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【発明の名称】 生素地成形体の形成方法およびそれに用いる形状修正装置
【発明者】 【氏名】阿部 俊哉

【要約】 【課題】脱型後の生素地成形体の穴あけと同時に形状修正を行うことにより成形サイクルの短縮を図るとともに、生素地成形体表面への接触を最小限に留めつつ生素地成形体の形状修正を行う。

【解決手段】鋳込成形用型から脱型された湿潤の生素地成形体を搬送用部材に載せた状態で、前記生素地成形体の所定位置に穴をあける穴あけ工程、生素地成形体の表面を仕上げる表面仕上げ工程、乾燥工程に搬送して所定の形状の生素地成形体を形成する方法であって、前記穴あけ工程において穴あけを行なうとともに形状修正を行なう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鋳込成形用型から脱型された湿潤の生素地成形体を搬送用部材に載せた状態で、前記生素地成形体の所定位置に穴をあける穴あけ工程、生素地成形体の表面を仕上げる表面仕上げ工程、乾燥工程に搬送して所定の形状の生素地成形体を形成する方法であって、前記穴あけ工程において穴あけを行なうとともに形状修正を行なうことを特徴とする生素地成形体の形成方法。
【請求項2】 前記生素地成形体の上端外面を所定形状に保持するとともに前記生素地成形体の内側面を所定形状になるまで押圧して前記形状修正を行うことを特徴とする請求項1に記載の生素地成形体の形成方法。
【請求項3】 前記生素地成形体が上部が開口し側面中央部が外側に膨出した洗浄水を貯溜するタンクであって、このタンクの上端外面を外側より押圧するとともに前記上端外面に対向する上端内面を受圧し、タンクの内部の側面中央部を外側に押圧することを特徴とする請求項2に記載の生素地成形体の形成方法。
【請求項4】 鋳込み成形用型から脱型後の生素地成形体を所望の形状に修正を行う生素地成形体の形状修正装置であって、前記形状修正装置は穴あけ加工手段を一体に備えていることを特徴とする衛生陶器生素地成形体の形状修正装置。
【請求項5】 前記形状修正装置は前記生素地成形体の内側面を押圧して形状修正を行う形状修正手段と、前記生素地成形体の上端外面を保持するための所定形状の上端外面保持手段とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の生素地成形体の形状修正装置。
【請求項6】 前記上端外面保持手段が前記上端外面を押圧する押圧手段と前記上端外面と対向する前記生素地成形体の上端内面を受ける受圧手段とからなることを特徴とする請求項5に記載の生素地成形体の形状修正装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は衛生陶器の生素地成形体を所定の形状に形成する形成方法及びそれに用いる形状修正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の衛生陶器の生素地成形体の形成工程を便器洗浄用タンクを例に説明する。まず、鋳込成形用型(以下、型と言う)内で形成された便器洗浄用タンクの生素地成形体(以下成形体と言う)がパレット上に脱型される。ここで、脱型された成形体には脱型の際に発生した離型水がその凹形状の部分に溜まっている場合があるため、必要に応じてこれを取除く離型水溜りの除去作業が行われる。次に、成形体の端部など必要部位の面取りが行われた後、所定寸法の排水穴や洗浄水排出用レバー取付穴などが所定の位置にあけられる。この後穴あけされた部位に残った鋳バリや面取りのつなぎ部の凹凸を処理し、同時に成形体表面の水垂れ跡を拭き取るなどの表面仕上処理が行われる。これらの一連の作業が終了した後乾燥室に搬送される。
【0003】一般的に、乾燥工程や焼成工程で発生する成形体の収縮変形量は型製作時にあらかじめ折り込まれ型の形状に反映されているが、例えば前記便器洗浄用タンク(以下タンクと言う)のように特殊な収縮変形が発生する場合がある。つまりタンクの上端開口部が水平方向外側へ変形し、タンク側面中央部分は水平方向内側へ変形しようとする場合である。一方では、タンクの形状として外観上の意匠性から上端開口部は狭く側面中央部が膨らんだ形状が要求されることもある。しかし、タンクの成形体は一般的には中型と外型と二つの型によって構成された成形用型によって成形される。成形後、生素地成形体を中型、外型から脱型する際に上記のような側面中央部が膨らんだ形状では脱型ができない。そこで側面中央部が膨らんだ形状を得るために脱型後の成形体を加工して形状修正する作業が必要となる。
【0004】前記のような脱型後のタンクの成形体の形状を修正する方法として、特開平7−16822号公報の技術が提案されている。この公報の技術は成形体の移載装置に成形体の内部から成形体の内側面を押圧する可動押圧板と、成形体の内側面を吸着保持して移載するための吸引パッドを備え、成形体は孔あけ終了後孔あけ工程から吸引パッドにより吸着保持した状態で形状を修正するために次工程である形状修正工程に搬送される。形状修正工程には成形体の側面部を所定の形状に修正するための修正型が移動可能に配設されている。形状修正工程に成形体が搬送されてくると成形体の外側面部に修正型がセットされ可動修正板が進動して成形体の内側面を押圧して修正型に沿った形状に形状修正を行なっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記公報の技術では形状修正装置が成形体移載装置に付設された構成となっているため、成形体を移載する際の振動などにより成形体自体に変形・傷・亀裂が発生する恐れがある。さらに、形状の修正型の成形体の外表面への接触は異物の付着・傷に直結し成形体の外観品位の低下を招く可能性があり、修正型と成形体表面との接触面積が大きいほど前記可能性が高いという問題がある。
【0006】本発明は、斯かる実情に鑑み、脱型後の生素地成形体の穴あけと同時に形状修正を行うことにより成形サイクルの短縮を図ること、および成形体表面への接触を最小限に留めつつ生素地成形体の形状修正を行うことが可能な生素地成形体の形成方法及びそれに用いる形状修正装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明の生素地成形体の形成方法は、鋳込成形用型から脱型された湿潤の生素地成形体を搬送用部材に載せた状態で、前記生素地成形体の所定位置に穴をあける穴あけ工程、生素地成形体の表面を仕上げる表面仕上げ工程、乾燥工程に搬送して所定の形状の生素地成形体を形成する方法であって、前記穴あけ工程において穴あけを行なうとともに形状修正を行なうことを特徴とする。そうすることにより、生素地成形体の変形・傷・亀裂の要因となる移載行為をすることなく狙いとする形状に修正を行うことができかつ生素地成形体形成サイクルの短縮ができる。
【0008】本発明の生素地成形体の形成方法の好ましい態様としては、前記生素地成形体の上端外面を所定形状に保持するとともに前記生素地成形体の内側面を所定形状になるまで押圧して前記形状修正を行うようにする。そうすることにより、生素地成形体の外表面への接触による異物の付着・傷を最小限に押さえ、所望の形状に塑性変形させることができる。
【0009】また、本発明の生素地成形体の形成方法の好ましい態様としては、前記生素地成形体が上部が開口し側面中央部が外側に膨出した洗浄水を貯溜するタンクで、このタンクの上端外面を外側より押圧するとともに前記上端外面に対向する上端内面を受圧し、タンクの内部の側面中央部を外側に押圧するようにする。そうすることにより、タンクの側面中央部が外側に膨出した形状のタンクを効率的に形成できる。
【0010】また、本発明の生素地成形体の形状修正装置は、鋳込み成形用型から脱型後の生素地成形体を所望の形状に形状修正を行う生素地成形体の形状修正装置であって、前記形状修正装置は穴あけ加工手段を一体に備えていることを特徴とする。そうすることにより、生素地成形体の形成方法を自動機として実用化し、高い生産性と信頼性を維持すると共に、穴あけ加工手段と機器構成要素を共有でき部品点数の削減を図ることが可能となる。
【0011】本発明の生素地成形体の形状修正装置の好ましい態様としては、前記形状修正装置は前記生素地成形体の内側面を押圧して形状修正を行う形状修正手段と、前記生素地成形体の上端外面を保持するための所定形状の上端外面保持手段とを備えるようにする。そうすることにより、生素地成形体の形成方法を自動機として実用化することが可能となり、高い生産性と信頼性を維持でき、生素地成形体の外表面への接触による異物の付着・傷を最小限に押さえて狙いとする形状に塑性変形させる形状修正が行なえる。
【0012】また、本発明の生素地成形体の形状修正装置の好ましい態様としては、前記上端外面保持手段が前記上端外面を押圧する押圧手段と前記上端外面と対向する前記生素地成形体の上端内面を受ける受圧手段とからなるようにする。そうすることにより、生素地成形体の上端部を所定の形状に確実に保持されるため、生素地成形体の他の部分の形状を修正する際に上端部の形状が変形することがない。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明では、衛生陶器の生素地成形体は脱型から乾燥完了まで同一のパレット上に載ったままコンベアおよび乾燥台車にて搬送される。生素地成形体の移載はそれ自体が変形・傷・亀裂の要因となり得る要因であり生産工程上極力避けるべきであるため、そのため鋳込み成形用型から脱型後の乾燥前の生素地成形体は同一のパレットで搬送されることが好ましい。
【0014】また、形状修正装置で行う形状修正には生素地成形体の弾性による戻り変形を考慮しておくことが望ましい。一般に生素地成形体には過剰な応力によって亀裂や破壊に至らないという条件下において、形状変形に対して変形前の形状に戻ろうとする弾性応力が働く。本発明のように意図的な形状修正に対しても、押圧時間が短時間であることも含めて、同様に弾性による戻り変形が働くため、結果的に所望の修正量を確保する場合には、若干過剰量の修正を加える必要がある。ただし、この弾性による戻り変形量は、修正部の形状や厚み、鋳込み素地スラリーの性状など複数の要因に大きく左右されるため、実験的または経験的に求められるのが通常である。一例を記載するとタンク中央部を水平方向外側に10mm膨らませるためには、12〜30mmの形状修正が必要である。また、形状修正するためのガイドのガイド面が小さいと、全体的に緩やかに膨らんだ形とはならず部分的に突出した見苦しい形になってしまい、反対に大きすぎるとコーナー部から亀裂が入ってしまうなどの不具合が発生するため、修正量の決定には様々な注意を要する。
【0015】次に、本発明にかかる形状修正装置の一実施例の構成を図面にもとづいて説明する。図1に搬送パレット10上に載置された上部が開口し水平方向の断面形状が略長方形をしたタンク生素地成形体5に対して穴あけと形状修正を行なう形状修正装置の構成を示す。形状修正装置Aは、図示しない例えばブレーキ付シリンダーなどの昇降手段によって上下に昇降する昇降フレーム1、昇降フレーム1に垂直状に配設した穴あけ用シリンダー2、穴あけ用シリンダー2の上下方向に進出後退するシリンダーロッド先端に取り付けられた穴あけカッター6を備えている。また、昇降フレーム1に固定され下方に配設したガイドラム3、形状修正シリンダー4a、4b、形状修正ガイド7a、7b、昇降フレーム1の下部に固定フレームを介して固定した上端押えシリンダー8a、8b、上端押えシリンダー8a、8bのシリンダーロッド先端部に取り付けた上端押えガイド9a、9bを備えている。
【0016】ガイドラム3はタンク生素地成形体5の内部形状に略一致した形状をなしかつタンク生素地成形体5の内部に進入後退できる形状寸法で、タンク生素地成形体5の位置決めと穴あけ加工と形状修正加工動作時のタンク生素地成形体5の全体支持をする。
【0017】形状修正ガイド7a、7bはタンク生素地成形体5の長辺方向の両壁面の略中央部を外側に膨出した形状にするための円弧面形状を有する修正ガイドで、形状修正シリンダー4a、4bによりタンク生素地成形体5の内側面を押して形状修正ガイド7a、7bに倣った形状に塑性変形させる。
【0018】上端押えシリンダー8a、8bと上端押えガイド9a、9bはタンク生素地成形体5の上部の開口部の形状を所定の形状に保持するもので、形状修正シリンダー4と形状修正ガイド7による形状修正動作時に引きつられて変形してしまうことを防ぐ役目を果たす。
【0019】次に、形状修正の動作を図2、3、4を用いて説明する。図2はタンク生素地成形体5に穴あけ及び形状修正を行なう前の状態を示し、図3は形状修正装置Aが下降してタンク生素地成形体内にガイドラム、形状修正ガイド、形状修正シリンダー、穴あけカッターを挿入した状態を示し、図4は穴あけ加工と同時に形状修正が行われている状態を示している。
【0020】まず、図2のようにタンク生素地成形体5がパレット10上に載置されてコンベアなどの搬送手段により穴あけ工程に搬送され所定位置に停止する。次に、図3のように昇降フレーム1が下降しガイドラム3がタンク生素地成形体5の内部に収まっていきながらタンク生素地成形体5が精度良く位置決めする。続いて、昇降フレーム1が所定の高さ位置まで下降停止して図4ように穴あけシリンダー2により穴あけカッター6が押し出されタンク生素地成形体5の底面に穴を明ける。それと同時に上端押えシリンダー8a、8bにより上端押えガイド9a、9bが前進してタンク生素地成形体5の長手方向の両上方部を押さえる。このとき、上端押えガイド9a、9bの押圧をラムガイド5の上端部近傍で受け、上端押えガイド9a、9bとラムガイド5の上端部近傍とによりタンク生素地成形体5の長手方向の両上方部を保持する。次に、形状修正シリンダー4a、4bにより形状修正ガイド7a、7bが前進してタンク生素地成形体5の中央部を押し出して外側に膨出して形状に塑性変形させる。最後に穴あけシリンダー2、形状修正シリンダー4a、4b、上端押えシリンダー8a、8b、を後退させた後、昇降フレーム1が上昇して停止する。その後、タンク生素地成形体5は次工程に搬送される。
【0021】
【発明の効果】以上、本発明の生素地成形体の形成方法およびそれに用いる形状修正装置によれば、穴あけ加工作業と並行して、生素地成形体の変形・傷・亀裂の要因を排除して生素地成形体の形状修正がが容易に実現できる。
【出願人】 【識別番号】000010087
【氏名又は名称】東陶機器株式会社
【出願日】 平成13年3月5日(2001.3.5)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−254422(P2002−254422A)
【公開日】 平成14年9月11日(2002.9.11)
【出願番号】 特願2001−59513(P2001−59513)