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【発明の名称】 工作物の板状両側端面を加工する加工装置
【発明者】 【氏名】新貝 幸樹

【氏名】平山 忍

【氏名】高松 登

【氏名】森川 敏郎

【要約】 【課題】この加工装置は,工作物の板状両側端面を2本のバイトで同時に加工し,加工効率をアップすると共に加工精度を高精度にする。

【解決手段】この加工装置は,工作物8が固定された回転駆動される主軸14,サーボモータ4,17,18によって往復移動するZ軸テーブル16,X軸テーブル1,及びX軸テーブル1上のY軸テーブル15を有する。X軸テーブル1上には第1バイト6と第3バイト5,及びY軸テーブル15には第2バイト7がセットされている。コントローラは,X軸テーブル1上のタッチセンサ9による検出信号に応答して工作物8の手前側端面20を第3バイト5で粗加工し,次いで工作物8の手前側端面20を第2バイト7で且つ奥側端面19を第1バイト6で同時加工する制御を行なう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 工作物が固定された回転駆動される主軸,Z軸サーボモータによって往復移動するZ軸テーブル,該Z軸テーブル上に載置され且つX軸サーボモータによって往復移動するX軸テーブル,該X軸テーブル上にセットされたバイトホルダに取り付けられた第1バイト,前記X軸テーブル上に載置され且つY軸サーボモータによって往復移動するY軸テーブル,該Y軸テーブル上にセットされたバイトホルダに取り付けられた第2バイト,前記X軸テーブル上にセットされた前記工作物の板状両側端面の加工領域の形状情報を検出するタッチセンサ,及び該タッチセンサによる検出信号に応答して前記工作物の奥側端面を前記第1バイトで且つ前記工作物の手前側端面を前記第2バイトによって同時加工する制御を行なうコントローラ,から成る工作物の板状両側端面を加工する加工装置。
【請求項2】 前記X軸テーブル上にセットされた前記バイトホルダに取り付けられた第3バイトを有し,前記コントローラは,前記第1バイトと前記第2バイトとの前記工作物の前記両側端面の同時加工に先立って,前記タッチセンサによる検出信号に応答して前記第3バイトによって前記工作物の前記手前側端面を粗加工する制御を行なうことから成る請求項1に記載の工作物の板状両側端面を加工する加工装置。
【請求項3】 前記コントローラは,前記タッチセンサによる前記工作物の板状両側端面についての検出信号に応じて前記工作物の加工代を演算処理し,前記第3バイトによって前記工作物の手前端面を粗加工する制御を行なうことから成る請求項1に記載の工作物の板状両側端面を加工する加工装置。
【請求項4】 前記コントローラは,前記タッチセンサによる前記工作物の板状側端面の両側端面について前記形状情報の検出信号に応じて前記工作物の加工代を演算処理し,前記第2バイトを前記Y軸サーボモータの駆動によってボールねじを介して前記第1バイトに対してY軸方向に移動制御し,前記第1バイトと前記第2バイトとの間隔を前記工作物に対する加工間隔に位置設定する制御を行なうことから成る請求項1に記載の工作物の板状両側端面を加工する加工装置。
【請求項5】 前記第1バイトと前記第2バイトは前記X軸サーボモータの駆動によってX軸方向に移動して前記工作物の前記両板状側端面の切削加工を同時に行なうことを特徴とする請求項4に記載の工作物の板状両側端面を加工する加工装置。
【請求項6】 前記第3バイトによって粗加工された前記工作物の前記両板状側端面の厚みを前記タッチセンサによって検出し,検出値に応じて中仕上げ加工代を演算し,中仕上げ加工を前記第1バイトと前記第2バイトとによって前記両板状側端面を同時加工することを特徴とする請求項1に記載の工作物の板状両側端面を加工する加工装置。
【請求項7】 前記第1バイトと前記第2バイトによって中仕上げ加工された前記工作物の前記両板状側端面の厚みを前記タッチセンサによって検出し,検出値に応じて仕上げ加工代を演算し,最終仕上げ加工を前記第1バイトと前記第2バイトとによって前記両板状側端面を同時加工することを特徴とする請求項6に記載の工作物の板状両側端面を加工する加工装置。
【請求項8】 前記第3バイトは前記工作物に対して粗加工する粗加工バイトであり,前記第1バイトに対して前記工作物の加工領域の厚み方向に相対移動する前記第2バイトは前記工作物に対して仕上げ加工する仕上げ加工バイトであることを特徴とする請求項1に記載の工作物の板状両側端面を加工する加工装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,特に,Y軸テーブルをY軸サーボモータの駆動によって移動させ,X軸テーブルに設けたバイトとY軸テーブルに設けたバイトとによって工作物の両板状側端面を同時に加工する加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来,板状工作物の両面同時加工装置としては,刃物台に対して固定された刃物と,該刃物の方向に移動可能に配置された別の刃物とで,工作物を歪ませることなく精密に切削することができるものが知られている(例えば,特開2000−176702号公報参照)。該板状工作物の両面同時加工装置は,回転主軸の先端に設けられたチャック爪で把持した板状工作物の両加工面が,刃物台に設けられた固定側刃物と固定側刃物に正対して設けられた可撓側刃物との間に挟み込んだ状態で同時に切削加工される。板状工作物に歪を与える切削影響が両加工面で相殺される。刃物台上に設けられた加工基準装置の当接面を利用して,両刃物による加工代が均等になるように設定される。可撓側刃物の刃先は,ストローク増幅機構による圧電素子の伸縮を増幅した移動量で精密に位置決めされる。
【0003】また,レーザープリンタに組込まれるポリゴンミラーは,外周面が六面又は八面に等分割されたミラー部分を有する厚さ1〜5mmの薄板物品である。このようなポリゴンミラーやハードディスクドライブ(HDD)に使用されるハードディスク間に装填されるスペーサ等の薄板製品の両基準面には,例えば,平面度が0.5μm以下という厳しい平面度精度が要求される。従来,このような対象工作物が薄板製品である場合,薄板製品に高精度の平面度を得るためには,薄板をその面内で回転するように回転軸に取り付けて,異なる2本の刃物(バイト)を同一加工機上に上記回転軸に対して軸方向及び径方向に移動可能な可動台に固定して配設している。2本の刃物は,薄板の各手前面に対してそれぞれ配設されており,2本の刃物の間隔はワークである薄板の板厚にバイト逃しのための幅を加えた間隔に設定されている。可動台を回転軸に対して軸方向及び径方向に移動させることにより,薄板は片面毎に,各刃物によって切削加工される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで,単品としての軟質な薄板アルミ材で作られたような板状工作物を精密NC旋盤を用いて加工する場合に片面ずつ加工すると,板状工作物には片側から切削力が作用するために工作物に歪が生じる。しかしながら,一回のチャッキングによって加工軸に保持した板状工作物をその両面において同時に加工することができれば,板状工作物の各側の加工面から作用する切削力を相殺させることが可能となり,ワーク剛性が低い板状工作物を単品として加工している時にも歪を生じさせることなく加工することが可能となる。
【0005】また,従来の加工装置は,工作物の加工領域の形状情報は,機外に設けたセンサ等を用いているのが現状であり,そのため工作物の設定等で段取り替え等が必要になったり,或いは得られている情報に対して装置に組み込んだ場合に補正や調整が必要になった。また,従来の加工装置は,1本のバイトを用いて工作物を加工しているのが現状であり,バイトを交換するに伴って段取り替え,設定の調整等を必要とした。従って,従来の加工装置は,工作物に対する加工効率を上げることができないという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は,上記の課題を解決することであり,Z軸テーブル上にX軸テーブルを載置し,Y軸サーボモータの駆動によってY軸テーブルをボールねじを介して移動制御し,X軸テーブルに設けた第3バイトで工作物の板状手前端面を粗加工し,X軸テーブルに設けた第1バイトとY軸テーブルに設けた第2バイトとによって工作物の両板状側端面を同時に加工し,工作物の板状両側端面の加工効率をアップし,工作物に対して高精度に加工することができ,しかも,加工装置自体に工作物の形状情報を測定可能にして生産性を大幅にアップさせることができる工作物の板状両側端面を加工する加工装置を提供することである。
【0007】この発明は,工作物が固定された回転駆動される主軸,Z軸サーボモータによって往復移動するZ軸テーブル,該Z軸テーブル上に載置され且つX軸サーボモータによって往復移動するX軸テーブル,該X軸テーブル上にセットされたバイトホルダに取り付けられた第1バイト,前記X軸テーブル上に載置され且つY軸サーボモータによって往復移動するY軸テーブル,該Y軸テーブル上にセットされたバイトホルダに取り付けられた第2バイト,前記X軸テーブル上にセットされた前記工作物の板状両側端面の加工領域の形状情報を検出するタッチセンサ,及び該タッチセンサによる検出信号に応答して前記工作物の奥側端面を前記第1バイトで且つ前記工作物の手前側端面を前記第2バイトによって同時加工する制御を行なうコントローラ,から成る工作物の板状両側端面を加工する加工装置に関する。
【0008】この加工装置は,前記X軸テーブル上にセットされた前記バイトホルダに取り付けられた第3バイトを有し,前記コントローラは,前記第1バイトと前記第2バイトとの前記工作物の前記両側端面の同時加工に先立って,前記タッチセンサによる検出信号に応答して前記第3バイトによって前記工作物の前記手前側端面を粗加工する制御を行なうものである。
【0009】前記コントローラは,前記タッチセンサによる前記工作物の板状両側端面についての検出信号に応じて前記工作物の加工代を演算処理し,前記第3バイトによって前記工作物の手前端面を粗加工する制御を行なう。
【0010】前記コントローラは,前記タッチセンサによる前記工作物の板状側端面の両側端面について前記形状情報の検出信号に応じて前記工作物の加工代を演算処理し,前記第2バイトを前記Y軸サーボモータの駆動によってボールねじを介して前記第1バイトに対してY軸方向に移動制御し,前記第1バイトと前記第2バイトとの間隔を前記工作物に対する加工間隔に位置設定する制御を行なう。
【0011】前記第1バイトと前記第2バイトは,前記X軸サーボモータの駆動によってX軸方向に移動して前記工作物の前記両板状側端面の切削加工を同時に行なう。
【0012】この加工装置は,前記第3バイトによって粗加工された前記工作物の前記両板状側端面の厚みを前記タッチセンサによって検出し,検出値に応じて中仕上げ加工代を演算し,中仕上げ加工を前記第1バイトと前記第2バイトとによって前記両板状側端面を同時加工する。
【0013】更に,この加工装置は,前記第1バイトと前記第2バイトによって中仕上げ加工された前記工作物の前記両板状側端面の厚みを前記タッチセンサによって検出し,検出値に応じて仕上げ加工代を演算し,最終仕上げ加工を前記第2バイトと前記第3バイトとによって前記両板状側端面を同時加工する。
【0014】前記第3バイトは前記工作物に対して粗加工する粗加工バイトであり,前記第1バイトに対して前記工作物の加工領域の厚み方向に相対移動する前記第2バイトは前記工作物に対して仕上げ加工する仕上げ加工バイトである。
【0015】この加工装置は,上記のように構成されているので,Y軸テーブルの移動をY軸サーボモータによって行なうので,Y軸テーブルの移動範囲を大きく設定することができ,しかも発熱が少なくなる。また,この加工装置は,工作物の歪を考慮しての切削加工ではなく,工作物によって予め決められた寸法で切削加工を行なうものであり,工作物の端部の両側端面を同時に行なうことができ,サブミクロン加工が可能になる。更に,この加工装置は,異なったテーブル,即ち,X軸テーブルと該X軸テーブル上のY軸テーブルにそれぞれ設定された相対移動が可能な一対のバイトによって,工作物の端部の両側端面,即ち,手前側端面と奥側端面とを同時に加工することができ,しかも,手前側の表側は,粗加工後に仕上げ加工を行なうことができ,ミクロンオーダの高精度の加工を行なうことができる。また,この加工装置は,3本のバイトで切削加工を行なうので,バイト等の設定での段取り替え作業が無くなり,加工装置に工作物を設定した状態で工作物の加工領域の厚みを測定するだけで,工作物を外すような段取りが必要でなくなる。また,加工装置自体,即ち,X軸テーブルにタッチセンサを直接設けて工作物の加工領域の形状情報を直ちに検出して加工動作に移行させるので,生産性を大幅にアップさせることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下,図面を参照して,この発明による工作物の板状両側端面を加工する加工装置の実施例を説明する。
【0017】図1及び図2に示すように,この加工装置は,板状側端面19,20を持つ工作物8が固定された回転駆動される主軸14,工作物8の両板状側端面19,20を刃物台即ちバイトホルダ2,3上に配置された一対のバイト6,7によって同時に切削加工するものである。工作物8は,例えば,図3や図4に示すように,主軸のチャックに保持される中心部が突出した把持部23,工作物8の本体部24及び工作物8の加工される加工部22から形成され,加工部22の周端縁の両側端面に加工面19,20が位置している。この加工装置は,Z軸サーボモータ18によって往復移動するZ軸テーブル16,Z軸テーブル16上に載置され且つX軸サーボモータ17によって往復移動するX軸テーブル1,X軸テーブル1上にセットされたバイトホルダ2に取り付けられた第3バイト5と第1バイト6,X軸テーブル1上にセットされ且つ工作物8の加工面19,20を検出するタッチセンサ9及び各種のセンサ13,X軸テーブル1上に載置され且つY軸サーボモータ4によって往復移動するY軸テーブル15,Y軸テーブル15上にセットされた第2バイト7を有し,タッチセンサ9によって工作物8の加工領域の形状情報を検出し,それらの情報に基づいてコントローラの指令でX軸テーブル1,Y軸テーブル15及びZ軸テーブル16を移動制御し,主軸14に取り付けられた工作物8の一側端面を第3バイト5によって粗加工し,次いで,工作物8の一側端面の手前側端面20を第2バイト7によって且つ工作物8の他側端面の奥側端面19を第1バイト6によって同時に加工する。
【0018】第3バイト5は,工作物8に対して粗加工する粗加工バイトであり,また,第1バイト6に対して工作物8の加工領域の厚み方向に相対移動する第2バイト7は,工作物に対して仕上げ加工する仕上げ加工バイトである。タッチセンサ9によって工作物8の両板状側端面19,20の両加工面寸法を測定して素材厚みを検出し,該検出値に応じて加工代を演算処理し,第3バイト5によって工作物8の手前面を粗加工する。また,第2バイト7は,Y軸サーボモータ4の駆動によってボールねじ10を介して第1バイト6に対してY軸方向に移動し,第1バイト6との工作物8に対する加工間隔の位置設定が行なわれる。次いで,第1バイト6と第2バイト7は,X軸サーボモータ17の駆動によってX軸方向に移動し,工作物8の両板状側端面19,20の切削加工を同時に行なうものである。
【0019】第3バイト5によって粗加工された工作物8の両板状側端面19,20の厚みをタッチセンサ9によって検出し,検出値に応じて中仕上げ加工代を演算し,中仕上げ加工を第1バイト6と第2バイト7とによって両板状側端面19,20を同時加工する。
【0020】この加工装置は,第1バイト6と第2バイト7によって中仕上げ加工された工作物8の両板状側端面19,20の厚みをタッチセンサ9によって検出し,検出値に応じて仕上げ加工代を演算し,仕上げ加工を第1バイト6と第2バイト7とによって両板状側端面19,20を同時加工するものである。
【0021】この加工装置は,上記のように構成されており,次の工程によって工作物8を切削加工することができる。この加工装置は,工作物8を加工治具に取り付け,主軸台に回転可能に支持されている主軸14に固定する。
【0022】次に,この加工装置によって工作物8の板状両側端面を加工するための加工作動について説明する。この加工装置に設けたコントローラ(NC)に,工作物8を切削加工するための初期値,例えば,工作物8の切削加工するべき内径(#516=Xmm,例えば,273.5mm)と外径(#517=Ymm,例えば,297.7mm)とを設定し,測定ポイントサーチ箇所数,測定ポイント角度,工作物8の厚みや幅等の諸条件を入力する。また,この加工装置については,工作物8の加工に先立ってバイト5,6,7の設定位置,X軸テーブル1,Y軸テーブル15,Z軸テーブル16,及び工作物8を取り付けた主軸14について原点復帰させる。そこで,工作物8の測定した厚みT1と切削加工した後の仕上げ製品の厚みT2との公差ΔT(=T1−T2)の範囲内を演算したり,公差内判定が製品規格より大きいか否かを判断したり,諸条件をコントローラに入力する。また,コントローラは,手前側端面粗加工について,手前側端面粗加工の取り代を演算したり,取り代に応じて手前側端面粗加工回数を演算したりする。更に,コントローラは,加工装置における各部品の各点の測定を行い,X軸テーブル1とZ軸テーブル16の位置決めをし,主軸14のC軸の位置決めをする。次に,手前ポジション値である手前側端面スキップ位置であるZ軸のスキップ位置を測定する。奥側端面スキップ位置が製品厚みT2より小さいか否かを判断したりする。
【0023】次に,図7〜図10に示すこの加工装置の処理フロー図を参照して,この加工装置の作動の一実施例について説明する。この加工装置は,上記のように,工作物8の切削加工の作動するにあたって,各部品の原点復帰をし,工作物8の加工するべき面の各点を測定し,工作物8を認識し,製品への加工代を演算し,加工する回数等を演算する。
【0024】図7を参照して,この加工装置によって工作物8の表側即ち手前側の側端面20を第3バイト5によって手前側端面粗加工することについて説明する。コントローラは,上記の前処理を行なった後に,手前側端面粗加工を行なう(ステップS40)。手前側端面加工位置決め位置(#511)と手前側端面スキップ位置(#504)を整合させ(ステップS41),プログラムによって予め決められた手前側端面粗加工回数(#100)を行なったか否かを判断し(ステップS42),所定の回数の加工を行なった時には,原点復帰して主軸14を停止する(ステップS54)。所定の回数の加工を行なっていない時には,手前側端面粗加工回数(#100)が零か否かを判断し(ステップS43),零でない場合には,手前側端面粗加工回数のカウント(#101)を零にし,即ちリセット状態にする(ステップS44)。カウント(#101)が手前側端面粗加工回数(#100)より小さいか否かを判断し(ステップS45),小さい場合には,手前側端面粗加工の位置決め位置を演算するため,手前側端面加工位置決め位置(#511)を手前側端面スキップ位置(#504)から手前側端面粗加工1回の取り代(#506)に手前側端面粗加工回数のカウント(#101)を乗じた数を除算する〔#511=#504−#101×#506〕(ステップS46)。ステップS45で小さくない場合には,ステップS49へ進む。ステップS46の演算に従って第3バイト5による加工動作を続け(ステップS47),加工回数カウントアップになるまで加工処理はステップ45へ戻って繰り返し行い(ステップS48),カウント(#101)が+1の加工回数カウントアップ即ちプログラムによる予め決められた加工条件を満足するようになって加工を終了する(ステップS48E)。ステップS49では,手前側端面粗加工の端数取り代(#512)を演算する〔#512=#510−#100×#506〕。次いで,手前側端面加工位置決め位置(#511)から端数加工の位置決め位置の演算をする〔#511=#511−#512〕(ステップS50)。ステップS50の演算に従って第3バイト5による加工動作を続け(ステップS51),面取り加工動作を行い(ステップS52),そこで,サブプログラムを終了する(ステップS53)。
【0025】次に,図8を参照して,この加工装置によって工作物8の両側端面19,20,即ち,表側即ち手前側の側端面20を第2バイト7によって,また工作物8の裏側即ち奥側の側端面19を第1バイト6によって中仕上げ加工することについて説明する。中仕上げ加工を開始する(ステップS56)。中仕上げ加工回数カウントアップ(#103)の変数を初期化即ちリセットする(ステップS57)。中仕上げ加工回数カウントが4より小さいか否かを判断し(ステップS58),小さい場合には,奥側端面中仕上げの位置決め位置(#513)を演算する(ステップS59)。即ち,中仕上げ奥バイト位置決め位置(#513)は,奥側端面スキップ位置(#505)に,中仕上げ及び仕上げ1回の取り代(#522)に中仕上げ加工回数カウントアップ(#103)を乗じた数を加算する〔#513=#505+#522×#103〕。次いで,手前側端面中仕上げの位置決め位置の演算をする(ステップS60)。即ち,中仕上げ及び仕上げ時の手前バイト位置決め位置補助(#514)は,手前側端面加工位置決め位置(#511)から中仕上げ及び仕上げ1回の取り代(#522)に中仕上げ加工回数カウントアップ(#103)を乗じた数を除算する〔#514=#511−#522×#103〕。次に,手前側端面中仕上げの位置決め位置の置換を行なう(ステップS61)。即ち,中仕上げ手前バイト位置決め位置(#518)は,中仕上げ及び仕上げ時の手前バイト位置決め位置補助(#514)から中仕上げ奥バイト位置決め位置(#513)を除したものである〔#518=#514−#513〕。上記の演算に従って位置決めすると共に,第1バイト6と第2バイト7による加工動作を行なう(ステップS62)。加工回数がプログラムによって予め決められた条件を満たすまでステップ58に戻って繰り返し処理し,そこで,中仕上げ加工回数カウントアップ(#103)より1回多くなるまで,加工を続行し(ステップS63),そこで,予め決められた条件を満たす状態になって加工は終了する(ステップS63E)。
【0026】また,ステップS58において,中仕上げ加工回数カウントアップ(#103)が4より大きい場合には,奥側端面中仕上げの取り代10μの位置の演算,即ち,中仕上げ奥バイト位置決め位置(#513)が,それに0.01を加算する演算をする〔#513=#513+0.01〕(ステップS64)。次に,手前側端面中仕上げの取り代10μの位置の演算,即ち,中仕上げ及び仕上げ時の手前バイト位置決め位置補助(#514)が,それに0.01を除算する演算をする〔#514=#514−0.01〕(ステップS65)。そこで,手前側端面中仕上げ取り代10μの位置を置換,即ち,中仕上げ手前バイト位置決め位置(#518)が,中仕上げ及び仕上げ時の手前バイト位置決め位置補助(#514)から中仕上げ奥バイト位置決め位置(#513)を除したものとする〔#518=#514−#513〕(ステップS66)。上記の演算に従って位置決めを行い,第1バイト6と第2バイト7による加工動作を行い(ステップS67),サブプログラムを終了する(ステップS68)。
【0027】次に,図9に示すように,この加工装置は,中仕上げ前の状態を測定し設定する(ステップS69)。最終仕上げ前取り代の演算をする。即ち,仕上げ前測定による仕上げ取り代(#515)は,工作物8の素材の厚み(#501)から製品の厚み(#502)を除した数より0.02だけ小さい数とするように演算する(ステップS70)。演算することによりサブプログラムを終了する(ステップS71)。
【0028】次に,図10を参照して,この加工装置によって工作物8の両側端面19,20,即ち,表側即ち手前側の側端面20を第2バイト7によって,また工作物8の裏側即ち奥側の側端面19を第1バイト6によって最終仕上げ加工することについて説明する。コントローラに最終仕上げプログラムが設定されている(ステップS72)。まず,仕上げ前測定による仕上げ取り代(#515)が零以下であるか否かを判断し(ステップS73),零以下である場合には処理を終了する(ステップS84)。零以下でない場合には,仕上げ前測定による仕上げ取り代(#515)が仕上げ加工の取り代限界値(#508)より小さいか否かを判断する(ステップS74)。次いで,奥側端面最終仕上げの位置決め位置として10μを残した値に演算する。即ち,中仕上げ奥バイト位置決め位置(#513)は,仕上げ前測定による仕上げ取り代(#515)の半分を加算する演算をする〔#513=#513+(#515/2)〕(ステップS75)。次に,手前側端面最終仕上げの位置決め位置として10μを残した値に演算する。即ち,中仕上げ及び仕上げ時の手前バイト位置決め位置補助(#514)は,仕上げ前測定による仕上げ取り代(#515)の半分を除する演算をする〔#514=#514−(#515/2)〕(ステップS76)。手前側端面最終仕上げ位置として10μを残した値に置換する。即ち,中仕上げ手前バイト位置決め位置(#518)は,中仕上げ及び仕上げ時の手前バイト位置決め位置補助(#514)から中仕上げ奥バイト位置決め位置(#513)を除した値に置換する(ステップS77)。上記の位置決めを行なった後に,第1バイト6と第2バイト7によって最終仕上げの加工動作を行なう(ステップS78)。
【0029】次いで,奥側端面最終仕上げ取り代10μに位置を演算する。即ち,中仕上げ奥バイト位置決め位置(#513)は,中仕上げ奥バイト位置決め位置(#513)に0.01mmを加算した演算をする〔#513=#513+0.01〕(ステップS79)。次に,手前側端面最終仕上げ取り代10μの位置を演算する。即ち,中仕上げ及び仕上げ時の手前バイト位置決め位置補助(#514)は,それから0.01mmを除する演算をする〔#514=#514−0.01〕(ステップS80)。手前側端面最終仕上げ取り代10μの位置に置換する。即ち,中仕上げ手前バイト位置決め位置(#518)は,中仕上げ及び仕上げ時の手前バイト位置決め位置補助(#514)から中仕上げ奥バイト位置決め位置(#513)を除した値に置換する(ステップS81)。上記の位置決めを行なった後に,第1バイト6と第2バイト7によって最終仕上げの加工動作を行なう(ステップS82)。加工動作が終了すれば,サブプログラムは終了する(ステップS83)。
【0030】次に,図11〜図12を参照して,バイト5,6,7の刃先のチップを交換した場合の加工装置の作動処理について説明する。バイト5,6,7の刃先のチップを交換即ちバイト5,6,7を交換した場合には,例えば,バイト5,6,7が許容範囲以上に摩耗した場合には,加工時にバイト自体の交換が必要になることがある。通常,バイト5,6,7を交換すると,その調整に時間がかかり,加工効率を低下させる。そこで,バイト5,6,7の交換時の調整情報をコントローラに入力しておき,それに応じてバイト5,6,7の交換時のバイト5,6,7の調整を,例えば,次のようにして行なうことができる。まず,図11に示すように,コントローラにおいて初期値を設定し(ステップS85),原点復帰する(ステップS86)。初期値としては,例えば,工作物8のサイズ,工作物8の内径(#516=Xmm),外径(#517=Ymm),測定ポイントサーチ箇所数(#108=3),測定ポイント角度(#109=5),工作物8の厚み一時記憶(#110=0),測定角度記憶(#111=0),ピーク記憶(#112=0)等である。
【0031】次に,図11を参照して,X軸テーブル1上に設定されている表側即ち手前側の側端面20の粗加工のバイト5についての調整を説明する。手前側端面加工位置決め位置(#511)を手前側端面スキップ位置(#504)に合わせる〔#511=#504〕(ステップS87)。チップ交換後の位置(#106)を手前側端面スキップ位置(#504)に合わせ,手前側端面粗加工回数カウント(#101)を零にする〔#106=#504,#101=0〕(ステップS88)。手前側端面粗加工回数カウント(#101)が1より小さいか否かを判断し(ステップS89),小さい場合には,手前側端面加工位置決め位置(#511)はそれより0.03だけ小さい値に設定する〔#511=#511−0.03〕(ステップS90)。次いで,第3バイト5の加工動作に移行する(ステップS91)。加工回数カウントアップである手前側端面粗加工回数カウント(#101)はそれより1回多くしてカウントアップする〔#101=#101+1〕(ステップS92)。小さくない場合には,チップ交換後のスキップ位置とチップ交換前の位置との差(#107)がチップ交換後の位置(#106)より手前側端面スキップ位置(#504)だけ小さくする〔#107=#106−#504〕(ステップS93)。チップ交換後のスキップ位置とチップ交換前の位置との差(#107)が0.02より小さいか否かを判断し(ステップS94),小さい場合にはステップS88に戻り,大きい場合には差(#105)が手前側端面加工位置決め位置(#511)より手前側端面スキップ位置(#504)だけ小さく設定し調整する〔#105=#511−#504〕(ステップS95)。
【0032】次に,図12を参照して,X軸テーブル1上に設定されている裏側即ち奥側の側端面19の奥仕上げ加工を行なう第1バイト6の調整を説明する。中仕上げ奥バイト位置決め位置(#513)を奥側端面スキップ位置(#505)に合わせる〔#513=#505〕(ステップS95)。次いで,チップ交換後の位置(#106)を奥側端面スキップ位置(#505)に合わせ,手前側端面粗加工回数カウント(#101)を零にする〔#106=#505,#101=0〕(ステップS96)。手前側端面粗加工回数カウント(#101)が1より小さいか否かを判断し(ステップS97),小さい場合には,中仕上げ奥バイト位置決め位置(#513)をそれより0.03大きく設定する〔#513=#513+0.03〕(ステップS98)。次いで,第2バイト7の加工動作に移行する(ステップS99)。加工回数カウントアップ,即ち,手前側端面粗加工回数カウント(#101)はそれより1回多くしてカウントアップする〔#101=#101+1〕(ステップS100)。小さくない場合には,チップ交換後のスキップ位置とチップ交換前の位置との差(#107)がチップ交換後の位置(#106)より奥側端面スキップ位置(#505)だけ小さくする〔#107=#106−#505〕(ステップS101)。チップ交換後のスキップ位置とチップ交換前の位置との差(#107)が−0.02より大きいか否かを判断し(ステップS102),大きい場合には,ステップS96に戻り,小さい場合には,差(#105)が中仕上げ奥バイト位置決め位置(#513)より奥側端面スキップ位置(#505)だけ小さく設定し調整する〔#105=#513−#505〕(ステップS103)。
【0033】図12を参照して,Y軸テーブル15上に設定されている手前側端面20の仕上げ加工の第2バイト7の調整を説明する。手前側端面加工位置決め位置(#511)を手前側端面スキップ位置(#504)に合わせる〔#511=#504〕(ステップS104)。次いで,チップ交換後の位置(#106)を手前側端面スキップ位置(#504)に合わせ,手前側端面粗加工回数カウント(#101)を零にする〔#106=#504,#101=0〕(ステップS105)。手前側端面粗加工回数カウント(#101)が1より小さいか否かを判断し(ステップS106),小さい場合には,手前側端面加工位置決め位置(#511)をそれより0.03大きく且つ手前側端面粗加工回数カウント(#101)の0.03を乗じた数だけ少なく設定する〔#511=#511+0.03−(#101×0.03)〕(ステップS107)。次いで,第1バイト6の加工動作に移行する(ステップS108)。加工回数カウントアップ,即ち,手前側端面粗加工回数カウント(#101)はそれより1回多くしてカウントアップする〔#101=#101+1〕(ステップS109)。小さくない場合には,チップ交換後のスキップ位置とチップ交換前の位置との差(#107)がチップ交換後の位置(#106)より手前側端面スキップ位置(#504)だけ小さくする〔#107=#106−#504〕(ステップS110)。チップ交換後のスキップ位置とチップ交換前の位置との差(#107)が0.02より大きいか否かを判断し(ステップS111),大きい場合には,ステップS105に戻り,大きくない場合には,差(#105)が手前側端面加工位置決め位置(#511)より手前側端面スキップ位置(#504)だけ小さく設定し調整する〔#105=#511−#504〕(ステップS112)。以上の調整が終了すると,加工装置を原点復帰させ(ステップS113),バイト5,6,7の調整が終了する。
【0034】
【発明の効果】この発明による加工装置は,上記のように構成したので,工作物の加工領域の形状情報を測定でき,直ちにそれに応じてX軸テーブル,Y軸テーブル及びZ軸テーブルを各サーボモータによって加工動作の開始位置へ直ちに移動制御でき,コントローラによってX軸テーブルに設けた第3バイトで工作物の板状手前側端面を粗加工制御し,X軸テーブルに設けた第1バイトとY軸テーブルに設けた第2バイトとによって工作物の両板状側端面を同時加工制御し,それによって,工作物の板状両側端面の加工効率をアップすると共に,工作物に対して高精度に加工することができ,しかも加工装置自体にタッチセンサを設けて工作物の形状情報を加工開始前に測定可能にすると共に,バイトのチップを交換しても直ちに調整ができ,生産性を大幅にアップさせることができる。
【出願人】 【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
【出願日】 平成13年4月18日(2001.4.18)
【代理人】 【識別番号】100092347
【弁理士】
【氏名又は名称】尾仲 一宗
【公開番号】 特開2002−307202(P2002−307202A)
【公開日】 平成14年10月23日(2002.10.23)
【出願番号】 特願2001−120061(P2001−120061)