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【発明の名称】 電動工具
【発明者】 【氏名】坂部 委千夫

【氏名】山本 拓矢

【要約】 【課題】可搬式電動工具で工作箇所の照明と電動機の異常を知らせる警告表示を行う。

【解決手段】異常検出素子26,27,28が異常を検出した場合にマイクロコンピュータ30によりRGB−LED発光ダイオード17からなる照明器に点滅等の異常照明表示をさせる。正常時には全ての発光ダイオードを駆動して白色照明をする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 工具の先端近傍を照射する照明器を備えた電動工具において、前記照明器を正常に点灯させる正常照明駆動手段と、電動機の異常を検出する異常検出素子と、前記異常検出素子が異常を検出した場合に前記照明器に正常照射とは異なった点滅等の異常照明表示をさせる警告表示駆動手段と、を備えることを特徴とする電動工具。
【請求項2】 前記異常検出素子が、電動機の温度を検出する温度検出素子、電動機のブラシの摩耗を検出するブラシ摩耗検出素子、電動機の過電流を検出する過電流検出素子のいずれか1つあるいは複数個であることを特徴とする請求項1記載のの電動工具。
【請求項3】 前期照明器が、赤と緑と青とからなる3種類の発光ダイオード(LED)からなり、前記正常照明駆動手段が、前記3種類の発光ダイオードを同時に発光させる手段であり、前記警告表示駆動手段が、検出された異常の種類に応じて前記3種類の発光ダイオードのうち少なくとも1つを消灯あるいは点滅させる手段である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハンマドリル等の手持ち及び卓上丸鋸盤型の可搬式の電動工具に関し、特に照明用のライトと過熱等の警告のライトを備えた電動工具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の照明装置付き電動工具として、米国特許第2,525,588号には、ケーシングの正面キャップにランプバルブ及びレンズガラスを設け、ドリルの先端を照らすようにしたものが提案されている。また、小型電動工具の過熱を警告するものとして、実開昭49−54733号には、モータの界磁にサーミスタを装着し過熱時にネオン管を点灯するようにしたものが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】電動工具において工作箇所の照明装置と過熱等の警告装置はともに併存することが好ましい。しかしながら、上記従来の電動工具はいずれか一方のみを備えるもので両者を備えるものではなかった。照明器具と警報器具との両者を備えると電動工具上の場所を取ったりして意匠上好ましくなかったり、両者の配線取り回しが面倒でコストがかさんだりしたからである。本発明は上記の課題を解決するためなされたものであり、1つの照明器を用いて工作箇所の照明と警告表示を同時に行えるようにすることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明のうち請求項1記載の発明は、工具の先端近傍を照射する照明器を備えた電動工具において、前記照明器を正常に点灯させる正常照明駆動手段と、電動機の異常を検出する異常検出素子と、前記異常検出素子が異常を検出した場合に前記照明器に正常照射とは異なった点滅等の異常照明表示をさせる警告表示駆動手段と、を備えることを特徴とする。
【0005】このように形成すると、正常時には正常照明駆動手段により照明器が点灯され作業者は安全に工作を行うことができる。電動機の異常時には警告表示手段により照明器が点滅等の異常照明表示をするから作業者は電動機の異常を容易に知ることができ工作を中断することができる。照明器は警告灯の役割も果たすから電動工具には照明灯を1つ付けるのみでよく、配線の取り回しも簡単であり、意匠上の処理も容易である。
【0006】ここで、請求項2記載の発明のように、前記異常検出素子が、電動機の温度を検出する温度検出素子、電動機のブラシの摩耗を検出するブラシ摩耗検出素子、電動機の過電流を検出する過電流検出素子のいずれか1つあるいは複数個であることを特徴とすることできる。このように形成すると取り付けた異常検出素子の種類に応じて、電動機の過熱時に照明器が異常照明表示をし、電動機のブラシの消耗時に照明器が異常照明表示をし、電動機の過負荷時に照明器が異常照明表示をするから、作業者は取り付けた異常検出素子の種類に応じて、電動機の過熱、ブラシの摩耗または電動機の過負荷を容易に知ることができる。
【0007】ここで、請求項3記載の発明のように、前期照明器が、赤と緑と青とからなる3種類の発光ダイオード(LED)からなり、前記正常照明駆動手段が、前記3種類の発光ダイオードを同時に発光させる手段であり、前記警告表示駆動手段が、検出された異常の種類に応じて前記3種類の発光ダイオードのうち少なくとも1つを消灯あるいは点滅させる手段である、ことを特徴とすることができる。
【0008】このように形成すると、正常時には3種類の発光ダイオードが同時に発光する。3種類の発光ダイオードは赤と緑と青の3原色をなしているから3色が混じって白色の照明光が工具の先端近傍を照射する。電動機の過熱時等の異常時には照射光の色が変わったり、点滅したりして作業者に異常を警告する。たとえば、過電流で過負荷時には緑と青の発光ダイオードを消灯させ赤の発光ダイオードのみを点灯させれば赤色の照明になり、電動機の過熱時には赤の発光ダイオードのみを点滅させれば赤色の点滅信号になる。さらにブラシの摩耗時には緑の発光ダイオードのみを点灯させれば緑色の照明になる。この場合も電動工具には発光ダイオードを1式同じ場所に備えるだけでよいから、配線の取り回しも簡単であり、意匠上の処理も容易である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面を参照し説明する。図1は本発明に係る電動工具の側面図でありハンドル部の一部を破断して示している。電動工具11の本体部12には電動機が収容され、先端に工具14を掴むチャック13が設けられている。電動工具11のハンドル部15には電動機を起動するトリガースイッチ16が設けられている。トリガースイッチ16の下方には赤と緑と青との3種類の発光ダイオードの組からなるRGB−LED発光ダイオード17が配設され、鎖線18で示すように工具4の先端近傍を照射するようにされている。RGB−LED発光ダイオード17は照明器を構成する。
【0010】図2は電動工具の制御装置の一実施例を示すブロック図である。電動機20は電機子21と2つの界磁巻線22,23及びブラシ24,25からなる。電動機20はトリガースイッチ16により電源に接続されるようになっている。また、電動機20にはシャント抵抗26が直列に接続され電動機20に流れる負荷電流を検出できるようになっている。シャント抵抗26は過電流検出素子をなす。また、界磁巻線23には電動機20の温度を検出する温度検出素子であるサーミスタ27が取り付けられている。さらに、ブラシ24にはブラシ摩耗検出素子28が設置されている。シャント抵抗26、サーミスタ27、ブラシ摩耗検出素子28からの信号は制御部であるマイクロコンピュータ30に入力される。
【0011】さらに、マイクロコンピュータ30には、照明機能を入り切りする照明スイッチ31からの信号が入力される。この実施例では、照明スイッチ31はトリガースイッチ16と連動され、トリガースイッチ16が引かれたときに照明スイッチ31もオンになるようにされている。マイクロコンピュータ30の出力は照明器用駆動回路40に接続され、照明器用駆動回路40は照明警告兼用ライトである3種類の発光ダイオードの組からなるRGB−LED発光ダイオード17を駆動する。
【0012】図3はブラシ摩耗検出素子28の構造を示す断面図である。黒鉛を主成分とするブラシ24は導電体からなるブラシチューブ101及び絶縁体からなるブラシホルダー102に保持され、圧縮バネ103により押圧付勢されている。ブラシチューブ101及びブラシホルダー102の側面には小孔が明けられ、その小孔に段付き円柱形状をしたプローブ105が納められている。プローブ105は絶縁体で構成され、その先端がブラシ24の側面に摺接するようになっている。プローブ105の背面(図面右から)は板バネ106に押圧されプローブ105の先端がブラシ24の側面に当接するようにされている。ブラシ24が摩耗しプローブ105の位置より下に下がると、プローブ105の先端がブラシ24の側面よりはずれ、プローブ105が前進して板バネ106が接点107に接触してブラシ24の摩耗を検出する。プローブ105、板バネ106、接点107はブラシ摩耗検出素子28を構成している。
【0013】図4は交流用の電動工具の制御装置を示す回路図である。商用電源等の交流電源51からは、ダイオードD1、抵抗R1、コンデンサーC1、ツェナーダイオードZD1からなる定電圧回路によりマイクロコンピュータ30に定電圧の電流を供給する。同様に、商用電源等の交流電源51からは、ダイオードD2、抵抗R2、コンデンサーC2、ツェナーダイオードZD2からなる定電圧回路により照明器用駆動回路40に定電圧の電流を供給する。
【0014】マイクロコンピュータ30の入力系について説明する。照明スイッチ31は一端がコモンライン202に接続され、他端がプルアップ抵抗により電源ライン201に接続されると共に入力抵抗を経由してマイクロコンピュータ30に入力されている。電機子21の負荷電流を検出するシャント抵抗26の検出電圧は入力抵抗を経由してマイクロコンピュータ30に入力される。サーミスタ27の一端はコモンライン202に接続され、他端はプルアップ抵抗により電源ライン201に接続されると共にマイクロコンピュータ30に接続されている。接点信号であるブラシ摩耗検出素子28の信号は、その一方の接点がコモンライン202に接続され、他方の接点がプルアップ抵抗により電源ライン201に接続されると共に入力抵抗を経由してマイクロコンピュータ30に接続されている。
【0015】マイクロコンピュータ30の出力系および照明器用駆動回路40について説明する。照明器用駆動回路40により駆動されるRBG−LED発光ダイオード17は4つの発光ダイオードを備えている。各1個の赤色発光ダイオードRおよび緑色発光ダイオードGと2つの青色発光ダイオードBである。マイクロコンピュータ30では4つの出力端子を用い、各出力端子はそれぞれベース抵抗を経由して各駆動トランジスタ41,42,43、44のベースに接続されている。各駆動トランジスタ41,42,43、44のエミッタはコモンライン202に接続され、コレクタはそれぞれベース抵抗を経由してPNP型のスイッチングトランジスタ45,46,47,48のベースに接続されると共にプルアップ抵抗を経由して電源ライン203に接続されている。
【0016】各スイッチングトランジスタ45,46,47,48のエミッタは電源ライン203に接続され、コレクタはそれぞれ電流制限抵抗を経由してRGB−LED発光ダイオード17の赤色発光ダイオードR、青色発光ダイオードB、緑色発光ダイオードG、青色発光ダイオードBのアノードに接続されている。各発光ダイオードR、B、G、Bのカソードはコモンライン202に接続されている。したがって、マイクロコンピュータ30の各出力端子がHになると対応するスイッチングトランジスタ45,46,47,48がオン状態となり、RGB−LED発光ダイオード17は赤色、青色、緑色、青色に発光する。
【0017】図5は直流用の電動工具の制御装置を示す回路図である。図4で説明した交流用の電動工具とは電源部が異なるのみで他は同一であるので同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。バッテリ等の直流電源52はトリガースイッチ16を経由して電動機20の電機子21に接続される。電動機20は永久磁石の界磁を用いているので界磁巻線22,23は無い。直流電源52からは、抵抗R1、コンデンサーC1、ツェナーダイオードZD1からなる定電圧回路により電圧を降下して電源ライン201とし、マイクロコンピュータ30に定電圧の電流を供給する。マイクロコンピュータ30に入力する各検出素子26,27,28および照明スイッチ31は図4で説明したものと同じである。また、直流電源52からの電源ライン204は直接照明器用駆動回路40に導かれる。照明器用駆動回路40は図4で説明したものと同じである。したがって、マイクロコンピュータ30の各出力端子がHになると対応するスイッチングトランジスタ45,46,47,48がオン状態となり、RGB−LED発光ダイオード17は赤色、青色、緑色、青色に発光する。
【0018】図6はマイクロコンピュータ30での処理を示すフローチャートである。電動工具11に電源が投入されるとマイクロコンピュータ30の処理が開始される(S10)。まず、マイクロコンピュータ30の初期化が行われる(S11)。続いて、サーミスタ27からの温度信号Tが読み込まれる(S12)。そして、温度信号Tが所定値T0(たとえば80°C)以上か否かが判別され(S13)、所定値T0以上であればS14に進み、過温度警告信号を出力する。過温度警告信号としては、たとえば、駆動トランジスタ41のみを断続的にオンオフさせ、RGB−LED発光ダイオード17のうち赤色の発光ダイオードRのみを点滅させる。そして、S14からS12に戻る。
【0019】温度信号Tが所定値T0以下の場合は、S13からS16に進む。S16ではブラシ摩耗検出素子28からの接点信号が読み込まれる。そして、S17で接点が閉じているか否か、つまりブラシが摩耗して短くなっているか否かが判別される。ブラシが摩耗していればS18に進み、ブラシ摩耗警告信号を出力する。ブラシ摩耗警告信号としては、たとえば、駆動トランジスタ43のみを断続的にオンオフさせ、RGB−LED発光ダイオード17のうち緑色の発光ダイオードGのみを点滅させる。そして、S18からS12に戻る。
【0020】ブラシが摩耗していない場合は、S17からS20に進む。S20ではシャント抵抗26からの負荷電流値が読み込まれる。そして、S21で負荷電流が過電流であるか否かが判別される。負荷電流が過電流であればS22に進み、過電流警告信号を出力する。過電流警告信号としては、たとえば、駆動トランジスタ42及び44のみを断続的にオンオフさせ、RGB−LED発光ダイオード17のうち青色の発光ダイオードBのみを点滅させる。そして、S22からS12に戻る。
【0021】負荷電流が過電流でない場合は、S21からS24に進む。S24では照明スイッチ31からの接点信号が読み込まれる。そして、S24で照明スイッチ31が閉じているか否かが判別される。照明スイッチ31が閉じていればS26に進み、照明動作出力をする。照明動作出力としては、4つの駆動トランジスタ41,42,43、44を全てオンとし、RGB−LED発光ダイオード17の全ての発光ダイオードRBGを点灯させる。この結果、赤、緑、青の3色の光が混じり白色の光となって工具近傍を照明する。そして、S26からS12に戻る。
【0022】照明スイッチ31が開いている場合は、何も実行しないでS25からS12に戻る。ここで注目したのは、照明スイッチ31に優先してサーミスタ27、ブラシ摩耗検出素子28、シャント抵抗26からの警告信号が読み取られることである。したがって、何も警告信号が無い場合のみ照明スイッチ31が有効になって照明がなされ、何らかの警告信号が出ているときは、その警告信号が優先して発せられる。
【0023】上記の構成において、S25,S26の処理は正常照明駆動手段を、S13,S14とS17,S18とS21,S22との処理は警告表示駆動手段を構成する。
【0024】以上の構成に基づき、作動について説明する。電動工具11を電源に接続すると通常は、ブラシ24の摩耗が無い限り何の警告信号も出ず、トリガースイッチ16を引けば電動機20が回転駆動すると共に、RGB−LED発光ダイオード17から白色の照明光が照射されて工作場所を照明し作業能率をアップさせる。工作途中で過負荷(過電流)が検出されると白色の照明が消え青色の光が点滅するから、電動工具11を工作箇所に押し付ける力を弱めれば良い。作業中または作業開始時に緑色の光が点滅すればブラシ24,25が摩耗しているのでブラシ24,25の交換を行う。作業中に赤色の光が点滅すれば電動機20の過熱であるから、作業を中断して休止すればよい。
【0025】この実施の形態では、照明器であるRGB−LED発光ダイオード17が電動機20が収容される本体部12ではなく比較的余裕のあるハンドル部15に取り付けられているから組み付けも容易でかつ配線の取り回しも容易になる。
【0026】以上説明した実施の形態では、説明を簡単にするため、異常の種類に応じて1種類の発光ダイオードを点滅させるものとしたが、実際には異常の種類に応じて人の感性にぴったりした色の光を点滅または照射するようにすることは容易である。色彩の変更は3原色の赤、緑、青の発光ダイオードを極短い時間間隔で点滅させるデューテイ比を適当に選択することで実現できる。また、発光ダイオードを用いず、電球を用い、正常時には連続点灯させ、異常時には点滅させることにより警告を表示するようにしても良いことは本発明から当業者に明らかである。また、上記の実施の形態ではトリガースイッチ16により照明スイッチ31を連動させることとしたが、照明スイッチ31をトリガースイッチ16とは別個に独立して設けても良い。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は照明器を備え、その照明器により異常状態を警告するものであるから、照明により作業能率がアップでき、さらに、異常状態を速やかに処置ができるという優れた効果がある。そして照明器を用いて警告表示をしているから警告表示灯を別個に設ける場合に比べて配線の引き回しが少なくて済み、組み付け性が高くなりコストダウンができるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
【出願日】 平成13年1月18日(2001.1.18)
【代理人】 【識別番号】100098567
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 壯祐 (外1名)
【公開番号】 特開2002−210678(P2002−210678A)
【公開日】 平成14年7月30日(2002.7.30)
【出願番号】 特願2001−9730(P2001−9730)