型するのが困難になってしまうという問題があった。 【0008】この問題を解決するために、例えば、特開平2−212106号公報では、黒鉛材料によって形成された型本体の表面に熱分解炭素の被膜を設けたものをプレス成形用型として用いることが提案されている。しかし、型本体が外部から衝撃を受けたときに被膜が傷付いてしまう可能性があった。 【0009】本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、離型性を向上させることができるプレス成形用型を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、黒鉛材料によって形成された型本体を有するプレス成形用型において、前記黒鉛材料は気孔を有する多孔質体であり、その気孔には金属材料が含浸されていることを要旨とする。 【0011】請求項2に記載の発明では、固体高分子型燃料電池のセパレータを作るための黒鉛材料によって形成された型本体を有するプレス成形用型において、前記黒鉛材料は気孔を有する多孔質体であり、その気孔には金属材料が含浸されていることを要旨とする。 【0012】請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記金属材料を前記型本体の全体に含浸させたことを要旨とする。請求項4に記載の発明では、金属材料を黒鉛材料からなる多孔質体と反応しない程度の温度に加熱して液状にした状態で、前記金属材料を前記多孔質体の気孔に含浸させた後、切削加工を行うことによって形成することを要旨とする。 【0013】以下、本発明の「作用」について説明する。請求項1に記載の発明によると、黒鉛材料は気孔を有し、その気孔には金属材料が含浸されている。そのため、気孔が金属材料によって埋められる。よって、プレス成形を行ったときに、樹脂成形品の一部が気孔に入り込んでしまうのが防止される。その結果、樹脂成形品がプレス成形用型に物理的に固着してしまうのが防止される。従って、プレス成形用型から樹脂成形品を容易に離型させることができる。また、金属材料を含浸させることにより、型本体の弾性率が大きくなる。そのため、プレス成形用型が衝撃によって欠けてしまうのを防止することができる。また、型本体の表面に熱分解炭素の皮膜を設けた場合のように、熱分解炭素が外部からの衝撃によって傷付いてしまうことはない。ゆえに、プレス成形用型の離型性が低下してしまうのを防止することができる。 【0014】請求項2に記載の発明によると、黒鉛材料は気孔を有し、その気孔には金属材料が含浸されている。そのため、プレス成形を行なったときにセパレータの一部が気孔に入り込んでしまうのが防止される。その結果、セパレータがプレス成形用型に物理的に固着してしまうのが防止される。従って、プレス成形用型からセパレータを容易に離型させることができる。 【0015】請求項3に記載の発明によると、金属材料が型本体にある気孔全体に含浸されているが、型本体を構成する骨格は炭素材料のため、金属だけで型本体を構成した場合に比べて熱膨張率の差が小さくなる。従って、プレス成形用型が熱膨張によって破損されてしまうのを防止することができる。 【0016】請求項4に記載の発明によると、金属材料は多孔質体と反応しない程度の温度に加熱される。そのため、金属材料と多孔質体とが反応することによって型本体が脆性材料になってしまうのが防止される。よって、プレス成形用型が破損しやすくなるのを防止することができる。また、切削加工を行った後で金属材料を含浸させて型本体を形成した場合のように、金属材料が型本体の窪みに溜まってしまうのが防止される。よって、型本体の表面の精度を向上させることができる。それとともに、型本体の窪みに溜まった金属材料を取り除く工程を省略することができる。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した固体高分子型燃料電池の一実施形態を図1〜図3に基づき詳細に説明する。 【0018】図1,図2に示すように、この燃料電池1は、膜・電極積層体L1とセパレータ2とを備えている。膜・電極積層体L1は、プロトン交換膜3の両側に電極4A,4Bを貼り付けた構造となっている。一方のものは水素極4Aであり、他方のものは酸素極4Bである。プロトン交換膜3は、水素イオンを通過させることができる。本実施形態では、例えばパーフルオロカーボンスルフォン酸からなる膜をプロトン交換膜3として用いている。水素極4A及び酸素極4Bは、炭素繊維等を主成分とする好通気性のマット状物であり、ここでは矩形状に加工されている。このマット状物には、白金及びパラジウムが触媒として担持されている。尚、マット状物には撥水処理のためフッ素樹脂等が添加されていてもよい。 【0019】膜・電極積層体L1の両側には、一対のセパレータ2が配置されている。本実施形態のセパレータ2は略矩形状かつ板状の充実体であって、水素極4A及び酸素極4Bよりも一回り大きく形成されている。そして、プロトン交換膜3の外縁に設けられた肉厚フランジ部3aは、両セパレータ2の内面外周部によって挟持されている。肉厚フランジ部3aとセパレータ2との間には、外部への流体漏れを防止するために、シール部材としてのゴムパッキング5が介在されている。その結果、両セパレータ2間に膜・電極積層体L1が位置ずれ不能に固定されている。 【0020】図7に示すように、セパレータ2は、一軸プレス機に取り付けられたプレス成形用型21に矢印A1方向にプレス成形されることによって、薄板状に形成されたものである。プレス成形時において、セパレータ2は、プレス成形用型21の上型21a及び下型21bによって挟持されるようになっている。図1及び図2に示すように、セパレータ2は導電性を有し、基材部11及び複数のリブ12を備えている。各リブ12は、基材部11の上面及び下面において同基材部11と一体に形成されている。各リブ12はそれぞれ等断面形状をなし、基材部11の外周部を除く箇所において平行に形成されている。膜・電極積層体L1をセパレータ2で挟持した場合、各リブ12の上端面は水素極4A及び酸素極4Bに対して当接するようになっている。そして、リブ12同士の間に形成される溝状の領域が、酸素ガス、水素ガス、水、水分等の流体を流通させるための流体流路13となる。 【0021】また、セパレータ2は、熱硬化性樹脂及び炭素粉末をその主成分としている。セパレータ2における熱硬化性樹脂の役割は、ガス等の流体を透過させない性質と機械的強度とをセパレータ2に与えること、及び好適な成形性を与えることである。使用可能な熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等がある。これらのなかでも、特にフェノール樹脂を選択することが好ましい。フェノール樹脂は、耐酸性、耐熱性、コスト性に優れるからである。尚、フェノール樹脂には、ノボラック系のものやレゾール系のもの等がある。ノボラック系フェノール樹脂及びレゾール系フェノール樹脂の混合物を用いても勿論構わない。本実施形態においては、熱硬化性樹脂として固体レゾール系フェノール樹脂が使用されている。 【0022】また、セパレータ2における炭素粉末の役割は、電気比抵抗を低減して同セパレータ2の導電性を向上させることである。使用可能な炭素粉末としては、極力、不純物含有量の少ない高純度炭素粉末を用いることが望ましい。炭素粉末を用いた理由は、カーボンは金属のように、イオン溶出によりプロトン交換膜3を被毒化する危険性がないからである。但し、セパレータ2の形成にあたって、同セパレータ2に金、銀、白金、パラジウム等から選択される少なくとも1種類の貴金属を含有したものを用いてもよい。なぜなら、貴金属はイオン化傾向が小さいため、当該金属がプロトン交換膜3に接触したとしても、プロトン交換膜3を被毒化させる危険性がないからである。 【0023】次に、図3に基づいて、この燃料電池1における発電原理を説明する。使用に際し、水素極4Aと酸素極4Bとの間には、モータ等のような負荷が外部回路として電気的に接続される。この状態で、水素極4A側のセパレータ2側に、水分とともに水素ガスを連続的に供給する。このとき、水分及び水素ガスは、リブ12間に位置する流体流路13内を一定方向に向かって流れる。同様に、酸素極4B側のセパレータ2側に、水分とともに酸素ガスを連続的に供給する。このとき、水分及び酸素ガスは、リブ12間に位置する流体流路13内を一定方向に向かって流れる。 【0024】水素極4A側のセパレータ2を経由して供給されてきた水素ガスは、水素極4Aにおける触媒反応により水素イオンとなる。生成された水素イオンは、プロトン交換膜3を通過しながら酸素極4Bに向かって移動する。酸素極4B側に到った水素イオンは、酸素極4Bにおける触媒反応によって酸素ガスと反応し、水を生成させる。このような反応が起こる過程では、電子が外部回路を通って水素極4Aから酸素極4Bへ移動する。従って、電流は酸素極4Bから水素極4Aへ流れ、結果として起電力を得ることができる。すると、外部回路に直流電流が通電され、負荷であるモータ等が駆動される。 【0025】次に、本実施形態のプレス成形用型21を図4〜図6に基づき詳細に説明する。図4及び図5に示すように、プレス成形用型21を構成する型本体22は略矩形板状をなしている。型本体22の表面には、矩形状のリブ成形部31が突設されている。リブ成形部31には、リブ成形溝32が複数箇所に設けられている。リブ成形溝32の数は前記リブ12の数と同一である。各リブ成形溝32はそれぞれ等断面形状をなし、型本体22の外周部を除く箇所において平行に形成されている。 【0026】図6に示すように、型本体22は黒鉛材料によって形成されている。黒鉛材料の熱膨張係数(室温〜1000℃)は、1.0×10-6〜6.0×10-6℃-1の範囲であることが好ましい。本実施形態において、黒鉛材料の熱膨張係数は3.5×10-6℃-1である。黒鉛材料は金属よりも柔らかく、そのショアー硬度は50〜55の範囲であることが好ましい。本実施形態において、黒鉛材料のショアー硬度は52である。また、黒鉛材料は炭素粉末24を集積したものである。そして、隣り合う炭素粉末24間に生じる空隙が気孔23となる。気孔23の平均径は1〜5μmの範囲であることが好ましい。この理由は、気孔23の平均径が小さ過ぎると、気孔23内に金属材料を含浸させるのが困難になるからである。また、気孔23の平均径が大き過ぎると、型本体22の強度が低下してしまうからである。本実施形態において、気孔23の平均径は2μmである。尚、本実施形態において、径とは、気孔23の最も長い部分及び最も短い部分の径の平均値を指し、平均径とは、各気孔23の径の平均値を指す。これら径及び平均径は、水銀圧入法にて算出したものである。また、黒鉛材料は複数の気孔23を有する多孔質体である。また、多孔質体の空隙率は、10〜15%の範囲に設定されることが好ましい。この理由は、多孔質体の空隙率が小さ過ぎると、気孔23内に金属材料を含浸させるのが困難になるからである。また、多孔質体の空隙率が大き過ぎると、型本体22の強度が低下してしまうからである。本実施形態において、多孔質体の空隙率は12%である。 【0027】また、図6に示すように、各気孔23には金属材料が含浸されている。金属材料としては、例えば、銅、真鍮、アルミニウム等がある。これらの中でも、特にアルミニウムを選択することが好ましい。アルミニウムは、これらの金属の中で最も融点が低いため、黒鉛材料と反応してしまう可能性が小さくなるからである。アルミニウムは型本体22の全体に含浸されている。アルミニウムの体積率は、型本体22の体積の10〜15%の範囲に設定されることが好ましい。つまり、アルミニウムが全気孔23に完全に含浸されることが最も好ましい。ゆえに、アルミニウムが含浸されずに残った気孔23が占める体積は、0〜0.01cc/gの範囲であることが好ましく、特には、0cc/gであることが最も好ましい。本実施形態において、アルミニウムが含浸されずに残った気孔23が占める体積は、0.008cc/gである。その結果、含浸されたアルミニウムによって、プレス成形用型21の密度及び重量が大きくなる。それとともに、型本体22の曲げ強度が、アルミニウムを含浸する前よりも約6割向上する。本実施形態において、型本体22の曲げ強度は120MPaとなる。 【0028】次に、プレス成形用型21を製造する手順を説明する。まず、コークスとコールタールピッチとからなる配合物を加熱混練して得られた混練物を粉砕後、ラバープレス機で成形して焼成黒鉛化する。その結果、多孔質体である黒鉛材料が得られる。 【0029】次に、アルミニウムを黒鉛材料と反応しない程度の温度に加熱して液状にする。このとき、アルミニウムは780〜820℃の範囲に加熱されることが好ましい。この理由は、温度が高過ぎると、黒鉛材料と反応して型本体22が炭化アルミニウムになってしまい、型本体22の強度が低下してしまうからである。また、温度が低過ぎると、アルミニウムを液状にすることができないからである。本実施形態において、アルミニウムは800℃に加熱される。この状態において、アルミニウムを黒鉛材料に含浸する。その後、NCボール盤、NCフライス盤等を用いることにより、黒鉛材料を図7に示すプレス成形用型21の上型21a、下型21bに加工する。 【0030】次に、プレス成形用型21によってセパレータ2を製造する手順を説明する。図7に示すように、熱硬化性及び炭素粉末をその主成分とする原料を200℃に加熱する。この状態において、原料を上型21a及び下型21bによって挟持する。そして、原料に対して矢印A1方向に力を加えることによりプレス成形を行う。その結果、複数のリブ12を有するセパレータ2が形成される。そして、このセパレータ2を、膜・電極積層体L1及びゴムパッキング5とともに組み立てれば、図2等に示す所望の燃料電池1が完成する。十分大きな起電力を得るために、このような燃料電池1を数十枚から数百枚程積層し、「燃料電池スタック」を構成しても勿論構わない。 【0031】従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。 (1)型本体22を形成する黒鉛材料は気孔23を有し、その気孔23にはアルミニウムが含浸されている。そのため、気孔23がアルミニウムによって埋められる。よって、プレス成形を行ったときに、セパレータ2の一部が気孔23に入り込んでしまうのが防止される。その結果、セパレータ2がプレス成形用型21に物理的に固着してしまうのが防止される。従って、プレス成形用型21からセパレータ2を容易に離型させることができる。また、アルミニウムを含浸させることにより、型本体22の弾性率が大きくなる。そのため、プレス成形用型21が衝撃によって欠けてしまうのを防止することができる。また、型本体22の表面に熱分解炭素の皮膜を設けた場合のように、プレス成形用型21が外部からの衝撃によって傷付いてしまうことはない。ゆえに、プレス成形用型21の離型性が低下してしまうのを防止することができる。 【0032】(2)金属材料としてのアルミニウムが型本体22にある気孔全体に含浸されている。そのため、型本体22を構成する骨格は炭素材料のため、型本体22を金属だけで構成した場合に比べると熱膨張率が小さくなる。従って、プレス成形用型21が熱膨張によって破損されてしまうのを防止することができる。また、アルミニウムが型本体22の全体に含浸しているため、同型本体22の熱伝導率を均一にすることができる。よって、型本体22の放熱性を向上させることができる。また、型本体22の一部に熱応力が集中してしまうのを防止することができる。 【0033】(3)アルミニウムは多孔質体と反応しない程度の温度に加熱される。そのため、アルミニウムと多孔質体とが反応することによって型本体22が脆性材料になってしまうのが防止される。よって、プレス成形用型21が破損しやすくなるのを防止することができる。また、切削加工を行った後でアルミニウムを含浸させて型本体22を形成した場合のように、アルミニウムが型本体22の窪みに溜まってしまうのが防止される。よって、型本体22の表面の精度を向上させることができる。従って、セパレータ2を精度良く製造することができる。それとともに、型本体22の窪みに溜まったアルミニウムを取り除く工程を省略することができる。 【0034】(4)型本体22を形成する金属材料はアルミニウムである。よって、アルミニウムは他の金属材料よりも低い温度で溶けるため、金属材料を多孔質体に含浸させるのが容易になる。 【0035】(5)型本体22は金属よりも柔らかい黒鉛材料によって形成されている。よって、型本体22を形成するときに切削加工を容易に行うことができる。また、プレス成形されたセパレータ2を容易に離型することができる。ゆえに、プレス成形用型21の作製時間が短縮されるため、ニーズの多様化による少量多品種化の流れにも対応することができる。 【0036】(6)型本体22は金属材料よりも相対的に安価な黒鉛材料によって形成されている。そのため、アルミニウムを含浸してもプレス成形用型21のコストが上昇してしまうのを防止することができる。 【0037】(7)型本体22は、アルミニウム等の金属材料のみで形成される場合に比べて軽量になる。そのため、プレス成形用型21の扱いが容易になる。また、プレス成形用型21を金属材料のみで形成した場合のように、型本体22にバリが残ってしまうことはない。そのため、バリ取りの工程を省略できる。ゆえに、プレス成形用型21を容易に作製することができる。 【0038】(8)型本体22にアルミニウムが含浸されるため、アルミニウムが含浸されずに残った気孔23の体積は0.008cc/gになる。よって、気孔23が型本体22の表面に露出してしまう可能性が小さくなる。従って、セパレータ2の表面を高精度に成形することができる。 【0039】尚、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。 ・前記実施形態では、アルミニウムが型本体22の全体に含浸されていた。しかし、アルミニウムを、型本体22においてセパレータ2をプレスするときに同セパレータ2に接触する部分のみに含浸させてもよい。 【0040】・前記実施形態では、型本体22は、燃料電池1のセパレータ2を作るためのものであった。しかし、型本体22を、プラスチック成形品等の樹脂成形品を作るために用いてもよい。 【0041】・セパレータ2の形状は、前記実施形態のような略矩形状に限定されるものではなく、円形状、略三角形状等の他の形状であってもよい。次に、上記実施形態及び別例によって把握される技術的思想を以下に列挙する。 【0042】(1)請求項1〜3のいずれか一項において、前記多孔質体の空隙率は、10〜15%であることを特徴とするプレス成形用型。 (2)請求項1〜3、技術的思想(1)のいずれか一項において、前記金属材料はアルミニウムであることを特徴とするプレス成形用型。よって、技術的思想(2)によれば、アルミニウムは比較的低い温度で溶けるため、金属材料を多孔質体に含浸させるのが容易になる。 【0043】(3)請求項2において、前記金属材料を、前記型本体において前記セパレータをプレスするときに前記セパレータに接触する部分に含浸させたことを特徴とするプレス成形用型。 【0044】(4)請求項1または2に記載のプレス成形用型によって成形されることを特徴とする固体高分子型燃料電池のセパレータ。 (5)イオン交換膜の両側に電極を配置してなる膜・電極積層体と、前記膜・電極積層体を挟持する請求項1または2に記載のプレス成形用型によって成形される一対のセパレータとを備えたことを特徴とする固体高分子型燃料電池。 【0045】(6)イオン交換膜の両側に電極を配置してなる膜・電極積層体と、前記膜・電極積層体を挟持する請求項1または2に記載のプレス成形用型によって成形される一対のセパレータとを備えた固体高分子型燃料電池を複数枚積層することによって構成した燃料電池スタック。 【0046】 【発明の効果】以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、プレス成形用型から樹脂成形品を容易に離型させることができる。また、プレス成形用型が衝撃によって欠けてしまうのを防止することができる。 【0047】請求項2に記載の発明によれば、プレス成形用型からセパレータを容易に離型させることができる。請求項3に記載の発明によれば、プレス成形用型が熱膨張によって破壊されてしまうのを防止することができる。 【0048】請求項4に記載の発明によれば、プレス成形用型が破損しやすくなるのを防止することができる。また、型本体の表面の精度を向上させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000158 【氏名又は名称】イビデン株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年2月28日(2001.2.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068755 【弁理士】 【氏名又は名称】恩田 博宣 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−254464(P2002−254464A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月11日(2002.9.11) |
| 【出願番号】 |
特願2001−54209(P2001−54209) |
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