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【発明の名称】 電動工具のフック
【発明者】 【氏名】西土 典之

【氏名】大河内 幸康

【要約】 【課題】電動工具を作業者の腰ベルト等に掛止するために備えられる着脱可能なフックにおいて、外力に対するフックの外れ止め機能を高め、なおかつ取り外しを容易にする。

【解決手段】電動工具の取付孔5aに差し込まれる左右2本の係止片12aを傾斜状に形成することによって、係止片12aの基端部側に取付孔5aの内側壁面5eから遠ざかる逃げ部12cを設ける。取付孔5aへの装着状態において、逃げ部12cと内側壁面5eとの間の隙間C1を、係止片12aの基部側に設けた差し込み深さ規制部11aと取付孔5aの孔縁に設けた規制面5dとの間の隙間よりも広く設定した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 フック本体と、そのフック本体に連なる係止部とを備えるとともに、前記係止部が、前記フック本体に連なる側を基部として延在する弾性変形可能な対向する2本の係止片と、その係止片の先端に内向きに折り曲げられた先端フック部と、前記係止片の基部側に設けられた差し込み深さ規制部とからなり、前記係止片を各係止片毎に対応して電動工具の本体に形成された取付孔内に差し込んで前記先端フック部を前記取付孔の孔縁に形成された係止面に係止することによって装着され、その装着状態では前記差し込み深さ規制部が前記取付孔の孔縁に形成された規制面に当接可能に対向する構成の電動工具のフックであって、前記装着状態において、前記係止片の基部側に前記取付孔の内側壁面から遠ざかる逃げ部を設け、一方の逃げ部と前記内側壁面との間の隙間を、前記他方の逃げ部と前記取付孔の外側壁面との間の隙間又は前記他方の差し込み深さ規制部と前記他方の規制面との間の隙間よりも広く設定したことを特徴とする電動工具のフック。
【請求項2】 請求項1に記載の電動工具のフックであって、前記係止片は先端フック部側から基部側に向かって前記取付孔の軸線に対して傾斜状に形成されていることを特徴とする電動工具のフック。
【請求項3】 請求項1又は2に記載の電動工具のフックであって、前記電動工具のグリップに取り付けられるとともに、前記フック本体が前記グリップの軸方向の端面から外方に張り出し状に形成されていることを特徴とする電動工具のフック。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動工具を作業者の腰ベルト等に掛止するためのフックに係り、詳しくはフックの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のフックの取付構造としては、例えば図8に示すようなものが知られている。図示のように、電動工具におけるハウジング101に略矩形のフック取付突部102が形成され、このフック取付突部102の横方向の両側面部に係合溝103が形成されている。一方、フック111は、断面円形をなす一本の棒状部材を略U字形に折り返した後、更にそのU字片の両方を軸方向の中間部でL字形に折り曲げた形状に形成することによって、折り返し側(U形基部側)にベルト掛け用としての係止部112を設け、開放側に電動工具に対する取付部113を設けた構造となっている。すなわち、フック111の取付部113は、弾性変形可能な左右2本の係止片114によって形成されており、その係止片114の先端には内側へ折り曲げられた抜け止め用の折曲部115が設けられている。上記のように構成されたフック111は、2本の係止片114を外側へ広げ、ハウジング101の側面に設けたフック取付突部102の係合溝103に対して該フック取付突部102を両側から挟み付けるように弾性係合することによって装着する方式であり、その取り外しは左右の係止片114を外側へ広げて行う構造である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従来のフックの取付構造では、例えばフック111に対して図示矢印で示す横方向の外力が加えられたような場合、一方(外力作用側)の取付係止片の基部(図示A点)がフック取付突部の係合溝の溝縁付近に当接されるとともに、その当接部位を支点にして弾性変形し、その結果、先端側が外側へ広がって係合溝103から外れる可能性がある。すなわち、従来のフックの取付構造では、横方向から作用する外力によってフックが外れ易いので、その対策として係止片114の弾性力を強力にし、折曲部115を長めに設定しなければならず、フックの取り外しが困難であった。
【0004】本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電動工具のフックにおいて、外力に対するフックの外れ止め機能を高め、なおかつ取り外しを容易にすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため、本発明に係る電動工具のフックは、特許請求の範囲の各請求項に記載の通りの構成を備えた。請求項1に記載の発明においては、フック本体に連なる対向する2本の弾性変形可能な係止片を電動工具本体に設けた取付孔に差し込むとともに、その係止片の先端に設けた先端フック部を取付孔の端面の係止面に係止することによってフックを電動工具本体に装着する構成のフックの取付構造において、装着状態において、係止片の基部に取付孔の内側壁面から遠ざかる逃げ部を設けている。そして、一方の逃げ部と内側壁面との間の隙間を、他方の基部と取付孔の外側壁面との間の隙間又は他方の差し込み深さ規制部と他方の規制面との間の隙間よりも広く設定したものである。
【0006】従って、請求項1に記載の発明によれば、フックに対して横方向、例えば左方から押圧するような外力が作用した場合、フックは左側へ横移動するか又は係止面に係止されている先端フック部を支点にして回動しようとする。このとき、左側の係止片の基部である逃げ部が内側壁面に当接する前に、右側の係止片の逃げ部が外側壁面に当接するか又は右側の差し込み深さ規制部が規制面に当接し、このことによってそれ以上のフックの動きが規制される。従って、押された側の係止片の基部側が取付孔の内側壁面に当接することが防止されることになり、その結果、係止片の弾性変形を防止して先端フック部の係止面に対する係止状態を維持できるため、フックの電動工具からの離脱を防止できる。ここで、取付孔とは、断面形状において全周が壁面によって取り囲まれる形状のみならず、周囲の一部にスリットを有する形状のものが含まれる。
【0007】また、請求項1に記載の発明においては、上記のように、係止面に対する先端フック部の係止作用と、外側壁面に対する係止片の逃げ部の当接作用又は規制面に対する差し込み深さ規制部の当接作用によって、取付孔からの抜けを規制する形式であるため、係止片の弾性力を抜け止め力として利用する必要がない。従って、係止片に設定する弾性力を小さくできるため、係止片の取付孔内に対する差し込みあるいは抜き取りが容易化され、着脱性の向上につながる。
【0008】また、請求項1に記載の発明は、フックの形状に工夫を加えたものであり、電動工具本体側の取付孔については、普通の貫通孔とすることが可能である。このため、取付孔に対するフックの差し込み方向を変えることによってフックの取付位置を変換する左右つけ替え式への適用が可能である。
【0009】また、請求項2に記載の発明においては、係止片を先端フック部から基部側に向かって取付孔の軸線に対して傾斜状に形成することによって、逃げ部を構成したので、極めて簡単な構造で逃げ部を構成することができる。
【0010】また、請求項3に記載の発明においては、フックのフック本体が、電動工具の本体におけるグリップの軸方向端面から外方へ張り出し状に形成されている。このため、グリップを掴んでの電動工具による作業時に、フックが作業の邪魔になることを回避できる。また、一般にグリップの後端には電源供給用のコードが接続されていることから、フック本体は、このコードを保護するガード部材としても機能する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1〜図7に基づいて説明する。図1は電動ドライバ等の電動工具1の全体を示す側面図である。図2は電動工具1の背面図であり、フックの取付構造が断面で示されている。図3はフックの取付構造を示す平断面図であり、図4〜図6はフックを示す図面である。図7はフックの取付態様を示す説明図である。
【0012】図1に示すように、電動工具1の本体2は、半割りの樹脂製ハウジングにより構成され、その本体2内には電動モータ、歯車式の駆動機構等が収容されている。また、本体2は軸方向の略中間部位から垂直方向(下向き)に延出するグリップ(ハンドル)3を有し、このグリップ3の軸方向端面(図示下端)に設けられた軸方向に貫通する貫通孔3a(図3参照)を通してモータ用の電源供給コード4が配線されている。
【0013】グリップ3の軸方向端部には、フック10を取り付けるためのフック取付部5が設けられており、このフック取付部5は、2個の取付孔5aを主体に構成されている。2個の取付孔5aは、図1〜図3に示すように、後述するフック10の先端フック部12bが通過可能な大きさの長円形状に形成されるとともに、グリップ3の軸方向と垂直な方向を軸方向としてグリップ3の両側面に平行に貫通された貫通孔である。図2及び図3に示すように、両取付孔5a間の中間壁5bにおける取付孔5aの軸方向両端面(孔縁)には、各取付孔5a毎に対応してそれぞれ後述するフック10の係止片12aの先端に設けられる先端フック部12bが係止可能な係止面5cが形成されている。また、両取付孔5aの軸方向両端面のグリップ端面側(図2の下側)には、各取付孔5a毎に対応してそれぞれフック10の係止片12aの基部に形成される差し込み深さ規制部11aが当接可能な規制面5dが形成されている。すなわち、フック取付部5は、フック10をグリップ3側面の左右いずれの側からも取り付けることができるように対称形状に形成されている。
【0014】フック10は、図4〜図6に示すように、断面円形状の一本の棒状部材を折り曲げることによって形成されている。すなわち、一本の棒状部材をU字状をなすように折り返して二本並びの状態とする。その後、二本並びの棒状部材を共に同方向にU字状に折り返すことによって作業者の腰ベルトに掛止するためのU形のフック本体11を形成し、更にそのフック本体11の開放端部側(棒状部材の端末側)を外向きに略直角に折り曲げることによって取付孔5aに装着可能な係止部12を形成する。
【0015】係止部12は、対向して延在する左右2本の係止片12aと、それら両係止片12aの先端を内向き(互いに対向し合う方向)に折り曲げて形成されたL字形の先端フック部12bと、両係止片12aの基部側に設けられる差し込み深さ規制部11aとから構成されている。また、左右の係止片12aは、フック本体11側の棒状直線部との連接部位を基部として先端に向かって先端側が狭まるように緩やかな角度で傾斜されている。なお、係止片12aに対して折り曲げ状態で連なる棒状直線部が前述した取付孔5aに対する差し込み深さ規制部11aを構成している。
【0016】上記のように構成されたフック10は、図7に示すように、係止部12を構成する左右の係止片12aを、先端フック部12bの突出先端が取付孔5aに入り込むことが可能な位置まで外側へ広げたのち、図示仮想線の如く取付孔5a内に差し込む。この場合の係止片12aの拡開は、主として係止片12aが連なるフック本体11を構成している棒状部材の弾性撓み(弾性変形)が利用される。そして、先端フック部12bが取付孔5aを通過すると同時に、係止片12aが弾性復帰され、先端フック部12bが取付孔5aの孔縁の係止面5cに係止されるとともに、フック本体11の差し込み深さ規制部11aが規制面5dに対して所定の隙間C3を隔てて対向される。かくして、図2及び3に示す如くフック10の係止部12は抜き差し方向の動きが規制された状態でグリップ3に装着されることになる。なお、係止片12aは、取付孔5a内に差し込まれた装着状態においても、狭まる方向に軽い弾性力が作用している。
【0017】しかして、上記の装着状態においては、係止片12aの基部が取付孔5aの内側壁面5eから離間する。すなわち、本実施の形態においては、先端フック部12b側から基部側に向かって取付孔5aの軸線に対して傾斜状に形成し、このことによって、基部側に取付孔5aの内側壁面5eから遠ざかる逃げ部12cを設定している。そして、両逃げ部12cに関し、相互に一方の逃げ部12cと内側壁面5eとの間の隙間C1が、他方の逃げ部12cと取付孔5aの外側壁面5fとの間の隙間C2又は他方の差し込み深さ規制部11aと規制面5dとの間の隙間C3よりも広く設定されている。本実施の形態では、逃げ部12cと内側壁面5eとの間の隙間C1を、差し込み深さ規制部11aと規制面5dとの間の隙間C3よりも広く設定している。ここで、取付孔5aの内側壁面5eとは、対向状に配置される係止片12aの内側と対向する壁面をいい、取付孔5aの外側壁面5fとは、係止片12aの外側と対向する壁面をいう。
【0018】装着状態において、フック10に対して横方向、例えば図3に矢印で示すような右向きに外力Fが作用した場合、フック10は左側へ横移動するか又は係止面5cに係止されている先端フック部12bを起点に回動しようとする。しかるに、本実施の形態においては、係止片12aの逃げ部12cと取付孔5aの内側壁面5eとの隙間C1を、差し込み深さ規制部11aと規制面5dとの隙間C3よりも広く設定してあるため、フック10が上記のような動きを示したとき、左側の係止片12aの基部側に設けられた逃げ部12cが取付孔5aの内側壁面5eに当接する前に、右側の係止片12aの差し込み深さ規制部11aが規制面5dに当接し、このことによってそれ以上のフック10の動きが規制される。
【0019】すなわち、外力でフック10が移動される範囲は、係止片12aの差し込み深さ規制部11aと規制面5dとの間に設定された隙間C3の範囲であり、左側の係止片12aの基部が取付孔5aの内側壁面5eに当接することが回避されることになる。その結果、係止片12aが弾性変形せず、先端フック部12bは係止面5cから外れることがない。従って、フック10が電動工具本体から離脱することを防止できる。また、フック10に対して抜き差し方向及び上下方向(グリップ3の軸線方向)から作用する外力に関しては、説明するまでもなく離脱することはない。なお、フック取付部5からのフック10の取り外しは、左右の係止片12aを外側に広げ、先端フック部12bを係止面5cから外した後、手前に引き抜くことで容易に行うことができる。
【0020】このように、本実施の形態によれば、フック10に作用する横向きの外力に対して外れ止め機能の高いフック10を得ることができる。また、フック10を電動工具1のグリップ3に対して工具を用いることなく、それ自体の弾性変形(撓み)を利用して着脱することができる。また、本実施の形態では、グリップ3のフック取付部5、すなわち、取付孔5a、係止面5c、規制面5d等を、全て対称形状に形成してあるため、フック10のグリップ3に対する左右の付け替えが可能である。また、本実施の形態に係るフック10の取付構造は、係止片の弾性力のみを抜け止めに利用するものではないため、係止片12aの弾性力を小さく設定できる。このため、係止片12aの取付孔5a内に対する差し込みあるいは抜き取りを容易化して、着脱性を向上することができる。
【0021】また、フック10は、フック本体11の開放側に係止部12を設定した構成であり、従ってグリップ3の端部に取り付けた状態ではフック本体11がグリップ3の軸方向端面から外方へ直線的に延出(張出)した状態となる。このため、フック本体11は電動工具1のグリップ3を握って作業する場合において、作業の邪魔にならないといった効果があり、しかもフック本体11は電源供給コード4に沿って延出されている関係で、該電源供給コード4を保護するガードとしても機能する。
【0022】なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内での変更が可能である。例えば、本実施の形態では、係止片12aを先端フック部12b側から基部側に向かって取付孔5aの軸線に対して傾斜状に形成することによって、その基部側に取付孔5aの内側壁面5eから遠ざかる逃げ部12cを設けたが、この逃げ部12cは傾斜に限らず、例えばコ字形又は弓状に折り曲げることで形成してもよい。また、差し込み深さ規制部11aと規制面5dとの隙間を、係止片12aの逃げ部12cと取付孔5aの内側壁面5eとの隙間C1よりも狭くする代わりに、逃げ部12cと取付孔5aの外側壁面5fとの隙間C2を狭くしてもよい。
【0023】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、外力に対する外れ止め機能の高い電動工具のフックを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
【出願日】 平成12年10月26日(2000.10.26)
【代理人】 【識別番号】100064344
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 英彦 (外3名)
【公開番号】 特開2002−127049(P2002−127049A)
【公開日】 平成14年5月8日(2002.5.8)
【出願番号】 特願2000−327356(P2000−327356)