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【発明の名称】 鋏のスリット加工用の円盤砥石
【発明者】 【氏名】足立 栄美

【要約】 【課題】鋏の刃先にスリットを形成する加工器具としての円盤砥石を提供すること。

【解決手段】厚さ150μm以下の円盤砥石1であって、鋏の刃先に切り込ませ、前記刃先に切り込ませてスリットを形成する為に用いられる鋏のスリット加工用の円盤砥石であって、砥粒が1500番〜2500番のメッシュによる篩いで得られた砥粒をバインドすると共に、ステンレス・スティール材料による鋏への切り込みが可能であり、円盤砥石の突出部分をスリットの切り込み可能な突き出しに設けられたこと。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 厚さ150μm以下の円盤砥石であって、鋏の刃先に切り込ませ、前記刃先に切り込ませてスリットを形成する為に用いられることを特徴とする鋏のスリット加工用の円盤砥石。
【請求項2】 砥粒が1500番〜2500番のメッシュによる篩いで得られた砥粒をバインドすると共に、ステンレス・スティール材料による鋏への切り込みが可能であることを特徴とする請求項1記載の鋏のスリット加工用の円盤砥石。
【請求項3】 円形のフランジ材で円形砥石の盤面を挟んで保持し、その際には前記フランジ材からの前記円盤砥石の突出部分をスリットの切り込み可能な突き出しに設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の鋏のスリット加工用の円盤砥石。
【請求項4】 盤面に円板状のカラー材をあてがった状態でフランジ材に挟むことにより前記フランジ材の周縁から前記カラー材が突き出し、更に前記カラー材の周縁から前記円盤砥石の突出部分がスリットの切り込み可能な突き出しに設けられると共に、円盤砥石の周面が摩耗で後退したときには、前記カラー材をこの後退に対応した小さめのカラー材に交換して用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の鋏のスリット加工用の円盤砥石。
【請求項5】 0.5mm以上の切り込みが可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の鋏のスリット加工用の円盤砥石。
【請求項6】 厚さ150μm以下の円盤砥石であって、鋏の刃先に切り込ませ、前記刃先にスリットを形成する為に用いられるスリット加工用の円盤砥石であって、砥粒が1500番〜2500番のメッシュによる篩いで得られた砥粒をバインドすると共に、ステンレス・スティール材料による鋏への切り込みが可能であり、盤面に円板状のカラー材をあてがった状態でフランジ材に挟むことにより前記フランジ材の周縁から前記カラー材が突き出し、更に前記カラー材の周縁から前記円盤砥石の突出部分が0.5mm以上のスリットの切り込み可能な1mm以上の突き出しに設けられると共に、円盤砥石の周面が摩耗で後退したときには、前記カラー材をこの後退に対応した小さめのカラー材に交換して用いられることを特徴とする鋏のスリット加工用の円盤砥石。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鋏のスリット加工に用いる円盤砥石に関し、詳しくは理容鋏の刃先にスリットを多数連設することにより髪が鋏の刃先を滑らないようにする鋏のスリット加工に用いられる円盤砥石に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】本願出願人は、髪を切る際に髪が刃先を滑らない理容鋏として、図5、図6に示すような鋏の刃先にスリットSを切り込ませ、この様なスリットSを刃先に沿って多数連設する鋏を考案した。その際には、スリット幅を髪の太さ(一例として、日本人0.8mm、西洋人0.4mm程度)前後にし、これにより図7に示すように髪XがスリットSに引っかかり、髪に滑り止めが効いて良好な切断性能が得られることを見いだした。
【0003】これは理容鋏の技術分野における次のような課題、即ち、鋏で髪を切ろうとする際に、髪が閉じ操作される鋏の刃先を滑ることを防ぎたいという課題を解決するためのものである。閉じ操作する鋏において髪が滑ると、切りたい長さに髪を切ることができない、或いは髪が切り難いなどの問題があるからであり、理容鋏の技術分野での1つの大きな課題として様々な提案が成され、例えば刃先を鋸状にする方法などが提案されてはいるが、鋸歯では鋸の目で髪の束ができてしまいこの髪束が切りにくいなどの問題が依然残っていることへの対策であった。
【0004】V ただこの様な鋏を完成させるに当たり、試作品の鋏にスリットを形成する際はコスト、制作時間に関わりなく色々な加工方法が考えられたが、量産に適した方法とその加工器具が今だ考案されていなかった。よってこの問題を鑑み、本願発明の目的とするところは、鋏の刃先にスリットを形成する加工器具としての円盤砥石を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明では、厚さ150μm以下の円盤砥石であって、鋏の刃先に切り込ませ、前記刃先に切り込ませてスリットを形成する為に用いられるスリット加工用の円盤砥石を提案した。150μmとしたのは、本願出願人の考案した前記鋏においては、スリットの最大幅が概ね150μmを上限とすることによるからである。
【0006】また従来、極薄の円盤砥石にはダイシングブレードなるものがあった。これは、IC基板に用いるウエハーの切り出しの専用器具とした考案されたものであり、一例として約50mm直径の円盤を成していて、半導体の単結晶を薄い板状にしたウエハーの母材を切断して所定のチップ大に切り出すのに使われている。またこのウエハーが高価なため切断幅を少しでも細くすることにより材料の節約を図ろうとして、極薄のダイシングブレードが用いられている。このダイシングブレードはこの様な特殊用途の為に考案され、現在のその特殊な用途のみに用いられており、一般的な工作機械としては普及しておらず、またその様なニーズもないのであり、無論、理容鋏の製造業界においても用いられるものではなかった。
【0007】本願発明においては、従来無かったスリット加工を施した鋏なるものの製造にあたり、このウエハー切り出しの専用器具に止まっていた極薄の砥石の利用に気づきこれを発明としたのである。特に従来のダイシングブレードはウエハーの様な薄もの切断用であるところ本願発明の円盤砥石は切り込み用であること、またウエハーのような柔らかいものと比べ鋏材料のように硬い材料が対象であることなどの違いを乗り越えて成された発明である。
【0008】請求項2記載の発明では、砥粒が1500番〜2500番のメッシュによる篩い(ふるい)で得られた砥粒をバインドすることにより、ステンレス・スティール材料による鋏への切り込みが可能であることをその要旨とした。ウエハー用のダイシングブレードは砥粒が4000番〜5000番のメッシュによる篩いで得られた砥粒をバインドしたものが用いられているが、これではステンレス・スティール材料に対しては切断力が得られず、試行錯誤の末に適切な砥粒を見いだしたものである。
【0009】請求項3記載の発明では、円形のフランジ材で円形砥石の盤面を挟んで保持し、その際には前記フランジ材からの前記円盤砥石の突出部分をスリットの切り込み可能な突き出しに設けられたことを要旨としている。ウエハーの様なうすものの切断であれば、ダイシングブレードの突き出しは0.5mm程度で充分であるが、本願発明の様に所定の深さに切り込まれるスリット加工をするには不十分な突き出しであり、そのため所定の深さへの切り込みを可能とすることを要件とした。スリットの深さは0.5mm、0.7mm、1.0mm、0.5mm以上、0.7mm以上、1.0mm以上などがある。
【0010】請求項4記載の発明では、盤面に円板状のカラー材をあてがった状態でフランジ材に挟むことにより前記フランジ材から前記カラー材が突き出し、更に前記カラー材からの前記円盤砥石の突出部分がスリットの切り込み可能な突き出しに設けられた。そして円盤砥石の周面が摩耗で後退したときには、前記カラー材をこの後退に対応した小さめのカラー材に交換することにより新たな突出部分を得ることができるようにした。これによれば円盤砥石が、ウエハーのような柔らかいものよりも硬いステンレス・スティールを対象とすることにより、砥石の摩耗の進みが早んで砥石の周面が後退しても、カラー材の交換で常に必要な突き出しが確保されて必要な切り込み深さを維持することができる。
【0011】請求項5記載の発明では、とくに0.5mm以上の切り込みが可能であることを要旨とした。これは理容鋏の都合によるものであり、理容鋏は時々刃先を研いで切れ味を維持するため、研ぐことによる刃先の後退が起こる事情があり、刃先が後退するとスリットが次第に消失する問題がある。従ってこの様な刃先の後退に対しても消失しないスリットの深さとして、0.5mm以上が理容鋏として有効な深さであることを見いだしたからである。
【0012】請求項6記載の発明は、以上の発明を総括したものであり、突出部分が1mm以上に設けることにより0.5mm以上の切り込みが可能となることをその要件に付加した。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本願発明の実施例の円盤砥石を説明する。この円盤砥石1は直径が10cmで、図1中に示すようなリング状を成しており、厚さが40μmの極薄に形成されている。またニッケルによるメタルバインドで砥粒をバインドしている。
【0014】この円盤砥石1は、電鋳砥石として作られたものである。即ち、平滑なステンレス板の表面に電気メッキを施してメッキ層によるバインドを形成し、その際にはJISの1500番から2500番のメッシュで篩いにかけられたダイヤなどの砥粒を電解溶液に混ぜ、上記メッキをすることにより、砥粒のバインドが実現するのである。電解液はニッケル電解液を用いるが、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸ニッケルなどにより、温度は50℃である。ステンレス板は円盤砥石の形状に対応させてある。このステンレス板100を図2に示すように電解漕Aの底に載置し、また別途ニッケル塊110を電解漕の上方に浸し、このニッケル塊110をプラス極、ステンレス板100をマイナス極として直流電流を流すことによりメッキを生じさせるのである。この様にしてできたメッキ層120をステンレス板100から剥離し、平面形状を所定のリング型に整えると共に、ラップその他の方法で盤面の平面化を施して完成させている。
【0015】この様にして製造された円盤砥石1は、その盤面2,2に円盤砥石より少し直径の小さい円板状のカラー材10,10をあてがった状態で図1、図3に示すように一対のフランジ材20,20に挟む様になっている。この一対のフランジ材20,20は、一方20aがリング状、他方20bが円盤状になっており、円盤状のフランジ材20bにはその片面21に円柱状の嵌着部22が突設されていて、もう一方のリング状フランジ材20aをこの嵌着部に挿入して嵌着できるようになっている。そしてカラー材10,10も円盤砥石1と同様にリング状を成しており、共に嵌着部22に挿入してフランジ材20,20、カラー材10,10、円盤砥石1が同心状になる様になっているのであり、円盤砥石1はフランジ材20,20ごと図示しない所定の回転駆動軸にて回転させるのである。またフランジ材20,20に取り付けられた円盤砥石1は図4に示すように、フランジ材20の周縁23からカラー材10が突き出し、更にカラー材10の周縁13からは円盤砥石1の突出部分3が突き出すようになっている。その際、カラー材10はフランジ材20の周縁23から1mm程度突き出し、円盤砥石1はカラー材10の周縁13から更に1mm程度突き出すようになっており、この突出部分3により0.5mm程度に切り込んだスリットの形成が可能になっている。回転させる場合は、周速2000m/分の早さで使用する。
【0016】円盤砥石1の周面4は使用するに連れて摩耗で後退して行くが、後退してカラー材10からの突出部分3が小さくなったら、カラー材10をこの後退した際の円盤砥石1に対応した小さめのカラー材10に交換して用いることができる。
【0017】またこの円盤砥石1は砥粒の突き出しが大きく、切れ味も良いのでこの点で加工効率が向上する。また砥粒が大きいために砥粒の保持力が強く、周面が型崩れし難い。速送り研削が可能であるためこの点でも加工効率が向上する。
【0018】
【発明の効果】本願発明の円盤砥石によると、鋏の刃先に極細幅のスリットを切り込む加工が可能になり、従来、世に無かったスリット加工された理容鋏の製造を可能にした。特に砥石の砥粒を限定することによりステンレス・スティールのような硬い材料であってもスリット加工が可能であることにその効果の特徴がある。また所定の突出部分を備えることにより深い切り込みが可能となっている。更に切り込み作業により円盤砥石の周面が摩耗で後退しても、カラー材の交換により新たな突出部分を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】390038209
【氏名又は名称】足立工業株式会社
【出願日】 平成13年2月19日(2001.2.19)
【代理人】 【識別番号】100083932
【弁理士】
【氏名又は名称】廣江 武典
【公開番号】 特開2002−239929(P2002−239929A)
【公開日】 平成14年8月28日(2002.8.28)
【出願番号】 特願2001−41136(P2001−41136)