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【発明の名称】 電動工具
【発明者】 【氏名】鈴裏 司

【氏名】小倉 光雄

【氏名】石川 光幸

【氏名】坂本 真一

【氏名】小林 十郎

【氏名】横山 仁一

【要約】 【課題】本発明は、ファンの基本形状を変更することなく風量増加、騒音低減、応力低減化が図れる電動工具を提供することである。小型で高風量,低騒音,高強度である電動工具の遠心ファンを提供する【解決手段】 ファン本体1に一体に固着された各羽根2の外径端部に、羽根厚が外径方向に向かって徐々に薄くなる傾斜部5を設ける。

【解決手段】ファン本体1に一体に固着された各羽根2の外径端部に、羽根厚が外径方向に向かって徐々に薄くなる傾斜部5を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電動機と、該電動機の回転子に設けられた円板状のファンとを有し、更に該ファン上に中心側から外径側に向かい所定のピッチで形成される複数の羽根とを備えた電動工具において、前記羽根の外径側端部に傾斜部を設け、更に該傾斜部の外径側の羽根厚を徐々に薄くなるように構成することを特徴とした電動工具。
【請求項2】 前記傾斜部は、羽根長さの50%よりも外径側に位置することを特徴とした請求項1記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種工作作業を行う電動工具のモータ冷却、騒音低減、小型化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電動工具の小型化、高出力化、低騒音化の要求に伴い、小型で冷却能力が高く、更に低騒音型のモータ冷却ファンを開発する必要性があった。このようなモータ冷却ファンとしては、例えば特開平10−153194号に記載されているように、遠心ファンの羽根形状の最適化を行うことで風量増加、騒音低減化したものがある。その構成を図3、図6及び図7を用いて説明する。図3は遠心ファンの搭載されたディスクグラインダを示す縦断側面図、図6は従来の遠心ファンを示す一部省略正面図、図7は従来の遠心ファンを示す一部省略側面図である。図3に示すようにモータ冷却ファンを搭載したディスクグラインダは、電動機の回転子11と、回転子11と共に回転する駆動軸12と、駆動軸12に取り付けたピニオン16とギヤ17の噛合いにより回転動力が伝達される出力軸18と、出力軸18に取り付けた研削部材19とを有し、更にモータを収容するためのモータハウジング14、ピニオン16やギヤ17等を収納するためのギヤカバ15、スイッチ20や電源コードの配されるテールカバ21とを有している。電動機等を冷却する冷却風の流れは図中の矢印で示されるように、駆動軸12に固着された遠心ファン13の回転によりテールカバ21に設けた吸気口よりa1,a2のように機体内部に導入される。その後、モータハウジングと回転子11により形成された風路bを通過し、cに示す遠心ファン13の内径部より遠心方向に冷却風が流出し、ギヤカバ15に設けた吐出口dから機体外部に流出している。
【0003】次に図6及図7を用いて遠心ファン13の形状を説明する。円板状のファン本体1は、ファン本体1の所定半径位置から外周まで延び且つファン本体1の周方向に沿って所定ピッチで形成された複数の羽根2と、ファン本体1の中心部に設けられ且つ駆動軸に取り付けられるハブ3等が一体に形成されている。この遠心ファン13を回転させると、遠心作用により空気にエネルギが与えられ羽根2の内周である入口よりファン本体1、羽根2及びファンガイド4により形成される風路を通過して羽根2の外周部である出口より半径方向外方に排出することができる。また、各羽根2間の間隔と羽根2の高さの積からなる面積及び半径の積が、各半径位置においてほぼ等しくすることにより騒音を低減している。つまり、遠心ファン13の羽根2の任意直径Dにおける各羽根2間の間隔及び各羽根2の高さを夫々L及びhとした場合に、L×h×Dが一定となるように設計することで、円滑な冷却風の流れのもと騒音を低減することができた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した冷却ファンでは、風量増、騒音の低減化については実現できるが、更に風量を増加させたい場合には、羽根高さhを大きくしたり、羽根の外径を大きくする必要があるため、こうした場合には限られた小スペース内に遠心ファンを配すことが非常に困難になるという問題があった。
【0005】また、上述したように羽根高さや羽根外径を大きくしてしまうと、遠心ファンとギヤカバとが距離的に接近するため、風量の増加に伴い大きな騒音が発生してしまうという問題があった。
【0006】更に、羽根高さ、羽根外径を大きくすると、回転時における遠心ファンの強度不足が問題となる。例えば遠心ファンの回転時、羽根には外周方向に遠心力が生じるため、羽根付根部の引張応力による破壊が発生する。よって、通常の遠心ファンの製作時には、羽根付根部をR形状とし断面係数の増加、応力集中の緩和対策を施している。しかしながら、R部を大きくすることにより駄肉が増加し、風路狭窄による風量低減、駄肉部での風切音発生による騒音増大の原因となる。また、大型の遠心ファンの場合には、羽根付根部のR寸法の増大だけでは必要強度を満たせないケースもある。
【0007】本発明の目的は、上記問題を解消し、遠心ファンの羽根寸法を大きくすることなく、風量増加、騒音低減、羽根付根部の応力低減化が図れる電動工具を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、電動機と、電動機の回転子に設けられた円板状のファンとを有し、更にファン上に中心側から外径側に向かい所定のピッチで形成される複数の羽根とを備えた電動工具において、羽根の外径側端部に傾斜部を設け、更に傾斜部の外径側の羽根厚を徐々に薄くなるように構成することにより達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本実施例における電動工具の遠心ファンを図1乃至図5を用いて説明する。図1は本実施例における遠心ファン1を示す一部省略正面図、図2は遠心ファン1とファンガイド4との一部を示す一部省略縦断側面図、図3は本実施例における遠心ファン1の搭載されたディスクグラインダを示す縦断側面図、図4は本実施例における他の遠心ファン1’を示す一部省略正面図、図5は本実施例における更に他の遠心ファン1’’を示す一部省略側面図である。
【0010】図1乃至図3において、ファン本体1には、ファン本体1の所定半径位置から外周まで延びる羽根2をファン本体1の周方向に沿って所定ピッチにてファン本体1と一体に形成している。羽根2には、羽根2の所定半径位置から外周に向かって羽根2と異なる曲率または中心位置を有する傾斜部5を形成し、更に該傾斜部5は羽根厚が外径方向に向かって徐々に薄くなるようにしている。このような構成にすることで、遠心ファン1の回転により生じる空気流が羽根2の内径側より流入し、ファン本体1、羽根2、ファンガイド4により構成される風路を通過し、羽根2の外径部より流出する際には、羽根2と空気流との剥離が円滑に行われるため、乱流の発生が減少して風量増加、騒音低減が図れるという効果が得られる。更にファン本体1及び羽根2の基本形状を変更する必要がないため、ケーシング、ファンガイド4等の形状も変更する必要がないことから、同じ大きさを有する従来の小型電動工具に比べて遥かに優れた性能を有する電動工具を提供するこができる。なお、傾斜部5の形状は、直線でも曲線でも同様の効果を得ることができるが、曲線で構成する場合には、羽根2の曲率と異なるか或いは同じ曲率であっても曲率の中心が異なっていれば良い、即ち羽根の一部が風路面積の広がる方向に傾斜していれば良い。また、傾斜部5の位置は、羽根2の長さの50%よりも外径側に存在するのが望ましく、70%程度から傾斜部5を設けるのが最も望ましい。
【0011】以上のことから、φ50の遠心ファン1において、羽根長さの70%の位置から外径部で羽根厚が半分となるように直線の傾斜部5を設けたところ、風量が3%増加し、1mの距離での騒音レベルが0.7dB低減した。更に羽根付根部6の引張応力値が9%低減する。これは傾斜部5を設けることにより羽根2を減肉することとなり、羽根2が受ける遠心力が低減したためである。なお、傾斜部5の割合を多くすればより引張応力が低減することは言うまでもなく、必要強度にあわせて傾斜量を制御すれば良い。更に本構成は、φ40からφ110程度の電動工具用遠心ファンに適用可能であり、羽根2の枚数にも制限がないことは言うまでもない。
【0012】次に本実施例における他の遠心ファン1’,1’’を図4及び図5を用いて説明する。図4は遠心ファン1’に形成した直線の羽根2’に傾斜部5’を設けた例であるが、このような構成にしても上述した実施例と同様の効果を得ることができる。また、図5は遠心ファン1’’に形成した羽根2’’の一部に側板7を設け且つ傾斜部5’’を設けた例であるが、このような構成にしても上述した実施例と同様の効果を得ることができる。更に本構成の場合には、ファンガイド4を不要とすることができる。
【0013】
【発明の効果】本発明によれば、羽根の外径側端部に傾斜部を設け、更に傾斜部の外径側の羽根厚を徐々に薄くなるように構成することで、ファンの基本形状を変更することなく風量増加、騒音低減、応力低減化が図れる電動工具を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成12年9月29日(2000.9.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−103250(P2002−103250A)
【公開日】 平成14年4月9日(2002.4.9)
【出願番号】 特願2000−299023(P2000−299023)