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【発明の名称】 電動工具
【発明者】 【氏名】兵藤 弘毅

【氏名】小林 英司

【要約】 【課題】電動工具において、内蔵した電動モータの過熱による焼損を防止するため、従来、供給される負荷電流に基づいて該負荷電流を絞る構成、固定子に埋め込んだ温度センサにより検知されるモータの温度に基づいて負荷電流を絞る構成等が提供されていたが、前者の構成では必ずしも電動モータの温度に即した負荷電流制御を行うことができず、後者の構成では組付け性が悪くなる問題があった。本発明では、電動モータの実際の温度に即した負荷電流制御を行うことができ、かつ組付け性のよい電動工具を提供する。

【解決手段】回転子4の風下側にモータ冷却風の通風経路を規制するバッフルプレート8を備えた電動工具1であって、バッフルプレート8にモータ冷却風の温度を検知するためのセンサ10を取り付け、該センサ10により検知されるモータ冷却風の温度に基づいて電動モータ3の負荷電流を制御する構成とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転子の風下側にモータ冷却風の通風経路を規制するバッフルプレートを備えた電動工具であって、前記バッフルプレートに前記モータ冷却風の温度を検知するためのセンサを取り付け、該センサにより検知される前記モータ冷却風の温度に基づいて電動モータの負荷電流を制御する構成とした電動工具。
【請求項2】 電動モータを内装したハウジングの内面であって、該電動モータよりもモータ冷却風の風下側に、該モータ冷却風の温度を検知するためのセンサを取り付け、該センサにより検知される前記モータ冷却風の温度に基づいて前記電動モータの負荷電流を制御する構成とした電動工具。
【請求項3】 ハウジングに内装した電動モータの固定子の、モータ冷却風の風下側端部に、該モータ冷却風の温度を検知するためのセンサを、該固定子の前記ハウジングに対する取り付け手段を利用して取り付け、該センサにより検知される前記モータ冷却風の温度に基づいて前記電動モータの負荷電流を制御する構成とした電動工具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば電動グラインダ等の電動工具に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば上記電動グラインダにおいて、ハウジングに内蔵した電動モータには砥石を経て比較的大きな回転抵抗が付加されるため、電動モータには高い負荷電流が流れ、その結果電動モータが過熱し、何ら対策を施さないと電動モータを焼損するおそれがある。このため、従来よりこの種の電動工具には電動モータの焼損を回避するための様々な対策が施されている。従来、一つの対策として例えば電動モータに供給される負荷電流を検知し、検知した負荷電流が一定値を越えた段階で負荷電流を絞って間接的に電動モータの過熱を回避していた。また、別の対策として、固定子(フィールド)にサーミスタ(温度センサ)を埋め込んでおき、このサーミスタにより電動モータの温度を直接検知し、必要に応じて負荷電流を絞る方法をとっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の対策には次のような問題があった。すなわち、前者の対策によれば、負荷電流の増大とモータの温度上昇が必ずしも一致しないため、電動モータの温度がさほど高くなっていなくても、負荷電流が一時的に高くなれば負荷電流をカットしてしまうので、電動工具としてのパワーが不必要に低下し、そのため作業効率を損なう問題があった。
【0004】また、後者の対策によれば、電動モータの温度を直接検知するため精度のよい温度制御を行うことができるが、固定子にサーミスタを埋め込む点で当該電動工具の組付け性が悪いという問題があった。本発明は、これら従来の問題を解消するためになされたもので、電動モータの精度のよい温度制御および簡易な組付け性を実現することができる電動工具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このため、本発明は前記各請求項に記載した構成の電動工具とした。請求項1記載の電動工具によれば、バッフルプレートに取り付けたセンサによりモータ冷却風の温度が直接検知され、これに基づいて電動モータの負荷電流が制御されるので、当該電動工具の作業効率を損なうことなく、電動モータの温度に対して精度よく負荷電流が制御される。また、センサは、バッフルプレートに取り付けられるので従来のように固定子に埋め込む構成に比して組付け性を良くすることができる。通常、バッフルプレートは、電動モータの回転子に対してモータ冷却風の風下側に配置されるので、これに取り付けたセンサは、電動モータに極めて近い位置に配置されることとなり、これにより電動モータの温度を直接的かつ精度よく検知することができる。
【0006】請求項2記載の電動工具によれば、ハウジング内面に取り付けたセンサによりモータ冷却風の温度が直接検知され、これに基づいて電動モータの負荷電流が制御されるので、電動モータの温度に対して精度よく負荷電流が制御される。また、センサは、ハウジングの内面に取り付けられるので、従来のように固定子に埋め込む構成に比して組付け性を良くすることができる。
【0007】請求項3記載の電動工具によれば、固定子に取り付けたセンサによりモータ冷却風の温度が直接検知されるので、前記と同様電動モータの温度に対して精度よく負荷電流が制御される。また、センサは、ハウジングに対する固定子の取り付け手段を利用して固定子に取り付けられる構成であるので、従来の固定子に埋め込む構成のように当該電動モータの組付け性を損なうこともない。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明の第1の実施形態を図1および図2に基づいて説明する。図1は、電動工具の一例としての電動グラインダ1を示している。この電動グラインダ1の略円筒形状をなすハウジング2には電動モータ3が内蔵されている。この電動モータ3の回転子4はハウジング2の中心部に沿って回転可能に支持されており、図1ではその後ろ側(図示右側)を回転可能に支持する軸受け5が見えているが、前側(図示左側)を回転可能に支持する軸受けは見えていない。回転子4の周囲には固定子6が配置されている。この固定子6はハウジングの内面に沿って固定ビス6a〜6aにより取り付けられている。回転子4の軸部4aの前側には、モータ冷却用の冷却ファン7が取り付けられている。この冷却ファン7にはいわゆる遠心ファンが用いられている。当該電動モータ3が起動して回転子4が回転することによりこの冷却ファン7が回転する。冷却ファン7が回転すると、後述するバッフルプレート8によりハウジング2の後部から前部に向かうモータ冷却風の流れが発生する。
【0009】モータ冷却風は、ハウジング2の後面(図示右端面)に設けた吸入口2a〜2aを経てハウジング2内吸入される。ハウジング2内に吸入されたモータ冷却風は、図中矢印で示したようにハウジング2の前側に流れて、主として回転子4と固定子6との間の隙間に流れ込み、これにより電動モータ3が冷却される。電動モータ3の冷却は、モータ冷却風が回転子4および固定子6から熱を奪うことによりなされる。従って、電動モータ3が冷却されるとモータ冷却風は暖められ、その温度は電動モータ3の温度にほぼ比例する。
【0010】回転子4と固定子6との間の隙間を経て回転子4の前方に流れたモータ冷却風は、回転子4の前方であって前記冷却ファン7の後ろ側に配置したバッフルプレート8に向かって流れる。このバッフルプレート8は合成樹脂の一体成形により概ね椀形状を形成されており、冷却ファン7の後ろ側(風上側)に被さるように取り付けられている。このバッフルプレート8の底部中心には通風孔8aが設けられている。冷却ファン7の吸引力によりモータ冷却風が図中矢印で示すようにこの通風孔8aを経てバッフルプレート8の内側に吸い込まれ、これによりモータ冷却風が絞られる。この通風孔8aを経てモータ冷却風が絞られることによりバッフルプレート8の内側(図示左側)におけるモータ冷却風の風量および風圧が増し、その勢いでバッフルプレート8の内面に沿って流れて、バッフルプレート8の前端部付近に設けた吹き出し口2b〜2bを経て外部に勢いよくかつ効率よく吹き出される。
【0011】このように、モータ冷却風を絞って効率よく外部に吹き出すことにより、結果的にモータ冷却風の確実な流れを発生させる機能を有するバッフルプレート8の後面には、モータ冷却風の温度を検知するための温度センサ10が取り付けられている。このバッフルプレート8の後面には温度センサ10を嵌め込んで保持するための凹部(図示省略)が一体に成形されている。このため、当該温度センサ10の組付け時には、該温度センサ10をこの凹部に嵌め込むだけで取り付け作業が完了する。この温度センサ10は、電動モータ3の後方に配置したコントローラCTに接続されている。このコントローラCTおよび温度センサ10は電動モータ3の制御回路Cに組み込まれている。図2は電動モータ3の制御回路Cを示している。この制御回路Cについては後述する。
【0012】ハウジング2の前端には、ギヤケース20が取り付けられており、回転子4の軸部4aの先端側はこのギヤケース20内に至っている。このギヤケース20内において、軸部4aはかさ歯車21,22を介して出力軸23に連結されている。出力軸23の先端側はギヤケース20から下方へ突き出されており、この突き出し部分に円形の砥石24が取り付けられている。砥石24の後ろ側半分はカバー25により覆われている。
【0013】次に、図2に示すように電動モータ3の制御回路Cには、前記温度センサ10が接続されており、この温度センサ10により検知される電動モータ3の温度が設定値に達すると、コントローラCTにより電動モータ3に供給される負荷電流が絞られて該電動モータ3の温度上昇が抑制されるようになっている。図2中、符号SWは、ハウジング2の側部に設けたスライド式のスイッチであり、このスイッチSWをオン側にスライド操作すると電動モータ3が起動する。
【0014】以上のように構成した第1実施形態の電動グラインダ1によれば、バッフルプレート8に取り付けた温度センサ10によってモータ冷却風の温度が検知され、この温度センサ10により検知される温度に基づいて電動モータ3に供給される負荷電流が絞られる構成であるので、従来モータの負荷電流を検知し、これに基づいて供給する負荷電流を絞る構成に比して、より高い精度で(モータの実際の温度に即して)負荷電流を制御することができる。このため、従来のように電動モータ3の温度はさほど高くない状態で一時的に負荷電流が高くなった場合等であっても、供給される負荷電流が絞られてしまうことはなく、これにより効率のよい作業性を維持することができる。
【0015】また、バッフルプレート8に温度センサ10を取り付ける構成であるので、従来の固定子に埋め込む構成に比して組付け性を良くすることができる。バッフルプレート8は合成樹脂の一体成形により製作されている。このバッフルプレート8の後面側に温度センサ10を嵌め込んで保持するための凹部(図示省略)を一体に形成しておくことにより、当該温度センサ10の組付け時には、この凹部に嵌め込むだけで取り付け作業が完了する。
【0016】以上説明した第1実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、図3に示すように温度センサ31をバッフルプレート8ではなく、ハウジング2の内面に取り付けてもよい。この構成が請求項2に記載した発明の実施形態(第2実施形態)に相当する。この第2実施形態は、温度センサ31の取り付け部位が異なる点以外は、前記第1実施形態と同様に構成されている。第1実施形態に比して変更を要しない部材および構成については説明を省略し、図3では同位の符号を用いる。この第2実施形態の場合も、電動モータ3よりもモータ冷却風の風下側であってバッフルプレート8よりも風上側となるスペースに温度センサ31が配置されることが望ましく、この位置に温度センサ31を取り付けるためのセンサ保持部32をハウジング2の内面に一体に成形しておけばよい。
【0017】この第2実施形態の電動グラインダ30によっても、温度センサ31によってモータ冷却風の温度が検知され、この検知信号がコントローラCTに入力され、これに基づいて電動モータ3に供給される負荷電流が制御される。温度センサ31により検知されたモータ冷却風の温度が予め設定した温度に達すると、コントローラCTにより電動モータ3の負荷電流が絞られ、これにより該電動モータ3の焼損が防止される。また、電動モータ3よりも風下側でモータ冷却風の温度を検知する構成であるので、従来よりも電動モータ3の実際の温度に即した精確な負荷電流制御を行うことができる。さらに、ハウジング2の内面に設けた保持部32に取り付ければ当該温度センサ31の組付け作業が完了するので、従来の固定子に温度センサを埋め込む構成に比して組付け性を良くすることができる。
【0018】次に、請求項3に記載した発明の実施形態(第3実施形態)を説明する。この第3実施形態は、モータ冷却風の温度を検知するためのセンサ41の取り付け部位に特徴を有しており、その他の点については前記第1および第2実施形態と同様であるので説明を省略し、以下の説明では同位の符号を用いる。図4に示すようにこの第3実施形態の電動工具40において、センサ41は、固定子6のハウジング2に対する取り付け手段を利用して該固定子6の前端面に取り付けられている。固定子6は、前記第1および第2実施形態と同様、固定ビス6a〜6aによりハウジング2の内面に沿って取り付けられている。適数ヶ所の固定ビス6a〜6aのうちの1箇所の固定ビス6aによりL型のブラケット42が固定子6の前端面(モータ冷却風の風下側端部)に共締めされている。このブラケット42を介して固定子6の前端面にセンサ41が取り付けられている。このセンサ41は、回転子4の風下側に配置されている。このセンサ41により検知されるモータ冷却風の温度がコントローラーCTに入力され、これに基づいて当該電動モータ3に供給される負荷電流が制御される点は、前記第1および第2実施形態と同様である。
【0019】このように構成した第3実施形態の構成によっても、センサ41によりモータ冷却風の温度が直接検知されるので、当該電動モータ3の実際の温度上昇に即した負荷電流制御を行うことができる。また、従来のようにセンサ41を固定子6に埋め込むのではなく、該固定子6のハウジング2に対する取り付け手段(固定ビス6a)を利用して所定の位置に取り付ける構成であるので、当該電動工具の組付け性を損なうこともない。
【0020】なお、この第3実施形態において固定ビス6a〜6aが、請求項3に記載した取り付け手段に相当するのであるが、センサ取り付けのために利用する固定子取り付け手段としては例示した固定ビス6aに限らない。例えば、固定子が弾性を有する複数の爪によってハウジングの内面に取り付けられる場合には、この爪を利用してセンサを取り付けることができる。また、固定子が接着によりハウジングに取り付けられる場合には、ブラケットあるいはセンサを一緒に接着する構成としてもよい。さらに、二つ割りハウジングを組み合わせることにより固定子が両ハウジング間に挟み込まれて自動的に所定位置に固定される構成の場合には、固定子とハウジングとの間にブラケットを挟み込んで固定し、このブラケットにセンサを取り付ける構成とすることもできる。
【0021】以上説明した第1〜第3実施形態は、電動工具の一例として電動グラインダ1(30,40)を例示したが、電動モータを内蔵したその他の電動工具にも同様に適用することができる。特に、内蔵した電動モータに大きな回転抵抗が負荷され、その結果負荷電流が高くなりやすい作業に用いられる電動工具に適用することにより大きな効果を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
【出願日】 平成12年6月29日(2000.6.29)
【代理人】 【識別番号】100064344
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 英彦 (外3名)
【公開番号】 特開2002−18745(P2002−18745A)
【公開日】 平成14年1月22日(2002.1.22)
【出願番号】 特願2000−196725(P2000−196725)