| 【発明の名称】 |
金属粉末の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】赤井 誠
【氏名】影山 景弘
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| 【要約】 |
【課題】スパッタリングターゲット材、焼結コンデンサ、化学工業用触媒等に好適な金属粉末を、高品質かつ低コストにて製造する。
【解決手段】金属状態での沸点が3000℃以下であるその金属の化合物であって、平均粒径が3μm以上の化合物の原料粉末を、プラズマトーチ7中で給粉ノズル2を介して水素を導入した熱プラズマ3中に通すことで、平均粒径が0.1〜3μmの金属粉末を得る金属粉末の製造方法である。加えて、化合物は、その金属に化合する物質1mol当りに換算した標準生成自由エネルギーΔG゜(J/mol)が、−550000+150T以上[但し、T(K):298〜金属の融点]である金属粉末の製造方法である。本化合物は、酸化物とすることができ、あるいはさらに、NiあるいはCuの化合物が適用できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属状態での沸点が3000℃以下であるその金属の化合物であって、平均粒径が3μm以上の化合物の原料粉末を、水素を導入した熱プラズマ中に通すことで、平均粒径が0.1〜3μmの金属粉末を得ることを特徴とする金属粉末の製造方法。 【請求項2】 化合物は、酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の金属粉末の製造方法。 【請求項3】 化合物は、その金属に化合する物質1mol当りに換算した標準生成自由エネルギーΔG゜(J/mol)が、−550000+150T以上[但し、T(K):298〜金属の融点]であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属粉末の製造方法。 【請求項4】 化合物は、Niの化合物であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の金属粉末の製造方法。 【請求項5】 化合物は、Cuの化合物であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の金属粉末の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、情報産業機器部品の製造に係るスパッタリングターゲット材、焼結コンデンサ、あるいは化学工業用触媒などに用いることが可能な、金属粉末の製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、情報産業の急速な進展に伴って、情報産業機器部品の需要が高まっている。これらの部品のうち、例えば携帯電話等に利用される積層セラミックスコンデンサーにおいては、Ag、Ni、Cuなどの微粉末を有機溶剤に混合した導電性ペーストが多量に使用されている。 【0003】例えば、導電性ペーストに使用される金属微粉末は、平均粒径が0.1〜3μmの範囲にあるものが多く用いられる。ここで、平均粒径とは、レーザー回折法で測定した粒度分布を小径側から積算し、その値が全粒径に渡った積算値の半分になるところの粒径を意味する。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】従来、このような金属微粉末は、CVD法や熱還元法、湿式法によって製造されてきた。CVD法とは、気相反応から固体を合成する製法であり、現在主流となっている製造方法である。しかし、ハロゲン化物などを原料として利用するため危険性および原料コストが高く、かつ設備1基あたりでの製造速度が遅いため多基設備で並列処理する必要があり、設備費が高いという欠点がある。 【0005】熱還元法は、酸化物を出発原料に、ハライド化(ハロゲン(塩素、フッ素など)との化合物化)→水素還元によって、金属粉末を得る方法である。この場合、ハライド化処理に耐え得る容器が必要となり、十分な安全対策が必要となる。また、酸化物からのカスケード的還元処理(生成自由エネルギーが小さくなる順番に化合物を作っていく還元処理)となるため、十分な外部エネルギーを投入することができず、その酸化物としての標準生成自由エネルギーが比較的大きな(負で絶対値が小さな)金属の粉末製造にしか適用できない。実用的には、その標準生成自由エネルギーの低いところでもNi程度が限界である。 【0006】湿式法は、水溶液中の酸化−還元反応を利用して、水和した金属イオンから金属粉末を析出沈殿させ、これを乾燥して用いる方法である。本法は製造速度が速いという利点こそあるが、不純物が比較的多いという欠点がある。 【0007】以上のように、従来の手法では、目的とする金属粉末の品質と、その製造コストを共に十分満足させることが困難であり、また、適用できる金属種にも制限がある。そこで、本発明は、上記用途にも適用が可能な金属粉末を、高品質かつ低コストにて製造する方法の提供を目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者は上記の課題を解決するために鋭意研究を行った。その結果、目的とする金属種に対し、その化合物の粉体を原料とした金属粉末の製造方法であって、上記0.1〜3μmの平均粒径を有する金属粉末の製造にこそ適した方法を見いだし、本発明に至った。 【0009】すなわち、本発明は、金属状態での沸点が3000℃以下であるその金属の化合物であって、平均粒径が3μm以上の化合物の原料粉末を、水素を導入した熱プラズマ中に通すことで、平均粒径が0.1〜3μmの金属粉末を得ることを特徴とする金属粉末の製造方法である。化合物は、酸化物とすることができる。 【0010】加えて、化合物は、その金属に化合する物質1mol当りに換算した標準生成自由エネルギーΔG゜(J/mol)が、−550000+150T以上[但し、T(K):298〜金属の融点]であることを特徴とする金属粉末の製造方法である。本発明の化合物においては、NiあるいはCuの化合物が適用できる。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明の特徴は、目的とする金属種に対して、その化合物の粉体を原料とした金属粉末の製造方法であって、その平均粒径が0.1〜3μmの金属粉末を得るに最適な製造方法を見いだしたところにある。 【0012】つまり、上記化合物の原料粉末を、水素を導入した熱プラズマ高温領域に供給することにより、その高温領域での化合物の還元、気化、そして再凝縮させ、高品質の金属粉末を製造することができ、しかも、その平均粒径を0.1〜3μmに調整することが可能である。 【0013】ここで、特に重要な点は、熱プラズマの豊富な熱量を利用し、さらにはその熱プラズマ中に水素をも導入することによる、原料粉末の還元反応と気化反応の平行進行にあり、金属粉末の上記平均粒径の達成に重要な作用である。水素を導入することにより、プラズマをより高温化するとともに、プラズマの熱伝導率、拡散速度を飛躍的に高め、粉末の気化を促進することができる。さらに、強還元性の解離水素、電離水素によって、酸化物の還元を促進する効果も得られる。 【0014】本発明の場合、その十分に気化された金属成分であれば、続く再凝集反応によって容易に0.1〜3μmの平均粒径の金属粉末として調整することが可能であり、この点で供する原料粉末の粒度範囲を問わないことからも、有効な手段である。 【0015】しかし、本発明者が検討したところ、上記の場合であっても、目的とする金属の沸点が高くなると十分な気化が困難となる。不十分な気化は、得られた金属粉末の中に原料粉末の粒径に依存した寸法の粉末を多く残存させる結果となり、更には、還元が不十分な粉末の残存にも繋がる。よって、本発明の場合、供する原料粉末は、金属状態での沸点が3000℃以下であるその金属の化合物とする必要がある。併せて、プラズマの条件をも最適に調整することで、更なる気化反応の遂行が可能となる。 【0016】上記本発明であれば、粒径の大きい原料粉末であっても平均粒径が0.1〜3μmの金属粉末を得ることが可能である。具体的には、原料粉末の平均粒径を3μm以上とすることで、給粉器からのスムーズな給粉、そして原料コストの低減にも有利であり、本発明の効果発揮の点からも好ましい。なお、歩留向上という観点から見ると、上限を100μm程度としてもよい。 【0017】また、本発明にて供する原料粉末は酸化物であってもよい。特に酸化物は化学的に安定で、コストも安いという利点もあることから、その原料として使用することが望ましい。しかし、その化学的に安定であるが故に、酸化物を還元できるだけの十分なエネルギー投与が必要となる。これにおいて、エネルギー密度の高いプラズマを利用する本発明であれば、原料粉末に酸化物を適用することが可能である。 【0018】上述したように、本発明では、化学的に安定な化合物を原料粉末として利用することができる。例えば酸化物で言えば、従来の還元法よりも、さらに安定な酸化物を出発原料として利用することが可能である。化合物の安定さを示す指標として、その標準生成自由エネルギーがある。これは、ある元素からその化合物を作るときの自由エネルギーであるが、本発明であれば、その金属に化合する物質1mol当りに換算した標準生成自由エネルギーΔG゜(J/mol)が、−550000+150T以上[但し、T(K):298〜金属の融点]の化合物を原料に使用することが可能である。 【0019】酸化物を一例に述べると、その標準生成自由エネルギーΔG゜はΔH゜−TΔS゜のT(K)に対しての直線関係で表わされることが知られる。ここで、ΔH゜は標準生成エンタルピー(J/mol)、ΔS゜は標準生成エントロピー(J/K・mol)である。 【0020】例えばNi(融点:1723K)の酸化物(NiO)の場合、その酸素1molとの化合物を作る標準生成自由エネルギーΔG゜(J/mol)としては、298K〜融点間で−468600+170.46Tが報告されているが、本発明に供することのできる化合物の標準生成自由エネルギーに比して十分高いことがわかる。Cu(融点:1356K)の酸化物であれば、Cu2Oの場合でその酸素1molとの化合物を作る標準生成自由エネルギーΔG゜(J/mol)は、298K〜融点間で−333000+141.26Tが報告されており、本発明の効果を十分に達成できる。 【0021】これについては、エリンガム図からも評価でき、本発明の数式:−550000+150Tにて定義される線を境界に、その上回る標準生成自由エネルギーの化合物であれば、その原料粉末として供することで本発明の効果が得られる。以上、本発明であれば、Ni金属粉末やCu金属粉末等の製造に好適であり、その用途として例えば低コストな導電性ペーストを製造することが可能となる。 【0022】本発明の製造方法を実施する装置の一例として、図1にその概念図を示す。ここでは例として、垂直型RFトーチをモデルとしているが、トーチ方式、チャンバー配置はこれに限るものではなく、DC型のトーチや水平型のチャンバーなども使用可能である。 【0023】熱プラズマ装置1は大きく分けて、粉末供給装置2、チャンバー4、プラズマトーチ7から構成される。チャンバー4の下部には、製造した金属粉末の回収缶5が設置されている。プラズマトーチ7で発生させたプラズマ炎内に、粉末供給装置2から給粉ノズル6を通して原料粉末を投入し、プラズマ高温帯3領域中で還元、気化させる。プラズマ高温領域を外れた気化ガスは再凝集し、微粉末となって回収缶5に堆積する。水素の導入は、プラズマトーチ7に供給することで行ない、アルゴン−水素プラズマとする。 【0024】 【実施例】出力50kwのAr−50vol%H2プラズマにて、NiO、Cu2O、FeO、比較例として、MoO2、Nb2O5の原料粉末を処理した。そして、本処理に際し、原料粉末および処理後の粉末の構成(主成分、ガス成分、相)および粒径を下記要領にて分析・測定した。 【0025】粉末の構成について、主成分分析には誘導結合プラズマ分析(IntroductiveCoupling Plasma:ICP)、ガス分析にはカーボンるつぼ不活性ガス雰囲気溶解吸光分析、そして、相同定にはX線回折法(X-Ray Diffraction:XRD)を利用した。 【0026】粉末の粒度分布はレーザー回折法で測定し、小径側から積算して、その値が全粒径に渡った積算値の半分になる粒径を平均粒径(D50)とした。なお、同じく積算値が全粒径に渡った積算値の90%となる粒径を便宜上の最大粒径(D90)とした。分析・測定結果を表1にまとめる。 【0027】 【表1】
【0028】本実施例に該当するNiO、Cu2O、FeO化合物のプラズマ処理においては、平均粒径D50が0.1〜3μmの範囲内に制御されおり、本発明の目的が達成されていることがわかる。そして、これらおいては、その平均粒径が沸点の降べき順に並んでいることから考えて、各々のプラズマ処理条件(電流、ガス流量など)を個々に調整することで、更なる狙い粒径への制御も可能である。 【0029】これに対し、本発明の条件から外れるMoO2、Nb2O5化合物のプラズマ処理おいては、所望の粉末を得ることができず、平均粒径を0.1〜3μmに制御することも困難であった。例えば、MoO2の処理においては、還元は進んでいるものの不十分であり、平均粒径も極めて大きい。Nb2O5の処理においては、もはや還元自体殆ど進んでおらず、平均粒径も大きいものである。 【0030】これら結果より、本発明の達成においては、目的とする金属の沸点と粒度、化合物の標準生成自由エネルギーと還元性の相関性を十分に考慮することが重要であることがわかる。 【0031】 【発明の効果】本発明であれば、平均粒径が0.1〜3μmの金属粉末を、高品質かつ低コストにて製造することができる。本発明により得られた金属粉末はスパッタリングターゲット材、焼結コンデンサ、化学工業用触媒等に好適であり、工業的価値は高い。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005083 【氏名又は名称】日立金属株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年6月14日(2001.6.14) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−371305(P2002−371305A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月26日(2002.12.26) |
| 【出願番号】 |
特願2001−180150(P2001−180150) |
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