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【発明の名称】 中空の樹脂成形体とその製造方法
【発明者】 【氏名】河上 貞之

【要約】 【課題】外観に優れ、かつ強度にも優れた中空樹脂成形体およびその製造方法の提供。

【解決手段】円周面にビードを形成したパリソンを用いて、金型の一方から他側の中空内面に向けて当接するリブを形成するようにコア部材を突き出し、吹き込み成形する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 対向する一対の面部とそれを囲む側縁部との内側に閉じられた中空部を有する樹脂成形体であって、前記一対の面部の一側内面には、略端縁間を他側の面部に向けて前記中空部を延びる第1のリブが形成され、少なくとも一部の前記第1のリブは、前記他側の面部に当接される第2のリブを有することを特徴とする樹脂成形体。
【請求項2】 対向する一対の面部とそれを囲む側縁部との内側に閉じられた中空部を有する樹脂成形体であって、前記一対の面部の一側内面には、略端縁間を他側の面部に向けて前記中空部を延びる第1のリブが形成され、前記一対の面部の他側内面には、一側の面部に向けて第3のリブが形成され、少なくとも一部の前記第1のリブは、前記第3のリブに当接されることを特徴とする樹脂成形体。
【請求項3】 少なくとも一部の第1のリブは第3のリブに当接する第2のリブを有することを特徴とする、請求項2記載の樹脂成形体。
【請求項4】 第1のリブは対向する側壁を有することを特徴とする、請求項1ないし3記載の樹脂成形体。
【請求項5】 前記側縁部の内面にリブを有する請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂成形体。
【請求項6】 対向する一対の面部とそれを囲む側縁部との内側に閉じられた中空部を有する樹脂成形体の製造方法であって、内周面にビードを有する筒状の予備成形体を押出し成形し、前記予備成形体を型キャビティ内に収容し、対向する一対の一側の面部と他側の面部とこれらの間の中空内部を一側の面部から他側の面部に延びるリブを形成しながら、前記リブを前記ビードを介して他側の面部と当接されるとともにリブと他側の面部との間には流体通路を形成し、前記内部を流体加圧して面部をキャビティ面に圧接賦形することを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】吹込み成形された樹脂中空体及び樹脂成形体を吹込み成形する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】筒状のパリソンを金型で挟持して内部に空気を吹き込み、中空成形品を製造する方法が知られている。
【0003】平板状の軽量な樹脂パネルを製造するためには、内部を中空・軽量にでき、10kgf/cm2内外の吹込み圧に耐える程度の型締力の成形機を利用して大きな投影面積の品物を成形できる点で、上記の方法が好ましい。しかし、平板状の中空品は対向する平板部が撓んで凹みやすく、剛性が得にくいとの問題がある。
【0004】特開平9−193656号には、この中空平板部の剛性を向上するため、補強リブを一体成形する方法に関する記載がある。この公報に記載のものは、キャビティの両側から縦板材(8a)を進退させ、圧着、凹面を形成することなく補強リブを形成するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この成形法は、キャビティの両側の面から縦板をパリソンに押し入れるため、クロスを挟んで成形品表面を加飾した好ましい意匠面を有する中空体を一工程で成形することができない。また、クロスの貼り付けを行わない場合であっても、型キャビティ面に縦板と周辺の一般キャビティ面との分割線が成形品の意匠面に転写されるため、見栄えが損なわれるという問題もある。この場合は、意匠面にシボを付与する場合にはシボパターンが不連続になることになる。しかも溶融樹脂を局所的に進退させる結果、その周縁部分との光沢に差異を生ずるとの問題もある。したがって、上記従来の技術を適用して外観のよい中空成形品を製造することが困難であった。また、前記の補強リブの構造では剛性の向上はまだ不十分で、例えばフロアボードなどより強度が要求されるものには満足できるものではない。
【0006】本発明は、上記従来の課題を解決した中空成形品およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を解決するため、鋭意検討した結果、対向する一対の面部に特定のリブを設けることが有効であることを見出し、本発明に至った。
【0008】すなわち、本発明は、(1)対向する一対の面部とそれを囲む側縁部との内側に閉じられた中空部を有する樹脂成形体であって、前記一対の面部の一側内面には、略端縁間を他側の面部に向けて前記中空部を延びる第1のリブが形成され、少なくとも一部の前記第1のリブは、前記他側の面部に当接される第2のリブを有することを特徴とする樹脂成形体、(2)対向する一対の面部とそれを囲む側縁部との内側に閉じられた中空部を有する樹脂成形体であって、前記一対の面部の一側内面には、略端縁間を他側の面部に向けて前記中空部を延びる第1のリブが形成され、前記一対の面部の他側内面には、一側の面部に向けて第3のリブが形成され、少なくとも一部の前記第1のリブは、前記第3のリブに当接されることを特徴とする樹脂成形体、(3)少なくとも一部の第1のリブは第3のリブに当接する第2のリブを有することを特徴とする、前記(2)記載の樹脂成形体、(4)第1のリブは対向する側壁を有することを特徴とする、前記(1)ないし(3)記載の樹脂成形体、(5)前記側縁部の内面にリブを有する前記(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂成形体、(6)対向する一対の面部の内側に閉じられた中空部を有する樹脂成形体の製造方法であって、内周面にビードを有する筒状の予備成形体を押出し成形し、前記予備成形体を型キャビティ内に収容し、対向する一対の一側の面部と他側の面部とこれらの間の中空内部を一側の面部から他側の面部に延びるリブを形成しながら、前記リブを前記ビードを介して他側の面部と当接されるとともにリブと他側の面部との間には流体通路を形成し、前記内部を流体加圧して面部をキャビティ面に圧接賦形することを特徴とする樹脂成形体の製造方法、に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の樹脂成形体の中空部はリブが一側の面部から他側の面部に向かって形成される。他側の面部には一体のキャビティ面を有する金型面が転写され、キャビティ面からパリソンに向かって突出される縦板材などの痕跡を生じない。これは、意匠面として好適な他側の面部においては、パリソンが延伸陥没され再び復元されるなどの激しい動きを伴わないので、樹脂の賦形過程における局所的な動きによる色調や光沢の変化を生じることがなく、均一または連続的な変化の外観になる。またそのような金型によれば、織布、不織布、木目柄などを付与した樹脂シートなどを一体に貼り付けることも容易である。
【0010】第1のリブはキャビティ内に所定高さに立設された固定的なコア部材によってもよいし、所定ストロークで出没可能なものによってもよい。所定ストロークは、第1のリブを形成するためのコア部材を金型のキャビティ面と面一(フラッシュ・サーフェス)になるように後退させてもよいし、キャビティ面から突出状態になるように後退してもよい。また、キャビティ面よりもさらに後退した状態とすることもできる。この場合には、一側の外方に突出する部分が形成され、これがリブに一体に補強された脚部として有用である。
【0011】少なくとも一部の第1のリブは、必ず他側の面部に接することを要する。少なくとも一部の第1のリブは、パリソンの押出し成形時に一体に形成したビード(第2のリブおよび/または第3のリブ)を介して他側の面部に接することが重要である。第1のリブがビード(第2のリブおよび/または第3のリブ)を介して他側面部に接していないと、他側の面部が第1のリブで支持されないため、中空成形体の剛性が得られず、押圧されると面が下がってしまうからである。また、コア部材を後退させる場合にあっては、第1のリブの先端形状が成形過程で溶融状態にあるために動くことができるので、所定の形状が得られない。
【0012】ビードは一側の面にあっても、他側の面にあっても、双方の面にあっても、さらにはこれらに加えて面部を囲む側縁内部にあってもよい。一側の面にあるときは、第1のリブを補強するとともに、少なくとも一部のリブの先端部に突起を形成するから、この突起(第2のリブ)で他側の面に当接する。突起のない箇所は他側の面に接しないから流体通路が形成され、吹込み成形に際しては少ない箇所、例えば1箇所からの吹き込みによって全体に流体圧を加えることができる。したがって、流体圧が全体に均一にかかる。また、複数のブローノズル(ブローピン)を要しないので、複雑な機構を要しないから、設備コスト面でも好ましい。
【0013】ビードは他側に形成されてもよい。この場合には、他側、通常意匠面として利用される面の剛性を高めることができる。また、ビード以外の場所は対向する面を接触させないようにして、流体通路とする。したがって、上記一側と同様の作用を奏する。また、他側はコア部材によらない吹込み成形においてもシンプルな樹脂挙動による平坦な形状の賦形ができる。したがって、ビードの延伸が少なく、補強効果が保持される。
【0014】さらに、ビードを両側に形成した場合は、基本的にこれらの効果が相加的に発現されるのでより好ましい。ビードはさらに一対の面部を囲む周縁部の内面に形成されてもよい。この場合には周縁部を補強することができる。
【0015】
【実施例】本願発明の好ましい実施例を説明する。図1は車両Vの後部室内を示したもので、自動車の内装パネルであるフロアボード1は、前後ボード2、3を組み合わせラゲッジスペースLのフロア面Fを形成するもので、フロア面下にスペアタイヤSや工具Tなどを収容する凹部を覆っている。なお、インシュレータ4は凹部に嵌めこまれ、前記スペアタイヤSや工具Tを収容する箇所を除いて、フロア面Fに平行は上面部4aを有している。インシュレータ4はポリプロピレンビーズを型内で発泡させて成形したものである。
【0016】図1の前ボード2のA部を図2に示した。図1に示されるように後ボード3は縁部をアーチ形にし、引き上げフックが設けられる等、形状を多少異にするが、基本的にはボード2と同一の構造を採用している。
【0017】前ボード2は図2においては下面22を上向きに示してあり、周縁部24が額縁状をなして形成されているほか、碁盤目状のリブ23、28が下面22のほぼ全面に亘って形成されている。すなわち格子状の溝となって上面21に向かって突出している。
【0018】前ボード2の長手方向の側縁24aに沿ってビード25が形成されている。上下面21,22の板厚はおよそ2.0mm、ビード25の高さはおよそ0.8mmで、前ボード2はポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、変性PPO樹脂などによる中空成形品で、上面21に梨地シボを付しさらに帯状の突起21aを付して意匠面としてある。
【0019】次に成形方法を説明する。図3はブロー成形機のヘッド部分10を示しており、図3(a)は、図示しないスクリュー式押出装置のアキュムレータから送られる溶融樹脂を筒状に吐出するためのダイス11及びノズル12で、ノズル12は下降してリング状の吐出口14が開いた状態になっている。ノズル12の端縁部15には円筒面状をなす切欠部16が所定の間隔で全周に亘り形成されている。アキュムレータから送られた樹脂は、図3(b)に示すように、吐出口14の開口形状に倣った断面形状を持つ筒状のパリソンPを形成する。すなわち、上下方向に連続するビードBが内周面に切欠部16相当箇所において形成されたものとなる。
【0020】なお、パリソンPは板厚2.5〜4mm、実施例では3.0mm、ビードBの高さは1.0〜1.8mm、実施例のものは1.5mmである。
【0021】次に、図4は、金型上方から見たその横断面説明図である。図4に横断面で示すように、成形型30の一対の金型31,32のキャビティ31c、32cの間にパリソンPを降ろす。キャビティ31cにはコア部材33が金型32のキャビティ32cに向けて形成されている。なお、説明の容易化のため、横方向に形成したコア部材33のみを示し、縦方向のコア部材は省略した。成形型30がパリソンPに接触する前に、パリソンPの下方の端末を通常の方法で挟んで平らに潰し、開口を閉じる。金型31側には図示しない矢印D1方向に前進可能なブローピンが用意され、閉じられたパリソンPの内圧を僅かに高める、いわゆるプリブローを行う。
【0022】パリソンPを中心に金型31,32をそれぞれD1、D2方向に動かし、成形型30を閉じる。
【0023】図5は型閉め開始後コア部材33がパリソンに突き当たるときの金型横断面説明図である。
【0024】図5に示すように、型閉め過程でコア部材33がパリソンPの側壁に当たって内部に陥入され、ビードBはコア部材33に沿って波形に延伸される。パリソンPはコア部材33によってD1方向に振られ、金型32のキャビティ32c内面に押し当てられる。パリソンPはコア部材33およびキャビティ32cの中央部で先に接触し、端末にかけて順に接触してゆき、完全に成形型30が閉じると同時にブロー圧を高め、例えば8kgf/cm2のエアーを吹き込みパリソンPをキャビティ31c、32c面に押し当てて中空に賦形する(図6)。なお、図6においては説明のためにビード25同士が対面した場合を示している。ビード25が内面に形成されており、このビード25は対向する面のビード25と接触し、溶着されて、前ボード2の強度を高める。すなわち、フロア面Fのペコつきをなくすことができる。また、ビード25間のリブ23の先端部は上面21に対して隙間26を持つので、リブ23は内部にさらに閉鎖した空間を形成せず、前ボード2は内部が構造的に仕切られて強化されつつも、単一の空間を形成するため、この空間の一箇所から吹き込むことによって、全体にエアー圧を加えて成形できる。したがって、単一のブローピンから吹き込むだけでよく、複雑な装置を必要としない。また、前ボード2を水洗いする場合を想定すれば、一箇所、すなわち前記ブローピンを刺し込んだ箇所のみをシールするだけでよい。したがって、ラゲッジフロア用のフロアボードとして使い勝手を容易に向上できる。なお、先にも付言したように、図4では、説明のためにリブ23を形成するためのコア部材33を横方向のみ図示した。しかし、この実施例では、図2に示したとおり、コア部材33は縦横に配されるものであり、したがって、成形過程におけるビードBの挙動はさらに複雑である。すなわち、横方向のコア部材33に加え、縦方向のコア部材がパリソンPに陥入され、その位置がビードBの中央に対応する位置となる場合もあり、またビードBの左側傾斜面に位置する場合あり、その逆に右側傾斜面に位置する場合もある。したがって、格子状のコア部材がビードBの形成されたパリソンPの一面に押し当てられる場合、コア部材とビード25との相対位置関係は一様ではない。
【0025】たとえば、リブ23、28の先端部ではコア部材33との相対的動き(ずれ)が殆んど生じないため、ビードがリブ23、28の先端部にある場合にはビードの高さは維持される。また、縦方向のコア部材がビードの傾斜面を延伸する場合にはリブ23の板厚を補うように作用する。したがって、縦方向のコア部材により形成されるリブ23は、図2においてCに示すように対向するビード同士が当接する場合を除き、ブローピンから吹き込まれる流体が中空部全体にわたって流れるように、対向面21との間に隙間26を有する。そして、ビードB二つ分より僅かに狭い寸法に隙間26の寸法を設定してやることができる。前ボード2は、この成形体の外周のバリ27をカッターで切除して完成される。
【0026】なお、以上の実施例にあっては、ノズル12の全周に切欠部16を形成させたヘッドを用いたが、切欠部16は必ずしも全周に設けられる必要はない。
【0027】例えば、前ボード2の上面21側に対応する位置に限定して設けることができるし、あるいは下面22側に対応する位置に限定して設けてもよいし、さらには、上下面21,22の幅の一部分にビード25を形成できるように設けてもその効果が発現できる。
【0028】図7は他の実施例である。金型32のキャビティ32cに予備賦形した表皮29を置き、一体にブロー成形する。表皮はジャージ地にポリプロピレン樹脂の不織布をバッキングしたもので、真空成形してキャビティ32cの形状に合わせて予備賦形されている。
【0029】成形工程は上記先の実施例と同様である。一体に成形した後、バリとともに表皮29の余部29aを切除して成形を完了する。
【0030】このように、一側が単純な平坦面であるので、加飾材を組み合せた一体成形も容易に行え、見栄えを向上できる。
【0031】図8はさらに他の実施例である。図8は、金型40の縦断面説明図である。
【0032】コア部材43に図示しない駆動機構を連結させてあり、金型40を開いた状態では、コア部材43を金型41に前進限で止めてある。したがって、成形型30における成形工程の前半と同じ工程で成形を行う。この実施例の特徴は、金型40が閉じた直後、コア部材43を後退させる点にある。コア部材43を後退させる態様としては、図9(a)に示すように、金型41のキャビティ41cの表面に先端が一致するように後退させる場合、図9(b)のように、キャビティ41cよりも突出させた状態で、すなわちコア部材43をパリソンP内に残す場合、あるいは、図9(c)のように、コア部材43をキャビティ41cの表面からさらに後退させる場合がある。
【0033】リブ53において、ブロー圧によってコア部材43の存在しない箇所は押し潰されて中実になる。図9(d)はリブ53を対向するパリソンに当てずにブローした状態を示し、コア部材43が抜けた後のリブは自重で垂れ下がり、あるいはブローエアーに吹き動かされて位置が定まらず、補強効果を生じない。
【0034】以上のリブ53がビード55に当てられ、リブ53が位置決めされるとともに、ビード55が存在する箇所で連結され、それ以外の箇所はブロー圧が加わる隙間26となるため、一のブローポイントから吹き込むことによって全体を膨らますことができる。
【0035】
【発明の効果】以上説明した通り、本願発明によれば、軽量で強度の大きく外観のよい樹脂中空成形体が得られ、そのような樹脂中空成形体をシンプルな工程により製造することができる。
【出願人】 【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
【出願日】 平成13年1月17日(2001.1.17)
【代理人】 【識別番号】100094709
【弁理士】
【氏名又は名称】加々美 紀雄 (外2名)
【公開番号】 特開2002−210809(P2002−210809A)
【公開日】 平成14年7月31日(2002.7.31)
【出願番号】 特願2001−9172(P2001−9172)