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【発明の名称】 セラミック成形体の封口方法
【発明者】 【氏名】成瀬 和也
【氏名】大平 吉輝
【課題】セラミック成形体の貫通孔の端部を封口用ペーストで封口した際、セラミック成形体の端面に突起、凹凸、液ダレ等が発生することがなく、また、上記貫通孔を上記封口用ペーストで完全に封口することができるセラミック成形体の封口方法を提供する。

【解決手段】多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状のセラミック成形体の上記貫通孔の端部を、セラミック粉末を主成分とする封口用ペーストで封口するセラミック成形体の封口方法であって、封口パターン状に開孔が形成されたマスクを用いて、上記貫通孔の端部に上記封口用ペーストの層を形成した後、上記セラミック成形体に振動処理を施すことを特徴とするセラミック成形体の封口方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状のセラミック成形体の前記貫通孔の端部を、セラミック粉末を主成分とする封口用ペーストで封口するセラミック成形体の封口方法であって、封口パターン状に開孔が形成されたマスクを用いて、前記貫通孔の端部に前記封口用ペーストの層を形成した後、前記セラミック成形体に振動処理を施すことを特徴とするセラミック成形体の封口方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多数の貫通孔が長手方向に並設された柱状のセラミック成形体の封口方法に関する。
【0002】
【従来の技術】バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排気ガス中に含有されるパティキュレートが環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。この排気ガスを多孔質セラミックを通過させることにより、排気ガス中のパティキュレートを捕集して排気ガスを浄化するセラミックフィルタが種々提案されている。
【0003】セラミックフィルタは、通常、図2に示したような多孔質セラミック部材30が複数個結束されてセラミックフィルタ20を構成している。また、この多孔質セラミック部材30は、図3に示したように、長手方向に多数の貫通孔31が並設され、貫通孔31同士を隔てる隔壁33がフィルタとして機能するようになっている。
【0004】すなわち、多孔質セラミック部材30に形成された貫通孔31は、排気ガスの入口側又は出口側の端部のいずれかが充填材32により封口され、一の貫通孔31に流入した排気ガスは、必ず貫通孔31を隔てる隔壁33を通過した後、他の貫通孔31から流出するようになっており、排気ガスがこの隔壁33を通過する際、パティキュレートが隔壁33部分で捕捉され、排気ガスが浄化される。
【0005】従来、このような多孔質セラミック部材30を製造する際には、まず、セラミック粉末とバインダーと分散媒液とを混合して成形体製造用の混合組成物を調製した後、この混合組成物の押出成形等を行うことにより、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状のセラミック成形体を作製し、所定の長さに切断する。
【0006】次に、得られたセラミック成形体を乾燥し、水分を飛散させることにより、一定の強度を有し、取り扱いが容易なセラミック成形体の乾燥体とし、続いて、このセラミック成形体の貫通孔の端部を、セラミック成形体を構成するセラミック粉末を主成分とする封口用ペーストで封口する。この後、セラミック成形体を焼成処理することにより、多孔質セラミック部材30を製造していた。
【0007】図5(a)は、封口装置を用いてセラミック成形体に封口処理を施す様子を模式的に示した断面図であり、(b)は、その部分拡大断面図である。また、図6(a)、(b)、(c)は、セラミック成形体の端面からペースト吐出槽を引き離したときの封口用ペーストの状態を模式的に示した断面図である。上記封口工程において、従来は、図5に示したように、封口パターン状に開孔55aが形成されたマスク55が側面に設置され、その内部に攪拌片57を備え、かつ、その内部が封口用ペースト12で満たされた開放式のペースト吐出槽56を用いて、以下のような封口処理を行っていた。
【0008】セラミック成形体10が、所定の運搬路等を通ってペースト吐出槽56が設置されている部分まで移動してくると、まず、ペースト吐出槽56を移動させることにより、マスク55をセラミック成形体10の端面10aに当接させる。このとき、開孔55aとセラミック成形体10の貫通孔11部分とは、ちょうど対向する位置関係となっている。
【0009】続いて、攪拌片57を上下に移動させて封口用ペースト12を攪拌すると、封口用ペースト12は流動し、この流動により封口用ペースト12がマスク55の開孔55aより吐出し、セラミック成形体10の貫通孔11の端部に封口用ペースト12が侵入する。上記工程により封口用ペースト12の充填が終了すると、ペースト吐出槽56を初めと反対方向に移動させ、マスク55をセラミック成形体10の端面10aから引き離すことにより、封口工程を終了していた。
【0010】しかしながら、図6(a)に示したように、封口用ペースト12は粘性が大きいため、マスク55をセラミック成形体10の端面10aから引き離す際に、封口用ペースト12は、所謂、糸引き状態となる。しかも、糸引き部分の中央が細くなった後、その中央部分で封口用ペースト12が切れるため、図6(b)に示したように、形成した封口用ペーストの層52の外部に露出した部分に突起54が形成されてしまうことがあった。また、セラミック成形体10の端面10aには、突起54のほかに、封口用ペースト12の切れ方により様々な形状の凹凸が形成されたり、図6(c)に示したような、封口用ペーストが貫通孔11の端部の下方に垂れる、所謂、液ダレ58が発生することがあった。
【0011】このように、セラミック成形体10の端面10aに突起、凹凸、液ダレ等が発生していると、その後、脱脂及び焼成工程を経て製造する多孔質セラミック部材30の端面にも、突起、凹凸、液ダレ等が形成されることとなるため、以下のような問題が存在していた。即ち、多孔質セラミック部材30は、この後、複数個を束ねて接着し、図2に示したセラミックブロック21の形状に加工した後、その側面にシール材22を塗布することで、セラミックフィルタ20を形成する。
【0012】シール材22を塗布する際には、多孔質セラミック部材30の端面にシール材22が付着しないように、上記端面にフィルムを貼り付けるが、この端面に突起、凹凸、液ダレ等が形成されていると、フィルムが完全に端面に密着せず、端面部分にシール材22が流れ込み貫通孔を塞いでしまったり、セラミックフィルタの長手方向の寸法精度が悪化するという問題があった。
【0013】また、多孔質セラミック部材30の端面に液ダレが発生したまま、次の脱脂、焼成等の工程を行おうとすると、液ダレがひどくなり、開口している必要のある貫通孔が塞がれてしまい、得られたセラミックフィルタの一部は、フィルタとしての機能を果たすことができなくなるという問題があった。このような突起、凹凸、液ダレ等を無くすために、封口用ペーストの層52の形成方法について、種々検討を行ったが、突起、凹凸、液ダレ等を完全に無くすことは困難であった。
【0014】そのため、従来は、多孔質セラミック部材30を製造した後、その端面に突起、凹凸、液ダレ等が発生しているか否かをチェックし、上記端面に突起、凹凸、液ダレ等が発生している場合には、これらを削り取る端面処理工程を行う必要があり、生産性に劣るものであった。
【0015】また、セラミック成形体の貫通孔の端部を封口用ペーストで封口した際、封口用ペーストの量が充分に多くない場合や一方向に偏った状態で充填される場合があり、このような場合、形成される封口用ペーストの層に隙間が形成され、貫通孔が完全に塞がれないことになる。このような状態のセラミック成形体を焼成し、多孔質セラミック部材を製造すると、多孔質セラミック部材を構成する充填材にも隙間が形成されることとなり、その後製造するセラミックフィルタが、フィルタとしての機能を果たすことができないという問題もあった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、セラミック成形体の貫通孔の端部を封口用ペーストで封口した際、セラミック成形体の端面に突起、凹凸、液ダレ等が発生することがなく、また、上記貫通孔を上記封口用ペーストで完全に封口することができるセラミック成形体の封口方法を提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明のセラミック成形体の封口方法は、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状のセラミック成形体の前記貫通孔の端部を、セラミック粉末を主成分とする封口用ペーストで封口するセラミック成形体の封口方法であって、封口パターン状に開孔が形成されたマスクを用いて、上記貫通孔の端部に上記封口用ペーストの層を形成した後、上記セラミック成形体に振動処理を施すことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明のセラミック成形体の封口方法について、図面を参照しながら説明する。
【0019】本発明のセラミック成形体の封口方法(以下、本発明の封口方法という)で封口処理の対象となるセラミック成形体は、セラミック粉末及びバインダー等を主成分とした混合組成物を成形することにより作製されるものである。このセラミック成形体を作製する際には、まず、セラミック粉末及びバインダー等を混合して成形体作製用の混合組成物を調製した後、この混合組成物の押出成形等を行って成形体を作製する。続いて、加熱を行って成形体中の溶剤等を飛散させることにより、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状のセラミック成形体の作製を終了する。
【0020】上記セラミック粉末としては特に限定されず、例えば、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化硼素、窒化チタン、炭化チタン等の非酸化物系セラミックの粉末;アルミナ、コージェライト、ムライト、シリカ、ジルコニア、チタニア等の酸化物系セラミックの粉末等を挙げることができる。これらのなかでは、耐熱性に優れる炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム等が好ましい。
【0021】これらセラミック粉末の粒径も特に限定されるものではないが、後の焼成過程で収縮が少ないものが好ましく、例えば、0.3〜50μm程度の平均粒子径を有する粉末100重量部と0.1〜1.0μm程度の平均粒子径を有する粉末5〜65重量部とを組み合わせたものが好ましい。
【0022】上記バインダーとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。上記バインダーの配合量は、通常、セラミック粉末100重量部に対して、1〜10重量部程度が好ましい。上記混合組成物に流動性を与える分散媒液としては、例えば、ベンゼン等の有機溶媒;メタノール等のアルコール、水等を挙げることができる。
【0023】本発明の封口方法では、まず、封口パターン状に開孔が形成されたマスクを用いて、上記セラミック成形体の貫通孔の端部に上記封口用ペーストの層を形成する。
【0024】マスクに形成された開孔は、封口の対象となるセラミック成形体の貫通孔の断面と同じ形状であってもよく、それよりも小さい形状であってもよい。上記開孔を上記貫通孔の断面よりも小さい形状とすることにより、セラミック成形体の端面に突起等の凹凸は形成されにくくなるが、開孔が余り小さいと封口用ペーストの吐出量が少なくなり、完全に封口することができないことがある。従って、上記開孔の形状は、セラミック成形体の貫通孔の大きさや封口用ペーストの粘度等により、適宜決定される。
【0025】上記封口用ペーストも特に限定されるものではないが、焼成した際にセラミック成形体と一体となりやすいものが好ましく、セラミック成形体を作製する際に使用する混合組成物と略同じ成分のものか、又は、それらに、さらに分散媒が添加されたものが好ましい。
【0026】上記セラミック成形体の貫通孔の端部に上記封口用ペーストの層を形成する方法としては、例えば、図1に示したような封口装置を使用する方法を挙げることができる。
【0027】図1(a)は、封口装置を用いてセラミック成形体に封口処理を施す様子を模式的に示した断面図であり、(b)は、(a)に示した封口装置の部分拡大断面図である。封口装置100は、主に、密閉式の容器状の2つのペースト吐出槽16により構成されており、このペースト吐出槽16の一側面には、封口パターン状に開孔15aが形成されたマスク15が形成され、2つのペースト吐出槽16は、このマスク15同士が向き合うように離間して設置されている。また、ペースト吐出槽16の内部は上述したような材料からなる封口用ペースト12で充満され、さらに、ペースト吐出槽16は、その内部に圧力を印加するための装置と接続されている。
【0028】このような封口装置100を用いて、セラミック成形体10の貫通孔11の端部に封口用ペースト12の層を形成するには、まず、マスク15の各開孔15aが、セラミック成形体10の貫通孔11に対向し、当接するようにペースト吐出槽16を移動させる。
【0029】次に、このペースト吐出槽16に圧力を印加することで、封口用ペースト12を、マスク15の開孔15aから、セラミック成形体10の貫通孔11に侵入させる。
【0030】ペースト吐出槽16に圧力を印加する装置としては特に限定されず、例えば、空気等のガスを圧入するための装置、ペースト吐出槽16内部の体積を小さくする(ペースト吐出槽16内に一定形状の部材を侵入させる)こと等により圧力を印加する装置、ポンプ等を用いて封口用ペースト12を圧入する装置等が挙げられるが、これらのなかでは、ポンプ等を用いて封口用ペースト12を圧入する装置が好ましく、なかでも、一軸偏心ネジポンプがより好ましい。
【0031】上記一軸偏心ネジポンプとは、断面が円形の雄ネジのローター(金属製)が、断面が長円形の弾性部材からなるステーターの中に装着され、このローターがドライブシャフト及びユニバーサルジョイントを介して、偏心軸センターにおいて回転するようになっており、このローターを回転させると、ローターがステーターの内部を回転しながら上下運動し、これにより、両者の間にできる空間に充満した液体(封口用ペースト12)を吸込口側から吐出側に移送することができるように構成されたものである。
【0032】この一軸偏心ネジポンプは、ローターの回転運動により吸い込みと吐出とを同時に行うので弁を必要とせず、また、本発明で用いる封口用ペースト12のような粘性の高い液体でも、一定量の液体を連続的に吸入、吐出することができる。
【0033】このような方法で封口用ペースト12をセラミック成形体10の貫通孔11に侵入させると、ペースト吐出槽16に印加する圧力の大きさを制御することで、マスク15から吐出させる封口用ペースト12の量を調整することがでる。従って、各貫通孔11に対して一定量の封口用ペースト12を充填することができ、封口用ペースト12の充填量の不足に起因する隙間等が発生しにくくなる。
【0034】また、ペースト吐出槽16は密閉式であるため、封口用ペースト12がマスク15から漏れにくく、封口用ペースト12が、セラミック成形体10の貫通孔11以外の部分へ付着することを防止することができる。
【0035】そして、ペースト吐出槽16が、互いに離れるような方向に移動することで、セラミック成形体10の端面10aからマスク15を引き離し、貫通孔11の端部に封口用ペースト12の層を形成する。
【0036】なお、この段階においては、形成した封口用ペーストの層の外部に露出した部分には、上述した従来の封口処理と同様に、図6(b)及び(c)に示したような突起や、その他、様々な形状の凹凸、液ダレ等が発生する場合がある。
【0037】セラミック成形体の貫通孔の端部に封口用ペーストの層を形成する方法としては、上記したものに限定されることはなく、例えば、図1に示した封口装置100のペースト吐出槽16内に攪拌機を設け、該攪拌機で封口用ペーストを攪拌しながら封口処理を施す方法や、上記従来の技術で説明した方法等を用いることもできる。
【0038】次に、本発明の封口方法では、貫通孔の端部に封口用ペーストの層を形成したセラミック成形体に振動処理を施す。
【0039】このように、セラミック成形体に振動処理を施すことで、封口用ペーストの層に形成された突起、凹凸、液ダレ等が解消し、封口用ペーストの層の外部に露出した部分は凹凸のない略平面の状態となる。
【0040】ここで、封口用ペーストの層の外部に露出した部分に突起、凹凸、液ダレ等が発生する理由、及び、セラミック成形体に振動処理を施すことにより、これらの突起、凹凸、液ダレ等が解消する理由は、以下の通りであると考えられる。即ち、通常、封口用ペーストをセラミック成形体の貫通孔に充填すると、その外部に露出した部分には表面張力が作用し、該露出部分はその表面積が最も小さくなるように凹凸のない平面に近い曲面を形成しようとする。しかしながら、上記従来の技術において説明した通り、上記封口用ペーストは粘度が高く、その粘性力が上記表面張力に勝るものであったため、封口用ペーストの層を形成する際の、マスクの引き離しに伴う糸引き状態の形状をそのまま止め、上述したような突起や凹凸が形成されていた。また、上記糸引き状態が長くなると、封口用ペーストが貫通孔の下方に垂れ下がる、所謂、液ダレが発生していたと考えられる。しかしながら、このような、端面に突起、凹凸、液ダレ等が発生しているセラミック成形体に振動処理を施すと、上記封口用ペーストの層のみかけの粘度が低下するため、上記封口用ペーストの層の外部に露出した部分の表面張力が封口用ペーストの粘性力に勝ることとなり、該部分の形状が凹凸のない略平面状態となるものと考えられる。また、この振動により、粘度が低下する結果、貫通孔に隙間が形成されていた場合にも、その隙間に封口用ペーストが拡がり、貫通孔が完全に塞がれる。
【0041】図4(a)は、封口用ペーストの層を形成したセラミック成形体に振動処理を施す様子を模式的に示した斜視図であり、(b)は、その正面図である。
【0042】図4に示した通り、この振動処理においては、まず、貫通孔に封口用ペーストの層を充填したセラミック成形体40を、2つ並んで配置された板状の支持部44の上に載置する。そして、セラミック成形体40の両端部付近をその左右方向から固定チャック43で固定した後、セラミック成形体40の上面に板状の振動プレート42を2個の弾性部材45を介して載置し、振動プレート42の上面に当接するように配置したバイブレータ41を作動させることで、振動プレート42及び弾性部材45を介してセラミック成形体40に振動処理を施す。
【0043】支持部44は、振動処理時にセラミック成形体40を振動させやすくするとともに、振動処理の衝撃によりセラミック成形体40が破損しないようにするために設けられており、弾性体からなることが望ましい。具体的には、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の合成ゴムやポリイソブチレン、ポリエチレン等のエラストマー、発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン等のプラスチック発泡体、その他、天然ゴム、スポンジゴム等を挙げることができる。これらのなかでは、スポンジゴムであることが望ましい。
【0044】また、支持部44のサイズとしては特に限定されず、その上面にセラミック成形体40を載置した際、セラミック成形体を安定して載置することができるとともに、セラミック成形体40に振動処理を施した際、充分に衝撃を吸収することができるような厚さに適宜調整される。
【0045】固定チャック43は、振動処理の際にセラミック成形体40がずれないように固定するために設けられており、セラミック成形体40の両端面近傍において、セラミック成形体40を挟み込むようにして、セラミック成形体40を固定することが望ましい。このような固定チャック43の材料としては特に限定されず、例えば、セラミック、樹脂、金属等を挙げることができる。
【0046】また、固定チャック43のサイズとしては特に限定されず、セラミック成形体40の側面の大きさに合わせて適宜調整される。なお、この振動処理を施す際のセラミック成形体40は、水分を乾燥、除去しただけの乾燥体であり、その強度は弱いため、固定チャック43がセラミック成形体40の側面を挟み込む挟持力は、セラミック成形体40を破壊しないように調整する必要がある。また、固定チャック43とセラミック成形体40との間に、上述したような弾性体の層を形成してもよい。セラミック成形体40が破壊を防止することができるからである。
【0047】弾性部材45は、振動プレート42とセラミック成形体40の上面との間に介装されるように設けられており、後述する振動プレート42から伝わる振動を、セラミック成形体40の貫通孔の端部近傍に局所的に伝達するために設けられている。また、振動プレート42をセラミック成形体40上に直接載置することで、セラミック成形体40に破損等が発生することを防止する役割も果している。
【0048】弾性部材45を構成する材料としては、弾性体からなることが望ましく、具体的には、支持部44において説明したものを挙げることができる。また、弾性部材45の硬度としては60〜120°であることが望ましく、硬度90°のウレタンゴムが最も望ましい。
【0049】また、弾性部材45は、セラミック成形体40の上面の端から1〜5mmの範囲に形成されることが望ましい。貫通孔の端部に形成した封口用ペーストの層に振動を確実に伝達するためである。このような弾性部材45は、その上部に振動プレート42を載置することができるような形状であり、通常、板状である。また、そのサイズとしては特に限定されず、セラミック成形体40のサイズ等に合わせて適宜調整される。
【0050】振動プレート42は、弾性部材45上に載置されており、通常、その形状は板状である。また、振動プレート42は、後述するバイブレータ41で発生させた振動を、弾性部材45に均等に伝達する役割を果している。
【0051】振動プレート42を構成する材料としては、バイブレータ41で発生させた振動を吸収することがない、ある程度の強度を有するものであれば特に限定されず、例えば、セラミック、樹脂、金属等を挙げることができる。また、そのサイズとしては、セラミック成形体40の上面の両端部付近に設けた弾性部材45上に載置することができる大きさに適宜調整される。但し、振動プレート42は、バイブレータ41で発生させた振動により破壊されることがないよう、ある程度の厚さを要するが、弾性部材45を押し潰すことのない重量に調整する必要がある。
【0052】バイブレータ41は、所定の周波数、振幅及び加速度の振動を発生することができるものであれば特に限定されず、例えば、空気式ボールバイブレータを挙げることができる。
【0053】バイブレータ41は、振動プレート42の上面の中央付近に当接するように配置され、振動プレート42及び弾性部材45を介してセラミック成形体40に振動を伝達するように構成されている。
【0054】バイブレータ41の振動の方向としては特に限定されず、任意の方向に振動するものであってよい。このときの振動の条件としては、加速度は9.8〜98.0m/s2 (1〜10G)であることが好ましく、振幅は0.01〜0.2mmであることが好ましく、周波数は100〜300Hzであることが好ましい。セラミック成形体を傷つけたり、破壊することがなく、また、良好に封口用ペーストの層の外部に露出した部分の突起、凹凸、液ダレ等を解消することができる範囲だからである。
【0055】また、セラミック成形体に振動処理を施すその他の方法としては、例えば、その下方に振動装置(バイブレータ)を備えたステージ上にセラミック成形体を載置し、該セラミック成形体を振動する方法等を挙げることができる。
【0056】以上説明した通り、本発明の封口方法によると、セラミック成形体の貫通孔の端部に封口用ペーストの層を形成した際、該封口用ペーストの層の外部に露出した部分に突起、凹凸、液ダレ等が発生していたとしても、その後、振動処理を施すので、封口用ペーストの外部に露出した部分は凹凸のない略平面となる。従って、このようなセラミック成形体を用いて製造した多孔質セラミック部材は、その端面にフィルムを隙間なく貼り付けることができ、セラミックブロックの外周にシール材を形成する工程において、上記シール材が多孔質セラミック部材の貫通孔に流入することがなく、また、製造するセラミックフィルタの長手方向の寸法精度も優れたものとなる。
【0057】また、セラミック成形体の封口工程の後、多孔質セラミック部材の端面に突起、凹凸、液ダレ等が発生しているか否かをチェックし、上記突起、凹凸、液ダレ等が発生している場合に、これらを削り取る工程を行う必要がなく、生産性に優れたものとなる。
【0058】さらに、セラミック成形体の貫通孔に封口用ペーストを充填した際、該封口用ペーストが上記貫通孔に完全に充填されず、隙間が存在する場合であっても、上記振動処理を施すことにより上記隙間を解消することができる。
【0059】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0060】実施例1平均粒径10μmのα型炭化珪素粉末70重量部、平均粒径0.7μmのβ型炭化珪素粉末30重量部、メチルセルロース5重量部、分散剤4重量部、水20重量部を配合して均一に混合することにより、原料の混合組成物を調製した。この混合組成物を押出成形機に充填し、押出速度2cm/分にてハニカム形状の炭化珪素成形体を作製した。この炭化珪素成形体は、図3に示した多孔質セラミック部材30と略同様であり、その大きさは33mm×33mm×300mmで、平均気孔径が1〜40μm、貫通孔の数が31個/cm2 、隔壁の厚さが0.35mmであった。
【0061】次に、図1に示した封口装置100を用い、封口パターン状に開孔が形成されたマスクを、上記開孔が上記炭化珪素成形体の貫通孔と対向するように当接させた後、一軸偏心ネジポンプを用いて、上記混合組成物と同成分からなる封口用ペーストを充満したペースト吐出槽に圧力を印加し、上記炭化珪素成形体の貫通孔の端部に上記封口用ペーストの層を形成した。
【0062】そして、上記実施の形態において説明した方法により、上記炭化珪素成形体に振動処理を施すことにより、炭化珪素成形体の封口工程を行った(図4参照)。なお、上記炭化珪素成形体の振動処理において、支持部44は硬度15°のスポンジゴムからなるものを使用し、弾性部材45は硬度90°のウレタンゴムからなるものを使用し、弾性部材45は炭化珪素成形体の両端部からそれぞれ2.5mmの位置に載置した。また、バイブレータとしてはエクセン社製:空気式ボールバイブレータ UH19を使用した。このときの振動処理の条件を、炭化珪素成形体の中央部に振動子(昭和測器社製、振動計 デジバイブロ1332)を当てることにより測定した。その結果を下記の表1に示した。
【0063】実施例2炭化珪素成形体に施した振動処理の条件を下記の表1の通りに変更したほかは、実施例1と同様にして炭化珪素成形体の封口工程を行った。
【0064】比較例1振動処理を施さなかったほかは、実施例1と同様にして炭化珪素成形体の封口工程を行った。
【0065】実施例1、2及び比較例1に係る炭化珪素成形体の貫通孔の端部に、封口用ペーストの層を形成した際、図6(b)及び(c)に示したような突起や凹凸、及び、液ダレ等が発生しているものの数を数えておき、その後、振動工程を行った後に、再度、同様の突起や凹凸、及び、液ダレ等が発生しているものの数を数えた。その結果を下記の表1に示した。なお、上記評価は、炭化珪素成形体の両端面について行い、下記の表1には、炭化珪素成形体の端面から0.5mm以上突出している突起や凹凸、及び、液ダレが発生しているものが何%存在するかを測定した。
【0066】
【表1】

【0067】表1に示した結果から明らかなように、実施例1、2及び比較例1に係る炭化珪素成形体の貫通孔の端部に封口用ペーストの層を形成した段階では、突起、凹凸、液ダレの発生率は、35〜58%といずれも高いものであった。しかしながら、実施例1、2に係る炭化珪素成形体については、振動処理を施した後の突起、凹凸、液ダレの発生率は0〜0.06%と、略完全に解消することができた。
【0068】また、実施例1、2及び比較例1に係る炭化珪素成形体に脱脂及び焼成工程を施して多孔質炭化珪素部材を製造し、これらの多孔質炭化珪素部材の両端面にフィルムを貼り付け、図2に示したセラミックブロックを作製した後、その外周にシール材を塗布して多孔質炭化珪素フィルタを製造した。
【0069】実施例1及び実施例2に係る多孔質炭化珪素部材については、フィルムを、その端面に完全に密着して貼り付けることができ、上記シール材塗布工程においても、シール材が多孔質炭化珪素部材の端面とフィルムとの間に流れ込むことはなく、良好に多孔質炭化珪素フィルタを製造することができた。一方、比較例1に係る多孔質炭化珪素部材については、多孔質炭化珪素部材の端面とフィルムとの間に隙間が形成されており、上記シール材の塗布工程において、シール材が多孔質炭化珪素部材の端面とフィルムとの間に流れ込んでしまい、貫通孔に目詰まりが発生してしまい、また、製造する多孔質炭化珪素フィルタの長手方向の寸法精度も劣るものであった。
【0070】
【発明の効果】本発明のセラミック成形体の封口方法は、上述の通りであるので、セラミック成形体の貫通孔の端部を封口用ペーストで封口した際、セラミック成形体の端面に突起、凹凸、液ダレ等が発生することがなく、また、上記貫通孔を上記封口用ペーストで完全に封口することができる。
【出願人】 【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
【出願日】 平成13年1月24日(2001.1.24)
【代理人】 【識別番号】100086586
【弁理士】
【氏名又は名称】安富 康男 (外2名)
【公開番号】 特開2002−210723(P2002−210723A)
【公開日】 平成14年7月30日(2002.7.30)
【出願番号】 特願2001−15875(P2001−15875)