| 【発明の名称】 |
生分解性吸音性樹脂 |
| 【発明者】 |
【氏名】山下 征士
【氏名】佐竹 茂
【氏名】影山 裕史
【氏名】筒木 ▲徳▼
【氏名】稲生 隆嗣
【氏名】三根 勝信
【氏名】礒部 泰充
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| 【要約】 |
【課題】低・中周波数域の音を効率よく吸音することができる生分解性樹脂成形体の提供。
【解決手段】生分解性繊維と、該生分解性繊維を相互に結着して形状を形成するバインダーと、繊維間の空間に開口性の膜を形成する膜形成剤とを有する生分解性樹脂成形体。この成形体は、低・中周波数域の音を効率よく吸収することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生分解性繊維と、該生分解性繊維を相互に結着して形状を形成するバインダーと、繊維間の空間に開口性の膜を形成する膜形成剤とを有する生分解性樹脂成形体。 【請求項2】 前記バインダーと膜形成剤とが同一の生分解性樹脂である、請求項1に記載の生分解性樹脂成形体。 【請求項3】 請求項1又は2に記載の生分解性樹脂成形体の製造方法において、溶剤100重量部に対して1〜50重量部のバインダー兼膜形成剤である樹脂を溶解した溶液を、生分解性繊維に十分に含浸せしめ、前記溶剤を乾燥除去することを特徴とする方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、吸音性、特に低・中周波数域の吸音性に優れた生分解性樹脂成形体に関する。 【0002】 【従来の技術】自動車が発生する騒音のかなりの部分が低・中周波数帯域(500Hz〜2000Hz)にあり、この帯域の吸音性能の高い吸音材が車外騒音、車内騒音及び車内の静粛性の保持のために重要である。しかしながら、従来の繊維系吸音材においては、この低・中音帯域の吸音効果が低い傾向があった。そして、この帯域の吸音効果を上げるためには繊維密度を高くしなければならず、吸音材の重量が大きくなるという欠点があった。 【0003】一方、物品の使用後の廃棄にあたっては環境汚染の防止の観点から、自然環境化で分解・消滅する生分解性樹脂の使用が知られている。例えば、特開2000−344926号公報には、生分解性の吸音材として微粉末状無機質機能付与剤を含むセルロースアセテート発泡体が開示されている。しかしながら、低・中周波数帯域の吸音効果の優れた生分解性樹脂形成体は知られていない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、低・中周波数帯域の吸音効果に優れた生分解性樹脂形成体を提供しようとするものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため本発明者らは種々検討した結果、生分解性繊維をバインダーで結着して形状を形成したものにおいて、繊維間に開口性の膜を形成することにより、上記の課題が達成されることを見出した。従って本発明は、生分解性繊維と、該生分解性繊維を相互に結着して形状を形成するバインダーと、繊維間に開口性の膜を形成する膜形成剤とを有する生分解性樹脂成形体を提供する。 【0006】上記の開口性膜は、溶剤中に限定された濃度の膜形成剤溶液を調製し、これを生分解性繊維に十分に含浸させた後、前記溶剤を乾燥除去することにより形成される。従って本発明はまた、前記の生分解性樹脂成形体の製造方法において、溶剤100重量部に対して1〜50重量部の膜形成剤を溶解した溶液を、生分解性繊維に十分に含浸せしめ、前記溶剤を乾燥除去することを特徴とする方法を提供する。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明において使用する生分解性繊維としては、天然繊維、例えば麻(亜麻、ラミー、マニラ麻、サイザル麻、ケナフ、ジュート等)、綿など、並びに生分解性合成樹脂性繊維、例えば、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリエチレンサクシネート、ポリビニルアルコール、酢酸セルロース、澱粉変性樹脂、セルロース変性樹脂などを繊維化したもの、などが挙げられる。 【0008】本発明に使用するバインダー、及び膜形成剤としては、同一物質でもよく、また異る物質であってもよく、生分解性の物質として、例えばポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリエチレンサクシネート、ポリビニルアルコール、酢酸セルロース、澱粉変性樹脂、セルロース変性樹脂等が挙げられ、この場合は溶剤、例えば水、有機溶剤等に溶解して使用される。 【0009】発明のバインダーは各生分解性繊維に付着し、且つ複数の生分解性繊維を相互に結着して、生分解性樹脂の形状を形成する機能を有し、膜形成剤は複数の繊維により構成される空間に開口性の膜を形成する機能を有しており、バインダーと膜形成剤は機能的に別のものとして把握することができるが、1種類の物質に両機能を負わせることもできる。 【0010】バインダーと膜形成剤とが異る樹脂である場合、生分解性繊維100重量部に対するバインダーの量は好ましくは5〜150重量部であり、さらに好ましくは5〜150重量部である。また、生分解性繊維100重量部に対する膜形成剤の量は好ましくは5〜150重量部、さらに好ましくは5〜150重量部である。また、バインダーと膜結合剤が同一の樹脂である場合、生分解性繊維100重量部に対する樹脂の合計量は好ましくは5〜200重量部であり、さらに好ましくは5〜200重量部である。 【0011】図1は本発明の生分解性樹脂成形体の微視的構造を模式的に示したものであり、多数の生分解性繊維1がバインダー2により結着されて所定の形状が形成されており、複数の繊維により形成される空間3に、膜形成剤による膜4が形成されており、この膜のあるものは開口5を有する。一般に、吸音材の通気抵抗と吸音率との関係は、通気抵抗がある値に達するまでは通気抵抗の増加と共に吸音率が増加し、それより通気抵抗が増加すれば逆に吸音率は低下する。繊維間に形成される空間に開口を有する膜を形成することにより、最大の吸音率を示す通気抵抗を得ることができる。 【0012】生分解性繊維をバインダーにより成形し且つ繊維間に形成される空間に開口を有する膜を形成するには、溶剤中に制限された所定濃度のバインダー兼膜形成剤としての樹脂、好ましくは生分解性樹脂を溶解して溶液を調製し、これを生分解性繊維に十分に含浸せしめ、次に上記溶剤を乾燥除去するのが好ましい。この場合のバインダー兼膜形成剤の濃度としては、溶剤100重量部当り、バインダー兼膜形成剤の量を1〜50重量部、例えば5重量部とする。この量が少なすぎると膜の形成が不十分となり、他方、多過ぎると開口の形成が不十分となる。 【0013】本発明の樹脂成形体を製造するための他の方法は、繊維に、所定量のバインダー兼膜形成剤を溶解した溶液をスプレーし、型に入れて成形し乾燥する方法である。本発明の樹脂成形体を製造するための他の方法は、繊維を芯鞘構造とし、この際鞘を構成する樹脂量を多くし、型に入れて熱成形し、鞘部分の樹脂を融伸して膜を形成する方法である。 【0014】 【実施例】次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。 実施例1.酢酸セルロース繊維を綿状にし、0.8kg/m2 の密度で型に入れて板状に圧縮し厚さ1.5cmの板状にした。他方、水100重量部に対して5重量部のポリビニルアルコールを混合し、70℃において加熱撹拌し、ポリビニルアルコール水溶液を調製した。この溶液に前記酢酸セルロース板を浸漬し、繊維の内部まで十分にポリビニルアルコール溶液が浸透するように放置した。次に酢酸セルロースを溶液から引き上げ、脱型し、80℃にて乾燥した。 【0015】比較例1.酢酸セルロース繊維を綿状にし、0.8kg/m2 の密度で型に入れ板状に圧縮して厚さ1.5cmの板を作製した。 比較例2.酢酸セルロース繊維を綿状にし、1.6kg/m2 の密度(比較例1の2倍)で型に入れ板状に圧縮して厚さ1.5cmの板を作製した。 【0016】実施例1並びに比較例1及び2において作製した酢酸セルロース板につき、周波数(kHz)と吸音効果(相対比)との関係を図2に示す。比較例1(図2のA)の板は広範囲の周波数域にわたり吸音効果が十分でなかったのに対して、酢酸セルロース繊維の密度を2倍にした比較例2(図2のB)の板においては、吸音効果は向上したが、2kHz 以下の低・中周波数域の吸音効果は十分でなかった。これに対して、実施例1(図2のC)の板では、周波数2kHz 以下の吸音効果が非常に改善された。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年5月14日(2001.5.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077517 【弁理士】 【氏名又は名称】石田 敬 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−337144(P2002−337144A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月27日(2002.11.27) |
| 【出願番号】 |
特願2001−143593(P2001−143593) |
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