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【発明の名称】 電子部品実装機の装着ヘッド
【発明者】 【氏名】平松 徹

【氏名】風晴 広行

【氏名】飯島 邦彦

【氏名】菊池 良巳

【要約】 【課題】電子部品実装作業中におけるリニアモータからの熱の発生を抑えると共に、発生した熱を効率的に冷却することで、電子部品装着精度を維持し、電子部品実装作業のコストを抑えることができる電子部品実装機の装着ヘッドを提供する。

【解決手段】本発明にかかる電子部品実装機の装着ヘッド(10)は、電子部品(D)を真空吸着する吸着ノズル(20)と、吸着ノズルを移動させる円筒型リニアモータ(40)とを備え、円筒型リニアモータが、固定子としてのコイル(42)と、可動子としてのマグネット(41)と、吸着ノズルと接合する中空シャフト(S)とを備える。そして、マグネットの移動範囲のうちマグネットがほぼ定速で移動する区間に配設されるコイル(42b)の巻き数が、それ以外の区間に比べて少なくなっている。従って、モータ推力を維持できる一方で、定速となる領域でのモータ推力を抑え、定速領域における発熱量を抑制できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子部品を負圧空気で真空吸着し、回路基板上の所定位置に装着する吸着ノズルと、該吸着ノズルを、吸着ノズルの軸方向に移動させる円筒型リニアモータとを備え、前記円筒型リニアモータが、前記軸方向に沿って筒状に配設される固定子としてのコイルと、前記コイルの内部を前記軸方向に移動する可動子としてのマグネットと、前記マグネットに挿通されると共に下端部において前記吸着ノズルと接合する中空シャフトとを備える電子部品実装機の装着ヘッドであって、前記マグネットの移動範囲のうちの前記マグネットの移動開始区間及び移動停止区間となる加減速領域に対応する部分に配設されるコイルの巻き数に対して、前記マグネットの移動範囲のうちの前記マグネットの移動開始区間と移動停止区間との間のほぼ定速で移動する定速領域に対応する部分に配設されるコイルの巻き数が少なくなっていることを特徴とする電子部品実装機の装着ヘッド。
【請求項2】 請求項1記載の電子部品実装機の装着ヘッドであって、前記マグネットの定速領域に対応する部分に配設される前記コイルの線径が、前記マグネットの加減速領域に対応する部分に配設される前記コイルの線径に対して大きくなっていることを特徴とする電子部品実装機の装着ヘッド。
【請求項3】 電子部品を真空吸着し、回路基板上の所定位置に装着する吸着ノズルと、該吸着ノズルを、吸着ノズルの軸方向に移動させる円筒型リニア3相コイルモータとを備え、前記円筒型リニア3相コイルモータが、前記軸方向に沿って筒状に配設される固定子としてのコイルと、前記コイルの内部を吸着ノズルの軸方向に移動する可動子としてのマグネットと、前記マグネットに挿通されると共に下端部において前記吸着ノズルと接合する中空シャフトとを備える電子部品実装機の装着ヘッドであって、前記マグネットの移動範囲に該マグネットの移動開始区間及び移動停止区間となる加減速領域と、前記マグネットの移動開始区間と移動停止区間との間のほぼ定速で移動する定速領域とが有り、前記マグネットの移動範囲に沿ってコイルが並んで配置されるとともに、前記定速領域に、前記加減速領域に並んで配置されたコイル同士の間隔と同じ距離かつ可動子磁石の長さの間隔でコイルの配置されていない空隙部が設けられていることを特徴とする電子部品実装機の装着ヘッド。
【請求項4】 電子部品を真空吸着し、回路基板上の所定位置に装着する吸着ノズルと、該吸着ノズルを、吸着ノズルの軸方向に移動させる円筒型ボイスコイルモータとを備え、前記円筒型ボイスコイルモータが、前記軸方向に沿って筒状に配設される固定子としてのコイルと、前記コイルの内部を吸着ノズルの軸方向に移動する可動子としてのマグネットと、前記マグネットに挿通されると共に下端部において前記吸着ノズルと接合する中空シャフトとを備える電子部品実装機の装着ヘッドであって、前記マグネットの移動範囲に該マグネットの移動開始区間及び移動停止区間となる加減速領域と、前記マグネットの移動開始区間と移動停止区間との間のほぼ定速で移動する定速領域とが有り、前記マグネットの移動範囲に沿ってコイルが並んで配置されるとともに、前記定速領域に、前記加減速領域に並んで配置された可動子磁石の長さより短い距離かつ可動子磁石の長さの間隔でコイルの配置されていない空隙部が設けられていることを特徴とする電子部品実装機の装着ヘッド。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一つに記載の電子部品実装機の装着ヘッドであって、前記吸着ノズルを前記軸回りに回転させるための回転型モータを備え、前記回転型モータの回転軸を、前記軸上に配設することを特徴とする電子部品実装機の装着ヘッド。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一つに記載の電子部品実装機の装着ヘッドであって、前記吸着ノズルに負圧空気を発生させる真空発生装置を備え、前記真空発生装置が、前記装着ヘッドに対向して配設される空気吐出口を備え、負圧空気を発生させる際に生じる圧縮空気を前記空気吐出口から装着ヘッドに対して噴射することを特徴とする電子部品実装機の装着ヘッド。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品を吸着、装着する吸着ノズルを備えた電子部品実装機の装着ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子部品実装機は、半導体チップ等の電子部品を真空吸着する吸着ノズルと、この吸着ノズルを回転自在かつ上下動自在に支持する装着ヘッドとを備え、吸着ノズルを上下動及び回動させ、また、前記装着ヘッドを前後左右方向に移動させることにより、回路基板上の所定位置に電子部品を位置決めし、装着する装置である。電子部品実装機においては、回路基板への電子部品の正確かつ素早い装着や、電子部品実装機自体の小型化や消費電力の縮小が要望されている。前記吸着ノズルの上下動及び回動は、例えば、装着ヘッドが備えるリニアモータ(リニア3相コイルモータやボイスコイルモータ等)の可動子側にこの吸着ノズルを取り付け、可動子の動作を制御することで行われる。一般的に、リニアモータの駆動により、リニアモータには熱が発生するが、この熱の影響を受けて装着ヘッド自体に若干量の変形が生じ、吸着ノズルの位置決め精度が悪化する場合がある。従って、駆動時の熱の発生を抑えたリニアモータが要求されている。
【0003】また、上述のリニアモータから生じる熱を冷却するための冷却装置を備えた装着ヘッドが提案されている。例えば、図7に示すように、特開平11−307993号公報に開示された装着ヘッド100は、複数のボイスコイルモータ101が連接され、各ボイスコイルモータ101の側面部分が、銅板等の熱伝導性の良い伝熱板102で覆われた構造を備えている。また、伝熱板102の一部は、側方に延出しており、この側方に延出した部分(延長部102a)に複数の通気孔102cが形成されると共に、ファンモータ103が取り付けられている。従って、ファンモータ103を駆動させることにより、伝熱板102を介してボイスコイルモータ101の放熱を行うことができる。また、ファンモータ103により送られる空気が通気孔102cを通過する際に、延長部102aを良好に冷却し、ボイスコイルモータ101をさらに効果的に冷却することができる。なお、装着ヘッド100は、2つの回転型モータ104を備えており、この回転型モータ104を駆動させることにより、駆動プーリ105、タイミングベルト106、従動プーリ107を介して、装着ノズル108を回転させる構造となっている。また、装着ヘッド108は、X軸ブロック109を介して、電子部品実装機が備えるXY駆動装置により、XY方向の任意の位置に移動可能に支持されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述のような構造を備える装着ヘッド100では、ファンモータ103を装着ヘッド100側に取り付ける必要がある。従って、装着ヘッド100全体の重量が増加し、装着ヘッド100がXY駆動装置に及ぼす慣性負荷が増大し、XY駆動加速度が遅くなり、生産性が低下するという問題や、XY駆動装置の位置決め精度が悪化するという問題があった。また、ファンモータ103を取り付けるためのスペースを確保する必要があり、装着ヘッド100の小型化、ひいては電子部品実装機の小型化が困難になるという問題があった。また、ファンによる冷却は、装着ヘッド100周辺の空気を送風するのみであるため、十分な冷却効果が得られないという問題や、ファンモータ103の駆動用電力を必要とするという問題点があった。
【0005】本発明は、上述の事情を考慮したものであり、電子部品実装作業中におけるリニアモータからの熱の発生を抑えると共に、発生した熱を効率的に冷却することで、電子部品装着精度を維持し、電子部品実装作業のコストを抑えることができる電子部品実装機の装着ヘッドを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、請求項1記載の電子部品実装機の装着ヘッド(10)は、電子部品(D)を負圧空気で真空吸着し、回路基板上の所定位置に装着する吸着ノズル(20)と、該吸着ノズルを、吸着ノズルの軸方向に移動させる円筒型リニアモータ(40)とを備え、前記円筒型リニアモータが、前記軸方向に沿って筒状に配設される固定子としてのコイル(42)と、前記コイルの内部を前記軸方向に移動する可動子としてのマグネット(41)と、前記マグネットに挿通されると共に下端部において前記吸着ノズルと接合する中空シャフト(S)とを備える電子部品実装機の装着ヘッドであって、前記マグネットの移動範囲のうちの前記マグネットの移動開始区間及び移動停止区間となる加減速領域(A)に対応する部分に配設されるコイル(42a)の巻き数に対して、前記マグネットの移動範囲のうちの前記マグネットの移動開始区間と移動停止区間との間のほぼ定速で移動する定速領域(B)に対応する部分に配設されるコイル(42b)の巻き数が少なくなっていることを特徴とする。
【0007】請求項1記載の電子部品実装機の装着ヘッドによれば、円筒型リニアモータのコイルのうち、定速領域に対応する部分に配設されるコイルの巻数が、加減速領域に対応する部分に配設されるコイルの巻き数に対して少なくなっている。従って、マグネットの加減速領域でのモータ推力を維持できる一方で、定速領域でのモータ推力を抑え、定速領域における電気的発熱量を最小限に抑制でき、電子部品実装機の装着ヘッドの省電力化と高精度化を実現できる。
【0008】請求項2記載の電子部品実装機の装着ヘッドは、請求項1記載の電子部品実装機の装着ヘッドであって、前記マグネットの定速領域に対応する部分に配設される前記コイルの線径が、前記マグネットの加速領域に対応する部分に配設される前記コイルの線径に対して大きくなっていることを特徴とする。
【0009】請求項2記載の電子部品実装機の装着ヘッドによれば、請求項1と同様の効果が得られると共に、定速領域におけるコイルの線径を、加減速領域におけるコイルの線径に対して大きくしているので、定速領域のコイル抵抗値が加減速領域に比べて小さくなっているので、発熱量を抑制できる。
【0010】請求項3記載の電子部品実装機の装着ヘッドは、電子部品を真空吸着し、回路基板上の所定位置に装着する吸着ノズルと、該吸着ノズルを、吸着ノズルの軸方向に移動させる円筒型リニア3相コイルモータとを備え、前記円筒型リニア3相コイルモータが、前記軸方向に沿って筒状に配設される固定子としてのコイルと、前記コイルの内部を吸着ノズルの軸方向に移動する可動子としてのマグネットと、前記マグネットに挿通されると共に下端部において前記吸着ノズルと接合する中空シャフトとを備える電子部品実装機の装着ヘッドであって、前記マグネットの移動範囲に該マグネットの移動開始区間及び移動停止区間となる加減速領域と、前記マグネットの移動開始区間と移動停止区間との間のほぼ定速で移動する定速領域とが有り、前記マグネットの移動範囲に沿ってコイルが並んで配置されるとともに、前記定速領域に、前記加減速領域に並んで配置されたコイル同士の間隔と同じ距離かつ可動子磁石の長さの間隔でコイルの配置されていない空隙部(42c)が設けられていることを特徴とする。
【0011】請求項3記載の電子部品実装機の装着ヘッドによれば、マグネットの加減速領域でのモータ推力を維持できる一方で、定速領域でのモータ推力を抑え、定速領域における電気的発熱量を最小限に抑制でき、電子部品実装機の装着ヘッドの省電力化と高精度化を実現できる。また、加減速領域及び定速領域のコイルの巻数や、線径を変える必要が無いので、加減速領域に配置されるコイルと、定速領域に配置されるコイルを同じ物を使用可能なことと、コイルを接続する必要が無いため装着ヘッド製造の作業性が向上する。
【0012】請求項4記載の電子部品実装機の装着ヘッドは、電子部品を真空吸着し、回路基板上の所定位置に装着する吸着ノズルと、該吸着ノズルを、吸着ノズルの軸方向に移動させる円筒型ボイスコイルモータとを備え、前記円筒型ボイスコイルモータが、前記軸方向に沿って筒状に配設される固定子としてのコイルと、前記コイルの内部を吸着ノズルの軸方向に移動する可動子としてのマグネットと、前記マグネットに挿通されると共に下端部において前記吸着ノズルと接合する中空シャフトとを備える電子部品実装機の装着ヘッドであって、前記マグネットの移動範囲に該マグネットの移動開始区間及び移動停止区間となる加減速領域と、前記マグネットの移動開始区間と移動停止区間との間のほぼ定速で移動する定速領域とが有り、前記マグネットの移動範囲に沿ってコイルが並んで配置されるとともに、前記定速領域に、前記加減速領域に並んで配置された可動子磁石の長さより短い距離かつ可動子磁石の長さの間隔でコイルの配置されていない空隙部が設けられていることを特徴とする。
【0013】請求項4記載の電子部品実装機の装着ヘッドによれば、マグネットの加減速領域でのモータ推力を維持できる一方で、定速領域でのモータ推力を抑え、定速領域における電気的発熱量を最小限に抑制でき、電子部品実装機の装着ヘッドの省電力化と高精度化を実現できる。また、加減速領域及び定速領域のコイルの巻数や、線径を変える必要が無いので、加減速領域に配置されるコイルと、定速領域に配置されるコイルを同じ物を使用可能なことと、コイルを接続する必要が無いため装着ヘッド製造の作業性が向上する。
【0014】請求項5記載の電子部品実装機の装着ヘッドは、請求項1〜4のいずれか一つに記載の電子部品実装機の装着ヘッドであって、前記吸着ノズルを前記軸回りに回転させるための回転型モータ(50)を備え、前記回転型モータの回転軸を、前記軸上に配設することを特徴とする。
【0015】請求項5記載の電子部品実装機の装着ヘッドによれば、請求項1〜4のいずれかひとつと同様の効果が得られると共に、前記吸着ノズルを前記軸回りに回転させるための回転型モータの回転軸を前記軸上に配設するので、吸着ノズルの回転又は上下動を駆動するための動力の伝達系を、少数の伝達要素により構成することができ、かつタイミングベルトやボールねじが不要となるので、吸着ノズルの位置決め精度を向上させることができる。
【0016】請求項6記載の電子部品実装機の装着ヘッドは、請求項1〜5のいずれか一つに記載の電子部品実装機の装着ヘッドであって、前記吸着ノズルに負圧空気を発生させる真空発生装置(60)を備え、前記真空発生装置が、前記装着ヘッドに対向して配設される空気吐出口(63)を備え、負圧空気を発生させる際に生じる圧縮空気を前記空気吐出口から装着ヘッドに対して噴射することを特徴とする。
【0017】請求項6記載の電子部品実装機の装着ヘッドは、請求項1〜5のいずれか一つと同様の効果を得られると共に、吸着ノズルに負圧空気を発生させるための圧縮空気を利用して、吸着ノズルを駆動させる装着ヘッドを冷却するので、従来のように、例えば、ファンモータや伝熱板等の装置を別途設ける必要が無くなる。また、装着ヘッドを軽量な構造にでき、装着ヘッド自体を移動させるための装置に及ぼす慣性負荷が減少し、移動スピードが向上する。また、ファンモータ等を駆動するための電力が必要無くなり、省電力化を図ることができる。また、圧縮空気が大気中に解放される際には、断熱降下により温度が低下するため、通常のファンによる冷却に比べて冷却効果が高い。また、装着ヘッドの小型化、ひいては電子部品装着装置の小型化が可能となり、装着ヘッドの移動範囲を大きくすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】[第一の実施の形態]以下、本発明にかかる電子部品実装機の装着ヘッド10(以下、単に「装着ヘッド10」という。)を図面に基づいて説明する。なお、電子部品実装機とは、コンベヤ等の基板搬送装置により所定位置まで搬送された回路基板に対して、装着ヘッド10が備える吸着ノズル20が電子部品供給部から電子部品Dを真空吸着した後、XY駆動装置を作動させることにより基板上の所定位置に移動し、回路基板に電子部品Dを装着する装置である。なお、符号EはXY駆動装置のX軸ブロックを示し、このX軸ブロックEと装着ヘッド10は、連結プレートPを介して接合されている。また、図面は発明が理解できる程度に概略的に示してあるにすぎず、従って発明を図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、上下方向とは、後述する円筒型リニアモータ40の駆動による吸着ノズル20の移動方向(図2を参照)をさす。
【0019】装着ヘッド10は、図1及び図2に示すように、吸着ノズル20、リニアロータリモータ30(円筒型リニアモータ40と回転型モータ50が一体に形成されたもの)、真空発生装置60、電磁弁70、圧縮空気供給源80(図3を参照)及びこれら各装置同士を連結するための配管90等から概略構成される。そして、円筒型リニアモータ40の可動軸としての機能と回転型モータ50の回転軸としての機能を備えた中空シャフトSと、吸着ノズル20とが、それぞれの内部において気密を維持した状態で同軸上に配設される。そして、これら円筒型リニアモータ40及び回転型モータ50の駆動を制御することにより、吸着ノズル20の上下動及び回動を制御する構造となっている。
【0020】円筒型リニアモータ40は、マグネット可動型リニアサーボモータであり、可動子としてのマグネット41、固定子としてのコイル42、中空シャフトS、スケール43、ガイド機構44等を備える。円筒型リニアモータ40の中空シャフトSは、上述のように、その下端部分において、吸着ノズル20と接合している。また、中空シャフトSにはマグネット41が配設されている。そして、中空シャフトSは、ガイド機構44により回転及び上下動自在に支持されている。円筒型リニアモータ40の筐体となるケース31の内周側には、図4に示すように、U、V、W相からなるいわゆる3相コイル42が軸方向に沿って連接されている。
【0021】ここで、円筒型リニアモータ40の内部におけるマグネット41の上下方向への移動範囲のうち、マグネット41の移動開始区間及び移動停止区間をマグネット41の加減速領域Aとし、マグネット41の上下方向への移動範囲のうち、前記移動開始区間と移動停止区間との間の領域、つまり、マグネット41がほぼ定速で移動する領域を定速領域Bとする。なお、一般的に加減速領域Aにおいては、マグネット41、ひいては吸着ノズル20を加速及び停止させるために、大きなモータ推力が必要となるが、定速領域Bにおいては、加減速領域Aで必要となるモータ推力と比較して小さなモータ推力で足りる。そして、前記コイル42のうち、定速領域Bに対応する部分に配設されるコイル42bの巻き数が、加減速領域Aに対応する部分に配設されるコイル42aの巻き数に対して少なくなっている。
【0022】なお、図4においては理解を容易にするために、コイル42a及び42bの一部のみを図示している。円筒型リニアモータ40の外枠を構成するケース31は、回転型モータ50のケース31と一体に形成されている。なお、回転型モータ50と円筒型リニアモータ40それぞれのケースを別体として形成しても良い。吸着ノズル20の上下方向の位置を検出するため、吸着ノズル20と一体に上下動可能なスケール43が配設されている。そして、円筒型リニアモータ40の駆動制御は、制御装置(図示せず)が、このスケール43から送信される出力信号に基づいて行なう。
【0023】回転型モータ50は、永久磁石同期形サーボモータであり、可動子としてのマグネット51、固定子としてのコイル52、中空シャフトS、スケール53等から概略構成される。マグネット41は中空シャフトSに固定されており、中空シャフトSは軸受54により回転及び上下動自在に支持されている。中空シャフトSの上端部分には、回転継手91が回動可能に接続されている。吸着ノズル20の軸回りの位置を検出するため、吸着ノズル20と一体に回転可能なスケール53が配設されている。そして、回転型モータ50の駆動制御は、制御装置(図示せず)が、このスケール53から送信される出力信号に基づいて行なう。装着ヘッド10が以上のような構造を備えることにより、回転型モータ50の駆動により中空シャフトSが軸回りに回転すると、吸着ノズル20がこの中空シャフトSと一体に回転する。一方、円筒型リニアモータ40の駆動によって、中空シャフトSが軸回りに回転しているといないとにかかわらず、中空シャフトSは上下動し、吸着ノズル20がこの中空シャフトSと一体に上下動する。
【0024】真空発生装置60は負圧空気を発生させ、この負圧空気を利用して前記吸着ノズル20に電子部品Dを真空吸着させると共に、装着ヘッド10を冷却するための装置である。真空発生装置60は、三股状に形成される空気供給口61、負圧供給口62、空気吐出口63を備え、その内部にオリフィス弁(図示せず)を備える。空気供給口61は、配管90を介して電磁弁70、さらにはコンプレッサー等の圧縮空気供給源80と接続している。電磁弁70は、予め設定された部品吸着に関するプログラムにより所定のタイミングで通電され、圧縮空気供給源80からの圧縮空気の供給をON−OFF制御可能となっている。
【0025】負圧供給口62は、可撓性を備えた配管90を介して回転継手91と接合しており、回転継手91は中空シャフトSと接続している。なお、上述のように、回転継手91は中空シャフトSに対して回転自在となる構造を備えており、また、配管90は可撓性を備えているので、中空シャフトSは、これら回転継手91及び配管90により、その回転及び上下動が規制されることは無い。空気吐出口63は、リニアロータリモータ30のケース31の外周面に対向する位置に配設される。
【0026】つぎに、本実施の形態で示した電子部品実装機の装着ヘッド10の動作について説明する。まず、XY駆動装置の駆動により、装着ヘッド10が電子部品供給部まで移動する。そして、円筒型リニアモータ40に駆動命令が出され、吸着ノズル20を停止状態から下方への加速を伴いつつ移動させていく。この時点では、円筒型リニアモータ40のマグネット41は、加減速領域A内に位置している。次に、吸着ノズル20は一定の速度を維持した状態となる。この時点では、マグネット41は定速領域B内に位置している。そして、円筒型リニアモータ40に停止命令が出され、吸着ノズル20を減速させていく。この時点では、円筒型リニアモータ40のマグネット41は加減速領域Aに位置している。
【0027】そして、吸着ノズル20が停止した状態で、吸着ノズル20に電子部品Dを吸着させる。この際には、まず、所定のプログラムに従って、電磁弁70の通電を制御し、圧縮空気供給源80から圧縮空気を供給させる。供給された圧縮空気は、電磁弁70を通過し、真空発生装置60の内部に至る。ここで、真空発生装置60の内部にはオリフィス弁が配設されているため、負圧供給口62において負圧による吸入動作が起こり、負圧供給口62に接続されている配管90及び中空シャフトSを介して、吸着ノズル20内部が負圧状態となる。そして、吸着ノズル20内部の負圧を利用して電子部品Dを真空吸着する。この時に、圧縮空気は真空発生装置60の空気吐出口63から外部に排出され、リニアロータリモータ30の外周側に設けられた冷却フィン32を通じてリニアロータリモータ30全体が冷却される。その後、装着ヘッド10を上方に移動させ、装着ヘッド10を回路基板上の所定位置に移動した後、再び吸着ノズル20を下降させ、吸着ノズル20の真空吸着を解除することで、回路基板の所定位置に電子部品Dが装着されることになる。なお、この動作については周知であるため説明を省略する。また、必要に応じて、回転型モータ50の駆動を制御することで、吸着ノズル20の軸回りの位置決めを行なうものとする。
【0028】本実施の形態で示した電子部品実装機の装着ヘッド10によれば、リニアロータリモータ30を構成する円筒型リニアモータ40のコイル42のうち、定速領域Bに対応する部分に配設されるコイル42bの巻数が、加減速領域Aに対応する部分に配設されるコイル42aの巻き数に対して少なくなっている。従って、マグネット41の加減速領域Aでのモータ推力を維持できる一方で、定速領域Bでのモータ推力を抑え、定速領域Bにおける電気的発熱量を最小限に抑制でき、電子部品実装機の装着ヘッド10の省電力化と高精度化を実現できる。また、吸着ノズル20内部を負圧状態にするための圧縮空気を利用して、吸着ノズル20を駆動させる装着ヘッド10を冷却するので、従来のように、例えば、ファンモータや伝熱板等の装置を別途設ける必要が無くなる。従って、装着ヘッド10を軽量な構造にでき、装着ヘッド10がXY駆動装置に及ぼす慣性負荷が減少し、XY駆動加速度が早くなり、生産性を向上できる。また、XY駆動装置の位置決め精度を向上できる。また、ファンモータ駆動用電力が必要無くなり、省電力化を図ることができる。
【0029】また、圧縮空気が大気中に解放される際には、断熱降下により温度が低下するため、通常のファンによる冷却に比べて冷却効果が高い。また、装着ヘッド10の小型化、ひいては電子部品実装機の小型化が可能となり、装着ヘッド10の移動範囲を大きくすることができる。また、部品吸着動作と、リニアロータリモータ30の上下動のタイミングがほぼ一致するので、圧縮空気吐出時とモータ駆動時、即ち、発熱のタイミングとが一致することになり、高い冷却効率を得ることができる。また、通常の吸着プログラムを利用して吐出動作を制御すれば良く、装着ヘッド10を冷却するためのプログラムを新たに作成する必要がない。
【0030】なお、図4に示すように、定速領域Bに対応する部分に配設されるコイル42bの巻数を、加減速領域Aに対応する部分に配設されるコイル42aの巻き数に対して少なくした状態で、さらに、図5に示すように、定速領域Bにおけるコイル42bの線径を、加減速領域Aにおけるコイル42aの線径に対して大きいものとすることで、定速領域Bのコイル抵抗値が加減速領域Aに比べて小さくなることにより、発熱量をさらに抑制できる。また、本実施の形態においては、リニアロータリモータ30が、円筒型リニアモータ40と、回転型モータ50を一つのケース31内に格納した構造を備えるものとしたが、これに限らず、例えば、吸着ノズル20の軸回りの回転を、円筒型リニアモータ40の外部に配設したモータで行うものとしても良い。また、円筒型リニアモータ40が3相コイル42から構成されるものとしたが、これに限らず、例えば、二相のコイルや、四相以上のから構成されるものとしても良い。
【0031】[第二の実施の形態]次に、第二の実施の形態について、図6を用いて説明する。なお、以下の説明において、上記第一の実施の形態と同様の構成となる部分については同一の符号を用いるものとする。第一の実施の形態と異なるのは、定速領域Bに、コイル42bが配置されていない空隙部42cが設けられている点である。なお、本実施の形態においてコイル42bが配置されていない空隙部42cは、リニア3相コイルモータの場合、前記定速領域Bに並んで配置されたコイル同士の間隔と同じ距離かつ可動子磁石の長さの間隔で、ボイスコイルモータの場合、前記定速領域Bに並んで配置された可動子磁石の長さより短い距離かつ可動子磁石の長さの間隔で配置される。
【0032】本実施の形態に示した装着ヘッド10によれば、マグネット41の加減速領域Aでのモータ推力を維持できる一方で、定速領域Bでのモータ推力を抑え、定速領域Bにおける電気的発熱量を抑制でき、電子部品実装機の装着ヘッド10の省電力化と高精度化を実現できる。また、加減速領域A及び定速領域Bのコイル42a及び42bの巻数や、線径を変える必要が無いので、加減速領域Aに配置されるコイル42aと、定速領域Bに配置されるコイル42bを同じ物を使用可能なことと、コイルを接続する必要が無いため装着ヘッド10製造の作業性が向上する。なお、定速領域Bに対応する部分に配設されるコイル42bの巻数を、加減速領域Aに対応する部分に配設されるコイル42aの巻き数に対して少なくしても良く、また、定速領域Bにおけるコイル42bの線径を、加減速領域Aにおけるコイル42aの線径に対して大きいものとしても良い。
【0033】
【発明の効果】請求項1記載の電子部品実装機の装着ヘッドによれば、円筒型リニアモータのコイルのうち、定速領域に対応する部分に配設されるコイルの巻数が、加減速領域に対応する部分に配設されるコイルの巻き数に対して少なくなっている。従って、マグネットの加減速領域でのモータ推力を維持できる一方で、定速領域でのモータ推力を抑え、定速領域における電気的発熱量を最小限に抑制でき、電子部品実装機の装着ヘッドの省電力化と高精度化を実現できる。
【0034】請求項2記載の電子部品実装機の装着ヘッドによれば、請求項1と同様の効果が得られると共に、定速領域におけるコイルの線径を、加減速領域におけるコイルの線径に対して大きくしているので、定速領域のコイル抵抗値が加減速領域に比べて小さくなることにより、発熱量を抑制できる。
【0035】請求項3記載の電子部品実装機の装着ヘッドによれば、マグネットの加減速領域でのモータ推力を維持できる一方で、定速領域でのモータ推力を抑え、定速領域における電気的発熱量を最小限に抑制でき、電子部品実装機の装着ヘッドの省電力化と高精度化を実現できる。また、加減速領域及び定速領域のコイルの巻数や、線径を変える必要が無いので、加減速領域に配置されるコイルと、定速領域に配置されるコイルを同じ物を使用可能なことと、コイルを接続する必要が無いため装着ヘッド製造の作業性が向上する。
【0036】請求項4記載の電子部品実装機の装着ヘッドによれば、マグネットの加減速領域でのモータ推力を維持できる一方で、定速領域でのモータ推力を抑え、定速領域における電気的発熱量を最小限に抑制でき、電子部品実装機の装着ヘッドの省電力化と高精度化を実現できる。また、加減速領域及び定速領域のコイルの巻数や、線径を変える必要が無いので、加減速領域に配置されるコイルと、定速領域に配置されるコイルを同じ物を使用可能なことと、コイルを接続する必要が無いため装着ヘッド製造の作業性が向上する。
【0037】請求項5記載の電子部品実装機の装着ヘッドによれば、請求項1〜4のいずれかひとつと同様の効果が得られると共に、前記吸着ノズルを前記軸回りに回転させるための回転型モータの回転軸を前記軸上に配設するので、吸着ノズルの回転又は上下動を駆動するための動力の伝達系を、少数の伝達要素により構成することができ、かつタイミングベルトやボールねじが不要となるので、吸着ノズルの位置決め精度を向上させることができる。
【0038】請求項6記載の電子部品実装機の装着ヘッドによれば、請求項1〜5のいずれか一つと同様の効果を得られると共に、吸着ノズルに負圧空気を発生させるための圧縮空気を利用して、吸着ノズルを駆動させる装着ヘッドを冷却するので、従来のように、例えば、ファンモータや伝熱板等の装置を別途設ける必要が無くなる。また、装着ヘッドを軽量な構造にでき、装着ヘッド自体を移動させるための装置に及ぼす慣性負荷が減少し、移動スピードが向上する。また、ファンモータ等を駆動するための電力が必要無くなり、省電力化を図ることができる。また、圧縮空気が大気中に解放される際には、断熱降下により温度が低下するため、通常のファンによる冷却に比べて冷却効果が高い。また、装着ヘッドの小型化、ひいては電子部品装着装置の小型化が可能となり、装着ヘッドの移動範囲を大きくすることができる。
【出願人】 【識別番号】000003399
【氏名又は名称】ジューキ株式会社
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
【出願日】 平成13年4月13日(2001.4.13)
【代理人】 【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司 (外1名)
【公開番号】 特開2002−307360(P2002−307360A)
【公開日】 平成14年10月23日(2002.10.23)
【出願番号】 特願2001−115683(P2001−115683)