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【発明の名称】 金属製のエンボス型板又はエンボスロールを用いて疎水性ポリマーをエンボス加工する方法、エンボス型板及びエンボスロール
【発明者】 【氏名】エドヴィン ヌン

【氏名】マルクス オレス

【氏名】ベルンハルト シュライヒ

【氏名】アンドレアス ゴンベルト

【氏名】クラウス ローゼ

【氏名】ゲルハルト ショットナー

【要約】 【課題】エンボス加工された表面がエンボス加工されていない表面よりもより高い疎水性を有するような疎水化されたポリマーのエンボス加工方法を開発すること【解決手段】 エンボス型板又はエンボスロールを第1のエンボス工程の前に疎水化することを特徴とする、金属製のエンボス型板又はエンボスロールを用いて疎水性ポリマーをエンボス加工する方法

【解決手段】エンボス型板又はエンボスロールを第1のエンボス工程の前に疎水化することを特徴とする、金属製のエンボス型板又はエンボスロールを用いて疎水性ポリマーをエンボス加工する方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンボス型板又はエンボスロールを第1のエンボス工程の前に疎水化することを特徴とする、金属製のエンボス型板又はエンボスロールを用いて疎水性ポリマーをエンボス加工する方法。
【請求項2】 フッ素含有ポリマー、塗料又は樹脂をエンボス加工する、請求項1記載の方法。
【請求項3】 前記ポリマーが塗料、樹脂又はフッ素含有コポリマーを含有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】 前記ポリマーが塗料、樹脂又はフッ素含有ポリマーブレンドを含有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】 エンボス型板又はエンボスロールがニッケルを含有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】 エンボス型板又はエンボスロールをフッ素−オルガノシランで疎水化する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】 エンボス型板又はエンボスロールが第1のエンボス工程の前に疎水化されていることを特徴とする、疎水性ポリマーのエンボス加工のための金属製のエンボス型板又はエンボスロール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は持続的な撥水性及び撥油性の特性を有する表面を製造するために疎水性ポリマーを成形する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多方面で通常の工業的プロセス及び対象物に対して疎水性及び疎油性(oleophob)の表面が必要とされる。この理由は、例えばプラスチックカバー及び展望窓における撥水作用にある。しかしながらさらに、汚れ粒子、食品、微生物、塗料、インキ、樹脂又はプラスチックが相応する表面上に付着することを有効に妨げる必要もある。
【0003】疎水化又は疎油化された表面の製造のためにそれ自体疎水性及び疎油性の材料、例えば過フッ素化ポリマーを使用することは公知である。この表面を発展させることは、表面をμm領域〜nm領域で構造化することにある。それにより150゜を上回る水による前進接触角(Fortschreitwinkel)が実現される。明らかに強い液滴形成が観察され、かつ平滑な表面とは異なり、液滴はわずかに傾けた表面でも容易に転がり落ちる。この表面構造は、機械的に荷重をかけることができなければならず、この表面上で疎水性及び疎油性の特性は時間の経過と共に失われてはならない。
【0004】文献中には、このような表面をシラン及びフッ素化合物及び/又は物理的方法を用いて作り出すような多数の研究が公知である。
【0005】米国特許第5599489号明細書には、例えば相応するサイズのポリフルオロエチレンからなる粒子を表面と衝突させ、引き続き過フッ素化させることで特に撥水性を表面に付与することができる方法が開示されている。
【0006】他の方法は、例えばH. Saito et al.がSurface Coating International 4, 1997, p. 168 ffに記載している。ここでは、フルオロポリマーからなる粒子を金属表面上に塗布し、この場合、こうして製造された表面の水に対する濡れ性の著しい低下及び着氷傾向の著しい減少が確認された。
【0007】米国特許第3354022号明細書及びWO99/04123には、表面のトポロジー変性により対象物の濡れ性を低下させる他の方法が記載されている。ここでは、約5〜1000μmの高さ及び約5〜500μmの間隔を有する人工的な突出部と凹陥部を疎水性の材料に又は構造化後に疎水化された材料上に設置する。この種の表面は迅速な液滴形成を生じさせ、その際、転がり落ちる液滴が汚れ粒子を吸収し、それにより表面が清浄化される。
【0008】低エネルギー表面の界面特性を通常の半製品の材料特性と結びつけるための簡単な手段は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)又はポリカーボネートからなる半製品上にフッ素ポリマーを張り付けることである(JP09316830)。このカバーシートは所望の界面特性を付与するが、透過性を悪化させることになる。この方法の著しい欠点は、この方法で平坦な対象物だけが得られかつこのようなシートを用いると表面上に著しく粗いテクスチャだけが再現できるにすぎないことである。
【0009】オルガノ−フッ素含有ポリマーフィルムを相応する溶液から、基材を被覆することにより塗布する場合に、より薄いポリマー被膜が製造される。この場合、基材と被覆との間の定着剤として頻繁にシランが使用される。例えばポリマーの基材をまず3−アミノプロピルトリエトキシシランで前処理し、引き続き例えばフルオロポリマー、例えばビニリデンフルオリドコポリマー(JP08277379)又はポリ(ペルフルオロブチレンビニルエーテル)(JP04326965)からなる溶液を塗布する。方法及び溶液の他の成分に応じて、極端に硬質の、耐引掻性の強固に付着する、汚れの付きにくい被覆が得られる。これらの方法は、複数の成分を相互に多数の方法工程で相互に塗布しなければならないため複雑である。ポリマー被膜の乾燥はテクスチャ付与された表面において界面作用のために濡れの問題が生じるため、突起部は被覆されず、谷部は均等化されてしまう。
【0010】他の方法においても同様に塗料状の被覆系を適用し、表面エネルギーを低下させるためにフルオロアルキルトリアルコキシシランで後から変性する。相応するフルオロオルガノシランを強固に結合させるために、まず基材表面を金属酸化物で被覆することが通常の手段である(JP01110588及びJP07238229)。これは、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム又は二酸化ケイ素であることができる。このような被覆はテトラメトキシシランをアクリル−ウレタン塗料に混合することによっても達成でき、この塗料はUV処理により硬化される(EP7890)。例えばペルフルオロオクチルエチレントリメトキシシランを用いた後処理は、縮合により金属酸化物とアルコキシシラン単位との間に共有結合を形成させる。このように、耐引掻性の、汚れの付きにくい表面が製造され、この表面は水に対して約100〜110゜の接触角を示す。微細なシリケート粒子はあらかじめペルフルオロオクチレントリクロロシランで官能化され、引き続きUV硬化性塗料中に懸濁されていてもよい(JP09220518)。このマトリックスの硬化により被覆が生じ、この被覆はPMMAに著しく撥水性の特性を付与する。ペルフルオロヘキシルエチレントリメトキシシラン、その加水分解生成物及びアクリルモノマーからなる混合物を塗料中に直接使用するのがより簡単である。被覆及びUV硬化により基材に良好に付着しかつ防汚特性を提供するポリマー被膜が生じる(JP10104403)。
【0011】一般的に、塗料の使用の際に、異なる光学密度の複数の界面で反射することによる透過性に関する影響は欠点である。付加的に金属酸化物粒子を使用する場合、粒子に容易に付加的散乱効果が生じる。さらに塗料の層厚は微細なテクスチャの表面の被覆を妨げる。このような層の不足する弾性及び衝撃強さは頻繁に不十分である。
【0012】これらの全ての方法は煩雑であり、付加的作業工程を必要とする。フッ素含有ポリマー又はコポリマーを使用することがより簡便である、それというのもその性質が一定の疎水性及び疎油性を有するためである。表面の疎水性及び疎油性は、フッ素含有ポリマー配列を界面に、極端な場合には界面の上方の原子層だけに集積させることにより変えることができる。十分な疎水性効果のためにフッ素含有ポリマー配列の極めて薄い層で十分である。
【0013】薄い層の作成のために低圧プラズマの使用は文献公知である("Thin Solid Films" (1997), 303 (1,2), 222-225)。可能な方法は、ペルフルオロシクロアルカンのプラズマ重合であり、これは基材上のペルフルオロアルカンの薄い被覆を生じさせる(EP0590007)。このような被覆はビニルメチルシラン又はビニルトリメトキシシランのプラズマ重合で達成することができる。この場合、側鎖にシラン又はシロキサンエステルを有するポリマーが形成され、このポリマーは多様な基材の被覆のために使用できる。この被覆は100〜200nmの起伏を有し、水に対してほぼ140゜の接触角を有する(DE19543133)。低圧プラズマ重合のための高い装置的コスト及び時間的コストは、湿式化学的方法に比べてその使用は今まで限定されていた。プラズマ及び他の物理的方法は、塗装用のポリオレフィンを準備するために、つまり活性化するため及びこうして記載と被覆との結合のための結合箇所を作成するために以前から使用されていた。他の物理的方法もこの目的で使用され、プラスチックのために有効である。JP04326965は、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシランで処理する前にPC−プレートをUV線で照射することを記載している。
【0014】他の方法において、構造化された疎油性又は疎水性表面をフッ素含有ポリマー粒子をポリマー溶融物に混合することにより作成する。このポリマーブレンドは基材の被覆のために使用される。表面の粗面性は失われないため、結合剤及び場合によりカップリング成分を添加しなければならない(EP0825241又はDE19715906)。
【0015】表面構造と表面化学との所望の組合せ、つまり疎水性を簡単な方法で得るために、例えばUS−3354022及びWO96/04123に従って、フッ素含有ポリマーのエンボス加工法が実施される。
【0016】構造化されたフッ素含有表面に関する研究の結果、エンボス加工されたフッ素含有ポリマーの表面が、エンボス加工され後から疎水化されたポリマーよりも低い疎水性を有することが確認された。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題は、エンボス加工された表面がエンボス加工されていない表面よりもより高い疎水性を有するような疎水化されたポリマーのエンボス加工方法を開発することであった。
【0018】
【課題を解決するための手段】意外にも、疎水性エンボス加工材料の使用により基材を疎水性特性を十分に得ながらエンボス加工することができることが見出された。
【0019】濡れ性に関する表面の特性決定は、表面エネルギーの測定を介して行うことができる。この大きさは例えば多様な液体の平滑な材料上での接触角の測定を介して得ることができ(D.K. Owens, R.C. Wendt, J. Appl. Polym. Sci. 13, 1741(1969))、mN/m(ミリニュートン/メートル)で表される。Owens et al.によると、平滑なポリテトラフルオロエチレン−表面は19.1mN/mの表面エネルギーを有し、その際、水の接触角は110゜である。一般に、疎水性材料は、水を用いた場合に90゜を上回る接触角を有する。
【0020】接触角もしくは表面エネルギーの測定は、より良好な比較を保証するために、有利に平滑な表面に関して行われる。この材料特性「疎水性」は表面の最上の分子層の化学的組成物により決定される。材料のより高い接触角もしくはより低い表面エネルギーは、従って被覆法によっても達成することができる。
【0021】本発明により製造された表面は、相応する平滑な材料よりも高い接触角を有する。従って、巨視的に観察した接触角は、材料特性と表面構造とを反映した表面特性である。
【0022】本発明の対象は、従って、エンボス型板が第1のエンボス加工工程の前に水素化されている、疎水性ポリマーをエンボス加工するための金属製のエンボス型板である。
【0023】もう一つの対象は、エンボス型板が第1のエンボス加工工程の前に水素化されている、金属製のエンボス型板を用いた疎水性ポリマーのエンボス加工方法である。
【0024】この方法の場合、疎水性の層がエンボス型板から基材に転写されないため、少なくとも理論的にエンボス型板の1回の疎水化で十分であることが明確に示唆されている。エンボス型板上の疎水性の層が純粋に機械的に使い果たされることは避けられないため、疎水化は規則的間隔で、例えば30回のエンボス運動の毎に繰り返すのが好ましい。
【0025】疎水性ポリマーのエンボス加工はポリマー表面上に50nm〜1000μm、有利に50nm〜10μmの高さ及び50nm〜500μm、有利に50nm〜10μmの間隔を有する構造を付与するために用いられる。
【0026】このエンボス加工は、他のポリマー(マトリックス)上に層として設置された疎水性ポリマーに関して実施することもできる。特に、このような層のために光化学的又は熱的硬化可能な塗料、例えばアクリレートシロキサン(同様に10モル%までフルオロアルキルシランで変性されている)又はアクリレートが適しており、これは同様にORMOCERe(R)又は他の添加剤を含有することができる。
【0027】フルオロアルキルシラン2〜3モル%で変性されている次のアクリレートシロキサンを使用することができる。
【0028】
【化1】

【0029】この塗料は有利に5〜250μmの層厚でポリマーマトリックス、例えばポリメチルメタクリレート、PVC、ポリカーボネート、ポリエステル又は他の透明なポリマー上に塗布され、金属製のエンボス型板でエンボス加工される。
【0030】塗料の硬化は、例えばマトリクスを通したUV照射により又は加熱により熱的に行われる。光開始剤として例えばLucrin又はIrgacure 500をそれぞれ3質量%で使用することができる。
【0031】さらに、架橋剤、例えばペンタエリトリトールトリアクリレート、−テトラアクリレート又はトリメチロールプロパントリアクリレートを添加することができる。耐摩耗性のエンボス材料を得るために、さらにSiO−粒子(10〜50nm)又はSiO−ゾルを使用するのが推奨される。塗料の硬化後に、エンボス型板引き剥がし、構造化された表面(エンボス型板に対してポジ)が得られる。
【0032】金属製のエンボス型板、いわゆる「シム(Shim)」は有利にニッケルを含有するか又はエンボス加工側が完全にニッケルからなる。エンボス型板とは構造化されたロールとも解釈される。これらの冶金学はほぼ任意であるが、有利な材料はやはりニッケルである。
【0033】エンボス型板又はエンボスロールの疎水化は、フルオロ−オルガノシラン、例えばDynasilan F(Degussa-Huels AG)を用いて行うことができる。
【0034】
【実施例】フルオロアルキルシランで変性されたアクリレートシロキサンを構造化しないか又はニッケルエンボス型板を用いて1μmの周期で構造化し、それぞれUV線で硬化させた。
【0035】水に対して約90゜(構造化せず)及び120〜130゜(構造化)の接触角が得られた。
【0036】エンボス加工しない層(図1)及びエンボス加工した層(図2)に関するESCA−試験により、エンボス加工後に、明らかにわずかな割合のフッ素基が層の表面中に見出されたことを示し、これがエンボス加工された(構造化された)材料のわずかな接触角を説明しているニッケルエンボス型板はフルオロアルキルシラン(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン)の1%アルコール溶液中に浸漬し、引き続き30分間80℃で乾燥した。フルオロアルキルシラン変性されたアクリルシロキサンを用いた新たなエンボス加工は、水に対して約150゜の接触角を有する表面を提供した。
【0037】あらかじめフルオロアルキルシラン−水解物のアルコール性溶液を用いて処理することにより、水に対して約150゜の接触角が得られ、この場合、水滴は自発的に表面から液滴なって落ちた。図3は、本発明によるエンボス加工法によるフッ素原子の濃度が妨げにならず、その結果、エンボス加工された構造の疎水性は本発明によらないエンボス工程と比べて高いことを示す。
【出願人】 【識別番号】398054410
【氏名又は名称】クレアヴィス ゲゼルシャフト フュア テヒノロギー ウント イノヴェイション ミット ベシュレンクテル ハフツング
【識別番号】594102418
【氏名又は名称】フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ
【出願日】 平成13年12月12日(2001.12.12)
【代理人】 【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄 (外4名)
【公開番号】 特開2002−210821(P2002−210821A)
【公開日】 平成14年7月31日(2002.7.31)
【出願番号】 特願2001−378403(P2001−378403)