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【発明の名称】 陶磁器成形用樹脂型の品質管理方法及び品質管理装置
【発明者】 【氏名】吉瀬 博臣

【氏名】佐々木 敏明

【氏名】野田 実

【氏名】岡田 定美

【氏名】戸田 勝利

【氏名】木村 聖司

【要約】 【課題】樹脂型の多孔質層のエアー通気量を常時監視し、不良発生の抑制及びエアー流量の変化に基づきメンテナンス時期を決定することによりメンテナンス回数を減少させ、生産効率向上が可能となる陶磁器成形用樹脂型の品質管理方法および品質管理装置を提供すること。

【解決手段】通気・通水性を有する多孔質層とこの多孔質層にエアーを供給するエアー供給路とを備えた陶磁器成形用樹脂型の品質管理方法であって、前記陶磁器成形用樹脂型が泥漿を鋳込む工程と、所定の肉厚の成形体を形成する着肉工程と、前記陶磁器成形用樹脂型に脱型用エアーを供給して脱型する脱型工程と、を含む成形工程に使用され、前記成形工程中に前記多孔質層のエアー通気量の測定を行なう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 通気・通水性を有する多孔質層とこの多孔質層にエアーを供給するエアー供給路とを備えた陶磁器成形用樹脂型の品質管理方法であって、前記陶磁器成形用樹脂型が泥漿を鋳込む工程と、所定の肉厚の成形体を形成する着肉工程と、前記陶磁器成形用樹脂型に脱型用エアーを供給して脱型する脱型工程と、を含む成形工程に使用され、前記成形工程中に前記多孔質層のエアー通気量の測定を行なうことを特徴とする陶磁器成形用樹脂型の品質管理方法。
【請求項2】 前記エアー通気量の測定を前記脱型工程中に行なうことを特徴とする請求項1に記載の陶磁器成形用樹脂型の品質管理方法。
【請求項3】 前記エアー通気量を測定した測定結果を解析し、解析した結果に基づいて前記陶磁器成形用樹脂型のメンテナンスを行うことを特徴とする請求項1または2に記載の陶磁器成形用樹脂型の品質管理方法。
【請求項4】 前記エアー通気量を測定した測定結果を解析し、解析した結果に基づいて前記脱型工程の前記脱型用エアーの圧力を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の陶磁器成形用樹脂型の品質管理方法。
【請求項5】 泥漿鋳込み成形機に搭載された通気・通水性を有する多孔質層とこの多孔質層にエアーを供給するエアー供給路とを備えた陶磁器成形用樹脂型の品質管理装置であって、前記エアー供給路のエアーを供給するエアー供給手段のエアー流路中途に介設したエアー流量測定手段と、前記エアー流量測定手段による測定データを処理する測定データ処理手段と、前記測定データ処理手段により処理した結果が異常の場合の異常状態を報知する異常状態報知手段とを備えたことを特徴とする陶磁器成形用樹脂型の品質管理装置。
【請求項6】 前記エアー供給手段がエアー圧力可変レギュレータを備え、前記測定データ処理手段が前記エアー圧力可変レギュレータを自動調整してエアー圧力補正を行なうことを特徴とする請求項5に記載の陶磁器成形用樹脂型の品質管理装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は陶磁器成形用樹脂型の品質管理方法に関し、より詳細には成形工程中に陶磁器成形用樹脂型のエアー通気量の変化を測定することにより品質管理を行なう方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な陶磁器成形用樹脂型10(以下樹脂型という)の部分断面図を図3に示す。樹脂型10は通気・通水性能を有する樹脂製の多孔質層1と、この多孔質層1を補強支持するためのバック材層3とを備え、このバック材層3と多孔質層1の成形面1aと反対側面とを接着性を有するシール材層2によって固定している。多孔質層1内部には複数の通気・通水可能な中空溝5が一定間隔おきに設けられている。この中空溝5は成形体の着肉から土締まり(土締まり工程がない場合もある)時には排水用として、成形体の脱型時には脱型エアー供給用としての役割を果たしている。また、多孔質層1はその成形面1a以外の部分は非吸水性かつ非通気性のシール材層2で全面をシールされているため、樹脂型10の型外からエアー供給配管6を通じて中空溝5に供給されたエアーは多孔質層1の連続気孔を通じて成形面1aへ排出される。この時成形面1aのどの部位においてもエアー流量がほぼ一定となるようエアー供給配管6の配置などが工夫されている。
【0003】また、図4に従来の陶磁器鋳込み成形におけるエアー配管系統図を示す。12は図示しないエアー源に連絡したレギュレーター、11はレギュレーター12の2次側に連絡したエアー制御弁である。エアー制御弁12は3方口の制御弁で構成している。着肉工程から土締まり工程(土締まり工程がない場合もある)では泥漿中の水分のみが樹脂型10を通過し、エアー制御弁11から排出される。脱型工程ではエアー制御弁11を作動してレギュレーター12から所定の圧力に手動で調整された脱型用エアーが樹脂型10に供給され成形体が樹脂型10から脱型される。
【0004】ここで、樹脂型10は成形体の形成回数の増加に伴い成形面1aに付着する泥漿成分等により多孔質層1内の連続気孔が塞がれ、多孔質層1の通気・通水量が低下し、着肉時に必要な泥漿中の水分の型外への排出不良による着肉不良や締まり不良、脱型時に樹脂型10と成形体を分離するために必要なエアー流量の低下により樹脂型10と成形体が分離されない脱型不良等が発生することが知られている。このような理由から樹脂型10の品質を把握するための重要な一管理項目として、樹脂型10造型時から実生産時において通気量の管理が行われている。従来、通気量はエアー通気状態において、成形面1aから放出されるエアー量を手による感触、もしくは図3に示すようなフロート式流量計4で測定していた。感触による方法では、成形面1aの部位毎のエアー流量の差違が概略把握できる。また、フロート式流量計4を用いた測定では、一定面積の成形面1aに密着可能なエアー捕集容器7を圧着させて捕えられたエアーがエアー管8を通り、フロート流量計4の浮玉9を浮上させることにより、成形面1aの部位毎のエアー流量を客観的な数値で測定できるとともに、特定部位のエアー流量の経時的な変動を把握することが可能となる。
【0005】通気量の管理は、上記のような方法によって得られたエアー流量測定結果を解析し、必要であれば樹脂型のメンテナンスを実施する、もしくは図4におけるレギュレーター12でエアー供給圧力を調節することによりなされてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のエアー流量の測定方法では、成形体の生産中に型のエアー通気量を測定することは不可能であった。元来大量生産用に開発された樹脂型は24時間体制で稼動しているのが通常であり、稼動状態でのエアー流量測定は、安全面、測定精度、成形体品質への影響などの点から困難である。このため樹脂型の通気状態が把握できず、成形体に不良が発生する可能性があった。また、上記の理由から従来は通気状態の確認のために定期的に生産を停止し、型のメンテナンスを実施しているのが実情で、生産性の向上を阻害していた。
【0007】本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、樹脂型のエアー通気量を常時監視し、不良発生の抑制及びエアー流量の変化に基づきメンテナンス時期を決定することによりメンテナンス回数を減少させ、生産効率向上が可能となる陶磁器成形用樹脂型の管理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は、通気・通水性を有する多孔質層とこの多孔質層にエアーを供給するエアー供給路とを備えた陶磁器成形用樹脂型の品質管理方法であって、前記陶磁器成形用樹脂型が泥漿を鋳込む工程と、所定の肉厚の成形体を形成する着肉工程と、前記陶磁器成形用樹脂型に脱型用エアーを供給して脱型する脱型工程と、を含む成形工程に使用され、前記成形工程中に前記多孔質層のエアー通気量の測定を行なうことを特徴とする。そうすることによって、容易に実際の使用条件下でのエアー通気量の測定が可能となり、陶磁器成形用樹脂型の品質管理精度が向上する。また成形体を生産しながらエアー通気量を測定できるため、生産効率を落とすことなく、不良発生を抑制することができる。
【0009】本発明の好ましい態様においては、前記エアー通気量の測定を前記脱型工程中に行なうようにする。生産工程中でエアー通気を行っている脱型工程において、同時にエアー通気量を測定することによって、エアー通気量測定の工程を追加する必要がないため生産に影響を与えること無く、効率的にエアー通気量の測定を行うことが可能となる。
【0010】また、本発明の好ましい態様においては、前記エアー通気量を測定した測定結果を解析し、解析した結果に基づいて前記陶磁器成形用樹脂型のメンテナンスを行うようにする。そうすることにより、最適なメンテナンス時期が容易に確認できるようになり、メンテナンスの回数を削減しながら陶磁器成形用樹脂型の品質維持が可能となる。
【0011】また、本発明の好ましい態様においては、前記エアー通気量を測定した測定結果を解析し、解析した結果に基づいて前記脱型工程の前記脱型用エアーの圧力を補正するそうすることにより陶磁器成形用樹脂型の品質の変動に対し自動的にエアー流量が調節され、不良発生の抑制やメンテナンス間隔の延長が可能となり生産性が向上する。
【0012】また、本発明では、泥漿鋳込み成形機に搭載された通気・通水性を有する多孔質層とこの多孔質層にエアーを供給するエアー供給路とを備えた陶磁器成形用樹脂型の品質管理装置であって、前記エアー供給路のエアーを供給するエアー供給手段のエアー流路中途に介設したエアー流量測定手段と、前記エアー流量測定手段による測定データを処理する測定データ処理手段と、前記測定データ処理手段により処理した結果が異常の場合の異常状態を報知する異常状態報知手段とを備えたことを特徴とする。そうすることにより、自動的に陶磁器成形用樹脂型のエアー通気量の監視が可能となる。
【0013】本発明では、前記構成に加えて、前記エアー供給手段がエアー圧力可変レギュレータを備え、前記測定データ処理手段が前記エアー圧力可変レギュレータを自動調整してエアー圧力補正を行なうようにする。そうすることにより、樹脂型の使用回数増加によるエアー通気量の低下が防止できる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明の好ましい実施態様を図面を用いて説明する。図1には、エアー通気量測定に必要な基本的な機器構成の一例を示しており、陶磁器を成形するための樹脂型10に供給するエアー圧力を調整するレギュレーター12、脱型エアー流量を測定するエアー流量測定器13、脱型エアーをON−OFFさせためのエアー制御弁11、エアー流量測定器13のデータを中継するI/Oモジュール16、エアー流量測定器13からI/Oモジュール16へデータを送るための流量信号線115、I/Oモジュール16とデータ処理を行うパソコン等18(以下PCと称する)をつなぐI/Oモジュール−PC信号線17、エアー流量測定の開始と終了を決定する鋳込み成形機のCPU20、CPU20とPC18をつなぐ成形機信号線19から構成される。
【0015】次に、上述の構成機器を用いたエアー流量の測定方法を説明する。エアー流量測定器13は常時エアー流量を流量信号線15を通じI/Oモジュール16およびI/Oモジュール−PC信号線17を介しPC18へ送っている。脱型エアー圧力はレギュレーター12で規定の圧力に手動で調整され、成形機CPU20の脱型開始指令によりエアー制御弁11が開き、樹脂型10から成形体の脱型が開始される。このとき、同時に成形機CPU20からPC18に成形機信号線19を介し測定開始指令が出されPC18はエアー測定データを採取する。脱型の終了は成形機CPU20の脱型終了指令によりエアー制御弁11が閉じ、樹脂型10の脱型が終了する。このとき、同時に成形機CPU20からPC18に成形機信号線19を介し測定終了指令が出されPC18はエアー測定データの採取を終了する。脱型毎にこの動作を繰り返しデータはPC18に蓄積される。
【0016】このような動作によってデータを収集し、蓄積されたエアー測定データとあらかじめ設定した最適な流量値(樹脂型10の形状により部位ごとに異なるため部位ごとに管理幅を決める)とを比較し、樹脂型10のメンテナンスの要否を決定する。
【0017】次に、本発明の好ましい他の実施態様を説明する。図2は図1に示したレギュレーター12の代わりに脱型圧力を自動で自在に変更可能な圧力可変レギュレーター14とPC18からの設定圧力信号をI/Oモジュール−PC信号線17、I/Oモジュール16を介して圧力可変レギュレーター14に伝達する圧力信号線21を取り付けた場合の構成である。この構成では、エアー流量測定器13で測定されたエアー流量データとあらかじめPC18で設定された基準エアー流量を比較し、樹脂型の通気状態が悪化した場合は、自動的に圧力可変レギュレーター14の圧力を変更することにより、常時一定の流量を得ることが可能となり、エアー流量低下による不良の発生とメンテナンスの回数を減少できる。
【0018】本発明では、エアー配管系統で機器の異常、たとえばレギュレータや各種バルブ等の異常や型と機器を接続するホースの折れ等が発生した場合は、エアー圧力を自動的に上げても流量は増加しない。この異常を瞬時に検出するためにエアー流量の基準範囲を設定しパソコンからエアー流量の異常信号を発信し、知らせる仕組みを採用している。
【0019】また、樹脂型強度には限界があり、一定以上の圧力をかけると型破損につながる恐れがあるため、エアー圧力の上限値を設定し、設定値を超えた場合は異常信号を発信し、知らせる仕組みとなっている。
【0020】上記実施例においては、エアー通気量の測定を脱型工程で行なっているが、脱型工程終了後に次の泥漿鋳込みを行なう前に行なうこともできる。また、脱型後、多孔質層に洗浄水を通して連続気孔内を洗浄する工程がある場合は洗浄が終了後にエアー通気量の測定を行なうこともできる。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、樹脂型の多孔質層通気状態を常時監視し、不良の発生の抑制とメンテナンスの回数を減少させ生産効率向上が可能な陶磁器成形用樹脂型の品質管理方法及び品質管理装置を提供することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000010087
【氏名又は名称】東陶機器株式会社
【出願日】 平成13年3月14日(2001.3.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−264114(P2002−264114A)
【公開日】 平成14年9月18日(2002.9.18)
【出願番号】 特願2001−72146(P2001−72146)