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【発明の名称】 手持ち式パワーツール
【発明者】 【氏名】草間 政彦

【要約】 【課題】ラチェットホイール及び出力シャフトの不必要な回転を抑制する手持ち式パワーツールを提供する。

【解決手段】ツール1は、互いに所定の間隔で配置された前壁19及び後壁21を有するハウジング17と、壁に垂直な軸周りに回転可能にハウジング内に設けた出力シャフト23とを備える。シャフトは、ツール取付け部収容のため前壁から突出した外側端部25を備える。壁同士の間でシャフト上に配置されたラチェットホイール27は、シャフトを所定方向に回転するために前記所定方向に駆動される。ホイールは、壁の一つの固定面31に対向する側面29と、軸周りに所定の間隔で側面から内側に伸びた複数の凹部33とを有する。複数の圧縮コイルばね35が各凹部内に一つずつ収容される。各円筒ピン36は、ピンが凹部から外側に付勢して固定面に当接するようにばねと接触し、これによりホイールは回転駆動方向とは逆方向に回転しないように保持される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 手持ち式パワーツールにおいて、互いに所定の間隔をあけて配置された前壁及び後壁を有するハウジングと、前記壁に対し垂直方向に伸びた軸周りに一方向又は他方向に回転可能に、前記ハウジング内に設けられ、ツール用の取付け部を収容するために前壁から突出した外側端部を備えた出力シャフトと、壁同士の間の空間で前記シャフト上に配置され、シャフトを一方向又は他方向に回転するために前記一方向又は他方向に駆動されるラチェットホイールとを備え、前記ラチェットホイールは、前記壁の一つの固定面に対向する側面と、前記軸周りに所定の間隔で前記側面から内側に伸びた複数の凹部とを有し、複数の圧縮コイルばねが各凹部内に一つずつ収容され、前記各圧縮コイルばねに対応して円筒ピンが設けられ、各円筒ピンは、ピンが凹部から外側に付勢して前記固定面に当接するように、圧縮コイルばねと接触し、これにより、ラチェットホイールを、回転駆動方向とは逆方向に回転しないように保持することを特徴とする手持ち式パワーツール。
【請求項2】 前記各円筒ピンは、ラチェットホイールに設けた前記凹部の一つに、少なくとも部分的に収容されることを特徴とする請求項1の手持ち式パワーツール。
【請求項3】 各円筒ピンは、固定面に接触可能な第1の端部を有するフリクション部と、第1の端部と反対側のフリクション部の第2の端部上に配置されたロケータスタッドとを備え、前記ロケータスタッドは、フリクション部より横断面が小さく、前記圧縮コイルばねの内側に収容されることを特徴とする請求項2の手持ち式パワーツール。
【請求項4】 円筒ピンのフリクション部の第1の端部は、第1の端部の環状表面ほぼ全体にわたって固定面に接触するように平坦であることを特徴とする請求項3の手持ち式パワーツール。
【請求項5】 各円筒ピンは、固定面に接触可能な第1の端部を有するフリクション部と、第1の端部と反対側のフリクション部の第2の端部上に配置されたロケータスタッドとを備え、前記ロケータスタッドは、フリクション部より横断面が小さく、前記圧縮コイルばねの内側に収容されることを特徴とする請求項1の手持ち式パワーツール。
【請求項6】 円筒ピンのフリクション部の第1の端部は、第1の端部の環状表面ほぼ全体にわたって固定面に接触するように平坦であることを特徴とする請求項1の手持ち式パワーツール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般に手持ち式パワーツールに関し、特に、出力軸と該軸用のリバーシブルラチェットホイールドライブとを備えた、手持ち式の空気作動型ツールに関する。
【0002】
【従来の技術】本発明は、米国特許第5,535,646号(出願日1996年7月16日、発明の名称「ラチェットドライブ」)に開示されたタイプ、米国特許第6,158,528号(出願日2000年12月12日、発明の名称「手持ち式空気作動型回転ドライブ装置」)に開示されたタイプ、及び特許出願番号09/553,921(出願日2000年4月20日、発明の名称「手持ち式パワーツール」)に開示されたタイプ(これらの内容は本願に含まれる。)の手持ち式の空気作動型ツールに特に関連する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記米国特許第5,535,646号(「646」特許と略記)を参照して、本特許に開示されたツールは、フリクションワッシャ(符号36)と、一つの又は好ましくは二つのさらばねワッシャ(符号38)とを備えたワッシャ構造を有する。これらワッシャの組み合わせは、本特許の明細書3pの58〜60行目に記載されているように、「ドライブギアを軸方向に予圧して該ギアの振動を防止する機能」を有する。このワッシャ構造の主目的は、「ドライブギア」22(ラチェットホイール)の不必要な回転を抑制することである。不必要な回転の例として、ツールをセットしてラチェットホイールを一方向又は別方向に駆動する際の逆回転(これは、ラチェットホイールを駆動するために選択された爪を後ろに引く(back-drag)ことで発生する場合がある。)が挙げられる。こうした逆回転は、ツールの動力を損なわせる作用がある。この点に関し、ツールの使用の際に、ラチェットツールは一つの爪により一方向に正駆動され、他の爪により他方向に正駆動されるので、ラチェットホイールの逆回転を積極的に防止するためのバックチェック爪等の手段を用いることができない。「646」特許のワッシャ構造は、一般的にこの目的を満足するが、ワッシャの磨耗により比較的寿命が短い問題や、結果としてシムでワッシャを仮止めしたり、ワッシャを交換する必要性が生じる問題がある。
【0004】磨耗が急激な場合にその問題を解決する試みが米国特許第4,722,252号に示されている。さらばねワッシャの代わりに、ラチェットホイールに設けた孔に収容され且つボールベアリングを耐磨耗ワッシャに対し付勢するコイルばねが用いられている。利点として、ボールベアリングが耐磨耗ワッシャと同等の硬度を有するようにできることである。しかしながら、ボールベアリングは、耐磨耗ワッシャと実質的に点接触するため、ツール作動時にボールベアリングはカッタのように振る舞い、その結果、耐磨耗ワッシャに損傷を与えるとともに使用寿命を減らす。米国特許第5,896,789号に記載された別の解決手段によれば、ボールベアリングを省略して、ばねが耐磨耗ワッシャに直接接触する。効果を有するためにはばねの端部を平坦に加工する必要があり、その結果生産コストが増加する。しかしながら、ばねとワッシャの接触面積はまだ非常に小さい。さらに、耐磨耗の点で十分堅いが、必要な弾性を維持したばねを使用するのは経済的な意味で困難である。
【0005】
【課題を解決するための手段】したがって、本発明の複数の目的は、ラチェットホイール及び軸の不必要な回転を抑制する改良された手段を備えたリバーシブルラチェット型ドライブを有するツールを提供すること;磨耗に対し比較的自己補償的であり、比較的寿命が長く、ワッシャ構造ほど頻繁にシムを用いて仮止めしたり交換を行う必要がない上記手段を備えたツールを提供すること、及び、比較的容易に且つ経済的にツールに組み込める上記手段を提供することである。
【0006】本発明に係る手持ち式パワーツールは、互いに所定の間隔をあけて配置された前壁及び後壁を有するハウジングと、前記壁に対し垂直方向に伸びた軸周りに一方向又は他方向に回転可能に、前記ハウジング内に設けられた出力軸(出力シャフト)とを備える。出力シャフトは、ツール用の取付け部を収容するために前壁から突出した外側端部を備える。壁同士の間の空間で前記シャフト上に配置されたラチェットホイールは、シャフトを一方向又は他方向に回転するために前記一方向又は他方向に駆動されるようになっている。ラチェットホイールは、前記壁の一つの固定面に対向する側面と、前記軸周りに所定の間隔で前記側面から内側に伸びた複数の凹部とを有する。複数の圧縮コイルばねが各凹部内に一つずつ収容される。前記各圧縮コイルばねに対応して円筒ピンが設けられる。各円筒ピンは、ピンが凹部から外側に付勢して前記固定面に当接するように、圧縮コイルばねと接触し、これにより、ラチェットホイールを、回転駆動方向とは逆方向に回転しないように保持する。
【0007】他の目的及び特徴は、一部は既に明らかであり一部は以下で示される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。同一の符号は、複数の図面にわたって同一の部分を表す。
【0009】図1を参照して、ラチェットホイール(及び出力軸)の不必要な回転(上述した不利益となる逆回転を含む。)を抑制するための本発明に係る手段を備えた手持ち式空気作動型パワーツールは、手に把持されるような大きさ・形状を備えた実質的に細長い本体部を備える。ツール全体は符号1で、細長い本体部は符号3で表す。本体部は、前端部5及び後端部7(手に把持した状態での「前]及び[後」を指す。)を有する。
【0010】上記「646」特許及び/又は上記特許出願に示すように、本体部は、その横断面が略円形状で、前端部に隣接するモータチャンバと、該チャンバ内の空気作動型モータMとを有する。本体部の後端部7は、エアーホース(図示せず)と接続され、圧縮空気が送り込まれることで本体部内のバルブVを制御してモータを作動させるようになっている。バルブは、点15周りにピボット回転するレバー13により操作可能な心棒11を備える。上記接続は、上記「646」特許及び上記特許出願に示すように行ってもよい。
【0011】本体部3から前方に、所定の間隔をあけて設けた前壁19及び後壁21を備えたハウジング17が伸張している。符号23は、壁19、21に垂直な方向伸びた軸に関して一方向又は他方向に回転可能に、前端部17aに隣接してハウジングに取り付けられた出力軸を表す。軸は、ツールの取付け部を収容するために前壁から突出した外側端部25を有する。ラチェットホイール27を構成する平歯車が壁19、21間の空間において軸上に取り付けられている。上記「646」特許及び上記特許出願に示されたタイプの二方向ラチェット駆動機構を用いた場合のように、ラチェットホイールは、本体部3内のモータにより出力軸23を一方向又は他方向に回転するために、上記一方向又は他方向に駆動されるように構成されている。
【0012】ラチェットホイール27は、好適には軸23と一体的に形成され、壁19、21の一つすなわち壁21上の固定面31に対向する側面29を有する。本発明では、ラチェットホイールは複数の凹部33を備え、各凹部は、軸周りに所定の間隔で配置され且つ側面29から内側に伸びている。これらの凹部は、複数の圧縮コイルばね35を保持するとともに複数の円筒ピン36を部分的に収容する。各凹部には一つのばねと一つのピンが収容される。各ばね35は、対応する凹部の内側端部37と、円筒ピン36の肩部36Aとの間で圧縮されている。
【0013】円筒ピンは、フリクション部36Bと、フリクション部より直径の小さなロケータ部36Cとを有する。肩部36Aは、フリクション部36Bとロケータ部36Cとが交差するフリクション部の第2の端部上に位置する。ロケータ部は、ばね35の巻回内に収容され、ばねを効果的にピン36上に配置するようになっている。フリクション部36Bは、(その第1の端部上で)固定面31と摩擦接触し、ラチェットホイール27及び軸23の不必要な回転を抑制する、特に(いずれか一方の方向に関して)逆回転するのを抑制するためのブレーキ手段として機能する。
【0014】各円筒ピン36はさらに、フリクション部36Bの周囲部に隣接し且つフリクション部を貫通するように収容される移動止め36Dを備える。移動止め36Dは、ピン36を収容する凹部33に隣接するラチェットホイール27と接触し、これによりピンが凹部内に完全に押し込まれるのを防止する。このようにして、ピン36は、固定面31と常に接触した状態に保たれる。
【0015】ラチェットホイール27は、上記表面29と反対側に、前壁19に対向し且つ前壁に接触する側面38を有する。したがって、ラチェットホイール27(及び軸23)は、ばね35の付勢力により、前壁に向かう方向(図1及び図2で左方向)に移動するのが防止される。その結果、ばねの圧縮が維持される。ラチェットホイールの側面38と前壁との摩擦接触により、ブレーキ効果が増加する。
【0016】二方向ラチェット駆動機構は、上記空気式モータの軸39により作動する。この機構は、上記「646」特許及び上記特許出願において開示されたものと実質的に同一のタイプである。これに関連して、本願では、爪担持体41(「646」特許の「ドライブリンク」16)が示されている。この爪担持体41は、それぞれ点47、49周りにピボット回転する一対の爪43、45を有する。爪担持体41自体は、ピン51周りにピボット回転し、これにより、ハウジング17を横切る軸の周りに、ハウジング内でその後端部に隣接して振動できるようになっている。
【0017】爪43、45はそれぞれ尾部53、55を有する。符号57で表すばねは、爪を付勢して、これら爪の尾部がカムシャフト61上でカム59と係合するようになっている。カム59は、図3に示すように爪43がラチェットホイールと係合し、これにより該ホイールを一方向に駆動する位置と、図3に示すように爪45がラチェットホイールと係合し、これにより該ホイールを一方向に駆動する位置との間で、レバー63により操作できるようになっている。
【0018】符号65は、伝動装置67で駆動されるクランクを表す。クランク65は、リンク69を介して爪担持部41の振動動作を行う。爪担持部の振動により、ラチェットホイール27及び出力軸23は、レバー63の設定に応じて、一方向又は他方向に関する回転を行う。
【0019】出力軸23は、端部25と反対側が、ハウジング17の内壁21に設けた環状凹部73に収容した環状ベアリング71内で回転自在に支持されている。ラチェットホイール27は、側面29と反対側にディスク構造75を有する。ディスク構造75は、壁19に設けた環状開口部内に回転自在に支持されている。ディスク構造は、ラチェットホイールの側面38により外装される。壁19は、符号77などで表すねじを用いて着脱可能に取り付けてある。外側に突出した(方形状の)軸端部25は、ツール用の取付け部(例えばソケットレンチ取付け部)のために、ばねで支持されたボール状移動止め79を収容する凹部(符号付さず)を有する。ベアリング71は耐磨耗面81を有する。上記表面21は、この耐磨耗リングの表面である。優先的には、3つの凹部33及びばね35が、軸周りに120°の間隔でラチェットホイール27内に設けられる。
【0020】モータM、本体部3内の空気のフロー及び排気を行うバルブV、及び二方向ラチェット駆動機構の詳細は、上述したように本願にその内容が含まれる上記「646」特許及び上記特許出願から明らかである。
【0021】ピン36及び/又は面81の磨耗は、ばね35が伸びることで自動的に補償される。したがって、上述したようにシムを用いて仮止めしたりワッシャの交換をする必要なしに、ばねの摩擦ブレーキ効果が延びる。面81と接触するピン36の第1の端部は、実質的に平坦で、その結果、ピンは、第1の端部の環状表面ほぼ全体にわたって面81と接触する。したがって、摩擦ブレーキ力を向上させることができる。さらに、ピン36の磨耗を減らすために、ピンは、面81と実質的に同じ硬度の材料・種類で形成されてもよい。ピン36の第1の端部と面81との接触面積を比較的大きくすることで、ピンが面81をカッティングするのを抑制することができる。
【0022】上記説明から、本発明に係る複数の目的及び他の有利な結果を達成できることがわかる。
【0023】本発明の範囲を超えることなく上記構成を種々変更することができる。したがって、上記説明や添付図面に含まれる全ての事項は、例として且つ非限定的な意味で解釈されるべきである。
【出願人】 【識別番号】390019840
【氏名又は名称】エス・ピー・エアー株式会社
【出願日】 平成13年12月5日(2001.12.5)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
【公開番号】 特開2002−239946(P2002−239946A)
【公開日】 平成14年8月28日(2002.8.28)
【出願番号】 特願2001−371176(P2001−371176)