トップ :: B 処理操作 運輸 :: B27 木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステ−プル打ち機一般




【発明の名称】 木質系基材及びその製造方法
【発明者】 【氏名】矢野 浩之

【氏名】中原 進

【要約】 【課題】環境負荷の少ない手法でもって再構築した高強度で、リサイクル可能で、生分解性を有する木質系基材と、その製造方法を提供する。

【解決手段】可塑化及びフィブリル化の進んだパルプ繊維の集合体であって、各パルプ繊維3が、高度に絡み合い、接近したフィブリル相互間において、強固な繊維間結合点2が形成されたことを特徴とする木質系基材1。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 可塑化及びフィブリル化の進んだパルプ繊維集合体であって、各パルプ繊維が高度に絡み合い、接近したフィブリル相互間において、強固な結合が形成されたことを特徴とする木質系基材。
【請求項2】 可塑化及びフィブリル化の進んだパルプ繊維集合体であって、更に、各パルプ繊維が繊維間結合成分を介在して強固に結合したことを特徴とする木質系基材。
【請求項3】 前記パルプ繊維が、クラフトパルプ繊維であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の木質系基材。
【請求項4】 前記繊維間結合成分が、天然系接着剤であることを特徴とする請求項2に記載の木質系基材。
【請求項5】 パルプ繊維からなるパルプシート状体に対して、十分量の温水を含浸させた後、余剰水分を脱水除去する温水含浸脱水工程と、温水を含浸した前記パルプシート状体を、混練機で所定時間混練して混練物を得る混練工程と、前記混練物に所定量の水を添加混合して流動性を調整し、成形準備物を得る流動性調整工程と、前記成形準備物を成形型に投入し、該成形型に収容された該成形準備物に対して、加圧することにより第1の含水率まで脱水する脱水工程と、前記第1の含水率に調整された前記成形準備物を加圧下で乾燥して、第2の含水率に調整された予備成形乾燥物を得る乾燥工程と、前記予備成形乾燥物を120℃〜200℃の加熱範囲下で、且つ、5MPa〜100MPaの加圧範囲下における所定の可塑化条件下において,所定時間保持する加熱加圧保持工程と、を実行することによって、可塑化及びフィブリル化の進んだパルプ繊維集合体からなる木質系基材を製造することを特徴とする木質系基材の製造方法。
【請求項6】 請求項5に記載の製造方法おいて、前記流動性調整工程では、更に、繊維間結合成分が添加されることを特徴とする請求項5記載の木質系基材の製造方法。
【請求項7】 前記混練工程では、混練機として、ニーダーを使用することを特徴とする請求項5または請求項6記載の木質系基材の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、本質系基材及びその製造方法に関し、詳しくは、高強度を有する植物繊維材料を、環境負荷の少ない手法でもって再構築してなる高強度で生分解性及びリサイクル性を有した木質系基材と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、木質資源材料として、集成材、LVL(単板積層材)、合板、PB(パーティクルボード)、FB(ファイバーボード)などが、広く建築材料(ボード材として)やその他の工業材料(成形材料など)として使用されている。
【0003】木材は、微視的にはセルロース、リグニン、ヘミセルロースなどからなる複合材料であり、セルロース結晶は細胞壁の骨格となり、リグニン、ヘミセルロースはマトリックスの働きをしている。そして、セルロースの高い結晶性や、主成分であるセルロース、リグニン、ヘミセルロース間の二次結合により、高い弾性を有し、可塑性が非常に低く、溶融性を持たない。上記木質資源材料は、それらの木材特有の直接的な性質が、そのまま利用されている。
【0004】一方、木質系資源材料として、主として紙の原料として使用されるパルプなるものがある。パルプは、木材、じん皮、葉などの植物繊維を化学的或は機械的方法によって単繊維化したものであり、機械パルプ(MP)、ケミグランドパルプ(CGP)、化学パルプ(CP)に分類され、更に、化学パルプは、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)に分類されるが、それぞれの特徴を生かした用途に使用されている。パルプは、先述した木質資源材料とは異なり、単繊維化した材料を使用することによる特徴が生かされる用途に使用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ファイバーボードなどの木質資源材料は、それらの木材特有の直接的な性質が、そのまま利用されているため、例えば、軽量化を考えた場合に、薄板状にするという手段をとれば、たちまち強度面で問題が出て来る。
【0006】また、上記の単繊維化したパルプについては、主として紙の原料として使われていることもあって、紙として持つべき諸性能を発揮させんがための改質研究はよく行われているものの、更に紙を改質して、高強度を発揮する薄板状にするといった研究はあまり行われていないのが現状である。
【0007】一方、木質系材料として、近年、熱可塑性木材或は熱溶融性木材と呼ばれる材料が注目されて来ている。この種材料は、木材主成分であるセルロース、リグニン、ヘミセルロース間の二次結合状態に変化を与えると同時にセルロースの非晶化を伴うエステル化反応やエーテル反応により製造されるが、その特徴は、木材構成成分を分離することなくそのまま処理できることであって、WPC(Wood Plastic Composit,Wood Polymer Combination)や他の化学処理とは異なり、本質的には木材の性質を失った材料に誘導することである。結果的には、プラスチック性や熱溶融性を示す材料となるので、工業原料としての新しい木材の利用が期待されている。
【0008】しかしながら、その製造法としては、高級脂肪酸による木粉のエステル化の例にみられるように、セルロースの非晶化溶剤であるN−DMF(ジメチルホルムアミド)混合溶媒にピリジンを助触媒として加えるなど、化学処理剤の使用が不可欠であって、環境問題(安全性など)を考えた場合に、製造環境面のみならず、製品自体についても、次世代の新規材料としての展開に対しては、一抹の不安を残している。
【0009】本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、高強度を有する植物繊維材料を、環境負荷の少ない手法でもって再構築してなる高強度で、生分解性及びリサイクル性を有した木質系基材と、その製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、前記熱可塑性木材の製造原理であるところの「木材構成成分を分離しない」という点に着目し、敢えて逆に、木材構成成分が分離された状態から出発して、分離構成成分を再構築することによって、薄板状体である高強度の木質系基材を創製できないものかと考え、鋭意研究を重ねた結果、パルプ繊維状態から出発して、本願発明にかかる木質系基材を創製するに至った。更に、その製造にあたっては、環境問題を考え、有害な化学処理剤を一切使用せずに、薬品処理ではなく、あくまでも機械的方法でもって製造する方法を開発するに至った。
【0011】具体的に、上記目的を達成するための本請求項1にかかる発明は、可塑化及びフィブリル化の進んだパルプ繊維集合体であって、各パルプ繊維が高度に絡み合い、接近したフィブリル相互間において、強固な結合が形成されたことを特徴とする木質系基材であって、単位繊維当たりの結合点が増加し、強固な結合が形成されたことにより、特に、曲げ強度、曲げヤング係数など曲げ性能が著しく向上されている。具体的に、曲げ強度150MPa程度、曲げヤング係数13GPa程度の基材が得られる。
【0012】また、本請求項2にかかる発明は、可塑化及びフィブリル化の進んだパルプ繊維集合体であって、更に、各パルプ繊維が繊維間結合成分を介在して強固に結合したことを特徴とする木質系基材であって、各パルプ繊維間に繊維間結合成分が介在されることによって、繊維同士の直接的な結合に、繊維間結合成分による接合が加わって、更に曲げ強度、曲げヤング係数が顕著に向上される。
【0013】また、本請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項2にかかる発明であって、前記パルプ繊維が、クラフトパルプ繊維であることを特徴とする木質系基材である。ここで、クラフトパルプ繊維は、木材構成成分であるセルロース、リグニン、ヘミセルロースの内の、リグニン成分が極端に少なくなっていることから、水分存在下において可塑化は比較的容易に実現できる利点がある。合わせて、クラフトパルプ繊維は、その引っ張り強度が1.0GPa〜1.5GPa程度と非常に高く、薄板状体である高強度の木質系基材を創製するのに有利である。なお、鋼鉄の引っ張り強度は0.4GPa程度であり、炭素繊維の引っ張り強度は3GPa程度であるので、クラフトパルプ繊維の持つ引っ張り強度は大変高いものと言える。
【0014】また、本請求項4にかかる発明は、請求項2にかかる発明であって、前記繊維間結合成分が、天然系接着剤であることを特徴とする木質系基材である。天然系接着剤としては、例えば、多糖類である「デンプンのり」を使用することで、生分解性の問題のない有効なバインダーとすることができる。
【0015】また、本請求項5にかかる発明は、本発明にかかる木質系基材の製造方法であって、最初にパルプ繊維からなるパルプシート状体に対して、十分量の温水を含浸させた後、余剰水分を脱水除去する温水含浸脱水工程を実行し、更に、温水を含浸した前記パルプシート状体を、混練機で所定時間混練して混練物を得る混練工程を実行し、更に、前記混練物に所定量の水を添加混合して流動性を調整し、成形準備物を得る流動性調整工程を実行し、更に、前記成形準備物を成形型に投入し、該成形型に収容された該成形準備物に対して、加圧することにより第1の含水率まで脱水する脱水工程を実行し、更に、前記第1の含水率に調整された前記成形準備物を加圧下で乾燥して、第2の含水率に調整された予備成形乾燥物を得る乾燥工程を実行し、更に、前記予備成形乾燥物を120℃〜200℃の加熱範囲下で、且つ、5MPa〜100MPaの加圧範囲下における所定の可塑化条件下において、所定時間保持する加熱加圧保持工程と、を順に実行することによって、可塑化及びフィブリル化の進んだパルプ繊維集合体からなる木質系基材を製造することを特徴とする木賀系基材の製造方法である。なお、予備成形乾燥物の加熱範囲を200℃以上とすると、パルプの熱劣化が生じ成形物の強度が低下するので好ましくない。また、加圧範囲は、温度、含水率により変動する。
【0016】また、本請求項6にかかる発明は、請求項5における前記流動性調整工程において、更に、繊維間結合成分が添加されることを特徴とする木質系基材の製造方法である。上記製造方法によれば、温水含浸脱水工程にてパルプシート状体の内外全体各部に対して、十分な温水が行き渡り、パルプ繊維集合体からなるパルプシート状体は全体に十分に膨潤する。続く混練工程では、十分な混練が行われることにより、パルプ繊維の高度のフィブリル化が進行する。続く流動性調整工程、脱水工程、乾燥工程を経ることで、安定品質をもった半製品である予備成形乾燥物が得られる。荷重下に脱水乾燥が行われることで、成形準備物に反りが発生する現象を確実に抑制できる。更に、加熱加圧保持工程を実行することにより、高圧縮状態下にあるパルプ繊維集合体に流動化が起こり、可塑化が進行し、可塑化及びフィブリル化の進んだパルプ繊維集合体からなる木質系基材が創製される。
【0017】また、本請求項6にかかる発明のように、請求項5における前記流動性調整工程において、更に、繊維間結合成分を添加させれば、パルプ繊維間に介在させるべきバインダーとなる繊維間結合成分が容易に成形準備物に均等に配置せしめることができ、パルプ繊維間の結合力が一層、強化される。また、本請求項7にかかる発明のように、前記混練工程において、混練機として、ニーダーを使用すれば、パルプ繊維のフィブリル化は、極めて、効果的に進められる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明にかかる木質系基材1の化学構造を模式的に示した図である。図1aは、ニーダーによる混練を行わない場合の化学結合状態を模式的に示したもの(A1)であり、形成される繊維間結合点2(図中、円中に×印で示す)が、図1bや図1cに示す他の状態のもの(A2)(A3)に比べて、はるかに少ないことが理解されよう。なお、線状体として示しているのは単繊維パルプ3である。
【0019】図1bは、ニーダーで混練した場合の化学結合状態を模式的に示したもの(A2)であり、図1aに示した状態に比べて、多数の繊維間結合点2が形成されていることが理解されよう。すなわち、ニーダーによる混練によって、パルプ繊維のフィブリル化が進み結合点が顕著に増大したものと推察される。
【0020】図1cは、図1b(A2)の状態に繊維間結合成分4を混入させた状態を模式的に示したもの(A3)であり、繊維間結合成分4が、複数の単繊維パルプにまたがって、その結合力を及ぼしていることから、図1bの状態に比べて、パルプ繊維集合体全体としての更なる強度アップ効果が発揮される。なお、ニーダーによる混練の効果については、図7に示す顕微鏡写真を参照して後述する。
【0021】図2は、本発明にかかる木質系基材の製造工程を示す製造フローシートである。図に示すように、最初に、パルプシートを温水中に含浸させ(ステップS1)、続いて、余剰水分の脱水を行い(ステップS2)、その状態の含水パルプシートを混練機に投入して、所定時間混糠する(ステップS3)。ひき続いて、作業性を向上するため、混練物に適量の水を添加して若干の流動性を付与し(ステップS4)、更に、繊維間結合成分を添加して混合する(ステップS5)。続いて、この混合物を脱水成形可能な金型内に投入し、加圧下で脱水する(ステップS6)。更に、この加圧下に加温して乾燥させる(ステップS7)。ひき続き、加熱加圧し、所定温度、所定圧力下で所定時間保持し、可塑化を進行させる(ステップS8)。その後、徐冷し(ステップS9)、脱型し(ステップS10)、薄板状の木質系基材を得る。
【0022】図3は、本発明にかかる木質系基材1の製造に使用するニーダー10の主要部を示す概念図である。ニーダー10は、固定混和槽11内に互いに反対方向に回転する断面視略三角形の2つのブレード12、12を備えており、固定混和槽11の上面中央部に形成された開口隙間部13より含水パルプシート14を内に投入することにより、含水パルプシート14は断面視略三角形のブレード12、12によって、混練及びフィブリル化してゆく。なお、ここでは混練時間が重要であり、その曲げ性能に及ぼす影響については後述する。
【0023】ニーダー10のブレード12、12の形状については、図示のものに制限されるものではなく、混練時間とフィブリル化の関係などを考慮して適宜選択される。また、ニーダーの他に、ボールミルなど他の混合機を使って解繊することも可能である。いずれにしても、混練時間とフィブリル化の関係などをテストして適宜のものを選択使用する。
【0024】また、混練時間の経過に伴い、クラフトパルプ繊維のフィブリル化の進行状況が変化してゆくが、その進行状況を評価する定性的評価方法としては、乾燥後の予備成形乾燥物表面が外観上、明らかに異なっているので、その状態を測色する方法が有効である。
【0025】図4は、本発明にかかる木質系基材1の製造に使用する金型(図4a)と、プレス機(図4b)を示す概略図である。ここでは、円形の成形薄板を形成するために円筒金型20を使用している。混練物或は繊維間結合成分を混入したものをマット状態1aにして金型20の上下内枠21、22で挟み、図4bに示すように、それをホットプレス機25によりプレス処理を行う。
【0026】図2に示した製造フローに従い、図3に示すニーダー10と、図4に示す金型20及びプレス機25を使用して、次なる製造条件の下で成形薄板を製造したところ、曲げヤング係数13GPa、曲げ強度150MPaの薄板状の基材1(密度1.4g/cm)が得られた。
【0027】
・パルプシート〜北米産針葉樹を原料とするクラフトパルプ・沸騰水浸漬 1分・脱水後乾燥〜パルプシートの含水率2%・ニーダーによる混練時間 20分 (混練速度:50rpm、混練温度0℃〜80℃)
・ホットプレス 昇温→150℃(プレス圧:100MPa)
そのまま150℃で30分間圧縮保持【0028】次に、得られた成形物から試験体(縦40mm×横8mm×厚み1.5mm)を作製して、3点曲げ試験(JIS−K7203)による曲げ性能を評価した結果を図5aおよび図5bに示す。図5aは、混練時間が曲げ弾性率に与える影響を示すグラフであり、図5bは、混練時間が曲げ強さに与える影響を示すグラフである。
【0029】図に示すように、混練機による混練を行わなかった場合(混練時間0)は、曲げ弾性率は3GPa〜3.5GPa、曲げ強度は40MPa〜50MPaの成形物が得られた。また、混練時間が20分までは、混練時間の増大とともに、曲げ性能は向上した。そして、混練時間が20分を越えると、成形物の曲げ弾性率は10GPaに達し、曲げ強度も120MPaに達した。この値は、混練機を使用しなかったときの約3倍の値である。また、混練時間が20分を越えると、成形物の色も白色から薄緑色に変化するようになり、光を透過するプラスチック様の外観を呈するようになった。
【0030】表1に混練時間(分)と、曲げ強度(MOR)と、曲げ弾性率(MOE)と、密度の測定データを示す。いずれも混練時間の増加に伴って増加しており、そして、混練時間が10分を越えるころから、横這い状態となっていることがわかる。密度についても、ほぼ同様である。
【0031】
【表1】

【0032】以上の結果から、混練機によるパルプ繊維の混練程度が、繊維間の密着性の向上に重要な役割を果たしていることが理解されよう。
【0033】図6は、ニーダーの使用有無と添加物(繊維間結合成分)の、曲げ強度に与える影響を示すグラフである。縦軸に曲げ強度(単位MPa)、横軸に添加物の種類の配合を示している。ニーダーを使用していないにもかかわらず、クラフトパルプ繊維(KP)とデンプンのりの組み合わせ配合は、150MPa以上の曲げ強度(MOR)を発揮している。デンプンのりの添加量としては、10%よりも20%の方が、より高い曲げ強度が得られている。測定データは、KP+デンプンのり10%のとき149.4MPa、KP+デンプンのり20%のとき167.5MPaであった。
【0034】一方、ニーダーを使用した場合、サーモメカニカルパルプ(TMP)については、予想どおり、リグニンが残っているために、曲げ強度は低かった(測定データは、73.3MPa)。また、クラフトパルプ(KP)については、予想どおり、リグニンの残留量が極めて少ないため、単独でも高い曲げ強度を発揮していた(測定データは、130.4MPa)。更に、クラフトパルプと木粉との配合についてもテストしてみたが、木粉を配合したことによる曲げ強度の向上効果は見られなかった。測定データとしては、KP+木粉10%のとき134.7MPa、KP+木粉10%のとき135.5MPaであった。
【0035】図7は、ニーダーによる混練の効果を示す顕微鏡写真であり、混練前の状態は、パルプ繊維は、その剛直性を保持しているが、混練することにより、パルプ繊維が柔軟化し、更に、枝分かれして絡み合い、微細繊維の発生も見受けられる。このことは、拡大写真によりより鮮明に確認できる。以上の結果から、繊維間結合成分として、デンプンのりの漆加は、曲げ性能向上に大きく影響を及ぼすこと、そして、木粉ではなくパルプ繊維、特にクラフトパルプ繊維の、曲げ性能に及ぼす影響が甚大であることが理解されよう。
【0036】なお、デンプンのりの他にも、繊維間を結合するバインダーとしては、蒟蒻成分であるグルコマンナンも使用可能である。他にも、ゼラチン、カゼイン、デキストリン、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ハイドロキシエチルセルロースなども生分解性のあるバインダー成分として使用可能であるが、いずれについても、混練時間と曲げ性能の関係を見極めて、最適な条件の下で使用される。
【0037】また、生分解性を有することという条件をはずすことによって、耐水性を向上させるためにフェノール樹脂がバインダーとして使用できるなど、本発明にかかる製造方法は、通常の木材の改質に使用される薬剤に何らの制約なく使用できる。また、発泡剤を導入することによって、曲げ強度性能を大きく低下させることなく、密度をより低くすること(0.7〜0.8程度)も可能である。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、高強度を有する植物繊維材料を、環境負荷の少ない手法でもって再構築してなる木質系基材と、その製造方法を提供することができる。かかる木質系基材は、紙のようにリサイクルができ、生分解性も有するため、環境にやさしい基材となる。
【0039】更に、異種材料との複合体を成形し、使用、後容易に異種材料と分別して回収できる木質系基材は、成形することにより、コンピュータ等電子機器、携帯電話や各種家電品のフレーム、プリント基板、インスタントカメラ等に用いる回収型資源としても利用できる。
【出願人】 【識別番号】000110860
【氏名又は名称】ニチハ株式会社
【出願日】 平成13年4月2日(2001.4.2)
【代理人】 【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔 (外1名)
【公開番号】 特開2002−292608(P2002−292608A)
【公開日】 平成14年10月9日(2002.10.9)
【出願番号】 特願2001−103756(P2001−103756)