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【発明の名称】 |
低降伏点鋼材の溶接方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】下川 弘海 【氏名】伊藤 茂樹 【氏名】加村 久哉 |
【課題】溶着金属の耐力を母材の耐力より低くして、母材の変形を均一にすることにより、特に、耐震ブレースにおいて、溶着金属の耐力を軸材の耐力より低くして、軸材の変形を均一にすることにより、溶接接合部における亀裂の発生を防止し、もって、疲労特性を改善することができる、低降伏点鋼材の溶接方法を提供することを目的とする。
【解決手段】フェライト単相組織を有す低降伏点鋼材同士を接合するに際し、溶接に用いる溶接金属の降伏点が、前記低降伏点鋼材の降伏点より低いことを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 フェライト単相組織を有す低降伏点鋼材同士を接合する、低降伏点鋼材の溶接方法であって、溶接に用いる溶接金属の降伏点が、前記低降伏点鋼材の降伏点より低いことを特徴とする低降伏点鋼材の溶接方法。 【請求項2】 溶接後の低降伏点鋼材が、断面十字状または断面H状の、耐震ブレース用の軸材を形成することを特徴とする請求項1記載の、低降伏点鋼材の溶接方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、低降伏点鋼材同士を接合する方法、特に、建築・土木構造物における耐震用部材を形成する軸材を製造する際の、低降伏点鋼材同士を接合する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、建築・土木等の構造物における耐震性を向上する方策として、地震が発生した際、該構造物に設置した部材を先に塑性変形させ、地震エネルギをその塑性エネルギにより吸収するものである。この塑性エネルギ吸収材として、オイルダンパ、鉛体、および降伏点の低い極軟鋼が用いられている。 【0003】降伏点の低い極軟鋼(以下、低降伏点鋼と称す)は、炭素含有量を低く押さえ、結晶粒径を比較的大きしたフェライト組織を有している。また、たとえば、特開平3−31467号公報、特開平6−235042号公報、特開平8−157947号公報には、熱処理や微量添加元素により結晶流形をコントロールする技術が提案され、さらに、特開平11−063051号公報には、靭性を付与する技術が開示されている。 【0004】図1は、地震時の建築・土木等の構造物の揺れを低減または制御する、低降伏点鋼を用いたブレース型制震部材の設置状況を説明する正面図である。図1において、柱1を結んで梁2が設置され、柱と梁の接合部3と他方の梁の中央部4を結ぶようにブレース型制震部材5が設置されている。 【0005】したがって、地震時に、前記柱1と梁2が形成する矩形空間が平行四辺形に変形しようとすると、一方のブレース型制震部材5は伸ばされ、他方のブレース型制震部材5は圧縮されることになる。したがって、ブレース型制震部材5を塑性変形容易で塑性変形能が大きなものにしておけば、地震エネルギを吸収することが可能になる。 【0006】図2は、ブレース型制震部材5の一例を示す一部断面の斜視図である。図2において、低降伏点鋼の短冊からなる軸材8の両側面に、低降伏点鋼の短冊からなる軸材9が溶接接合(溶接線10)されて、断面十字を形成している。なお、ブレース型制震部材5の断面形状は、H型、I型など各種であり、また、圧縮荷重における座屈を防止するために補剛管に包囲されたものもある。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術においては、以下のような問題がある。 【0008】鋼の溶接において、溶着金属(溶接棒)の強度を、溶接される鋼(母材)の強度より大きくするか、相互に等しくすることが、常識であって、慣用技術になっている。すなわち、溶接構造物は溶接接合部で破損しないことが前提になっている。 【0009】表3は、軸材を形成する低降伏点鋼、およびこれを溶接する溶着金属の機械的性質を示すものである。表3において、100N/mm2、160N/mm2、235N/mm2のいずれの低降伏点鋼にたいしても、490N/mm2級の溶着金属が使用されている(以下、それぞれ組合せ100−490、組合せ160−490、組合せ235−490と称す)。 【0010】したがって、地震時に、ブレース型制震部材が変形するとき、軸材8、9、と溶接線10とで下降伏点が異なるから、溶接線10に沿ってせん断変形が生じ、ここに亀裂が発生することになるため、疲労特性が低下するとの問題がある。 【0011】本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、溶着金属の耐力を母材の耐力より低くして、母材の変形を均一にすることにより、特に、溶着金属の耐力を軸材の耐力より低くして、軸材の変形を均一にすることにより、溶接接合部における亀裂の発生を防止し、もって、疲労特性を改善することができる、低降伏点鋼材の溶接方法を提供することを目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】このような課題を解決するための本発明の低降伏点鋼材の溶接方法は、以下のとおりである。 [1] フェライト単相組織を有す低降伏点鋼材同士を接合する、低降伏点鋼材の溶接方法であって、溶接に用いる溶接金属の降伏点が、前記低降伏点鋼材の降伏点より低いことを特徴とするものである。 [2] 前記[1]において、溶接後の低降伏点鋼材が、断面十字状または断面H状の、耐震ブレース用の軸材を形成することを特徴とするものである。 【0013】 【発明の実施の形態】表1は、本発明に係る低降伏点鋼材の溶接方法における、低降伏点鋼と溶着金属の機械的性質を示す比較表である。表1において、100N/mm2級の低降伏点鋼に対しては80N/mm2級の溶着金属を使用し(以下、組合せ100−80と称す)、160N/mm2級の低降伏点鋼に対しては100N/mm2級の溶着金属を使用し(以下、組合せ160−100と称す)、235N/mm2級の低降伏点鋼に対しては160N/mm2級の溶着金属を使用している(以下、組合せ235−160と称す)。 【0014】表2は、本発明に係る低降伏点鋼材の溶接方法における、疲労性能を確認する比較表である。低降伏点鋼と溶着金属の機械的性質を示す比較表である。 【表1】
【表2】
【表3】
【0015】図3は、疲労性能を確認するための試験体を示すもので、図3の(a)は側面図、図3の(b)は縦断面図、図3の(c)は横断面図である。軸材8は、板厚11mm、幅81mm、長さ600mmであり、軸材9は、板厚11mm、幅35mm、長さ600mmであり、溶接線10において断面十字状に形成されている。さらに、該断面十字状の軸材は一辺75mm、厚さ4.5mm、長さ560mmの正方形断面の補剛管11の包囲されている。そして、全ひずみ振幅1.5%で疲労試験を実施し、破損するまでの繰り返し回数を測定した。 【0016】表2において、本発明の組合せ100−80は、従来の組合せ100−490、に比較して、繰り返し回数が約2.4倍向上した。本発明の組合せ160−100は従来の組合せ100−490に比較して、繰り返し回数が約2.1倍向上した。また、本発明の組合せ235−160は、従来の組合せ235−490に比較して、繰り返し回数が約1.6倍向上した。 【0017】すなわち、溶融金属の耐力を母材の耐力より低くすることにより、疲労特性が改善されることを確認した。 【0018】 【発明の効果】以上述べた本発明の低降伏点鋼材の溶接方法によれば、以下にような顕著な効果が得られる。 (1)溶着金属の耐力を母材の耐力より低くすることにより、母材の変形を均一にすることができるから、溶接接合部における亀裂の発生を防止し、もって、疲労特性を改善することが可能になる。 (2)低降伏点鋼材である軸材を溶接接合により断面十字状または断面H状に形成するに際し、溶着金属の耐力を軸材の耐力より低くすることにより、軸材の変形を均一にすることができるから、溶接接合部においる亀裂の発生を防止し、もって、疲労特性を改善することが可能になる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004123 【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年9月11日(2000.9.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097272 【弁理士】 【氏名又は名称】高野 茂
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| 【公開番号】 |
特開2002−86267(P2002−86267A) |
| 【公開日】 |
平成14年3月26日(2002.3.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−274570(P2000−274570) |
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