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【発明の名称】 ターレット旋盤のターレットヘッド駆動装置
【発明者】 【氏名】竹内 謙一

【要約】 【課題】油圧機構を用いない耐環境性を考慮したものであって、小型コンパクトなターレット旋盤のターレットヘッド駆動装置を提供する。

【解決手段】ワーク加工時にサーボモータ3をサーボロックすることによりターレットヘッド4を固定するようにして、サーボモータ3とターレットヘッド4との間に、サーボモータ3の出力軸に連結される偏心体軸13と、偏心体軸13を両端支持する2つの円板を有する支持体14と、支持体14の円板間の空間に配設され偏心体軸13の回転によって揺動運動する外歯歯車21と、外歯歯車21の外周に位置し外歯歯車21の歯数より多い歯数を有する内歯歯車23とからなる偏心揺動型減速機を配し、ターレットヘッド4を支持体14に結合し、内歯歯車23をハウジング2に固定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ワーク加工時にサーボモータをサーボロックすることによりターレットヘッドを固定するようにしたターレット旋盤のターレットヘッド駆動装置において、前記サーボモータと前記ターレットヘッドとの間に、前記サーボモータの出力軸に連結される偏心体軸と、該偏心体軸を両端支持する二つの円板を有する支持体と、前記二つの円板間の空間に配設し前記偏心体軸の回転によって揺動運動する外歯歯車と、該外歯歯車の外周に位置し該外歯歯車の歯数より多い歯数を有する内歯歯車とからなる偏心揺動型減速機を配し、前記ターレットヘッドを前記支持体に結合し、前記内歯歯車を前記ターレット旋盤のターレットハウジングに固定したことを特徴とするターレット旋盤のターレットヘッド駆動装置。
【請求項2】 前記内歯歯車と前記支持体のターレットヘッド側円板との間にオイルシールを設けると共に、前記支持体のターレットヘッド側円板の端部に形成された平坦面と前記ターレットヘッドの端部に形成された平坦面とを密着させ、且つその密着させた密着部と前記二つの円板間の空間とが流体連通できないように構成していることを特徴とする請求項1記載のターレット旋盤のターレットヘッド駆動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ターレット旋盤のターレットヘッド駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のターレット旋盤のターレットヘッド駆動装置としては、ターレットヘッドと刃物台本体との間に高精度に加工した歯付きカップリング機構によって両者を強力に連結した状態で旋削を行うようにしている。また、例えば、特開平3−131453号公報に記載されているようにサーボモータのサーボロックを用いてターレットヘッドを固定するようにしたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者のターレット旋盤のターレットヘッド駆動装置では、歯付きカップリング機構によってターレットヘッドと刃物台本体とを連結する構成であるため、ターレットヘッドを任意の回転割出し位置に設定することができないため、ワークの加工精度を向上させるにも限界があった。さらに、歯付きカップリング機構を作用させるには油圧機構を必要とするため、油の漏れ等による環境への影響が問題であった。また、後者のものでは、ターレットヘッドを任意の回転割出し位置に設定できるものの、偏心体軸と、偏心体軸を両持ち支持する支持体と、支持体内に挟持され偏心体軸の回転によって揺動運動する外歯歯車と、外歯歯車の外周に位置し外歯歯車の歯数より多い歯数を有する内歯歯車とからなる偏心揺動型減速機の支持体をハウジングに固定し、内歯歯車をターレットヘッドに結合しており、内歯歯車の外周を支持体で覆うとともに剛性を持たせ、内歯歯車にテーブルまたはターレットヘッドを取り付けるためには、そのテーブルまたはターレットヘッドを支持体から少し離して設けなければならず、装置が複雑で大型になる問題があった。
【0004】本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、油圧機構を用いない耐環境性を考慮したものであって、小型コンパクトなターレット旋盤のターレットヘッド駆動装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、ワーク加工時にサーボモータをサーボロックすることによりターレットヘッドを固定するようにしたターレット旋盤のターレットヘッド駆動装置において、前記サーボモータと前記ターレットヘッドとの間に、前記サーボモータの出力軸に連結される偏心体軸と、該偏心体軸を両端支持する二つの円板を有する支持体と、前記二つの円板間の空間に配設し前記偏心体軸の回転によって揺動運動する外歯歯車と、該外歯歯車の外周に位置し該外歯歯車の歯数より多い歯数を有する内歯歯車とからなる偏心揺動型減速機を配し、前記ターレットヘッドを前記支持体に結合し、前記内歯歯車を前記ターレット旋盤のターレットハウジングに固定したことにより達成することができる。
【0006】このターレットヘッド駆動装置によれば、ターレットヘッドを支持体に結合し、内歯歯車をハウジングに固定したので、簡単な構造でターレット駆動装置を構成でき、ターレットヘッドを高い剛性で保持することができる。
【0007】また、請求項2に記載のように、内歯歯車と支持体のターレットヘッド側円板との間にオイルシールを設けると共に、前記支持体のターレットヘッド側円板の端部に形成された平坦面と前記ターレットヘッドの端部に形成された平坦面とを密着させ、且つその密着させた密着部と前記二つの円板間の空間とが流体連通できないように構成しているので、ターレットヘッドをメンテナンスにより取り外してもターレットヘッド駆動装置から潤滑油が漏れ出すことがないので、環境に影響を与えることがない。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1において、1は本実施の形態のターレットであり、ターレット1のターレットハウジング2にはターレットヘッド駆動装置10が取り付けられている。この駆動装置10の入力側にはサーボモータ3が設けられ、出力側にはターレットヘッド4が設けられている。
【0009】サーボモータ3の出力軸に取り付けられた入力歯車11からの回転は伝達歯車12を介して複数の偏心体軸13(本実施例では3個)に伝達される。偏心体軸13は両端が2つの円板を有する支持体14によって二つの円すいころ軸受15を介して回転支持されている。支持体14は複数の柱部17を一体的に有する一方の円板(基円板)16と、柱部17の端部に当接し、締結ピン(図示せず)や複数の締結ボルト19によって結合される他方の円板(端円板)18とからなっている。
【0010】支持体14の2つの円板16,18間の空間には、2枚の外歯歯車21が配設されており、その内部の三つの孔22を支持体14の三つの柱部17が貫通している。外歯歯車21は、偏心体軸13の中央部に一体的に形成された180°偏心位相の異なる2つの偏心体13a,13bに軸受20を介して嵌合され、偏心体軸13の回転によって揺動運動される。
【0011】外歯歯車21にはエピトロコイド歯形が形成されており、この外歯歯車21の外周には外歯の歯数より多い歯数のピン歯車を有する内歯歯車23が設けられ外歯歯車21と噛み合っている。このように駆動装置10は、偏心揺動型減速機を構成している。
【0012】さらに、内歯歯車21と支持体14の2つの円板との間には、主軸受24がそれぞれ設けられ、基円板16の出力側の外周部と内歯歯車21のターレットヘッド側内周との間には、オイルシール25が設けられている。このオイルシール25は、外部からの異物の進入を防ぐとともに、減速機内部の潤滑油が外部へ流出するのを防ぐようになっている。支持体のターレットヘッド側円板の端部に形成された平坦面とターレットヘッドの端部に形成された平坦面とを、それら平坦面の面粗度を良くして直接に又はシールパッキンを介して密着させ、支持体及びターレットヘッドは複数のボルト4aで結合している。その密着させた密着部と二つの円板間の空間とが流体連通できないように、基円板16の中央に形成された開口孔16aにはシールキャップ16bが取り付けられている。また、基円板16のターレットヘッド側の偏心体軸13の軸心位置で軸方向に形成された開口孔16cにもシールキャップ16dが取り付けられている。それらシールキャップ16b、16dを設ける代わりに、支持体のターレットヘッド側円板の平坦面より内方中央を閉鎖した形状(開口孔16aのターレットヘッド側を閉塞した形の基円板16)や、開口孔16cを設けない形状にしても、その密着部と二つの円板間の空間とが流体連通できないようにできる。シールキャップ16dを取り外し開口孔16cから棒や工具を挿入して、偏心体軸13を軸方向に動かすことにより、円すいころ軸受の与圧調整を行うことができる。それらシールキャップ16b、16dは基円板16からターレットヘッド側の軸方向外方へ取り外せるようになっている。
【0013】次に、本実施の形態に係る駆動装置10の作用について説明する。偏心揺動型減速機の支持体14には、バイト等の刃物を保持するターレットヘッド4が取り付けられている。ターレット1のベース(図示せず)に強固に固定されたターレットハウジング2には、偏心揺動型減速機の内歯歯車23がターレットヘッド4の近傍で取り付けられ固定されている。この場合、内歯歯車23の外周に鍔部26を設け、この鍔部26は減速機の出力側に位置させることによって、ターレットヘッド4の撓みが小さくなるように保持される。
【0014】サーボモータ3は、ターレットハウジング2に固定された内歯歯車23にモータフランジ27を介して取り付けられる。サーボモータ3の回転は入力歯車11及び伝達歯車12によって前段減速して偏心体軸13に入力される。これにより偏心体軸13の回転により偏心揺動される外歯歯車21と、この外歯歯車21と噛み合う内歯歯車23とにより後段減速され、外歯歯車21の自転運動が支持体14に伝達され、支持体14に取り付けられたターレットヘッド4が回転する。ワークを加工する場合、ターレットヘッド4を所定の回転位置に割出し、サーボモータ3をサーボロックすることによりターレットヘッド4が固定される。駆動装置には切削抵抗が反力として作用するが、駆動装置が剛性の優れた偏心揺動型減速機であることと、ターレットヘッドの撓みが小さくなるように駆動装置を保持していることによって充分耐えることができる。入力歯車11の外周とモータフランジ27の内周には、減速機内部の潤滑油が外部やサーボモータ3へ流出するのを防ぐために、オイルシールが設けられている。なお、サーボモータ3自体をサーボロックする方法手段は公知なので省略する。
【0015】また、メンテナンスのためターレット駆動装置からターレットヘッド4を取り外しても駆動装置には、オイルシール25やシールキャップ等のシール機構が設けられているため減速機内部の潤滑油が外部へ漏れることがなく、メンテナンスが容易に行える。
【0016】以上のように本発明を実施の形態により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲で各種の変形が可能である。例えば、内歯歯車を円筒状に厚く形成して剛性を持たせて、ターレットヘッドの近傍から締結ボルト等を厚く形成した内歯歯車の円筒部を通してハウジングに固定するようにしてもよい。また、サーボモータをハウジングに直接取り付けるようにしてもよく、さらには、サーボモータの取り付け長さを短くするために、偏心揺動型減速機の伝達歯車を基円板と外歯歯車との間等に設けるようにしてもよい。
【0017】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、ターレットヘッドを支持体に結合し、内歯歯車をハウジングに固定したので、簡単な構造でターレット駆動装置を構成でき、ターレットヘッドを高い剛性で保持することができる。また、請求項2の発明によれば、ターレットヘッドをメンテナンスにより取り外してもターレットヘッド駆動装置から潤滑油が漏れ出すことがないので、環境に影響を与えることがない。
【出願人】 【識別番号】000215903
【氏名又は名称】帝人製機株式会社
【出願日】 平成13年4月10日(2001.4.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−307212(P2002−307212A)
【公開日】 平成14年10月23日(2002.10.23)
【出願番号】 特願2001−112031(P2001−112031)