| 【発明の名称】 |
ステップ振動式穴加工装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】村川 正夫
【氏名】神 雅彦
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| 【要約】 |
【課題】振動切削法に匹敵する加工精度特性を工具の刃先に対する衝突をなくしてチッピングを抑制するとともに切削時の不要な刃先のこすれを抑制して工具寿命を向上させることができるステップ振動の特徴を備え、しかも簡単かつ小型な構造により工具折損を生じさせずに小径穴加工を行なうことができるステップ振動式穴加工装置を提供する。
【解決手段】工具ホルダを先端部に有しこれよりも背方に周期的に打撃的押圧を受けて軸方向に押圧させられる部分を有する振動軸の半径方向が、複数のダイヤフラムによりケーシングに弾性支持されているステップ振動発生ユニットを備えている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】加工工具を取り付ける工具ホルダ部を先端部に有しこれよりも背方に周期的に打撃を受ける部分を有する振動軸1の半径方向が、複数のダイヤフラム3,3によりケーシング2に弾性支持されているステップ振動発生ユニットAを備えたことを特徴とするステップ振動式穴加工装置。 【請求項2】ステップ振動発生ユニットAが、中間部体1aと後側部体1bおよび前側部体1cに分割された振動軸1と、該振動軸1を同心状に外囲するケーシング2と、外周部が前記ケーシング2に固定された複数枚のダイヤフラム3,3とを備え、前記後側部体1bは中間部体1bの後面に位置し、前記ダイヤフラム3の中央部分を中間部体1aに挟持固定しており、前側部体1cは工具取り付け部12を先端側に有し、中間部体1aの前面に位置し、前記ダイヤフラム3の中央部分を中間部体1aに挟持固定しており、かつ後側部体1cが後面側に打撃手段に対する打撃受け部50を有している請求項1に記載のステップ振動式穴加工装置。 【請求項3】ステップ振動発生ユニットAが、中間部体1aと後側部体1bおよび前側部体1cに分割された振動軸1と、該振動軸1を同心状に外囲するケーシング2と、外周部が前記ケーシング2に固定された複数枚のダイヤフラム3,3とを備え、前記後側部体1bは中間部体1aの後面に位置し、前記ダイヤフラム3の中央部分を中間部体1aに挟持固定しており、前側部体1cは工具取り付け部12を先端側に有し、中間部体1aの前面に位置し、前記ダイヤフラム3の中央部分を中間部体1aに挟持固定しており、かつ前側部体1cは、打撃手段33に対する変位形成用のプレート部10cを中間に有している請求項1に記載のステップ振動式穴加工装置。 【請求項4】打撃手段33がカムフォロアであり、変位形成用としてフェイスカムが設けられている請求項3に記載のステップ振動式穴加工装置。 【請求項5】振動軸1が中心に流体用通路102を有している場合を含む請求項1ないし4に記載のステップ振動式穴加工装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はたとえば小径ドリルを使用した穴明け加工に好適なステップ振動式穴加工装置に関する。 【0002】 【従来の技術】穴明け加工は機械製品、機械部品などの製作において多用されかつ重要な転削加工の一つであるが、慣用の転削法では切り屑の排出に円滑さを欠いたり、過大な切削抵抗によって工具刃先が破損しやすく、特に小径の加工においてこの問題が大きかった。 【0003】この対策として、本発明者らは、ドリルなどの工具を保持するホルダに対し打撃要素により工具を軸方向に叩き駆動して転削を行い、打撃要素の工具からの離間行程では工具を切削点に接触させたままの状態にして転削を休止し、再び打撃要素が工具に再衝突することによって前記転削を行なうステップ状の刃先軌跡を生成して断続切削を行なうステップ振動切削法および装置を提案している。 【0004】この先行技術は、通常の材質の工作物に対する加工はもとより、切削速度VがV<2πAF(A:振幅、F:周波数)を満足する条件での高硬度材や難削材の孔明け加工に極めて効果的であり、振動切削法に匹敵する加工精度特性を発揮できながら、工具の刃先に対する衝突をなくしてチッピングを抑制するとともに切削時の不要な刃先のこすれを抑制して工具寿命を向上させることができる効果が得られるとして注目されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】先行技術においては、工具を軸方向に動かすために、工具ホルダをガイド手段たる軸受部材(ガイドブッシュ、滑りガイド、ボールガイドなど)を介してスリーブに摺動自在に内挿する摺動方式を採用していた。しかし、工具ホルダを正常に摺動させるためには、スリーブと軸受部材との間に数十ミクロン程度のクリアランスを持たせる必要があり、この結果、直径が1mm以下というような穴加工の場合、前記クリアランスがラジアル方向のガタとなって現われ、それによりドリルなどの穴明け工具が折損を起しやすく、加工作業の効率が低下したり、不必要に工具費が高くなったりするという問題があった。また、摺動性能を維持するために潤滑が不可欠になり、十分なメンテナンスも必要とする不利があった。 【0006】本発明は前記のような問題点を解消するためになされたもので、その目的とするところは、振動切削法に匹敵する加工精度特性を工具の刃先に対する衝突をなくしてチッピングを抑制するとともに切削時の不要な刃先のこすれを抑制して工具寿命を向上させることができるステップ振動の特徴を備え、しかも簡単かつ小型な構造により工具折損を生じさせずに小径穴加工を行なうことができるステップ振動式穴加工装置を提供することにある。 【0007】本発明における「穴加工」は、ドリル加工のほか、リーマ加工、ブローチ加工、エンドミル加工などを含み、したがって、穴加工工具はこれらの加工のためのピン状ないし棒状の工具を含むものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため本発明は、工具ホルダを先端部に有しこれよりも背方に周期的に打撃を受ける部分を有する振動軸の半径方向が、複数のダイヤフラムによりケーシングに弾性支持されているステップ振動発生ユニットを備えていることを基本的特徴としている。 【0009】前記ステップ振動発生ユニットは、中間部体と後側部体および前側部体に分割された振動軸と、該振動軸を同心状に外囲するケーシングと、外周部が前記ケーシングに固定された複数枚のダイヤフラムとを備え、前記後側部体は中間部体の後面に位置し、前記ダイヤフラムの中央部分を中間部体に挟持固定しており、前側部体は工具取り付け部を先端側に有し、中間部体の前面に位置し、前記ダイヤフラムの中央部分を中間部体に挟持固定しており、かつ後側部体が後面側に打撃手段に対する打撃受け部を有していることを特徴としている。この形態においては、打撃手段として、両振幅以上のクリアランスを有せしめて位置した回転カムが用いられる。 【0010】また、前記ステップ振動発生ユニットは、中間部体と後側部体および前側部体に分割された振動軸と、該振動軸を同心状に外囲するケーシングと、外周部が前記ケーシングに固定された複数枚のダイヤフラムとを備え、前記後側部体は中間部体の後面に位置し、前記ダイヤフラムの中央部分を中間部体に挟持固定しており、前側部体は工具取り付け部を先端側に有し、中間部体の前面に位置し、前記ダイヤフラムの中央部分を中間部体に挟持固定しており、かつ前側部体は、打撃手段に対する変位形成用のプレート部を中間に有していることを特徴としている。 この形態においては、好適には、打撃手段としてローラ状のカムフォロアが用いられ、プレート部には変位形成用要素としてフェイスカムが設けられる。 【0011】本発明は振動軸の中心に流体用通路を有している場合を含んでいる。前記ステップ振動発生ユニットは、回転されずワーク側が回転する形態として使用されてもよいし、回転と振動が与えられる形態として使用されてもよい。 【0012】 【作用】本発明においては、加工工具を保持するホルダ部分よりも後位に位置する打撃手段により振動軸を軸方向に周期的に変位させ、打撃手段とのクリアランスが喪失した行程にのみ切削を行い、打撃要素の離間行程では穴を切削点に接触させたままの状態にして切削を休止し、再び打撃手段が再衝突することによって切削を行なうステップ状の刃先軌跡を生成して断続切削される。 【0013】このように、打撃手段が接触している工具前進行程には、振動切削法と同様の機構で切除を行ない、打撃手段の離間時には、振動切削のように工具が後退せず、工具刃先は切削点に接触したまま休止期間となるステップ切削機構とすることにより、振動切削法と同様なパルス切削力波形とすることができる。このため、振動切削法と同じようにみかけ上の剛性化効果や加工精度向上効果を得ることができる。 【0014】切削休止時には刃先と工作物との相対速度がないため、不要な刃先のこすれが生じないとともに、工作物から工具への有害な衝撃力が直接刃先に作用しなくなるため、刃先に対する負荷が軽減される。したがって、チッピングが生じにくくなり、振動切削装置に比べ工具寿命を向上させることができる。 【0015】しかも、本発明によるステップ振動式穴加工装置は、加工工具を保持している工具ホルダとしての振動軸の少なくとも前後端部が円盤状のダイヤフラムによって外周のケーシングに弾性支持されている。このため、加工工具がワークに接して押圧されると、振動軸を半径方向から支持しているダイヤフラムが後方側に変形することにより振動軸はケーシングに対して軸方向で後退し、打撃手段により後側部体あるいは前側部体が打撃を受ければ、ダイヤフラムが軸方向に突出するように変形するため、加工工具に軸方向のステップ振動運動を生起せしめることができる。 【0016】このように振動軸の振動ガイドとして摺動方式を採用していないため、ラジアル方向のガタは皆無となり、小径ドリルなどの小径の加工工具の場合でもラジアル方向のガタが原因の折損などのトラブルの発生が回避される。また、潤滑レスでよいとともに、摺動しないのでメンテナンスフリーとなり、耐久性も高いものとなる。 【0017】 【発明の実施の態様】以下本発明のステップ振動式穴加工装置の実施態様を添付図面を参照して説明する。 〔第1実施態様〕この第1実施態様は、ワークが回転し、加工工具側はステップ振動と送りを行なう形式を示している。図1ないし4はその第1実施例を示しており、工具ホルダとしての振動軸1と、これを同心状に外囲するケーシング2および複数枚のダイヤフラム3とによりステップ振動発生ユニットAを構成している。そして、前記ステップ振動発生ユニットAは装置本体Bに組み込まれている。 【0018】前記振動軸1は、中間部体1aと後側部体1bおよび前側部体1cに分割されており、それら中間部体1aと後側部体1bの軸線上には一連のボルト孔10が形成され、後側部体1bの一部と前側部体1cには同軸線上に雌ねじ穴11が設けられ、後側部体1bから挿入されたボルト5により直列状に組み付けられるようになっている。ボルト5の頭部50は打撃受け部(カムフォロア)を兼ねている。 【0019】前側部体1cには先端側に工具ホルダ部12が延出形成されており、これに加工工具(この例ではドリル)Dを嵌め込み、工具ホルダ部12にコレットチャック13を螺合することで交換可能に保持されるようになっている。Wはワークである。 【0020】ケーシング2は、前記ダイヤフラム3を支持固定するための手段であり、この実施例では、振動軸1の外径との間に所要の間隔を有せしめ得る内径を備えた筒状の中間部体2aと、これと協働してダイヤフラム3,3の外縁部分を固定するための前後のリング状部体2b,2bとを有している。中間部体2aは前後両端部に縮小した径のねじ筒部20,20が設けられており、リング状部体2b,2bには、ダイヤフラム3,3の外縁部分を中間部体2aの両端部分に挟圧するための押面部と、ねじ筒部20,20に螺合する雌ねじ部21,21とが設けられている。 【0021】ダイヤフラム3,3はステンレスなどの薄い金属板からなり、外縁部より内側には常に定位置に復元する作用(変位の方向性)と軸方向移動ストロークを創成するために環状膨出部30を有しており、中心部分には前記ボルト5の挿通を許す通孔31が形成されている。前記環状膨出部30は振動軸1が打撃を受けないときには、図4(b)の中立状態にあり、加工工具がワークに接触して送りにより振動軸1が押されて後退したときには図4(c)のように変形する。また、振動軸1が打撃を受けて前進側に押圧されたときには図4(d)のように変形する。したがって、たとえば環状膨出部30の幅を3mmとし、膨出半径Rを1.5mmとすれば、片側3.3mmのストロークを形成することができる。 【0022】後側部体1bはダイヤフラム3の中間部分後面と接触するように前記リング状部体2bの内径に容入され、ボルト5の締付けにより中間部体1aの後端面との間でダイヤフラム3の中間部分を挟持固定するようになっている。また、前側部体1cも他方のダイヤフラム3の中間部分前面と接触するように前記リング状部体2bの内径に容入され、ボルト5の締付けにより中間部体1aの前端面との間でダイヤフラム3の中間部分を挟持固定するようになっている。これらにより、振動軸1は前後のダイヤフラム3,3によって軸線方向に変位可能に保持されている。 【0023】前記装置本体Bは、ボックス状の格納室6とこれの底部と連通する打撃用空室7とを有しており、前記ステップ振動発生ユニットAは、後側部体1bのボルト頭部50が打撃用空室7に臨むように格納室6に内蔵され、蓋体B’をリング状部体2bに当接させ、緊締ボルト7を格納室6を画成する筒壁にねじ込むことによりユニットとされる。 【0024】前記打撃用空室7には、打撃手段としての回転カム8が位置している。該回転カム8の回転軸80は刃物台Eに軸受により支持されていて、回転軸80の他端のギヤ800が刃物台側の駆動軸の歯車801と係合され、所定の周期で回転カム8が後側部体1bのカムフォロア(この例ではボルト頭部)50を打撃するようになっている。回転カム8は非当接時にボルト頭部50との間で両振幅以上のクリアランスCが形成されるようになっている。 【0025】図5は本発明の第1態様の第2実施例を、図6は同じく第3実施例を示しており、装置本体Bに打撃手段としての回転カム8が内蔵されている。図5においては、装置本体Bの打撃用空室7と直角方向に側室9を設け、この側室9に軸受82によって支持された回転軸80を設け、これの先端部に前記ステップ振動発生ユニットAのボルト頭部50に対向する回転カム8を固定しており、回転軸8の後端部には、タイミングプーリや歯車など外部の駆動装置との回転伝達要素14を取り付けている。 【0026】図6においては、装置本体Bの打撃用空室7と直角方向の側室9に駆動装置としてのモータ15を取り付け、これの出力軸に前記ステップ振動発生ユニットAのボルト頭部50に対向する回転カム8を固定している。この実施例においてはしたがって装置本体Bそれ自体が駆動装置を備えているので、外部の駆動源を要さず旋盤に搭載するだけで、ステップ振動式穴加工を行なうことができる。図5と図6におけるステップ振動発生ユニットAの構成は、第1実施例に説明したものと同様であるから、同じ部分に同じ符号を付し、説明は省略する。 【0027】〔第2実施態様〕この第2実施態様は、本発明を、加工工具が回転とステップ振動および送りを行い、ワークが非回転、加工工具側がステップ振動と送りを行なう形式に適用した実施例を示している。図7は旋盤取り付けあるいは専用機として使用するのに好適な第1実施例を示している。本発明によるステップ振動発生ユニットAは、装置本体に相当する主軸台B1に軸受15,15で回転自由に支持されているスリーブ状主軸16に組み込まれ、固定リング17,17によって前後移動されぬように固定されている。スリーブ状主軸16の端部外周には主軸回転駆動系からの駆動力を受ける回転伝達要素14が取り付けられている。また、ステップ振動発生ユニットAのカムフォロアたるボルト頭部50に対しては、第1実施態様の第1実施例と同じように打撃手段としての回転カム8が位置している。ステップ振動発生ユニットAの構成は、第1実施例に説明したものと同様であるから、これを援用するものとし、同じ部分に同じ符号を付し、説明は省略する。 【0028】図8と図9は第2実施例を示している。この実施例はマシニングセンタあるいはドリリングセンタ取り付け形式とした場合である。Cは回転動源を有する工作機械であり、付属の固定治具を有している。該固定治具は、主軸Caの側方近傍に位置決めブロックCbを有している。 【0029】B2は使用時に主軸Caの下方に位置する装置本体としての非回転の外ハウジングであり、外ハウジング内には内径側に歯部を切ったリング状の内歯車18が固定されている。前記外ハウジングB2には、前記主軸Caからの回転力の伝達を受けて回転する全体として有底状の内ハウジング19を有し、内ハウジング19にはステップ振動発生ユニットAが内蔵固定され、さらに内ハウジング19内には、前記主軸Caの軸線と平行に保持され、上部に内歯車18と噛み合う遊星歯車22が配され、前記ステップ振動発生ユニットAの直上にはステップ振動発生ユニットAのカムフォロア50を打撃してステップ振動を与えるための打撃手段としての回転カム8を備えている。 【0030】前記外ハウジングB2は前記位置決めブロックCbの位置決め穴と嵌合するロッキングピン23を有しており、それらの嵌合がなされることにより回転止めの作用を発揮する。前記外ハウジングB2は主軸Caと同心状の筒部を有しており、該筒部の開口部に内歯車18が配置され、固定ねじによって固定されている。また、筒部の内周には軸受24が設けられ、この軸受24によって主軸Caと同心に前記内ハウジング19が回転自由に支承されている。 【0031】この実施例では、内ハウジング19は比較的肉の厚い天ブロックを上部域に有しそれ以降が筒状となった主体19aと、これの底を画成する下部体19bとを有しており、天ブロックの下部には打撃用空室7が、そしてこの打撃用空室7の直下にステップ振動発生ユニットAの格納室6が形成されている。主体19aには主軸C1aに対するツールシャンク(アーバ)Ccが連結固定されている。 【0032】前記格納室6の内肩にはステップ振動発生ユニットAのケーシング2の一端が当接し、下部体19bによって他端が閉止されている。そして回転止めのため、格納室6には相対回転しないように周り止めピン25が挿入され、ケーシング2に直角方向から挿入されている。ステップ振動発生ユニットAのカムフォロア50は打撃用空室7に臨んでいる。 【0033】主体19aの天ブロックには、内歯車18と主軸軸線と平行な関係でしかも回転方向では後方側に相当する位置に、軸受26によって回転軸27が回転自由に支承されている。そして回転軸27は天ブロックの開口に伸び、回転軸の上端部に前記内歯車18と噛み合う遊星歯車22が固定されており、それにより遊星歯車22は自転公転運動するようになっている。遊星歯車22と内歯車18は、それぞれの歯数を変えることによりステップ運動の振動数と工具回転の比率を任意に設定することができるように、対で交換可能となっている。 【0034】前記回転軸27は下部が打撃用空室7に伸びており、その下端部に伝動用歯車たとえば傘歯車29が固定されている。打撃用空室7には前記回転軸27と直角状に回転軸80が軸受によって回転可能に支承されており、その回転軸80の中間部には前記ステップ振動発生ユニットAのカムフォロア50と当接可能な打撃手段としての回転カム8がキーやスプラインあるいは角穴の嵌合等により相対回転しないようにされ固定されている。また、回転軸80の端部には前記伝動用歯車29と噛み合う伝動用歯車たとえば傘歯車82が固定されている。 【0035】図10ないし図13は第3実施例を示している。この実施例はマシニングセンタあるいはドリリングセンタ取り付け形式とした場合であり、第2実施例よりも簡単な構造とし得るメリットを有している。この実施例は、ステップ振動発生ユニットAが、振動軸1の後端からの打撃ではなく、振動軸1の中間での打撃によって作動することが特徴であり、そのため、振動軸1の前側部体1cは中間にケーシング2を越えて半径方向に張り出すプレート部10cを有している。該プレート部10cは、図12と図13ように背面周縁領域に所望の軌跡で隆起した複数個のフェイスカム部100を有している。 【0036】Cは回転動源を有する工作機械であり、付属の固定治具を有している。該固定治具は、主軸Caの側方近傍に位置決めブロックCbを有している。装置は使用時に主軸Caの下方に位置する非回転の外ハウジングB2と、外ハウジング内に軸受23によって回転自由に保持された内ハウジング19と、内ハウジング19に固定されたステップ振動発生ユニットAと、外ハウジングB2に支持され、ステップ振動発生ユニットAの前記フェイスカム部100と接触可能な複数のカムフォロア33を備えている。カムフォロア33がこの実施例における打撃手段である。 【0037】前記外ハウジングB2は前記位置決めブロックCbの位置決め穴と嵌合するロッキングピン23を有しており、それらの嵌合がなされることにより回転止めの作用を発揮する。前記外ハウジングB2は主軸Caと同心状の筒部を有しており、該筒部の内面に軸受24が設けられ、この軸受24によって主軸Caと同心に有底状の内ハウジング19が回転自由に支承されている。内ハウジング19は上部に主軸C1aに対するツールシャンク(アーバ)Ccが連結固定されており、下部にはステップ振動発生ユニットAの格納室6が形成されている。格納室6は分割溝によって可縮可能となっており、格納室6の内肩にステップ振動発生ユニットAのケーシング2の一端が当接された状態で緊締ボルト34で分割溝を締め付けることによって、ステップ振動発生ユニットAは相対回転しないように固持される。 【0038】前記ステップ振動発生ユニットAと同一レベルに相当する内ハウジング外周と外ハウジングB2との間には、図12のように打撃用空室に相当する複数(図面では180度対称位置に2つ)半径方向凹部7’,7’が形成されており、外ハウジングB2には半径方向凹部7’,7’に突入する横軸35が取り付けられていて、これら横軸35に、前記プレート部10cのフェイスカム部100と接触するコロ状のカムフォロア33が回転可能に支持されている。 【0039】図14と図15は第4実施例を示している。この実施例は長穴加工用のガンドリルマシン用に好適な態様であり、主軸台EのマシンチャックE1に着脱可能に取り付けられて駆動回転されるハウジングB3に格納室6が設けられている。ここにステップ振動発生ユニットAが保持されており、ステップ振動発生ユニットAの前端領域に対応するハウジングB3の周りには台E2が固設されている。この台E2は打撃手段として前記フェイスカム部100と接触可能な複数のカムフォロア33を備えている。 【0040】前記ハウジングB3の中心には格納室6に通じる給油通路36が穿設されている。ステップ振動発生ユニットAは、振動軸1と、これを同心状に外囲するケーシング2および複数枚のダイヤフラム3,3とにより構成されていることは記述した態様と同様であるが、この実施例においては、前記給油通路36を通して供給される油をガンドリルに流通させるため特別な構成となっている。 【0041】すなわち、振動軸1は、中間部体1aと後側部体1bおよび前側部体1cに分割されているが、後側部体1bと後側部体1bおよび前側部体1cの中心には注油通路102が貫設されている。これを避けるため、注油通路102よりも外径側の部分に前側部体1cにまで達する複数のボルト孔10’が穿設されていて、ボルト5’により中間部体1aと後側部体1bおよび前側部体1cが締め付けられ、それによりダイヤフラム3,3が振動軸1と一体化されている。後側部体1bはボス部を有し、それにハウジングB3の孔と接するシール材が取り付けられている。 【0042】前側部体1cは前記第3実施例と同じくケーシング2を越えて半径方向に張り出すプレート部10cを有し、該プレート部10cは背面周縁領域に、所望の軌跡で隆起した複数個のフェイスカム部100を有している。加工工具としてのガンドリルD’は基端部D1が前側部体1cのホルダ部13’に内挿され、止めねじで固定されている。ガンドリルD’の中心の注油孔は前側部体1cの中心の注油通路102と連通されている。ガンドリルの前方には、工作物チャッキング台にワークWが固定されている。 【0043】本発明は前述した実施例に限定されるものではない。 1)前記実施例では、中間部体1aと後側部体1bおよび前側部体1cとが単一のボルト5で締結されることによりダイヤフラム3,3を連結しているが、これに代えて図16(a)(b)のように、後側部体1bと前側部体1cをそれぞれをボルト5a,5bにより中間部体1aに連結してダイヤフラム3を緊締してもよい。ボルト5a,5bのいずれか一方または両方は、部体1b,1cに一体に設けられていてもよい。 【0044】2)また、ダイヤフラム3,3の中央部分固定するため中間部体1aと後側部体1bおよび前側部体1cを締結するボルトは、必ずしも軸心にある場合に限られない。図14で代表されるように軸心と同心円状に配して締結してもよい。この場合には、打撃受け部はボルト頭でなく専用のものを設ける。 3)実施例ではボルト5の頭部50をカムフォロアとしても利用しているが、ボルト頭部とは別にカムフォロアを設けてもよい。たとえば、ボルト頭部にキャップ状部材を嵌着してカムフォロアとしてもよい。打撃音の発生を防止するため、制振合金などの防振性をもった部材も好適である。 【0045】4)ダイヤフラム3,3の外縁部分の固定についても、図17のように、中間部体2aと、前後のリング状部体2bとをボルト39で締結することで得てもよい。5)本発明は振動軸1の前端部と後端部をダイヤフラム3,3でケーシング2に支持させることが必須であるが、振動軸1が長いような場合には、中間部についてもダイヤフラムで支持させてもよい。 【0046】6)打撃手段としてのカムは、円形カム、三角カムに限らず、歯数が1ないし5程度のものから適宜選択される。このように所望の歯数を選択することによりステップ振動の振動数を変化させることができる。 7)本発明は、ドリル、タップ、エンドミルなどの転削式穴加工のほか、リーマ、ブローチなどの非転削式穴加工にも適用される。 【0047】 【実施例の作用】次に実施例に示す装置の使用法と作用を説明する。第1態様の第1実施例においては、加工工具D(図示するものはドリル)を保持している振動軸1は半径方向に延出する前後のダイヤフラム3,3によって外周側のケーシング2に支持されている。装置本体Bを旋盤などに搭載し、刃物台側の駆動源を回転させるとともに送りを与える一方、ワークWを回転させれば、歯車801,800を介して回転軸80が回転し、これに固定されている回転カム8がステップ振動発生ユニットAの後端のカムフォロア50を周期的に打撃することにより、ステップ振動切削が行われる。 【0048】図18はこの動作を模式的に示しており、作業開始直前を示す(a)の段階では加工工具DはワークWに当接していないため、回転カム8の叩き点8aはカムフォロア50から離間されてクリアランスCを有している。なお、このときにはダイヤフラム3,3の各環状膨出部30は図4(b)の中立状態にある。次いで、加工工具DがワークWに当接すると、振動軸1が後退側に押圧されるため、ダイヤフラム3,3の各環状膨出部30は図4(c)のように変形し、後退ストロークが作られる。図18(b)の仮想線はこれを意味している。このときには、工具ホルダ部12に保持されている加工工具DはワークWに接触したままで切削作用をしない休止期にある。回転カム8の叩き点8aが周方向に移動すると、回転方向で前方の部分がカムフォロア50に接触を始め、それにより図18(b)のように、振動軸1はダイヤフラム3,3により弾性支持されながら軸方向に押圧される。まだこの期間も切削作用をしない休止期にあり、ダイヤフラム3,3の各環状膨出部30は図4(c)の状態にある。 【0049】さらに回転カム8の叩き点8aが周方向に移動すると、カムフォロア50は強力に押圧され、それによりダイヤフラム3,3の環状膨出部30は図4(d)のように弾性変形され、振動軸1はダイヤフラム3,3に支持されながら軸方向に移動し、図18(c)のように加工工具Dによる切削が行われる。lTは振動1周期毎の切削量である。なおも回転カム8が回転を続け、叩き点8aがボルト頭部50から離間すると、ダイヤフラム3,3の環状膨出部30は図4(c)の状態に復元される。このため、図18(d)のように加工工具Dは切削点に位置されたままになり、休止期となる。そして再び回転カム8の叩き点8a’がボルト頭部50に当接すると、ダイヤフラム3,3は前記のように弾性変形させられ、振動軸1はダイヤフラム3,3に支持されながら軸方向に移動し、図18(e)のように加工工具Dによる切削が行われ、穴明け加工が行われる。 【0050】以上の動作が繰り返されることによりステップ振動切削が行われる。本発明によるステツプ振動切削のメカニズムは、Vを切削速度、vをステップ振動速度とすると、V<vの関係にあり、v=2πAF(但し、Aは振幅、Fは振動数)である。 【0051】第1態様の第2実施例ないし第4実施例も基本的な作用は前述したところと同じである。第2実施態様の第1実施例(図7)においては、ワークWは非回転におかれ、回転駆動源を回転することにより伝達手段14を介して内ハウジング16とこれに格納保持されているステップ振動発生ユニットAが一体回転する。それとともに、回転カム8を駆動することにより前述したように振動軸1はダイヤフラム3,3に支持されながら周期的に軸方向に移動することによりステップ振動が与えられる。 【0052】第2実施例(図8)においては、工作機械たとえばマシニングセンタやドリリングセンタのツールホルダに使用する工具の一つとして本発明装置を装着しておき、交換用アームによりツールホルダから本発明装置を取り出し、あらかじめ所定の歯数をもった内歯車18を固定してある外ハウジングB1をロックピン23によって固定治具の位置決めブロックCbにセットする。本発明装置はいわゆるマシニングセンタなどの工作機械の自動工具交換装置に装着することができ、エンドミルやドリルなどの一般工具と同様に取り扱いすることが可能である。 【0053】被加工物をテーブルに固定し、マシニングセンタの主軸Caを単一の回転動力源として作動させる。こうすれば、主軸Caの回転が内ハウジング19に伝達されて回転し、それにより内ハウジング19に保持されているステップ振動発生ユニットAも回転する。前記内ハウジング19の回転軸27は遊星歯車22を有し、それが外ハウジングB2に固定されている内歯車18と噛み合っているため、内ハウジング19が回転すると、遊星歯車22は自転公転し、この遊星歯車22の回転運動によって下部の回転カム8が回転させられる。これにより前述したように振動軸1の後端のカムフォロア50が周期的に打撃され、振動軸1はダイヤフラム3,3の変形により軸方向に移動してステップ振動切削が行われる。 【0054】第3実施例(図10)も、マシニングセンタやドリリングセンタの回転主軸端にアーバCcにより固定する。ロックピン23により回転が止められている外ハウジングB2には打撃手段としてのカムフォロア33,33が支持されており、ダイヤフラム3,3が中立状態にあるときには、カムフォロア33,33は振動軸前側部体1cのプレート10cに接触していない。すなわち、カムフォロア33,33はフエイスカム100にクリアランスCをもって対峙している。 【0055】主軸Caの回転が内ハウジング19に伝達されて回転し、それにより内ハウジング19に保持されているステップ振動発生ユニットAが回転し、加工工具Dがワークに接して後方へと押圧されると、カムフォロア33,33は前記プレート10cのフェイスカム100と当接して打撃作用を受け、それによりダイヤフラム3,3によって支持されている振動軸1は軸方向前方に押し出されて加工が行われる。ついで、カムフォロア33,33がフェイスカム100,100と非接触になると、振動軸1は後退する。このように振動軸1が切削負荷と共同してダイヤフラム3,3により前後することにより、ステップ振動切削が行われる。第3実施例のステップ振動発生ユニットAは、第2実施例のそれと比較して、構造が簡単、シンプルなものとなり、製作コストを安価にすることができる。 【0056】第4実施例においては、ガンドリルマシンの主軸を回転すれば、装置本体B3とこれに保持されているステップ振動発生ユニットAが回転し、これに取り付けている長尺のガンドリルD’が回転する。この回転時に振動軸前側部体1cのプレート部10cに設けられているフェイスカム100には台E2のカムフォロア33,33が接してフェイスカム100が押圧されるため、前記第3実施例と同じように加工工具D’を含む振動軸1がダイヤフラム3,3で支持されながら前後に動かされ、ステップ振動切削による長穴加工が行われる。そして、この加工時には、後方から給油通路36に切削油が供給されるが、振動軸1の中心に加工工具としてのガンドリルD’の中心に通じる給油通路102が穿設されているため、円滑に切削部位に切削油を連続供給することができる。 【0057】本発明のステップ振動発生ユニットAを採用した場合、ステップ振動切削による利点をそのまま発揮することができるが、さらに加工工具D,D’を保持する振動軸1が、ステップ振動に際して、外周のスリーブとガイドブッシユにより摺動されるのでなく、外縁部分が外周のケーシング2に固定されたダイヤフラム3,3により軸方向変位可能に弾性支持されている。このため、摺動ガイド方式の場合に必要であったスリーブとカイドブッシュとの間の数十ミクロンのクリアランスがなくなり、クリアランスによるラジアル方向のガタが皆無となる。このため、ラジアル方向のガタが原因のドリルの折損などのトラブルがなくなり、精度のよい穴明け加工を円滑に行なうことが可能となる。 【0058】また、スリーブとカイドブッシュとの間の数十ミクロンのクリアランスの設定や調整が不要となり、単純にダイヤフラム3,3の中間部分を振動軸1に挟持固定するだけでよくなるため、組立てが容易であるとともに組立て誤差による影響もほとんど考慮しなくてもよくなり、安価でバラツキの少ないステップ振動発生ユニットAとすることができる。さらに、摺動方式の場合に必要であった潤滑も不要で、メンテナンスフリーとなるので、取り扱いが容易であるとともに、耐久性を大とすることができる。 【0059】 【発明の効果】以上説明した本発明の請求項1によるときには、各回の振動で刃先が切削点に接触した状態を保持する(戻り行程なし振動)切刃軌跡を生成させてステップ状の切削を行なうことができ、振動切削と同じように良好な精密切削を行なえるうえに、有害な衝撃力が直接刃先に作用しなくなるため、刃先に対する負荷が軽減され、高硬度材や難削材に対しての加工において、工具刃先のチッピングを防止して高い寿命を確保することができる。しかも、加工工具を取り付ける工具ホルダを先端部に有しこれよりも背方に周期的に打撃を受ける部分を有する振動軸1の半径方向が、複数のダイヤフラム3,3によりケーシング2に弾性支持されたステップ振動発生ユニットAを備え、振動軸1の軸方向の振動を、摺動式でなしに、複数のダイヤフラム3,3によりケーシング2に弾性支持させることで実現しているので、ラジアル方向のガタによる穴の折損がなくなり、小径ドリルにおいても円滑に精度よく加工を行なうことができ、かつまた摺動式でないため製作、組立てが容易で、誤差の介入も少なく、したがつて、安価なものとすることができ、使用上も潤滑が不要、フメンテンスフリーとすることができ、耐久性も大とすることができるなどのすぐれた効果が得られる。 【0060】請求項2によれば、構造が簡単かつ小型であるため、旋盤はもとより、汎用的な工作機械のマシニングセンタ、ドリリングセンタなどの主軸に取り付けて利用することが可能となり、使い勝手を飛躍的に向上させることができ、難削材の小径加工の加工精度向上,工具寿命向上などの生産性向上に大きな利益をもたらすことができるというすぐれた効果が得られる。しかも、ステップ振動発生ユニットAの構造が簡単で、組立ても容易であり、安価に製作することができるという優れた効果が得られる。請求項3と4によれば、ステップ振動発生ユニットAの構造が簡単で、組立ても容易であり、安価に製作することができるというすぐれた効果が得られる。請求項5によれば、長穴加工をステップ振動加工により実現できるというすぐれた効果が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390041313 【氏名又は名称】村川 正夫
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| 【出願日】 |
平成13年6月6日(2001.6.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100072408 【弁理士】 【氏名又は名称】黒田 泰弘
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| 【公開番号】 |
特開2002−361506(P2002−361506A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月18日(2002.12.18) |
| 【出願番号】 |
特願2001−171093(P2001−171093) |
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