トップ :: B 処理操作 運輸 :: B25 手工具;可搬型動力工具;手工具用の柄;作業場設備;マニプレ−タ

【発明の名称】 工具用ハンドル
【発明者】 【氏名】富岡 功

【要約】 【課題】エアードリルなどの可搬型動力工具の回転方向の切り換えを容易に行えるようにし、作業中に異常が発生したときには工具を確実に停止できるようにする。

【解決手段】操作用グリップ(12)と開閉弁(20)とを連動させる第1連動機構(40)と、操作用グリップ(12)と切換弁(30)とを連動させる第2連動機構(50)とを設け、操作用グリップ(12)を、開閉弁(20)を閉塞する停止位置と、開閉弁(20)を開放した状態で切換弁(30)を所定の切換状態に設定する右回転位置及び左回転位置との間で回転可能に構成する。さらに、操作用グリップ(12)を右回転位置及び左回転位置から停止位置へ向かってねじりコイルバネ(26)で付勢する構成にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体圧で作動する可搬型動力工具(1) の工具本体(2) に連結され、該工具本体(2) に向かって作動流体が流れる流体通路(13)を有するハンドル軸(11)と、ハンドル軸(11)の外周に回転可能に装着された操作用グリップ(12)とを備え、流体通路(13)に、該流体通路(13)を開閉する開閉弁(20)と、工具要素の回転方向を切り換えるように中立状態と左右の切換状態とに切換可能な切換弁(30)とを備えた工具用ハンドルであって、操作用グリップ(12)と開閉弁(20)とを連動させる第1連動機構(40)と、操作用グリップ(12)と切換弁(30)とを連動させる第2連動機構(50)とを備えるとともに、操作用グリップ(12)は、開閉弁(20)を閉塞する停止位置と、開閉弁(20)を開放した状態で切換弁(30)を所定の切換状態に設定する右回転位置及び左回転位置との間で回転可能に構成され、さらに、操作用グリップ(12)を右回転位置及び左回転位置から停止位置へ向かって付勢する付勢手段(26)を備えている工具用ハンドル。
【請求項2】 開閉弁(20)は、ハンドル軸(11)内に固定された弁座(21)と、ハンドル軸(11)内で軸方向へ可動に構成された弁体(22)とを備え、第1連動機構(40)は、操作用グリップ(12)に形成された第1カム溝(43)と、ハンドル軸(11)に形成された第2カム溝(44)と、弁体(22)に固定されるとともに上記第1カム溝(43)及び第2カム溝(44)に係合するカム軸(42)とを備え、上記カム溝(43,44) 及びカム軸(42)は、操作用グリップ(12)を停止位置にした状態で開閉弁(20)の弁体(22)が弁座(21)に圧接し、各回転位置において弁体(22)が弁座(21)から離れるように構成されている請求項1記載の工具用ハンドル。
【請求項3】 第1連動機構(40)の第1カム溝(43)は、開閉弁(20)の弁体(22)を弁座(21)に圧接させる弁閉塞溝部(43a) と、弁閉塞溝部(43a) の両端に連接する弁開放溝部(43b) とから構成され、弁閉塞溝部(43a) は操作用グリップ(12)の周方向に沿って所定の範囲に形成され、弁開放溝部(43b) は、操作用グリップ(12)を停止位置から各回転位置に向かって回転させるときに、開閉弁(20)の弁体(22)が弁座(21)から離れる方向へカム軸(42)が移動するように弁閉塞溝部(43a) に対して傾斜して形成され、第2カム溝(44)は、カム軸(42)が第1カム溝(43)の弁開放溝部(43b) を移動するときに、ハンドル軸(11)の軸方向へカム軸(42)が移動するように形成されている請求項2記載の工具用ハンドル。
【請求項4】 第1連動機構(40)の第2カム溝(44)は、操作用グリップ(12)を停止位置から右回転位置及び左回転位置へ回すときに、開閉弁(20)の弁体(22)が弁座(21)から離れながら該操作用グリップ(12)と同じ方向へ回転するように、停止位置を中心として略V字形に形成されている請求項3記載の工具用ハンドル。
【請求項5】 開閉弁(20)の弁体(22)とハンドル軸(11)との間にねじりコイルバネ(26)が装着され、該ねじりコイルバネ(26)は、操作用グリップ(12)を停止位置から各回転位置に回すことにより自由状態からねじられて復元力を発揮するように構成され、該ねじりコイルバネ(26)が、ねじられたときの自由状態への復元力によって操作用グリップ(12)を右回転位置及び左回転位置から停止位置へ向かって付勢する付勢手段(26)を構成している請求項4記載の工具用ハンドル。
【請求項6】 第2連動機構(50)は、第1連動機構(40)のカム軸(42)が第1カム溝(43)の弁閉塞溝部(43a) を移動する間は切換弁(20)を中立状態に設定する一方、カム軸(42)が第1カム溝(43)の弁開放溝部(43b) を移動する間は切換弁(20)を所定の切換状態に設定するように構成されている請求項3ないし5のいずれか1記載の工具用ハンドル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工具用ハンドルに関し、特に、エアーなどの流体圧で作動する可搬型動力工具を操作するためのハンドルに係るものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、エアーなどの流体圧で作動する可搬型動力工具には、ドライバ、ナットランナ、ドリルなど、種々のものがある。これらの動力工具は、一般に、ビット、ソケット、ドリル、リーマ、タップなどの工具要素が左右両方向へ回転するように、可逆回転式に構成されている。そして、工具要素の回転方向は、ハンドルを操作することによって切り換えるようになっている。
【0003】この種の工具に用いられている従来のハンドルには、2つのタイプがある。第1のタイプは、ハンドルを停止位置から右方向に回すと工具要素が右回転し、逆に左方向に回すと工具要素が左回転するものである。また、第2のタイプは、ハンドルの回転によって工具要素の起動と停止とを切り換える一方、回転方向の切り換えは専用のレバーで行うようにしたものである。
【0004】上記第1のタイプは、具体的には図12に示すように構成されている。このハンドル(100) は、一部のみを示した工具本体(101) に連結される筒状の給気軸(ハンドル軸)(102) と、給気軸(102) の外周に回転可能に装着された操作用グリップ(103) と、給気軸(102) の内部に回転可能に装着されたリバースバー(104)とを備えている。リバースバー(104) にはガイド軸(105) が固定されている。また、給気軸(102) には周方向へのびるガイド溝(106) が形成され、操作用グリップ(103) にはガイド軸(105) が嵌合する孔(107) が形成されている。そして、リバースバー(104) の一端が給気弁(開閉弁)(108) に連結され、他端が切換弁(109) に連結されている。
【0005】給気弁(108) はリバースバー(104) の回転によって開閉し、切換弁(109) はリバースバー(104) の回転によって工具本体(101) へのエアーの流れ方向を切り換えるように構成されている。この構成において、操作用グリップ(103) を停止位置から回転させるとリバースバー(104) が回転し、給気弁(108) が開いて給気通路(流体通路)(110) を開放するとともに、切換弁(109) が回転して工具要素の回転方向を切り換えることができる。
【0006】また、上記第2のタイプは、図13に示すように構成されている。この工具用ハンドル(200) は、上記第1のタイプと同様に、工具本体(201) に連結される筒状の給気軸(202) と、給気軸(202) の外周に回転可能に装着された操作用グリップ(203) と、給気軸(202) の内周に回転可能に装着されたリバースバー(204) とを備えている。
【0007】リバースバー(204) にはピン(205) が固定され、このピン(205) は、給気軸(202) の周方向に形成された溝(206) を通して、該給気軸(202) に回転可能に装着された切り換え操作レバー(207) に連結されている。そして、切り換え操作レバー(207) を回すことによりリバースバー(204) を介して切換弁(208) を回転させ、工具要素の回転方向を切り換えるようにしている。
【0008】また、給気弁(209) は、可動に構成された弁体(210) を備え、この弁体(210)にはガイド軸(211) が固定されている。このガイド軸(211) は、図14に示すように形成された給気軸(202) のガイド溝(212) と操作用グリップ(203) のガイド溝(213) に係合している。そして、操作用グリップ(203) を回すことにより、弁体(210) を軸方向へ動作させて給気弁(209) を開閉するようにしている。なお、この例では、ガイド溝(213) は周方向の線分に対して8°傾斜しており、かつ周方向へ90°の領域に形成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記第1のタイプは、工具用ハンドル(100) の回転方向に工具要素の回転方向が対応しているので、操作は片手で簡単に行えるが、例えばドリルによる穿孔加工時に異常が発生して操作用グリップ(103) を停止位置に戻す操作を行ったときに、操作用グリップ(103) を停止位置よりも反対側に回しすぎて、ドリルが予期せずに逆転してしまうことがある。
【0010】また、上記第2のタイプは、工具の起動と停止を操作用グリップ(203) の逆方向へ回転で簡単に行えるものの、ナットの締め付け・緩め作業や、タップによるネジ孔加工など、作業中に回転方向を反転させる作業を行うには操作用グリップ(203) とは別にレバー(207) の切り換え操作が必要であるため、作業を片手では簡単に行えない欠点がある。
【0011】本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的とするところは、可搬型動力工具の作業で異常が発生したときなどに工具を確実に止めることができ、しかも回転方向の切り換えも簡単に行えるようにすることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、操作用グリップを停止位置から左右に回転する工具用ハンドルにおいて、操作用グリップを各回転位置から停止位置へ付勢するようにして、操作用グリップから手を離したときに該グリップが自動的に停止位置に戻るようにしたものである。
【0013】具体的に、本発明が講じた第1の解決手段は、流体圧で作動する可搬型動力工具(1) の工具本体(2) に連結され、該工具本体(2) に向かって作動流体が流れる流体通路(13)を有するハンドル軸(11)と、ハンドル軸(11)の外周に回転可能に装着された操作用グリップ(12)とを備え、流体通路(13)に、該流体通路(13)を開閉する開閉弁(20)と、工具要素の回転方向を切り換えるように中立状態と左右の切換状態とに切換可能な切換弁(30)とを備えた工具用ハンドル(10)を前提としている。
【0014】そして、この工具用ハンドル(10)は、操作用グリップ(12)と開閉弁(20)とを連動させる第1連動機構(40)と、操作用グリップ(12)と切換弁(30)とを連動させる第2連動機構(50)とを備えている。また、操作用グリップ(12)は、開閉弁(20)を閉塞する停止位置と、開閉弁(20)を開放した状態で切換弁(30)を所定の切換状態に設定する右回転位置及び左回転位置との間で回転可能に構成されている。さらに、この工具用ハンドル(10)は、操作用グリップ(12)を右回転位置及び左回転位置から停止位置へ向かって付勢する付勢手段(26)を備えている。
【0015】この第1の解決手段では、操作用グリップ(12)を停止位置から左右いずれかの方向へ回すと、操作用グリップ(12)の回転が第1連動機構(40)を介して開閉弁(20)に伝達され、流体通路(13)が開かれる。また、操作用グリップ(12)の回転は第2連動機構(50)を介して切換弁(30)に伝達されて、該切換弁(30)が所定の切換状態に動作するため、エアーなどの流体がハンドル軸(11)の流体通路(13)から可搬型動力工具(1) の工具本体(2) に供給される。したがって、操作用グリップ(12)を回す方向に合わせて、工具要素が切換弁(30)の位置に応じた方向に回転する。
【0016】また、操作中に操作用グリップ(12)から手を離すと、操作用グリップ(12)は付勢手段(26)の付勢力によって停止位置に復帰する。停止位置では開閉弁(20)で流体通路(13)が閉塞されるため、工具本体(2) へのエアーの供給が停止し、工具要素の回転が停止する。
【0017】また、本発明が講じた第2の解決手段は、上記第1の解決手段において、開閉弁(20)が、ハンドル軸(11)内に固定された弁座(21)と、ハンドル軸(11)内で軸方向へ可動に構成された弁体(22)とを備えた構成としたものである。そして、第1連動機構(40)は、操作用グリップ(12)に形成された第1カム溝(43)と、ハンドル軸(11)に形成された第2カム溝(44)と、弁体(22)に固定されるとともに上記第1カム溝(43)及び第2カム溝(44)に係合するカム軸(42)とを備えている。また、上記カム溝(43,44) 及びカム軸(42)は、操作用グリップ(12)を停止位置にした状態で開閉弁(20)の弁体(22)が弁座(21)に圧接し、各回転位置においては弁体(22)が弁座(21)から離れるように構成されている。
【0018】この第2の解決手段では、操作用グリップ(12)を回す際に、第1連動機構(40)のカム軸(42)及びカム溝(43,44) の作用によって、操作用グリップ(12)の停止位置では開閉弁(20)の弁体(22)が弁座(21)に圧接し、各回転位置では弁体(22)が弁座(21)から離れることになって、上記第1解決手段の動作が行われる。
【0019】また、本発明が講じた第3の解決手段は、上記第2の解決手段において、第1連動機構(40)の第1カム溝(43)が、開閉弁(20)の弁体(22)を弁座(21)に圧接させる弁閉塞溝部(43a) と、弁閉塞溝部(43a) の両端に連接する弁開放溝部(43b) とを備えた構成としている。また、弁閉塞溝部(43a) は操作用グリップ(12)の周方向に沿って所定の範囲に形成され、弁開放溝部(43b) は、操作用グリップ(12)を停止位置から各回転位置に向かって回転させるときに、開閉弁(20)の弁体(22)が弁座(21)から離れる方向へカム軸(42)が移動するように弁閉塞溝部(43a) に対して傾斜して形成されている。さらに、第2カム溝(44)は、カム軸(42)が第1カム溝(43)の弁開放溝部(43b) を移動するときに、ハンドル軸(11)の軸方向へカム軸(42)が移動するように形成されている。
【0020】この第3の解決手段では、操作用グリップ(12)を回しても、開閉弁(20)はすぐには開かない。つまり、カム軸(42)がカム溝(43)の弁閉塞溝部(43a) の範囲内にあるときは弁体(22)が弁座(21)に圧接した状態から変化しないことから、その範囲内での操作用グリップ(12)の回転では工具本体(2) への給気は行われない。一方、操作用グリップ(12)をさらに回転させてカム軸(42)が弁閉塞溝部(43a) の範囲を超えて弁開放溝部(43b) まで移動すると、カム軸(42)がこの弁開放溝部(43b) に沿って斜め方向に動くことで弁体(22)が軸方向へ移動して弁座(21)から離れ、工具本体(2) に給気される状態となる。
【0021】また、本発明が講じた第4の解決手段は、上記第3の解決手段において、第1連動機構(40)の第2カム溝(44)が、操作用グリップ(12)を停止位置から右回転位置及び左回転位置へ回すときに、開閉弁(20)の弁体(22)が弁座(21)から離れながら該操作用グリップ(12)と同じ方向へ回転するように、停止位置を中心として略V字形に形成された構成にしたものである。
【0022】この第4の解決手段では、第2カム溝(44)を略V字形に形成しているため、開閉弁(20)の弁体(21)に固定されているカム軸(42)は、操作用グリップ(12)を左右へ回転させたときに、ハンドル軸(11)の軸方向へまっすぐには移動せず、斜めに移動する。このことは、操作用グリップ(12)を停止位置から左右の回転位置へ回したときも、逆に左右の回転位置から停止位置に回したときも同様である。
【0023】また、本発明が講じた第5の解決手段は、上記第4の解決手段において、開閉弁(20)の弁体(22)とハンドル軸(11)との間にねじりコイルバネ(26)を装着し、該ねじりコイルバネ(26)を、操作用グリップ(12)を停止位置から各回転位置に回すことにより自由状態からねじられて復元力を発揮するように構成したものである。そして、このねじりコイルバネ(26)が、ねじられたときの自由状態への復元力によって操作用グリップ(12)を右回転位置及び左回転位置から停止位置へ向かって付勢する付勢手段(26)を構成している。
【0024】この第5の解決手段では、操作用グリップ(12)を左右の回転位置へ回して、第1連動機構(40)によって開閉弁(20)の弁体(22)が弁座(21)から離れたときに、弁体(22)が停止位置から回転しながら軸方向へ移動しているため、ねじりコイルバネ(26)がねじれた状態となる。そして、この左右の回転位置で操作用グリップ(12)から手を離すと、ねじりコイルバネ(26)が自由状態に戻るため、弁体(22)が弁座(21)に圧接し、同時に操作用グリップ(12)が停止位置へ復帰する。
【0025】また、本発明が講じた第6の解決手段は、上記第3ないし第5のいずれか1の解決手段において、第2連動機構(50)を、第1連動機構(40)のカム軸(42)が第1カム溝(43)の弁閉塞溝部(43a) を移動する間は切換弁(20)を中立状態に設定する一方、カム軸(42)が第1カム溝(43)の弁開放溝部(43b) を移動する間は切換弁(20)を所定の切換状態に設定するように構成したものである。
【0026】この第6の解決手段では、操作用グリップ(12)を停止位置から回転させたときに、第1連動機構(40)のカム軸(42)が第1カム溝(43)の弁閉塞溝部(43a) にあるときは開閉弁(20)が閉塞した状態で切換弁(30)が中立状態となり、カム軸(42)が弁開放溝部(43b) にあるときは開閉弁(20)が開いた状態で切換弁(30)が切換状態に変化するため、開閉弁(20)と切換弁(30)とが操作用グリップ(12)に確実に連動する。
【0027】
【発明の効果】上記第1の解決手段によれば、可搬型動力工具(1) の起動と停止の操作を操作用グリップ(12)を回すだけで簡単に行えるとともに、その作業中に異常が発生したときなどには、操作用グリップ(12)から手を離すだけで開閉弁(20)を閉鎖して工具を確実に止めることができるので、操作用グリップ(12)を回しすぎてドリルなどが予期しない方向に回転してしまうことを防止できる。また、ナットの締め付け・緩め作業や、タップによるネジ孔加工などで、作業中に回転方向を反転させる作業も、操作用グリップ(12)を工具要素の回転方向に対応する方向へ回すだけで簡単に行うことができる。このように、上記構成によれば、工具の起動と停止の操作や回転方向の切り換え、及び非常停止を確実かつ簡単に行うことが可能となる。
【0028】また、上記第2の解決手段によれば、第1連動機構(40)にカム溝(43,44) とカム軸(42)とからなるカム機構を用いているので、操作用グリップ(12)の回転による開閉弁(20)の動作を簡単な構造で確実に行うことができる。
【0029】また、上記第3の解決手段によれば、第1カム溝(43)の弁閉塞溝部(43)を操作用グリップ(12)の周方向へ所定の範囲に形成することにより、操作用グリップ(12)の停止位置に範囲を持たせるようにしている(つまり、操作用グリップ(12)を回しても工具が回転しない領域を設けている)ので、工具を停止するために操作用グリップ(12)を手で逆方向に回したときに回しすぎる操作を行ったとしても、工具要素がすぐに逆転してしまうのを防止できる。
【0030】また、上記第4の解決手段によれば、第2カム溝(44)をV字型に形成して、操作用グリップ(12)を左右へ回転させたときに弁体(22)に固定したカム軸(42)が斜め方向へ移動するようにしているので、従来のものに比べてカム軸(42)の移動が滑らかに行われる。その結果、操作用グリップ(12)の回転操作力を低減できる。したがって、左右の回転位置で操作用グリップ(12)から手を離したときに、操作用グリップ(12)が停止位置に復帰しやすくなり、非常停止を確実に行える。
【0031】また、上記第5の解決手段によれば、付勢手段としてハンドル軸(11)と弁体(22)との間にねじりコイルバネ(26)を設け、左右の回転位置で操作用グリップ(26)から手を離したときに、該ねじりコイルバネの復元力を利用して操作用グリップ(12)を停止位置に戻すようにしているので、簡単な構造で上記第4の解決手段の動作を実現できる。
【0032】また、上記第6の解決手段によれば、開閉弁(20)と切換弁(30)とが確実に連動するので、操作用グリップ(12)を回しても開閉弁(20)が動作しない領域を設けた構成において、その領域を越えて操作用グリップ(12)を操作したときの切換弁(30)の動作を保証できる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0034】本実施形態に係る工具用ハンドルは、流体圧で作動する可搬型動力工具の一つであるエアードリルにおいて、起動/停止の操作と、ドリルの回転方向の切り換えとを行うものとして構成されている。
【0035】−エアドリルの全体構成−図1にはエアドリル(1) の外観図を示している。図において、エアドリル本体(2) には、作業者がエアドリル(2) を操作するための工具用ハンドル(10)と、作業者がエアドリルを支持するための支持ハンドル(3) とが設けられている。エアドリル本体(2) の内部にはエアモータが内蔵され、出力軸(4) に連結される工具要素であるドリル(図示せず)が、このエアモータによって駆動されて回転する。エアドリル(1) は送りハンドル(5) を備えており、この送りハンドル(5) を回すことにより、ドリルを軸方向へ進退させてワークへの穿孔作業を行うように構成されている。
【0036】−工具用ハンドルの具体構成−図2は工具用ハンドル(10)の断面構造図である。この工具用ハンドル(10)は、筒状の給気軸(ハンドル軸)(11)と、給気軸(11)の外周に回転可能に装着された給気ハンドル(操作用グリップ)(12)とを備えている。この給気軸(11)の内部は、エアドリル本体(2) への給気通路(流体通路)(13)になっており、この給気通路(13)には、給気ハンドル(12)の回転によって動作するバルブ機構(20,30) が設けられている。
【0037】上記給気ハンドル(12)は、ドリルが停止する停止位置から、ドリルが左右に回転する右回転位置及び左回転位置へ回すことができるように構成されている。そして、停止位置にはある程度の範囲を持たせてあり、給気ハンドル(12)を回してもすぐにはドリルが回転しないようになっている。
【0038】<給気軸>給気軸(11)は、基端部(11a) と、この基端部(11a) よりも外径の小さな細径部(11b) とから、基端部(11a) 側の太い段付き軸に形成されている。そして、給気軸(11)の細径部(11b) に、基端部(11a) 側から順に座金(14)と給気ハンドル(12)とが装着されている。
【0039】給気軸(11)の先端部には給気弁蓋(15)が取り付けられている。給気弁蓋(15)は給気軸(11)の先端部内周の雌ネジに螺合する雄ネジ部(15a) と、雄ネジ部(15a)よりも直径が大きく形成された押さえ部(15b) とから形成され、押さえ部(15b)によって給気ハンドル(12)を抜け止めしている。この給気弁蓋(15)には、図示しないエアーホースを接続するための給気口(15c) が形成されている。
【0040】給気軸(11)は、給気軸ナット(16)によってエアドリル本体(2) に連結されている。具体的には、給気軸(11)は基端部(11a) の外周面が緩やかなテーパ状に形成され、エアドリル本体(2) には対応するテーパ孔(2a)が形成されている。また、給気軸(11)の基端部(11a) には、テーパ面に続いてフランジ(11c) が形成されている。そして、このフランジ(11c) を給気軸ナット(16)でエアドリル本体(2) の方へ引き込むことにより、給気軸(11)の基端部(11a) の外周面(テーパ面)をエアドリル本体(2) のテーパ孔(2a)に密着させて、給気軸(2) を固定している。
【0041】なお、給気軸(11)の基端部(11a) には、工具用ハンドル(10)をエアドリル本体(2) に位置決めするためのスプリングピン(17)が打ち込まれている。
【0042】<給気弁及び第1連動機構>上記バルブ機構(20,30) は、給気軸(11)の給気通路(13)を開閉する給気弁(開閉弁)(20)と、ドリルの回転方向を切り換えるための切換弁(30)とから構成されている。給気弁(20)は、給気軸(11)内に固定された弁座(21)と、給気軸(11)内で軸方向へ可動に構成された弁体(22)とを備えている。弁座(21)は、給気弁シート(23)にゴム板(24)を装着したもので、給気弁シート(23)を給気軸(11)の内孔に先端側から段部(11d) に当接するまで挿入して位置決めされている。給気弁シート(23)は、円板状の部材の中心に先端が太くなったピン(23a) を一体に形成したものであり、ゴム板(24)はこのピンに装着されるように環状に形成されている。また、給気弁シート(23)には、周方向の数カ所に、通気孔として切り欠き(23b) が形成されている。
【0043】弁体(22)は、給気軸(11)の内周面に嵌合する短い円筒状の部材である。この弁体(22)の外周面には給気軸(11)の内周面との間をシールするためのOリング(25)が装着され、給気軸(11)と弁体(22)との間の気密を保つようにしている。この弁体(22)には、ねじりコイルバネ(26)の一端が取り付けられ、該ねじりコイルバネ(26)の他端は、給気軸(11)の先端側に固定されている給気弁座金(27)に取り付けられている。
【0044】弁体(22)には、先端にガイドローラ(41)が装着されたカム軸(42)が固定されている。また、給気ハンドル(12)には第1カム溝(43)が形成され、給気軸(11)には第2カム溝(44)が形成されて、カム軸(42)が第1カム溝(43)及び第2カム溝(44)に挿通している。カム軸(42)、第1カム溝(43)及び第2カム溝(44)により、給気ハンドル(12)と給気弁(20)とを連動させる第1連動機構(40)が構成されている。なお、操作用グリップ(12)には、この第1連動機構(40)をカバーするためのカバーバンド(45)が装着されている。
【0045】図3には、第1カム溝(43)及び第2カム溝(44)の形状を示している。第1カム溝(43)は、弁体(22)を弁座(21)に圧接させる弁閉塞溝部(43a) と、弁閉塞溝部(43a) から左右へ傾斜した弁開放溝部(43b) とから構成されている。弁閉塞溝部(43a) は、給気ハンドル(12)の周方向に沿ってまっすぐに形成され、上記ねじりコイルバネ(26)に負荷を掛けていない自由状態において、カム軸(42)の位置を中心として、給気ハンドル(12)の中心角度が左右に30°ずつとなる領域に形成されている。なお、この角度は一例であり、適宜変更することは可能である。
【0046】また、弁開放溝部(43b) は、弁閉塞溝部(43a) の両端に連接して形成されている。この弁閉塞溝部(43b) は、それぞれ、給気ハンドル(12)の中心角度が30°となる領域に形成され、右側と左側とで互いに逆方向に傾斜している。具体的に、弁開放溝部(43b) は、操作用グリップ(12)を停止位置から各回転位置に向かって回転させるときに、開閉弁(20)の弁体(22)が弁座(21)から離れる方向へカム軸(42)が移動するように弁閉塞溝部(43a) に対して傾斜している。この弁開放溝部(43b) の傾斜角度や形成する領域も適宜変更することは可能である。
【0047】第2カム溝(44)は、操作用グリップ(12)を停止位置から右回転位置及び左回転位置へ回すときに、開閉弁(20)の弁体(22)が弁座(21)から離れながら該操作用グリップ(12)と同じ方向へ回転するように、停止位置を中心として略V字形に形成されている。そして、上記カム軸(42)が第1カム溝(43)の弁開放溝部(43b) を移動するときに、ハンドル軸(11)の軸方向に対して斜めにカム軸(42)が移動するようにしている。この第2カム溝(44)は、給気軸(11)の軸方向の中心線に対して28°ずつ傾斜している。また、第2カム溝(44)は、全体としては給気軸(11)の中心角度が28°の領域に形成されている。
【0048】この図3は、操作用グリップ(12)が停止位置の中心にあり、上記ねじりコイルバネ(26)が自由状態にあるときのカム軸(42)と各カム溝(43,44) との位置関係を示している。このとき、給気弁(20)の弁体(22)が弁座(21)に圧接して給気通路(13)が閉塞している。一方、給気ハンドル(12)を停止位置から左右に回転させると給気ハンドル(12)が右回転位置または左回転位置へ変化し、弁体(22)が弁座(21)から離れることで給気弁(20)が開いて給気通路(13)が開放される。そして、弁体(22)の移動に伴ってねじりコイルバネ(26)がねじれるため、弁体(22)を元の位置に戻そうとする付勢力が発生する。
【0049】つまり、本実施形態においては、弁体(22)と給気軸(11)との間に装着されているねじりコイルバネ(26)が、ねじられたときの自由状態への復元力によって弁体(22)を戻そうとする力で操作用グリップ(12)を右回転位置及び左回転位置から停止位置へ向かって付勢する付勢手段を構成している。
【0050】<切換弁及び第2連動機構>一方、給気軸(11)の内部には、給気弁(20)よりも基端部(11a) 側に、ドリルの回転方向を切り換える切換弁(30)と、給気ハンドル(12)に連動して回転するリバースバー(51)が装着されている。リバースバー(51)と切換弁(30)は連結されており、切換弁(30)はリバースバー(51)に連動して回転する。切換弁(30)は、弁体(31)、切換弁シート(32)、シートパッキン(33)、及びスプリング(34)から構成されている。
【0051】上記リバースバー(51)は、給気軸(11)の内周面に回転可能に嵌合する筒状の部材である。リバースバー(51)には、給気ハンドル(12)とリバースバー(51)とを連動させるためにピン(52)が固定されている。給気軸(11)には、このピン(52)が挿通する溝(53)が形成されている。この溝(53)は、給気ハンドル(12)が停止位置にある状態でのピン(52)の位置を中心として左右に60°ずつ、合計で周方向へ120°の領域に形成されている。また、給気ハンドル(12)の内周には、停止位置のピン(52)に対して周方向へ左右に14°ずつ、合計で28°の領域にわたって凹陥部(54)が形成されている(図6〜図11参照)。
【0052】上記リバースバー(51)、ピン(52)、溝(53)及び凹陥部(54)によって、給気ハンドル(12)と切換弁(30)とを連動させる第2連動機構(50)が構成されている。この第2連動機構(50)は、給気ハンドル(12)を回転させるとき、停止位置から左右へ14°ずつの間はピン(52)が停止したままで切換弁(30)が動作せず、給気ハンドル(12)をさらに回転させるとリバースバー(51)が連動して切換弁(30)が動作するように構成されている。
【0053】リバースバー(51)には、切換弁(30)側の先端部に、溝(51a) が形成されるとともに、該リバースバー(51)の内面側から外面側へ連通する貫通孔(51b) が形成されている。
【0054】切換弁(30)の弁体(31)には、リバースバー(51)の溝(51a) と嵌合する突部(31a) が形成され、溝(51a) に突部(31a) が嵌合することによって、リバースバー(51)と弁体(31)とが一体に回転する。この弁体(31)には、図4(a)から図4(c)に示すように、一つの貫通孔(31b) と、円弧状の有底溝(31c) とが、同一のピッチ円周上に形成されている。この有底溝(31c) は、上記ピッチ円周上の120°の領域に形成され、かつ、弁体(31)の中心と貫通孔(31b) の中心とを通る線分に対して60°ずつ等分に振り分けられている。
【0055】また、図5に示すように、上記切換弁シート(32)及びシートパッキン(33)には、弁体(31)の貫通孔(31b) 及び有底溝(31c) と対応するピッチ円周上に、該貫通孔(31b) 及び有底溝(31c) と位相を60°ずらして、それぞれ3つの貫通孔(a,b,c) が等間隔で形成されている。切換弁シート(32)及びシートパッキン(33)は図示しないスプリングピンによってエアードリル本体(2) に回転不可に装着されている。上記3つの貫通孔(a,b,c) は、中央の一つ(a) が中間排気用の孔であり、他の二つ(b,c) は右回転時と左回転時のそれぞれで、一方が給気孔になり、他方が排気孔になるものである。つまり、貫通孔(b,c) は、工具の回転方向によって、給気側と排気側とが切り替わる。
【0056】−工具用ハンドルの使用状態−次に、この工具用ハンドルの使用状態について、図6から図11を参照しながら説明する。図6から図11において、それぞれ、(a)図は第1連動機構(40)の状態を模式的に示す図、(b)図は給気ハンドル(12)の回転角度を示す図、(c)図は給気ハンドル(12)と切換弁(30)及び第2連動機構(50)の動作状態を示す図である。(b)図及び(c)図は、工具用ハンドル(10)を先端側(切換弁(30)側)から見た状態で示している。
【0057】図6は、給気ハンドル(12)が停止位置の中間点にある状態を示している。この状態において、第1連動機構(40)のカム軸(42)は(a)図に示すように第1カム溝(43)の中間点に位置している。このとき、カム軸(42)は第2カム溝(44)に対しても中間点に位置している(図3参照)ため、給気弁(20)の弁体(22)が弁座(21)に圧接しており、給気弁シート(23)の通気孔(23b) が閉塞されている。また、切換弁(30)は、弁体(31)の貫通孔(31b) と切換弁シート(32)側の貫通孔(b,c) との位相がずれた状態となっている。この状態では、エアーを給気弁蓋(15)の給気口(15c) から供給しても給気弁(20)のところからエアドリル本体(2) 側へエアーが進行することはないため、ドリルは停止したままで回転しない。なお、(b)図と(c)図中、給気ハンドル(12)の基準位置を符号(P) で示している。
【0058】図7は、給気ハンドル(12)を図6の中間位置から右方向へ30°回したときの状態を示している。このとき、カム軸(42)は第1カム溝(43)内を相対的に移動して、(a)図に示すように弁閉塞溝部(43a) の端部に位置している。また、給気ハンドル(12)が14°回転したときに、該給気ハンドル(12)の凹陥部(54)がピン(52)と係合してリバースバー(51)を回し始めるため、図7の状態ではリバースバー(51)と切換弁(30)の弁体(31)は16°だけ回転している。この状態では、弁体(31)の貫通孔(31b) と切換弁シート(32)の貫通孔(b,c) とは依然として位相がずれている。そして、操作用グリップ(12)がまだ停止位置の範囲内であり、給気弁(20)の弁体(22)と弁座(21)とが依然として圧接しているため、ドリルは停止したままである。
【0059】図8は、給気ハンドル(12)を図7の位置からさらに右方向へ30°回転させた状態を示している。このとき、カム軸(42)は第1カム溝(43)の弁開放溝部(43b)内を端部へ向かって移動している。したがって、カム軸(42)は第2カム溝(44)に対しても移動し、その結果、弁体(22)が弁座(21)から軸方向へ離れる方向へ移動して、給気弁(20)が50%程度は開いた状態となる。この状態では、切換弁(30)が図6の状態から46°回転して、弁体(31)の貫通孔(31b) と切換弁シート(32)の貫通孔(b) が約50%程度重なる状態に変化し、有底溝(31c) も他の二つの貫通孔(a,c) と重なっている。
【0060】したがって、給気口(15c) から送られたエアーは、給気弁(20)の弁体(22)と弁座(21)の間の隙間から給気弁シート(23)の通気孔(23b) を通ってリバースバー(51)の内部へ入り、さらにリバースバー(51)の先端側の貫通孔(51b) から切換弁(30)の弁体(31)及び切換弁シート(32)側の貫通孔(31b,b) を通過してエアドリル本体(2) に供給される。給気弁(20)と切換弁(30)がそれぞれ約50%程度は開いているため、ドリルは全開時の約50%程度の速度で回転する。
【0061】この図8の状態で給気ハンドル(12)は既に60°回転しているが、本実施形態では第2カム溝(44)をV字形にしているため、給気ハンドル(12)は第2カム溝(44)を形成した中心角度分だけさらに回すことができる。つまり、給気ハンドル(12)をさらに右方向に回転させると、給気ハンドル(12)はさらに14°回転した図9の位置で停止する。この状態において、給気ハンドル(12)は図6の位置から合計で74°回転して、カム軸(42)が第1カム溝(43)及び第2カム溝(44)の端部まで移動し、給気弁(20)の弁体(22)と弁座(21)との間の隙間が図8よりもさらに広がって全開になっている。また、切換弁(30)の弁体(31)は図6の状態から60°回転し、切換弁シート(32)と位相が一致して、切換弁(30)も全開となっている。このため、エアーは図8と同じ経路でエアードリル本体(2) にフルに供給され、ドリルが100%の速度で回転する。
【0062】一方、給気ハンドル(12)を戻す操作での動作状態を、図10及び図11に示している。図10は、給気ハンドル(12)が図9の状態から左側へ戻る途中の状態で、図9に対して給気ハンドル(12)が左へ28°回った状態を表している。このとき、カム軸(42)が第1カム溝(43)内を弁閉塞溝部(43a) の方向へ向かって移動しているため、給気弁(20)の弁座(21)と弁体(22)の間の隙間が狭くなり、給気口(15c) から供給されたエアーは、全開時の約50%程度しか給気弁(20)を通過しない。また、この図10の状態では、凹陥部(54)とピン(52)の位置関係は変化するものの、給気ハンドル(12)がリバースバー(51)を反転させるまでには至っておらず、切換弁(30)は図9と同じ状態に保たれている。したがって、このとき、ドリルは全開時の約半分の速度で右回転することになる。
【0063】給気ハンドル(12)をさらに左方向へ16°回転させると図11の状態に変化する。このとき、カム軸(42)はカム溝(43)の弁閉塞溝部(43a) まで移動しており、給気弁(20)は弁体(22)が弁座(21)に圧接した状態となる。このため、弁体(22)と弁座(21)の間に隙間がなくなり、エアードリル本体(2) へのエアーの供給が遮断される。また、このときの給気ハンドル(12)の回転で切換弁(30)も左方向へ16°回転しており、給気弁(30)は約50%ほど塞がれた状態となっている。この状態では切換弁(30)は約50%は開いているが、給気弁(20)が閉じているため、ドリルは停止状態に変化する。
【0064】この図11の状態では、カム軸(42)は第1カム溝(43)の弁閉塞溝部(43a) の端に位置している。このため、ドリルを再度右回転させるときは、給気ハンドル(12)を右に回せばカム軸(42)がすぐに弁開放溝部(43b) に沿って移動し、弁体(22)が弁座(21)から即座に離れるため、給気ハンドル(12)を図6の位置から回すときとは違ってドリルがすぐに回転を開始する。
【0065】このように、本実施形態においては、カム軸(42)が図6のように中立位置の中間点にある状態でドリルの使用を開始するとき、初回は給気ハンドル(12)を30°以上回してからドリルが回転し始めるが、ドリルを起動してから一旦停止して2回目以降に起動するときは、給気ハンドル(12)を回すとドリルがすぐに回転することとなる。
【0066】また、穿孔作業時に異常の発生などでドリルを停止する場合は、給気ハンドルから手を離すだけでよい。例えば、図9に示した全開状態で異常が発生し、給気ハンドル(12)から手を離すと、給気弁(20)の開放状態でねじれているねじりコイルバネ(26)の復帰力が作用するため、カム軸(42)が図9の状態から図11の状態まで移動しながら弁体(22)が弁座(21)に着座して圧接する。その結果、ドリルが自然に停止する。
【0067】このとき、カム軸(42)は第2カム溝(44)内を移動するが、第2カム溝(44)がV字形で軸心方向に対して傾斜した溝になっているため、その移動はスムーズに行われる。したがって、この実施形態では、給気ハンドル(12)から手を離すとドリルが確実かつスムーズに停止するので、工具を止めようとしたときに工具用ハンドル(10)の構造上の問題で給気弁(20)が開いたままとなってドリルが回転し続けるのを防止できる。
【0068】一方、給気ハンドル(12)を左回転させるときの各機構の動作は、図6から図11に示した右回転させるときの動作状態と対象であり、給気弁(20)及び切換弁(30)の開閉状態は回転の方向性が異なる以外は同じである。したがって、右回転時と左回転時のいずれの場合も、作業中に給気ハンドル(12)から手を離せば工具が確実に運転停止状態となる。
【0069】また、この工具用ハンドル(10)をナットランナやタップ加工工具に用いた場合などで、作業中に工具の回転方向を切り換える場合は、給気ハンドル(12)を右回転位置と左回転位置に適宜切り換えるだけで操作を行うことができる。そして、回転方向の切り換え時に、カム軸(42)が弁閉塞溝部(43a) 内を移動する間は工具が一旦停止するため、工具は即座には反転しない。
【0070】−実施形態の効果−本実施形態によれば、作業中に異常が発生したときなどには、回転方向に関係なく、給気ハンドル(12)から手を離すだけで給気弁(20)を閉鎖してエアードリル(1) を確実に止めることができるので、ドリルが予期しない方向に回転してしまうことを防止できる。また、給気ハンドル(12)を手で戻しても、カム軸(42)が第1カム溝(43)の弁閉塞溝部(43a) にある間はドリルが停止するので、ハンドルを回しすぎてドリルがすぐに反転することをほぼ確実に防止できる。
【0071】また、ナットの締め付け・緩め作業や、タップによるネジ孔加工など、作業中に回転方向を反転させる作業も、給気ハンドル(12)を工具要素の回転方向に対応する方向へ切り換えるだけで簡単に行うことができる。
【0072】以上のように、本実施形態によれば、工具の起動と停止の操作や回転方向の切り換え、及び非常停止を、確実かつ簡単に行うことが可能となる。
【0073】また、第2カム溝(44)をV字形に形成して、給気ハンドル(12)を左右へ回転させたときに、カム軸(42)が該カム溝(44)を斜め方向へ移動するようにしているので、各カム溝(44)に対するカム軸(42)の移動が滑らかに行われ、その結果、給気ハンドル(12)の回転操作力を低減できる。このため、左右の回転位置で給気ハンドル(12)から手を離したときには、給気ハンドル(12)が停止位置に容易に復帰する。
【0074】また、給気ハンドル(12)を戻す機能を、給気軸(11)と給気弁(20)の弁体(22)との間に設けたねじりコイルバネ(26)で実現しているので、構造が複雑になることもなく、コストを抑えることもできる。
【0075】なお、図12に示した第1の従来例は、一つのリバースバー(104) で給気弁(108) と切換弁(109) を動作させており、このリバースバー(104) が比較的長い部材になっている。そして、リバースバー(104) が加工精度の要求される部材で、焼き入れなどの表面処理も必要であることからコストが高い。これに対して、本実施形態ではリバースバー(51)を短くしているのでコストを抑えられる。また、図12のハンドル(100) では、操作用グリップ(103) を中立位置へ戻す付勢手段を設けることは困難であるのに対し、本実施形態では給気弁(20)用のバネ(26)を利用した簡単な構成で操作用グリップ(12)を中立位置へ戻すことができる。。
【0076】さらに、図12の構造では工具を使用していないときに操作用グリップ(103)が左右に回転してしまうことがあり、そのような場合にエアーが入ると工具が突然起動するが、本実施形態では停止中は必ず給気弁(20)がしまっているので、給気により工具が突発的に起動するおそれはない。
【0077】また、図13に示した第2の従来例では、作業中に工具を一旦停止した状態として切換レバー(207) の操作を忘れて再起動すると、起動時に逆回転するおそれがあるが、本実施形態の工具用ハンドル(10)を用いるとそのようなおそれもなくすことができる。
【0078】
【発明のその他の実施の形態】本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0079】例えば、上記給気弁や切換弁の構造などは、上述した構造に限らず適宜変更することができる。
【0080】また、各連動機構(40,50) の具体的な構造も、上記実施形態に限定せず、適宜変更することが可能である。さらに、付勢手段もねじりコイルバネ(26)に限定せず、他の種類のバネを用いてもよい。
【出願人】 【識別番号】000236698
【氏名又は名称】不二空機株式会社
【出願日】 平成12年12月28日(2000.12.28)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘 (外7名)
【公開番号】 特開2002−200581(P2002−200581A)
【公開日】 平成14年7月16日(2002.7.16)
【出願番号】 特願2000−402162(P2000−402162)