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【発明の名称】 電動工具及び電動工具管理システム
【発明者】 【氏名】鈴木 均

【氏名】渡邊 将裕

【要約】 【課題】使用実績に応じてメンテナンス作業を要する電動工具において、適切な時期にメンテナンス作業を行うことができる電動工具を実現する。

【解決手段】電動工具の使用実績情報を記憶する使用実績情報記憶手段128と、電動工具のメンテナンス条件を記憶するメンテナンス条件記憶手段128と、電動工具の使用により発生する物理情報に基づいて、使用実績情報記憶手段に記憶されている使用実績情報を更新する更新手段39と、更新手段39により更新した使用実績情報と前記メンテナンス条件記憶手段に記憶されているメンテナンス条件とに基づいて、メンテナンスの要否を報知するメンテナンス報知手段(39、124、34)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 使用実績に応じてメンテナンス作業を要する電動工具であって、該電動工具の使用実績情報を記憶する使用実績情報記憶手段と、該電動工具のメンテナンス条件を記憶するメンテナンス条件記憶手段と、該電動工具の使用により発生する物理情報に基づいて、前記使用実績情報記憶手段に記憶されている使用実績情報を更新する更新手段と、該更新手段により更新した使用実績情報と前記メンテナンス条件記憶手段に記憶されているメンテナンス条件とに基づいて、メンテナンスの要否を報知するメンテナンス報知手段を有する電動工具。
【請求項2】 請求項1に記載の電動工具において、さらに、前記報知手段によるメンテナンスが必要である旨の報知が行われた後の所定のタイミングで、前記電動工具を動作不能とする手段を有する電動工具。
【請求項3】 使用実績に応じてメンテナンス作業が必要となる電動工具本体と、該電動工具本体にメンテナンス条件を設定するためのメンテナンス条件設定装置とを有する電動工具であって、前記メンテナンス条件設定装置には、メンテナンス条件を入力するメンテナンス条件入力手段と、該メンテナンス条件入力手段により入力されたメンテナンス条件を前記電動工具本体に送信する送信手段とを有し、前記電動工具本体には、前記送信手段から送信されたメンテナンス条件を受信する受信手段と、該受信手段で受信したメンテナンス条件を記憶するメンテナンス条件記憶手段と、前記電動工具本体の使用実績情報を記憶する使用実績情報記憶手段と、前記電動工具本体の使用により発生する物理情報に基づいて、前記使用実績情報記憶手段に記憶されている使用実績情報を更新する更新手段と、該更新手段により更新した使用実績情報と前記メンテナンス条件記憶手段に記憶されているメンテナンス条件とに基づいて、メンテナンスの要否を報知するメンテナンス報知手段を有する電動工具。
【請求項4】 複数の電動工具と、その複数の電動工具毎の使用実績を管理する管理装置を有する電動工具管理システムであって、前記各電動工具には、その電動工具に付与された識別情報及びその電動工具の使用実績情報とを前記管理装置に送信する送信手段を有し、前記管理装置には、前記各電動工具の使用実績情報を識別情報に対応付けて電動工具毎に記憶する使用実績情報記憶手段と、電動工具から送信された識別情報及び使用実績情報を受信する受信手段と、該受信手段により識別情報及び使用実績情報を受信したときに、その受信した識別情報に基づいて前記使用実績情報記憶手段に記憶されている使用実績情報を特定し、その特定した使用実績情報を前記受信した使用実績情報に基づいて更新する更新処理手段を有する電動工具管理システム。
【請求項5】 請求項4に記載の電動工具管理システムにおいて、さらに、電動工具の識別情報及びその電動工具のメンテナンス条件を入力するメンテナンス条件入力手段と、該入力されたメンテナンス条件を該入力された識別情報に対応付けて電動工具毎に記憶するメンテナンス条件記憶手段と、前記受信手段で受信した識別情報に基づいて前記メンテナンス条件記憶手段に記憶されているメンテナンス条件を特定し、その特定したメンテナンス条件と前記更新処理手段により更新した使用実績情報とに基づいてメンテナンス指示情報を出力する出力手段とを有する電動工具管理システム。
【請求項6】 請求項5に記載の電動工具管理システムにおいて、前記電動工具から送信される使用実績情報は、所定期間内にその電動工具により行われた使用実績に関する情報であり、前記出力手段は、さらに前記所定期間内にその電動工具により行われ得る使用実績を考慮してメンテナンス情報を出力するものである電動工具管理システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、使用実績に応じてメンテナンス作業が必要となる電動工具及び電動工具管理システムに関し、詳しくはメンテナンス作業を的確な時期に行うための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】 電動工具では、モータ等の駆動源により工具を駆動して所定の作業を行う。このような電動工具においては、駆動源の駆動によって磨耗する消耗部品等(例えば、モータ等の回転によって磨耗する部品)があるため、一定期間使用する毎にこのような消耗部品を交換する交換作業が必要となる。特に作業精度が要求される工具(例えば、ナット類を所定の締付トルクで締付けるトルクレンチ等)において消耗部品の交換作業が行われないと、その工具で行われる作業精度(上述した例の場合にはトルク精度)が確保されないこととなる。このような問題を解決するためには、使用する工具毎に管理番号等を付けて工具毎に使用時間や使用回数を記録しメンテナンス作業を行う等の方法が考えられるが、多くの工具を使用する工場や作業現場等においては現実的に難かしい場合が多い。したがって、従来は全ての工具に一律にメンテナンス期間を定めて、その期間毎にメンテナンス作業(点検等)を行うことで、不具合が生じる前に消耗部品を交換するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上述したメンテナンス方法では、予め定められた期間毎にメンテナンス作業を行うため、メンテナンス作業を行う期間を短く設定するとメンテナンス作業の必要がないものにまでメンテナンス作業を施す場合があり、逆に、メンテナンス作業を行う期間を長く設定すると、メンテナンス作業が必要なものにメンテナンス作業が施されず、作業中に電動工具が停止してしまう場合が生じ得る。特に、工場等の生産ラインで使用される電動工具の場合には、作業中にその電動工具が使用できなくなると生産ラインを止める等の大きな問題となる。このため、このような電動工具ではメンテナンス作業を行う期間を短めに設定することとなり効率的なメンテナンス作業を行うことができなかった。
【0004】本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用実績を考慮することで、適切な時期にメンテナンス作業を行うことができる電動工具及び電動工具管理システムを提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】 上記課題を解決するため請求項1に記載の電動工具は、使用実績に応じてメンテナンス作業を要する電動工具であって、該電動工具の使用実績情報を記憶する使用実績情報記憶手段と、該電動工具のメンテナンス条件を記憶するメンテナンス条件記憶手段と、該電動工具の使用により発生する物理情報に基づいて、前記使用実績情報記憶手段に記憶されている使用実績情報を更新する更新手段と、該更新手段により更新した使用実績情報と前記メンテナンス条件記憶手段に記憶されているメンテナンス条件とに基づいて、メンテナンスの要否を報知するメンテナンス報知手段を有する。ここで、上記「使用実績」とは、電動工具が使用された回数、時間等のことをいい、上記「使用実績情報」とは、上記使用実績に関連する情報であり、例えば、起動スイッチの操作回数、バッテリ装置の脱着回数、駆動源の稼動時間、電動工具の作業回数等をいう。また、上記「物理情報」としては、上記使用実績情報を算出することができるものであればどのようなものでも良く、例えば、起動スイッチの操作やバッテリ装置の脱着や駆動源の駆動等により発生する電気信号であっても良いし、また、電動工具が使用され作業を行うことにより検出可能な加速度、音等であっても良い。
【0006】上記電動工具では、電動工具の使用実績情報を記憶する使用実績情報記憶手段と、電動工具のメンテナンス条件を記憶するメンテナンス条件記憶手段が設けられる。そして、電動工具が使用されると、その使用により発生する物理情報に基づいて使用実績情報が更新され、その更新された使用実績情報と記憶されているメンテナンス条件とに基づいてメンテナンスの要否が報知される。したがって、電動工具が使用されることで更新される使用実績情報に基づいてメンテナンスの要否が報知されるため、適切なタイミングでメンテナンス作業が行われる。
【0007】なお、上記「メンテナンス報知手段」としては、メンテナンスの要否が報知できるものであればどのようなものでも良く、例えば、作業者の視覚により認識されるもの(例えば、LED等の表示器)を利用して行っても良いし、また、作業者の聴覚により認識されるもの(例えば、ブザー等の音声発生器)を利用して行っても良い。
【0008】ここで、請求項1に記載の電動工具においては、さらに、前記報知手段によるメンテナンスが必要である旨の報知が行われた後の所定のタイミングで、前記電動工具を動作不能とする手段を有することが好ましい(請求項2)。このような構成によれば、メンテナンスが必要であることの報知が行われるとその後の所定のタイミングで電動工具が動作不能となる。したがって、報知が行われた後はメンテナンスを行う必要が生じるため、メンテナンス要の報知がされても電動工具のメンテナンスが行われないという事態が防止できる。
【0009】また、上記課題を解決するために請求項3に記載の電動工具は、使用実績に応じてメンテナンス作業が必要となる電動工具本体と、該電動工具本体にメンテナンス条件を設定するためのメンテナンス条件設定装置とを有する電動工具であって、前記メンテナンス条件設定装置には、メンテナンス条件を入力するメンテナンス条件入力手段と、該メンテナンス条件入力手段により入力されたメンテナンス条件を前記電動工具本体に送信する送信手段とを有する。そして、前記電動工具本体には、前記送信手段から送信されたメンテナンス条件を受信する受信手段と、該受信手段で受信したメンテナンス条件を記憶するメンテナンス条件記憶手段と、前記電動工具本体の使用実績情報を記憶する使用実績情報記憶手段と、前記電動工具本体の使用により発生する物理情報に基づいて、前記使用実績情報記憶手段に記憶されている使用実績情報を更新する更新手段と、該更新手段により更新した使用実績情報と前記メンテナンス条件記憶手段に記憶されているメンテナンス条件とに基づいて、メンテナンスの要否を報知するメンテナンス報知手段を有する。
【0010】上記電動工具によれば、メンテナンス条件設定装置から入力されたメンテナンス条件が電動工具本体に送信されて、電動工具本体のメンテナンス条件記憶手段に記憶される。これにより、請求項1に記載の電動工具と同様の効果を得ることができる。また、メンテナンス条件がメンテナンス条件設定装置により適宜変更修正できるため、電動工具毎に微調整が可能となる。
【0011】ここで、前記メンテナンス条件設定装置には、さらに、前記メンテナンス条件設定スイッチから入力されたメンテナンス条件を記憶するメンテナンス条件記憶手段を備えることが好ましい。このような構成によれば、メンテナンス条件記憶手段に記憶したメンテナンス条件を適宜読み出して確認することができる。また、前記メンテナンス条件設定装置と前記電動工具本体は分離できることが好ましい。このような構成によれば、工具管理者のみがメンテナンス条件設定装置を管理することで、作業者が勝手にメンテナンス条件を変更することを防止することができる。なお、メンテナンス条件設定装置と電動工具本体は有線又は無線によりメンテナンス条件の送受信を行うことができるが、無線により行えば信号線の接続等を行う必要がないため有効である。
【0012】また、上記課題を解決するために請求項4に記載の電動工具管理システムは、複数の電動工具と、その複数の電動工具毎の使用実績を管理する管理装置を有する電動工具管理システムであって、前記各電動工具には、その電動工具に付与された識別情報及びその電動工具の使用実績情報とを前記管理装置に送信する送信手段を有する。そして、前記管理装置には、前記各電動工具の使用実績情報を識別情報に対応付けて電動工具毎に記憶する使用実績情報記憶手段と、電動工具から送信された識別情報及び使用実績情報を受信する受信手段と、該受信手段により識別情報及び使用実績情報を受信したときに、その受信した識別情報に基づいて前記使用実績情報記憶手段に記憶されている使用実績情報を特定し、その特定した使用実績情報を前記受信した使用実績情報に基づいて更新する更新処理手段を有する。
【0013】上記電動工具管理システムでは、管理装置の使用実績情報記憶手段に電動工具の使用実績情報が識別情報と対応付けて記憶されており、電動工具から送信された識別情報及び使用実績情報を受信すると、使用実績記憶手段に記憶されたその電動工具に係る使用実績情報が更新される。したがって、この更新された使用実績情報からメンテナンス時期を判断することができるため、適切な時期にメンテナンス作業を行うことができる。
【0014】請求項4に記載の電動工具管理システムにおいては、さらに、電動工具の識別情報及びその電動工具のメンテナンス条件を入力するメンテナンス条件入力手段と、該入力されたメンテナンス条件を該入力された識別情報に対応付けて電動工具毎に記憶するメンテナンス条件記憶手段と、前記受信手段で受信した識別情報に基づいて前記メンテナンス条件記憶手段に記憶されているメンテナンス条件を特定し、その特定したメンテナンス条件と前記更新処理手段により更新した使用実績情報とに基づいてメンテナンス指示情報を出力する出力手段とを有することが好ましい(請求項5)。上記構成によれば、更新された使用実績情報とメンテナンス条件記憶手段に記憶されているメンテナンス条件とに基づいて、自動的にメンテナンス指示情報が出力されるので、メンテナンス作業をより確実に適切な時期に行うことができる。ここで、出力されたメンテナンス指示情報は、どのような形態で作業者及び/又は作業管理者に報知されても良い。例えば、作業者に報知する場合には、上記管理装置からメンテナンス指示情報を電動工具に送信することで作業者に報知しても良いし、一方、作業管理者に報知する場合には、メンテナンス指示情報に基づいてディスプレイ等にメンテナンスの要否を表示するようにしても良い。
【0015】なお、請求項4又は5に記載の電動工具管理システムにおいては、電動工具から管理装置への識別情報及び使用実績情報の送信は、どのようなタイミングで行われても良く、例えば、電動工具が使用される毎(例えば、起動スイッチがONされる毎又は起動スイッチがOFFされる毎)に行われても良く、逆に、所定期間毎(1日の作業毎)に行われるようにしても良い。電動工具が使用される毎に送信する場合には、リアルタイムに電動工具の使用実績が管理できる。一方、所定期間毎に送信する場合には、データ送信の回数を減らすことができる。所定期間毎に識別情報及び使用実績情報を送信する場合は、下記の形態とすることが好ましい。すなわち、請求項6に記載の電動工具管理システムは、請求項5に記載の電動工具管理システムにおいて、前記電動工具から送信される使用実績情報は、所定期間内にその電動工具により行われた使用実績に関する情報であって、前記出力手段は、さらに前記所定期間内にその電動工具により行われ得る使用実績を考慮してメンテナンス情報を出力するものである。このような構成によれば、所定期間内の使用実績がまとめて管理装置に送られるため送信回数が少なくなり、また、出力されるメンテナンス指示情報は所定期間内に行われ得る使用実績を考慮して出力される。したがって、例えば、作業開始時に識別情報及び使用実績情報の送受信を行うようにすれば、作業中にメンテナンスが必要となる電動工具に付いては作業開始前にメンテナンス指示情報を出力することができる。このため、作業中にメンテナンスが必要となる電動工具が作業に使用されないため、作業中に電動工具に不具合が生じることを確実に防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】 上述した本発明は、下記に示す各形態で好適に実施することができる。
(形態1) 請求項1に記載の電動工具において、前記電動工具は、工具と、該工具を駆動する駆動源と、該駆動源を起動する起動スイッチを備えており、前記使用実績情報が前記起動スイッチの操作回数であり、前記メンテナンス条件が前記起動スイッチの操作回数で設定されており、前記報知手段は、前記使用実績情報の操作回数が前記設定された操作回数と所定の関係となったときにメンテナンスが必要であることの報知を行うものである電動工具。このような構成では、起動スイッチの操作回数が使用実績情報とされるため、簡易な形態(例えば、起動スイッチを操作することによって出力される起動信号をカウントすること)で使用実績情報を求めることができる。
【0017】(形態2) 請求項1に記載の電動工具において、前記電動工具は、工具と、該工具を駆動する駆動源と、該駆動源に電力を供給する脱着式のバッテリ装置を備えており、前記使用実績情報が前記バッテリ装置の脱着回数であり、前記メンテナンス条件が前記バッテリ装置の脱着回数で設定されており、前記報知手段は、前記使用実績情報の脱着回数が前記設定された操作回数と所定の関係となったときにメンテナンスが必要であることの報知を行うものである電動工具。このような構成によっても、簡易な形態(例えば、バッテリ装置を装着することによってバッテリ装置から供給される電力の立上がりを検出すること)で使用実績情報を求めることができる。
【0018】(形態3) 請求項1に記載の電動工具において、前記電動工具は、工具と、該工具を駆動する駆動源とを備えており、前記使用実績情報が前記駆動源の稼動時間であり、前記メンテナンス条件が前記駆動源の稼動時間で設定されており、前記報知手段は、前記使用実績情報の稼動時間が前記設定された稼動時間と所定の関係となったときにメンテナンスが必要であることの報知を行うものである電動工具。このような構成では、駆動源の稼動時間が使用実績情報とされるため、より正確に電動工具の使用実績が求められ、より適切なタイミングでメンテナンスが必要である旨の報知を行うことができる。
【0019】(形態4) 請求項1に記載の電動工具おいて、前記使用実績情報記憶手段には、複数種類の使用実績情報が記憶されており、前記メンテナンス条件は前記使用実績情報の種類毎に設定されており、前記報知手段が、前記設定されたメンテナンス条件のいずれか一つが所定の関係となったときにメンテナンスが必要であることの報知を行うものである電動工具。このような構成によれば、複数種類の使用実績情報に基づいてメンテナンスが必要か否かが判断されるため、より正確にメンテナンスの要否を判断することができる。
【0020】
【実施例】 次に本発明を具現化した一実施例に係る電動工具(ソフトインパクトドライバ)及びその管理装置からなる電動工具管理システムを説明する。図1は電動工具管理システムの概略構成を示している。この電動工具管理システムは、ネジの締付を行うソフトインパクトドライバ1と、このソフトインパクトドライバ1とデータの送受信を行うことによってソフトインパクトドライバ1の機能設定や、ソフトインパクトドライバ1の使用実績等を管理する管理装置50とで構成される。
【0021】まず、ソフトインパクトドライバ1の機械的構成について図2を参照して説明する。図2はソフトインパクトドライバ1の一部断面側面図を示している。図2に示すソフトインパクトドライバ1は、ハウジング3内に駆動源であるモータ22(図示省略:但し図3に表示)が収容固定されている。そのモータ22の出力軸20は遊星歯車機構16に接続され、遊星歯車機構16の出力軸14は緩衝機構12を介してオイルユニット10に接続される。このオイルユニット10は、その出力軸8に瞬間的に大きなトルク(オイルパルス)を発生させる装置であり、緩衝機構12はオイルユニット10によるオイルパルス発生時の衝撃がダイレクトに遊星歯車機構16側に伝達されることを防止するための機構(例えば、実開平7−31281号等)である。そして、オイルユニット10の出力軸8にはベベルギヤ6が連結されており、このベベルギヤ6に出力軸8に対して直交状に軸支されるスピンドル2と一体のベベルギヤ4が噛合している。スピンドル2の先端にはナット類の頭部に係合する図示されていないボックスが取付けられる。したがって、ソフトインパクトドライバ1においてモータ22が回転すると、その回転が遊星歯車機構16を介してオイルユニット10に伝達される。そして、ナット類を締付け始める初期の段階においてはスピンドル2への負荷が低いため、オイルユニット10はオイルパルスを発生させること無く、モータ22から伝達された回転がそのままオイルユニット10を介してスピンドル2へ伝達される。そして、ナット類が締付けられてスピンドル2への負荷が高くなると、オイルユニット10からオイルパルスが発生し、その衝撃力によりナット類が締付けられることとなる。
【0022】また、このようなソフトインパクトドライバ1のハウジング3表面には通信窓18が設けられ、この通信窓18に近接するハウジング3内部には、管理装置50とデータの送受信を行うための赤外線LED37及びフォトダイオード38が配される(図3参照)。また、赤外線LED37及びフォトダイオード38の近接した場所には、作業者にメンテナンスの要否等を報知するための赤色LED34、緑色LED35が配されている。また、ハウジング3表面の通信窓18の反対側には、モータ22を起動するためのメインスイッチ26が設けられる。このメインスイッチ26の下側のハウジング3内には、制御基板36が取付けられており、ここにマイクロコンピュータ39や駆動回路116等の電子部品が実装されている。また、この制御基板36には、オイルユニット10によるオイルパルス発生時の衝撃音を受音する受音部30(コンデンサマイク)が組込まれている。なお、ハウジング3の下端には、モータ22やマイクロコンピュータ39等に電力を供給するバッテリパック122が着脱可能に取付けられている。
【0023】次に、図3を参照してソフトインパクトドライバ1の制御系の構成を説明する。制御基板36に取付けられているマイクロコンピュータ39はCPU110、ROM118、RAM120とI/O108が1チップ化されたマイクロコンピュータであり、図3に示すように接続されている。このマイクロコンピュータ39のROM118には、管理装置50とデータを送受信するためのプログラムや、管理装置50から送信されたデータに基づいてソフトインパクトドライバ1の動作モード(機能)を設定する設定プログラムや、この設定された動作モードにしたがってモータ22の動作を制御する制御プログラム等が記憶される。受音部30はフィルタ102を介して比較器104の一方の端子に接続されている。比較器104の他方の端子には基準電圧発生器112の電圧V3が入力される。比較器104の出力電圧はマイクロコンピュータ39に入力される。なお、電源であるバッテリパック122は、電源回路130を介してマイクロコンピュータ39に接続されるとともに、メインスイッチ26、正逆転切替スイッチ24を介してモータ22に接続されている。また、このモータ22には、駆動回路116及びブレーキ回路114を介してそれぞれマイクロコンピュータ39が接続される。したがって、上述した回路では、受音部30で音を検出すると、これにより受音部30から電圧V1が発生する。この電圧V1は、フィルタ102で低周波ノイズが除去され、電圧V2となって比較器104に出力される。比較器104はフィルタ102から出力された電圧V2が他方の比較電圧V3よりも高くなるとオフからオンすることによりパルス波を出力する。比較器104から出力されたパルス波は、マイクロコンピュータ39によりカウントされる。したがって、マイクロコンピュータ39でカウントしたパルス波の数は、受音部30で検出する音(オイルパルスの衝撃音)の検出回数となる。
【0024】また、赤色LED34はLED点灯回路124を介して、緑色LED35はLED点灯回路125を介して、赤外線LED37は赤外線LED点灯回路126を介して、フォトダイオード38は電気信号発生回路127を介してそれぞれマイクロコンピュータ39に接続されており、また、メモリ回路128もマイクロコンピュータ39に接続されている。
【0025】このメモリ回路128は、図4に示すように$00〜$26までの領域に区分けされ、この各領域に各種データが格納される。すなわち、領域$00〜$02にはソフトインパクトドライバ1の動作を制御する際に必要となるデータ(動作モード、タイマーオートストップ設定値、打撃カウントオートストップ設定値)が記憶される。具体的には、領域$00にはソフトインパクトドライバ1の動作モードを設定するためのデータが格納される。このデータは、図5に示すようにD0〜D7までの8ビットのデータで構成され、D0にはバッテリオートストップモードのOFF(0)又はON(1)を示すデータが、D1には停止モード(0)又は通常モード(1)かを示すデータが、D2、D3には連続動作モード(00)・タイマーオートストップモード(01)・打撃カウントオートストップモード(10)のいずれかを示すデータが、D4にはメンテナンスアラームモードのOFF(0)又はON(1)を示すデータが格納される。ここで、バッテリオートストップモードとは、モータ22の起動時にバッテリ電圧の降下値を読取り、バッテリ残容量が少なくなったらモータ22を自動的に停止する機能である。また、停止モードはメインスイッチ26を操作してもモータ22を回転させないモード(誤操作防止及び盗難防止のため)であり、通常モードはメインスイッチ26の操作によりモータ22を回転させ作業を行うモードである。また、連続動作モードとはメインスイッチ26を操作し続ける限りモータ22を回転させるモードであり、タイマーオートストップモードとは最初のオイルパルスの発生(すなわち、最初の衝撃音を受音部30で検出)から設定時間経過したときにモータ22を自動的に停止するモードであり、打撃カウントオートストップモードとは設定した回数だけオイルパルスが発生(すなわち、衝撃音を受音部30で設定回数だけ検出)したときにモータ22を停止するモードをいう。上記タイマーオートストップモードで必要となる設定時間が、領域$01に設定される。すなわち、図6に示すように領域$01には8ビットのデータ、すなわち0〜255までの数値が設定され、設定された数値に0.1秒を乗じた時間が設定時間となる。また、上記打撃カウントオートストップモードで必要となる設定数は、領域$02に記憶される。領域$02に設定されるデータは、領域$01と同様に0〜255までの数値が設定され、設定された数値を2倍した数値に1を足した数が設定数となる。また、メンテナンスアラームモードとは、ソフトインパクトドライバ1の使用実績情報と設定したメンテナンス条件が一致したときに、メインスイッチ26を操作してもモータ22が動作しないようにするモードである。なお、このモードでは、モータ22を動作しないようにする前の所定のタイミングで赤色LED34を点灯して作業者に警告を行うようになっている。上記メンテナンスアラームモードで必要となるソフトインパクトドライバ1の使用実績情報及びメンテナンスアラーム条件が、領域$03〜$20までの領域に記憶される。本実施例では、メンテナンスアラーム条件として、メインスイッチ26の操作回数、バッテリパック122の脱着回数、モータ22の稼動時間、遊星歯車機構16等のギヤ及びモータ22の稼動時間を設定しているため、これら各項目の使用実績情報及びメンテナンスアラーム条件が記憶されるようになっている。例えば、領域$03〜$05には実際に行われたメインスイッチ26の操作回数が記憶され、領域$06〜$08にはメンテナンスアラーム条件となるメインスイッチ26の操作回数が設定される。このように本実施例においてメンテナンスアラーム条件を複数設定しているのは、メンテナンス(交換作業)を要する各部品(メインスイッチ26、バッテリ122と本体の電気的接点、モータ22、遊星歯車機構16等のギヤ、オイルユニット10)の耐久性がそれぞれ異なるためである。したがって、本実施例においてはメンテナンス条件のいずれか一つが満足された場合に、モータ22が停止しメンテナンス作業が行われることとなる。また、領域$21〜$26には、ソフトインパクトドライバ1の識別情報が格納される。具体的には、領域$21〜$23にはソフトインパクトドライバ1のモデル名を特定するための情報が格納され、領域$24〜$26にはソフトインパクトドライバ1のシリアル番号が格納される。
【0026】次に、管理装置50について図8、図9に基づいて説明する。管理装置50は、上述したソフトインパクトドライバ1とデータの送受信を行うための装置であり、図8に示すように側面には電源スイッチ54が設けられ、また、その表面には各種入力スイッチ(機能ON/OFFスイッチ56、アラーム設定スイッチ58、YESスイッチ60、NOスイッチ62、オートストップスイッチ64、使用状況スイッチ66)と作業管理者が入力情報を確認等するためのディスプレイ52が設けられる。管理装置50の制御系は、図9に示すように、マイクロコンピュータ76を中心に構成される。このマイクロコンピュータ76は、CPU80、ROM82、RAM84とI/O78が1チップ化されたものである。マイクロコンピュータ76のROM82には、ソフトインパクトドライバ1とデータを送受信するためのプログラムや、ソフトインパクトドライバ1から送信されたデータ(使用実績情報)に基づいてメンテナンスアラームの要否を表示するプログラム等が記憶される。マイクロコンピュータ76には、各種入力スイッチ(機能ON/OFFスイッチ56、使用状況スイッチ66、アラーム設定スイッチ58、オートストップスイッチ64、YESスイッチ60、NOスイッチ62)が接続され、これらスイッチが操作されることによる発生する信号をマイクロコンピュータ76で受信する。また、マイクロコンピュータ76にはディスプレイ52が接続され、マイクロコンピュータ76から出力されるLCD表示信号に基づいてディスプレイ52には各種情報が表示される。さらに、マイクロコンピュータ76には赤外線LED点灯回路86を介して赤外線LED68が接続され、電気信号発生回路88を介してフォトダイオード70が接続されている。この赤外線LED68は赤外線を出力することでソフトインパクトドライバ1にデータを送信する機能を有し、フォトダイオード70はソフトインパクトドライバ1から送信されたデータ(ソフトインパクトドライバ1の赤外線LED37から出力された赤外線)を受信する機能を有する。この、マイクロコンピュータ76には、バッテリ72(管理装置50内に収容)から電源スイッチ54及び電源回路74を介して電力が供給される。また、マイクロコンピュータ76には、管理装置50で管理する各ソフトインパクトドライバ1の管理データを格納するメモリ回路90が接続される。このメモリ回路90は、管理装置50で管理する複数のソフトインパクトドライバ毎にその管理データを格納する領域が区分けされており、この区分けされた領域には図4に示すデータと同一データが格納されるようになっている。
【0027】次に、上述したように構成される電動工具管理システムの作用について説明する。本実施例にかかわる電動工具管理システムでは、まず、作業開始前に作業管理者によりソフトインパクトドライバ1の動作モード設定、オートストップ設定等の設定作業が行われ、この設定作業が行われた後で作業者による作業が行われる。そして、作業が行われた後(次の日の作業開始前)には、その作業によるソフトインパクトドライバ1の使用実績を考慮してメンテナンスの要否が判断される。以下、(1)作業管理者による設定作業、(2)作業者による作業、(3)作業管理者によるメンテナンス要否の確認操作、の各場合に分けて電動工具管理システムの動作を説明する。
【0028】(1)作業管理者による設定作業作業管理者による設定作業について図10に基づいて説明する。図10は、作業管理者による動作モード等の設定手順を示している。作業者管理者は、管理装置50の電源スイッチ54をONする(S01)。そして、設定したい事項を機能ON/OFFスイッチ56、使用状況スイッチ66、アラーム設定スイッチ58、オートストップスイッチ64のいずれか一つを押すことで選択する(S10、S20、S40、S60)。
【0029】(I)モード設定機能ON/OFFスイッチ56を選択すると、ソフトインパクトドライバ1にバッテリオートストップモードや、タイマーオートストップモード等の各種モード(各種機能)を設定(ON/OFF)するための送信データの作成が行われる。機能ON/OFFスイッチ56が選択されたときの作業管理者による操作を図11に基づいて説明する。図11に示すように、機能ON/OFFスイッチ56が選択されるとディスプレイ52に「バッテリストップアリ?」の文字が表示される(S11)。したがって、作業管理者はバッテリオートストップモードをONする場合はYESスイッチ60を選択し、OFFする場合にはNOスイッチ62を選択する。YESスイッチ60を選択した場合には、ソフトインパクトドライバ1に送信される8ビットのデータ(図5に示す領域$01に格納されるD0〜D7に相当)の中のD0に1が設定され、NOスイッチ62が設定された場合にはD0に0が設定され、しかる後ステップS12に進む。ステップS12に進むと、ディスプレイ52に「タイマーオートストップアリ?」の文字が表示される。したがって、作業管理者はタイマオートストップモードをONする場合はYESスイッチ60を選択し、OFFする場合にはNOスイッチ62を選択する。YESスイッチ60を選択した場合には、送信データ(D0〜D7)の中のD3、D2に00が設定されてステップS15に進み、NOスイッチ62が選択された場合にはそのままステップS13に進む。ステップS13に進むと、次にディスプレイ52に「カウンタオートストップアリ?」と表示される。したがって、作業管理者はカウンタオートストップモードをONする場合はYESスイッチ60を選択し、OFFする場合にはNOスイッチ62を選択する。YESスイッチ60を選択した場合には、送信データ(D0〜D7)の中のD3、D2に(1、0)が設定されてステップS15に進み、NOスイッチ62が選択された場合にはそのままステップS14に進む。ステップS14に進むと、次にディスプレイ52に「テイシモード?」と表示される。したがって、作業管理者は停止モードを選択する場合にはYESスイッチ60を選択し、停止モードを選択しない場合にはNOスイッチ62を選択する。YESスイッチ60を選択した場合には、送信データ(D0〜D7)の中のD3、D2、D1に(0、0、0)が設定されてステップS15に進み、NOスイッチ62が選択された場合には、送信データ(D0〜D7)の中のD3、D2、D1に(0、0、1)が設定される。ステップS15に進むと、次にディスプレイ52に「メンテナンスアラームアリ?」と表示される。したがって、作業管理者はメンテナンスアラームモードをONする場合はYESスイッチ60を選択し、OFFする場合にはNOスイッチ62を選択する。YESスイッチ60を選択した場合には、送信データ(D0〜D7)の中のD4に1が設定され、NOスイッチ62が選択された場合にはD4に0が設定される。これにより各モード(機能)をONするかOFFするかを指示する1バイトの送信データが作成される。この作成されたデータは、後で詳述するデータ転送処理(図10のステップS03)によりソフトインパクトドライバ1に送信される。
【0030】(II)使用実績設定使用状況スイッチ66を選択するとソフトインパクトドライバ1のメモリ回路128に記憶されている使用実績情報(メインスイッチ26の操作回数、バッテリ122の脱着回数等)を設定(リセット)するための送信データの作成を行う。すなわち、ソフトインパクトドライバ1に対してメンテナンス作業を行い交換した部品がある場合には、その部品についての使用実績情報の再設定(リセット)を行う。例えば、メインスイッチ26とオイルユニット10を交換した場合には、メインスイッチ26とオイルユニット10のみの使用実績情報のリセットを行う。このように個別に使用実績情報のリセットを行うことで、本実施例では効率的な部品交換を可能としている。以下、使用状況スイッチ66が選択されたときの作業管理者による操作を図12に基づいて説明する。図12に示すように、使用状況スイッチ66が選択されるとまずディスプレイ52に設定したいソフトインパクトドライバ1の識別情報(モデル名、シリアル番号)を入力する(S21)。したがって、作業管理者はまずYESスイッチ60及びNOスイッチ62を操作することで、設定を行いたいソフトインパクトドライバ1のモデル名を入力する。入力されたモデル名はディスプレイ52に「モデルOOOO」と表示される(S22)。モデル名が正しい場合にはYESスイッチ60を選択し、モデル名が誤っている場合には再度モデル名を入力する。モデル名の入力が終わると、次にシリアル番号を入力する。入力されたシリアル番号はディスプレイ52に「No.OOOO」と表示される(S23)。シリアル番号が正しい場合にはYESスイッチ60を選択し、シリアル番号が誤っている場合には再度シリアル番号を入力する。上記ステップS22及びステップS23で入力した情報から対象となるソフトインパクトドライバ1が特定できるため、マイクロコンピュータ76はその特定したソフトインパクトドライバ1の使用実績情報を検索して、まずメインスイッチ26の操作回数を読み出す。そして、その検索して読出した操作回数をディスプレイ52に「スイッチOOOO」と表示する(S24)。作業管理者は現在の操作回数を確認した後、YESスイッチ60を押して次に進む。YESスイッチ60が押されると、次にディスプレイ52に「スイッチリセットシマスカ?」と表示される(S25)。メインスイッチ26をメンテナンス作業により交換している場合には、YESスイッチ60を選択することによりソフトインパクトドライバ1に送信するデータ(図4の領域$03〜$05のデータに相当)を0に設定する。逆に、メインスイッチ26の操作回数をリセットする必要がない場合には、NOスイッチ62を選択して次のステップに進む。そして、以下、バッテリ122の脱着回数をリセットするか否か(S26、S27)、モータ22の稼働時間をリセットするか否か(S28、S29)、遊星歯車機構16等のギヤの稼働時間をリセットするか否か(S30、S31)、オイルユニット10の稼働時間をリセットするか否か(S32、S33)について、上述した操作と同一の操作を行う。以上の手順により設定された送信データは、上述した(I)モード設定の場合と同様に、後で詳述するデータ転送処理(図10のステップS03)によりソフトインパクトドライバ1に送信される。
【0031】(III)アラーム設定アラーム設定スイッチ58を選択すると、ソフトインパクトドライバ1にメンテナンスアラーム条件を設定するための送信データの作成を行う。アラーム設定スイッチ58が選択されたときの作業管理者による操作を、図13に基づいて説明する。アラーム設定スイッチ58が選択されると、図13に示すように、まずディスプレイ52に「アラームスイッチヘンコウ?」の文字が表示される(S41)。したがって、作業管理者はメインスイッチ26のメンテナンスアラームの回数を設定する場合はYESスイッチ60を選択し、設定しない場合にはNOスイッチ62を選択する。NOスイッチ62を選択した場合にはステップS43に進み、YESスイッチ60を選択した場合には、ディスプレイ52に「スイッチOOOO」と表示される(S42)。したがって、作業管理者は機能ON/OFFスイッチ56を押すことにより設定する操作回数を増加し、又は、使用状況スイッチ66を押すことにより設定する操作回数を減ずる。そして、所望の回数となった後、YESスイッチ60を押して次のステップに進む。以下、上述した手順と同様にメンテナンスアラームを行うバッテリ122の脱着回数を設定し(S43、S44)、メンテナンスアラームを行うモータ22の稼働時間を設定し(S45、S46)、メンテナンスアラームを行う遊星歯車機構16等のギヤの稼働時間を設定し(S47、S48)、メンテナンスアラームを行うオイルユニット10の稼働時間を設定する(S50、S51)。以上の手順により設定された送信データは、上述した各場合と同様に、後で詳述するデータ転送処理(図10のステップS03)によりソフトインパクトドライバ1に送信される。
【0032】(IV)オートストップ設定オートストップスイッチ64を選択すると、タイマーオートストップモードにおけるモータ22を停止するまでの時間や、打撃カウントオートストップモードにおけるモータ22を停止するまでの打撃回数を設定するための送信データの作成を行う。オートストップスイッチ64が選択されたときの作業管理者による操作を、図14に基づいて説明する。オートストップスイッチ64が選択されると、図14に示すように、ディスプレイ52に「タイマセッテイヘンコウ?」の文字が表示される(S61)。したがって、作業管理者はタイマーオートストップモードにおける設定時間を設定する場合はYESスイッチ60を選択し、設定しない場合にはNOスイッチ62を選択する。NOスイッチ62を選択した場合にはステップS63に進み、YESスイッチ60を選択した場合には、ディスプレイ52に「タイマーオートストップOOOO」と表示される(S62)。したがって、作業管理者は機能ON/OFFスイッチ56を押すことにより設定する時間を増加し、又は、使用状況スイッチ66を押すことにより設定する時間を減ずる。そして、所望の時間となった後、YESスイッチ60を押して次のステップに進む。以下、上述した手順と同様に打撃カウントオートストップの打撃回数を設定する(S63、S64)。上述した手順により設定された送信データは、同様に後で詳述するデータ転送処理(図10のステップS03)によりソフトインパクトドライバ1に送信される。
【0033】以上、(I)〜(IV)の各操作によりソフトインパクトドライバ1に送信するデータが作成されると、次に、図10のステップS02に進み、ディスプレイ52に「ソウシンシマス」と表示される(S02)。したがって、作業管理者は送信データをソフトインパクトドライバ1に送信する場合にはYESスイッチ60を選択する。YESスイッチ60が選択されると、管理装置50からソフトインパクトドライバ1に向ってデータ転送が行われる(S03)。このステップS03のデータ転送時における管理装置50(送信側)及びソフトインパクトドライバ1(受信側)の動作について説明する。まず、管理装置50の動作について図16に基づいて説明する。管理装置50は、送信を開始する起動信号をソフトインパクトドライバ1に送信した後、図16に示すように、ソフトインパクトドライバ1から送信されてくるREADY信号を受信するまで待機する(S70)。READEY信号を受信すると〔ステップS70でYESの場合〕、ステップS71に進みデータ送信を行う(S71)。ここで、ソフトインパクトドライバ1に送信されるデータは、図15に示すようにフレームデータ部(8ビット)とデータ部(24ビット)からなっている。フレームデータ部には、これから送信されるデータが何に関するデータ(モード設定、使用状況設定、メンテナンスアラーム設定、オートストップ設定等の別)であるかを示すデータが含まれる。また、データ部(24ビット)は、セパレータ(01)を挟んで同一のデータ〔上述した手順で作成されたデータ(8ビット単位)〕が2連送で送信される。そして、データ送信が行われると、しばらくその状態で待機する(S72)。そして、送信するデータが1バイト(8ビット)以上の場合には、ステップS70からの処理を繰り返す。上述した手順で送信すべき全てのデータがソフトインパクトドライバ1に送信されると、図10に戻り、ディスプレイ52に「ソウシンカンリョウ」の表示が行われる(S04)。したがって、作業管理者はYESスイッチ60を押して、ソフトインパクトドライバ1へのデータ送信を終了する。そして、他に設定すべき条件があれば再度ステップS10、S20、S40、S60のいずれかに進み、送信データを作成してソフトインパクトドライバ1へデータ送信を行うこととなる。なお、ソフトインパクトドライバ1に送信されたデータは、管理装置50のメモリ回路90の所定のアドレス(送信されたソフトインパクトドライバ1の管理データが格納される領域)に格納される。すなわち、ソフトインパクトドライバ1から送信されるREADY信号(ステップS70でソフトインパクトドライバ1から送信された信号)にはソフトインパクトドライバ1を特定するための識別情報(モデル名、シリアルNO)が含まれているため、これによりメモリ回路90のアドレスを特定し、そのアドレスに送信したデータが格納される。これにより管理装置50においても、ソフトインパクトドライバ1の管理データが更新されることとなる。
【0034】次に、管理装置50から送信されるデータを受信するソフトインパクトドライバ1の動作について説明する。ソフトインパクトドライバ1は管理装置50から送信された起動信号を受信すると、図17に示すように、まずREADEY信号を管理装置50に送信する(S73)。READEY信号が管理装置50で受信されると管理装置50からデータが送信されるので、ソフトインパクトドライバ1はその管理装置50から送信されるデータを受信する(S74)。そして、データを受信するとその受信データの2連送照合(2連送で送られたデータが一致するか否か)を行う(S75)。これにより管理装置50から送信されたデータが正確にソフトインパクトドライバ1で受信される。なお、2連送データが一致しない場合〔ステップS74でNOの場合〕には再度ステップS74からの処理を繰り返し、一致する場合〔ステップS74でYESの場合〕にはステップS73に戻る。なお、上述した受信処理によりソフトインパクトドライバ1に受信されたデータは、ソフトインパクトドライバ1のメモリ回路128の所定の領域に格納される。これによりソフトインパクトドライバ1は、管理装置50で設定された動作モード等で動作することとなる。
【0035】(2)作業者による作業次に、上述したように動作モード等が設定されたソフトインパクトドライバ1の動作を説明する。ソフトインパクトドライバ1は、メインスイッチ26が操作されるとメモリ回路128に格納したデータ(管理装置50から送信されたデータ)により設定された動作モードでマイクロコンピュータ39がモータ22を制御する。この際、ソフトインパクトドライバ1で使用された使用実績情報(メインスイッチ26の操作回数、モータ22の稼働時間等)がマイクロコンピュータ39で求められる。すなわち、メインスイッチ26が操作されたときはその起動信号をカウントすることで操作回数を求め、バッテリ122が脱着されたときはこのバッテリ122からの電源供給の開始による電圧の上昇を検出してバッテリ122の脱着回数を求め、またモータ22を駆動した時間(モータ22に駆動信号を出力した時間)によりモータ22の稼働時間、遊星歯車機構16等のギヤの稼働時間、オイルユニット10の稼働時間を求める。そして、このようにマイクロコンピュータ39が使用実績情報を求めると、その使用実績情報に基づいてメモリ回路128の使用実績情報を更新し、さらに、ソフトインパクトドライバ1にメンテナンスアラームモードが設定されているときは、図18に示すメンテナンスアラーム処理を行う。メンテナンスアラーム処理では、まず図18に示すようにその求めた使用実績情報をメモリ回路128に格納されている使用実績情報に積算することで使用実績情報を更新する(S81)。この使用実績情報の更新は、各項目(メインスイッチの操作回数、バッテリの脱着回数等)について行われる。使用実績情報の更新が行われると、その更新した各使用実績情報と、その使用実績情報に対応するメンテナンスアラーム条件とが所定の関係となるかを判定する(S82)。具体的には、あと少しの使用で使用実績情報がメンテナンス条件と一致するか否かを判定する。例えば、メインスイッチについては、使用実績情報>メンテナンス条件−100の関係が成立するときに、ステップS82の判定がYESとなる。この判定は使用実績情報毎に行われ、一つでも上述した判定がYESとなるとステップS83に進み、判定がNOの場合にはそのままメンテナンスアラーム処理を終了する。ステップS83では、赤色LED34を点灯することによりメンテナンス時期が近いことを作業者に報知し(S83)、次にステップS84に進み、次に使用実績情報とメンテナンスアラーム条件が一致するか否かを判定する(S84)。この判定も全てのメンテナンスアラーム条件につてい判定する。そして、一つでも一致する場合〔ステップS83でYESの場合〕にはモータ22を停止し(S84)、一致しない場合〔ステップS83でNOの場合〕には処理を終了する。したがって、本実施例のソフトインパクトドライバ1では、メンテナンス時期が近くなったものについては赤色LED34が点灯することでその旨の報知が行われ、メンテナンス時期がきたものにはメインスイッチ26を操作してもモータ22が回転しないように制御される。
【0036】(3)作業管理者によるメンテナンス要否の確認作業次に、ソフトインパクトドライバ1が使用されることにより更新された使用実績情報を、ソフトインパクトドライバ1から管理装置50に送信し、管理装置50においてメンテナンス要否の判断をする際の管理装置50の処理を図19に基づいて説明する。図19に示すように、管理装置50はまずソフトインパクトドライバ1に対して使用実績情報を送信するように送信要求を行う(S90)。具体的には、管理装置50から所定の信号をソフトインパクトドライバ1に送信する。管理装置50から送信された所定の信号をソフトインパクトドライバ1が受信すると、ソフトインパクトドライバ1から識別情報及び使用実績情報が管理装置50に対して送信される。このため、管理装置50ではその識別情報及び使用実績情報を受信する処理を行う(S91)。この管理装置50とソフトインパクトドライバ1におけるデータの送受信処理は、図16、図17で説明した処理と同様の手順で行われる。ソフトインパクトドライバ1から送信された識別情報及び使用実績情報を受信すると、まず、識別情報から使用実績情報を保存すべきメモリ回路90のアドレスを特定し、その特定したアドレスに使用実績情報を上書き保存する(S92)。このように受信した使用実績情報を上書き保存するのは、ソフトインパクトドライバ1には積算された使用実績情報が保存されているためである。上書き保存が行われると、次に、S91で受信した識別情報から一のメンテナンス条件をメモリ回路90から呼出し(S93)、その呼出したメンテナンス条件と受信した使用実績情報に基づいてメンテナンスが必要か否かを判定する(S94)。具体的には、あと少しの使用(1日の作業により行われ得る使用)で使用実績情報がメンテナンス条件と一致するか否かで判定する。そして、メンテナンスが必要な場合〔ステップS94でYESの場合〕にはステップS97に進んでディスプレイ52にメンテナンス要の表示を行い(S97)、メンテナンスが不要な場合〔ステップS94でNOの場合〕には、全てのメンテナンス条件について判断したか否かが判定される(S95)。全てのメンテナンス条件について判定していない場合〔ステップS95でNOの場合〕にはステップS93に戻って処理を繰り返し、全ての条件について判定している場合〔ステップS95でYESの場合〕には、ディスプレイ52にメンテナンス不要の表示を行う(S96)。したがって、本実施例では一日の作業で使用され得る使用回数等を考慮してメンテナンスの要否が判断され、ディスプレイ52に表示されることとなる。
【0037】上述したことから明らかなように、本実施例の電動工具管理システムによれば、ソフトインパクトドライバ1に使用実績情報が蓄積され、メンテナンスが必要となったものについてはメンテナンスの要否が報知され、さらにメンテナンス報知がされた後の所定のタイミングで動作不能とされる。したがって、メンテナンスを適切な時期で実施することができると同時に、作業精度(締付けトルク等)を維持することができる。また、管理装置50によるメンテナンスの要否確認を作業開始前に行えば、そのソフトインパクトドライバ1が作業開始前にメンテナンスが必要となるものか否かが判断されるため、メンテナンスが必要なものが作業に使用されることを未然に防止することができる。さらに、メンテナンス作業においては使用実績情報を管理装置50で読出すことで、どの部品を交換する必要があるかが判定されるため、効率的なメンテナンス作業を行うことができる。
【0038】なお、上述した実施例は、ソフトインパクトドライバについての例であったが、これ以外にも作業精度を必要とされる各種電動工具(例えば、インパクトレンチ、スクリュードライバなど)に適用することができる。
【0039】以上、本発明を具現化した一実施例について説明したが、本発明は上述した実施例に限られることなく、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【出願人】 【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
【出願日】 平成12年6月30日(2000.6.30)
【代理人】 【識別番号】100091742
【弁理士】
【氏名又は名称】小玉 秀男 (外1名)
【公開番号】 特開2002−18744(P2002−18744A)
【公開日】 平成14年1月22日(2002.1.22)
【出願番号】 特願2000−199999(P2000−199999)