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【発明の名称】 回転工具
【発明者】 【氏名】上村 洋司

【氏名】天野 浩一

【氏名】小林 繁夫

【氏名】伊藤 俊之

【要約】 【課題】摩耗しにくく、耐久性を有するOリングを用いることにより、長期間に亘って、安定した出力が得られるようにした回転工具を提供すること。

【解決手段】駆動機構により回転駆動される回転軸と本体側とをシールするOリングを備えた回転工具において、Oリング1の内周11又は外周12のいずれか一方に、被シール部材に対するOリング1の接触面積を増大させるための円筒状面を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 駆動機構により回転駆動される回転軸と本体側とをシールするOリングを備えた回転工具において、前記Oリングの内周又は外周のいずれか一方に、被シール部材に対するOリングの接触面積を増大させるための円筒状面を形成してなることを特徴とする回転工具。
【請求項2】 前記Oリングが、Oリングの成形時におけるパーティングラインを、Oリングの内周又は外周に形成した円筒状面にかからない位置に有することを特徴とする請求項1記載の回転工具。
【請求項3】 前記Oリングが、摩擦係数が0.7以下であり、かつ摩耗係数が500×10-10cm3/kgf・m以下の材質からなることを特徴とする請求項1又は2記載の回転工具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転工具に関し、特に、摩耗しにくく、耐久性を有するOリングを用いた回転工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、図3に示すような、エアーモータA及び打撃トルク発生装置P等からなる駆動機構により回転駆動される回転軸2を備えた回転工具Nにおいて、回転軸2と本体側3とをシールするためにOリング1が汎用されている。
【0003】ところで、このOリング1は、図4〜図5に示すように、断面円形のリング形状に形成されている。そして、このOリング1を用いて回転軸2と本体側3とをシールするに際しては、Oリング1が回転軸2と共回りすることにより本体側3と摺接してOリング1が急激に摩耗することを防止するために、Oリング1と回転軸2の接触部の摺動抵抗が、Oリング1と本体側3の接触部の摺動抵抗よりも小さくなるように、具体的には、回転軸2の軸径と略同径の内径(必要に応じて、回転軸2の軸径よりやや大きな内径)を有するOリング1を装着するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Oリング1が回転軸2と共回りすることにより本体側3と摺接してOリング1が急激に摩耗することを防止するために、回転軸2の軸径と略同径の内径を有するOリング1を装着した場合であっても、特に、シール圧力が高く、かつ、回転軸2を高速で回転駆動する回転工具N等においては、回転軸2を回転駆動すると、Oリング1と回転軸2の接触部において摩擦により発熱することとなる。そして、これによって、Oリング1が加熱されると、ガフ・ジュール効果(ゴムを引張った状態で加熱すると、急激に収縮しようとする性質)により、Oリング1の内径が狭まり、Oリング1と回転軸2の接触部の摺動抵抗が増大し、Oリング1と本体側3の接触部の摺動抵抗よりも大きくなって、Oリング1が回転軸2と共回りし、これによって、Oリング1が本体側3と摺接してOリング1が急激に摩耗し、シール不良をきたすという問題があった。
【0005】また、回転工具Nの場合、このようにOリング1が摩耗し、シール不良を起こすと、回転工具Nの出力が低下するため、摩耗したOリング1をしばしば交換しなければならず、しかも、このOリング1の交換に際しては、工具を分解することが必要となるため、手数を要し、回転工具Nの稼働率、ひいては、生産効率に影響を及ぼすという問題があった。
【0006】本発明は、上記従来のOリングを用いた回転工具の有する問題点に鑑み、摩耗しにくく、耐久性を有するOリングを用いることにより、長期間に亘って、安定した出力が得られるようにした回転工具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、本発明の回転工具は、駆動機構により回転駆動される回転軸と本体側とをシールするOリングを備えた回転工具において、前記Oリングの内周又は外周のいずれか一方に、被シール部材に対するOリングの接触面積を増大させるための円筒状面を形成してなることを特徴とする。
【0008】この回転工具は、Oリングの内周又は外周のいずれか一方に、被シール部材に対するOリングの接触面積を増大させるための円筒状面を形成するようにしているので、Oリングと、このOリングの円筒状面が接触する固定側の被シール部材の接触部の摺動低抗を、回転側の被シール部材の接触部の摺動低抗よりも相対的に大きくすることができ、これによって、Oリングが回転側の被シール部材と共回りすることを確実に防止することができるため、Oリングが摩耗しにくくなり、シール不良に起困する回転工具の出力の低下が起きない。
【0009】この場合において、Oリングの成形時におけるパーティングラインを、Oリングの内周又は外周に形成した円筒状面にかからない位置に有するように構成することができる。
【0010】これにより、Oリングの成形時に生じるバリが、被シール部材に接触しないため、シールを確実に行うことができるとともに、Oリングの円筒状面の凹凸をなくして、Oリングの円筒状面が接触する固定側の被シール部材の接触部の摺動抵抗を、確実に大きくすることができるため、Oリングがさらに摩耗しにくくなり、Oリングの交換サイクルを伸ばすことができ、Oリングの交換回数が減少し、回転工具の稼働率、ひいては、生産効率を一層向上することができる。
【0011】また、Oリングを、摩擦係数が0.7以下であり、かつ摩耗係数が500×10-10cm3/kgf・m以下の材質で構成することができる。
【0012】これにより、Oリングのガフ・ジュール効果が抑えられ、より作動状態の安定した回転工具が得られることとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の回転工具の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】図1に、本発明の回転工具に用いるOリングの一実施例を示す。このOリング1は、従来と同様、使用条件等に応じてその材質を選定することができ、特に限定されるものではないが、ニトリル系ゴム、スチロール系ゴム、シリコーン系ゴム、フッ素系ゴム等の各種ゴムを単独で、さらにはこれらゴムを混合、例えば、ニトリル系ゴムとフッ素系ゴムを混合したものを用いることができる。
【0015】ただし、後述するように、この回転工具に用いるOリング1は、回転側の被シール部材と相対的に回転摺動するため、摩擦係数が低く、かつ耐摩耗性が高い材質を選択することが望ましい。より具体的には、摩擦係数が0.7以下、より好ましくは、0.5以下であり、かつ摩耗係数が500×10-10cm3/kgf・m以下、より好ましくは、200×10-10cm3/kgf・m以下の材質(例えば、NTN精密樹脂社製のベアリーER3000、ベアリーER3201、ベアリーER3600を例示できる。)を選択することが望ましく、これにより、摩擦熱を低く抑えることが可能であり、ガフ・ジュール効果の発生が抑制でき、作動状態の安定した回転工具が得られることとなる。
【0016】ここで、上記摩擦係数及び摩耗係数は、JIS K 7218のスラスト型摩擦摩耗試験機を用い、滑り速度1m/分、面圧3kgf/cm2、相手材SUJ2、室温の条件で測定した値を示す。
【0017】そして、このOリング1は、上記の特性を有するゴムを用いて所要の内径及び外径を有するようにリング形状に形成したものである。
【0018】この場合、Oリング1の内周11又は外周12のいずれか一方(本実施例においては、外周12)に、被シール部材に対するOリング1の接触面積を増大させるための円筒状面を形成するようにする。この円筒状面の幅Wは、必要とされるOリング1の円筒状面が接触する固定側の被シール部材との摺動抵抗の大きさ、Oリング1の直径D等に応じて任意に設定することができるが、通常、0.25D〜0.75D(D:Oリング1の直径)の範囲に設定するようにする。
【0019】このように、Oリング1の内周11又は外周12のいずれか一方に、被シール部材に対するOリング1の接触面積を増大させるための円筒状面を形成するようにしているので、Oリング1と、このOリング1の円筒状面が接触する固定側の被シール部材との摺動抵抗を、回転側の被シール部材との摺動抵抗よりも相対的に大きくすることができ、これによって、Oリング1と回転側の被シール部材の接触部において摩擦により発熱し、Oリング1が加熱され、ガフ・ジュール効果により、Oリング1の内径が狭まり、Oリング1と回転側の接触部の摺動抵抗が増大しても、Oリング1が回転側の被シール部材と共回りすることを、確実に防止することができる。
【0020】ところで、Oリングを金型を用いて製造する場合、分割された金型の合わせ部(パーティングライン)にバリが発生する。このバリは、従来は、金型の分割形態から、図4(C)に示すように、Oリング1の中心を通る平面L上に形成されることになるが、この場合、バリ13が、シール性能に悪影響を及ぼさないように、例えば、バリ13の突出高さを0.1mm以下、幅を0.15mm以下になるようにしていた。
【0021】これに対して、本実施例のOリング1においては、Oリング1の成形時におけるパーティングラインを、図1(C)に示すように、Oリング1の内周11又は外周12に形成した円筒状面にかからない位置、具体的には、Oリング1の中心を通る平面Lに対して所定角度θ、例えば、45°程度ずらした位置に形成するようにする。なお、この位置にパーティングラインがくるようにしても、Oリングの製造自体には、支障は生じない。
【0022】このように、Oリング1の成形時におけるパーティングラインを、Oリング1の内周11又は外周12に形成した円筒状面にかからない位置に形成することにより、Oリング1の成形時に生じるバリ13が、被シール部材に接触しないため、シールを確実に行うことができるとともに、Oリング1の円筒状面の凹凸をなくして、Oリング1の円筒状面が接触する固定側の被シール部材との摺動抵抗を、確実に大きくすることができる。
【0023】次に、このOリング1の使用例について、図2〜図3に基づいて説明する。図3は、エアーモータA及び打撃トルク発生装置P等からなる駆動機構により回転駆動される回転軸2を備えた回転工具Nである。Oリング1の円筒状面が固定側の被シール部材、すなわち、回転工具本体3に接触するように、外周12に円筒状面を形成したOリング1を用いるようにする。なお、このOリング1を用いて回転軸2と本体側3とをシールするに際しては、従来のOリングと同様、Oリング1が回転軸2と共回りすることにより本体側3と摺接してOリングlが急激に摩耗することを確実に防止するために、回転軸2の軸径と略同径の内径(必要に応じて、回転軸2の軸径よりやや大きな内径)を有するOリング1を装着するようにする。また、本使用例においては、Oリング1が側面から流体などによる圧力を受けるため、反圧力側にOリング1に沿うようにバックアップリング4を介在させ、Oリング1の変形を防止するようにしている。
【0024】このようにすることによって、Oリング1と、このOリング1の円筒状面が接触する固定側の被シール部材、すなわち、回転工具本体3の接触部が面接触し、この部分の摺動抵抗を、線接触となる回転側の被シール部材、すなわち、回転軸2との摺動抵抗よりも相対的に確実に大きくすることができる。これによって、Oリング1と回転軸2の接触部において摩擦により発熱し、Oリング1が加熱され、ガフ・ジュール効果により、Oリング1の内径が狭まり、Oリング1と回転軸2との摺動抵抗が増大しても、Oリング1が回転軸2と共回りすることを、確実に防止することができる。
【0025】以上、本発明の回転工具について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、固定側の被シール部材がOリングの内周側に、回転側の被シール部材がOリングの外周側に、それぞれ位置する回転工具の場合は、Oリングの内周に、被シール部材に対するOリングの接触面積を増大させるための円筒状面を形成したOリングを用いるようにする等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0026】
【発明の効果】本発明の回転工具によれば、回転軸と本体側とをシールするOリングが、Oリングの内周又は外周のいずれか一方に、被シール部材に対するOリングの接触面積を増大させるための円筒状面を形成するようにしているので、Oリングと、このOリングの円筒状面が接触する固定側の被シール部材との摺動抵抗を、回転側の被シール部材との摺動抵抗よりも相対的に大きくすることができ、これによって、Oリングが回転側の被シール部材と共回りすることを、確実に防止することができる。これによって、Oリングが固定側の被シール部材と摺接して急激に摩耗してシール不良をきたすことがなく、長期間に亘って、安定した出力が得られる回転工具の提供が可能となる。
【0027】また、Oリングの成形時におけるパーティングラインを、Oリングの内周又は外周に形成した円筒状面にかからない位置に有するように構成することにより、Oリングの成形時に生じるバリが、被シール部材に接触しないため、シールを確実に行うことができるとともに、Oリングの円筒状面の凹凸をなくして、Oリングの円筒状面が接触する固定側の被シール部材との摺動抵抗を、確実に大きくすることができる。これによって、Oリングの交換回数が減少し、回転工具の稼働率、ひいては、生産効率を一層向上することができる。
【0028】また、Oリングを、摩擦係数が0.7以下であり、かつ摩耗係数が500×10-10cm3/kgf・m以下の材質で構成することにより、Oリングのガフ・ジュール効果が抑えられ、より作動状態の安定した回転工具が得られることとなる。
【出願人】 【識別番号】591045323
【氏名又は名称】瓜生製作株式会社
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】エヌティエヌ株式会社
【出願日】 平成13年2月21日(2001.2.21)
【代理人】 【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治 (外1名)
【公開番号】 特開2002−239949(P2002−239949A)
【公開日】 平成14年8月28日(2002.8.28)
【出願番号】 特願2001−44406(P2001−44406)