| 【発明の名称】 |
セラミックコンデンサー製造用キャリヤーシートおよび製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】森本 幸朗
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| 【要約】 |
【課題】均一なセラミックグリーンシート薄膜を製造することができ、製造工程での取り扱いが容易なセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシートおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも2層以上の共押出ポリエステルフィルムからなり、該フィルム中の長径50μm以上のフライスペックが0.3m2当り5個以下であり、該フィルムの一方の表面に離形層を設けたセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシートを用いる。更に共押出方法を用いることでキャリヤーシートの生産性がより向上するといった優れた効果が得られる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも2層以上の共押出ポリエステルフィルムからなり、該フィルム中の長径50μm以上のフライスペックが0.3m2当り5個以下であり、該フィルムの一方の表面に離形層を設けたセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシート。 【請求項2】 離形層を設ける側の層の中心線平均表面粗さ(Ra)が10〜60nm、離形層を設ける側の層の10点平均粗さ(Rz)が500nm以上であることを特徴とする請求項1記載のセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシート。 【請求項3】 共押出ポリエステルフィルムの厚みが10μm以上250μm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシート。【請求項4】 共押出ポリエステルフィルムの各層が、それぞれ平均粒径の異なる少なくとも2種以上の滑剤粒子を含有することを特徴とする請求項1,2または3に記載のセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシート。 【請求項5】 シリコーンに対し易接着性のプライマー層が、離形層と、離形層を設ける側のポリエステルフィルム表面の間に形成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシート。 【請求項6】 共押出ポリエステルフィルムを構成するポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシート。 【請求項7】 2種以上のポリエステル組成物を共押出して2層以上の多層フィルムを製造するにあたり、共押出後のフィルム中における長径50μm以上のフライスペックを0.3m2当り5個以下にせしめ、かつ該フィルムの一方の表面に離形層を設けることを特徴とするセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシートの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシートに関し、更に詳しくはセラミックコンデンサーを構成する薄膜で平坦な表面のセラミックグリーンシートを製造することができるキャリヤーシートおよび製造方法に関する。 【0002】 【従来の伎術】セラミックチップコンデンサーは電子機器の小型化に伴い、近年その使用量の伸びは著しいものがある。特に、移動体通信機器などの小型化、低消費電力化に伴った使用量の伸びはめざましい。従来、このセラミックチップコンデンサーは、セラミック粉体、溶剤、バインダー及びその他の添加剤(可塑剤、分散剤、帯電防止剤など)を適当な機械的分散方法により均質に分散させたスラリーを流延キャスト法によりポリエチレンテレフタレートフィルム等のキャリヤーシート上に塗布し、次いで乾燥してセラミックグリーンシートを作成し、そのシート上に内部電極を印刷し、所定の大きさに裁断したものを積層、焼結し、外部電極を取り付けることにより製造していた。特に、セラミックグリーンシートを形成させる段階での厚さの精度が、最終的なチップコンデンサーの電気的性質に大きく影響を与えるため、スラリーの調製のみならずキャリヤーシートに対しても、表面の異物、均一平面性、厚み均一性など高精度の表面特性が要求されてきた。 【0003】例えば、キャリヤーシートの表面に大きな突起が存在すると、この突起によるキャリヤーシート表面の凸状形状がセラミックグリーンシートに凹状に転写される。そして、この凹状に転写された部分がセラミックグリーンシートの形状欠陥となる。また、電子機器の小型化に伴って、チップコンデンサー自体も小型化されてきたため、1層のセラミックグリーンシートの厚みは数μm程度まで薄層化する必要があり、キャリヤーシート表面の突起がセラミックグリーンシートに対し、単なる凹みに止まらず、貫通したピンホールとなり、その後の工程において種々の不良が発生するという重大な問題を引き起こすことから、従来よりもキャリヤーシートの表面特性に対する要求が厳しくなってきた。 【0004】このキャリヤーシート表面の突起の原因は、キャリヤーシート表面に付着したごみなどの異物の他に、キャリヤーシートを構成する樹脂に含まれる内部添加剤、特に滑剤などフィラーの粗大粒子による場合が多い。前者の表面異物は、キャリヤーシートの製造工程をクリーン化することで滅少させることができるが、後者の内部異物は、フィラーの粒径を小さくしさらにその添加量を下げるとともに溶融樹脂をフィルターに通し、ある一定サイズ以上の内部異物を除去するなどの対策が必要となる。 【0005】しかし、単に滑剤の粒径を小さくし、さらにその添加量を下げた場合、キャリヤーシートの表面粗さは著しく平坦となり、シート間の滑りが悪くなりシート同士が張り付く問題が生じる。特に、キャリヤーシートの表面にシリコーン樹脂の離形層を設けた場合はブロッキング性が高くなり、上記の問題がより一層顕著となる。 【0006】そのため、セラミックグリーンシートの製造工程でのキャリヤーシートの取り扱いに重大な支障を来す恐れがある。従来、離形層を有するフィルムとしては例えば特開平10−16163号公報や特開平10−229027号公報が開示されており、片面にシリコーン離形層を有し、他方の面に微細粒子を含有する滑剤付与層が塗布された離形フィルムが提案されている。これらは離形層を有する面、微細粒子により表面粗さが制御された他方の面共に、ベースとなるポリエステルフィルムの表面に塗布層が設けられた構造を有する点が特徴である。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かかる従来技術の欠点を改良し、均一なセラミックグリーンシート薄膜を製造することができ、かつセラミックグリーンシートの製造工程でのキャリヤーシートの取り扱いが容易で、更に共押出方法を用いることで生産性にも優れたセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシートおよび製造方法を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、少なくとも2層以上の共押出ポリエステルフィルムからなり、該フィルム中の長径50μm以上のフライスペックが0.3m2当り5個以下である共押出ポリエステルフィルムを用いることで、加工作業性を保持しながら、低異物すなわち粗大突起物の少ない、セラミックコンデンサー製造用キャリヤーフィルムが得られ、更に滑剤付与層が塗布によって形成された従来の方法よりも、共押出方法を採用することで、キャリヤーシートの生産性がより優れることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0009】すなわち本発明は、少なくとも2層以上の共押出ポリエステルフィルムからなり、該フィルム中の長径50μm以上のフライスペックが0.3m2当り5個以下であり、該フィルムの一方の表面に離形層を設けたセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシートである。好ましくは、離形層を設ける側の層の中心線平均表面粗さ(Ra)が10nm〜60nm、離形層を設ける側の層の10点平均粗さ(Rz)が500nm以上であるセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシートである。また好ましくは、該共押出フィルムの厚みが10μm以上250μm以下であるセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシートである。更に好ましくは、共押出ポリエステルフィルムの各層がそれぞれ平均粒径の異なる少なくとも2種以上の滑剤粒子を含有するセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシートである。またシリコーンに対し易接着性のプライマー層が、離形層と、離形層を設ける側のポリエステルフィルム表面の間に形成されてなることを特徴とするセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシートも本発明の好ましい態様として提供される。共押出ポリエステルフィルムを構成するポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートであることが更に好ましい。 【0010】また、本発明は、2種以上のポリエステル組成物を共押出して2層以上の多層フィルムを製造するにあたり、共押出後のフィルム中における長径50μm以上のフライスペックを0.3m2当り5個以下にせしめ、かつ該フィルムの一方の表面に離形層を設けることを特徴とするセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシートの製造方法である。以下、本発明を詳細に説明する。 【0011】<ポリエステル>本発明のフィルムを構成するポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(以下、PENと略記することがある)、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする共重合ポリエチレンテレフタレート、またはエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰り返し単位とする共重合PENのいずれかである。ポリエチレンテレフタレートやPENは、ホモポリマーとしては高透明で偏光板離形用フィルムに適しており、特に機械的強度が大きい点が特長である。 【0012】本発明において、共重合体の場合の共重合成分は、主たる構成成分以外のジカルボン酸成分、ジオール成分のいずれか一成分、または両成分を適宜選択できる。このジカルボン酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等が例示でき、またジオール成分としてはトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール等の如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール、ビスフェノールAの如き芳香族ジオールが例示できる。なお、これらの共重合成分は、1種のみでなく2種以上併用していてもよい。これらの中で、イソフタル酸が透明性、引裂き強度が共に高い点から特に好ましい共重合成分として例示される。 【0013】また、本発明において「主たる繰り返し単位」とは、共重合体の構成成分において、全繰り返し単位の少なくとも90mol%、好ましくは少なくとも95mol%がエチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位であることを意味する。この範囲内であれば、共重合成分の割合は特に限定されないが、更に共重合ポリエチレンテレフタレートの融点が245℃〜258℃、共重合PENの融点が255℃〜268℃を満たす範囲内で共重合成分が添加されることが望ましい。共重合ポリエチレンテレフタレートにおいて、融点が245℃未満では耐熱性が劣ることになる。また熱収縮率が大きく、フィルムの平面性が低下する。また、融点が258℃より高い場合は、ポリエチレンテレフタレートとしての特徴が失われてしまい、フィルムの製膜工程における生産性が損なわれる。同様に、共重合PENにおいて、融点が255℃未満ではPENとしての特徴が失われ、機械特性や熱収縮率が低下し、一方融点が268℃より高い場合は、フィルムの製膜工程における生産性が損なわれる。 【0014】ポリエチレンテレフタレートまたは共重合ポリエチレンテレフタレートの固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃)は0.52dl/g〜1.50dl/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.57dl/g〜1.00dl/g、特に好ましくは0.60dl/g〜0.80dl/gである。この固有粘度が0.52dl/g未満の場合には引裂き強度が不足することがあり、他方、固有粘度が1.50dl/gを超える場合には、原料製造工程およびフィルム製膜工程における生産性が損なわれる。PENまたは共重合PENの固有粘度は0.40dl/g〜0.90dl/gが好ましい。固有粘度が0.40dl/g未満の場合には引裂き強度が不足することがあり、他方、固有粘度が0.90dl/gを超える場合には、原料製造工程およびフィルム製膜工程における生産性が損なわれる。 【0015】本発明におけるポリエステルは、その製法により限定されることはないが、テレフタル酸、または2,6−ナフタレンジカルボン酸のいずれかとエチレングリコール、また共重合体の場合は更に共重合成分を加えてエステル化反応させ、次いで得られた反応生成物を、目的とする重合度になるまで重縮合反応させてポリエチレンテレフタレート、PEN、共重合ポリエチレンテレフタレート、または共重合PENとする方法がある。あるいはテレフタル酸ジメチルエステル、または2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルのいずれかとエチレングリコール、共重合体の場合は更に共重合成分を加えて従来公知のエステル交換触媒、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、コバルトを含む化合物の一種または二種以上を用いてエステル交換反応させ、ついで得られた反応生成物を目的とする重合度になるまで重合触媒の存在下で重縮合反応させる方法を好ましく挙げることができる。ここで、重合触媒としては三酸化アンチモン、五酸化アンチモンのようなアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウムで代表されるようなゲルマニウム化合物、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラフェニルチタネートまたはこれらの部分加水分解物、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルカリウム、チタントリスアセチルアセトネートのようなチタン化合物が挙げられ、この中でもチタン化合物、ゲルマニウム化合物が好ましく例示される。また、上記のような溶融重合により得られたポリエステルは、必要に応じて固相状態での重合方法(固相重合)により、さらに重合度の高いポリマーとすることができる。 【0016】前記ポリエステルには、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、粘度調整剤、可塑剤、色相改良剤、滑剤、核剤などの添加剤を加えることができる。 【0017】本発明で用いられる2層以上からなる共押出ポリエステルフィルムが、各層とも同種類のポリエステルからなる積層フィルム、または各層とも異なる種類のポリエステルからなる積層フィルムのいずれであっても構わないが、各層とも同種類のポリエステルからなる積層フィルムが製膜性の点で好ましい。 【0018】<滑剤粒子>本発明のセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシートとして用いられる共押出ポリエステルフィルムには、滑剤粒子を添加してフィルムの製造工程ないし加工工程で作業性(滑り性)を確保することが重要であり、透明性をも維持するために各層の滑剤粒子の平均粒径および添加量を最適範囲に調整することが好ましい。滑剤粒子としては任意のものが選べるが、無機系滑剤としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が例示でき、有機系滑剤としては球状シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等が例示できる。 【0019】ここで、本発明における「平均粒径」とは、粒子が1次粒子の場合は、測定した全粒子の50重量%の点にある粒子の「等価球形直径」を意味する。「等価球形直径」とは、粒子と同じ容積を有する想像上の球(理想球)の直径を意味し、粒子の電子顕微鏡写真又は通常の沈降法による測定から計算することができる。また、粒子が1次粒子の凝集による2次粒子である場合は、1次粒子に示す方法での平均粒径測定で得られた粒径は実際の平均粒径より小さくなる場合があるため、粒子を含有したフィルムを断面方向に厚さ100nmの超薄切片とし、透過電子顕微鏡(例えば日本電子製JEM−1200EX)を用いて、1万倍程度の倍率で粒子を観察し、凝集粒子(2次粒子)を観察し、この写真を用いて個々の粒子の円面積に相当する直径を画像解析装置等を用いて粒子1000個について測定し、数平均した粒子径を平均2次粒径とする。 【0020】本発明の共押出ポリエステルフィルムは、少なくとも2層以上からなる共押出フィルムであり、各層に添加する滑剤粒子は、平均粒径の異なる少なくとも2種類以上からなり、それぞれの平均粒径は、離形層を設ける側の層は大粒径のものとしては500〜3000nm、好ましくは1000〜2500nm、更に好ましくは1000〜2000nmの範囲であり、小粒径のものは、好ましくは20〜800nm、更に好ましくは60〜600nmの範囲である。 【0021】大粒径粒子の平均粒径が3000nmを超えると、この面に塗布された離形層上に、厚さ3μmのセラミックグリーンシートを成形したときに、大粒径粒子に起因するピンホールなどの欠点が多くなる。また、ロールに巻いた時突起が転写してセラミックグリーンシート表面の形状欠陥となることがある。平均粒径が500nm未満の場合は、共押出ポリエステルフィルムの一方の表面に離形層を塗布し、ロール状に巻取る際に巻取り性が悪くなり、更にロールから引き出してセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシートとして用いる際に、離形層がブロッキングにより物理的ダメージを受け、セラミックグリーンシートを剥離する時にきれいに剥離できないといった問題が生じる。 【0022】また、小粒径粒子の平均粒径が800nmを超えると十分な耐擦傷性が得られにくく、20nm未満では耐擦傷性を得るためには添加量を極端に多く加える必要があり、機械物性上好ましくない。離形層を設ける側の層における、これら滑剤粒子の好ましい含有量は、ポリエステルに対し0.1重量%〜0.5重量%である。そのうち、大粒径粒子の含有量は0.005重量%〜0.020重量%、小粒径粒子の含有量は0.1重量%〜0.5重量%であることが好ましい。大粒径粒子の含有量が0.020重量%より多いと表面が粗くなりすぎ機械物性上も好ましくない。また0.005重量%より少ないと好ましい表面粗さが得られない。小粒径粒子の含有量が0.5重量%より多いと機械物性上好ましくなく、また0.1重量%より少ないと十分な耐擦傷性が得られない。 【0023】一方、共押出ポリエステルフィルムにおいて、離形層を設ける側と反対側の最外層(以下、最外層と略することがある)、並びに3(または3以上の)層の場合の中間層は、2層の場合と3(または3以上の)層の場合で滑剤粒子の好ましい平均粒径や含有量が異なる。 【0024】3(または3以上の)層の場合、最外層に含まれる滑剤粒子の平均粒径は、離形層を設ける側の層に準じる。但し、この最外層は離形層を設けない面、すなわち、セラミックグリーンシートを成形しない面であり、ピンホール等の問題が生じないため、大粒径粒子の平均粒径の上限は5000nmである。滑剤粒子の含有量は、離形層を設ける層の70%以上が好ましい。70%未満では滑り性が悪く、作業性が低下する。また、3(または3以上の)層からなる共押出ポリエステルフィルムの中間層は、ロール状に巻き取ったり、セラミックグリーンシートを成形する際、これらの作業性には直接寄与しないので、離形層を設ける層の表面形状に影響しない範囲で、滑剤粒子の平均粒径や添加量を変えても良い。なお、フィルムの透明性が問題にならないのであれば、回収ポリエステル樹脂を再利用を目的として適宜加えても良い。もし、透明性が必要であれば、中間層の滑剤粒子の含有量は、離形層を設ける層の70%以下、更には50%以下であることが好ましい。 【0025】2層の場合には、共押出ポリエステルフィルムにおいて、離形層を設けない反対側の層にも作業性を付与するため、滑剤粒子の含有量は、離形層を設ける層の含有量の70%以上であることが好ましい。70%未満では滑り性が悪く、作業性が低下する。また滑剤粒子の平均粒径は離形層を設ける側の層に準じる。但し、この層は離形層を設けない面、すなわち、セラミックグリーンシートを成形しない面であり、ピンホール等の問題が生じないため、大粒径粒子の平均粒径の上限は5000nmである。 【0026】また、粗大粒子などに起因するフライスペックの個数を減らすには、製膜時のフィルターとして線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜30μm、好ましくは15〜25μmの不織布型フィルターを用い、溶融ポリマーを濾過することが推奨される。この方法により、粒径20μm以上の粗大粒子や長径50μm以上のフライスペックをほぼ除去できる。 【0027】滑剤粒子の材質は特定するものではないが、平均粒径500〜3000nmの粒子としては球状シリコーン樹脂、球状シリカが好ましく、粒径分布がシャープであり、モース硬度が5以上の粒子が粒子の変形が小さい点から特に好ましい。20〜800nmの粒子としてはアルミナ、シリカ、酸化チタン、ジルコニアやこれらの複合酸化物が好ましく、2種以上併用してもよい。 【0028】滑剤粒子は、通常、ポリエステルを製造するための反応時、例えばエステル交換法による場合、エステル交換反応中ないし重縮合反応中の任意の時期、または直接重合法による場合の任意の時期に、反応系中に添加(好ましくはグリコール中のスラリーとして)される。特に、重縮合反応の初期、例えば固有粘度が約0.3dl/gに至るまでの期間に滑剤粒子を反応系中に添加するのが好ましい。 【0029】<フィルム厚み>本発明の共押出ポリエステルフィルムの厚みは10μm以上、250μm以下であることが好ましい。更には20μm以上100μm以下、特に25μm以上65μm以下の範囲内であることが好ましい。250μmを超えるとヘーズ値が10%を超えることがあり透明性が必要とされる場合は不適当であるばかりか、コスト高になるので好ましくない。厚み10μm未満ではキャリヤーシートとしての強度、いわゆる腰が不足し、セラミックグリーンシートを成形しにくくなる。 【0030】少なくとも2層以上からなる共押出ポリエステルフィルムの各層の厚みは、離形層を設ける側は全厚みの3%以上50%以下、好ましくは4%以上40%以下、更に好ましくは5%以上30%以下である。3%未満では所望の10点平均粗さ(Rz)が得難く、50%を超えるとヘーズ値やコストの悪化につながる。2層の場合、他層の厚みは、全厚みの50%以上97%以下、好ましくは60%以上96%以下、更に好ましくは70%以上95%以下である。3(以上の)層の場合、離形層を設ける側と反対側の最外層の厚みは全厚みの3〜20%が好ましい。3%未満では作業性に対する効果が小さく、20%を超えるとヘーズ値が大きくなり易い。 【0031】<フライスペック>本発明の共押出ポリエステルフィルム中に存在する長径50μm以上のフライスペックは、0.3m2あたりのフライスペック数をランダムに10点測定した平均個数が5個以下であることを要する。「長径」とは、楕円に近い無定の形状を有するフライスペックの最も長い内径をさす。長径50μm以上のフライスペックは、キャリヤーシート表面の粗大突起となりやすく、セラミックグリーンシートのピンホールの原因となるため、少ない方が好ましい。フライスペックは異物、未溶融ポリマーや粗大粒子を核に生じるので、前述の不織布型フィルターの使用により、異物、未溶融ポリマーや粗大粒子を除去することが好ましい。更には、フライスペックの原因物を多く含まない滑剤粒子を用いることが好ましい。 【0032】<表面粗さ>本発明のフィルムの離形層を設ける側の層の中心線平均表面粗さ(Ra)は、10nm以上60nm以下であることが好ましい。ここで、中心線平均表面粗さは、ポリエステルフィルムの離形層を設ける側の表面であって、プライマー層、離形層を塗布する前の中心線平均表面粗さを指す。10nm未満であるとフィルム面が互いに密着する傾向があり、巻き姿や作業性が悪く、表面に傷がつき易い。60nmを超えると、透明性が低下し、検品性が低下する。また、10点平均粗さ(Rz)は離形層を設ける側の表面であって、プライマー層、離形層を塗布する前の10点平均粗さを指し、500nm以上であることが好ましい。更には500nm以上1000nm以下が好ましい。Rzが500nm未満であると離形層の表面に突起が非常に少なくなり、キャリヤーシート製造時に巻き取り難くなるばかりか、巻き取った後、離形層がキャリヤーシートの反対面とブロッキングを生じ、セラミックグリーンシートの剥離不良を起こしやすくなる。所望の表面粗さを得るためには、前述の滑剤粒子を添加すればよい。 【0033】<プライマー層>本発明の共押出ポリエステルフィルムの片面即ち離形層を設ける面に、シリコーン易接性の塗膜を形成させることが好ましい。本発明に用いる離形層は特に限定されないが、シリコーン系離形剤、特に硬化型シリコーン樹脂が好ましい。しかしながら、ポリエステルフィルムとシリコーンは接着性に乏しいので、何らかの易接性の処理を要する。本発明においては、下記のプライマー層を形成することが好ましい。プライマー層を構成する成分として、シランカップリング剤、アルカリ性無機微粒子、pHを調整する酸、界面活性剤などが挙げられる。 【0034】シランカップリング剤は、一般式YRSiX3で表わされる化合物である。ここでYはビニル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基等の如き有機官能基、Rはメチレン、エチレン、プロピレン等の如きアルキレン基、Xはメトキシ基、エトキシ基等の如き加水分解基及びアルキル基である。具体的化合物としては、例えばビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。好ましいシランカップリング剤としては、水溶性又は水分散性を有するカップリング剤である。 【0035】前記シランカップリング剤と共にプライマー層を構成するアルカリ性無機微粒子としては、例えば酸化鉄ゾル、アルミナゾル、酸化スズゾル、酸化ジルコニウムゾル、シリカゾル等を挙げることができるが、特にアルミナゾル、シリカゾルが好ましい。就中シランカップリング剤の初期反応性(ダイマー化、トリマー化等)を促進する点から、シリカゾルが好ましい。 【0036】アルカリ性無機微粒子は表面積の大きい小粒径のものが良く、平均粒径が1〜150nm、さらには2〜100nm、特に3〜50nmであるものが好ましい。平均粒径が150nmより大きくなると、表面積が小さくなりすぎ、シランカップリング剤の反応促進作用が低下し、かつプライマー層の表面が粗面化するため好ましくない。他方、平均粒径が1nmより小さくなると、表面積が大きすぎ、シランカップリング剤の反応制御が困難となり好ましくない。 【0037】アルカリ性無機微粒子の量は、シランカップリング剤の量に対して、1〜50重量%、さらには2〜20重量%であることが好ましい。この量が1重量%未満であると、架橋反応が進まず、他方50重量%を超えると塗布液の安定性に欠け、例えば無機微粒子の添加後短時間で塗布液中に沈澱が発生し、好ましくない。 【0038】シランカップリング剤及びアルカリ性無機微粒子を含有するプライマー塗布液、特に水性塗布液は、そのpHを4.0〜7.0、好ましくは5.0〜6.7に調整する。このpHが4.0未満になると、無機微粒子の触媒活性が失われ、他方7.0を超えると塗液が不安定となり、沈澱が生じるので好ましくない。このpHを調整する酸としては塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸や蓚酸、蟻酸、クエン酸、酢酸等の有機酸が用いられるが、特に有機酸が好ましい。 【0039】かかる塗布液、特に水性液には、アニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性等の界面活性剤を必要量添加して用いることができる。かかる界面活性剤としては塗布液の表面張カを0.5N/m以下、好ましくは0.4N/m以下に下げることができ、ポリエステルフィルムへの濡れ性を促進するものが好ましく、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、第4級アイモニウムクロライド塩、アルキルアミン塩酸等を拳げることができる。更に本発明の効果を消失させない範囲において、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、有機フィラー、潤滑剤、ブロッキング防止剤等の他の添加剤を混合することができる。 【0040】かかるプライマー塗布液を共押出ポリエステルフィルムの片面に塗布し、次いで乾燥、熱架橋させることで、架橋プライマー層を設けることができる。 【0041】上記塗布液の固形分濃度は、通常塗布液100重量%中30重量%以下であり、10重量%以下が更に好ましい。塗布量は走行しているフィルム1m2当り0.5〜20g、さらに1〜10gが好ましい。また、乾燥、熱架橋処理後の塗膜の厚さは20〜1000nm、更には40〜500nmであることが好ましい。 【0042】塗布方法としては、公知の任意の方法が適用できる。例えば、キスコート法、バーコート法、ダイコート法、リバースコート法、オフセットグラビアコート法、マイヤバーコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、合浸法及びカーテンコート法などを単独又は組み合わせて適用するとよい。 【0043】<離形層>本発明において、共押出ポリエステルフィルムの片面に離形層を設ける。かかる離形層は、特に限定されずシリコーン樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂、フッ素オイル、各種ワックス、または長鎖アルキル基を有するポリマーの中から選ばれた1種以上を主成分とする塗布液をポリエステルフィルムの片面に塗布し、乾燥、更には熱や電離放射線によって硬化させることにより形成できる。その他ポリエステル、アルキッド、ポリウレタン、アクリル、メラミン、ポリビニルアセタール等の有機樹脂をシリコーンやフッ素などで変性したもの、或いはシリコーンオイル、フッ素オイルや各種ワックスを有機樹脂中に添加した成分からなる塗布液を用いても良い。 【0044】なかでも硬化型シリコーン樹脂が耐熱性の点で好ましく、かかる硬化型シリコーン樹脂としては、例えば縮合反応型のもの、付加反応型のもの、紫外線もしくは電子線硬化型のもの等いずれの反応型のものも用いることができる。これらの硬化型シリコーン樹脂は一種を単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。各種シリコーン樹脂の硬化反応は、次のように示すことができる。 【0045】 【化1】
【0046】上記縮合反応型のシリコーン樹脂としては、例えば末端−OH基を持つポリジメチルシロキサンと末端に−H基を持つポリジメチルシロキサン(ハイドロジェンシラン)を有機錫触媒(例えば有機錫アシレート触媒)を用いて縮合反応させ、三次元架橋構造をつくるものが挙げられる。付加反応型のシリコーン樹脂としては、例えば末端にビニル基を導入したポリジメチルシロキサンとハイドロジェンシランとを白金触媒を用いて反応させ、三次元架橋構造をつくるものが拳げられる。紫外線硬化型のシリコーン樹脂としては、例えば最も基本的なタイプとして通常のシリコーンゴム架橋と同じラジカル反応を利用するもの、アクリル基を導入して光硬化させるもの、紫外線でオニウム塩を分解して強酸を発生させ、これによりエポキシ環を開裂させて架橋させるもの、ビニルシロキサンへのチオールの付加反応で架橋するもの等が拳げられる。電子線は紫外線よりもエネルギーが強く、紫外線硬化の場合のように開始剤を用いずともラジカルによる架橋反応が起こる。 【0047】硬化型シリコーン樹脂としては、その重合度が50〜20万程度、好ましくは千〜10万程度のものが好ましく、これらの具体例としては信越化学工業(株)製のKS−718、−774、−775、−778、−779H、−830、−835、−837、−838、−839、−841、−843、−847、−847H、X−62−2418、−2422、−2125、−2492、−2494、−470、−2366、−630、X−92−140、−128、KS−723A・B、−705F、−708A、−883、−709、−719、東芝シリコーン(株)のTPR−6701、−6702、−6703、−3704、−6705、−6722、−6721、−6700、XSR−7029、YSR−3022、YR−3286、ダウコーニング(株)製のDK−Q3−202、−203、−204、−210、−240、−3003、−205、−3057、SFXF−2560、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のSD−7226、−7320、−7229、BY24−900、−171、−312、−374、SRX−375、SYL−OFF23、SRX−244、SEX−290、アイ・シー・アイ・ジャパン(株)製のSILCOLEASE425等を拳げることができる。また、特開昭47−34447号公報、特公昭52−40918号公報等に記載のシリコーン樹脂も用いることができる。 【0048】前記硬化型シリコーン樹脂塗膜をフィルム表面に形成させる場合のコーティング方法としてはバーコート法、ドクターブレード法、リバースロールコート法またはグラビアロールコート法等の従来から知られている方法が利用できる。かかる硬化型シリコーン樹脂の形態は、溶剤型、エマルジョン型、無溶剤型等の中から適宜選択して用いることができる。 【0049】塗膜の乾燥及び硬化(熱硬化、紫外線硬化等)は、それぞれ個別又は同時に行うことができる。同時に行うときには、乾燥及び硬化の条件としては100℃以上で30秒以上が好ましい。乾燥温度が100℃未満及び硬化時間が30秒未満では塗膜の硬化が不完全であり、塗膜が脱落しやすくなるため好ましくない。 【0050】硬化型シリコーン樹脂塗膜の厚みは特に限定されないが、0.05〜0.5μmの範囲が好ましい。塗膜の厚みがこの範囲より薄くなると離形性能が低下し満足すべき性能が得られない。逆に塗膜の厚みがこの範囲より厚くなるとキュアリングに時間がかかり生産上不都合を生じる。 【0051】<製膜法>本発明におけるセラミックコンデンサー製造用キャリヤーフィルムの支持体となる共押出ポリエステルフィルムは、基本的には従来から知られている、あるいは当業界に蓄積されている方法で製造することができる。しかし、本発明の要件を満足するため、以下の製膜方法を行う必要がある。具体的には、先ず未配向積層フィルムを製造し、次いで該フィルムを二軸配向させることで得ることができる。 【0052】この未配向積層フィルムは、ポリエステルA層と、反対面を形成するポリエステルB層(必要に応じてC層)とを、ポリエステルの溶融状態で積層する方法を用いることができる。さらに具体的には、共押出方法による製造が生産性の観点から好ましい。各層の厚み配分に配慮し、上述の方法で積層されたフィルムは、更に従来から蓄積された二軸配向フィルムの製造法に準じて縦および横方向に延伸し、二軸配向フィルムとすることができる。例えば、Tm(ただしTmとはポリエステルの融点を表す。単位は℃で表される。)〜(Tm+70)℃の温度でポリエステルを溶融・共押出して末配向積層フィルムを得、該未配向積層フィルムを一軸方向(縦方向又は横方向)に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(但し、Tgとはポリエステルのガラス転移温度を表す)で2.5倍以上、好ましくは3倍以上の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向と直角方向にTg〜(Tg+70)℃の温度で2.5倍以上、好ましくは3倍以上の倍率で延伸するのが好ましい。さらに必要に応じて縦方向および/又は横方向に再度延伸してもよい。このようにして得られた最終的な延伸倍率は、面積延伸倍率(ただし、面積延伸倍率とは横延伸倍率と縦延伸倍率の積で得られる)として9倍以上が好ましく、12〜35倍がさらに好ましく、15〜30倍が特に好ましい。 【0053】さらにまた、二軸配向フィルムは、(Tg+70)℃〜(Tm−10)℃の温度で熱固定することができ、例えばポリエチレンテレフタレートの場合は180〜235℃、PENの場合は220〜240℃で熱固定を行うのが好ましい。セラミックグリーンシートの製造等において熱収縮率が問題になる場合には、熱固定温度をポリエチレンテレフタレートの場合225〜235℃とする方が好ましい。また、熱固定時間は1〜60秒が好ましく例示される。 【0054】このようにして得られた、二軸配向された共押出ポリエステルフィルムのフィルム厚みは10μm以上250μm以下であり、表面粗さは、離形層を設ける側の層の中心線平均表面粗さ(Ra)は10〜60nm、離形層を設ける側の層の10点平均粗さ(Rz)は500nm以上である。 【0055】プライマー層の塗布は、通常のプライマー塗布工程、すなわち二軸延伸熱固定した共押出ポリエステルフィルムに、該フィルムの製造工程と切離して塗布する工程で行ってもよい。しかし、この工程では、芥、塵挨などを巻込み易いため、よりクリーンな雰囲気での塗布が望ましい。かかる観点より、共押出ポリエステルフィルム製造工程での塗布が好ましい。特に、この工程中で結晶配向が完了する前の共押出ポリエステルフィルムの片面(離形層を設ける側)に水性塗布液として塗布することが好ましい。ここで、結晶配向が完了する前の共押出ポリエステルフィルムとは、共押出ポリエステルを熱溶融してそのままフィルム状となした未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向(長手方向)または横方向(幅方向)の何れか一方に配向せしめた一軸延伸フィルム、さらには縦方向及び横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめた状態の二軸延伸フィルム(最終的に縦方向または横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)等を含むものである。通常の工程においては縦方向に一軸延伸後に塗布するのが好ましい。 【0056】塗布液を塗布した、結晶配向完了する前の共押出ポリエステルフィルムは、乾燥され、延伸、熱固定等の工程に導かれる。例えば塗布液を塗布した縦一軸延伸ボリエステルフィルムは、ステンターに導かれて横延伸及び熱固定される。この間、塗布液は乾燥され熱架橋される。かかる処理は、従来から当業界に蓄積された条件で行うことができる。好ましい条件としては、例えば乾燥条件は90〜130℃×2〜10秒であり、延伸温度はポリエチレンテレフタレートの場合は90〜130℃、PENの場合は120〜180℃、延伸倍率は縦方向3〜5倍、横方向3〜5倍、必要ならば再縦方向1〜3倍であり、熱固定する場合はポリエチレンテレフタレートの場合は180〜240℃、PENの場合は220〜240℃、熱固定時間は2〜20秒である。かくして、20〜1000nmの厚みからなるシリコーン易接性のプライマー層を有する、共押出ポリエステルフィルムが得られる。塗布方法は特に限定されないが、リバースロールコーターによる方法が好ましく例示される。 【0057】本発明においては、更にポリエステルフィルムに離形層を設ける。該離形層を塗布させる工程は、前記プライマー層を塗布後、更に乾燥、延伸、熱固定などを施したフィルムを用い、塗布加工を行う。塗膜の乾燥及び硬化(熱硬化、紫外線硬化等)は、それぞれ個別又は同時に行うことができる。同時に行うときには、乾燥及び硬化の条件としては100℃以上で30秒以上が好ましい。かくして、0.05〜0.5μmの厚みからなる離形層を更に有する、共押出ポリエステルフィルムが得られる。 【0058】 【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに説明する。なお、本発明における物性値は、下記の方法にて測定されたものであり、かつ定義される。 【0059】(1)剥離強度ポリエステルフィルムの片面に形成された離形層面にポリエステル粘着テープ(日東電工製31Bテープ)を貼合わせ、5kgの圧着ローラーで圧着し20時間放置後、離形層と粘着テープとの剥離強度を引張試験機(東洋精機製5Kgf引張試験機)にて300mm/分の引張速度で測定する。 【0060】(2)残存接着率ポリエステル粘着テープ(日東電工製31Bテープ)をJlS−G4305に規定する冷間圧延ステンレス板(SUS304)に貼付けた後の剥離強度を(1)の方法に従い測定し、基礎接着強度(f0)とする。また前記ポリエステル粘着テープをポリエステルフィルムの離形層面に5kgの圧着ローラーで圧着し、30秒間放置した後粘着テープを剥がす。そして剥がした粘着テープを上記のステンレス板に貼り、該貼合部の剥離強度を(1)の方法に従って測定し、残留接着強度(f)とする。得られた基礎接着強度(f0)と残留接着強度(f)より下記式を用いて残留接着率を求める。 【0061】 【数1】残留接着率(%)=(f/f0)×100【0062】(3)滑り性(フィルム摩擦係数(フィルムスリッパリー)) ASTM D1894−63に準じ、東洋テスター社製のスリッパリー測定器を使用し、離形層塗布面とポリエステルフィルム(非塗布面)との静摩擦係数(μs)を測定した。但し、スレッド板はガラス板とし、荷重は1kgとした。滑り性は、下記の基準で評価した。 ○:静摩擦係数が0.6未満(良好) △:静摩擦係数が0.6以上、0.8未満(やや不良) ×:静摩擦係数が0.8以上(不良) 【0063】(4)ブロッキング性フィルムの表裏(離形層塗布面と非塗布面)を重ね、50kg/cm2の荷重をかけ、50℃、20時間維持した。次いで、重ねたフィルムを剥がす際の剥離強度を引張試験機(東洋精機製5Kgf引張試験機)を用い、引張速度300mm/分の条件で測定した。更に剥離した後の離形層にマジックインキで直線を引き、インキのはじき具合を観察し、下記の通り判定した。 ○:剥離強度が200mN/10cm幅未満、かつマジックインキがはじく△:剥離強度が200mN/10cm幅未満だが、マジックインキがはじかない場合、又は、剥離強度が200mN/10cm幅以上だが、マジックインキがはじく場合のいずれか。 ×:剥離強度が200mN/10cm幅以上、かつマジックインキがはじかない【0064】(5)セラミックグリーンシート成形性ポリエステルフィルムの片面にプライマー層、離形層を塗布して作成されたキャリヤーシートを用い、離形層上に下記組成のセラミックスラリーをドクターブレード法にて塗布し、乾燥固化させた後、20g/cm2の荷重下で40℃、2週間放置した。この後、該キャリヤーシートを剥離し、厚さ3μmのセラミックグリーンシートを得た。得られたセラミックグリーンシートを光学顕微鏡で観察し、下記の通り成形性を判定した。 ○:ピンホールが全く見られないもの×:ピンホールが多数見られたもの【0065】(6)フライスペック面光源、直交偏光板、拡大鏡を持つ装置の偏光板の上にポリエステルフィルム試料を置いて観察する。試料を回転させて暗視野にするとフライスペックが明るく見える。試料面積0.3m2あたりの長径50μm以上のフライスペック数をランダムに10点測定した平均個数で表す。評価基準は次の通りである。 ○:長径50μm以上のフライスペックの個数が0.3m2当たり5個以下×:長径50μm以上のフライスペックの個数が0.3m2当たり6個以上【0066】(7)表面粗さ(A)中心線平均表面粗さ(Ra) プライマー層、離形層を塗布する前のポリエステルフィルムの、離形層を設ける側の表面を表面粗さ計(東京精密(株)サーフコム111A)で測定し、JIS B0601に準じ平均値を算出して表面粗さとする。 (B)10点平均粗さ(Rz) (A)で測定した表面粗さのうちピーク(Hp)の高い方から5点と谷(Hv)の低い方から5点をとり、その平均値を10点平均粗さ(Rz)とする。 【0067】 【数2】Rz=[(Hp1+Hp2+Hp3+Hp4+Hp5)−(Hv1+Hv2+Hv3+Hv4+Hv5)]/5【0068】(8)粒子の平均粒径(A)粒子が一次粒子の場合(株)島津製作所製CP−50型セントリフューグル パーティクルサイズ アナライザー(Centrifugal Particle Analyzer)を用いて測定した。得られた遠心沈降曲線を基に算出した各粒径の粒子とその残存量との積算曲線から、50マスパーセントに相当する粒径を読みとり、この値を上記平均粒径とする(「粒度測定技術」日刊工業新聞社発行、1975年、頁242〜247参照)。 (B)粒子が凝集粒子の場合添加した滑剤としての不活性微粒子が1次粒子の凝集による2次粒子である場合は(A)に示す方法での平均粒径測定で得られた粒径は実際の平均粒径より小さくなる場合があるため、下記方法を採用する。粒子を含有したフィルムを断面方向に厚さ100nmの超薄切片とし、透過電子顕微鏡(例えば日本電子製JEM−1200EX)を用いて、1万倍程度の倍率で粒子を観察し、凝集粒子(2次粒子)を観察した。この写真を用いて個々の粒子の円面積相当の直径を画像解析装置等を用いて粒子1000個について測定し、数平均した粒子径を平均2次粒径とする。なお、粒子種の同定はSEM−XMA、ICPによる金属元素の定量分析などを使用して行うことができる。平均1次粒径は透過電子顕微鏡の倍率を10万〜100万倍にて撮影するほかは平均2次粒径測定の方法に準じて測定する。 【0069】(9)フィルム厚み外付マイクロメータで100点測定し、平均値を求めてフィルムの厚みとする。 【0070】(10)融点Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法によった。なお、サンプル量は約20mgとする。 【0071】(11)固有粘度ペレットを用い、オルソクロロフェノールを溶媒として、35℃で測定した。 【0072】[実施例1]ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとを、エステル交換触煤として酢酸マンガンを、重合触媒として酸化ゲルマニウムを、安定剤として亜燐酸を、さらに滑剤として平均粒径1200nmの球状シリコーン粒子をポリマーに対して0.005重量%、平均粒径600nmの球状炭酸カルシウムをポリマーに対して0.2重量%、平均粒径400nmのアルミナをポリマーに対して0.1重量%になるように添加して常法により重合し、固有粘度0.65dl/gのポリエチレンテレフタレートペレットを得た。このポリエチレンテレフタレートのペレットを170℃で3時間乾燥後、押出機に供給し、溶融温度295℃で溶融し、線径13μmのステンレス細線よりなる平均目開き24μmの不織布型フィルターで濾過し、T形3層ダイの両表層から押出した。別の押出機に、滑剤粒子の量を無滑剤のポリマーで希釈し、表1B層に示す添加量としたポリマーを供給し、上記と同条件でT形3層ダイの中間層から押出した。 【0073】この3層からなる溶融物を表面仕上げ0.3s程度、表面温度20℃の回転冷却ドラム上に押出し、534μm厚み、各層厚み70/394/70μmの未延伸共押出ポリエステルフィルムを得た。このようにして得られた未延伸共押出ポリエステルフィルムを75℃に予熱し、低速ローラーと高速ローラーの間で15mm上方より800℃の表面温度の赤外線ヒーター1本にて加熱して3.6倍に延伸し、縦延伸終了後のフィルムの片面にシリコーン易接性のプライマーとして下記の塗布液を乾燥横延伸後40nmの厚みになるように塗布し、続いてステンターに供給し、120℃にて横方向に3.9倍に延伸した。得られた二軸配向共押出フィルムを200℃の温度で5秒間熱固定し、38μm厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの全幅の中央付近から採取したフィルムの片面に、ポリジメチルシロキサンとジメチルハイドロジエンシランの混合溶液に白金触媒を加えて付加反応させるタイプの硬化型シリコーン(信越化学工業(株)製・KS−847H)をメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びトルエンの混合溶剤中に溶解させたシリコーン樹脂塗布液を塗布量(wet)4g/m2で塗布し、140℃×20秒の条件で乾燥、硬化処理して塗布厚み0.1μmの離形層を有する共押出ポリエステルフィルムを得た。このフィルムのキャリヤーシートとしての評価を行い、特性を表1に示す。 【0074】プライマー層に用いた塗布液:シランカップリング剤(γ−グリシドプロピルトリメトキシシラン)83重量部、無機微粒子(平均粒径6nm、20%分散液pH9.5 シリカゾル)2重量部、ノニオン界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)15重量部、を含み、クエン酸でpH6.3に調整した水性塗布液。 【0075】[実施例2〜6、比較例1〜2]実施例1に準じて、ポリエチレンテレフタレートからなる、表1に示す滑剤の添加量を含有する、少なくとも2層以上からなる共押出ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。 【0076】 【表1】
【0077】表1の実施例1〜4で明らかなように、平均粒径の異なる複数の滑剤を、好ましい量含有した少なくとも2層以上からなる共押出ポリエステルフィルムを用いることにより、フライスペックが少なく、また離形層側の表面粗さ(Ra、Rz)が好ましい凹凸を有する、キャリヤーシートとして好適な共押出ポリエステルフィルムが得られ、セラミックグリーンシート成形性、ならびに製造工程での滑り性やブロッキング性が改良された。一方、比較例1で明らかなように、大粒径の滑剤1種類のみ使用し、更に添加量も多い場合、フライスペックの除去が十分でないため、結果としてセラミックグリーンシートを成形した際にピンホールが数多く見られた。また、比較例2から明らかなように、大粒径の滑剤1種類のみ使用し、更に添加量も多い場合、離形層側の中心線平均表面粗さ(Ra)が粗くなりすぎ、やはりセラミックグリーンシートを成形した際にピンホールが数多く見られた。 【0078】また、実施例5から明らかなように、離形層と反対側の層中の滑剤の添加量が不十分な場合、製造工程における滑り性やブロッキング性が低下する場合がある。更に、実施例6から明らかなように、離形層側の層中の大粒径の滑剤の添加量が不十分な場合、離形層側の中心線平均表面粗さ(Ra)が平坦すぎ、製造工程における滑り性やブロッキング性が低下する場合が見られた。 【0079】 【発明の効果】本発明より得られたセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシートは、均一なセラミックグリーンシート薄膜の製造において好適に使用され、かつセラミックグリーンシートの製造工程でのキャリヤーシートの取り扱いが容易になるといった効果が得られる。更に具体的には、ピンホールや表面の形状欠陥のないセラミックグリーンシートが得られ、また、ロール状に巻き取る際の巻取り性や、更にロールから引き出してセラミックコンデンサー製造用キャリヤーシートとして用いる際に、離形層によるブロッキング性が改良され、更に共押出方法を用いることでキャリヤーシートの生産性がより向上するといった優れた効果が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003001 【氏名又は名称】帝人株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年3月23日(2001.3.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077263 【弁理士】 【氏名又は名称】前田 純博
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| 【公開番号】 |
特開2002−283322(P2002−283322A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月3日(2002.10.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−84661(P2001−84661) |
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