トップ :: B 処理操作 運輸 :: B29 プラスチツクの加工;可塑状態の物質の加工一般




【発明の名称】 ゴム組成物の製造方法
【発明者】 【氏名】後藤 佳昭

【要約】 【課題】白色無機質充填剤を含むゴム組成物を分散性がよく、且つ生産性を損なうことなく製造する方法、特にタイヤのインナーライナー用ゴム組成物を提供すること。

【解決手段】混練ミキサーにより、白色無機質充填剤とゴムとを混練するに際して、ゴムを先行して予備練りした後に、続いて白色無機質充填剤を添加することを特徴とするゴム組成物の製造法である。特に圧縮度30%以上の白色無機質充填剤に適用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 混練ミキサーにより、白色無機質充填剤とゴムとを混練するに際して、ゴムを先行して予備練りした後に、続いて白色無機質充填剤を添加することを特徴とするゴム組成物の製造方法。
【請求項2】 ゴムを10秒間以上予備練りした後に、白色無機質充填剤を添加する請求項1に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項3】 白色無機質充填剤が、圧縮度30%以上の粉体である請求項1又は2に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項4】 白色無機質充填剤が、シリカ,アルミナ,クレー及び炭酸カルシウムの群から選ばれた少なくとも一種の充填剤である請求項1ないし3のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項5】 白色無機質充填剤が、ゴム成分100重量部に対して20〜210重量部である請求項1ないし4のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項6】 前記ゴムが、ブチル系ゴムである請求項1ないし5のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項7】 前記ゴム組成物がタイヤインナーライナー用ゴム組成物である請求項1ないし6のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム組成物の製造方法に関するもので、さらに詳しくは白色無機質充填剤の分散性が良好なゴム組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、白色無機質充填剤は、淡色ゴム製品用着色剤,ゴム増量剤,ゴム補強剤,ゴム物性改良剤などとして用いられているが、白色無機質充填剤は、カーボンブラックと比較してゴムへの分散性が困難なものが多い。通常、白色無機質充填剤を配合したゴム組成物の製造においては、混練り時間を短縮するためにゴムと充填剤とを同時に投入して混練りすることが行われている本発明者は、白色無機質充填剤のゴムへの分散性について検討の結果、一般に容器中の粉体流動性の指標とされている圧縮度なる概念が、ゴム混練りにおける充填剤の分散性と密接な関係があることを知見した。すなわち、圧縮度が高い充填剤は、混練ミキサーでの混練時には、ローターの回転によりゴムが流動化すると同時に充填剤自身を圧縮してしまうため、結果として練りゴム中に充填剤の大きな凝集塊が散在することとなる。このため、意図的に混練時間を長くしたり、或いは練りあがったゴム混練物を再度所望のものが得られるまで繰り返し練りなおすなどの方法も考えられるが、一旦ゴム中に形成された凝集塊の再分散は容易ではない。この傾向は、特にゴムとしてムーニー粘度が低いブチル系ゴムを用いた場合に顕著であるが、これは、ゴム混練り時の剪断作用が得られ難いためと考えられる。このように白色無機質充填剤のゴムへの分散性が充分でない場合には、ゴム物性に悪影響を与え、例えばブチルゴムを主成分ゴムとするタイヤのインナーライナー用ゴム組成物においては、耐屈曲クラック性や耐空気透過性の低下を招き易いという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような状況下で、白色無機質充填剤を含むゴム組成物を分散性がよく、且つ生産性を損なうことなく製造する方法、特にタイヤのインナーライナー用ゴム組成物を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、混練ミキサーにて、ゴムを先行練りした後に、充填剤を加えて混練りすることにより、凝集塊が形成されることなく、充填剤の分散性の向上に有効であることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。すなわち本発明は、混練ミキサーにより、白色無機質充填剤とゴムとを混練するに際して、ゴムを先行して予備練りした後に、続いて白色無機質充填剤を添加することを特徴とするゴム組成物の製造方法を提供することにある。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の方法においては、混練ミキサーで、先ずゴムの予備練りした後、白色無機質充填剤を添加することが必要である。ここで、混練ミキサーには、バンバリーミキサー,混練押出機などが用いられるが、通常は高能率の混練りが可能なバンバリーミキサーが用いられる。白色無機質充填剤の添加に先行して予備練りを行うのは、練ゴム中に充填剤の凝集塊が一旦形成してしまうと、その後の再分散が困難となるからである。特に後述する圧縮度が30%以上の充填剤を配合する場合にはこの傾向が大きい。したがって、混練りの初期段階において、凝集塊を発生させないために、まずゴムを予備練りしてゴムの流動化を確保し、その後に充填剤を投入することで充填剤自身が圧縮される前に、スムーズにポリマー中に取り込まれるという作用により、分散性が良好な練りゴムが得られる。
【0006】前記の予備練りの時間は10秒以上が好ましい。10秒未満では白色無機質充填剤の充分な分散性が得られないことがある。一方、予備練りの時間が20秒以上では、それ以上の分散性の向上は小さく、また生産性が低下する。これらのことから、さらに好ましい予備練りの時間は10〜20秒である。本発明のゴム組成物の製造方法においては、先ずゴムを予備練りして後、続いて白色無機質充填剤を添加することが必要である。この場合、ゴムの予備練り段階においては、ゴムのみを予備練りすることが好ましいが、白色無機質充填剤を除く他の配合剤を適宜添加して混練りしてもよい。ここで、他の配合剤としては、例えばプロセス油,老化防止剤,スコーチ防止剤,亜鉛華,ステアリン酸,カーボンブラック,硫黄,加硫促進剤などが挙げられる。
【0007】また、白色無機質充填剤としては、例えばシリカ(乾式シリカ及び湿式シリカ),ケイ酸カルシウム,ケイ酸アルミニウムなどのケイ酸系充填剤、カオリン質クレー,パンロフィライト質クレー,セリサイト質クレーなどのクレー(主成分は含水ケイ酸アルミニウム)、タルク(含水ケイ酸マグネシウム)、炭酸カルシウム,塩基性炭酸カルシウム、アルミナなどが挙げられるが、これらの中では、シリカ,クレー,アルミナ(含水アルミナ,例えば昭和電工製;商標「ハイジライトH−43M」),炭酸カルシウムが好ましく適用される。また、特に白色無機質充填剤の圧縮度は30%以上のものが好ましい。ここに、圧縮度は、粉体流動性パウダーテスター〔ホソカワミクロン(株)製〕を用い下記により測定されたものである。まず、JIS K6721に規定された「かさ比重」d1を測定し、続いてパウダーテスターの粉体受器を軽く叩き、これにより容器内の粉体が締まり、体積が減った分に更に粉体を追加する。このような追加を3回繰り返した後、改めて同様にして「かさ比重」d2を測定し、次式(I)により圧縮度を求めた。
圧縮度(%)=(d2−d1)×100/d2 ・・・(I) 本発明において、ゴムに添加される白色無機質充填剤は、その一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その含有量は、ゴム成分100重量部当たり、20〜120重量部の範囲で選定される。また、カーボンブラックの添加量は0〜90重量部が好ましい。90重量部を超える場合には白色無機質充填剤の充分な分散性が得られないことがある。
【0008】また、ゴム成分としては、例えば天然ゴム(NR),イソプレン合成ゴム(IR),ポリブタジエンゴム(BR),スチレン−ブタジエンゴム(SBR),アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR),クロロプレンゴム(CR),ブチルゴム(IIR)やハロゲン化ブチルゴムなどのブチル系ゴム,エチレン−プロピレンゴム(EPDM)などが挙げられるが、これらのゴムは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明は、上記のゴムのうち、ブチル系ゴムを用いた場合に効果が顕著であるので、特にブチル系ゴムを主成分とするインナーライナー用ゴム組成物の製造に好適に用いられる。この場合、ゴム成分としては、ブチル系ゴム70〜100重量%を含むものが好ましく用いられる。ブチル系ゴムが70重量%未満では充分な耐空気透過性が発揮されにくい。ここで、ブチル系ゴムとしては、耐空気透過性と加硫速度などの点からハロゲン化ブチルゴム、例えば塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、その他のブチル系変性ゴムも含まれる。具体的には、塩素化ブチルゴムとしては「Enjay Butyl HT10−66」(エンジェイケミカル社製、商標)があり、臭素化ブチルゴムとしては「ブロモブチル2255」(エクソン社製、商標)がある。また、変性ゴムとしてイソモノオレフィンとパラメチルスチレンとの共重合体の塩素化又は臭素化変性共重合体を用いることができ、例えば「Expro50」(エクソン社製、商標)などとして入手可能である。これらのブチル系ゴムは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0009】本発明におけるゴム組成物の製造方法は、特にブチル系ゴムが70重量%以上のゴム分と、該ゴム100重量部に対して白色無機質充填剤20〜210重量部を含むゴム組成物の製造に好適に用いられ、このため、特に充填剤の凝集塊の存在による耐空気透過性及び耐屈曲クラック性の低下が大きいタイヤインナーライナー用ゴム組成物の製造方法に好適に用いられる。
【0010】
【実施例】次に、本発明を実施例により、さらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、得られた各ゴム組成物の物性は下記の方法に従って求めた。
(1)白色無機質充填剤の分散性サンプル画像とリファレンス写真との比較により、比較例1のものを100として、指数表示した値である。この凝集塊率は充填剤の分散度を表し、数値が大きいほど、分散が良好である。
(2)耐屈曲クラック性ゴム組成物を145℃で45分間加硫し、JIS K6301の屈曲試験法に準じ試験片を作製して屈曲試験を実施した。試験片に10mmのクラックが発生するまでの時間を、比較例1を100として指数値で示した。数値が大きいほど、耐屈曲クラック性に優れていることを示す。
【0011】実施例1ハロゲン化ブチルゴム100重量部に、カーボンブラック(GPF)40重量部,圧縮度40%のクレー30重量部,プロセスオイル10重量部、亜鉛華3重量部、加硫促進剤(ノクセラーDM、大内新興化学社製)1重量部及び硫黄1重量部を含有するゴム組成物を、以下に示す方法に従って製造した。図1に示すバンバリーミキサー1に、まず、上記ハロゲン化ブチルゴムを原材料投入口6より投入し、ラム2を下げ、15秒間予備練りを行った後に、ラム2を上げて前記のゴム配合剤を全て投下しラム2を下げて、ケース4内で回転するローター3により180秒間混練りを行ない、排出口7より落下した。このようにして得られたゴム組成物の性状を第1表に示す。
比較例1実施例1において、ゴムのみの予備練りは行わず、最初からゴムと共に全配合剤を投下したこと以外は実施例1と同様にして、200秒間の混練りを行った。このようにして得られたゴム組成物の性状を第1表に示す。
【0012】
【表1】

【0013】第1表から分かるように、実施例1ゴム組成物は、比較例1のものに比べて、充填剤クレーの分散が良く、また、得られたゴム組成物は耐屈曲クラック性及び耐空気透過性に優れており、インナーライナー用ゴム組成物として好適なものであった。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、白色無機質充填剤を含むゴム組成物を、分散性がよく、且つ生産性を損なうことなく製造することができ、特にブチル系ゴムを主成分とするゴム組成物の製造に好適に適用される。したがって、本発明によれば、耐屈曲クラック性及び耐空気透過性の双方が向上したゴム組成物を効率よく製造することができるので、タイヤのインナーライナー用ゴム組成物として好適に用いられる。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成13年5月23日(2001.5.23)
【代理人】 【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
【公開番号】 特開2002−347022(P2002−347022A)
【公開日】 平成14年12月4日(2002.12.4)
【出願番号】 特願2001−153589(P2001−153589)