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【発明の名称】 電動工具
【発明者】 【氏名】沼田 文年

【要約】 【課題】バッテリを電源とする充電式の電動工具(DC機)において、スイッチをオン状態にロックするロックオン機構は、従来ロックオン状態のままバッテリを取り外しても保持され、次にバッテリを取り付ける段階で解除される構成となっていたので、不用意の動作等を心配しつつバッテリを取り付けなければならず、この点で使い勝手がよくなかった。

【解決手段】工具本体3のバッテリ収容部9に検知ロッド20の一端を突き出して設け、バッテリ10を装着すると検知ロッド20がバッテリ収容部9から抜け出る方向に移動して、その他端側にスイッチ7aを係合させてオン状態にロック可能であり、バッテリ収容部9からバッテリ10を外すと、検知ロッド20がバッテリ収容室9内に突き出す方向に移動してスイッチ7のロックオン機構が解除される構成とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バッテリを電源とし、スイッチのオン状態をロックするロックオン機構を備えた電動工具であって、前記バッテリを工具本体から外すと前記ロックオン機構が解除される電動工具。
【請求項2】 請求項1記載の電動工具であって、工具本体からバッテリが外された状態ではロックオン機構が機能しない電動工具。
【請求項3】 請求項1記載の電動工具であって、工具本体のバッテリ収容室に検知ロッドの一端を突き出して設け、前記バッテリ収容室にバッテリを装着した状態では該検知ロッドが該バッテリに突き当てられて前記バッテリ収容室から抜け出る方向に移動し、該抜け出る方向に移動した検知ロッドの他端側にスイッチを係合させてオン状態にロック可能であり、前記バッテリ収容室からバッテリを外すと、前記検知ロッドが前記バッテリ収容室内に突き出す方向に移動可能な状態となって前記スイッチのオン状態をロックできない状態となってロックオン機構が解除される構成とした電動工具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、バッテリ(充電池)を電源とする電動工具に関する。
【0002】
【従来の技術】交流電源を電源とする電動工具(AC機)においては、長時間作業の便宜を図る等のためにスイッチをオン状態にロックする機構(ロックオン機構)を備えたものが提供されているが、バッテリ(直流電源)を電源とする電動工具(DC機)においては、バッテリの無駄な消費を避け、あるいはバッテリ装着時の不用意な作動を防止する等の理由から一般にはロックオン機構を備えていないものが多かった。しかしながら、近年DC機においても長時間作業の便宜を図るため、またバッテリの品質が著しく向上してきたこともあって、上記ロックオン機構を備えたものが提供されてきている。このロックオン機構付きのDC機においては、スイッチをオン状態にロックしたロックオン状態のまま、バッテリを外して充電し、充電後このバッテリを再度工具本体のバッテリホルダ部に装着した場合に当該電動工具が不用意に動作することを防止するため、従来以下のような技術が提案されている。例えば実公平3−18148号公報には、ロックオン状態のままバッテリを工具本体から取り外した後、再度バッテリを装着する段階でスイッチのオン状態を解除する機構(ロックオン解除機構)が開示されている。この従来のロックオン解除機構によえば、バッテリを装着する段階でロックオン機構が解除されるので、不用意な作動を防止することができた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従来のロックオン解除機構によれば、バッテリを装着する段階でロックオン状態を解除する構成であったので、バッテリ充電後これをバッテリホルダに装着しようとする段階ではスイッチがオン状態のままであった。このため、使用者はバッテリを装着する際に、このままバッテリを装着した場合の不用意な作動を心配しなければならず、場合によってはオン状態のスイッチをわざわざオフにする手間をかけなければならず、この点で使い勝手がよくなかった。本発明は、この問題に鑑みなされたもので、上記従来のような手間をかけることなく安心してバッテリを装着することができる電動工具を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】このため、本発明は、前記各請求項に記載した構成の電動工具とした。請求項1記載の電動工具によれば、バッテリを工具本体から外す段階でロックオン機構が解除されるので、バッテリを工具本体に装着する段階ではスイッチは必ずオフになっている。このため、使用者は安心してバッテリを装着することができ、この点で当該電動工具の使い勝手をよくすることができる。請求項2記載の電動工具によれば、バッテリ装着段階における不用意な作動をより確実に防止することができる。請求項3記載の電動工具によれば、バッテリの有無により検知ロッドを移動させ、該検知ロッドの位置によりロックオン可能な状態とロックオン不能状態とに切り換える構成であるので、簡単な構成で確実に上記作用効果を得ることができる。
【0005】
【発明の実施形態】次に、本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。以下説明する実施形態では、電動工具としてバッテリ式のグラインダ1を例示する。このグラインダ1は、図1および図2に示すように使用者が把持しやすい円筒形状の本体ケース2を有する工具本体3と、この工具本体3の前部に取り付けた駆動部4と該駆動部4により回転する円形の砥石5を備えている。これらグラインダ1の基本的な構成については従来と同様であり本実施形態において特に変更を要しないが、以下簡単に説明する。工具本体3には駆動モータ6が内蔵されている。この駆動モータ6はメインスイッチ7をオンオフすることにより起動停止する。メインスイッチ7はノブ7aを前後(図において左右)に傾動させることによりオンオフする。本実施形態では、ノブ7aが図において左側に傾動するとメインスイッチ7がオンして駆動モータ6が起動する。ノブ7aが図において右側に傾動するとメインスイッチ7がオフして駆動モータ6が停止する。図1はメインスイッチ7のオフ状態を示している。駆動モータ6の起動によりその出力軸6aが回転すると、これが駆動部4に内蔵したかさ歯車列を経て上記出力軸6aに直交するスピンドルに伝達され、これにより砥石5が回転する。砥石5の後ろ側(図において右側)の半周の範囲は砥石カバー8により覆われている。
【0006】上記駆動モータ6の起動状態(メインスイッチ7のオン状態)はロックすることができる(ロックオン機構)。本実施形態は、このロックオン機構を解除する機構(ロックオン解除機構)に特徴を有している。工具本体3の後部には、バッテリ収容部9が設けられており、このバッテリ収容部9には当該グラインダ1の電源であるバッテリ10が装着されている。このバッテリ10は、バッテリ収容部9から取り外して充電し、充電後再度バッテリ収容部9に装着して繰り返し電源として使用することができる。本実施形態では、バッテリ収容部9からバッテリ10を取り外すと、上記ロックオン機構が解除される。以下、このロックオン機構およびこれを解除するためのロックオン解除機構について詳細に説明する。
【0007】本体ケース2の側部には、平坦なスイッチ座面11が形成されている。このスイッチ座面11にはスイッチレバー12が前後方向にスライド可能に取り付けられている。このスイッチ座面11およびスイッチレバー12の詳細が図4以降に示されている。このスイッチ座面11の幅方向中央には、前後に長い貫通溝孔11aが工具本体3の内部に貫通して形成されている。また、貫通溝孔11aの両側には案内凸部13,13が形成されている。両案内凸部13,13の上面には、スイッチ座面11に平行な平坦面13aと、この平坦面13aの前側に位置し前方(図示左方)に向かって高さが低くなる方向に傾斜する傾斜面13bがそれぞれ形成されている。一方、スイッチレバー12の内面側(図5,7,9において上面側)ほぼ中央には、作動アーム12aが一体に形成されており、この作動アーム12aは、上記貫通溝孔11aを経て工具本体3の内部に延びている。また、スイッチレバー12の内面側であって作動アーム12aの基部には円弧形状の傾動支点12cが形成されており、この傾動支点12cを中心にして当該スイッチレバー12は前後に傾動可能となっている。さらに、スイッチレバー12の前端部(図において左端部)には、工具本体3の内方に向けて張り出す係合縁12bが形成されている。この係合縁12bは、上記貫通溝孔11a内に入り込んでいる。
【0008】次に、上記スイッチ座面11の裏側であって本体ケース2の内面側には、帯板形状の検知ロッド20が前後方向(機長方向、以下同じ)に移動可能に配置されている。この検知ロッド20のさらに内面側には、同じく帯板形状のスイッチロッド25が前後方向に移動可能に配置されている。図3に示すように本体ケース2の内面には、案内レール2a,2aが対向して形成されており、この両案内レール2a,2aにより検知ロッド20が図3の紙面に直交する方向(図4〜図9において左右方向、機長方向)に沿って移動可能に案内されている。また、図示するように検知ロッド20はその幅方向両側が内側(工具本体3の中心側)に折り曲げられてU字形の案内レールとしての機能を有している。この機能によりスイッチロッド25が当該検知ロッド20の内面側に沿って重なり合った状態で移動可能に案内されている。但し、検知ロッド20とスイッチロッド25は相互に独立して移動可能となっている。検知ロッド20の前端部寄りには、上記貫通溝孔11aとほぼ同じ幅の係合孔20aが形成されている。また、スイッチロッド25の前端部寄りには係合孔25aが形成されており、この両係合孔20a,25aにスイッチレバー12の作動アーム12aが挿通されている。
【0009】検知ロッド20の後端側は、図1および図2に示すように本体ケース2の後面2bから突き出されてバッテリ収容部9内に至っている。このバッテリ収容部9内に至っている部分はL字形に折り曲げられて検知部20bとされている。この検知部20bと本体ケース2の後面2bとの間には圧縮ばね21が介装されており、これにより当該検知ロッド20は後退方向(検知部20bが突き出す方向)に付勢されている。バッテリ収容部9にバッテリ10が装着されると、圧縮ばね21の付勢力に抗して検知部20bがバッテリ10に押されて、当該検知ロッド20が工具本体3の内部へ入り込む方向に移動する。この状態が図1において実線で示されている。検知ロッド20は、その係合孔20a内においてスイッチレバー12の作動アーム12aが移動可能な範囲で前後に移動可能であり、図4〜図7は上記のようにバッテリ収容部9にバッテリ10を装着することにより検知ロッド20が前進した状態を示している。すなわち、バッテリ収容部9にバッテリ10を装着した状態では、検知ロッド20が図4〜図7に示すように前進位置に位置し、バッテリ10をバッテリ収容部9から取り外すと該検知ロッド20は圧縮ばね21の付勢力により後退して、検知部20bをバッテリ収容部9内に突き出す。図8および図9は検知ロッド20が後退した状態を示している。
【0010】次に、スイッチレバー12を前側(オン側)に移動させると、作動アーム12aと係合孔25aの係合により、スイッチロッド25が前進する。図1に示すようにスイッチロッド25の後端側には係合部材25bが取り付けられており、この係合部材25bは前記メインスイッチ7のノブ7aに係合されている。この係合部材25bと本体ケース2との間には圧縮ばね26が介装されている。このため、スイッチロッド25は後退方向(メインスイッチ7のオフ側)に付勢されている。また、スイッチレバー12のオン側へのスライド操作は、この圧縮ばね26に抗してなされる。スイッチレバー12のオン側へのスライド操作を止めると、この圧縮ばね26によりスイッチロッド25が後退し、従ってスイッチレバー12がオフ側に戻される。スイッチロッド25が後退した状態では、メインスイッチ7のノブ7aが後方へ倒され、従ってメインスイッチ7がオフになる。スイッチレバー12をオン側へスライド操作し、これによりスイッチロッド25を圧縮ばね26に抗して前進させると、ノブ7aが前側に倒されてメインスイッチ7がオンし、これにより駆動モータ6が起動する。
【0011】次に、スイッチレバー12は、オン側にスライド操作した後、その前端側を押し下げることにより、当該スイッチレバー12を傾動支点12cを中心にして前傾させることができる。バッテリ収容部9にバッテリ10を装着して、検知ロッド20を前進させて後退不能とした状態において、スイッチレバー12を上記のように前傾させることにより、係合縁12bが検知ロッド20の前端に係合し、これにより該スイッチレバー12の前傾姿勢が保持されて該スイッチレバー12はオン側にロックされる。図6および図7は、このロックオン状態を示している。このロックオン状態では、バッテリ収容部9にバッテリ10が装着されていることにより後退不能であり、またスイッチロッド25を介して圧縮ばね26がスイッチレバー12に間接的に作用することにより、該スイッチレバー12は後方(図6および図7において右方)へ付勢されており、この付勢力は係合縁12bが検知ロッド20の前端に一層強固に係合するための力として作用する。なお、スイッチレバー12をオフ側に戻した状態では、その前端部がスイッチ座面11に設けた案内凸部13の平坦面13aに乗り上げられているので前傾させることができない。スイッチレバー12をオン側にスライドさせると、その前端部が案内凸部13の傾斜面13bを経て該案内凸部13から外れるため、傾動支点12cを中心にして前傾方向に傾動させることができる。
【0012】次に、上記ロックオン状態で例えば当該グラインダ1の使用中にバッテリ10が消耗して駆動モータ6が停止したために、該バッテリ10をバッテリ収容部9から取り外して充電する場合を想定すると、バッテリ10をバッテリ収容部9から取り外すと、検知ロッド20の検知部20bが図1中二点鎖線で示すようにバッテリ収容部9内に突き出す方向に変位可能な状態となるので、該検知ロッド20が圧縮ばね21により後退する。検知ロッド20が後退すると、スイッチレバー12の係合縁12bと検知ロッド20の前端との係合状態が解除される一方、作動アーム12aの前面(図において左側面)には係合孔25aの前端が当接して該スイッチレバー12には常時圧縮ばね26の付勢力が作用していることから、この段階でスイッチレバー12が後退する。スイッチレバー12に作用する圧縮ばね26の付勢力は、該スイッチレバー12が後退する際にその前端部が案内凸部13,13の傾斜面13b,13bを乗り上げるために必要な力に設定されている。このため、該スイッチレバー12は圧縮ばね26の付勢力により後退するとともに、その前端部が案内凸部13,13の傾斜面13b,13bに乗り上げて、該スイッチレバー12は前傾姿勢から水平姿勢に(図7に示す状態から図9に示す状態に)強制的に戻される。スイッチレバー12が前傾姿勢から水平姿勢に戻されると、係合縁12bが貫通溝孔11aから抜け出る方向に変位して検知ロッド20の前端部に対する係合状態が解除され、従って該スイッチレバー12は作動アーム12aが貫通溝孔11aの後端縁に当接する位置(オフ位置)まで戻されてそのロックオン状態が解除される。このように、スイッチレバー12をオン側にロックしたロックオン状態(図6および図7に示す状態)のままバッテリ10をバッテリ収容部9から取り外すと、図8および図9に示すように検知ロッド20が後退することにより該検知ロッド20とスイッチレバー12の係合縁12bとの係合状態が解除され、これによりスイッチレバー12がオフ側に戻されてメインスイッチ7がオフし、従って上記ロックオン状態が自動的に解除される。
【0013】また、図9に示すようにバッテリ10をバッテリ収容部9から外した結果スイッチレバー12のロックオン状態が自動解除された状態において、該スイッチレバー12を再度オン側に移動させ、然る後その前部を押し込んで該スイッチレバー12をオン位置にロックしようとしても、該スイッチレバー12をロックオンすることができない。すなわち、スイッチレバー12をオン側に移動させることにより、検知ロッド20およびスイッチロッド25がそれぞれ圧縮ばね21,26に抗して前進するが、バッテリ収容部9にバッテリ10が存在しないため、検知ロッド20は後退可能であり、従って該検知ロッド20の前端に対してスイッチレバー12の係合縁12bが係合できない。このため、スイッチレバー12の前端部の押し込み操作を止めると、該スイッチレバー12は圧縮ばね21,26の間接作用によりオフ位置に戻されてしまい、オン位置にロックすることができない。
【0014】以上のように構成した本実施形態のグラインダ1によれば、スイッチレバー12をオン位置にロックしたロックオン状態で、バッテリ収容部9からバッテリ10を取り外すと、検知ロッド20が後退して該検知ロッド20とスイッチレバー12の係合縁12bとの係合状態が解除され、これによりロックオン状態は解除されてスイッチレバー12はオフ位置に戻される。このように、バッテリ10を取り外した段階でスイッチレバー12のロックオン状態が解除されるので、例えばバッテリ充電後これを再度バッテリ収容部9に装着する段階では、スイッチレバー12はオフ側に位置している。このことから、使用者はこのままバッテリ10を装着した場合の当該グラインダ1の不用意な動作を心配することなく、バッテリ10をバッテリ収容部9に装着することができ、この点で当該グラインダ1の使い勝手を従来よりも良くすることができ、またバッテリ10を電源とするDC機にロックオン機構を一層容易に適用できるようになる。
【0015】さらに、バッテリ10がバッテリ収容部9(工具本体3)から電気的に切り離されるまでに(電気接点が離れるまでに)、スイッチレバー12のロックオン状態が解除されるよう案内凸部13の位置等を適切に設定することにより、バッテリ10が電気的にバッテリ収容部9から切り離される段階では、メインスイッチ7がオフになるよう設定することができる。これによれば、メインスイッチ7がオフになった状態でバッテリ10が取り外されるので、該バッテリ10を取り外す段階でいわゆるアークを引く現象(接点間で火花が飛ぶ現象)を回避することができ、これにより当該グラインダ1の耐久性を向上させることができる。
【0016】以上説明した実施形態には、種々変更を加えることができる。例えば、検知ロッド20を後方へ付勢する圧縮ばね21は省略することができる。バッテリ収容部9からバッテリ10を取り外すと、検知ロッド20が後退可能な状態となり、この状態では、圧縮ばね21の間接作用によりオフ位置に付勢されたスイッチレバー12により該検知ロッド20が後方へ戻される。また、電動工具の一例としてグラインダ1を例示したが、例えば充電式ドリル、充電式インパクトドライバ、充電式マルノコ、充電式レシプロソー、充電式チェーンソー等のバッテリを電源とするDC機に広く適用することができる。
【出願人】 【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
【出願日】 平成12年12月15日(2000.12.15)
【代理人】 【識別番号】100064344
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 英彦 (外3名)
【公開番号】 特開2002−178276(P2002−178276A)
【公開日】 平成14年6月25日(2002.6.25)
【出願番号】 特願2000−382374(P2000−382374)