| 【発明の名称】 |
鋸歯の配列 |
| 【発明者】 |
【氏名】湯本 浩司
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| 【要約】 |
【課題】アサリの付け方を改良し、なお一層実用上の効果が大きい鋸歯を提供する。
【解決手段】鋸歯の天(19、20)を鋸身の幅(27、28)の外側に至るまでアサリを付けた隣り合う対に形成した鋸歯(19、20)と、鋸歯の天(21、22)を鋸身の幅(27、28)の内側に入るまでアサリを付けた隣り合う対に形成した鋸歯(21、22)とをそれぞれ組として交互に隣り合って対をなして配列されている鋸歯の配列である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鋸歯の配列において、鋸歯の天を鋸身の幅の外側に至るまでアサリを付けた隣り合う対に形成した鋸歯と、鋸歯の天を鋸身の幅の内側に入るまでアサリを付けた隣り合う対に形成した鋸歯とをそれぞれ組として交互に隣り合って対をなして配列されていることを特徴とする鋸歯の配列。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、鋸における、改良された鋸歯の配列に関する。 【0002】 【従来の技術】鋸は、鋸の材質・形状や鋸歯の形状により、さらには鋸歯の配列によって切断効率や寿命が影響される。特に手挽き鋸は、限られた人間の力でも効率的に切れて、かつ、切れ味・感触にも勝れたものが望まれている。鋸歯の構造に関しては、各種の改良がなされてきた。以下に、主として手挽き鋸を中心として、従来技術を概観する。手挽き鋸には、図1に示すように、(1)縦挽き目からなる縦挽き鋸、(2)横挽き鋸、(3)横挽き鋸で挽く方向が両方であるイバラ目鋸、(4)縦挽きと横挽きの兼用鋸等があり、それ以外の(5)特殊目鋸も一部で試みられている。縦挽き鋸の目、すなわち縦挽き目は、鋸身の厚さに対して垂直に鋸歯を形成してある。縦挽き目には、通常、鋸歯の斜面aや、天の斜面cを設けない。鋸歯の先端たるbを鋸歯の天と称する。天の斜面cを設けないので、縦挽き鋸では鋸歯のすくい角θ(ここでは、鋸歯の鋸挽き方向前面が鋸挽き方向となす角(の補角)とする)が鋸の切削性能を決めていくことになる。図1(1)では、すくい角が直角に近い鈍角の例を示す。より鈍角の大きいもの、逆に鋭角のものもある。 【0003】横挽き目は、縦挽き目と異なり、鋸身の厚さに対して斜めの角度をつけて鋸歯の斜面aを有する鋸歯を形成する。横挽き目では、鋸歯のすくい角θと鋸歯の斜面aの角度、天の斜面cの角とが合成されて、被切断物への掛かりが決まることになる。鋸歯のすくい角および鋸歯の斜面の角度が同じでも、天の斜面の角度を急にすると、掛かりが強くなる。イバラ目は、横挽き鋸において、両方向に挽いて切れるようにするために、両側に鋸歯の斜面を有する鋸歯であって、鋸歯のすくい角を左右でほぼ同一とし、天の斜面を設けない。兼用目は、縦挽き鋸としても横挽き鋸としても使えるように、縦挽き目と同様に、鋸身の厚さに対して垂直な鋸歯とし、鋸歯の斜面を設けず、かつ、天の斜面を形成する。 【0004】手挽き鋸の鋸目は、以上の4種類を基本形とするが、さらに各種の工夫が施された特殊目のものも試みられている。その一例として、横挽き目において、天の斜面を通常のものと反対側、すなわち鋸歯の斜面を有しない側に設けるものを例示する。通常の鋸は、鋸歯を表裏交互に配列して構成されている。鋸歯配列の所々に、性質の異なる鋸歯や、切り屑を排出させるための掻き出し歯あるいは掻き出し用の空所を挿入することもある。いずれの鋸歯においても、鋸歯の最先端、すなわち切っ先(ここでは「鋸歯の天b」と呼ぶこととする)で木材を切っている。 【0005】鋸がよく切れるためには、次の通りの鋸三原則がある。すなわち、○鋸身が薄い程良く切れる(喰い込みが良い)、○鋸身が硬い程長期間切れる(寿命が長い)、○鋸歯が大きい程ザクザク多く切れる(切り屑(オガクズ)が大きい)、である。鋸身は、薄過ぎては腰が弱くなり、しなりやすく曲がりやすくなって、使い勝手が悪くなる。また、鋸歯の幅と鋸身の厚さとが基本的に同じである場合には、鋸挽きの進行と共に鋸身と切条との間の摩擦が強まり、鋸を挽くのに必要な力が増大していく。そのために、鋸歯を鋸身の厚さ方向に曲げ拡げて(アサリをつけて)実質的に鋸の見掛けの厚さを厚くしていた。 【0006】または、背部から歯部に至るに従ってアサリの分だけ厚肉となる鋸身を用いて、アサリを特にはつけない方式のものも用いられてきた。鋸身の硬さについては、被切断物との兼ね合いで、素材の材質、熱処理等が考慮されている。鋸歯が大きい程、鋸挽きの一動作で切れる量が大きくなる。しかし、鋸歯が大きいと小物を切る場合には被切断物が鋸歯の間に入り込んでしまって、却って切り難くなる。被切断物の大きさ・形状に適応して、鋸歯の細かさ・粗さが選択される。 【0007】被切断物の切条の底の中央部にできる山形の突条部分を優先的に切除するために、鋸歯の所定目数ごとにアサリの程度を異ならせた鋸が工夫された例もある(特開昭57−181801号公報参照。以下、■の例という)。この■の例では、「所定目数」に関する限定が格別にはなされていないが、図示された実施例では、通常のアサリをつけた鋸歯4目(2対)毎に1目づつ、アサリが他の鋸歯(通常のアサリをつけた鋸歯)よりも小さな鋸歯を設けた例が示されている(■の例の第1図、第2図)。アサリの小さい鋸歯は、アサリ角を零として直立した鋸歯でもよいとされている(同第3図)。 【0008】アサリの程度を異ならせた鋸歯を混在させることは、それぞれの鋸歯の大きさが異なる異種の鋸歯が混在していると考えることができる。■の例の実施例では、通常のアサリをつけた鋸歯の大きさは、左右を切るそれぞれの鋸歯に注目すれば、2目の大きさ(アサリの小さい鋸歯の前後では、部分的に3目ないし5目の大きさとなる)の鋸歯といえるのに対して、小さなアサリをつけた鋸歯の大きさは10目の大きさの鋸歯といえる。 【0009】背部から歯部に至るに従ってアサリの分だけ厚肉となる鋸身を使用して、アサリを省略した鋸歯の間に、所定目数ごとに鋸歯を内側に折曲する例もある(実開昭57−177704号公報参照。以下、■の例という)。■の例も、■の例と同様、「所定目数」に関する限定がなされていないが、図示された実施例では、アサリを省略した鋸歯10目(5対)毎に内側に折曲した鋸歯2目(1対)が位置されている。■の例と同様に鋸歯の大きさを考えると、アサリを省略した鋸歯の大きさは2目(アサリの小さい鋸歯の前後では、部分的に4目の大きさとなる)の大きさといえるのに対して、内側に折曲した鋸歯の大きさは12目の大きさの鋸歯といえる。 【0010】■の例では「鋸歯を内側に折曲する」と表現されていたが、「内側向きのアサリ」として、アサリの概念に含めて考えるものも出現する(実開平1−93403号公報参照。以下、■の例という)。■の例では、■の例を引用し、「刃先が四列に構成されているから、切れ目の深さがあまり深くならないうちに剥離が起り、結果としてかなり軽く挽けるようになった。しかし、これでもまだ、アサリのない両側の刃先と刃先との中間部が山形状に残り、これを剥離するために刃先はさらに食い込みを増していたから、切削抵抗力はやはり増大していた」として更に刃の列数を増加させるべきことを示唆している。 【0011】また、■の例が横挽き鋸と特定されていることに対してそれとの相違を際立たせるためと推定されるが、「横引きおよび縦引き兼用の鋸」に関するものとして、「刃渡りの全長にわたり所定目数毎に、刃体に鋸板厚の中心部に向けた内側向きアサリを付与した内側刃を設け、この内側刃の先端が外側刃の先端の中間に配置して成る」鋸を示している。そして、「外側刃が垂直状に形成してなる」例が実施例として図示され、「外側刃が通常の外方向きのアサリを付与して成る」鋸も可能として言及されている。 【0012】■の例においても、■および■の例と同様、「所定目数」に関する限定がなされていないが、図示された実施例では、「外側刃が垂直状に形成してなる」「外側刃(3)」と、「内側向きアサリ」の程度を異ならせた「内側刃(4)(5)」とで、合計3種類の「刃」が示され(■の例の第1図)、「(4)(4)はこの外側刃(3)(3)に隣接する左右一対の内側刃」であり、「(5)(5)は前記外側刃(3)(3)又は内側刃(4)(4)に隣接する左右一対の内側刃」である旨の記述と共に、「……(5)(5)(3)(3)(4)(4)(3)(3)……」と並ぶことが図示されている(第4図、第5図)。なお、「外側刃(3)(3)の位置、内側刃(4)(4)、(5)(5)の組み合わせ位置、組み合わせ比率は必要に応じて自由に加減設定できる」とされている。「所定目数毎」との条件を満たすことが前提となっているといえる。 【0013】■の例の図示実施例について■および■の例と同様に鋸歯の大きさを考えると、「外側刃(3)」の大きさは4目の大きさの鋸歯といえるのに対して、「内側刃(4)」および「内側刃(5)」の大きさは8目の大きさの鋸歯といえる。本発明者は、■〜■の例におけるような、アサリの程度を異にする鋸歯の大きさがその種類によって相互に異なることによって、また同じ鋸歯でも場所によって鋸歯の大きさが異なることがあることによって、切れ味・感触に違和感が生じやすいことに着目して、更に改良された鋸を創作した。 【0014】すなわち、基本的に均一厚みの鋸素材から作製される鋸において、アサリの程度を2種類とし、アサリのある対とアサリのない対とが、1つおきに交互に連続する鋸歯(実開平7−20218号公報参照。以下、■の例という)と、同じ外側方向に特定の大きさの2種類のアサリを付けた各対を一対づつ交互に歯道に連続した鋸歯(特開平7−186102号公報参照。以下、■の例という)との2種類の鋸である。■、■の例の鋸は、■〜■の例の鋸と異なり、アサリの程度を異にする2種類の鋸歯のそれぞれの大きさが同じであり、バランスが取れていて不快なガタツキ感がなく、切れ味・感触に違和感が生じることがない上に、軽く引くだけできわめてスムースに切り込むことができ実用上の効果が大きいものであった。 【0015】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、■、■の例の鋸を考え方のベースにして、アサリの付け方を更に改良し、なお一層実用上の効果が大きい鋸歯を提供するものである。 【0016】 【課題を解決するための手段】本発明の鋸歯の配列は、鋸歯の天を鋸身の幅の外側に至るまでアサリを付けた隣り合う対に形成した鋸歯と、鋸歯の天を鋸身の幅の内側に入るまでアサリを付けた隣り合う対に形成した鋸歯とをそれぞれ組として交互に隣り合って対をなして配列されていることを特徴とする。 【0017】 【発明の実施の形態】本発明は、鋸素材から作製される鋸において、形成した鋸歯を、外側向きのアサリを付けた鋸歯の対と内側向きにアサリを付けた鋸歯の対とを交互に連続させることを基本とする。以下、図を参照して、本発明の鋸歯の配列を、手挽き鋸を例として、詳細に説明する。図2は、横挽き鋸を例とした本発明の鋸歯部分の部分拡大図、図3は、図2に示す鋸の各鋸歯の天の配列状態を示す説明図、図4は、図2の鋸歯のアサリの状態を示す説明図である。 【0018】手挽き鋸の横挽き目の鋸歯1は、図2に示されるように、矢印2で示す鋸挽き方向側に形成された表刃3と、矢印4で示す鋸送り方向側に形成された裏刃5と、鋸歯1の先端部に形成された天の斜面6とを含んでいる。表刃3と天の斜面6とで作られる先端が、鋸歯の天7を形成している。鋸歯の天7は鋭利な凸点で、木材の木理を切断するのに効果的な形状とされている。鋸歯1の鋸歯の天7は、鋸の幅方向の一方側の木理を切るので、鋸歯1は、他方側の木理を切るための、逆向きに刃が形成された鋸歯8と対となっている。 【0019】本発明の横挽き鋸を例とした鋸においては、図2のように鋸の胴面から見たときに、表刃3、裏刃5、天の斜面6が見える鋸歯で、紙面向こう側で鋸身より外側へアサリ付けされている鋸歯11と、表刃等が見えない鋸歯で紙面手前側で鋸身より外側へアサリが付けられている鋸歯12とが隣り合って対をなし、表歯等が見える鋸歯で、紙面向こう側から紙面手前側に向かって鋸身より内側へアサリを付けられている鋸歯13と、表刃等が見えない鋸歯で紙面手前側から紙面向こう側に向かって鋸身より内側へアサリが付けられている鋸歯14とが隣り合って別の対をなし、鋸歯11と12とでなす対と、鋸歯13と14とでなす別の対とが、さらに交互に隣り合って対をなして形成されている。 【0020】この状態を図2の上方から見たのが図3である。図3は説明のための図であって、各部分の相対的な大きさや位置関係の絶対値は、必ずしも実際のものを表していない。また、鋸歯の天の配列状態を強調するために、天の斜面の一部の表示を省略し、鋸歯の天を大きめの黒丸で表示している。鋸歯11の天の斜面15の鋸歯の天19を連ねる仮想線23と、鋸歯12の天の斜面16の鋸歯の天20を連ねる仮想線24とは、鋸身の幅を表す細線27、28よりも外側にあり、鋸歯13の天の斜面17の鋸歯の天21を連ねる仮想線25と、鋸歯14の天の斜面18の鋸歯の天22を連ねる仮想線26とは、鋸身の幅を表す細線27、28よりも内側にある。そして、鋸歯の天19と鋸歯の天20とが隣り合ってなす対と、鋸歯の天21と鋸歯の天22とが隣り合ってなす対とが、さらに交互に隣り合って対をなしている。 【0021】また、図2を横から見た説明図が図4である。図4では、鋸歯が鋸身に対していずれの方向にアサリ付けがなされているかを明瞭に示すために、全ての鋸歯を実線で描き、鋸歯の形状を三角形状に単純化して示している。図3によれば、鋸歯11の天19および鋸歯12の天20は、鋸身の厚さ(幅)を表す仮想線29、30よりも外側に出ており、鋸歯13の鋸歯の天21および鋸歯14の鋸歯の天22は、鋸身の厚さ(幅)を表す仮想線29、30よりも内側に入っている。 【0022】鋸歯の天19および20が鋸身の厚さ(幅)より外側に出ていることで、切断が進行しても鋸身と切条との間の摩擦が強まることが回避され、鋸歯の天21および22が鋸身の厚さ(幅)より内側に入っていることにより、実質的な鋸身が薄い鋸を実現させて切れ味をより高めている。そして、鋸身より外側へアサリ付けされている鋸歯11と12とで形成される鋸歯の大きさは、鋸身より内側へアサリ付けされている鋸歯13と14とで形成される鋸歯の大きさと同じであって4目の大きさであり、両者の鋸歯の大きさのバランスが取れているので、鋸挽きの際の感触も極めて良好である。 【0023】鋸歯を鋸身の厚さ(幅)に対して外側・内側にアサリを付ける際のアサリの程度には格別の制限はない。敢えて例示すれば、外側へのアサリの場合で、鋸身の厚さtに対して1/4t〜3/8t、内側へのアサリの場合で1/8t〜3/8tが例示される。外側・内側へのアサリの程度を同じくする場合には、鋸歯の天19〜22の高さが全て揃う効果も付随的に得られる。ここまで、手挽き鋸の横挽き鋸を例として説明してきたが、他の様式の鋸においても、外側へのアサリの対と内側へのアサリの対とを交互に設けることによって、手挽き鋸の横挽き鋸と同様に、従来のそれぞれの同種の鋸に比して切れ味の向上が図れる。なお、たとえば手挽き鋸の縦挽き目においては、アサリを付けないときには、その天は線状をなすが、アサリを付けた場合にはその線状の天が傾斜することにより、本発明においてはその最先端(点状となる)をあらためて天と考える。 【0024】本発明の鋸歯の配列は、通常の鋸素材を用意し、その鋸素材に常法に従って鋸歯を形成し、各鋸歯に所望のアサリを付けて作製する。アサリ付けは、鎚で打ち出す手法でも、プレスによって折り曲げる手法でもよい。また、アサリは鋸歯全体に付けるのでもよいし、鋸歯の適宜の高さから先にだけ付けるのでもよい。アサリを付けたことは、鋸歯(の少なくとも一部)が鋸身の延長から外れていることによって、確認することができる。また、鋸歯に適宜の熱処理等を施すこと、あるいは鋸歯部に適宜の硬化被膜等を施すこと、等は、適宜行い得る。本発明の鋸歯の配列を有する鋸は、乾燥した素材である材木等を切る場合にも利用され得るが、果樹の枝下ろし等、生木の切断に用いる手挽き鋸の場合に効果が特に顕著である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】593177136 【氏名又は名称】湯本 浩司
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| 【出願日】 |
平成13年5月24日(2001.5.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093735 【弁理士】 【氏名又は名称】荒井 鐘司 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−347006(P2002−347006A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月4日(2002.12.4) |
| 【出願番号】 |
特願2001−155008(P2001−155008) |
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