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【発明の名称】 射出成形装置
【発明者】 【氏名】渡辺 博文

【要約】 【課題】外観品質を確保し、ランナー部をリサイクル活用できる射出成形装置を提供する。

【解決手段】材料を溶融してキャビティ155内に射出し、成形される成形品200からランナー部210を分離して外部へ排出する金型150と、排出されたランナー部210を粉砕して、材料に混合する粉砕機170とを有する射出成形装置において、粉砕機170を、ランナー部210が排出された後、直接内部に投入される位置に配設し、粉砕機170の投入部172には、ランナー部210が投入される時のみ開口する開閉手段173を設ける。そして、粉砕機170の粉砕能力は、成形品200の1サイクルの成形時間内に少なくとも1つのランナー部210を粉砕できるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 材料を溶融してキャビティ(155)内に射出し、成形される成形品(200)からランナー部(210)を分離して外部へ排出する金型(150)と、前記ランナー部(210)を粉砕して、前記材料に混合する粉砕機(170)とを有する射出成形装置において、前記粉砕機(170)は、前記ランナー部(210)が排出された後、直接内部に投入される位置に配設され、前記粉砕機(170)の投入部(172)には、前記ランナー部(210)が投入される時のみ開口する開閉手段(173)が設けられたことを特徴とする射出成形装置。
【請求項2】 前記粉砕機(170)の粉砕能力は、前記成形品(200)の1サイクルの成形時間内に少なくとも1つの前記ランナー部(210)を粉砕できるものとしたことを特徴とする請求項1に記載の射出成形装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば樹脂材を用いて成形品を成形する射出成形装置に関するものであり、ランナー部を有効にリサイクル活用するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の射出成形装置は、図5に示すように、樹脂等の溶融した材料を金型150内に射出し、成形品200を成形するものとして広く知られている。
【0003】更に詳しく説明すると、材料射出後、金型150内のキャビティ155に材料が導入される導入通路156に形成されるランナー部210は、金型150を開く際に成形品200から切り離され、例えばシュート180上を滑らせ下側に設置したランナー回収箱190に回収されるようにしている。
【0004】そして、ランナー回収箱190に貯められたランナー部210は、所定量になると隣接する位置に設けられた粉砕機170に手作業により投入されるようにしており、投入されたランナー部210は粉砕された後、再生材として新品材と混合されリサイクルされるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ランナー部210は射出成形により帯電するため、シュート180上や、ランナー回収箱190内で塵、埃等の異物が表面に付着しやすく、粉砕機170により粉砕した再生材を新品材と混合してリサイクルしようとすると、例えば成形品200が白色のような淡い色を使用する場合、付着した異物が黒い斑点として成形品200の表面に現れるようになり、外観品質を損なうため、ランナー部210のリサイクルができず、埋め立て廃棄せざるを得ない状況であった。
【0006】本発明の目的は、上記問題に鑑み、外観品質を確保し、ランナー部をリサイクル活用できる射出成形装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0008】請求項1に記載の発明では、材料を溶融してキャビティ(155)内に射出し、成形される成形品(200)からランナー部(210)を分離して外部へ排出する金型(150)と、排出されたランナー部(210)を粉砕して、材料に混合する粉砕機(170)とを有する射出成形装置において、粉砕機(170)を、ランナー部(210)が排出された後、直接内部に投入される位置に配設し、粉砕機(170)の投入部(172)には、ランナー部(210)が投入される時のみ開口する開閉手段(173)を設けたことを特徴としている。
【0009】これにより、ランナー部(210)は排出と同時に直接粉砕機(170)内に投入でき、また、粉砕機(170)の投入部(172)に設けられた開閉手段(173)は、ランナー部(210)が投入されない時は閉塞されることになるので、射出成形後に帯電するランナー部(210)に塵、埃等の異物が付着することを防止でき、このランナー部(210)を成形品(200)の外観品質を損なうことなく粉砕後の再生材としてリサイクルできるようになる。
【0010】そして、上記のようにランナー部(210)を直接粉砕機(170)に投入できることによって、従来技術のように、所定量のランナー部(210)が貯まった時点で粉砕機(170)に移し替える作業が不要となり生産性を向上できる。
【0011】また、請求項2に記載の発明では、粉砕機(170)の粉砕能力は、成形品(200)の1サイクルの成形時間内に少なくとも1つのランナー部(210)を粉砕できるものとしたことを特徴としており、粉砕機(170)自身を小型のものとして設定することが可能となり、従来技術のようなランナー部(210)を貯めるランナー回収箱(190)に相当するようなスペース内に設置でき、コンパクトな射出成形装置にすることができる。
【0012】尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図1〜図4に示す。本実施形態は、熱可塑性樹脂を材料として樹脂成形品を成形する射出成形装置100に適用したものである。樹脂成形品は、車両用冷却装置等に用いられる冷却用の軸流ファンとしている。
【0014】射出成形装置100は、材料供給部101、加熱シリンダー部140、金型150、粉砕機170から構成されている。
【0015】材料供給部101は、新品の樹脂材料(ここではポリプロピレンを主材料とするものとしている)と後述するランナー部210を粉砕した再生材とを任意の割合で混合したものを、加熱シリンダー部140に供給するものであり、材料タンク110、混合機120、シリンダー供給用吸引ホッパ130から構成されている。
【0016】材料タンク110は、新品の樹脂材料(以下、新品材)を貯留するタンクであり、上側に塵、埃等の異物の侵入を防止する蓋部111が設けられ、手動によって開閉可能としている。作業者によって所定時間毎に新品材が投入、貯留されるようにしている。尚、この新品材は、直径が2〜3mm程度の粒状に生成されたものと成っている。
【0017】混合機120は、上記新品材と後述する粉砕機170によって生成される再生材とを所定の割合に混合するものであり、新品材用および再生材用の吸引ホッパ121、122、新品材用および再生材用の計量部124、125、混合タンク126から構成されている。
【0018】新品材用吸引ホッパ121は、吸引タンク121aとホッパ121bとが上下に配設されたものであり、吸引タンク121aは、配管112によって上記材料タンク110と接続されている。吸引タンク121aとホッパ121bとの間には、弾性部材、例えばゴム板材より成る弁体121cが設けられており、通常は吸引タンク121aとホッパ121bとが互いに連通するように開いている。そして、後述する吸引ブロワ123が作動した時には、吸引効果により閉じるようにしている。
【0019】再生材用吸引ホッパ122も上記新品材用ホッパ121と同様の構成を有しており、上下に吸引タンク122a、ホッパ122bが設けられており、両者の間には弁体122cが介在されている。
【0020】上記の両吸引タンク121a、122aにはバルブ121gの部位で合流する吸引管121d、122dがそれぞれ接続されており、このバルブ121gの下流側には吸引ブロワ123が設けられている。
【0021】尚、新品材用のホッパ121bの内部下側には、投入された新品材の上端位置を検出するレベルセンサ121eが設けられており、新品材がこのレベルセンサ121eの位置を下回ると、タイマー121fにより所定時間の間、上記バルブ121gが吸引管121dと吸引ブロワ123とが連通する側に開き、吸引ブロワ123が作動するようにしている。そして、所定時間経過後は、吸引ブロワ123は停止し、バルブ121gは、吸引管122dと吸引ブロワ123とが連通する側に開くようにしている。
【0022】両ホッパ121b、122bの下側にはそれぞれ新品材用および再生材用の計量部124、125および混合タンク126が設けられている。両計量部124、125は、両ホッパ121b、122bから投入されるそれぞれの材料を計量して混合タンク126に投入するものであり、それぞれ円盤124a、125aとモータ124b、125bより成る。両ホッパ121b、122bの下側から材料が円盤124a、125a上に投入され、回転しながら図示しないセパレータによって、混合タンク126に排出されるようにしている。そして、それぞれ設定されたモータ124b、125bの回転数に応じて投入量が調整されるようにしている。ここでは、モータ124bの回転数をモータ125bの回転数の4倍となるように設定しており、新品材と再生材との混合割合が4対1となるようにしている。
【0023】混合タンク126の内部下側には混合された材料の上端位置を検出するレベルセンサ126aが設けられており、混合材料がこのレベルセンサ126aの位置を下回ると、タイマー126bにより所定時間の間、上記モータ124b、125bを作動するようにしている。
【0024】シリンダー供給用吸引ホッパ130は、上記新品材用吸引ホッパ121と同様の構成を有しており、弁対133を介在させ吸引タンク131、ホッパ132が上下に配設されており、吸引タンク131は、配管126cによって混合タンク126と接続されている。また吸引タンク131は、吸引管134によって吸引ブロワ137と接続されており、この吸引ブロワ137は、ホッパ132内部下側に設けられたレベルセンサ135の材料上端位置検出信号に基づいて、タイマー136により所定時間作動されるようにしている。そして、ホッパ132の下側は、後述する加熱シリンダー部140に接続されるようにしている。
【0025】加熱シリンダー部140は、射出成形装置100の本体部102の上に配設されており、上記ホッパ132から投入される材料を溶融し、後述する金型150に射出するものである。横長のシリンダー141の内部には図示しないモータにより回転駆動、停止を繰り返すスクリュー142が設けられ、またシリンダー141の外周には材料を溶融するヒータ143が設けられている。また、図中左側の端部には溶融した材料が射出されるノズル144が設けられている。そして、スクリュー142の所定量の回転駆動によってノズル144から所定量(成形品200を成形するのに必要な量)、所定圧の材料を射出するようにしている。
【0026】金型150は、上記加熱シリンダー部140と対向する位置に配設されており、図2にその詳細を示しているが、ランナーストリッパプレート151、固定側型板153、可動側型板154、エジェクタプレート157を有している。尚、図2においては、型締めされた状態を示している。
【0027】ランナーストリッパプレート151は、固定側取付け板150aに固定され、中央部には溶融した材料が導入され、中間部がくびれるように形成された導入通路156aが設けられている。更に、導入通路156aの上側には押出しピン152が設けられ、コイルバネ152aによって図中左方向に付勢されるようにしている。
【0028】固定側型板153、可動側型板154は、内部に成形品200のアウトラインに相当する凹凸部が設けられたもので、両者の型板153、154を合せた時に凹凸部により形成される空間がキャビティ155となっている。また、固定側型板153には上記導入通路156aから複数に分岐する分岐導入通路156bが円錐状を成してキャビティ155に連通するように設けられている。因みに、本成形品200としての軸流ファンは、複数の翼を有するため分岐導入通路156bの分岐数は、材料を均等に充填させるために翼枚数に応じた数となるようにしている。
【0029】エジェクタプレート157は、可動側取付け板150bに固定され、可動側型板154内に挿入されキャビティ155に当接する複数の押出しピン157aが設けられている。
【0030】成形品200は、上記加熱シリンダー部140および金型150によって、型締め、材料射出、冷却保持、型開き、ランナー部210切り離し、成形品200取出しを1サイクルとして成形される。本実施形態では1サイクル約50秒で回るようにしており、成形サイクルに応じて加熱シリンダー部140および金型150は、以下のように作動するようにしている。
【0031】まず、図2に示すように、金型150は、ランナースリッパプレート151、固定側型板153、可動側型板154が互いに当接し、エジェクタプレート157のエジェクタピン157aがキャビティ155に当接するように型締めされる。そして、溶融された材料が加熱シリンダー部140のノズル144から導入通路156aおよび分岐導入通路156bを通してキャビティ155内に射出され、冷却保持される。
【0032】次に、図3(a)に示すように、ランナーストリッパプレート151と固定側型板153との間が開き、導入通路156aおよび分岐導入通路156bによって形成されるランナー部210がキャビティ155内の成形品200から円錐状を成す頂点部から切り離される。
【0033】次に、図3(b)に示すように、押出しピン152がコイルバネ152aによって図中左方向に摺動し、導入通路156a内のくびれた位置でランナー部210は材料側から切り離され、金型150外に落下する。
【0034】更に、図3(c)に示すように、固定側型板153と可動側型板154との間で、可動側型板154が更に図中左方向にスライドして開き、エジェクタピン157aが可動側型板154に対して相対的に右側に摺動することで成形品200が金型150から排出され、図示しないロボットハンドにより取出される。
【0035】次に本発明の要部となる粉砕機170について、図1に戻り説明する。
【0036】粉砕機170は、外側に広がるように開口する投入部172を有する容器171の内部に、回転駆動する複数のカッター174と固定刃175と断面が円弧状を成し複数の小径穴を有する円弧状刃176を有し、射出成形装置100が作動している間は常に作動し、上記ランナー部210を細かく粉砕するものである。具体的には、まず、カッター174と固定刃175によりランナー部210をおおまかに砕き、次に、カッター174と円弧状刃176により更に細かく粉砕し、複数の小径穴から容器171の下部に落とすようにしている。
【0037】この粉砕機170は、ランナー部210が金型150から切り離される直下に配設されており、開口する投入部172には、開閉手段としてのシャッター173が設けられている。このシャッター173は、エア圧により図中紙面垂直方向に往復動するアクチュエータ161と連結され、連動することで投入部172を開閉するようにしている。(具体的には、図4に示すような外観を呈するものとしている。)そして、成形品200の成形サイクル中においてランナー部210が切り離され、落下するタイミングで開くようにし、その他の間は、投入部172を閉塞するようにしている。具体的には、成形品200の1サイクルの成形時間50秒の内、ランナー部210の切り離し時に約4秒間、投入部172を開き、その後約46秒間は閉じた状態となるようにしている。
【0038】また、粉砕機170の下側部には、上記吸引タンク122aに接続される配管177が設けられており、また、タイマー162によって吸引ブロワ123を作動させることで、粉砕機170で粉砕された再生材を吸引タンク122aに吸引するようにしている。
【0039】更に、粉砕機170の粉砕能力は、成形品200の1サイクルの成形時間(50秒)内に少なくとも1つのランナー部210を粉砕できるだけのものとしており、粉砕機170全体は、従来技術で説明したような一度に多量のランナー部210を粉砕する粉砕機に対して小型なものとなるようにしている。
【0040】そして、上記タイマー162は、吸引ブロワ123が新品材を吸引タンク121aに吸引している場合にはそちらを優先させ、それ以外の場合に成形品200の成形サイクル毎にON−OFFするようにしており、粉砕された再生材が順次、吸引タンク122aに吸引されるようにしている。具体的には、1サイクル50秒の内、20秒間は吸引ブロワを作動し、残り30秒は停止させるようにしている。
【0041】次に、上記構成に基づく作動について説明する。
【0042】材料タンク110内の新品材と粉砕機170内の粉砕材は、それぞれ吸引ブロワ123によって吸引タンク121a、122aに吸引され、ホッパ121b、122bに投入される。両ホッパ121b、122bから新品材および再生材が両計量部124、125によって所定の割合(4対1)になるように計量され、混合タンク126内で混合される。この混合された材料は、吸引ブロワ137によって吸引タンク131に吸引され、ホッパ132に投入される。尚、この間に吸引ブロワ123、137および両計量部124、125のモータ124b、125bは、各ホッパ121b、131、混合タンク126内の材料上端位置がレベルセンサ121e、135、126aの位置を下回ると、各タイマー121f、136、126bによってそれぞれ所定時間作動され、それぞれの上流側から材料が補充されるようになる。
【0043】次に、ホッパ132から加熱シリンダー部140のシリンダー141内に材料が供給され、ヒータ143により溶融される。回転駆動されるスクリュウー142によって、所定量、所定圧の材料がノズル144から型締めされた金型150の導入通路156a、分岐導入通路156bを通してキャビティ155内に射出される。
【0044】そして、冷却保持された後、金型150が開かれる際に、ランナー部210が成形品200から切り離され、押出しピン152によって材料側から切り離される。このタイミングで直下に設けられた粉砕機170の投入部172のシャッター173が、アクチュエータ161によって開かれ、ランナー部210は直接内部に投入される。その後、シャッター173はアクチュエータ161によって閉じられ、ランナー部210は、内部で粉砕される。粉砕された再生材は、吸引ブロワ123によって吸引タンク122aに吸引される。尚、吸引ブロワ123はタイマー162によって成形品200の成形サイクル毎にON−OFF作動される。
【0045】以上の構成、作動より、本発明の効果について説明する。
【0046】ランナー部210は、金型150から切り離し排出されると同時に、直下に設けられた粉砕機170内に直接投入でき、また、粉砕機170の投入部172に設けられたシャッター173は投入時のみ開口し、投入されない時は閉塞されることになるので、射出成形後に帯電するランナー部210に塵、埃等の異物が付着することを防止でき、このランナー部210を成形品200の外観品質を損なうことなく粉砕後の再生材としてリサイクルできるようになる。
【0047】そして、上記のようにランナー部210を直接粉砕機170に投入できることによって、従来技術のように、所定量のランナー部210が貯まった時点で粉砕機170に移し替える作業が不要となり生産性を向上できる。
【0048】更に、粉砕機170の粉砕能力は、成形品200の1サイクルの成形時間内に少なくとも1つのランナー部210を粉砕できるものとしており、粉砕機170自身を小型のものとして設定することができるので、従来技術のようなランナー部210を貯めるランナー回収箱190に相当するようなスペース内に設置でき、コンパクトな射出成形装置100にすることができる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成13年2月20日(2001.2.20)
【代理人】 【識別番号】100096998
【弁理士】
【氏名又は名称】碓氷 裕彦 (外1名)
【公開番号】 特開2002−240094(P2002−240094A)
【公開日】 平成14年8月28日(2002.8.28)
【出願番号】 特願2001−43616(P2001−43616)